脱毛症や薄毛に悩む人たちを対象とした毛髪再生医療の臨床研究を開始することを、2016年6月27日に東京医科大学が発表しました。この臨床研究は、東京医科大学の坪井良治主任教授、東邦大学医療センター大橋病院の新山史朗准教授および株式会社資生堂再医療開発室からなる共同研究チームにより行われます。
毛髪再生の方法は、まだ毛が残っている後頭部から数ミリの広さの頭皮を採取し、毛球部毛根鞘という特定の細胞だけを取り出して培養した後、毛が無い部分にその細胞を移植するというものです。頭皮組織の採取は東京医科大学病院および東邦大学医療センター大橋病院で行い、特定の細胞を取り出して培養する過程は資生堂の細胞加工培養施設で行われます。おなじ被験者の脱毛部へ培養した細胞を戻すステップは再び病院で行われます。
この臨床研究で毛髪再生のカギとなるのが、毛根鞘という特定の細胞を増殖させる技術で、資生堂は、この技術を開発したRepliCel(レプリセルライフサイエンス社)と提携しています。
RepliCel(レプリセルライフサイエンス社)は、健康な細胞の不足により引き起こされた症状の治療、機能回復のための細胞治療の開発を行う再生医療開発会社です。
製品概要:RCT-01、RCS-01及びRCH-01はそれぞれ慢性腱症、老化・紫外線等による皮膚ダメージ及び脱毛症の治療を目的とした細胞治療製品です。
パートナー契約:当社は、資生堂と2013年に日本、中国、韓国を含むアジア全域を対象としたRCH-01(毛髪再生医療技術)のライセンス契約を行いました。(RepliCel-Fact-Sheet-Feb-2016-Japanese1.pdf)
Shiseido Talks RepliCel Technology – Part 1
Shiseido Talks RepliCel Technology – Part 2
参考
- 毛髪再生医療の確立へ向けた臨床研究を開始~東京医科大学が、東邦大学医療センター大橋病院および株式会社資生堂と提携し、脱毛症や薄毛に悩む患者さんのQOK向上に貢献へ~ プレスリリース 2016年6月27日 東京医科大学 東邦大学医療センター大橋病院 株式会社資生堂
- 生涯フサフサ時代がやってくる?自分の頭皮細胞から毛髪を再生 東京医科大などが年内に臨床研究 (日刊工業新聞 2016年6月29日):”東京医科大学皮膚科学分野の坪井良治主任教授らの研究グループは、東邦大学、資生堂と共同で、加齢に伴い薄毛になる症状「壮年性脱毛症」の患者の毛髪を細胞移植により再生する治療法の臨床研究を2016年中に始める。”
- 朗報!「毛髪再生」へ臨床研究始まる 「自分の細胞」培養、女性にも優しい技術 (J-Cast 2016/6/29 18:30):”東京医科大学と東邦大学、資生堂は2016年6月27日、中年以降に脱毛症や薄毛になる患者の毛髪を再生させる臨床研究を今年から始めると発表した。”
- 東京医大や資生堂、毛髪再生へ今年から臨床研究 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2016年06月28日 08時03分):”東京医科大学や資生堂などは27日、中年以降に薄毛となる脱毛症の患者の、毛髪を再生させる臨床研究を今年から始めると発表した。”
- 東京医大など、自家細胞移植による毛髪再生医療確立に向けた臨床研究を開始 (マイナビニュース 小林行雄 2016/06/27):”東京医科大学(東京医大)、東邦大学、資生堂の3者は6月27日、脱毛症や薄毛に悩む患者を対象に、医師主導の臨床研究を開始すると発表した。”
- 資生堂が研究する画期的新技術 あと2年で薄毛が治る? (NEWSポストセブン 2016.03.09 07:00):”まず、脱毛症や薄毛に悩む患者の後頭部から毛がある頭皮を直径5mmほど切り取り、「底部毛根鞘細胞」を取り出す。続いて特殊な技術を用いてこの細胞を数百万個まで培養した後、患者の脱毛部位(主に頭頂部や生え際)に注射器で注入する。”
- NHK サイエンスZERO No.502細胞技術が毛髪再生を変える2015年4月19日 放送 (NHK): “大手化粧品メーカー 再生医療開発室・室長 岸本治郎さん 細胞培養で毛髪の再生医療をめざす。 理化学研究所 多細胞システム形成研究センター 器官誘導研究チーム・リーダー 辻孝さん 上皮系と間葉系の2種類の細胞を使って、マウスの毛の再生に成功した。 杏林大学 医学部 皮膚科 教授 大山学さん ヒトiPS細胞を上皮系細胞に分化させ、マウスで「毛包」の部分的な再生に成功した。”
- 髪フサフサ再び 資生堂、再生医療で商機探る 慶応大、iPSで毛包作成(日本経済新聞2014/6/1 7:00):”資生堂は毛髪の再生医療事業に参入する。神戸市に拠点を開設、今秋にもカナダのベンチャーが開発した再生医療製品の提供を開始する予定だ。”
- Shiseido Opens Research Facility Dedicated to Hair Regeneration – Shiseido Cell-Processing and Expansion Center – (businesswire.com April 21, 2014 10:00 PM Eastern Daylight Time): “Shiseido Co., Ltd. (TOKYO:4911) announces plans to open the Shiseido Cell-Processing and Expansion Center (SPEC) on May 1, 2014. The center, located in the in the Kobe Biomedical Innovation Cluster in Kobe, Japan, will centralize research and development on hair regenerative medicine with an aim toward commercialization.”
- RepliCel Receives Japanese Patent Covering its Hair Regeneration Technology (replicel.com January 13, 2014): “RepliCel Life Sciences Inc. (OTCQB: REPCF) (TSXV: RP) today announced that it has been granted a patent by Japan’s Ministry of International Trade and Industry for hair follicle mesenchymal stem cells and their use thereof. These cells are used in RepliCel’s RCH-01 treatment for androgenetic alopecia, also known as pattern hair loss. With the issuance of this patent, RepliCel now has patents issued in Japan, the United States, Australia and the European Union protecting its technology with other jurisdictions still pending. This patent approval is an important milestone as RepliCel’s licensing partner, Shiseido Company, prepares to conduct human clinical trials using RCH-01. Shiseido has an exclusive license to use RCH-01 in Japan, China, South Korea, Taiwan and the ASEAN countries representing a population of approximately 2.1 billion people.”
- RCH-01 – Hair Regeneration DSC Cell Therapy – Treatment for Androgenetic Alopecia (replicel.com):”RCH-01 is an autologous cell therapy utilizing dermal sheath cup (DSC) cells isolated from the hair follicle to treat androgenetic alopecia. ” Replicel.com | RCH-01 Technology Video