研究不正が認定された6人の博士号取得者のうち不正の度合いが大きい3人の学位を東京大学が取り消し

東京大学は2015年(平成27年)3月27日に記者会見を行い、研究不正を認定した学位取得者6人のうち、不正行為が学位研究の結論に重大な影響を及ぼす3人に関して学位を取り消すと発表しました。 参考 「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する学位請求論文の調査報告」(平成27年3月27日 東京大学):学位授与取消しの措置の概要(PDFリンク) 東大、3人の博士号取り消し 論文の捏造や改ざん認定(朝日新聞DIGITAL 2015年3月27日):” 取り消されたのは、加藤元教授の研究室で2005~07年に博士号を取得した元大学院生の金美善、藤木亮次の両氏と、企業研究者の古谷崇氏。…博士論文に不正が認定された元大学院生らはほかに3人いたが、不正の程度や分量、論旨への影響などを踏まえ、取り消し基準に該当しないと判断した。。” 東大不正論文:3人の博士号を取り消し(毎日新聞 2015年03月27日):”東大によると、大学から博士号を取り消されたのは、当時大学院生だった藤木亮次元助教ら3人で、「捏造や改ざんをしたと認定された図が博士論文の結論に重要な影響を与える」と判断し、取り消しを決めた。…残り3人は「不正の程度が軽く、論文の結論に影響しない」などとして取り消さないという。” 3人の博士号取り消し=東大の論文不正で(アメーバニュース/時事通信  2015年03月27日):”東大は、3人は自ら改ざんを行っており、論文で画像が果たした役割も大きかったと認定し、学位を取り消した。他の3人については不正の程度が軽いなどと判断した。”

東京大学が分子細胞生物学研究所・加藤茂明研究室における 論文不正に関する最終調査報告を発表

分子細胞生物学研究所・加藤茂明研究室における 論文不正に関する最終調査報告を東京大学が発表しました。この最終報告書では、史上稀にみる論文捏造の連鎖がどのように生じたのか、研究室内の人間模様にまで踏み込んだ記述があります。 6.発生要因等 (1)本件事案においては、研究室の相当数の者により、不正行為や貼り間違い等の不適切な行為が多数発生している。これほど多くの不正行為等が発生した要因・背景としては、旧加藤研究室において、加藤氏の主導の下、国際的に著名な学術雑誌への論文掲載を過度に重視し、そのためのストーリーに合った実験結果を求める姿勢に甚だしい行き過ぎが生じたことが挙げられる。そうした加藤氏の研究室運営を同研究室において中心的な役割を担っていた栁澤氏、北川氏及び武山氏が助長することにより、特定の研究グループにおいて、杜撰なデータ確認、実験データの取扱い等に関する不適切な指導、画像の「仮置き」をはじめとする特異な作業慣行、実施困難なスケジュールの設定、学生等への強圧的な指示・指導が長期にわたって常態化していた。このような特異な研究慣行が、不正行為の発生要因を形成したものであると判断する。 旧加藤研究室には当時、大きく3つの研究グループが存在し、上述の栁澤氏が率いた(後に北川氏が引き継いだ)コファクターチーム、武山氏が率いたショウジョウバエ解析チームのほか、学外から旧加藤研究室に参画した研究者が率いたノックアウトマウス作製チームがあった。これら関係教員のうち、最初に助教として採用された栁澤氏の初期の論文に不正行為が確認され、その影響を大きく受けた北川氏がその後の多くの不正論文に関与したと考えられる。したがって、今回の不正行為には、栁澤氏と北川氏が極めて大きな影響を及ぼしており、不正行為に関与した者は両氏の指導下にあった者が大半である。事実、北川氏の転出後は不正論文が激減している。また、不正行為に関わった者の多くは、大学院学生の頃から加藤氏が指導してきた者たちで、加藤氏に従順であり、過大な要求や期待に対し、それを拒否するどころか、無理をしても応えるしかないといった意識を持つような環境が存在していたといえる。 (2)ショウジョウバエ解析チームの中核的役割を担っていた武山氏は研究室の最古のメンバーであり、学生の頃から加藤氏の指導を受け、加藤氏とともに本学にて研究室設立に従事し、栁澤氏に次いで助教となった。武山氏は加藤氏の信頼に応えるべく結果を出すことに腐心し、不正行為に関わったと思われる。栁澤氏又は北川氏と関わりの無いノックアウトマウス作製チームのメンバーの中には不正行為を行った者はいない。また、研究者としてある程度自立(キャリアを積んだ)した段階で旧加藤研究室に参加したメンバーも不正行為に関わってはいない。 (3)以上から、不正行為を行ったのは、栁澤氏、北川氏に直接指導を受け、また加藤氏の大きな影響力の下にあったメンバーであることが明らかになる。これに対し、同じ研究室に所属していた他のメンバーには不正行為とは関わりのない者もいる。それゆえ、本件は研究室全体(又はチーム全体)にわたる不正行為であるとまではいえないと判断できる。(最終調査報告4-5ページ) この報告書に拠れば、加藤茂明(元)教授が捏造を部下に指示していたわけではなく、グループリーダー的な役割を担っていた二人が中心になって捏造を主導し、その研究グループに属する学生らがそれに従わざるを得なかった、もしくは上の期待に応えようとして捏造に励んだようです。加藤教授は部下に過大な期待・要求をしてこのような不正を生じさせるような特異な環境を作り出したこと、および不正の露呈を防ごうとしたことに関して責任を問われています。 この調査委員会の決定に関して加藤茂明・元教授は、論文の作製過程で研究員に対して強制的な態度や過度の要求をしたことも、そのような意図を持って発言したこともなく、不正行為が発生する環境を作り上げたとの認定には承服できない、と反論しています(NHKの報道など)。   東大 論文不正に元教授ら11人関与と発表 平成24年1月10日、本学に対し、加藤茂明東京大学分子細胞生物学研究所教授(当時)の主宰する研究室の関係者が発表した論文について、不正行為が存在する旨の申立てがあった。これを受け、本学においては、分子細胞生物学研究所における予備調査を経て、科学研究行動規範委員会において調査・審議を行い、論文の不正行為を認定した。このたび、本事案の調査が終了しその結果をまとめたので、公表する。 記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における 論文不正に関する調査報告( 最終 )」の実施について 日 時:平成26年12月26日(金)9:30~11:00 場 所:東京大学総合図書館3階会議室 出席者: 濱田 純一 東京大学総長 相原 博昭 東京大学理事・副学長(科学研究行動規範担当) 原田  昇 東京大学副学長 科学研究行動規範委員会委員長 鈴木 真二 東京大学広報室長 配付資料一覧(すべてPDFファイル): 1)理事声明 2)分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告(最終) 3)分子細胞生物学研究所研究不正再発防止取り組み検証委員会結果報告 4)研究倫理アクションプランに係る取組状況等について 5)東京大学の科学研究における行動規範 6)東京大学科学研究行動規範委員会規則 (資料ウェブサイト http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_261226_j.html) 参考 東京大学分子細胞生物学研究所・旧加藤研究室における論文不正に関する調査報告(最終)(東京大学平成26年12月26日) 東大 論文不正に元教授ら11人関与と発表(NHK NEWSWEB 12月26日):”東京大学で学位を取得した当時の学生ら6人についても、学位の取り消しを審議するということです。” 不正論文に関与、元特任講師の学位取り消し 徳島大 (朝日新聞 DIGITAL 2014年12月26日):”東京大学の加藤茂明元教授の研究グループによる不正論文に関わり博士論文を捏造(ねつぞう)、改ざんしたとして、徳島大学は26日、北川浩史(ひろちか)・元東大特任講師に授与した博士の学位を取り消した、と発表した。” 東大論文不正:捏造報告に加藤元教授「到底承服できない」(毎日新聞 2014年12月26日):”加藤氏はコメントで「関係各所に膨大な労力をおかけしたことを心よりおわびする。論文作成や受理の過程で、強制的な態度や過度の要求などをしたことはない。最終報告は私の弁明を十分に考慮せず、一部の証言のみに基づいている」と釈明した。”

東大分生研加藤茂明研究室の論文不正問題で加藤(元)教授が実験ノート捏造を指示:東京大学科学研究行動規範委員会が結論

⇒ 東京大学が分子細胞生物学研究所・加藤茂明研究室における 論文不正に関する最終調査報告を発表(2014年12月26日) *残念ながら最終報告では不正を認定された人の数が拡大しています。 東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明(元)教授の研究室で生じた極めて大規模な研究不正に関して、東京大学の科学研究行動規範委員会がようやく結論をまとめ2014年8月1日に公表しました。報道によると、当時の研究室内の研究グループのリーダー3人(柳沢純助教授、北川浩史特任講師、武山健一准教授)のうち柳沢助教授および北川特任講師の二人がデータ捏造を主導していました。加藤元教授は、論文撤回を免れようとしてこの3人に指示して、実験ノートを捏造・改竄させており、東京大学はこの4人が研究不正に関与したと認定しています。 参考 分子細胞生物学研究所・旧加藤室における論文不正関する調査報告 (第一次)(PDFリンク)(2014年8月1日 東京大学科学研究行動規範委員会) 東大論文不正:元教授強圧的指導 調査委「懲戒処分相当」(毎日新聞 2014年08月01日):”東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループによる論文不正問題で、同大科学研究行動規範委員会は1日、「論文5本について捏造(ねつぞう)や改ざんの不正があった」と認定したうえで、加藤氏が部下に強圧的な態度で不適切な指示や指導を繰り返したことが不正の背景にあったとする調査結果を発表した。加藤氏が論文撤回を回避するため、不正の証拠となる画像や実験ノートの改ざんを部下に指示したことも認定した。…” 研究論文で不正、東大が4人の関与を認定(読売オンライン2014年08月01日):”…加藤元教授については、画像の捏造(ねつぞう)や 改ざんを行った事実は確認できなかったが、研究室内で「強圧的な態度で不適切な指示・指導を日常的に行った」とし、不正行為を大きく促したと認定。論文の 撤回を回避するために実験ノートなどに手を加えるよう指示し、委員会の調査で、虚偽と考えざるを得ない証言をしたという。” 東大元教授が実験ノート捏造指示 (2014年8月1日 スポーツ報知):”…柳沢氏と北川氏は、複数の画像を合成するなど論文の画像の捏造、改ざんに直接関与し、武山氏は実験ノートの捏造、改ざんに協力した。…” 「東京大学分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正に関する調査(中間報告)」東京大学平成25年12月26日(木)記者会見報道資料  筑波大教授らが研究論文で不正(日本経済新聞2014/3/31 21:06)筑波大は31日、生命環境系の柳沢純教授(50)と村山明子元講師(44)らが発表した3本の論文に不正が見つかったと発表した。柳沢氏は同日付で依願退職したが、筑波大は近く懲戒審査委員会を立ち上げてどう処分するか審議する。柳沢氏らは東京大分子細胞生物学研究所に在職していたときに発表した論文でも改ざんが見つかっている。 本学生命環境系教授及び元講師論文に関する調査結果について(筑波大学研究推進部研究企画課2014/03/31):本学生命環境系柳澤純教授及び村山明子元講師が本学在籍時に発表した論文に,データの不正がある旨の指摘を受け,本学では,調査委員会を設置し調査を行ってきました。その結果,研究不正行為を認定しましたので公表します。 群馬大学生体調節研究所核内情報制御分野ウェブサイト(北川浩史教授) 東大論文不正:北川教授、捏造や改ざん 群大が研究活動精査へ /群馬 毎日新聞 (2014年08月02日):”東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明元教授のグループによる論文不正問題で、中核メンバーだった北川浩史(ひろちか)・群馬大教授が論文の捏造(ねつぞう)や改ざんをしていたと認定された。群馬大は1日、調査委員会を設置し、北川教授の研究活動を精査する方針を決めた。…”    

加藤茂明 元東大教授がフライデー誌に真情を吐露

2014年8月1日の記事も合わせて御覧ください ⇒ 東大分生研加藤茂明研究室の論文不正問題で加藤(元)教授が実験ノート捏造を指示:東京大学科学研究行動規範委員会が結論   一体どうすればこんな大規模な研究不正が起こり得るのか?みなが首をかしげる事件ですが、加藤茂明東京大学・分子細胞生物学研究所元教授が論文捏造の真実を「フライデー」9月6日号で語っていました。 「私の管理が甘かったので、研究室の一部のメンバーが暴走してしまった。言い 訳がましいかもしれませんが、私はずっと性善説で生きてきました。部下の一部が論文データを改ざん、ねつ造しているなんて思いも寄らず、チェック機能が まったく働いていませんでした。私自身がアナログ人間なので、画像処理でデータが操作できるなんて想像もできなかった。すべての責任は私にあります。」 「けっして研究室ぐるみで不正をしていたのではない。真面目に研究をしているメンバーが大半だったんです。」 研究室には50人ほどのメンバーがいたが、不正に手を染めていたのはそのうちの一つのグループであり、13人ほどのメンバーだという。 参考 論文ねつ造で辞めた東大教授「福島で(反省)ボランティアの日々」

加藤茂明研究室から出された51報の「不適切」な論文リスト

2014年8月1日の記事も合わせて御覧ください ⇒ 東大分生研加藤茂明研究室の論文不正問題で加藤(元)教授が実験ノート捏造を指示:東京大学科学研究行動規範委員会が結論   科学研究行動規範委員会の調査において、「科学的な適切性を欠いた画像が掲載されていた」とした51報の論文(http://www.u-tokyo.ac.jp/public/pdf/20131226_04-2_appendix1_jp.pdf)。筆頭著者が異なる捏造論文がこれほど大量に出たということは、たまたま血迷った人がいたということではなく、研究室内での組織的な論文捏造と思われます。 Genes Dev. 2010 Jan 15;24(2):159-70. doi: 10.1101/gad.1857410. Epub 2009 Dec 29. A histone chaperone, DEK, transcriptionally coactivates a nuclear receptor. Sawatsubashi S, Murata T, Lim J, Fujiki R, Ito S, Suzuki E, Tanabe M, Zhao Y, Kimura S, Fujiyama S, Ueda T, Umetsu D, Ito T, Takeyama K, Kato S. J Biol […]