大学の研究室におけるセクシャル・ハラスメント

今まで尊敬していた大学教員など目上の人による突然の行動に、驚きや恥ずかしさから、咄嗟に断ったり、「やめてください。」と言うことが困難な場合があります。また、羞恥心のために人に相談できず、自分の感じ方がおかしいだけではないかなどと一人で悩んでしまうかもしれません。教授は研究室において絶対的な権力を持っていますから、自分の学位、職がその教授の意志次第という弱い立場におかれた学生、研究員、秘書にしてみれば、教授の意に反する行動をとることは非常に困難でしょう。また、加害者が徐々に言動をエスカレートさせていった場合に、被害者が拒絶するタイミングを逸してしまい、被害が大きくなることも考えられます。   指導や業務の連絡メールに「今日2人で食事でもどう?」と書かれている (東京大学 ハラスメント相談所 相談できること セクシュアルハラスメントに関すること) 「なんだかいやだな、と思ったら、それはあなたの安全センサーです。」 (東京大学ハラスメント相談所) 論文指導を受けにB教授の研究室を訪ねたところ、不意に身体を触られたため「やめてください」と言うとB教授は「ごめん、ごめん。でもそんなに冷たくされると指導しにくいな」と言った。 (東京大学 セクシュアル・ハラスメントのないキャンパスに向けて ハラスメント相談所 2005.3.18 【ケーススタディ】(裁判やセクシュアル・ハラスメント防止の冊子などを参考に作成)) 修士論文に向けた研究の相談をしようと教授に面談を要求したときのことです。教授から「夜8時に私の研究室に来なさい」というメールが入りました。… 研究室に行ってみると、教授が一人で待っていました。… 「腹が減ったから、晩ご飯を食べに行かないか」といきなり誘われました。… 教授からのせっかくの誘いは断れず、一緒に食事に行くことになりました。 (大学院でのハラスメント セクハラに苦しめられる院生・救ってくれない大学) 教授の中には、露骨に「君には今度の学会で論文を発表させてあげよう」とか「君をどこそこの研究機関に紹介してあげよう」などと甘言をもちいて性的な誘いをするケースがあり、これを学生が拒否すると、その後全然指導をしてくれなくなったり、研究テーマをもらえなかったり、今までの態度をひるがえし、研究内容について罵倒される、などの不利益をこうむるケースがありえます。 (助けて!教授がセクハラをしてきます。All About 2008年08月27日) 職場でヌードカレンダーを置いていた先輩にそれをやめてほしいと伝えたことがあります。みんなの前で言うと先輩も気まずいだろうと思ったので、廊下で偶然二人になったときに「やめてもらえませんか?」と言いました。「え、なんで?」と聞き返されましたが、あえて「セクハラですよ」という言い方はせずに「私はああいうのは苦手なんですよ」と言ってみました。先輩は納得したわけではなかったようですが、それからカレンダーは撤去してくれました。 (京都外国語大学 人権教育啓発室 カウンセラーからのアドバイス)   セクシャル・ハラスメントの加害者は、自分の行動に対して、被害者が拒絶する態度をとらなかった場合に、それを同意したと勝手に解釈してしまい、自らの行為がセクシャルハラスメントと認定され得ることを自覚していない場合があります。 セクハラ加害者の認識のズレ ある加害者は、被害者にむかって「何でこれがセクハラになるのか本当にわからないのです。教えてください」と聞きました。これって、交通事故を起こした加害者が、悲しんでいる遺族に向かって「交通ルールがわからないから教えて」と要求するようなもので、非常識きわまりないものなのですが、セクハラやアカハラする人はストーカーなど性犯罪者と同じで、自分が間違っているとは夢にも思っていなかったりします。(相談組織の委員に任命されたら セクシュアル・ハラスメントの相談組織の委員になってしまった人のためのページです) セクハラの男性のハラッサー側にとっては、「触ったのではなく、手をおいただけ」という軽度な認識をしているときが多々あり、このような認識の行き違いがセクシュアル・ハラスメントの根本的な問題となっていることが説明されました。…. ハラッサーと被害者の間に上下関係が存在する場合、被害者側は、何も発言することができず、ただ黙っていただけであるにも関わらず、「合意」したと解釈されてしまうそうです。(学内委員研修「大学におけるセクハラの防止と対策」を開催しました 大阪市立大学助成研究者支援室  平成27年10月28日) 男性の上司が女性の部下を食事に誘ったとします。女性は「上司と二人で行くのは嫌だな」と思いながらも、上司に誘われたら断われないと生真面目に考えたり、何回断ってもしつこく誘われるので、断り切れずに誘いに応じることがあるんですよね。…自分が50代の既婚者なのに、20代の独身女性と恋愛できる、好かれていると考えるのは、普通はあまりないことですよね。…セクハラは個人対個人の男女関係のもつれなどではなく、上下関係を利用した行為ですから、職場環境の問題だという意識を皆が持つ必要があります。(LINEのハートスタンプを「好意」と勘違い 「疑似恋愛型セクハラ」はなぜ起きる? 弁護士ドットコム 2016年07月24日) 大阪高判平24. 2. 28 キャンパス・セクハラ事件  本件は,私立大学教授X(加害者男性原告・被控訴人)が同じ大学に勤務する(移籍まもない)准教授A(訴外被害者女性)に対して行なったセクハラをめぐって,Y大学(雇用主被告・控訴人)から減給処分を受けたところ,X がセクハラの事実はないと主張して,懲戒処分の無効を訴えた事件である。第1 審では,セクハラは認められないとして,懲戒処分無効が確認され,X が勝訴した。Y 大学が控訴した本件第2 審ではY 大学が勝訴し,そこで大阪高裁は,X のセクハラを認め,懲戒処分は有効であると確認した。…   A が被控訴人からの飲酒の誘いに応じるなどしたのは,被控訴人が本件学部の教授の地位にあり,発言力があると感じており,これを拒否すると自己の本件学部内での立場に不利益が生じないとも限らないと考えたためであったと認められ,また,隣り合わせの飲酒の席でセクシャル・ハラスメント行為を受けたからといって,直ちに,その席を立って帰宅するなどすることも容易ではないものと考えられ,A は,上記のように本件学部における被控訴人と自己との関係を考慮し,被控訴人の機嫌を損ねることを避け,自己に不利益等が生じないようにしたいと思って,本件店舗で最後まで同席したり,同一のルートを通って帰宅し,別れ際に握手を求めたり,謝礼のメールを送信したりしたものと認めるのが相当である。そして,A が被控訴人に対して拒否的な態度や不快感を明確に示さなかったからといって,A が被控訴人の言動に対して何ら不快感を抱かなかったといえるものではないことはもちろん,セクシャル・ハラスメント行為がなかったことを推認させるといえるものでもない。(キャンパス・ハラスメントの近時判例傾向について吉川英一郎 同志社商学 第66巻 第5号(2015年3月)) それでは、実際にセクハラされた、あるいは、これってセクハラでは?ということをされた場合に、どのように対処すればよいのでしょうか?被害者は相談の事実を加害者に知られたくはないでしょうから、相談相手が本当に秘密を守ってくれるのかどうかが心配です。多くの場合、大学はセクハラ等の相談窓口を設置していますが、相談体制は大学によりまちまちです。大学教員が相談員を兼ねるところもあれば、学外のカウンセラーが対応するところもあります。一人で悩まずに信頼できる身内や友人、先輩、先生に相談するのが良いと思いますが、実際のところ、これが正解というものはないため、以下、さまざまな考え方やアドバイスを紹介するに留めます。 セクハラへの対処法 ハラスメントを受けたと思ったら  自分を責める必要はありません。ハラスメントにあってもあなただけの問題ではありません。不快であるという意思表示をすることも大切です。ただし、それを言えなくてもあなたの落ち度とされることはありません。相手に不快だと意思表示ができない場合は、一人で悩まず、信頼できる周囲の友人や教員に相談しましょう。友達などの身近な人に伝えてもらうことやグループのリーダーなどに力になってもらうことも一つの方法です。ハラスメントについて具体的にその事実(日時、場所、相手の言動、証人、あなたの対応、気づいたことなど)などを記録しておきましょう。証人になってくれる人がいれば、証言を依頼しておくこともよいでしょう。相手からの電子メールなどは必ず残しておきましょう。ハラスメント相談室を利用してください。(九州大学ハラスメント相談室) 被害はきっちり記録する;睡眠をとる;獲得目標を決める;どのような手段で戦うかを決める […]

弘前大学の50代男性准教授 「2人で同室に泊まった方が安くなるから」とゼミの女子学生と海外調査出張で13泊

弘前大学人文社会科学部の50代男性准教授がセクハラ行為で停職6ヶ月の懲戒処分(2016年6月1日付け)を受けました。処分の理由となった行為は3人の女子学生に対するもので、それぞれの内容は、 2014年3月 ゼミ生一人とアジア地域で調査旅行を行った際、宗教施設やホテルの同じ部屋で13泊した。 2014年9月 研修旅行でアジアへ同行した学生1人に同室を提案した(学生には断られた)。 2014年 ゼミでの差別的待遇を訴えた学生1人に対して、14年度後期のゼミを時間割通りに開講しなかった。 というものです。 「出発前から同室と決まっていた。いやだったが、先生が不機嫌になると思い、仕方ないと自分に言い聞かせた」(13泊同室させられた学生) 「宗教施設に宿泊部屋は一つだけだった。ホテルは同室の方が安く安全」(50代男性准教授) 「強要はしなくても、教員と学生の力関係では断れない雰囲気があったと思う。同室するだけで教員として問題だ」(吉沢篤副学長ら) 「准教授は14年9月の研修旅行でも、同行した別の女子学生に同室の宿泊を持ちかけるなど、十数年前からセクハラで何度も注意を受けていたそうです。自分好みの女子学生ばかり、えこひいきしていたため、他の学生が大学に相談。大学が注意したら、ゼミを予定通りの時間に開かないなど、逆ギレしていました」 (弘前大関係者)(日刊ゲンダイDIGITAL 2016年6月5日) 「授業ではインドの“性典”カーマ・スートラにかこつけて、女子学生の手を握ったりしていた。ゼミの試験に男子学生が来ると、露骨に嫌がっていましたね。セクハラ停職処分の報道を知って、すぐに『あの先生だ』と顔が浮かびました」(弘大OB)(日刊ゲンダイDIGITAL 2016年6月5日) この准教授十数年前にも学生へのセクハラで学部長から口頭で注意を受けているほか、2015年3月にも教育活動を停止させられています。 参考 女子大生と同室13連泊 弘前大准教授の“常習セクハラ”手口(日刊ゲンダイDIGITAL 2016年6月5日) <セクハラ>女子学生と13泊の准教授を停職処分 弘前大(ヤフーニュース/毎日新聞 6月3日(金)10時12分配信) 海外出張で女子学生と同室で宿泊…准教授を停職(読売新聞 YOMIURI ONLINE 2016年06月03日 11時56分) 准教授がセクハラで停職=出張で女子学生と同室-弘前大(時事ドットコムニュース 2016/06/02-19:51) 弘前大学人文社会科学部 文化創生課程 多文化共生コース 教員紹介 弘前大学授業計画(28年度)人文社会科学部 弘前大学 大学案内2017 (フラッシュ版)

 「女は批判されると泣くから、ラボにいるとトラブルの元」 冗談のつもりだった発言で大学(UCL)をクビに 細胞周期の研究で2001年ノーベル医学生理学賞受賞のティム・ハント博士

細胞周期の研究で2001年にノーベル医学生理学賞を受賞しているティム・ハント博士の発言が物議をかもしています。彼はユニバーシティ・カレッジ・ロンドン(UCL)の名誉教授でしたが、この発言のために辞職を余儀なくされました。 “Let me tell you about my trouble with girls. Three things happen when they are in the lab: you fall in love with them, they fall in love with you, and when you criticise them they cry.” The resignation of Sir Timothy Hunt: Can’t feminists take a joke? Tim Hunt sorry but stands by […]

群馬大学医学部医学研究科の40代男性教授がパワー・ハラスメントで懲戒解雇処分

群馬大学によるパワー・ハラスメントの定義: ”業務上の支配従属関係を不当に利用して,不利益な取扱い,人格的な誹謗・中傷,嫌がらせ,暴力,業務遂行の妨害等の相手の意欲及び就労関係を 著しく阻害することをいいます。” (http://www.gunma-u.ac.jp/html_campus/campuslife_16.html) NHKなどの報道によると、 「月曜日に仕事をするためには土日に働かなければならない」 と言って部下の教職員に休日出勤を強要したり、 「結婚は三角、出産はバツだ」 などと女性職員に対して発言するなど、ハラスメント行為を繰り返していた群馬大学医学部の40代の男性教授が2014年11月20日付けで懲戒解雇されました。また、部下に対して、 「ポストを空けるため(他大学などに)応募しろ」 などと言って心理的な圧力をかけ、それにより3人が精神的な病気で休み、2人が退職したそうです。大学側は2013年4月に調査委員会を設置し、2012年1月から2013年8月の間における、この教授の研究室の助教や講師の男女5人に対する言動をハラスメントとして認定しました。 参考 教授がパワハラ「結婚は三角 出産はバツ」(NHK NEWSWEB 2014年11月20日):”前橋市にある群馬大学医学系研究科の40代の男性教授が、部下の教職員に対して、適正な範囲を越えた休日出勤を強要したほか「結婚は三角、出産はバツだ」と女性職員を蔑視する発言などを繰り返し、パワーハラスメントを行っていたとして、大学はこの教授を懲戒解雇の処分にしました。” 群馬大、パワハラで教授を懲戒解雇 退職や休日出勤強要(朝日新聞DIGITAL 2014年11月20日):”教授は大学に発言を認めたが、一部は「指導の範囲」と話しているという。”