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小保方晴子研究ユニットリーダーらによるSTAP細胞の検証実験7月1日~11月30日

理化学研究所はSTAP細胞の存在を調べるための検証実験に小保方晴子研究ユニットリーダーを参加させると発表しました。検証実験の期間は7月1日~11月30日の5ヶ月間。

生物学の研究者の本音が飛び交うインターネット匿名掲示板(STAP細胞の懐疑点 PART488 http://wc2014.2ch.net/test/read.cgi/life/1404116917/)での反応の一部を紹介します(字句の一部を●●に変更)。

133 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 19:52:22.36
スゴいね理研って
山ほど残っている論文疑惑については消極的なのに
捏造容疑者に再現実験させるとか狂気の沙汰

336 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 20:44:26.34
理研ぐるみで捏造するんだろw

337 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 20:44:34.25
理研が再現実験しても
だれも信用しないから
やっても マジ意味無い。

347 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 20:45:55.73
論文の取り下げ決定したんだろ
再現するための根拠からして消滅、全ては白紙ってことじゃないか
実験自体全くの無意味なのに何をやろうというんだ
再現実験=これから1から論文作りなおすということ?
理研が何をしようとしてるのか全く理解できない

398 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 20:55:56.48
再現実験したければ小保方が引き受けてくれるところを自力で探すべきなのだが

467 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 21:12:09.22
再現実験では捏造そのものを断定することは出来ないんだよ。
失敗しても
「もしかしたら、まだ把握できていない繊細な条件があり、再現できなくなったのかも」
とか言われたら、「科学的な検証」を重視する竹市センター長は否定できないものw
だから、サンプル調査や論文疑惑調査の方に注力すべきなんだよ。
こんな当たり前のことすら理研のお●●さん達は理解できないのですね。

472 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 21:13:30.88
本人がやりたければ来てもいいよ
ではなく
小保方様、どうかきてくださいませ
理研終わり過ぎ

521 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 21:28:25.73
捏造の張本人が検証実験!!
腹痛いわ 理研の誰が決めてんのよ

952 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 23:13:06.85
オボコメントを堂々とホームページに載せる理研
恥知らずにも程がある

984 :名無しゲノムのクローンさん:2014/06/30(月) 23:21:04.65
日本の科学は狂っている

参考

  1. 小保方氏がSTAP検証に参加 懲戒委の審査、一時停止 (日本経済新聞2014/6/30 19:10):理化学研究所は30日、STAP細胞が存在するかどうかの検証実験に、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)を参加させると発表した。期間は7月1日~11月30日の5カ月間を予定し、実験をビデオで記録するなど透明性を確保するとしている。…

STAP細胞ネイチャー論文撤回

報道によると英科学誌ネイチャー(NATURE)に掲載されていた小保方晴子氏らによるSTAP細胞論文2報は、7月3日号で撤回されるとのことです。

参考

  1. STAP細胞:ネイチャーが論文撤回へ 研究成果白紙に (毎日新聞 2014年06月30日):STAP細胞の論文不正問題で、英科学誌ネイチャーが7月3日号で関連論文2本を撤回する見通しであることが、複数の関係者への取材で分かった。…
  2. STAP「白紙」に…論文撤回へ、小保方氏同意 (YOMIURI ONLINE 2014年06月30日 13時26分): … 論文の筆頭著者である理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーを始め、14人の著者全員が撤回に同意しているといい、ネイチャーにその経緯や理由などを説明した文書が掲載される。…

STAP問題の闇

STAP細胞捏造事件は、立場の異なるさまざまな人々の思惑が交錯して生じたものであり、真実の姿がなかなか見えてきません。

なぜすぐにばれるような幼稚なデータ捏造をしたのか?

なぜそれが周りの誰にも気付かれずに、NATURE論文2報掲載に至ったのか?

なぜ研究実績ゼロ(どころか博士論文ですでに捏造)の人を日本のサイエンスの最高峰に位置する理化学研究所がほとんど「無試験」で研究リーダー(=大学准教授相当の役職)として迎え入れたのか?

誰がどこまで研究不正に加担したのか?

共同研究者らはいつからデータ捏造に気付いていたのか?

研究不正の事実がこれほど明らかなのに、なぜ理化学研究所はまともな調査をしないのか?(調査で明らかになってしまっては困ることは何なのか?)

なぜ理研CDBは捏造を確定させたにも関わらず規程に則って解雇するどころか、雇用の延長を保証し「助言」まで仰ぐのか?(理研CDBは、小保方氏に暴露されては困るような弱みを何か握られているのか?)

なぜ竹市理研CDBセンター長、野依理研理事長、下村博文文部科学大臣らは、捏造データの上に成り立っていて科学的根拠が皆無のSTAP現象を小保方氏に「再現」をしてもらいたがるのか?

なぜ理研の科学者は何の科学的根拠もない仮説を魅力的だとして、それを検証をしようとするのか?

なぜこのような国民の税金をドブに捨て続ける行為が今の日本で許されるのか?

なぜ理研内部の研究者から、事を正そうとする声がもっと出てこないのか?

なぜ誰も責任を取らないのか?

誰が理研をコントロールしているのか?

 

 

SAP細胞捏造は科学研究の世界の3大不正として教科書に載ると言われましたが、教科書に掲載する事例とするなら、事件の全体像が明らかになっていなければなりません。

STAP細胞で大儲けした人間を許してはいけない」というインターネットの記事は、これまでの報道では全く見えてこない部分に光を当て、”米国ではとっくに時代遅れになりつつある「特許」「科学研究」「インサイダー」三位一体の経済犯罪が、法規制の進んでいない日本に持ち込まれ、あざとく利ざやが抜かれた可能性”を指摘しています。

参考

  1. STAP細胞で大儲けした人間を許してはいけない(JBPRESS 2014.06.23):”STAP問題の闇は深い”
  2. 小保方発表で暴騰したセルシード株(http://sonarmc.com 2014年3月18日):”…つまり「何かうまい話」がセルシードの経営者から伝えられなければ「継続性に疑義の生じた会社」(会計監査でつぶれる可能性を指摘された会社)の ファイナンスに応じることは通常はない。それも半端でない総発行株数の30%近い大量の株式が新たに発行されるわけだから、「何か」がなければ株価は大幅 に下がるのである。ところが同社株は1月30日に小保方発表で40%も暴騰し、UBSは新株予約権を1月30日と31日の2日間で全部行使して市場で即座に売却し、数億円のサヤぬきに見事に成功している。以上記述したことは全部公表事実で誰でもネットで確認できる。…”
  3. 小保方研究に関与する企業の株価が急上昇――STAP細胞騒動に株価操作疑惑 (週刊金曜日ニュース 2014 年 4 月 30 日)”…STAP細胞の真偽をめぐる騒動で、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーの共同執筆者である大和雅之・東京女子医科大学教授の上司が取締役を務めるベンチャー企業の株価が、英科学誌『ネイチャー』電子版がその存在をトップ記事で載せたあと、急上昇していたことがわかった。…”
  4. ヤフーファイナンス (株)セルシード

ホールケーキの残りが3日後でもぱさつかない科学的な切り分け方

The Scientific Way to Cut a Cake

参考

  1. Francis Galton. Cutting a Round Cake on Scientific Principles. Nature 75, 173 (20 December 1906) | doi:10.1038/075173c0; ((閲覧にはNATUREに対して購読料を支払うことが必要))
  2. 100年以上前に考案された「ケーキをダメにしない切り方」がネットで爆発的シェア! 意外な発想に驚くこと間違いなし!! (ロケットニュース24)

CAG-GFPを15番染色体の片方に持つマウスの謎

「CAG-GFPを15番染色体にヘテロで持つマウスはどこ由来なのか?」

京都大学iPS細胞研究所で遺伝子組み換えマウスが管理区域外で見つかり、文部科学省が厳重注意、山中伸弥所長が謝罪記者会見を開くということが以前ありました。

今回のSTAP細胞論文捏造事件では、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)で正体不明の遺伝子組み換えマウス(CAG-GFPを15番染色体にヘテロで持つマウス)が使われていたことが明らかになっており、遺伝子組み換えマウス管理の杜撰さという点では、事の重大さは先の京大の件とは比較になりません。小保方氏が若山氏から供給されたマウス以外は使っていないというのなら、一体誰がどこからこの遺伝子組み換えマウスを理研CDB内に持ち込み、小保方氏の実験にそれが入り込んできたのか?大きな謎です。このようなデタラメなことが起きた真相を明らかにすることもせずに、このようなデタラメの上に成り立っていた「STAP現象」の再現性を科学的に検証しよ うとするのはあまりにも不毛です。ましてや世界に冠たる理研の科学者たちが、データ捏造が確定した(理研調査委員会 による)人間の「助言」を求めるなど、あり得ないことです。

参考

  1. 「監視下で小保方氏参加実験を」 理研・竹市センター長(神戸新聞 2014/6/26 22:03):”… 理研再生研で進められている検証実験には、小保方氏は助言しているが、立ち会ってはいないという。…”

2014年6月16日
CDBに保全されているSTAP関連細胞株に関する検証について
発生・再生科学総合研究センター
センター長 竹市雅俊

背景
STAP論文では、脾臓から採取された免疫細胞が弱酸性にさらされることにより、多能性を獲得することを報告した。STAP細胞から増殖可能な細胞株としてSTAP幹細胞が作製された。STAP論文に関する疑惑が明らかになった後、山梨大学若山教授は第三者研究機関にSTAP幹細胞株のDNA解析を依頼した。その情報は理研と共有され、理研はCDBに保全されているSTAP関連幹細胞株の解析を進めてきた。
CDB小保方研STAP幹細胞株の検討目的
CDBに保全されているSTAP関連細胞株(STAP幹細胞、FI-幹細胞株)およびそれらから作出されたキメラマウスの遺伝子情報を比較解析し、各細胞株間の遺伝子レベルの相違と起源に関する客観的に検証可能なデータを得ることを目的とする。

CDBで保全されている小保方研細胞株の解析と結果
小保方研細胞株サンプルの遺伝子解析(遺伝的背景およびCAG-GFP挿入部位の確認)
• 小保方研細胞株サンプルのSTAP幹細胞6株に関して、遺伝的背景を6種のSNPマーカーを用いて検査したところ、以下の結果が得られた。GLS-1およびGLS-11については核型の解析も行った。
1. FLS-3およびFLS-4: B6129F1: CAG-GFP, ♂
2. GLS-1およびGLS-11: B6: oct4-GFP, ♂(核型の解析ではY染色体の一部に欠失が見られる)
3. AC129-1およびAC129-2: 129B6F1: CAG-GFP ♂ (129 CAG-GFP マウス由来とされたが, 129B6F1由来であることが判明)。
• CDBでは、若山氏から、STAP幹細胞のCAG-GFP遺伝子挿入位置の情報提供を受け、上記STAP幹細胞株のCAG-GFP遺伝子挿入部位を検証した。
STAP幹細胞株AC129-1およびAC129-2は、18番染色体GFPの挿入を持つ若山研GFPマウスと同じ部位に、1コピーのCAG-GFP遺伝子の挿入を持つことが判明した。かつ、相同染色体の両方に挿入されていることも若山研GFPマウスと一致した。他方、FLS-3およびFLS-4に関しては、15番染色体の片方の染色体にGFP遺伝子が挿入されていることが判明した。また、CAG-GFP遺伝子は複数コピーがタンデムに並んだ形で挿入されていた。
これらの結果は若山研のサンプルの解析結果と一致した。

解析結果に対する見解
1.若山氏が提供されたとされる光るマウス(CAG-GFP遺伝子保持マウス)から小保方氏がSTAP細胞を作成し、それを若山氏が受け取って樹立したSTAP幹細胞株に関して、保管されていたストックの解析から、CAG-GFP遺伝子の挿入状況の違いにより、STAP幹細胞は2種類の異なる遺伝子型のマウス由来であることがわかった。一方は、若山氏が提供した(CAG-GFPを18番染色体にホモで持つ)もの、もう一方は由来不明(CAG-GFPを15番染色体にヘテロで多コピー持つ)のものであった。
2.CAG-GFPを15番染色体にヘテロで持つマウスがどこ由来なのか、そのマウス個体がSTAP細胞からSTAP幹細胞が樹立された時期に若山研(あるいは小保方研)に生存個体として存在していたのかは不明であり、今後、さらなる検証を進める。
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/topics/2014/20140616_2/20140616_2_1.pdf

小保方氏 年間研究費2千万円 笹井氏6億円

理化学研究所は研究費使途の全面開示を~小保方晴子氏(年間2千万円)と笹井芳樹氏(年間6億円)は研究費を何に使ったのか?

理化学研究所は小保方晴子氏が研究データを捏造したという判断を下しましたが、小保方晴子氏はそれを否定しています。小保方晴子氏の年間予算は2千万円、共同研究者である笹井芳樹氏の年間予算は6億円。STAP細胞研究不正の過程を明らかにするためには、小保方晴子氏や笹井芳樹氏ら他の共同研究者が研究費で何を購入していたのか、何に使っていたのか、その詳細を明らかにすることが絶対必要です。研究費の出所は国民が払っている税金なのですから、国民には真相を知る権利があり、理化学研究所には説明責任があります。

週刊誌で報道された理化学研究所の開示内容によれば、小保方晴子氏と笹井芳樹氏の11ヶ月間の出張回数は計55回で旅費総額が496万円にも上るそうです。情報開示の要請に対して詳細を「黒塗り」にしているようでは、公表すると問題が生ずるようなやましい使い方であったと疑われても仕方がないでしょう。「黒塗り」開示は、データ捏造にとどまらず研究費の不正使用まで疑わせるものであり、理研CDBの組織ぐるみの不正が危惧されます。その疑いを払拭するためには、理研CDBは全てを明らかにすべきです。そうでなければ、自浄作用のない理研CDBは一度解体すべきという意見への反論も全く説得力を持ちません。

【週刊文春】告発スクープ 小保方晴子さん笹井教授 年間6億円の研究費の使い道

「理研CDB解体」提言に理研CDB研究者が反論

理研CDBのグループディレクターの一人として理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の運営に関わる林茂生氏が神戸新聞の取材に答え、理研CDB解体論に反対する意見を述べました。

6月12日に公表された「研究不正再発防止のための提言書」では、STAP細胞論文捏造事件が起きた原因は理研CDBの構造的な問題であると断定されています。

STAP問題の背景には、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDBの組織としての構造的な欠陥があった

(1)このようにSTAP問題の背景には複合的な原因があるが、以上に見たとおり、これらの原因はCDBが許容し、その組織体制に由来するものでもあった。すなわち、小保方氏のRULへの採用過程においては、竹市センター長、西川副センター長(当時)、相澤副センター長(当時)を始めとする人事委員会メンバーはSTAP細胞の研究成果獲得を第一義とするあまり、客観的資料を基に本人の資質と研究内容を精査する通常の採用プロセスの手順を、悉く省略した。小保方氏がPIとして率いる研究ユニットは、国立大学法人大学院においては准教授クラスが運営する研究部門(講座)に匹敵するのであり、そのようなハイレベルの研究ユニットを運営するPIとしてのスタンダード域に達していない研究者を職権により杜撰なプロセスを以て採用した、竹市センター長をはじめとする理研CDBのトップ層の責任は極めて重いと言わざるをえない。またCDBの運営にあたるGD会議は、STAP研究の秘密保持を最優先とする方針を容認し、結果としてSTAP研究について多くの研究者による研究内容の評価の機会が失われた。さらに、CDBにおいてはデータの記録・管理の実行は研究者任せであり、CDBの組織全体としての取り組みはほとんどなかった。これらSTAP問題の背景にある原因は、いずれもCDBが許容し、その組織体制に由来するものでもあった。言い換えれば、研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDBの組織としての構造的な欠陥があり、これを背景にSTAP問題が生じた、と言わなければならない。

(2)このCDBのガバナンスについて、CDB報告書は次のとおり指摘している。
「CDBは2000年4月発足以来、竹市センター長の下、2013年3月末に2名の副センター長(GD)が退任するまで、2005年に1名のGDが交代した以外、同じGDメンバーで運営されてきた。・・・一方、この10年余の間に、運営主体を構成するメンバーは、それぞれが担当するマネージメント領域を牽引する立場となり、このことがCDBの運営における専門化、分業化をもたらし、同時に醸成された相互信頼意識が、「彼が言うことなら間違いない」、「彼に任せておけば安心」との無意識のお任せ、寄り掛かりをもたらし、又はその結果としての独善を拡大させてきた可能性がある」(CDB報告書16頁)。ほとんど同一のメンバーによる長期のガバナンスは、相互信頼意識を醸成するが、同時に馴れ合いを生む土壌となる。研究不正行為を誘発する、あるいは研究不正行為を抑止できない、CDBの構造的な欠陥の背景には、このようなCDBトップ層の馴れ合い関係によるガバナンスの問題があると指摘せねばならない。

研究不正再発防止のための提言書より一部転載)

参考

  1. 研究不正再発防止のための提言書 (研究不正再発防止のための改革委員会委員長 岸輝雄 平成26年6月12日)(理研ウェブサイト上のPDFリンク)
  2. 「解体提言は不当」理研再生研幹部研究員・林氏に聞く (神戸新聞2014/6/18 08:00):”…林氏は「組織運営への批判は率直に認めるが、組織全体が否定されるのは心外。誠実に科学に向き合う研究員や日本の将来のためにならない」と訴えた。…”
  3. 小保方氏の採用経緯、通常と違った 理研・林氏一問一答 (神戸新聞 2014/6/18 08:00):”…過去に不正があったかどうかや、積み上げてきた研究成果などの認識なしに、(再生研が)『不正を生む構造的欠陥があった』『解体すべき』と断言するのはさすがに不当ではないか。誠実に研究している研究者が大勢いる」…”

小保方晴子研究ユニットリーダーの研究室の冷凍庫から『ES細胞』が見つかる

小保方晴子研究ユニットリーダーが”STAP細胞”として若山教授に渡していたものは実はES細胞であったという疑惑を裏付ける事実が次々と明らかになっています。

NHKなどの報道によると、小保方研究室の冷凍庫からは「ES」とラベルされた容器が見つかり、その中の細胞の遺伝子を解析したところ、若山教授が保存していたSTAP幹細胞の遺伝子の特徴と一致するという調査結果が出ました。

また、日経サイエンスなどの報道にあるように、小保方氏らのNATURE論文に付随するデータとして公開されていたSTAP細胞の遺伝子データ内に、胎児のうちに死亡するはずの「トリソミー」を示す情報が含まれていることが指摘されました。胎児のうちに必ず死亡してしまうので、STAP細胞を作るときに使われたはずの「生まれてから1週間のマウス」は存在しえないことになります。「存在しないもの」からSTAP細胞を作ったという小保方氏の主張は、信憑性が全くないといわざるを得ません。

STAP細胞が存在する可能性を示す科学的証拠などもともと何もなかったというのに、それでもなおSTAP細胞の存在の可能性を検証しようとすることは、果たして科学的な態度と言えるのでしょうか?

参考

  1. STAP細胞 元細胞の由来 論文と矛盾 (日経サイエンス 号外 2014年6月11日):”理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダーが作ったSTAP細胞の一部が,論文に記したような新生児マウスの細胞から作った ものではないことが,理研の内部資料から明らかになった。小保方氏らが論文とともに公開した遺伝子データを新たな手法で解析したところ,STAP細胞に含 まれるほぼすべての細胞が,8番染色体が3本ある「トリソミー」であることが判明。マウスの場合,8番トリソミーは胎児のうちに死亡し,生まれることはな い。STAP細胞は新生児マウスから取って作ったのではなく,シャーレで培養された細胞だと考えられる。8番トリソミーは研究室で培養されているES細胞 (胚性幹細胞)の2 ~ 3割に見られるとの報告があり,この“STAP細胞” はES細胞だった可能性が高い。”
  2. STAP問題 冷凍庫に「ES」容器(NHK NEWSWEB 6月16日 19時51分):”…これについて日本分子生物学会の副理事長で九州大学の中山敬一教授は、「これまではSTAP細胞はあるという前提で話が進んでいたが、今回の分析結果は実際にはES細胞だった可能性を強く示している。こうしたデータが明らかになった以上、ミスでは説明がつかず、人為的な混入も考えられるので、小保方さんや笹井さんがみずから会見し、説明するのが科学者としての義務だ」と指摘しています。”
  3. STAP細胞:小保方研究室に「ES」と書かれた容器(毎日新聞 2014年06月16日 23時32分 最終更新 06月17日 05時29分) “「STAP細胞」の論文不正問題で、理化学研究所の関係者によると、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(CDB、神戸市)の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーの研究室の冷凍庫からラベルに「ES」と書かれた容器が見つかった。

竹市雅俊センター長らによる記者会見【2014/6/12】

【STAP細胞】9竹市雅俊センター長らによる記者会見【2014/6/12】

参考

  1. STAP細胞の論文問題で 独立行政法人 理化学研究所 は、小保方晴子研究ユニットリーダーが所属する理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)の竹市雅俊センター長らが12日に会見し、一連の経緯や問題点などを自己点検した検証結果を公表すると発表しました。再発防止のため見直すべき点などを盛り込んだ「提案書」の取りまとめに向けた作業を行う、外部の有識者でつくる改革委員会が終了次第、生中継でお届けいたします。

■18:30メド~ 改革委員会によるブリーフィング

【登壇者】
岸輝雄   委員長
間島進吾  委員長代理
市川家國  委員
塩見美喜子 委員
竹岡八重子 委員
中村征樹  委員

■20:00メド~ 竹市雅俊センター長らによる記者会見
【登壇者】
坪井裕  理化学研究所 理事
竹市雅俊 理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター長
鍋島陽一 CDB自己点検検証委員会 委員長

(http://live.nicovideo.jp/watch/lv182653123)

「勇気ある行動をとっている研究者が複数名いることは、理研にとって大きな救い」

理化学研究所の研究不正再発防止のための改革委員会は、2014年6月12日に「研究不正再発防止のための提言書」を理研理事長野依良治氏に提出し、その内容が公開されました。

「小保方さん所属組織”解体”を」理研の改革委員会(14/06/12)

日本を代表する研究機関である理研で起きた前代未聞の研究不正の解明にあたり、理研内で真相と科学的真実の解明のため勇気ある行動をとっている研究者が複 数名いることは、理研にとって大きな救いである。本委員会はかかる研究者の勇気に敬意を表すると共に、このような行動により不利益な扱いをされることがな いよう、理研に対し、強く求めるものである。

Nature論文は全て撤回される見通しとなったが、STAP問題が日本の科学研究の信頼性を傷つけている事実は消えることはない。日本の代表的な研究機 関である理研が、STAP問題を真摯に総括し再発防止策を実行することができるのか、国内外から注目されている。STAP問題のような研究不正をめぐる不 祥事は、科学者自らによって解明、解決されなくてはならない。(http://news.mynavi.jp/news/2014/06/12/526/)

参考

  1. 研究不正再発防止のための提言書 (独立行政法人理化学研究所 平成26年6月12日)(理研ウェブサイト内PDFリンク):”…また本委員会の聴取に対し、竹市センター長は、小保方氏の採用を決めた人事委員会のメンバーは、「同時に採用された他のPIに比べ、小保方氏は研究者としてのトレーニングが不足している」、と認識していたが、小保方氏自身の研究テーマに研究予算をつける必要等を考慮すると研究員ではなくRULとして採用する必要があった、と答えている。以上の経過から、理研CDBは、小保方氏の研究者としての資質と実績を評価して、というよりも、小保方氏のSTAP研究の成果が魅力的であり、小保方氏をRULに採用することにより、iPS細胞研究を凌駕する画期的な成果を獲得したいとの強い動機に導かれて小保方氏を採用した可能性がきわめて高い。…”
  2. CDB 自己点検の検証について (平成26 年6 月10 日 CDB 自己点検検証委員会) (理研ウェブサイト上のPDFリンク)
  3. 研究不正の再発防止にはCDB解体など抜本的な改革が必要 – 理研改革委員会 (マイナビニュース 2014/06/12):”…また、提言書では小保方氏の採用に信じがたい杜撰さがあったとしており、採用に加担した竹市センター長や西川副センター長(当時)、相澤副センター長(当時)などの理研 発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)のトップにも責任があるとするほか、理研本体の研究不正防止に対する認識不足やガバナンス体制の脆弱性、責任の所在が明らかになることを怖れての及び腰での取り組みなどを指摘しており、再発防止に向け、理研に対し、対象となる論文が取り下げられた場合であっても、個人および責任の明確化と相応の厳しい処分の実施、ならびにコンプライアンス担当理事と研究担当理事の交代、そしてCDBの解体ともし新たに発生・再生科学分野を含む新組織を立ち上げるのであれば、トップ人員を刷新し、理研のためではなく、日本全体の研究力強化に貢献できる体制の構築などを掲げている。…”
  4. 理研:改革委、再生研の解体提言…「関係者厳しい処分を」 (毎日新聞 最終更新 06月12日 22時09分):”…小保方氏には「研究者としての資質に重大な疑義がある」として「極めて厳しい処分」を求め、CDBの竹市雅俊・センター長、共著者の笹井芳樹・副センター長ら幹部の処分と交代を盛り込んだ。…”
  5. 竹市・笹井氏ら4人の辞任求める 理研改革委(日本経済新聞 2014/6/12 19:58):”…再生医療の中核拠点である理研発生・再生科学総合研究センター(神戸市、CDB)を早急に解体するとともに、竹市雅俊センター長、笹井芳樹副センター長ら上層部4人の辞任を求めた。…”
  6. 「小保方氏の採用過程、信じがたい杜撰さ」 理研改革委 (朝日新聞DIGITAL 2014年6月12日21時27分):”…通常実施する英語による公開、非公開のセミナーをせず、推薦状もない状態だったのに採用を決めるなど、「にわかには信じがたい杜撰(ずさん)さ」と批判した。…”

改革委員会が理研理事全員の交代を求める

報道によれば、研究不正再発防止のための改革委員会が理化学研究所の理事の入れ替えを求める内容を盛り込んだ報告書を来週にも公表するそうです。STAP細胞論文不正事件の真相究明は、日本のサイエンスの信頼を取り戻すためには不可欠です。理化学研究所の運営には、自分自身の保身や組織の防衛でなく、日本の科学研究の将来を本当に考えられる人が望まれます。

理事長 野依 良治 (就任年月日 2003年10月1日)
主要経歴
1963年4月     京都大学採用
1968年2月     名古屋大学理学部助教授
1972年8月     同大学理学部教授
1997年1月     同大学大学院理学研究科長・理学部長(併任)
2002年4月     同大学高等研究院長(併任)

理事 川合 眞紀 (就任年月日2010年4月1日)
主要経歴
1985年5月     理化学研究所採用
1991年5月     同研究所表面化学研究室主任研究員
2004年3月     東京大学大学院新領域創成科学研究科教授
独立行政法人理化学研究所表面化学研究室招聘主任研究員(非常勤)
2009年4月     独立行政法人理化学研究所基幹研究所副所長(非常勤)

理事 古屋 輝夫 (就任年月日2009年4月1日)
主要経歴
1979年4月     理化学研究所採用
2006年2月     独立行政法人理化学研究所横浜研究所研究推進部長
2008年7月     同総務部長

理事 大江田 憲治 (就任年月日 2011年4月1日)
主要経歴
1980年4月     日本学術振興会奨励研究員
1982年4月     住友化学工業(株)採用
2002年7月     住友化学工業(株)生物環境科学研究所
分子生物グループ・グループマネージャー
2007年1月     内閣府 大臣官房審議官(科学技術政策担当)
2010年4月     住友化学(株)フェロー

理事 坪井 裕 (就任年月日 2012年9月19日)
主要経歴
1982年4月     科学技術庁採用
2000年6月     科学技術庁原子力局核燃料課長
2008年8月     文部科学省研究開発局開発企画課長
2009年7月     文部科学省大臣官房政策課長
2010年7月     経済産業省大臣官房審議官(地域経済担当)
2012年9月     退職(役員出向)

理事 米倉 実 (就任年月日2013年4月1日)
主要経歴
1981年4月     科学技術庁採用
2004年1月     文部科学省研究振興局基礎基盤研究課長
2006年7月     独立行政法人理化学研究所経営企画部長
2009年7月     経済産業省大臣官房審議官(地域経済担当)
2010年7月     独立行政法人宇宙航空研究開発機構執行役
2012年1月     筑波大学理事・副学長
2013年3月     退職(役員出向)
http://www.riken.jp/about/executive/

 

研究不正再発防止のための改革委員会 (平成26 年4 月10 日現在)
市川 家國 信州大学医学部 特任教授
岸 輝雄 新構造材料技術研究組合 理事長
塩見 美喜子 東京大学大学院理学系研究科 教授
竹岡 八重子 光和総合法律事務所 弁護士
中村 征樹 大阪大学全学教育推進機構 准教授
間島 進吾 中央大学商学部 教授、公認会計士
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/topics/2014/20140410_2/140410_1.pdf

参考

  1. 理研の全理事に交代要求へ 改革委「自浄作用が不十分」 野依氏は除く (産経ニュース 2014.6.6 10:00)新型万能細胞とされる「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で、外部有識者でつくる理化学研究所の改革委員会が、理研の理事全員の交代を求める方針を固めたことが5日、分かった。来週にも公表する報告書に盛り込む。トップの野依良治理事長(75)の交代は求めず、同氏に理事5人の最適な配置を求める。

STAP細胞NATUREレター論文のメインデータも捏造か

小保方晴子理化学研究所研究ユニットリーダーが筆頭著者になっている2報のSTAP細胞NATURE論文のうちアーティクルの方の論文ではデータ捏造・改竄の研究不正が理研調査委員会により認定されていましたしかし、もう一つのレターの論文でも実は不正の事実があることを示す報告書を、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの検証チームがまとめていました。

それによるとSTAP細胞を利用して作製したマウス胎児の写真と、胚性幹細胞(ES細胞)を利用して作製したマウス胎児の写真が、実は同一個体の別カットの写真だったそうです。

STAP 不正認定以外にも複数の疑義 2014年5月21日

NHKの取材に答えて日本分子生物学会の副理事長の九州大学中山敬一教授は、

再発防止のためには、今後、速やかに調査を行い、すべてを 公表することが欠かせない。理化学研究所が、こうした疑義を把握していながら公表せず、正式な調査も行わなかったのだとすると大きな問題だ。

とコメントしています。

参考

  1. STAP 不正認定以外にも複数の疑義(NHK NEWSWEB 5月21日 20時05分):NHKが取材したところ調査委員会が認定した2つの不正以外にも論文の複数の画像やグラフに疑義があるとする調査内容の文書を小保方リーダーが所属する神戸市の理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの検証チームがまとめていたことが分かりました。それによりますと、STAP細胞が万能性を持つ証拠として2種類の異なる細胞から作ったとしていた2枚の光るマウスの写真が実際には、2枚とも同じ種類の細胞を使って出来たマウスの写真だったとしています。また、STAP細胞の万能性を示すものとして異なる種類のマウスで撮影していたという2枚の写真が実際には、1匹のマウスの写真だったとしています。
  2. STAP問題:不正認定以外の画像2件に疑義(毎日新聞 2014年05月21日):それぞれの画像の元データなどを調べたところ、胚性幹細胞(ES細胞)を使った実験結果として掲載された画像は、実際はSTAP細胞を使ったとされる実験の画像だった。
  3. STAP細胞の論文に新たな画像の誤り(ニッカンスポーツ2014年5月21日22時21分):理化学研究所は21日、STAP細胞の論文に新たな画像の誤りが見つかったことを明らかにした。別の実験結果を示す2匹のマウスとした写真が、同じマウスの別カット写真だったとしている。

ダンゴムシの交替制転向反応に触覚が関与

日本の高校生が、ダンゴムシで交替制転向反応が生ずるメカニズムに触覚が関与していることを実証する研究報告により2014年インテル国際学生科学技術フェアに入賞しました。

ダンゴムシは壁にぶつかっったときに右に曲がると、その次にまた壁にぶつかったら場合今度は左に曲がり、以降右、左、交互に曲がる傾向があり、「交替制転向反応」と呼ばれています。

【YOUTUBE動画】ダンゴムシは壁にぶつかり右に曲がると次は左に曲がる習性がある。トリビアの泉

 

参考

  1. 米の国際学生科学技術フェア、日本の高校生2人が入賞(朝日新聞DIGITAL 2014年5月17日22時31分):世界の高校生が科学研究の成果を競うインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)が米ロサンゼルスで開かれた。最終日の17日、表彰式があり、富山県立高岡高3年の林靖人(やすひと)さん(17)が動物科学部門の2等、宮城県仙台第二高3年の山中美慧(みえ)さん(17)がエネルギー・運輸部門の2等にそれぞれ選ばれた。
  2. Intel ISEF 2014 ファイナリスト研修会:Intel ISEF 2014 への出場に備え、3月27日から 3月30日までの 4 日間、国際的な舞台で勝ち抜くための論理構築やコミュニケーション力、プレゼンテーション技術の向上を図るためのファイナリスト研修会がインテル株式会社つくばオフィスと東京オフィスにて開催されました。
  3. オカダンゴムシの交替性転向反応はなぜ起こるのか? 林 靖人(富山県立髙岡高等学校2年) (つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2013) 12)(PDF リンク):本研究では、交替性転向反応が障害物と接触する触角の方向性によって最終的に決定されているという仮説をたて、これを検証した。ダンゴムシは最初の転向後、BALMによって曲がった向きと反対側へ傾くように進み、次の分岐点では、接触した触角とは逆方向に転向する。これによって結果的に交替性転向反応を示すと考えられる。
  4. 知の回廊 第56回『ダンゴムシから進化を読む』 ダンゴムシから進化を読む 陸棲等脚類はなぜ集合するのか (中央大学 YOUTUBE動画):節足動物 甲殻類 等脚目 ワラジムシ亜目 フナムシ ワラジムシ ダンゴムシ オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare) クチクラ バソトシン バソプレッシン アンギオテンシンII 抗利尿ホルモン 水分摂取
  5. ダンゴムシ迷路・娘の自由研究用(YOUTUBE動画 BGMあり)
  6. ダンゴムシの迷路
  7. ダンゴムシの意思決定 Decision-making in pill bugs The 27th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2013 (PDF link):ダンゴムシの交替性転向反応は,BALM 以外にも走触性(Hughes, 1989)や記憶(Kupfermann, 1966)など,複数の機構が並列的に作用して実現されている可能性が高く(右田・森山, 2005),これらを統合して転向方向を選択する意思決定機構の存在が予想される.著者らは,ダンゴムシ個体にT字路を連続して遭遇させた実験(Moriyama, 1999)でしばしば観察された,転向方向の変更(図1)は,ダンゴムシの意思決定が顕著に反映された現象なのではないかと考えている.転向方向の変更は,個体がT字路において転向した後,次のT字路へ達するまでに停止し,後進で直前のT字路へ引き返し,前回の転向とは逆の方向へ転向することで達成される(図1).後進を含むこの一連の行動はBLAMでは説明できないため,転向方向の変更は別の機構の働きによって現れると考えられる.
  8. 川合隆嗣 無脊椎動物における交替性転向反応研究の展開と問題点について  動物心理学研究 第61巻第1号 83-93 (2011)(PDFリンク):交替性転向反応(turn alternation)と呼ばれる現象がある。これは,連続する分岐点において,動物がある方向に曲がると,その次の分岐点では前とは逆の方向に高確率で曲がる傾向を指す。…この傾向は,微生物から昆虫に至るまで幅広い無脊椎動物の間で観察することができ,1950年代から数多くの実験がなされている。…しかしながら,交替性転向反応のメカニズムや制御変数に関する統一的な見解は未だに得られていない。…脚を持たない無脊椎動物におけるメカニズムまで説明できる一般性の高い仮説は,現在のところない
  9. オカダンゴムシの交替性転向反応 : 通路長・転向方向・転向回数の効果(PDFリンク 関西学院大学リポジトリ 人文論究, 60(3): 113-125 2010-12-10):少なくともワラジムシ目の動物において現在最も有力な仮説とされているのは,Hughes(1985)のBALM(bilaterally asymmetrical leg movements)仮説である。この仮説では,反応が交替性に現れる原因を,左右の脚の運動量差を均一にするメカニズムが生体に働くためであるとしている。例えば,ある分岐点で右に曲がると左脚を多く使用することになる。すると次には,左右の脚の運動量を均衡にしようと右脚が活動性を上げる。すなわち,左に曲がるということになる。
  10. オカダンゴムシの交替性転向反応とその逃避行動としての意味(日本応用動物昆虫学会誌 50(4), 325-330, 2006-11-25)(PDFオープンアクセスリンク):オカダンゴムシは交替性転向反応を示すことが知られている.この反応の機構として,左右の脚にかかる負荷を均等にするというBALM仮説が知られている.
  11. R. N. HUGHES. Mechanisms for turn alternation in woodlice (Poreellio Beaber): The role of bilaterally asymmetrical leg movements. Animal Learning & Behavior.1985, 13 (3), 253-260 (PDFリンク):Along with results of the other experiments, this result in particular supported an explanation for woodlouse alternation based on bilaterally asymmetrical leg movements (BALM)arising from the negotiation of forced turns. Such asymmetry is seen as biasing an animal to turn in the opposite direction to a preceding forced turn.
  12. R. N. HUGHES. TURN ALTERNATION IN WOODLICE (PORCELLIO SCABER). Anim. Behav ., 1967, 15, 282-286 (PDFリンク):As the persistence of the tendency seems to depend on time, it might be rewarding to seek a neural controlling mechanism involving the establishment of a short-term memory trace somewhere in the central nervous system (as suggested by Kuferman, 1966), or else, at a more peripherallevel, greater inhibition of neural components of the limbs adjacent to the outer wall of a maze turn i.e. the limbs that have to `walk further’ .

DNA電気泳動写真のレーンの切り貼りの是非

小保方氏のSTAP論文問題は日本の生命科学研究者全体を巻き込む大騒動に発展していますが、DNAの電気泳動写真の切り貼りはどこまでなら許されるのでしょうか?雑誌の投稿規程に具体的にやってはいけないことが記述されている場合があります。

例えばMolecular Biology of the Cellの投稿規程には、

Authors may delete or crop irrelevant parts of a gel image (such as blank lanes) but should explicitly describe such manipulations in the figure legend and should add lines to the image to show where sections have been deleted. (http://www.molbiolcell.org/site/misc/ifora.xhtml)

とあり、空白のレーンなど不要な部分を除去することは構わないがその場合は除いた部分がわかるように線を引くこと、また図の説明文中にその旨をはっきりと記述することを要求しています。

Molecular Cell誌でも、

Groupings and consolidation of data (e.g., cropping of images or removal of lanes from gels and blots) must be made apparent and should be explicitly indicated in the appropriate figure legends. (http://www.cell.com/molecular-cell/authors)

 ゲルの写真でレーンを除いたりする場合には行なわれた操作が明瞭にわかるようにし、かつ、図の説明文で説明せよとあります。

Neuropsychopharmacology誌はもう少し具体的で、

Vertically sliced gels that juxtapose lanes that were not contiguous in the experiment must have a clear separation or a black line delineating the boundary between the gels. (http://www.nature.com/npp/author_instructions.html)

実験では隣接していなかったレーンを切り貼りにより並べる場合には、隙間を入れるかまたは黒い線でゲルの境界に線を入れるように求めています。

これらの規程からすると、論文には必要の無いサンプルも電気泳動してしまったためそのレーンを除いて図を作るということは、そのことを明示すれば問題ないようです。だったらレーンを並べ替えてしまってもいいのかとなると、そこまで細かい規程は見当たらずグレーゾーンに突入しているかもしれません。では同一のゲルではなく2枚のゲルのレーンを並べてもいいのかとなるとさらに疑問が膨らみます。しかし2枚のゲルの写真から一つの図を作ることが絶対にダメともいえないようで、

Molecular Pharmacology誌の投稿規程を読むと、

The groupings of images from different parts of the same gel, or from different gels, fields, or exposures must be made explicit by the arrangement of the figure (e.g., using dividing lines or ensuring white space separates lanes from different gels) and in the text of the figure legend. (http://molpharm.aspetjournals.org/site/misc/ifora.xhtml)

異なるゲルであってもレーンの間にちゃんと線を入れれば良いという記述があります。しかしさすがに移動度が極端に異なる2枚のゲルの一方を拡大・縮小して非科学的な操作により自分が合わせたいバンドの位置を合わせて並べるという行為まで許容しているとは考えにくいでしょう。

明示せずレーンを入れ替える切り貼りも、拡大縮小をデタラメに行なって2枚のゲルを張り合わせる切り貼りも、どちらもやってはいけないことです。日本のトップの研究者たちが出した論文の中で普通に「切り貼り」が行われていたという事実は驚くべきことですが、前述の2つでは悪質さの程度全く異なるため、「切り貼り」と言う言葉で両者を同列に並べるような報道姿勢は誤解を招き好ましくありません。

 

 

 

 

小保方氏らがNATURE誌に発表した酸処理による方法ではSTAP細胞作製は再現されず~香港の研究者が論文発表

小保方氏らによりNATURE誌に発表されたSTAP細胞作製ですが、その再現に取り組んできた香港中文大学の李嘉豪(Kenneth Ka Ho Lee)教授は、小保方氏らが発表した方法ではSTAP細胞は作れなかったという論文を発表しました。

Mei Kuen Tang, Lok Man Lo, Wen Ting Shi, Yao Yao, Henry Siu Sum Lee, Kenneth Ka Ho Lee. Transient acid treatment cannot induce neonatal somatic cells to become pluripotent stem cells. F1000Research 2014, 3:102 (doi: 10.12688/f1000research.4382)

 

STAP論文問題をずっと取り上げててきたカリフォルニア大学医学部デービス校の幹細胞研究者ポール・ノフラー博士は、この論文はNATURE編集部が撤回するのが当然だという意見を自身のブログで表明しています。

I believe it is really only a question of when, not if, Nature will editorially retract them.(http://www.ipscell.com/2014/05/perspectives-on-lee-lab-f1000-paper-that-stap-cell-method-does-not-work/

NATURE誌もネイチャーブログやネイチャーニュースで理研の対応などSTAP問題の状況を逐次伝えてきており、編集部がこの問題を深刻に受け止めていることが窺えます。

2014年5月8日 Misconduct verdict stands for Japanese stem-cell researcher
2014年4月25日 Investigator of controversial stem-cell study resigns
2014年4月9日 Acid-bath stem-cell scientist apologizes and appeals
2014年4月1日 Stem-cell scientist found guilty of misconduct
2014年3月10日 Call for acid-bath stem-cell paper to be retracted

参考

  1. STAP細胞論文、Nature編集部が“強制撤回”も 「結論近い」 (1/2)(ITMEDIA 2014年05月12日):STAP細胞の論文を掲載した英科学誌ネイチャーは9日、理化学研究所が不正と確定させた調査結果に関して「独自に評価を進めており、結論に達しつつある。何らかの対応をしたい」と表明し、編集部の判断で論文を撤回することも含め、近く対応を決める可能性を示唆した。

小保方氏側が要求した再調査をしない 理化学研究所が決定

STAP論文捏造疑惑に関して小保方晴子氏の研究不正を理化学研究所の調査委員会が認定したことに対して、小保方氏の弁護団は再調査を求める申し立てを行なっていました。弁護士らは追加資料を4日付で提出したことを明らかにしていましたが、理化学研究所は再調査をしないという決定を下しました。

【STAP細胞】6再調査せず 調査委員会による記者会見 前半【2014/5/8】

【STAP細胞】7再調査せず 理化学研究所による記者会見 後半【2014/5/8】

理研の審査結果を説明する文書では、小保方氏らの申し立てに対して項目ごとに丁寧に反証を示しています。

STAP細胞論文のデータは不可解なことだらけですが、その中でもデータ捏造を決定的なものにしたのは、テラトーマ作製の図が博士論文の異なる実験結果からの流用だったという事実の発覚でした。これに関して小保方氏は画像を取り違えてしまっただけで正しい画像がある(調査書中の「画像B」)と主張していました。そこで、画像Bが真正なものかどうかが争点になるわけですが、この理研調査委員会の審査結果を読むと実験条件に関する記載が実験ノート中に全くないため、正しい実験をしたという小保方氏の主張には何の根拠もないことがわかります。

ウ 画像B の存在について
(ア)画像B について、不服申立て者は、補充書(1)において、実験ノートの75 ページ
の記述をもとに、正しいと主張する画像B の元となるテラトーマが2012 年1 月24 日に取
り出されたなどとする。
(イ)しかしながら、75 ページには日付がなく、近傍のページで日付があるのは、73 ペー
ジ(「6/28」)、76 ページ(「2/29」もしくは「2/19」(いずれか判読不能))、81 ページ(「10
月」)のみである(いずれも年の記載なし)。このように、75 ページに記載されている実験
が2012 年1 月24 日に行われたことを確認できない。また、75 ページには、このテラトー
マがどのような細胞と方法を用いて作製されたかについては記載されていない。
(ウ)不服申立て者は、実験ノートの117 ページの記述をもとに、正しいと主張する画像B
が2012 年6 月9 日に撮影された、としている(補充書(1)「第3、3」及び同「第3、
4」等)。しかし117 ページには日付がなく、「染色(Differentiation assay)(ES コロニー)」
と記載されているだけで、これがどのようなサンプルを、どのような抗体を用いて染色さ
れたのかについては記載されていない。(http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140508_1/

参考

  1. 研究論文の疑義に関する調査委員会による調査結果に対する不服申立ての審査結果について (独立行政法人理化学研究所 2014年5月8日)
  2. STAP論文 調査委と理研の会見一問一答 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月09日 03時41分):理化学研究所の調査委員会と理研が8日、東京都内で開いた記者会見の主なやりとりは以下の通り。…理研が現在行っている検証実験で、STAP細胞の存在が確認された場合には、今回の判断は変わるのか。 「調査委の判断は、STAP細胞の有無とは関係ない。ネイチャーに投稿した論文に改ざんと捏造(ねつぞう)があったということだ」…
  3. STAP論文、再調査せず 小保方氏の不正確定へ (東京新聞2014年5月7日 19時46分):新たな万能細胞とされたSTAP細胞の論文問題で、理化学研究所の調査委員会が小保方晴子氏側の不服申し立てを退け、再調査しないとの結論をまとめたことが7日、分かった。
  4. STAP論文:理研委、再調査せず 不正確定へ (毎日新聞 2014年05月07日 20時01分、最終更新 05月07日 20時50分);新たな万能細胞とされる「STAP細胞」の論文不正問題を巡り、理化学研究所の調査委員会(委員長・渡部惇弁護士)は7日、筆頭著者の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が求めていた再調査をしない方針を決めた。
  5. 小保方氏の異議退ける…理研調査委、再調査せず (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月07日 14時30分):STAP(スタップ)細胞の論文問題で、理化学研究所の調査委員会は6日の会合で、研究不正があったとの認定は不当とする小保方晴子ユニットリーダーの不服申し立てを退け、再調査しないとの結論をまとめた。
  6. STAP問題 理研調査委 再調査せずと結論 (NHK NEWSWEB 5月7日 14時16分):STAP細胞を巡る問題で理化学研究所の調査委員会は、ねつ造などの不正はなかったとする小保方晴子研究ユニットリーダーの不服申し立てを退け、再調査は行わないとする結論をまとめました。

メスにペニス、オスに膣、 北大研究者が発見

メスにペニス、オスに膣、 セックスでのオスメスの役割が逆になっている例を北海道大学の研究者が世界で初めて発見

オスは積極的に多数のメスと交尾しようとし、メスは受け入れるオスを選ぶというのが交尾行動における一般的なオスメスの役割だと考えられます。メスが積極的に多数のオスを相手にする(promiscuous)、オスメスの性行動での役割がひっくり返った生き物はこれまでにいくつか知られていましたが、外部生殖器の構造まで逆になっている例はありませんでした。ところがブラジルの洞窟に棲むある昆虫の種では、メスにペニス、オスに膣があり、交尾行動に入ると40~70時間もの間メスがオスをがっちりつかんで離さないという、いわばオスメスの役割におけるSWAP現象が発見されました。

Neotrogla_curvata_annotated(交尾の体勢もオスメスが通常の昆虫とは逆でメスがオスに乗りかかっています。写真:北海道大学プレスリリースより)

論文のタイトルは、Female Penis, Male Vagina, and Their Correlated Evolution in a Cave Insect
(洞窟棲昆虫の「雌の陰茎」と「雄の膣」の間に見られた共進化)。

この昆虫は2010年に新種として発見されたもので、その後生殖器の構造と性行動を詳細に解析した結果、今回の発見につながりました。

カレントバイオロジーを発行しているセルプレス社では、論文が世間に与えたインパクトを測る指標Article level metricsのスコアを論文ごとに表示しています。それによると今回の論文のインパクトはカレントバイオロジーで発表されこの計測の対象となった論文3,157報の中で、堂々の1位。他の雑誌も含めてスコアを計測した209万798報の論文の中でも46位という非常に高い順位です。メスにペニスというのが衝撃的で、世界中のニュースサイト、ブログ、ツイッターで取り上げられ、非常に大きなインパクトを与えたことがわかります(リンク:この論文のArticle level metrics)。

参考

  1. Kazunori Yoshizawa, Rodrigo L. Ferreira, Yoshitaka Kamimura, Charles Lienhard. Female Penis, Male Vagina, and Their Correlated Evolution in a Cave Insect. Current Biology. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.03.022:
  2. 交尾器が雌雄で逆転した昆虫の発見-雌がペニスを持つ洞窟棲チャタテムシ-(北海道大学プレスリリース 2014/4/18)
  3. 吉澤和徳の研究室:準新翅類(半翅系昆虫)の系統と進化に関する研究。News 雌がペニスを持ち,それを使って交尾中雄を拘束する昆虫に関する論文がでました.
  4. Female insect uses spiky penis to take charge – Brazilian cave creatures’s marathon sex sessions extract nourishment along with sperm from reluctant male (Nature News 17 April 2014)
  5. In sex-reversed cave insects, females have the penises (ScienceDaily April 17, 2014): “Although sex-role reversal has been identified in several different animals, Neotrogla is the only example in which the intromittent organ is also reversed,” says Kazunori Yoshizawa from Hokkaido University in Japan.
  6. Lienhard, C., Do Carmo, T.O., and Ferreira, R.L. A new genus of Sensitibillini from Brazilian caves (Psocodea: ‘Psocoptera’: Prionoglarididae). Rev. Suisse Zool.. 2010; 117: 611–635
  7. In weird Brazilian cave insects, male-female sex organs reversed (Reuters  Thu Apr 17, 2014 12:09pm EDT): “Evolution of novelties like a female penis is exceptionally rare. That’s why I was really surprised to see the structure,” entomologist Kazunori Yoshizawa of Japan’s Hokkaido University said by email. Yoshizawa said that although sex-role reversal has been documented in several different types of animals, these insects are the sole example in which the “intromittent organ” – the male sex organ – is reversed, Yoshizawa said.
  8. 男女逆転…メスがオスに交尾器挿入する昆虫発見 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月04日 17時44分):北海道大の吉沢和徳准教授(昆虫形態学)らの研究チームは、メスがオスの体に交尾器を挿入して交尾する昆虫を、ブラジルの洞窟で発見したと、米学術誌「カレント・バイオロジー」で発表した。

 

イグ・ノーベル賞受賞報道記事

  1. イグ・ノーベル賞 雌雄逆の昆虫発見 日本人研究者に生物学賞 (NHK NEWS WEB 9月15日 11時15分) ノーベル賞のパロディーとしてユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式がアメリカのハーバード大学で行われ、メスにオスのような生殖器がある昆虫を発見した北海道大学などの研究者が「生物学賞」に選ばれ、日本人の受賞は11年連続となりました。
  2. 雄と雌「逆転」の虫を研究、日本人らにイグ・ノーベル賞 (朝日新聞DIGITAL 森本未紀、小堀龍之 2017年9月15日08時06分) 受賞したのは吉澤和徳・北海道大准教授(46)、上村佳孝・慶応大准教授(40)、海外の研究者のチーム。ブラジルの洞窟で見つかった新種の虫の雌が「ペニス」のような器官を持ち、それを使って雄と交尾することを解明した。性差とは何かを考えさせるとして、研究が評価された。
  3. メスが「男性器」持つ虫発見…イグ・ノーベル賞(読売新聞YOUMIURI ONLINE 2017年09月15日 22時06分)受賞したのは、北海道大の吉澤和徳准教授(46)(昆虫学)、慶応大の上村佳孝准教授(40)(進化生物学)らで、ブラジルの洞窟にすむシラミに近いチャタテムシという昆虫の仲間は、メスが交尾器をオスに挿入することを発見した。
  4. イグ・ノーベル賞 交尾器「雌雄逆転」の昆虫、日本人発見 (毎日新聞2017年9月15日 13時10分 最終更新 9月15日 14時06分) ユニークな科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が14日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で開かれた。ブラジルの洞窟に生息する昆虫の雌に、雄のような形状の交尾器(性器)があることを発見した吉澤和徳北海道大准教授(46)や上村佳孝慶大准教授(40)ら4人が生物学賞を共同受賞した。

理研が過去の全論文(2万報超)を自主点検

理化学研究所研究員2800余名が関わる過去の全論文(2万報超)にデータ捏造、改竄、盗用などの不正行為がないか自主点検

STAP細胞NATURE論文の捏造問題の処理にあたっている理研の調査委員会の調査委員長や調査委員らの過去の論文にデータ捏造、改竄の疑義が唱えられるという異常な事態になっていますが、理研の研究者は自分の過去の論文の粗探しをされることを恐れて、STAP細胞問題に関わることに尻込みしてしまっているようです。

ジャパンタイムズの記事によると、理化学研究所の元研究者トーマス・クヌッフェル(Thomas Knopfel)氏は、理研在職中に研究不正を問題にしようとしたらむしろ激しいハラスメントに会い、理研で研究を続けることが不可能になったと述べ、研究不正に関して非常に甘い理研の隠蔽体質を強く批判しています。

理研の野依良治理事長は石井俊輔氏がSTAP細胞論文調査委員会の委員長を辞任するという事態を受け、4月25日に理研の研究リーダーらに対して、画像の切り貼りや盗用などの不正がないかを自主的に点検するよう文書で指示していたことが明らかになりました。

参考

  1. 理研、論文の自主点検指示=対象研究者2800人余(時事ドットコム 2014/05/04-14:37):理研では年間約2500本の論文を出しているが、指示文書では、どの時点までさかのぼって点検するかは明示していない。
  2. 理研 全研究者に論文の自主点検指示 (NHK NEWSWEB 5月4日 11時28分):理化学研究所は少なくともこの10年の間に書かれた論文を対象とする方針で、この間の論文の数は2万を超えるとみられるということです。
  3. 小保方氏側「調査委の信用なくなった」と不信感(読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月04日 13時25分):「STAP細胞の問題に関わると、自分の研究にも厳しい目が向けられると思うようだ」。理研のある幹部は、読売新聞の取材に対し、委員の論文の確認作業が思うように進んでいないことを認めた。
  4. STAP問題で理研、全研究者の論文を自主点検 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月04日 13時25分):STAP(スタップ)細胞の論文問題を受け、理化学研究所が、理研のすべての現職研究者約3000人がかかわる論文について自主点検していることが3日、わかった。
  5. ‘STAPgate’ shows Japan must get back to basics in science – Misconduct, and covering it up, common in nation’s labs (The Japan Times Apr 20, 2014):(Thomas Knopfel) “I personally had been severely harassed (and finally found unsuitable to continue my work at Riken) because I was not willing to tolerate events that in my word constitute ‘research misconduct.’ ”
  6. ドイツ人教授「理研は“STAP”以前も改ざんあった」(テレ朝NEWS 04/17 19:01):理化学研究所の元研究者、トーマス・クヌッフェル氏:「(Q.論文の盗用など見たことがあるか?)ええ、見たことがあります。私は、それについて批判しま したが、うまくいかなかった。批判に対する前向きな反応はなく、逆に私の立場が危うくなりました。それは、理化学研究所で育まれた一種の『文化』だと思い ます」【クヌッフェル教授のインタビュー動画】