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理研CDBのPIらが声明を発表

疑惑のSTAP細胞のNATURE論文を発表した小保方博士らは理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の所属ですが、理研CDBへの信頼が著しく損なわれてしまった現在の状況を憂慮した他のPI(Principal investigators;研究室主宰者)らが声明を発表しました。

2014年3月14日
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターの研究室主宰者による声明
今回 Nature誌に掲載されたSTAP論文に関連して生じている様々な問題に対し、下記に名を連ねる者は、同じ理研CDBの研究室主宰者として大変深刻に受 け止め、憂慮しております。わたしたちは同じ研究者として科学の公正性を回復、担保するためのあらゆる努力を払う所存です。また、理化学研究所における研 究活動が社会の信頼無くしては成り立たないことを十分に自覚しております。我々は、社会及び研究者コミュニティーに対して最大限誠実な行動を取ることをお 約束すると共に、高い規範の下に研究活動に励み、その成果を社会に還元すべく不断の努力を続けることをここに表明いたします。
戎家美紀
永樂元次
榎本秀樹
藤原裕展
古田泰秀
花嶋かりな
平谷伊智朗
今井猛
猪股秀彦
北島智也
清成寛
清末優子
倉永英里奈
Raj Ladher
森本充
森下喜弘
西村隆史
Guojun Sheng
柴田達夫
高橋政代
上田泰己
Yu-Chiun Wang

http://www.cdb.riken.jp/jp/index_stap_140314.html

理化学研究所がSTAP論文不正疑惑に関する中間報告「調査継続中」【4時間全録動画】

理化学研究所がSTAP論文不正疑惑に関する中間報告の記者会見を2014年3月14日に行いました。各新聞社の記者や他のメディアの記者らが次々と質問をし5人がそれに答える形で会見が進み、結局4時間を越える長い会見となりました。

会見を行ったのは、

野依良治 理化学研究所理事長(ウィキペディア
川合眞紀 理化学研究所理事(研究担当)(研究室ウェブサイト
米倉 実 理事 理化学研究所コンプライアンス担当(ウェブサイト
竹市雅俊 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB) センター長(研究室ウェブサイト
石井俊輔 調査委員会委員長(理化学研究所上席研究員)(研究室ウェブサイト

の5人です。

竹市理研CDBセンター長も野依理事長も今回の論文発表の不適切さに関しては、あり得ないことだと断じており、厳しい態度でこの問題に臨んでいることが伝 わって来ま した。また石井調査委員長は記者らのどんな質問にも丁寧かつ明快によどみなく答えていただけでなく、サイエンティストとし ての本音が感じられるような手厳しい見方も時折示していました。

石井俊輔調査委員会委員長が質疑応答のときに何回も繰り返していましたが、この調査委員会のミッションはSTAP細胞の真偽を科学的に立証することではなく、あくまでも今回の論文発表に関して不正行為が存在したかどうかを調査することだそうです。結局のところ、不正行為があったかどうかはまだ調査中であり結論は持ち越されました。

NATURE論文のデータは疑惑が噴出しすぎていて、どのデータはまだ正しいと考えて良いのかが混沌としていますが、今回の記者会見での野依理事の発言にもあったように、いまでもSTAP細胞の存在を信じているというのが理研の立場のようです。STAP細胞作製の再現性・追試を行っている研究者は誰なのかという質問には竹市センター長が、理研CDBの丹羽博士が行っていると答えました。

博士論文で使用した画像をNATUREの論文でも使いまわした点は意図的な捏造の有力な証拠の一つと考えられます。この中間報告で記者から「そういうことがありえるのか?」と質問されたのに対して、石井調査委員長は「かなりレア。」という表現をするに留め、調査継続中であると答えました。

川合理事は不正を立証するのは調査委員会の仕事という主旨の発言をしていましたが、むしろ、不正がなかったことを立証する責任が著者らにあるとすべきでしょう。

今回の中間報告では2つのNATURE論文で指摘されている6つの疑問点のうち2つに関しては悪意のある不正とはいえないという結論を出しており、残る4点に関しては悪意のある不正だったかどうかに関してはまだ結論が出ていない(「調査継続中」)と表現しています。

この中間報告で明らかになった一番の問題点は、調査のあり方そのものでした。例えば一つめのNATURE論文の図1で緑色に光ってきた細胞の形が不自然ということに関しては、「従って、動画からこの図を作製する過程には改ざんの範疇にある不正行為はなかったと判断される。」(PDF)と結論付けました。なるほど一意委員長の説明には説得力があります。しかし、動画からのこの図を作製する過程には不正行為はなかったとしても、みんなが一番知りたいことは、この動画を撮る以前の過程、すなわちSTAP細胞を作製する実験そのものに不正がなかったのかどうかということです。その点に関する調査報告なしに、6つの疑問点のうちの1つは解消されましたというのは詐欺的な態度です。言っていることにウソはないが、もっと大きな真実を明らかにしようとしていないからです。

NATUREの論文で他人の論文の記述を相当量コピーアンドペーストしていたというのは事実なのですから、その一点に限っても理化学研究所が定義する「盗 用」そのものであり、「研究不正」と結論できるはずです。3月14日の中間報告でなぜそのような見解が示されなかったのか、首をかしげざるをえません。6 項目のうち不正が認められなかった2項目のみを「不正が見つからなかった」と中間報告したのは恣意的な感じがします。石井調査委員長がどれほどプロフェッショナルな仕事をしても結局のところ調査報告には中立性が全く保証されていないということです。

この中間報告を受けてメディアが出した記事の中には、

「2項目は不正なし」=重要画像は「酷似」—STAP細胞で中間報告・理研 (ウォール・ストリート・ジャーナル2014年 3月 14日 15:48 JST 更新)

STAP 細胞論文「研究不正にあたらず」「継続して調査」、理研が中間報告を Web で公開(アメーバニュース 2014年03月14日 18時00分 提供:japan.internet.com)

STAP細胞問題で理研、論文画像の指摘2点について「不正に当たらない」と判断 4点は継続調査(ITmediaニュース2014年03月14日 14時21分 更新)

といった見出しをつけたところがありました。一般の読者がこれらの見出しだけ読むと「不正無し」が全体の結論だったのかと誤解しそうです。このような記事タイトルがついてしまった一番の理由は、理化学研究所が「不正があった」と受けとられそうな表現を徹底的に排除した中間報告を行ったからでしょう。新聞記者たちは何とかしてそういった言葉を引き出そうと繰り返し質問していましたが、石井調査委員長は慎重に言葉を選んでいました。

結局のところ、理研が理研の不正を調査するという構図がそもそもおかしいという至極当たり前のことが確かめられた中間報告記者会見でした。理研の影響を一切受けない外部の研究者が調査すべきです。

FNNnewsCH(フジニュースネットワーク)
(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(1/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(2/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(3/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(4/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(5/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(6/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(7/7)

参考

  1. 理研の調査委員会の中間報告の問題点 (http://stapcells.blogspot.jp/2014/03/stap.html)
  2. STAP細胞 研究論文の疑義に関する調査中間報告 生中継 (番組ID:lv172387382)  ニコニコ生放送 2014/03/14(金) 開場:13:30 開演:14:00 この番組は2014/03/14(金) 18:08に終了いたしました。来場者数:155025人 コメント数:205642
  3. 研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査中間報告について(独立行政法人理化学研究所2014年3月14日):調査委員会調査中間報告書(全文)調査委員会調査中間報告書(スライド資料)
  4. 小保方氏「いけないと思わなかった」-4時間を超えたSTAP問題の中間報告会見(マイナビニュース2014/03/15):今回の会見は、200名弱の会議室に300名を超す報道陣が詰めかけ、席が無い場合、通路に直接座るという姿も見受けられた。また、出席した理研の担当者たちは、今回の問題を重く見ていたためか、ほとんどの報道陣からの質問に真摯に答えようという姿を見せており、最終的に4時間を超す会見となった。
  5. STAP細胞:理化学研究所の会見一問一答(毎日新聞2014年03月14日):Q 博士論文の画像の転用について小保方さんの説明は?【石井】だいぶ昔に、骨髄由来の血液細胞を使い、このような画像を得ていた。それを間違って使ってしまったという説明だ。Q そういうことはありえるのか。【石井】客観的にみてかなりレアなケースだ。そこが調査継続中になっていることを理解してほしい。
  6. 【小保方氏問題 理研4時間会見詳報】(1)「未熟であったと反省の言葉を述べている」小保方氏動向に回答(産経ニュース2014.3.14 20:37)
  7. 【小保方氏問題 理研4時間会見詳報】(4)完 聴取時の小保方氏「心身ともに消耗した状態」(産経ニュース2014.3.15 00:02):【記者】「野依(良治)理事長、竹市さんに伺いたい。新しい論文に過去の研究結果を間違えて掲載するというのは通常の研究者として起こりうることか」 【竹市氏】「通常の研究者はこういうことは決して行いません」 【野依氏】「こういうことはあり得ない、起こりえないと思います。」
  8. 理研、STAP細胞・小保方氏問題について「不正かどうかは調査中だが、極めて不適切」(BLOGOS編集部2014年03月14日 18:06):

理研がSTAP論文不正に関する中間報告

理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の小保方晴子研究ユニットリーダーらがNATURE誌に発表したSTAP細胞の論文に疑義が生じている問題ですが、理化学研究所が設置した調査委員会(委員長:石井俊輔理研上席研究員)らは2014年3月14日の午後に東京都内で記者会見し、中間報告を発表する予定です。

論文不正を理化学研究所が公式に認めるのかどうか、認めた場合責任の所在をどこまで認定するのか、興味が持たれます。論文に不正があったことはインターネット上で十分な証拠が呈示されており疑問の余地はないでしょう。筆頭著者である小保方氏の責任が重大であるのは当然としても、不正行為をある時点で知っていたにも関わらずその後隠蔽工作とも受け取れる行動を取っていた他の著者らの責任をどこまで問うのかが注目されます。

失墜した理研の信用を回復するためには、責任の所在を明らかにし万人が納得するような事後処理をすることです。

  1. 論文不正の認定焦点=理研、14日に中間報告-「STAP細胞」真偽は別問題(時事ドットコム 2014/03/13-17:40)

早稲田大学の博士論文のデータはコスモ・バイオのウェブサイトからの借用

小保方博士が早稲田大学に提出した博士論文のデータの一部は、コスモ・バイオ株式会社のウェブサイトの肝細胞培養キット【Hepatocyte Culture kit】肝細胞(マウス)の写真を盗用したものであったことがわかりました。この博士論文における数々の不適切な行為に関しては、小保方晴子の博士論文の疑惑まとめ(stapcell.blogspot.jp)といウェブサイトにまとめられています。

博士論文だけに限っても常軌を逸した不正行為が次々と露見しており、ここまで来るともう小保方氏個人の問題にとどまらず、早稲田大学の教育責任が問われる事態です。インターネットから文章をコピーアンドペーストし、実験結果の写真もネットから拾ってきて貼り付けただけという、滅茶苦茶な”博士論文”を受理して博士号を与えてしまった早稲田大学大学院先進理工学研究科生命医科学専攻では一体どのような大学院教育がなされているのでしょうか?

論文作成にあたっては学生と指導教官が何回も草稿をやり取りして書き直していくのが通常のプロセスです。個々の学生にどの程度の英語力があるかは、普段の研究指導の過程で自然にわかるもので、コピーアンドペーストによっていきなり完成度の高い英文を日本人の学生が書いてきたら、指導教官は違和感を覚えることでしょう。リファレンスがないイントロダクションや、引用箇所が対応していない本文など、おかしなことだらけで、こんな博士論文が通ってしまったということは、早稲田大学では主査、副査の先生が小保方氏の博士論文をろくに読まずに審査を通していた可能性すらあります。

今回の件を小保方氏の個人の問題に帰してしまえば、また同じような人がいつか現れて同じような問題が繰り返されます。このような研究不正が起こりえない研究教育制度を確立することが急務です。残念ながら、研究者はデータの捏造などしないという、性善説に則ったシステムが機能しないことは今や明らかでしょう。

参考

  1. 小保方さん「コスモバイオ」のホームページから転載を疑われる(秒刊SUNDAY 2014年03月13日10:06)
  2. 早大博士論文、細胞画像までコピペ? 小保方晴子氏の疑惑発覚続く(J-CASTニュース 2014年03月13日19時50分):コスモ・バイオによると、サイト上の画像は、2007年6月に撮影して掲載した。小保方氏の博士論文は、それより後の11年2月に提出されていることから、もしコピペなら、小保方氏がしたことになる。
  3. 早稲田大学大学院先進理工学研究科生命医科学専攻
  4.  疑惑の論文…小保方さん、博士号剥奪も 早大「厳密調査中」(スポニチアネックス2014年3月13日 05:30):早大は12日、スポニチ本紙の取材に「過去に学位取り消しの例もある」とし、調査結果次第で博士号が取り消される可能性が出てきた。
  5. 指導教員は何を指導したのか、学位論文の審査はどうだったのか。大学は第3者機関の調査を受けなければいけないと思う。そして、その結果は公にされるべきだし、問題のあった教員や責任者は処分を受けるべきだと思う。(日々の研究 2014-03-11 火曜日 京都大学理学研究科 教授 佐々真一)

理化学研究所に自浄作用はあるのか?

STAP細胞に関するNATURE論文のさまざまな不審点が指摘されていながら、理研は実験ノートや生データの調査結果を公表することもせず、研究不正の可能性に目をつむって論文の「修正」で逃げ切ろうとしました。これは理研が自ら出した平成17年の不正防止宣言に背く行為です。

理研は3月5日にSTAP細胞の作製手順書を公表し、その中でNATURE論文の主張をひっくり返すことまでして研究不正追求の矛先をかわそうとしました。すべては”ささい”な間違いでしたという言い訳で済ませようとしたのです。

その曖昧決着のシナリオを突き崩したのが小保方博士の博士論文の図がNATUREの図に流用されているというインターネット上での指摘でした。図の取り違えという言い訳を許さない、決定的な研究不正の証拠がネイチャー論文の中に存在していたのです。これを見たNATURE論文共著者の若山博士はショックを受け論文撤回が妥当と考えるに至りました。

驚くべきことに、NHK NEWS WEB(3月13日 19時20分)の報道によれば笹井芳樹理研CDB副センター長はこの博士論文からの図の流用問題を一ヶ月前にすでに把握していたとのことです。しかし、外部の有識 者も入った調査委員会に対して理研CDBはこれを「図の取り違え」としか説明していなかったそうです。これが事実なら、理研CDBは研究不正の隠蔽工作を組織的ぐるみで行おうとしていたと考えられます。

小保方博士らには論文データ捏造の疑惑が持ち上がっているのですから、 今、その張本人に実験を許している理化学研究所の対応はおかしいといわざるを得ません。本気で研究不正を調査する気があるのなら、実験室への出入りを禁止し て実験 ノートや生データの提出を要求するのがまともな対応というものです。若山博士だけがマスコミの取材に対して真摯に対応している中で、理研CDB所属の著者た ちは一切表に出て説明責任を果たそうとしていないことから、理化学研究所がこの問題に本気で取り組んでいるのかどうか疑念が湧きます。

理化学研究所は3月14日に記者会見を開くことを発表していますが、理化学研究所の調査委員会が理研CDBからの自主的な報告に基づいて調査結果をまとめるだけだとしたら、真実は何も明らかにならないでしょう。

また、早稲田大学の博士論文で剽窃を行い、過去の発表論文でもデータを捏造し、論文実績が全くなかった小保方氏を 理化学研究所のユニットリーダーに据えるという尋常ではないな人事を行ったことに関しても、理研CDBには大きな責任があります。

参考

  1. 「STAP」写真流用把握も問題と説明せず(NHK NEWSWEB 3月13日 19時20分):NHKが関係者に取材したところ、およそ1か月前には、小保方さんと、研究チームの中心メンバーで研究所の副センター長がこの問題を把握していたことが分かりました。さらに外部の有識者も入った調査委員会のメンバーには、この問題が単なる画像の取り違いと伝えられ、流用の疑いもある重要な問題だとは説明されていなかったということです。
  2. STAP細胞:理研、対応が後手に 「単純ミス超えた」(毎日新聞 2014年03月11日 22時57分 最終更新 03月11日 23時38分):理研は調査開始時から「成果は揺るぎないと判断している」と強調、指摘には「単純ミス」で済ませるような姿勢だった。
  3. 研究活動の不正行為等の定義(文部科学省):(1)捏造:存在しないデータ、研究結果等を作成すること。(2)改ざん:研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。(3)盗用:他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること。
  4. 2014 年3 月11 日 理事長声明『STAP 細胞論文等への対応についての再要望』特定非営利活動法人 日本分子生物学会理事長 大隅 典子:著者の一部から、プロトコールという形で3月5日に実験方法の一部詳細が発表されました。しかし、その内容はむしろ論文の結論に新たな疑義を生じるものでした。…また多くの作為的な改変は、単純なミスである可能性を遙かに超えており、多くの科学者の疑念を招いています。…日本分子生物学会は、以下のことを理化学研究所に強く要望します。…1 Nature 論文2報(Nature 505, 641-647, 2014; Nature 505, 676-680,2014)に関する生データの即時、かつ、全面的な開示、および、同論文に対しての迅速かつ適切な対応(撤回、再投稿などを含む) 2 このように公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証
  5. 「小保方晴子さんを魔女狩り気持ちが悪い!佐村河内守とは次元違う」テリー伊藤擁護(JCASTテレビウォッチ2014/3/12 12:46):広報室長は「(小保方さんは)STAP細胞作製の再現性の確認 など研究を進めています。(精神的には)一般的に見て大きなストレスになっていると思う。連絡は取れています。要望は本人にも伝えます」などと答えてい た。理研は14日にも会見を開き経過を説明するが、小保方さんが同席する予定はないという。
  6. 小保方氏の上司“裏道逃亡劇”の理由は12日の法人指定会議?(東京スポーツウェブ 2014年03月12日 16時00分):11日、生命科学などの分野で功績のあった研究者に贈られる上原賞の授賞式が都内で行われ、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が出席した。笹井氏は「STAP細胞」の論文の共著者の1人で、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の上司。すべてを知る人物といわれているのだが…。…論文への疑惑は数多い。上司として見抜けなかった笹井氏の責任は重いが、責任を認めれば、笹井氏の理研内での立場は危うくなろう。論文撤回がすんなり決まらない背景には、政治的な事情もあるという。
  7. 理研に大ダメージ 研究成果「揺るぎない」から「プロセスに疑念」 対応も後手に(産経ニュース2014.3.12 22:01):理研は2月18日に調査委員会を設置。委員長ら理研側2人、弁護士を含む外部有識者3人の計5人で構成され、小保方氏らへの聞き取りや実験 ノートの確認などを行っている。…小保方氏は一連の疑問点が指 摘された後も、研究室で再現実験を続けているという。理研のガイドラインでは、不正の疑義が生じた研究者に対し、証拠保全のため出勤停止や研究室の一時閉鎖を行うことができる。こうした措置を取っていないことについて、理研は「再現実験の手順書作成や調査への対応のため。証拠隠滅の可能性もないと判断した」としている。

ハーバード大学バカンティ教授「論文を取り下げる理由はない。」

決定的なデータ捏造の証拠がインターネット上に呈示されて、STAP細胞のNATURE論文は取り下げの方向に動きだしました。しかし共著者のハーバード大学のバカンティ教授はバカンティ教授は論文を取り下げるつもりはないとアメリカの記者の取材に応じて答えました。また、これまで沈黙を守り続けている小保方博士とも3月10日に話をしたそうで、小保方博士もバカンティ教授と同じ考えなのだそうです。

参考

  1. Co-Author of Stem-Cell Paper Asks for Retraction(WSJ)

STAP細胞NATURE論文を取り下げへ「何より私自身、真実が知りたい」

STAP細胞に関するNATURE論文の共著者の一人、山梨大学教授若山博士は、研究データに重大な問題が見つかった結果、STAP細胞が存在するという確信がなくなったとして、他の共著者に論文取り下げを呼びかけたことを2014年3月10日のNHKのインタビューで明らかにしました。若山教授は、自分が担当した実験については正しいと信じているが、前提となるデータの信頼性に確信が持てなくなった、と述べています。

また、若山教授は山梨大学のウェブサイト上でも声明を発表しました。

STAP細胞の論文の問題について 2014年3月10日      
関係各位
山梨大学生命環境学部生命工学科      
 教   授  若山 照 彦      
STAP細胞の論文の問題について
   今年1月30日にNature誌に発表したSTAP細胞に関する論文について、現在、多くの問題が指摘されております。私が担当した部分(共著者より提供された細胞からのキメラマウスの作製、及び幹細胞の樹立)については、自信を持って適正に実験がなされたと言い切れますし、共著者の結果についても信頼してきました。
   しかし本論文に関して様々な疑問点が指摘されている今日、私はSTAP細胞について科学的真実を知りたいと考えております。そこで私は、先に共著者より提供され、キメラマウスの作製実験に用いたSTAP幹細胞を所有していますので、この細胞を公的第三者研究機関に提供し、詳細な生化学的分析を依頼する事を決断しました。

   分析結果は速やかに公表致します。

http://www.yamanashi.ac.jp/modules/information/index.php?page=article&storyid=768

理化学研究所は平成17年に「科学研究における不正行為とその防止に関する声明」を出しており、その中で「研究論文の著者は、その論文の正しさを客観的にいつでも誰にでも説明する責任がある。」と述べています。若山教授はこのSTAP論文の著者の中ではただ一人、マスコミの取材に答えて持ち上がった疑義に関しても自分の考えを説明してきました。今回の声明の内容も合わせて考えると、これまでの言動は首尾一貫しており、少なくとも論文著者として一定の説明責任は果たしています。

参考

  1. STAP細胞 確信なくなった(NHK NEWSWEB 3月10日 19時06分)
  2. STAP細胞の論文の問題について (山梨大学 2014年3月10日)

STAP細胞NATURE論文でD論の写真を流用

理研CDB小保方博士らのSTAP細胞に関するNATURE論文で、早稲田大学博士論文の別の実験の写真を流用していたことが発覚しました。

疑惑が日に日に深まっていた理研CDBのSTAP細胞作製に関するNATURE論文ですが、なんと驚いたことにSTAP細胞を用いてテラトーマを作ったはずの写真(Nature 505, 641–647(30 January 2014) Fig.2e 下段の3つのパネル)が、筆頭著者小保方博士の早稲田大学博士論文の別の実験の写真を流用したものである可能性が示されました。

Obokata2014STAPFig2e

(Nature 505, 641–647(30 January 2014) Fig.2e)

この論文のメインともいえる、STAP細胞の多能性を示す実験データが完全に捏造だったというのは非常に衝撃的です。理化学研究所が今回の研究不正にどう対処するのかに関心が持たれます。

参考

  1. 小保方晴子の疑惑論文1(Nature Article誌) (http://stapcells.blogspot.jp)
  2. 不自然なテラトーマ画像について (http://stapcells.blogspot.jp)
  3. 論文捏造&研究不正@JuuichiJigen
  4. STAP細胞論文の画像 別研究から転用か(東京新聞2014年3月10日 朝刊):ネット上で専門家の指摘が相次ぎ、本紙が入手した博士論文で、四点の画像が酷似していることを確認した。
  5. 小保方さん、STAP細胞 博士論文画像と酷似(中日新聞2014年3月10日) :理化学研究所(理研)の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダー(30)らによる新たな万能細胞「STAP細胞」の論文に、小保方氏が3年前に書いた博士論文中の画像と酷似しているものがあることが9日、判明した。

研究論文の著者が担うべき説明責任

理研では8年前の教訓が生かされているのでしょうか?理研のこの声明文では、「不正のないことを示すための客観的資料・データ等の管理保存を徹底する。」と明言されています。現在、理研のSTAP論文に非常に重大な疑義が生じているわけですから、著者らのグループに論文の再現性を確認する実験をさせている場合ではありません。むしろ実験を直ちにやめさせて、これまでの実験サンプル、実験データ、実験ノートが「紛失」したり新たに作り出されたり、書き換えられたりしないように、証拠の保全に努めるべきなのではないでしょうか?論文に示されたすべての図に対応する実験記録が本当に論文著者らの実験ノート中にあったのかどうかをまず最初に公表すべきです。STAP細胞が本当にできるのかどうかと、不正行為がなかったのかどうかは全く別の問題であって、混同させるべきではありません。

理研はRIKENとして世界の研究者の誰もがその名を認める存在です。世界中の注目を集めるこのSTAP論文疑惑に対してRIKENがどう対応するのかは 全世界が注視しています。これを所内政治のレベルでうやむやに済ませれば、これまで築き上げられたRIKENの評価が揺らぎかねません。

理研のこれまでの対応は、残念なことに自らが出したこの声明に逆行しているように見えます。「世界最高水準の研究を実施できる」機関として「特定国立研究開発法人」に指定されさらなる特別扱いをこれから受けるというのなら、理研内外の研究者が納得できるだけの高潔さをここで示してもらいたいものです。理化学研究所には莫大な税金が投入されているのですから、理化学研究所の研究者らは自らの言葉に責任を持つべきです。理化学研究所の中に、捏造論文を出した研究者らの居場所があっていいはずがありません。

 

科学研究における不正行為とその防止に関する声明

平成17年11月2日
理研科学者会議

 科学者は、その研究目的が自己の好奇心に基づくものであれ、国策的戦略にのっとったものであれ、できうる限り自律的かつ誠実に研究を遂行する義務を持ち、その研究成果を自らのものとして公表する権利を有している。
 理化学研究所は、わが国随一の自然科学における総合研究機関であり、自然科学の新しい研究分野を開拓するとともに、国民の負託に応じた重要な分野での戦 略的研究を遂行し、研究成果の社会への還元に努めている。すなわち、世界に伍して先端的研究を推進するわが国の拠点である。この理化学研究所において、研 究者は他の機関にも増して、前述にある研究者としての義務と権利を心して自覚し、諸外国としのぎを削りつつ研究を遂行しなければならない。
 昨今、科学研究において、捏造(Fabrication)、改ざん(Falsification)、盗用(Plagiarism)などの非倫理的不正行為が発生しており、理化学研究所もその例外ではなかったことは悲しむべき事である。
 研究における不正行為は、研究者に社会が託した夢と信頼を裏切る行為であり、科学に対する裏切り行為であるとともに、研究者自身の自殺的行為であると極 言できる。理化学研究所の研究者一人ひとりが、このような不正行為に陥ることのないよう、厳しく自らを律するとともに、他者にその疑いがある場合に、すみ やかに適切な対応をなし、不正行為を未然に防ぐ努力をなすべきである。
 科学研究の不正は科学者に対して社会から託された夢と希望を自ら踏みにじる行為であることを改めて強く認識し、科学をこよなく愛する理化学研究所の研究者として、以下のことを宣言する。

  1. 科学の真理を追求するうえで、いつも他を欺くおそれがないよう自らを律する。
  2. 他者の不正を決して黙認しない。
  3. 指導的立場に立つ研究者は、研究に不正が入り込む余地のないよう日々心を配る。また、不正のないことを示すための客観的資料・データ等の管理保存を徹底する。
  4. 研究論文の著者は、その論文の正しさを客観的にいつでも誰にでも説明する責任がある。

(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/siryo/attach/1334735.htm)

参考

  1. 研究開発法人に理研と産総研指定 4閣僚が合意 (日本経済新聞2014/3/5 19:28):下村博文文部科学相や山本一太科学技術相ら4閣僚は5日、世界的な研究成果を目指す「特定国立研究開発法人(仮称)」に理化学研究所と産業技術総合研究所を指定することで合意した。月内にも開く総合科学技術会議で正式に決め、内閣府などが関連法案を今国会に提出する。新法人に指定されれば、優れた研究者に高い給与を支払える。2機関については、論文の引用数や特許数、国際性などをもとに国内を代表する研究機関で、世界最高水準の研究を実施できると判断された。
  2. kahoの日記: STAP細胞の非実在について
  3. Key Initial Reactions to RIKEN’s detailed STAP stem cell protocol (Knoepfler  Stem Cell Blog)
  4. 不自然なテラトーマ画像について (小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑 2014年3月5日水曜日)

産経ニュースが「小保方博士がSTAP細胞作製の再現に成功」と報道

産経ニュースが、NATURE論文発表後としては初めて小保方博士がSTAP細胞作製の再現に成功したと報じています。理化学研究所は2014年3月5日に「STAP細胞作製に関する実験手技解説の発表について」という声明をウェブサイト上で発表していますが、小保方博士がSTAP細胞作製の再現に成功したという記述は見当たりません。

STAP細胞 小保方さん、再現実験に成功 論文発表後初めて
2014.3.6 08:59 [先端技術]
理研は5日、小保方晴子研究ユニットリーダーが1月末の論文発表後、初めてSTAP細胞の再現実験に成功したことを明らかにした。実験の客観的な証明には第三者による再現が必要だが、成果の正しさを一定程度裏付けた形だ。

理研によると、小保方氏は理研発生・再生科学総合研究センターで先月、再現実験を開始。論文通りの手法でマウスの体細胞を弱酸性溶液で刺激し、あらゆる細胞に分化できるSTAP細胞を作製することに成功した。細かい実験手順も含め同センターとして正しさを再確認したとしている。
(http://sankei.jp.msn.com/science/news/140306/scn14030609000001-n1.htm)

日本報道検証機構@Watchdog_Japan 2 時間

【調査結果】産経新聞3月6日付朝刊31面(電子版:http://sankei.jp.msn.com/science/news/140306/scn14030609000001-n1.htm …)が、理研発生・再生科学総合研究センターがSTAP細胞の再現実験に論文発表後初めて成功したと報道。他紙が報じていないことから調査した結果、理研広報室より事実であるとの回答を得ました。

 

何の証拠も示さずにSTAP細胞作製の再現に成功したと言ったところで、一体誰が信じるのでしょうか?

理研がSTAP細胞の作り方の詳細なプロトコールをネイチャーのProtocol Exchangeで公開(理研CDBサイトでもPDFを無料公開)

理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)がSTAP細胞およびSTAP幹細胞の作製方法の詳細を公表しました。

Haruko Obokata1, Yoshiki Sasai2 and Hitoshi Niwa. Essential technical tips for STAP cell conversion culture from somatic cells. Protocol Exchange(理研ウェブサイト内のPDFファイルへの直接リンク

参考

  1. 「STAP細胞 TCR再構成は無かった」という話の衝撃 (ka-ka_xyzの日記 2014-03-05):今回小保方氏は論文中で、「STAP幹細胞はT細胞がリセットされたものです、その証拠にTCR遺伝子はシャッフル済みです」と主張していました(論文のFig. 1i)。また、理研のプレスリリースでも、以下のように「T細胞受容体遺伝子が組み替えられている(TCR再構成が発生している)ということから、一旦T細胞に分化した細胞が初期化されたことがわかる」と明確に書かれています。「TCR遺伝子が再構成されている」というデータは、分化済みのT細胞がリセットされてSTAP幹細胞になったという主張のキモだったはずです。それが理研の出したドキュメントであっさり覆った衝撃ときたら。
  2. Key Initial Reactions to RIKEN’s detailed STAP stem cell protocol (http://www.ipscell.com Posted on March 5, 2014): On a simple level to me this new statement seems like a red flag, but perhaps others can clarify the meaning and whether this suggests the authors are making STAP cells actually not from lymphocytes but rather from some kind of hematopoietic progenitor/stem cell.
  3. T細胞はSTAP幹細胞になれない(吉村研究室)STAP幹細胞にはTCR再構成のあとはありません。。。予想はしていたけれどこれは(少なくとも私に とっては)衝撃的だ。これは論文のabstractの”induction”説を否定して結局cell-type- dependent=selection説を肯定するものではないか?少なくとも終末分化した細胞のリプログラミングに成功したとは結論できないのではな いか。
  4. STAP細胞作製に関する実験手技解説の発表について (独立行政法人理化学研究所 2014年3月5日):科学研究における再現性を含む評価は、科学的根拠を基に研究者社会において検証いただくものと考えております。研究グループが既に発表した論文(Nature 505, 641–647)には、STAP細胞作製法の方法論を掲載していますが、文書スペースの都合上、詳細の記載には限界があります。論文発表以来、研究グルー プでは多くの研究者が今回の現象を再現するための一助として、細かいノウハウを説明する実験手技解説の準備に取り組んで参りました。今回、その一環とし て、STAP細胞等の作製に関するより詳細な実験手技解説を発表します。[Nature Protocol Exchange ][PDF ] *Nature Protocol Exchangeに登録されていない方はこちらをご覧下さい。
  5.  理研、STAP細胞の作製法公開 論文への批判受け(日本経済新聞 2014/3/5 20:37):作製効率を上げるには、生後1週間以内のオスのマウスを使うことなどを明記した。
  6. STAP細胞の作製法公開 理化学研究所 “再現できない”に対応 (スポニチ2014年3月5日 17:19):重要な点として、生後1週間を過ぎたマウスの体細胞では作製効率が大幅に落ちることや、細胞を浸す溶液の酸性の度合いが変化しやすいことなどを挙げた。雄マウスの体細胞の方が、雌よりも効率がいいという。

理研は今後の規範となるような適切な対応を!

研究不正を疑われている人たちが自らを調査をして、研究不正の疑いを晴らすことは可能でしょうか?

もしも研究不正の事実が一切なければ、それは可能でしょう。実験ノートや生データ、サンプルをすべて公開し、論文で示された実験結果が確かに実際に行われていたことを証明すればよいからです。しかし、もし不正が本当に行われていたのだとしたら、自分で自分の不正を調査、検証できるはずがありません。保身に走るのが人間の自然な行動だからです。組織なら、自らの組織を守るように行動します。理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の最有力メンバーが今回のNATURE論文の責任著者であるため、今回の事件でもし研究不正があったとしたら理研CDBが総力を挙げて組織を守る方向に動くことは自明です。

何の証拠も示さずに小保方博士が実験結果の再現に成功したと言ったりNATURE論文の主張を変更するようなプロトコールを後出ししてみせたりするのは、理研CDBに公正な調査を期待していいのかどうか不安にさせるような行為です。

外部の人間を交えた調査委員会を立ち上げたといっても、有力メンバーの知り合いだとしたら無意味です。理研CDBが調査委員会を設置するのではなく、理研CDBを監督する権限のある機関が理研CDBのメンバーを外した調査委員会を立ち上げて、理研CDBそのものを調査対象とするべきでしょう。実験ノートに記録がないのに論文の図が出来上がってくることは、あり得ません。「実験ノートが提出できない=実験していない」とみなすべきです。

日本分子生物学会は、STAP細胞に関する論文疑惑に関して、理化学研究所が迅速な対応をするよう促す声明文を出しました。

2014 年3 月3 日理事長声明『STAP 細胞論文等への対応について』特定非営利活動法人 日本分子生物学会理事長 大隅 典子

本年1月に理化学研究所からNature 誌に発表されたSTAP 細胞樹立にかかわる論文2報の著者には、本学会員が含まれますが、これらの論文および第一著者の以前の論文に関する生データ(画像)の取扱いや実験方法記述について、各種報道やWEB 上において多くの問題点が指摘されていることを、本学会としては大変憂慮しています。日本の科学をリードする研究機関の一つである理化学研究所が、可能な限り迅速に状況の正確な報告について公表されるとともに、今後の規範となるような適切な対応を取って下さることを本学会は期待します。(PDF link)

参考ウェブサイト

  1. kahoの日記: STAP細胞の非実在について#2 私は件の論文に直接関わる立場ではないのですが,研究所の外から見れば「中の人」になります.…科学的な事実を争う立場としては私は間違っていないという自信がありますが,政治的に勝利できるかどうかは全く分かりません.
  2. kahoの日記: STAP細胞の非実在について#3 残念ながら政治的には勝てそうにありません.
    しかしここを読んだ人に誤解していただきたくないのは,私が孤独な戦いをしているというわけではないということです.むしろ話をした方々は全て私に賛同し応援してもらっており,数の上では私の方が圧倒的なマジョリティだと思っています.
  3. Robert Geller ‏@rjgeller  不正行為が発覚した場合、キチンと対応しないことはまじめな若手の落胆を誘発します。何よりも質・倫理観が高い雰囲気を保つことは若手を励ます。
  4. 科学的事実は政治的事実に勝る。所長に直訴奨励:コレスポンディングオーサーの一人である笹井氏は4月から所長になることが内定していると聞きます。

 

STAP細胞作製プロトコールの詳細を理化学研究所が公開へ

理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの小保方晴子・研究ユニットリーダー(30)がNATUREに発表したSTAP細胞の作製ですが、世界中で多くの研究室が追試しているにもかかわらず再現できていません。毎日新聞の報道によると、理化学研究所ではこのような状況を受けて、詳細な作製手順を公開する準備を進めているとのことです。

他人には再現できないように、肝心な部分をわざと論文に含めていなかったのだとしたら、現在追試に励む研究者たちの時間とお金を無駄にしていることになり、とても無責任で身勝手な行為です。自分が論文発表した実験条件に関して問い合わせがあれば速やかに返答するのが、研究者の常識的な行動です。

参考記事

  1. STAP細胞:発表1カ月再現失敗相次ぎ 理研手順公開へ (毎日新聞 2014年03月02日 11時45分(最終更新 03月02日 12時12分)):あらゆる細胞に変化できる万能細胞、STAP細胞(刺激惹起性多能性獲得細胞)の作製に成功したと、理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)が発表し、1カ月がたった。作製方法が「簡単」とされた点も注目を集めたが、国内外の研究者からは「実験が再現できない」との報告が上がり、論文の不備も指摘されている。理研は、詳細な作製手順を公開する準備を進め、論文の不備についても調査を始めた。

理研STAP細胞NATURE論文中に剽窃行為が発覚

理化学研究所(野依良治理事長)のSTAP細胞NATURE論文に、他人の論文からの文章の無断使用が見つかる

理研の小保方博士らがネイチャー誌に発表したSTAP細胞の論文でさまざまな不自然さが指摘されていますが、一部の文章が他の研究者の論文からの「借用」であったことが指摘されました(詳細はstapcells.blogspot.jpを参照)。

ほぼ同一の文章が使われていたのは、Obokata et al., Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 505:641–647の論文の中のMethodsのセクションの中の、

Karyotype analysis was performed by Multicolor FISH analysis (M-FISH). Subconfluent STAP stem cells were arrested in metaphase by colcemid (final concentration 0.270 µg ml−1) to the culture medium for 2.5 h at 37 °C in 5% CO2. Cells were washed with PBS, treated with trypsin and EDTA (EDTA), re-suspended into cell medium and centrifuged for 5 min at 1,200 r.p.m. To the cell pellet in 3 ml of PBS, 7 ml of a pre-warmed hypotonic 0.0375 M KC1 solution was added. Cells were incubated for 20 min at 37 °C. Cells were centrifuged for 5 min at 1,200 r.p.m. and the pellet was re-suspended in 3–5 ml of 0.0375 M KC1 solution. The cells were fixed with methanol/acetic acid (3:1; vol/vol) by gently pipetting. Fixation was performed four times before spreading the cells on glass slides. For the FISH procedure, mouse chromosome-specific painting probes were combinatorially labelled using seven different fluorochromes and hybridized as previously described41. For each cell line, 9–15 metaphase spreads were acquired by using a Leica DM RXA RF8 epifluorescence microscope (Leica Mikrosysteme GmbH) equipped with a Sensys CCD camera (Photometrics). Camera and microscope were controlled by the Leica Q-FISH software (Leica Microsystems). Metaphase spreads were processed on the basis of the Leica MCK software and presented as multicolour karyograms.

という記述です。この部分とほぼ同一の文章が、

Guo et al., Multicolor karyotype analyses of mouse embryonic stem cells. In Vitro Cellular & Developmental Biology SEPTEMBER and OCTOBER 2005, Volume 41, Issue 8-9, pp 278-283

の論文の279ページ左段中ほどに見られます。

Chromosome preparation. Metaphase spreads of the ES cells were performed
as follows. Subconfluent ES cells were arrested in metaphase by adding
colcemid (final concentration 0.270 Ixg/ml) to the culture medium for
2.5 h at 37 ~ C in 5% CO2. Cells were washed with PBS, treated with trypsinethylenediaminetetraacetic
acid (EDTA), resuspended into cell medium and
centrifuged for 5 min at 1200 rpm. To the cell pellet in 3 ml of PBS, 7 ml
of a prewarmed hypotonic 0.0375 M KC1 solution was added. Cells were
incubated for 20 min at 37 ~ C. Cells were centrifuged for 5 min at 1200 rpm
and the pellet was resuspended in 3-5 ml of 0.0375 M KC1 solution. The
cells were fixed with methanol/acetic acid (3:1, vohvol) by gently pipetting.
Fixation was performed four times prior to spreading the cells on glass slides.
Multicolor FISH analysis (M-FISH). For M-FISH analysis mouse chromosome-
specific painting probes were combinatorially labeled using seven
different fluorochromes and hybridized as previously described (Jentsch et
al., 2003). For each cell line 9-15 metaphase spreads were acquired by using
a Leica DM RXA RF8 epifluorescence microscope (Leica Mikrosysteme
GmbH, Bensheim, Germany) equipped with a Sensys CCD camera (Photometrics,
Tucson, AZ). Camera and microscope were controlled by the Leica
Q-FISH software (Leica Microsystems hnaging solutions, Cambridge, United
Kingdom). Metaphase spreads were processed on the basis of the Leica MCK
software and presented as multicolor karyograms.

(PDFファイルからコピーペーストしたため一部文字化けしているようです。原文は発行元ウェブサイトのPDFファイルをご参照ください)。

ちなみに理化学研究所の野依良治理事長は、Noyori, R. and Richmond, J. P. (2013), Ethical Conduct in Chemical Research and Publishing. Adv. Synth. Catal., 355: 3–9という論説文の中で研究不正に関する分析を行っており、研究者にとって何が許されない行為であるのかを明確に述べています。この野依良治理事長の論説文を解説した日本語の記事から引用すると、

研究・出版における不正行為には、明白なデータねつ造だけでなく、別の実験で得たスペクトルデータを偽って載せる、反応収率を過大に表現するなど細かいも のもあります。また、論文の剽窃(plagiarism)にもさまざまな形態があり、参考にした文献を故意に引用しない、他の著者の論文から表現の一部を 借りながら自分のものとして発表するなども含まれます。特に後者は、論文のintroductionで化合物や反応の重要性を述べるなど誰が書いても似た ような内容になるときに起こりやすく、また英語を母国語としない研究者が他の著者のうまい表現を借りたくなる気持ちは分かるが、あくまで許されることでは ないと指摘します。(http://www.wiley.co.jp/blog/pse/?p=14657

小保方博士らが先行論文の実験方法に従って実験したのであれば、実験操作に関する記述も当然同じような文章になってしまうことでしょう。英語を母国語としない日本人なら他の著者の論文から文章を借りてしまいたくなるのも共感できます。しかしパラグラフを丸ごとカットアンドペーストしてしまう行為はあまりにもレベルが低すぎます。

参考

  1. なぜポンコツ器具で…「STAP細胞」ついに実験にも疑問の声(日刊ゲンダイ2014年3月4日):今度はその論文中に「あり得ない記述がある」と大騒ぎになっている。「小保方論文では、実験にライカ社製の蛍光顕微鏡とフォトメトリクス社のCCDカメラを使った、と記されています。これらは90年代後半の器具で、今は現場でほとんど見られないといいます。そのため『小保方さんらは本当に実験したのか』との声が出ているのです」(科学ジャーナリスト)…小保方さんのグループだけが10年以上も前のポンコツ器具を使わされたとは考えにくい。となると、最新器具を使ったと考えるのが自然だが、そうすると今度は「論文通りの手順で実験していたのか」という新たな疑問が湧く。

 

京都大学iPS細胞研究所(山中伸弥所長)で遺伝子組み換えマウスが管理区域外に

遺伝子組み換え動物を扱う研究所は、組み換え動物が外へ逃げ出して生態系に影響を与えないように厳重に管理する必要があります。新聞報道によると京都大学iPS細胞研究所で組み替えマウスが管理区域外である洗浄室で見つかる例が何回もあったとして文部科学省が厳重注意していたことが明らかになりました。飼育ケースを洗浄するために飼育室から運び出す際に、飼育ケース内の床敷(とこじき)の中に紛れているマウスを見逃してしまっていた可能性が考えられています。

 

参考記事&参考サイト

  1. 京大iPS研:組み換えマウス、飼育室外に 文科省、厳重注意  (毎日新聞 東京夕刊 2014年03月01日):京都大によると、マウスは研究所2階にある飼育室と実験を行う処置室で管理されるが、2011年以降で10回以上、1階の洗浄室で見つかった。正確な数は不明だが、死骸を含めて20匹前後とみられ、生きた遺伝子組み換えマウスもいたという。
  2. 日本エスエルシーの実験動物用床敷(チップ)
  3. 道央理化産業 とこじき:マウス・ラット飼育用床敷です。全国の大学動物実験施設、衛生研究所、製薬メーカーに納入実績があります。特殊なフレーク状カットにより吸水性が非常によく、3段階のふるいに掛けており微粉末が少なくなっています。

 

 

小保方晴子理研研究ユニットリーダーのSTAP細胞NATURE論文を理研も調査へ

小保方晴子理研研究ユニットリーダーを筆頭著者とするNATURE論文に関して、論文データに不自然な点が多々あることが指摘されていますが、小保方博士の所属機関である理化学研究所も2月13日に研究に関わっていない内外の専門家数人による調査チームを立ち上げ、小保方ユニットリーダーおよび関係者への聞き取りを含む調査を行っているそうです。

論文データの不自然さは今回NATUREに発表された論文にとどまらず、小保方博士の過去の論文に関しても指摘されています(pubpeer.com)。

Obokata H, et al. Reproducible subcutaneous transplantation of cell sheets into recipient mice. Nat Protoc 6.1053-9 (2011)

  • 図5a(B cell数の経時変化)と図5b(neutrophils数の経時変化)の棒グラフが酷似(pubpeer.com)

Obokata H, et al. The potential of stem cells in adult tissues representative of the three germ layers. Tissue Eng Part A 17.607-15 (2011)

Obokata H, et al. Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 505.641-647 (2014)

Obokata H, et al. Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency. Nature 505.676-680 (2014)

上記の論文の中には”うっかりミス”では説明がつかない、”不自然なデータ”も見受けられます。

STAP細胞の作製は世界中で多くの研究室が再現を試みているにも関わらず、未だに誰も成功していません(ipscell.com/stap-new-data/)。また、筆頭著者の手助けなしには共著者すら再現できていないそうです。こうなると、第三者の立会いのもと筆頭著者自身が実験して論文のデータを再現しないことには、仮にNATUREが安易に図の”訂正”を受け入れたとしても世の研究者は誰も納得しないでしょう。

参考記事と参考ウェブサイト

  1. 小保方論文の画像に疑問の声―理化学研究所が調査開始 (ウォール・ストリート・ジャーナル 2014年 2月 18日 18:23 JST):しかし理研としては小保方博士のチームの発見は依然として有効と信じているという。小保方博士やその他のチームメンバーには聞き取り調査が行われた。調査結果は来月公表するだろうという。小保方博士のコメントは得られていない。
  2. STAP細胞論文で外部から指摘 理研、調査を開始(日本経済新聞 2014/2/17 19:39):関係者によると、不自然との指摘を受けているのは、マウスの胎児の写真。共同研究者の一人は取材に対し、数百枚の画像データを取り扱っている際に混同して記述と異なる画像を載せた可能性があるとしている。
  3. 理化学研究所 細胞リプログラミング研究ユニット 小保方研究室ウェブサイト

ハーバード大バカンティ教授「論文編集の過程で起きたささいな誤り」

先日ネイチャー(NATURE)に掲載されたSTAP細胞の論文に対して疑念が生じていることに関して、共著者であるハーバード大学ヴァカンティ教授がコメントを発表しました。

「論文編集の過程で起きた、ささいな誤り(minor errors)によって生じたものだと考えている」

とのことです。

⇒ 小保方晴子理研研究ユニットリーダーのSTAP細胞NATURE論文を理研も調査へ

参考記事

  1. STAP細胞:米教授、画像の酷似は「ささいな誤り」(毎日新聞 2014年02月21日)
  2. Paper on STAP cells contains minor errors, co-author says (Mainichi Japan February 21, 2014)

小保方・理研研究ユニットリーダー「こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい」

元は週刊文春の記事だそうですが、

小保方さんの共同研究者・若山照彦教授(山梨大)によると、本人は画像の使い回しを認めているという。<「十四日に本人が泣きながら、『ご迷惑をおかけすることになるかもしれません』と電話をしてきました。ただ、『こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい』とも話していた。

もちろん改ざんが事実ならよくないことです。ただし、指摘を受けた箇所は、研究の本質とは離れた些末な部分であり、研究そのものの成果には影 響しません。彼女も、ネイチャーから細かい指摘を受けて時間に追われていたのでしょう。既に彼女はネイチャーに修正版を提出し、認めてもらう方向で進んで います」>

また、万能細胞が簡単にできるというのは誤解だといい、小保方さんも5年かかったのだから、どこかが再現してくれるまでの辛抱だと彼女を励ましているという。

この通りなら心配はないのかもしれないが、専門家の中には厳しい意見もあるようだ。<「どのような事情があろうと、論文のデータの画像の差し 替えなどあってはならないこと。事実ならば、なぜこのような大事な論文の中でしてしまったのか、理解に苦しみます。日本の科学技術そのものの信頼が損なわ れる可能性もあります」(東京大学医科学研究所・北村俊雄教授)>

http://www.j-cast.com/tv/2014/02/20197292.html?p=2

あの時あの場所で確かにそのような実験結果が得られたのだけれども、それ以降は再現されない。そんな実験結果を論文として世に出す意味があるのでしょうか?論文のMaterials and Methods (材料と方法)のセクションは他の研究者がその論文の実験結果を再現できる程度に詳細に記述することが求められています。再現性に必要な条件が記載されておらず、実際に論文著者を含めて誰にも再現できない結果であれば、そもそも科学論文として成り立ちません。後からデータを差し替えて”うっかりミス”を訂正しても、そのことは変わりません。結果を再現するためのクリティカルな実験条件が見つかってから論文を再投稿しても、遅くはないと思います。

また、小保方晴子博士が画像の使い回しを認めているという記事内容が真実なら、それが些末な部分かどうかはもはや論点ではありません。論文の一部でデータ捏造があったにもかかわらず、結論が変わらないので「訂正」を受け入れますというのなら、ネイチャーという雑誌に対する科学者からの信頼が揺らぎます。

⇒ セル、ネイチャー、サイエンスには出しません

「データ捏造はいついかなる場合にも許されない」というのは本来ならわざわざ言葉にする必要もないくらい当然のことですが、研究者の倫理感に大きなばらつきがあります。そのため、言葉にして確認することも大切でしょう。そこで、早稲田大学による研究不正の定義を紹介しておきます(ウェブサイトの文章の一部を抜粋)。

研究活動に係る不正防止に関する規程
この規程において「研究活動に係る不正行為」とは、次に掲げる行為およびそれらに助力することをいう。

一 試資料等の捏造 研究者等が調査や実験等を行わなかった、または調査や実験を行ったが試資料等を取得できなかったにもかかわらず、試資料等を作成すること。
二 試資料等の改竄 研究者等が行った調査や実験などを通じて得た試資料等を、正当な理由なく修正または削除すること。
三 作為的な行為によって恣意的に取得した試資料等の利用 計測・実験機材を操作するなどにより、正当な作業では得られないデータを取得し、または調査方法を恣意的に決定して都合の良いデータを取得すること。

早稲田大学研究倫理オフィス 研究活動に係る不正防止に関する規程

 

 

研究不正の責任は研究機関にも

文部科学省が研究不正防止徹底のためにガイドラインを改正し平成26年2月18日に公表しました。

研究不正が取り沙汰されてから何年間も沈黙を続ける大学や、研究費の不正使用が明らかになった研究者の氏名を公表しない大学など、納税者に対する説明責任を果たしていない大学や研究機関が数多く見受けられることから、不正を働いた研究者の所属する研究機関への罰則を盛り込んだ今回のガイドライン改正は歓迎すべきものと思われます。

OsakaU20110606poster

大阪大学の公的研究費の不正使用防止への取り組み

研究費の着服と論文データ捏造は研究不正としては種類が異なりますが、納税者の視点からすればどちらも言葉はきついですが「税金泥棒」以外の何者でもありません。

See also,

⇒ 論文を捏造してもクビにならない不思議な国立大学

⇒ 京都大学大学院薬学研究科元教授に対して懲役2年の実刑判決

参考記事

  1.  「研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)」の改正について(文部科学省):研究機関における公的研究費の管理・監査のガイドライン(実施基準)(平成26年2月18日改正)  (PDF:894KB
  2. 研究不正防止へ文科省指針改正 大学などの責任問う (日本経済新聞2014/2/18 13:38):研究者本人への罰則を強化するだけでなく、所属先の管理責任を問うことにした。
  3. 研究費不正使用:文科省、ガイドライン改正(毎日新聞 2014年02月18日):文部科学省は18日、研究費の不正使用があった研究機関に対し、不正をした研究者の氏名を含めた調査結果を原則210日以内に同省に報告するよう義務づけると発表した。

STAP細胞論文をネイチャー誌も調査へ

データの図に問題があることが指摘されている小保方博士らのSTAP細胞論文ですが、掲載したネイチャー(NATURE)誌も調査を行うことをウェブサイト上で言明しました。
STAPinvestigation

ネイチャーはこの記事で、問題となっているSTAP細胞論文の筆頭著者、小保方晴子博士の勤務先である理化学研究所(神戸)がこの論文に関する調査を開始したことを伝えています。

小保方博士が筆頭著者でハーバード大学医学部の麻酔科医チャールズ・ヴァカンティ博士が責任著者になっている2011年の論文Obokata, H. et al. Tissue Eng. Part A 17, 607–15 (2011)に関しては、幹細胞マーカーの存在を示すDNAのバンドの画像が上下反転されて、図の別の箇所でも使用されていることが指摘されています。これに関してヴァカンティ博士はネイチャーのインタビューに答え、“It certainly appears to have been an honest mistake [that] did not affect any of the data, the conclusions or any other component of the paper,”(「確かにうっかりミスがあったようだが、データも論文の結論も他のいかなる部分にも全く影響を及ぼさない。」)とコメントしています。

ネイチャーの論文に関しては、共著者の若山照彦教授(山梨大学)は画像の類似性を認め、ほとんどの胎盤の写真を自分が撮影しており小保方博士に100枚以上もの写真を送ったので図の作成にあたって写真の取り違えがあった可能性があると述べています。

STAP細胞作製に関して、多くの研究者がその再現性を確かめようと実験しています。しかしまだ誰も成功できていません。若山教授ですら、理研在籍時には小保方博士の指導のもとで実験を再現できたが、山梨大学に移籍後はうまくいっていないそうです。

ネイチャー誌を発行するネイチャー・グループの広報担当者は、“The matter has been brought to Nature’s attention and we are investigating.”(「ネイチャーはこの問題に関心を寄せており、現在調査中である。」)と述べています。

⇒ 「こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい」

参考ウェブサイト

  1. Acid-bath stem-cell study under investigation (nature.com 17 February 2014)