Category Archives: 論文データ捏造

STAP論文調査委員らにもデータ切り貼り疑惑

小保方STAP論文理研調査委員会の他の委員らの論文にもデータ切り貼り疑惑

小保方晴子氏がSTAP細胞作製を報告したNATURE論文の中でデータの捏造、改竄があったことを認定した理化学研究所の調査委員会の委員長を務めた石井俊輔委員長の研究室から出た過去の論文にデータの写真の切り貼りが指摘されたのに続いて、さらに、他の委員らの論文にも研究不正の疑惑が持ち上がるという異常な事態が生じています。これらの指摘を受けて理研は理研所属の2名の審査委員に関しては不正があったかを確認するための予備調査を開始しました。

調査委員委員の一人である田賀哲也教授が所属する東京医科歯科大学でも同様の指摘を受けて予備調査を行い、「不正があったと立証できるものはない」という結果を発表しました。

しかし、どの論文のどの図に関してどのような不正の疑いがあったのか全く報道されておらず、東京医科歯科大学の「不正なし」という判断の根拠も示されていないため、第三者には何がどうなっているのか全くわからない状態です。

論文捏造&研究不正 ‏@JuuichiJigen
細胞画像の縮小版と拡大版を一つのFigure内に掲載しただけなのに、「画像捏造(流用)」ではないか?との言いがかり(見当違い)の告発をされたSTAP論文調査委員の田賀哲也氏が所属する東京医科歯科大学は、既に予備調査を終えて、不正の証拠はなしとして本調査には進まないと発表した模様。4:48 – 2014年5月2日(https://twitter.com/JuuichiJigen/status/462196825127387136)

小保方氏代理人が苦言「STAP論文許されず、委員の論文は許される」(産経新聞 5月3日(土)14時49分配信)
三木氏はコメントの中で「STAP論文は許されず、田賀論文は許されるとすれば、画像の切り張りや引き伸ばしについて許される場合と許されない場合があることになる」と指摘。(http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140503-00000540-san-soci)

インターネット上では真っ向から対立した議論があり、情報が錯綜しています。

東京医科歯科大学も、山中伸弥教授石井俊輔氏のように実験ノートや生データの有無を明らかにし、論文の図の作製においてどのような操作が行なわれたのかをもっと詳細に説明したほうが良いのではないでしょうか?STAP論文捏造疑惑の小保方晴子氏の弁護団の一人、三木弁護士からは何が研究不正にあたるのかを説明してもらいたいという要望が出ており、論文作製における図の取り扱いは現在の日本の科学研究にとって非常に重要な争点になっています。

疑惑が指摘されたが問題はなかったという説明だけでは、論文不正の指摘が「言いがかり」だったのか、それとも不正行為を「もみ消し」たのか、第三者には全くわかりません。不正疑惑を払拭するのに十分な実験ノートや生データとはどのようなものなのか、研究者の常識を知らしめる良い機会です。是非、研究者でない一般の人にも理解できるような、わかりやすい説明をして欲しいものです。

 

理研調査委3人に論文不正疑惑 予備調査を開始(14/05/02)

【追記】

インターネット上の情報によれば問題視された田賀氏の2004年の論文は、

Takao Setoguchi, Kinichi Nakashima, Takumi Takizawa, Makoto Yanagisawa, Wataru Ochiai, Masaru Okabe,Kazunori Yone, Setsuro Komiya, Tetsuya Taga. Treatment of spinal cord injury by transplantation of fetal neural precursor cells engineered to express BMP inhibitor. Experimental Neurology Volume 189, Issue 1, September 2004, Pages 33–44

であり、疑問を持たれた点の一つは、図2Cが図2Fの一部を拡大したものになっているという指摘でした(http://4.bp.blogspot.com/-R5habHlRKsA/U2OtIn9ypjI/AAAAAAAABVY/f0mNUCtjeZQ/s1600/1.png)。図2の説明文を読むと(http://1.bp.blogspot.com/-fBBP97q90KI/U2O0AD5GCWI/AAAAAAAABVo/xcV1rONjK5s/s1600/2.jpg)、図2Fはこの実験においてMAP2抗体染色(赤色)とGFAP抗体染色(緑色)を行なったことを説明するためのものであり、この実験の中でGFAP陽性アストロサイトが観察されたことが図2Cで示されています。つまり同一の実験結果なので、図2Fの一部(緑色に染色された細胞集団)を図2Cとして用いたことにはなんら問題はありません。疑義を呈した人はおそらくこの論文の図の説明を読まずに勘違いしてしまったのではないかと思われます。

参考

  1. 3委員の論文にも疑い 理研調査委「画像切り貼り」など (東京新聞 2014年5月2日 朝刊):新たに指摘があった調査委員は、理研の古関明彦グループディレクターと真貝洋一主任研究員、東京医科歯科大の田賀哲也教授。
  2. 小保方さん論文調査委、新たに3人加工疑惑 研究者5人中4人が調べられる側に (スポーツ報知 2014年5月2日6時0分):同様の論文加工で委員長を辞任した石井俊輔上席研究員(62)を含めると、当初の調査委員の研究者5人のうち4人の論文に疑いが浮上する異常事態となった。
  3. 止まらない論文狩り STAP調査委メンバーにまた新疑惑 (日刊ゲンダイ 2014年5月1日 掲載):STAP問題以降、日本では「1億総論文狩り」状態だ。
  4. 委員の論文不正「立証できるものはない」 (日刊スポーツ 2014年5月2日20時8分):医科歯科大は5月1日に予備調査を実施。05年の論文への指摘は、実験ノートに残ったデータから問題ないことを確認した。04年の論文についてはノートは残っていなかったが、同じチームの研究者に聞き取った結果、説明は合理的で問題ないと結論づけた。
  5. 東京医科歯科大・田賀教授の論文に不正なし(スポーツ報知 2014年5月2日20時14分):田賀教授に関しては、熊本大に在籍中の2004~05年に責任著者として発表した2本の論文に、画像の切り貼りや使い回しをした疑いがあるのではないかと、4月30日に医科歯科大に通報があった。
  6. 東京医科歯科大学難治疾患研究所幹細胞制御分野 (田賀 哲也 教授)ウェブサイト
  7. 小保方氏 理研に質問書「ねつ造の解釈説明を」 (NHK NEWSWEB 4月30日 12時47分):三木弁護士は「調査委員会の前の委員長は、小保方リーダーと同じようなことをしながら『不正ではない』としている。どのような行為が不正に当たるのか、規程の解釈を明らかにしてほしい」と話しています。

 

笹井芳樹 理研CDB副センター長が記者会見

STAP細胞NATURE論文捏造事件においてNATURE論文の執筆で主要な役割を果たした理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が2014年4月16日記者会見を行い、NATURE論文投稿に至るまでの経緯を説明しました。

笹井芳樹氏会見質疑応答全収録;STAP細胞問題16日午後、都内

まずNATURE論文作製に笹井氏がどのように関わったのかという点に関して。

  • 実験の大部分(論文中の80パネルのうち75パネル)は、小保方氏が若山研究室の客員研究員だった2011年春より2年間の間に小保方氏によって行われた。
  • 実験データの解析と図表の作成も若山研究室で小保方氏がほとんどの部分を行なった。
  • NATURE誌への投稿論文は小保方氏と若山氏により一度書かれ、2012年春にネイチャー誌に一度投稿されたが却下された。
  • 2012年12月中旬に小保方氏がユニットリーダーとして登用される際の人事選考委員会において、小保方、若山両氏らがまとめた論文原稿の完成度が、研究の内容や発見の重要さに見合うだけのものになっておらず論文採択は難しいだろうという意見が出された。このため、竹市センター長より、論文作成を手伝うことを依頼され、2012年12月下旬より、論文原稿の書き直しの協力を開始。
  • 2013年3月に小保方氏がユニットリーダーとして採用され、その直後の3月10日にネイチャーに論文を投稿。
  • 投稿前の2月前後に、STAP現象の試験管内の評価に関する実験技術の指導も行なっている。
  • 論文のリバイスの段階における追加実験や技術指導も行なった。
  • 新しく追加された実験であるライブ・セル・イメージングなどの生データについては一緒に解析を行った。

笹井氏が論文著者として名を連ねるに至った経緯に関しては、バカンティ教授より強い要請を受けたためと説明しています。また、レター論文で責任著者になっていることに関しては、2013年9月の改訂論文の投稿時に若山氏から強く頼まれて3人目の責任著者になったのだそうです。

笹井芳樹氏を小保方晴子氏の上司と位置付けての報道もなされていましたが、笹井氏に小保方氏の実験に関して監督責任があったのでしょうか?その点に関しても笹井氏は説明をしています。

  • 研究不正とみなされた2つの実験データも含め、多くの実験データはすでに図表になっていたため、生データやノートを見る機会はなかった。
  • 自分の大学院生を指導する ときは『ノートを持ってきて見せなさい』と言えるが、小保方研究ユニットリーダーはあくまで独立した研究室のリーダーであり自分の研究室の部下ではないため、実験ノートや生データを見せなさい、とはならなかった。

捏造論文が世に出てしまった経緯に関して。

  • 今回の研究は複数のシニア研究者が複雑に関与した特殊な共同研究のケース。論文を書き上げたのが自分で、前段階である実験を指導したのが若山さんで別の人間であるという例外的な事情。
  • 現実的、過去の実験データにさかのぼって一つ一つの 生データをすべて確認することは難しい。

笹井氏はSTAP現象があることを前提としなければ容易に説明できないデータがあると述べてきましたが、捏造や改竄データが認定された論文の他のデータを正しいと信じろというのは無理なことです。笹井氏はなぜそれでもSTAP現象があると考えているのでしょうか?そのような質問に対しても回答がありました。

  • 配布資料に使った写真では、小保方氏が一人で解析できた実験結果は極力排除してある。
  • 実験の途中から投入することのできない細胞もあるし、撮影した画像などは、1コマ1コマ日付も入っており、これらをいじればすぐにわかってしまう。
  • 科学論理の立て方の問題になってしまうのだが、遺伝子解析をしたときに、STAP細胞が今まで知られている細胞でないことは事実。

博士論文をコピペしていたり、以前の論文でもDNAのゲルの写真を反転して図を捏造した疑いがインターネット上で指摘されていますが、研究者としての資質が問われるような人間を理研のユニットリーダーとして採用した理研の人事における責任は非常に重大です。採用の経緯に関しても説明がありました。

  • 「2012年12月中旬、小保方さんの研究リーダー採用の審査は、他の研究リーダーの選考と同様に人事委員会において、本人の研究プロジェクトの計画と現 在の研究のプレゼンテーションをお聞きし、さらに、委員が詳細な議論を行い、研究の独創性、挑戦性、研究の準備状況を中心に評価しました。これまでの小保 方さんの指導者からの評価も参考にしました。通常の手続きと同様で一切偏りがなかったと考えています。私を始め多くの人事委員は、本人と会い、話をしたの は採用面接が初めてです」
  • (研究者としての小保方氏をどう見るか)「非常に豊かな発想力があると感じています。それは採用時の人事委員会の皆の一致するところであります。ただ、トレーニングが足りなかったところ。未熟と いう言葉を使いたくないのですが、科学者として身につけるべきだったのに身についてなかった部分は、今回の発表後に明らかになりました。データ管理におけ る取り違えを生み出したりするなど、ある種のずさんさがあったと思います。その両極端が一人の人間の中にあるのかなと。シニアの研究者として私が後悔する のは、Natureの論文を2回も出すということはなかなかできることではない。しかし彼女の弱い部分を、もっとしっかりと認識して、背伸びをするだけで なく足下をきちんと固めることができなかったことを、非常につらく思っております」

今回の記者会見は、NATURE論文掲載に至るまでの経緯がようやく詳細に説明されたという点で意義がありました。

捏造論文発表の責任を笹井氏がどの程度負うべきかという点に関しては、さまざまな意見があります。記者会見の中で笹井氏は、自分は論文執筆を頼まれて手伝っただけであり、今回のSTAP細胞の研究発表ではあまり重要な役回りではなかったと言いたげでした。しかし過去の読売新聞の報道が正しければ、

STAP論文、掲載1週間前に最終稿…若山教授———­–読売新聞 3月23日(日)8時49分配信
STAP(スタップ)細胞の論文の主要な著者の一人である若山照彦・山梨大教授(46)は、読売新聞の取材に対し、論文の最終稿が理化学研究所のチームから届いたのは、掲載の約1週間前だったことを明らかにした。…若山教授によると、最終稿が理研発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹・副センター長(52)らから届いたのは、英科学誌「ネイチャー」で掲載が決まってから1か月後の今年1月。すでに大幅な修正ができない時期で、若山教授は自分の研究部分以外はチェックしなかった。論文は1月30日付で同誌に掲載された。

ある時点からは若山氏を蚊帳の外に置いて笹井氏が論文投稿の主導権を握っていたのではないかと推測されます。論文の最終原稿を共同研究者に見せずに投稿し、受理されて世に発表される直前になってからようやく原稿を渡すというのは相手を非常に軽んじる行為だからです。このような行為と記者会見での笹井氏の説明とは矛盾しないのでしょうか?

また会見では、iPS細胞の山中伸弥氏への対抗心があったのではないかと質問されて、完全に否定しました。しかし、多くの報道にあったとおり、

 理研、STAP細胞報道資料の一部撤回 iPS細胞との比較分(日本経済新聞 2014/3/18 19:47 )
… iPS細胞との性能を比較した説明資料で、STAP細胞の作製効率は30%と、iPS細胞の0.1%より優位性があるとしていた。資料はSTAP細胞の論文の共著者である理研の笹井芳樹副センター長を中心に作成した。山中伸弥・京都大教授は2月10日の記者会見で反論。0.1%というiPS細胞の作製効率は2006年当時のもので、現状では20%以上とした。(http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG1805T_Y4A310C1000000/

自分の専門分野の最新状況を知らないわけがないにも関わらず、わざわざiPS細胞の古い資料を引き合いに出してSTAP細胞の優位性を強調する行為は、対抗心の表れと言えないのでしょうか?

今回の記者会見の内容は言葉だけ聞けば整合性があるようにも思えますが、言葉と行動が合致しているのかどうかが問題です。

参考

  1. 科学研究面に関する説明資料 理化学研究所 笹井芳樹 (理研ウェブサイトPDFファイル)
  2. 【STAPキーマン 笹井氏会見詳報】(1)山中氏のライバル謝罪「共著者として心痛の極み」(産経ニュース2014.4.16 15:54)
  3. 理研笹井氏「依頼を受け参加」/一問一答(ニッカンスポーツ 2014年4月16日22時23分)
  4. 小保方晴子さんも理研も批判せず 笹井芳樹さんの会見はマスコミの追及を巧みに回避【STAP細胞】(HUFFPOST 2014年04月16日)
  5. 笹井氏STAP説明に、同僚「理解できない」 (読売新聞 2014年04月17日 10時04分):(理研発生・再生科学総合研究センターでの同僚の)研究者の一人は「会見で示されたデータに、ネイチャー論文以上のものはなかった。論文の信頼性が失われている以上、そのデータをもって合理性が高いと言われても正直、理解できない」と指摘。
  6. 【STAP細胞】笹井氏「有力な仮説」強調も新事実なく 争点には「分からない」 (産経ニュース 2014.4.17 10:24):STAP細胞がさまざまな細胞に分化できる重要な証拠となる画像が、小保方氏の博士論文の関連画像から流用された問題については「小保方氏から、真正画像があったが取り違えたと聞いている」と説明。ただ、小保方氏の不服申立書によると、「真正画像」の撮影は平成24年6月で、論文がネイチャー誌に投稿された同年4月より後。この矛盾を指摘されると笹井氏は「私が論文に関与する以前の話なので、どこでどう撮影されたのか分からない」と釈明した。
  7. STAP細胞 笹井氏の記者会見を受けて (HUFFPOST 東京大学医科学研究所 先端医療社会コミュニケーションシステム社会連携研究部門 特任教授 上昌広 投稿日: 2014年04月17日 16時48分):筆者は、この記者会見を聞いて違和感を抱いた。それは、「最後の段階で論文仕上げに協力しただけ」で、「実際に指導したのは若山照彦教授である」との主張を繰り返したからだ。この発言に納得する人は少ないだろう。笹井氏は、理研の再生科学総合研究センターのナンバー2だ。一般企業に例えれば、理研本部はホールディング・カンパニー、再生科学総合研究センター は事業会社に相当する。笹井氏は、一つの事業会社の副社長で、今春に社長昇格が予想されていた実力者である。センターの経営に大きくかかわってきたと考え るのが普通だ。通常、経営者は、経営判断に関して責任を負う。現に、記者会見では、小保方晴子氏のユニット・リーダーへの抜擢人事には関係したと明言している。今回の不祥事について、任命責任を負うのが当たり前だ。ところが、彼の発言からは、そのような気配は感じられなかった。まるで、自分のことを理研のリーダーと思っていないように見えた。
  8. 笹井氏の会見。「自分はギフトオーサーであるから、責任を取るつもりはない」と言っているようにしか聞こえない。これは、研究者社会を成り立たせているルールを、根本から否定しているのではないだろうか?(近藤滋 ‏@turingpattern)
  9. STAP細胞を前提にしないと説明できない?(大隅典子の仙台通信2014年 04月 16日):「STAP現象」ではなくても説明できるのではないか、という私見を記します。
  10. 「共著者としてあり得ない」=理研改革委の岸委員長-笹井氏「ノート見てない」で (時事ドットコム 2014/04/18-16:07):岸委員長は笹井氏について「実験ノートとかを知らなかったというのは、あまり強調すべきことではない」と述べ、重要な発見を世に問う論文の共著者としては不適切との考えを示した。

 

 

2014年4月9日に行われた小保方晴子氏の記者会見に関する補充説明

小保方晴子氏が2014年4月9日にSTAP細胞NATURE論文疑惑に関する記者会見を行いましたが、反響があったポイントなどに関する補足説明が小保方晴子氏の弁護団より公表されました。

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4月9日の記者会見に関する補充説明

 4月9日の記者会見における小保方晴子氏の発言に関して、いろいろな意見が出ていることを鑑みて、補充説明として小保方氏から聞き取りました点をご紹介いたします。

小保方晴子 弁護団

1 STAP細胞の存在について

(1)200回以上成功したと述べた点について 私は、STAP細胞の実験を毎日のように行い、しかも1日に複数回行うこともありました。STAP細胞の作成手順は、①マウスから細胞を取り出して、②いろいろなストレスを与え(酸や物理的刺激など)、③1週間程度培養します。この作業のうち、1と2の作業は、それ自体にそれほどの時間はかからず、毎日のように行って、並行して培養をしていました。培養後に、多能性マーカーが陽性であることを確認して、STAP細胞が作成できたことを確認していました。このようにして作成されたSTAP細胞の幹細胞性については、培養系での分化実験、テラトーマ実験やキメラマウスへの寄与の実験などにより、複数回、再現性を確認しています。 STAP細胞の研究が開始されたのは5年ほど前のことですが、2011年4月には、論文に中心となる方法として記載した酸を用いてSTAP細胞ができることを確認していました。その後、2011年6月から9月頃には、リンパ球のみならず、皮膚や筋肉や肺や脳や脂肪など、いろいろな細胞について、酸性溶液を含む様々なストレス条件を用いてSTAP細胞の作成を試みました。この間だけで100回以上は作成していました。 そして、2011年9月以降は、脾臓由来のリンパ球細胞(CD45+)を酸性溶液で刺激を与えて、STAP細胞を作成する実験を繰り返していました。このSTAP細胞を用いて、遺伝子の解析や分化実験やテラトーマの実験などを行うので、たくさんのSTAP細胞が必要になります。この方法で作ったものだけでも100回以上はSTAP細胞を作成しています。また、今回発表した論文には合わせて80種類以上の図表が掲載されており、それぞれに複数回の予備実験が必要であったことから、STAP細胞は日々培養され解析されていました。このことから、会見の場で200回と述べました。

(2)第三者によって成功している点について 迷惑がかかってはいけないので、私の判断だけで、名前を公表することはできません。 成功した人の存在は、理研も認識しておられるはずです。

2 STAP細胞作製レシピの公表について

STAP 細胞を作る各ステップに細かな技術的な注意事項があるので、一言でコツのようなものを表現することは難しいのですが、再現実験を試みて下さっている方が、 失敗しているステップについて、具体的にポイントをお教えすることについては、私の体調が回復し環境さえ整えば、積極的に協力したいと考えております。状況が許されるならば、他の方がどのステップで問題が生じているかの情報を整理して、現在発表されているプロトコールに具体的なポイントを順次加筆していくことにも積極的に取り組んでいきたいと考えております。 また、現在開発中の効率の良いSTAP細胞作製の酸処理溶液のレシピや実験手順につきましては、所属機関の知的財産であることや特許等の事情もあり、現時点では私個人からすべてを公表できないことをご理解いただきたく存じます。 今の私の置かれている立場では難しい状況ですが、状況が許されるならば実験を早く再開して、言葉では伝えにくいコツ等がわかりやすいように、映像や画像等を盛り込んだプロトコールとして出来るだけ近い将来に公開していくことに努力していきたいと考えております。

3 4月12日朝刊での新聞記事について

同日、一部新聞の朝刊において「STAP論文新疑惑」と題する記事が掲載されましたが、事実確認を怠った誤った記事であり、大きな誤解を招くものであって、許容できるものではありません。この説明は同日中に代理人を通じて同新聞社にお伝えしています。 (1)メスのSTAP幹細胞が作成されており、現在、理研に保存されております。したがって、オスの幹細胞しかないというのは、事実と異なります。 (2)STAP幹細胞は、少なくとも10株は現存しています。それらはすでに理研に提出しており、理研で保管されています。そのうち、若山先生がオスかメスかを確かめたのは8株だけです。それらは、すべてオスでした。若山先生が調べなかったSTAP幹細胞について、第三者機関に解析を依頼し染色体を調べたところ、そこにはメスのSTAP幹細胞の株も含まれていました。記事に書かれている実験は、このメスのSTAP幹細胞を使って行われたものです。

4 STAP幹細胞のマウス系統の記事について

2013年3月までは、私は、神戸理研の若山研究室に所属していました。ですから、マウスの受け渡しというのも、隔地者間でやりとりをしたのではなく、一つの研究室内での話です。この点、誤解のないようお願いします。 STAP幹細胞は、STAP細胞を長期培養した後に得られるものです。 長期培養を行ったのも保存を行ったのも若山先生ですので、その間に何が起こったのかは、私にはわかりません。現在あるSTAP幹細胞は、すべて若山先生が樹立されたものです。若山先生のご理解と異なる結果を得たことの原因が、どうしてか、私の作為的な行為によるもののように報道されていることは残念でなりません。

追記

4月9日の会見は「不服申し立て」に関する記者会見であり、準備期間も不十分で、しかも公開で時間も限られた場であったことから、STAP細胞の存在や科学的な意義についての説明を十分にすることができませんでした。しかしこのような事情をご理解頂けず、説明がなかったとして批判をされる方がおられることを悲しく思っております。理 研や調査委員会のご指示や進行具合にもよりますし、私の体調の問題もあるので、確かなお約束はできませんが、真摯な姿勢で詳しく聞いて理解してくださる方 がいらっしゃるなら、体調が戻り次第、できるだけ具体的なサンプルや写真などを提示しながらの科学的な説明や質問にじっくりお答えする機会があれば、あり がたく存じます。(会見形式では到底無理ですので、たぶん数名限定での説明になると思いますが・・・。)

以上

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若山氏との間で行なわれたサンプルのやり取りで129系統マウスがなぜかB6系統やF1系統に化けていた件に関しては、全て若山氏側の問題だと主張するものであり、対決姿勢が鮮明になりました。若山氏と小保方氏各々が当時の実験ノートを持ち寄って照合すれば、どちらサイドで何が起きたのか明らかになることでしょう。

小保方氏はSTAP細胞を200回以上作製したそうですが、そのような実験結果を本当に得ていたという主張を研究者に認めさせたければ、実験ノート、サンプルなどの物的証拠を示すべきであって、言葉で何を言ってもサイエンスの世界では通用しません。研究者世界の常識として、実験ノートにその200回分のSTAP細胞作製記録がなければならないのです。

この補充説明の文書で、「現在開発中の効率の良い」STAP細胞作製の酸処理溶液のレシピや実験手順は公表できないという不思議な表現が唐突に出てきました。もちろん、「現在開発中の効率の良いSTAP細胞作製方法」を今公表する必要はありません。しかし、小保方氏は「NATURE論文で用いたSTAP細胞作製方法」の 具体的なコツを(本当に実験結果を得ていたのなら)直ちに公表し、これ以上世界中の研究室で無駄な研究費や労力が使われないようにすべきです。

行動を伴わない言葉は全く無意味です。論文発表した以上、他の研究者が再現でき るように尽力するのは論文著者の義務であって、それが研究者社会のルールです。研究者としてのルールを守らない人間は、研究者の世界に存在すべきではありません。

データ捏造、データ改竄としか考えられない、あり得ない「ミス」を犯してしまって己の未熟さを反省していますという言葉が出てくる一方で、このような生物学を愚弄するかのような言動がダラダラと続いていることは、研究者には許容し難いことです。

実験ノートをきちんとつけること、発表に際して実験データを改変しないことなどは研究者の常識であり研究者に当然備わっているはずの倫理観です。研究能力以前の問題です。それらを全く持たない人をユニットリーダーに登用した理化学研究所の責任は重大です。

理研調査委員会は2014年4月1日の記者会見で小保方晴子氏のデータ捏造、改竄を認定しましたが、それはこの捏造論文事件の一部に過ぎず、なぜこのような事件が生じたのかその全体像を示すような説明が全く理研側からなされていません。

参考

  1. 小保方氏が発表の文書 全文(NHK NEWS WEB 4月14日 13時20分)
  2. 4月9日の記者会見に関する補充説明(毎日新聞ウェブサイト http://www.mainichi.co.jp/pdf/20140414science.pdf)
  3. 小保方氏、会見の「補充説明」弁護士通じ発表 STAP細胞作製の第三者を「理研も認識」(J-CASTニュース 2014/4/14 16:03):これに対し、理研側は同日、「細胞の多能性マーカーが陽性になる段階までは確認した研究者がいることは認識している。しかし、これはSTAP細胞があったかどうかを結論付けるものではなく、STAP細胞があると言えるものではない」とコメントした。

理研が小保方ユニットリーダーの契約を更新

STAP細胞論文の筆頭著者である小保方晴子氏の雇用契約を理研が更新したというニュースを聞いて絶句した研究関係者も多いのではないでしょうか?

世間一般の人には理解されにくいことですが、年収300万円程度、1年契約という経済的にも精神的にも非常に不安定な状況に置かれながらも真面目に研究に勤しんで結果を出し続けている誠実な研究者が多いのが、日本の研究者社会の現状です。

そして博士号取得後にそのような努力を数年間続けても結局研究職では定職が得られずに科学者としてのキャリアをあきらめざるを得なくなり、この4月から別の職種に就いた人も多いの実情なのです。

職を得ることに関してはそんな過酷な競争を強いられる研究の世界で、研究者の想像を絶するような「不適切なデータの取り扱い」により論文を出した人が、4月からも引き続き理研でPI(PRINCIPAL INVESTIGATOR, 研究室の主宰者)のポジションに残れてしまうというのは衝撃的です。

 

研究者を雇う立場の研究者や研究所には、健全で公正な研究者間の競争を保証する責務があります。研究不正に対する厳正な対処がなされなければ、それは著しい不公平感を生み出し、真面目な研究者のやる気を失わせ、日本の科学研究を停滞させるでしょう。

参考

  1. 理研、小保方氏の契約更新…調査結果確定せず (読売新聞YOMIURI ONLINE 2014年04月10日 08時49分):小保方氏が所属する理研発生・再生科学総合研究センターによると、理研の調査委員会がSTAP細胞の論文に不正があったと認定したものの、調査結果は確定しておらず、処分も決まっていないことから、契約を更新した。
  2. 論文騒動の裏に“理研の利権争い”? (東スポWeb 2014年03月16日 16時00分):小保方さんクラスなら年収約800万円ほどで、75%の家賃補助も出る。
  3. 理研が落ちた「わな」:再生医療の覇権争い iPS先行で (毎 日新聞 2014年03月19日 16時16分 最終更新 03月19日 16時19分):研究不正の疑いがもたれている小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーは5年契約で、給与と は別に総額1億円の研究予算が与えられている。
  4. あまりにも異常な日本の論文数のカーブ(ある医療系大学長のつぼやき 2012年06月27日):この図をみると、少し太めの赤線で示されている日本の論文数が、多くの国々の中で唯一異常とも感じられるカーブを描いて減少していますね。
  5. 研究力シンポの報告(1)”あまりにも異常な日本の論文数のカーブ”revisited(ある医療系大学長のつぼやき 2013年11月17日 ):今回の分析では、このトムソン・ロイター社の論文数のデータにおいても、先進国の中で日本だけが減少していることは明白です。

小保方晴子氏の不服申立書が公開

明日2014年4月9日の記者会見を前にして、 小保方晴子氏の不服申立書が新聞などを通じて公開されました。申し立て書の内容は、小保方氏の行為は理研の規程によって定義される研究不正には当たらないという論理展開になっています。

すなわち、(1―2)については、もともと、「研究活動によって得ら れた結果等を真正でないものに加工する」という行為態様がなく、「改ざん」が疑われる事案ではなく、論文への掲載方法が適切か否かの問題にすぎないのに、 これらを混同して研究不正の認定を行っている点で妥当でない。

また、(1―5)についても、「存在しないデータや研究結果 を作り上げ」るという行為態様がなく、「捏造」が疑われる事案ではなく、論文に掲載する時点で、誤った画像を掲載してしまったという問題にすぎないのに、 これらを混同して研究不正の認定を行っている点で妥当でない。(http://www.yomiuri.co.jp/science/20140408-OYT1T50192.html?from=ycont_navr_os)

室谷弁護士は「研究不正とは、成果がなかったのに、あったかのように偽装することだ」と説明。その上で、小保方氏が細胞のDNAを分離する解析「電 気泳動」の画像データを切り貼りし、改ざんをしたと認定されたことについて「画像を見やすいようにしただけ」。「発表の仕方が不適切だからといって、研究 活動で得られた結果が虚偽になるわけではない」と語気を強めた。

さらに、論文とは実験条件の違う画像を他から転用し、「捏造に当たる」と指摘されたことについても、本来掲載すべきだった画像が存在する点を強調し、「動機がない」と不正を否定した。(www.kobe-np.co.jp/news/iryou/201404/0006848140.shtml)

本来掲載すべきだった画像が存在するという主張を正当化するためには、当然その画像データを得たときの実験ノートをもとに画像データが得られた過程を説明できなければなりません。先に行なわれた理研の調査委員会では実験ノートに基づいて記録を追跡することが不可能だったというのですから、差し替え用の画像の存在は、不正の疑いを晴らす根拠にならないでしょう。

4月9日の記者会見で小保方氏がどのような説明を行なうのかが注目されます。

ニコニコ生放送(番組ID:lv175328217)
小保方晴子氏 記者会見 生中継<STAP細胞・最終報告書に対する不服申し立て>

2014/04/09(水) 開場:12:50 開演:13:00
【説明者】小保方晴子 理化学研究所・細胞リプログラミング研究ユニットリーダー、三木秀夫 弁護士、室谷和彦 弁護士

参考

  1. 不服申立書の全文・上(読売オンライン2014年04月08日 23時08分)
  2. 不服申立書の全文・下(読売オンライン2014年04月08日 23時08分)
  3. 小保方さんが理研に要望「不服審査の委員の半数以上は法律家にすべき」(弁護士ドットコム 2014年04月08日 20時46分)
  4. 小保方氏の代理人弁護士、理研に不満あらわ (ニッカンスポーツ 2014年4月8日23時2分):代理人の室谷和彦弁護士は約1時間、大阪弁護士会館(大阪市北区)の会議室に集まった数十人の報道陣を前に、提出直前まで手を加えた約20ページの申立書に沿って熱弁を振るった。…質疑応答では、画像を取り違えた経緯に質問が集中。室谷弁護士が腕組みし「資料がなく、分析もできないので分からない」と考え込む場面も。
  5. STAP論文「調査に疑問点多数」 小保方氏代理人が会見(神戸新聞 2014/4/8 22:57):

香港のリー博士が「酸処理なし・機械刺激のみ」の条件でSTAP細胞作製再現に成功??【否定】

【注意】当初ポジティブに報道された李博士のこのSTAP細胞に関する実験結果ですが、李博士自身否定的な見解に落ち着いたようです。

 

香港中文大学(The Chinese University of Hong Kong)のケニース・リー(Kenneth Ka-Ho Lee)博士が、ヴァカンティ教授が発表したプロトコールの一部を変更した方法によりSTAP細胞作製に成功したかもしれないという実験結果をリサーチゲート(researchgate.net)に投稿しました。

多能性獲得の分子マーカーOCT4などの遺伝子発現が、機械刺激後培養3日目で検出されたという実験結果です。

KennethLee_qPCR_20140401

LEE博士の実験結果によれば、酸処理はむしろ逆効果で、破砕処理(TRITURATON)の機械的刺激のみのほうが条件として良いといえます。

LEE博士は、現段階での実験結果にはいろいろな解釈があり得るので、STAP細胞ができたとは言わない、と慎重なコメントを出しています。

“Potentially, expression of these pluripotent markers could be the bi-product of un-regulated gene expression by the dying or stressed cells. I agree 100% with Paul Knoepfler’s comments.

I am not claiming that “STAP” cells exsist  – only presenting the results of our research as it is – which is open to interpretation.  Please, don’t Hype up this data!” (Kenneth Ka-Ho Lee

またStem Cell Blogを運営するノフラー博士はリー博士のこの実験結果に対して懐疑的な態度を示しています。

Let’s see how this develops, but I remain skeptical that this is a specific induced pluripotency-related event related to trituration and that what you are seeing here is STAP cells. I hope I’m wrong and it is something real on the STAP front, but I doubt it. Thanks again, Ken, for all the hard work that your lab is doing! Paul (Paul Knoepfler · University of California, Davis)

JCASTニュースによれば、

3日放送のテレビ朝日系「モーニングバード」とフジテレビ系「とくダネ!」はリー教授に直接電話で話を聞いた。リー教授は、STAP細胞の生成に成功したとか存在しているとか言ったことはない、と完全否定し、

「実験結果を報告しただけで、それがSTAP細胞だと勘違いされてしまった。STAP細胞に関しては、実験を始めて3日後に細胞は死んでしまい失敗してしまいました。できた細胞はSTAP細胞の特質すらありませんでした」

と語っていた。

とのこと。

さらに新しい朝日新聞の報道によると、李博士は

李教授は「本当にSTAP細胞ならマーカーの値は数百倍程度に上がるはず。誤解を与える伝え方をして反省している」と話した。

とのことです。結局、李博士はSTAP細胞の再現実験の試みは止めるそうです。

参考

  1. ResearchGate.net Review of article: Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency.Haruko Obokata, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato, Charles A
  2. 香港中文大学、STAP細胞作製の再現に成功か(WIRED.JP 2014.4.2 WED 修正版4.3):李氏は、自分の実験結果(現在公開されている手法ではSTAP細胞は作製されないとするもの)を『Nature』に提出し、3月24日に同誌から掲載を拒否されていたが、同氏はその後、ヴァカンティ氏の手法の応用に取りかかった。李氏は自らのすべての実験プロセスを、オープンソース・プラットフォーム「ResearchGate」において、リアルタイムで公開…「わたしはSTAP細胞が存在していると主張しているわけではない。わたしがResearchGateに掲載した実験結果は、非常に初期のものだからだ。わたしはヴァカンティ氏のプロトコルを追試した。それは、小保方氏のプロトコルとは大きく異なるものだ」「わたしが提供した情報は、酸に浸す処理というよりは物理的な研和処理が幹細胞を誘発するかどうかについて、ほかの研究所が追試するときに助けになると確信している」
  3. Prof LEE Ka Ho Kenneth 李嘉豪(香港中文大学 生物医学学院 The Chinese University of Hong Kong, School of Biomedical Scinces)
  4. Blogger Reports STAP Success(The Scientist April 1, 2014):Lee now claims he has succeeded at reproducing STAP using Vacanti’s protocol—well, sort of.
  5. 関由行 ‏@yoshiyuki_seki 12時間 @TJO_datasci @yulimekko 8倍程度ですからねー。ESだと数百倍は発現しているので、8倍程度では発現しているとはみなせないと思いますよ。
  6. 香港の大学でSTAP細胞の作成に成功?? ネットで「理研は小保方に謝れ!」騒ぎになったが誤報だった (JCASTニュース 2014/4/ 3 17:43)
  7. 「STAP細胞が存在する証拠ない。エイプリルフールのジョークというべきだった」香港の李教授が自ら否定 (The Huffington Post 2014年04月03日 10時14分 JST):STAP細胞生成の再現に香港中文大学の李嘉豪教授が成功したと報道された件について、李教授は4月2日、自らのTwitterでこれを否定した。…「小保方さんの実験方法ではSTAP細胞は再現できませんでした。他の人がやっても時間の無駄です。STAP細胞は存在しないと思います」…
  8. STAP細胞再現、一転訂正 香港の研究者(朝日新聞デジタル 2014年4月3日22時00分):STAP細胞とみられる多能性幹細胞の培養に成功した可能性がある、と公表していた香港中文大の李嘉豪教授が3日、朝日新聞の取材に、できたのはSTAP細胞ではない可能性が高いことを明らかにした。再現実験もやめるという。

理化学研究所調査委員会がSTAP細胞論文捏造事件に関する最終報告【ニコニコ生放送】

産経ニュースの報道によると、理化学研究所が設置したSTAP細胞研究論文に関する調査委員会の最終報告は4月1日の午前中に発表されるとのことです。3月14日に行われた中間報告では重大な項目に関して不正の認定を先送りにして不評を買いました。

中間報告ではうやむやにされていましたが、問題になっている論文の図に対応する実験ノートの記載は結局のところあったのかなかったのか?

調査委員会が公表していた中間報告書が3月31日付けで突然何の説明もなしに「修正」されました。データ捏造の証拠になる重要な実験データを削除したのではないかという疑いでネット上が騒然としていますが、この「修正」の真意がきちんと説明されるのか?

悪意が立証できない意図的な捏造・改竄を不正と認めるのか?

今回の最終報告でどのような裁定が下るのか、非常に注目されます。

STAP細胞の懐疑点 PART198

10 :名無しゲノムのクローンさん:2014/03/31(月) 22:51:38.58
悲報、理化学研究所がstap細胞論文の中間報告書を無言で差し(すり?)替えか
1 :Ψ:2014/03/31(月) 20:52:18.11 ID:r81D0YWx0
TJO ?@TJO_datasciもう気付いた人も多いみたいだけど、いつの間にか理研は3/14の会見で見せていた中間報告書を3/31付で差し替えている。
現在の版
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/topics/2014/20130314_1/document-5.pdf
以前の版
http://web.archive.org/web/20140314222554/http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/topics/2014/20130314_1/document-5.pdf以前の版に出ていた電気泳動バンド画像の中に、見られては困るものでもあったのかな
https://twitter.com/TJO_datasci/status/450577511185793024cuttingedge ?@cuttingedgevvv
@TJO_datasci 以前の版10 ページにあるGe2では、右端3つのレーンでキメラのTCR遺伝子再構成が写っているのですが、それがバッサリ削除されてる。
https://twitter.com/cuttingedgevvv/status/450578629735358464

37 :名無しゲノムのクローンさん:2014/03/31(月) 23:07:42.66
923 :名無しゲノムのクローンさん:2014/03/31(月) 22:35:44.39
誰か明日の会見で
前の中間報告書のゲル電気泳動全体像の図の2枚目の一番右の方3つに2Nキメラマウス(STAP)のレーンがあり
そこではTCR再構成を示すバンドが複数でているんだけど、報告書を差し替えてそこを”なかったことにした”のはなぜですか?と聞いてみろ
ついでに、あなたたちのストーリーだとすべての問題は悪意がないということになっているけど
もしTCR再構成のおこったSTAP細胞からマウスを作れたという事実が最初からないなら、当然、2Nマウスのレーンにそれが見えてしまうことはありえないんだけど
どうして見えてしまったんでしょうか?ってことをきいてみてw
68 :名無しゲノムのクローンさん:2014/03/31(月) 23:17:12.19
3月31日付の中間報告訂正で消された2NキメラのTcrbは、今回の実験に捏造があった何よりの証拠。
これを理研が消したってことは、捏造はなかったと言うことで最終報告を終わらせようとするやる気満々の姿勢。以前に出した詳細なプロトコルでSTAP幹細胞にTcrなしと報告したこととも矛盾する。
91 :名無しゲノムのクローンさん:2014/03/31(月) 23:24:53.87
問題は、修正点と修正理由が一切書かれていないことだ

134 :名無しゲノムのクローンさん:2014/03/31(月) 23:34:16.88

>>57これが、中間報告のオリジナルのスライド資料。
P9, P10 にPCRの電気泳動の生データ(14レーン+15レーン)がある。なぜ、これを削除して、中間報告のスライド資料を改変したのか!
これは、是非明日質問すべきだと思う。信じられないことする。改変前(3月14日の発表時)
http://fast-uploader.com/start/6951831088893/改変後
調査委員会調査中間報告書(スライド資料)(2014年3月31日修正)
http://www.riken.jp/~/media/riken/pr/topics/2014/20130314_1/document-5.pdf

ニコニコ生放送予定

2014/04/01(火) 開場:10:00 開演:10:30
STAP細胞 研究論文の疑義に関する最終報告 調査委員会会見 (番組ID:lv174525186)

調査委員会による調査報告に関する会見
【出席者】
石井 俊輔 研究論文の疑義に関する調査委員会 委員長
川合 眞紀 理事(研究担当・調査委員会委員)
米倉 実  理事(コンプライアンス担当・調査委員会委員)

2014/04/01(火) 開場:12:30 開演:13:00
 STAP細胞 研究論文の疑義に関する最終報告 理研による会見 (番組ID:lv174525904) 

理化学研究所会見
【出席者】
野依 良治 理事長
川合 眞紀 理事(研究担当)
米倉 実  理事(コンプライアンス担当)
竹市 雅俊 発生・再生科学総合研究センター センター長
石井 俊輔 研究論文の疑義に関する調査委員会 委員長

文部科学省のウェブサイトには研究不正を疑われた研究者には説明責任があると記されています。調査委員会が「悪意」を証明する必要など全くないのです。

〔不正行為の疑惑への説明責任〕
○ 調査において、被告発者が疑惑を晴らそうとする場合、自己の責任において科学的根拠を示して説明しなければならない。
○ 被告発者が生データや実験・観察ノート、実験試料・試薬等の不存在など、本来存在するべき基本的な要素の不足により証拠を示せない場合は不正行為とみ なされる。ただし、その責によらない理由により、上記の基本的な要素を示すことができなくなった場合等正当な理由があると認められた場合を除く。(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/houkoku/attach/1334652.htm

参考

  1. 4月1日に最終報告書公表=理研、STAP細胞論文問題で(時事ドットコム2014/03/31-13:16):理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーらが英科学誌ネイチャーに発表した新万能細胞「STAP(スタップ)細胞」論文に疑義がある問題で、理研は31日、調査委員会(委員長・石井俊輔理研上席研究員)による最終調査報告書について、東京都墨田区内で4月1日午前10時半から記者会見を開くと発表した。
  2. 論文疑惑、1日に最終報告 不正の有無が争点 (産経ニュース 2014.3.31 22:29):理化学研究所は31日、小保方晴子・研究ユニットリーダーらが発表した新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文を巡る疑惑で4月1日午前に東京都内で記者会見を開き、調査委員会の最終報告書を公表すると発表した。
  3. “STAP細胞” 理研が最終報告へ (NHK NEWS WEB 3月31日 15時19分):理化学研究所などのグループが発表した「STAP細胞」について、論文の画像やデータに不自然な点が相次いで指摘されている問題で、理化学研究所は4月1日、記者会見を開き、調査の最終的な報告を公表すると発表しました。

Vacanti教授らが疑惑論文Obokata et al., 2011を訂正

小保方晴子氏がハーバード大学バカンティ研究室に留学中に行った仕事が2011年に専門誌「ティッシュ・エンジニアリング・パートA」に論文発表されていましたが、この論文中でデータの不適切さが指摘されていた箇所(http://stapcell.blogspot.jp)が「訂正」されました。「訂正」の要旨によれば、酷似したPCRのバンドが図3内で、また、図2と図3の間で、間違って配置されたり重複して使われていたということです。インターネット上で指摘されていた「画像の使いまわし」の内容を著者らが完全に認めています。

写真全体が重複していれば、同じ写真を間違って使ってしまったという釈明がありえるかもしれません。しかし、この論文ではゲルの一部のバンドを反転させて流用するなど、通常の図の作製過程では起こり得ないことが生じています。

「画像の使いまわし」=「データ捏造」にもかかわらず、この雑誌「ティッシュ・エンジニアリング・パートA」の編集部も論文著者らもこの研究不正論文を「取り下げ」にせずに「訂正」で済ませるのは、倫理感が欠如しており非常に由々しき問題です。

VacantiErratum

Erratum: The Potential of Stem Cells in Adult Tissues Representative of the Three Germ Layers

ABSTRACT

In our paper entitled; “The Potential of Stem Cells in Adult Tissues Representative of the Three Germ Layers”, published in the journal, Part A Volume 17, Numbers 5 and 6, 2011, some errors have been identified in the figures published. Some very similar appearing PCR bands displayed in Figure 3, are incorrectly placed or redundantly used, either within Figure 3 or between Figures 2 and 3.

Dr. Charles A Vacanti, M.D. BWH, Anesthesiology, Boston, Massachusetts, United States; cvacanti@partners.orgDr. Haruko Obokata Harvard Medical School, Brigham and Women’s Hospital, Anesthesiology, 75 francis st. , Boston, Massachusetts, United States, 02446, +81-80-1137-2905; obokata@toki.waseda.jp

Dr. Koji Kojima 75 Francis Street, Boston, Massachusetts, United States, 02115, 16177325863, 16177302801; kojima@zeus.bwh.harvard.edu

Dr. Karen Westerman Harvard Medical School, Brigham and Women’s Hospital, Anesthesiology, Laboratory for Tissue Engineering and Regenerative Medicine, Boston, Massachusetts, United States; kwest@zeus.bwh.harvard.edu

Dr. Masayuki Yamato, Ph.D Tokyo Women’s Medical University, Institute of Advanced Biomedical Engineering and Science, 8-1 Kawada-cho, Shinjuku-ku, Tokyo, Japan, 162-8666, +81-3-3353-8111, +81-3-3359-6046; myamato@abmes.twmu.ac.jp

Prof. Teruo Okano Tokyo Women’s Medical University, Institute of Advanced Biomedical Engineering and Science, 8-1 Kawada-cho, Shinjuku-ku, Tokyo JAPAN, Tokyo, Japan, 1628666, +81-3-5367-9945, +81-3-3359-6046; tokano@twmu.ac.jp

Prof. Satoshi Tsuneda Waseda University, Department of Life Science and Medical Bioscience, Shinjuku, Tokyo, Japan; stsuneda@waseda.jp

Accepted: 02 23 2014
Received: 02 23 2014
参考
  1. Erratum: The Potential of Stem Cells in Adult Tissues Representative of the Three Germ Layers(Dr. Charles A Vacanti, M.D.,Dr. Haruko Obokata,Dr. Koji Kojima,Dr. Karen Westerman,Dr. Masayuki Yamato, Ph.D,Prof. Teruo Okano,Prof. Satoshi Tsuneda Online Ahead of Editing: March 13, 2014):Some very similar appearing PCR bands displayed in Figure 3, are incorrectly placed or redundantly used, either within Figure 3 or between Figures 2 and 3.
  2. Haruko Obokata, Koji Kojima, Karen Westerman, Masayuki Yamato, Teruo Okano, Satoshi Tsuneda, and Charles A. Vacanti. Tissue Engineering Part A. March 2011, 17(5-6): 607-615. doi:10.1089/ten.tea.2010.0385.
  3. 小保方氏の留学中の論文、画像使い回しか 共著者が訂正(アピタル 朝日新聞の医療サイト2014年3月19日):この専門誌「ティッシュ・エンジニアリング・パートA」はバカンティ教授らが1995年に創刊した。

STAP細胞検証について日本学術会議が提言

STAP細胞捏造論文に関する理化学研究所の中間報告の記者会見が2014年3月14日に行われましたが、これを受けて日本学術会議はこの調査委員会の中立性に疑問を呈し、調査委員会のメンバーを明らかにすること、調査委員長は外部の人間にすること、また、STAP細胞作製の真偽にまで踏み込んだ調査を行うことなどを提言しました。

日本学術会議会長談話 STAP 細胞をめぐる調査・検証の在り方について 平成26 年3 月19 日
日本学術会議会長 大西 隆 (PDFリンク

この談話の中で、「調査委員会の構成が明らかにされておらず、委員長も内部の方が務めるなど、その的確性や透明性において必ずしも十分とは言い難い」と理研の対応を厳しく批判しています。そして

(1) 今後の調査スケジュールを示すこと、
(2) 調査メンバーを明らかにし、委員長は外部の人にすること、
(3) STAP細胞作製という主張の科学的妥当性を検証すること、
(4)研究実施及び論文作成・発表の過程における理化学研究所の組織ガバナンスの問題を検証すること、
の4点を要望しています。
参考
  1. 日本学術会議とは:日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。
  2. 科学者の社会的責任と科学の発展(2014年1月 第22期日本学術会議会長大西隆):研究論文のねつ造、改ざん、盗用をはじめとする不正行為や研究費の不正使用等は、科学者や科学が社会にもたらす損失であり、科学の信頼を失墜させます。日本学術会議は、高度に発達した科学の内包する危険を自覚し、その回避のために叡智を結集するとともに、不正行為や不正使用の撲滅のために、大学、研究機関、学協会等とともに具体的な取組を進めることにしました。

理化学研究所の体質

毎日新聞の報道によれば、2014年3月18日に自民党本部で開かれた科学技術・イノベーション戦略調査会などの合同会議で、理研の野依良治理事長らは「今の段階で捏造があったとは認められない。」と説明したそうです。

データ捏造や研究不正が明らかな事項を「調査継続中」として結論を先延ばしにしておき、「現段階では捏造があったとはみとめられない」というのは詭弁です。今回のデータ捏造の事実関係を把握していない人に対してこのような言葉を伝えるのは、その人を騙す行為です。日本の科学技術政策の決定に関わる場面で、このような詭弁を用いることが許されていいのでしょうか?真面目に研究している多くの科学者や納税者を愚弄しています。

参考

  1. STAP細胞:理研「再現実験に3カ月、まとめに1年」(毎日新聞 2014年03月18日 19時48分 最終更新 03月18日 20時21分):会議終了後、塩谷立同調査会長は「(理研によると)今の段階で捏造(ねつぞう)があったとは認められないとのことだった。再発を防ぐため、研究体制がどうあるべきか、できるだけ早い時期に提示してほしいと要望した」と述べた。
  2. 理化学研究所人員・予算(理化学研究所ウェブサイト):理化学研究所平成25年度予算844億4300万円
  3. 理研・野依理事長が研究・出版倫理と不正行為についてAdv. Synth. Catal.誌に寄稿(ワイリーサイエンスカフェ):すべての科学者は、不正行為が科学に対する裏切りだということを肝に銘じるべきである
  4. 野依良治(ウィキペディア):キラル触媒による不斉反応の研究で2001年ノーベル化学賞を受賞。

小保方晴子ユニットリーダーの研究費は5ヵ年契約で1億円

2014年3月14日に行われた理研の記者会見の質疑応答の中で、小保方ユニットリーダーに配分されているお金が年間で研究費1000万、人件費1000万円合計2000万円であることが明らかにされました。人件費というのは小保方氏本人の給与ではなくて、研究補助の技術員等を雇うためのお金です。5ヵ年契約で、総計1億円が小保方晴子ユニットリーダーに研究費として配分されるということです。

非常に優れた業績を上げている人だけが理研で職を得ることができ、しかも優れた業績を出し続けることが要求されてしかるべきです。本来そういう場所であるにも関わらず、データの写真の切り貼りをやってはいけないとは思わなかったと言う、研究者として何のトレーニングも受けていない人間が紛れ込んできて、1億円もの研究費を配給されるのですから、小保方氏を採用した理研CDBの責任が問われないというのはあり得ないことでしょう。税金をドブに捨てているようなものです。

小保方ユニットのウェブサイトを見ても技術員などのメンバーが一人も見当たりませんし、コピーアンドペーストで論文の図を作るのなら実験をたくさんする必要もないでしょう。巨額な研究費が一体何に使われているのか非常に不思議です。

2014年3月14日の記者会見を見る限り、調査委員会は論文の図に関して6項目を挙げて悪意のある改ざんがあったかどうかを調べると述べており、自らのタスクをかなり限局してしまっています。これでは理研が本気でこの問題に取り組んでいるということがあまり伝わってきません。研究費が本当に正しく使用されていたのか、問題にされていない図に関しても本当にそれに対応する実験が行われた形跡があるのかどうかなど、もっと研究不正の可能性を広く捉えて調査し発表すべきでしょう。実験が本当に行われていたのかどうかは、実験ノートの記述の有無や、必要な試薬や消耗品の購入履歴を調べることによっても確かめられるはずです。

理研の理事は調査委員会の結果報告を受けて処分を考えるという内容の発言をしていましたから、調査対象が最初からあまりにも狭いと、不正が見逃されてしまい適切な処分が下されなくなる恐れがあります。

小保方ユニットリーダーの場合 研究費・人件費各々1000万(合計2000万)

参考

  1. 理研が落ちた「わな」:再生医療の覇権争い iPS先行で(毎日新聞 2014年03月19日 16時16分 最終更新 03月19日 16時19分):STAP細胞の研究拠点である神戸市の理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)には年間30億円が配分される。研究不正の疑いがもたれている小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーは5年契約で、給与とは別に総額1億円の研究予算が与えられている。
  2. 理研について 人員・予算(理化学研究所ウェブサイト):平成25年度予算合計844億4300万円。発生・再生科学総合研究事業費29億3700万円

理化学研究所がSTAP論文不正疑惑に関する中間報告「調査継続中」【4時間全録動画】

理化学研究所がSTAP論文不正疑惑に関する中間報告の記者会見を2014年3月14日に行いました。各新聞社の記者や他のメディアの記者らが次々と質問をし5人がそれに答える形で会見が進み、結局4時間を越える長い会見となりました。

会見を行ったのは、

野依良治 理化学研究所理事長(ウィキペディア
川合眞紀 理化学研究所理事(研究担当)(研究室ウェブサイト
米倉 実 理事 理化学研究所コンプライアンス担当(ウェブサイト
竹市雅俊 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB) センター長(研究室ウェブサイト
石井俊輔 調査委員会委員長(理化学研究所上席研究員)(研究室ウェブサイト

の5人です。

竹市理研CDBセンター長も野依理事長も今回の論文発表の不適切さに関しては、あり得ないことだと断じており、厳しい態度でこの問題に臨んでいることが伝 わって来ま した。また石井調査委員長は記者らのどんな質問にも丁寧かつ明快によどみなく答えていただけでなく、サイエンティストとし ての本音が感じられるような手厳しい見方も時折示していました。

石井俊輔調査委員会委員長が質疑応答のときに何回も繰り返していましたが、この調査委員会のミッションはSTAP細胞の真偽を科学的に立証することではなく、あくまでも今回の論文発表に関して不正行為が存在したかどうかを調査することだそうです。結局のところ、不正行為があったかどうかはまだ調査中であり結論は持ち越されました。

NATURE論文のデータは疑惑が噴出しすぎていて、どのデータはまだ正しいと考えて良いのかが混沌としていますが、今回の記者会見での野依理事の発言にもあったように、いまでもSTAP細胞の存在を信じているというのが理研の立場のようです。STAP細胞作製の再現性・追試を行っている研究者は誰なのかという質問には竹市センター長が、理研CDBの丹羽博士が行っていると答えました。

博士論文で使用した画像をNATUREの論文でも使いまわした点は意図的な捏造の有力な証拠の一つと考えられます。この中間報告で記者から「そういうことがありえるのか?」と質問されたのに対して、石井調査委員長は「かなりレア。」という表現をするに留め、調査継続中であると答えました。

川合理事は不正を立証するのは調査委員会の仕事という主旨の発言をしていましたが、むしろ、不正がなかったことを立証する責任が著者らにあるとすべきでしょう。

今回の中間報告では2つのNATURE論文で指摘されている6つの疑問点のうち2つに関しては悪意のある不正とはいえないという結論を出しており、残る4点に関しては悪意のある不正だったかどうかに関してはまだ結論が出ていない(「調査継続中」)と表現しています。

この中間報告で明らかになった一番の問題点は、調査のあり方そのものでした。例えば一つめのNATURE論文の図1で緑色に光ってきた細胞の形が不自然ということに関しては、「従って、動画からこの図を作製する過程には改ざんの範疇にある不正行為はなかったと判断される。」(PDF)と結論付けました。なるほど一意委員長の説明には説得力があります。しかし、動画からのこの図を作製する過程には不正行為はなかったとしても、みんなが一番知りたいことは、この動画を撮る以前の過程、すなわちSTAP細胞を作製する実験そのものに不正がなかったのかどうかということです。その点に関する調査報告なしに、6つの疑問点のうちの1つは解消されましたというのは詐欺的な態度です。言っていることにウソはないが、もっと大きな真実を明らかにしようとしていないからです。

NATUREの論文で他人の論文の記述を相当量コピーアンドペーストしていたというのは事実なのですから、その一点に限っても理化学研究所が定義する「盗 用」そのものであり、「研究不正」と結論できるはずです。3月14日の中間報告でなぜそのような見解が示されなかったのか、首をかしげざるをえません。6 項目のうち不正が認められなかった2項目のみを「不正が見つからなかった」と中間報告したのは恣意的な感じがします。石井調査委員長がどれほどプロフェッショナルな仕事をしても結局のところ調査報告には中立性が全く保証されていないということです。

この中間報告を受けてメディアが出した記事の中には、

「2項目は不正なし」=重要画像は「酷似」—STAP細胞で中間報告・理研 (ウォール・ストリート・ジャーナル2014年 3月 14日 15:48 JST 更新)

STAP 細胞論文「研究不正にあたらず」「継続して調査」、理研が中間報告を Web で公開(アメーバニュース 2014年03月14日 18時00分 提供:japan.internet.com)

STAP細胞問題で理研、論文画像の指摘2点について「不正に当たらない」と判断 4点は継続調査(ITmediaニュース2014年03月14日 14時21分 更新)

といった見出しをつけたところがありました。一般の読者がこれらの見出しだけ読むと「不正無し」が全体の結論だったのかと誤解しそうです。このような記事タイトルがついてしまった一番の理由は、理化学研究所が「不正があった」と受けとられそうな表現を徹底的に排除した中間報告を行ったからでしょう。新聞記者たちは何とかしてそういった言葉を引き出そうと繰り返し質問していましたが、石井調査委員長は慎重に言葉を選んでいました。

結局のところ、理研が理研の不正を調査するという構図がそもそもおかしいという至極当たり前のことが確かめられた中間報告記者会見でした。理研の影響を一切受けない外部の研究者が調査すべきです。

FNNnewsCH(フジニュースネットワーク)
(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(1/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(2/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(3/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(4/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(5/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(6/7)

(全録)「STAP細胞」論文 理研の調査委員会が中間報告(7/7)

参考

  1. 理研の調査委員会の中間報告の問題点 (http://stapcells.blogspot.jp/2014/03/stap.html)
  2. STAP細胞 研究論文の疑義に関する調査中間報告 生中継 (番組ID:lv172387382)  ニコニコ生放送 2014/03/14(金) 開場:13:30 開演:14:00 この番組は2014/03/14(金) 18:08に終了いたしました。来場者数:155025人 コメント数:205642
  3. 研究論文(STAP細胞)の疑義に関する調査中間報告について(独立行政法人理化学研究所2014年3月14日):調査委員会調査中間報告書(全文)調査委員会調査中間報告書(スライド資料)
  4. 小保方氏「いけないと思わなかった」-4時間を超えたSTAP問題の中間報告会見(マイナビニュース2014/03/15):今回の会見は、200名弱の会議室に300名を超す報道陣が詰めかけ、席が無い場合、通路に直接座るという姿も見受けられた。また、出席した理研の担当者たちは、今回の問題を重く見ていたためか、ほとんどの報道陣からの質問に真摯に答えようという姿を見せており、最終的に4時間を超す会見となった。
  5. STAP細胞:理化学研究所の会見一問一答(毎日新聞2014年03月14日):Q 博士論文の画像の転用について小保方さんの説明は?【石井】だいぶ昔に、骨髄由来の血液細胞を使い、このような画像を得ていた。それを間違って使ってしまったという説明だ。Q そういうことはありえるのか。【石井】客観的にみてかなりレアなケースだ。そこが調査継続中になっていることを理解してほしい。
  6. 【小保方氏問題 理研4時間会見詳報】(1)「未熟であったと反省の言葉を述べている」小保方氏動向に回答(産経ニュース2014.3.14 20:37)
  7. 【小保方氏問題 理研4時間会見詳報】(4)完 聴取時の小保方氏「心身ともに消耗した状態」(産経ニュース2014.3.15 00:02):【記者】「野依(良治)理事長、竹市さんに伺いたい。新しい論文に過去の研究結果を間違えて掲載するというのは通常の研究者として起こりうることか」 【竹市氏】「通常の研究者はこういうことは決して行いません」 【野依氏】「こういうことはあり得ない、起こりえないと思います。」
  8. 理研、STAP細胞・小保方氏問題について「不正かどうかは調査中だが、極めて不適切」(BLOGOS編集部2014年03月14日 18:06):

早稲田大学の博士論文のデータはコスモ・バイオのウェブサイトからの借用

小保方博士が早稲田大学に提出した博士論文のデータの一部は、コスモ・バイオ株式会社のウェブサイトの肝細胞培養キット【Hepatocyte Culture kit】肝細胞(マウス)の写真を盗用したものであったことがわかりました。この博士論文における数々の不適切な行為に関しては、小保方晴子の博士論文の疑惑まとめ(stapcell.blogspot.jp)といウェブサイトにまとめられています。

博士論文だけに限っても常軌を逸した不正行為が次々と露見しており、ここまで来るともう小保方氏個人の問題にとどまらず、早稲田大学の教育責任が問われる事態です。インターネットから文章をコピーアンドペーストし、実験結果の写真もネットから拾ってきて貼り付けただけという、滅茶苦茶な”博士論文”を受理して博士号を与えてしまった早稲田大学大学院先進理工学研究科生命医科学専攻では一体どのような大学院教育がなされているのでしょうか?

論文作成にあたっては学生と指導教官が何回も草稿をやり取りして書き直していくのが通常のプロセスです。個々の学生にどの程度の英語力があるかは、普段の研究指導の過程で自然にわかるもので、コピーアンドペーストによっていきなり完成度の高い英文を日本人の学生が書いてきたら、指導教官は違和感を覚えることでしょう。リファレンスがないイントロダクションや、引用箇所が対応していない本文など、おかしなことだらけで、こんな博士論文が通ってしまったということは、早稲田大学では主査、副査の先生が小保方氏の博士論文をろくに読まずに審査を通していた可能性すらあります。

今回の件を小保方氏の個人の問題に帰してしまえば、また同じような人がいつか現れて同じような問題が繰り返されます。このような研究不正が起こりえない研究教育制度を確立することが急務です。残念ながら、研究者はデータの捏造などしないという、性善説に則ったシステムが機能しないことは今や明らかでしょう。

参考

  1. 小保方さん「コスモバイオ」のホームページから転載を疑われる(秒刊SUNDAY 2014年03月13日10:06)
  2. 早大博士論文、細胞画像までコピペ? 小保方晴子氏の疑惑発覚続く(J-CASTニュース 2014年03月13日19時50分):コスモ・バイオによると、サイト上の画像は、2007年6月に撮影して掲載した。小保方氏の博士論文は、それより後の11年2月に提出されていることから、もしコピペなら、小保方氏がしたことになる。
  3. 早稲田大学大学院先進理工学研究科生命医科学専攻
  4.  疑惑の論文…小保方さん、博士号剥奪も 早大「厳密調査中」(スポニチアネックス2014年3月13日 05:30):早大は12日、スポニチ本紙の取材に「過去に学位取り消しの例もある」とし、調査結果次第で博士号が取り消される可能性が出てきた。
  5. 指導教員は何を指導したのか、学位論文の審査はどうだったのか。大学は第3者機関の調査を受けなければいけないと思う。そして、その結果は公にされるべきだし、問題のあった教員や責任者は処分を受けるべきだと思う。(日々の研究 2014-03-11 火曜日 京都大学理学研究科 教授 佐々真一)

理化学研究所に自浄作用はあるのか?

STAP細胞に関するNATURE論文のさまざまな不審点が指摘されていながら、理研は実験ノートや生データの調査結果を公表することもせず、研究不正の可能性に目をつむって論文の「修正」で逃げ切ろうとしました。これは理研が自ら出した平成17年の不正防止宣言に背く行為です。

理研は3月5日にSTAP細胞の作製手順書を公表し、その中でNATURE論文の主張をひっくり返すことまでして研究不正追求の矛先をかわそうとしました。すべては”ささい”な間違いでしたという言い訳で済ませようとしたのです。

その曖昧決着のシナリオを突き崩したのが小保方博士の博士論文の図がNATUREの図に流用されているというインターネット上での指摘でした。図の取り違えという言い訳を許さない、決定的な研究不正の証拠がネイチャー論文の中に存在していたのです。これを見たNATURE論文共著者の若山博士はショックを受け論文撤回が妥当と考えるに至りました。

驚くべきことに、NHK NEWS WEB(3月13日 19時20分)の報道によれば笹井芳樹理研CDB副センター長はこの博士論文からの図の流用問題を一ヶ月前にすでに把握していたとのことです。しかし、外部の有識 者も入った調査委員会に対して理研CDBはこれを「図の取り違え」としか説明していなかったそうです。これが事実なら、理研CDBは研究不正の隠蔽工作を組織的ぐるみで行おうとしていたと考えられます。

小保方博士らには論文データ捏造の疑惑が持ち上がっているのですから、 今、その張本人に実験を許している理化学研究所の対応はおかしいといわざるを得ません。本気で研究不正を調査する気があるのなら、実験室への出入りを禁止し て実験 ノートや生データの提出を要求するのがまともな対応というものです。若山博士だけがマスコミの取材に対して真摯に対応している中で、理研CDB所属の著者た ちは一切表に出て説明責任を果たそうとしていないことから、理化学研究所がこの問題に本気で取り組んでいるのかどうか疑念が湧きます。

理化学研究所は3月14日に記者会見を開くことを発表していますが、理化学研究所の調査委員会が理研CDBからの自主的な報告に基づいて調査結果をまとめるだけだとしたら、真実は何も明らかにならないでしょう。

また、早稲田大学の博士論文で剽窃を行い、過去の発表論文でもデータを捏造し、論文実績が全くなかった小保方氏を 理化学研究所のユニットリーダーに据えるという尋常ではないな人事を行ったことに関しても、理研CDBには大きな責任があります。

参考

  1. 「STAP」写真流用把握も問題と説明せず(NHK NEWSWEB 3月13日 19時20分):NHKが関係者に取材したところ、およそ1か月前には、小保方さんと、研究チームの中心メンバーで研究所の副センター長がこの問題を把握していたことが分かりました。さらに外部の有識者も入った調査委員会のメンバーには、この問題が単なる画像の取り違いと伝えられ、流用の疑いもある重要な問題だとは説明されていなかったということです。
  2. STAP細胞:理研、対応が後手に 「単純ミス超えた」(毎日新聞 2014年03月11日 22時57分 最終更新 03月11日 23時38分):理研は調査開始時から「成果は揺るぎないと判断している」と強調、指摘には「単純ミス」で済ませるような姿勢だった。
  3. 研究活動の不正行為等の定義(文部科学省):(1)捏造:存在しないデータ、研究結果等を作成すること。(2)改ざん:研究資料・機器・過程を変更する操作を行い、データ、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。(3)盗用:他の研究者のアイディア、分析・解析方法、データ、研究結果、論文又は用語を、当該研究者の了解もしくは適切な表示なく流用すること。
  4. 2014 年3 月11 日 理事長声明『STAP 細胞論文等への対応についての再要望』特定非営利活動法人 日本分子生物学会理事長 大隅 典子:著者の一部から、プロトコールという形で3月5日に実験方法の一部詳細が発表されました。しかし、その内容はむしろ論文の結論に新たな疑義を生じるものでした。…また多くの作為的な改変は、単純なミスである可能性を遙かに超えており、多くの科学者の疑念を招いています。…日本分子生物学会は、以下のことを理化学研究所に強く要望します。…1 Nature 論文2報(Nature 505, 641-647, 2014; Nature 505, 676-680,2014)に関する生データの即時、かつ、全面的な開示、および、同論文に対しての迅速かつ適切な対応(撤回、再投稿などを含む) 2 このように公正性が疑われるような事態を招いた原因に対する詳細な検証
  5. 「小保方晴子さんを魔女狩り気持ちが悪い!佐村河内守とは次元違う」テリー伊藤擁護(JCASTテレビウォッチ2014/3/12 12:46):広報室長は「(小保方さんは)STAP細胞作製の再現性の確認 など研究を進めています。(精神的には)一般的に見て大きなストレスになっていると思う。連絡は取れています。要望は本人にも伝えます」などと答えてい た。理研は14日にも会見を開き経過を説明するが、小保方さんが同席する予定はないという。
  6. 小保方氏の上司“裏道逃亡劇”の理由は12日の法人指定会議?(東京スポーツウェブ 2014年03月12日 16時00分):11日、生命科学などの分野で功績のあった研究者に贈られる上原賞の授賞式が都内で行われ、理化学研究所発生・再生科学総合研究センターの笹井芳樹副センター長が出席した。笹井氏は「STAP細胞」の論文の共著者の1人で、小保方晴子研究ユニットリーダー(30)の上司。すべてを知る人物といわれているのだが…。…論文への疑惑は数多い。上司として見抜けなかった笹井氏の責任は重いが、責任を認めれば、笹井氏の理研内での立場は危うくなろう。論文撤回がすんなり決まらない背景には、政治的な事情もあるという。
  7. 理研に大ダメージ 研究成果「揺るぎない」から「プロセスに疑念」 対応も後手に(産経ニュース2014.3.12 22:01):理研は2月18日に調査委員会を設置。委員長ら理研側2人、弁護士を含む外部有識者3人の計5人で構成され、小保方氏らへの聞き取りや実験 ノートの確認などを行っている。…小保方氏は一連の疑問点が指 摘された後も、研究室で再現実験を続けているという。理研のガイドラインでは、不正の疑義が生じた研究者に対し、証拠保全のため出勤停止や研究室の一時閉鎖を行うことができる。こうした措置を取っていないことについて、理研は「再現実験の手順書作成や調査への対応のため。証拠隠滅の可能性もないと判断した」としている。

STAP細胞NATURE論文でD論の写真を流用

理研CDB小保方博士らのSTAP細胞に関するNATURE論文で、早稲田大学博士論文の別の実験の写真を流用していたことが発覚しました。

疑惑が日に日に深まっていた理研CDBのSTAP細胞作製に関するNATURE論文ですが、なんと驚いたことにSTAP細胞を用いてテラトーマを作ったはずの写真(Nature 505, 641–647(30 January 2014) Fig.2e 下段の3つのパネル)が、筆頭著者小保方博士の早稲田大学博士論文の別の実験の写真を流用したものである可能性が示されました。

Obokata2014STAPFig2e

(Nature 505, 641–647(30 January 2014) Fig.2e)

この論文のメインともいえる、STAP細胞の多能性を示す実験データが完全に捏造だったというのは非常に衝撃的です。理化学研究所が今回の研究不正にどう対処するのかに関心が持たれます。

参考

  1. 小保方晴子の疑惑論文1(Nature Article誌) (http://stapcells.blogspot.jp)
  2. 不自然なテラトーマ画像について (http://stapcells.blogspot.jp)
  3. 論文捏造&研究不正@JuuichiJigen
  4. STAP細胞論文の画像 別研究から転用か(東京新聞2014年3月10日 朝刊):ネット上で専門家の指摘が相次ぎ、本紙が入手した博士論文で、四点の画像が酷似していることを確認した。
  5. 小保方さん、STAP細胞 博士論文画像と酷似(中日新聞2014年3月10日) :理化学研究所(理研)の小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダー(30)らによる新たな万能細胞「STAP細胞」の論文に、小保方氏が3年前に書いた博士論文中の画像と酷似しているものがあることが9日、判明した。

研究論文の著者が担うべき説明責任

理研では8年前の教訓が生かされているのでしょうか?理研のこの声明文では、「不正のないことを示すための客観的資料・データ等の管理保存を徹底する。」と明言されています。現在、理研のSTAP論文に非常に重大な疑義が生じているわけですから、著者らのグループに論文の再現性を確認する実験をさせている場合ではありません。むしろ実験を直ちにやめさせて、これまでの実験サンプル、実験データ、実験ノートが「紛失」したり新たに作り出されたり、書き換えられたりしないように、証拠の保全に努めるべきなのではないでしょうか?論文に示されたすべての図に対応する実験記録が本当に論文著者らの実験ノート中にあったのかどうかをまず最初に公表すべきです。STAP細胞が本当にできるのかどうかと、不正行為がなかったのかどうかは全く別の問題であって、混同させるべきではありません。

理研はRIKENとして世界の研究者の誰もがその名を認める存在です。世界中の注目を集めるこのSTAP論文疑惑に対してRIKENがどう対応するのかは 全世界が注視しています。これを所内政治のレベルでうやむやに済ませれば、これまで築き上げられたRIKENの評価が揺らぎかねません。

理研のこれまでの対応は、残念なことに自らが出したこの声明に逆行しているように見えます。「世界最高水準の研究を実施できる」機関として「特定国立研究開発法人」に指定されさらなる特別扱いをこれから受けるというのなら、理研内外の研究者が納得できるだけの高潔さをここで示してもらいたいものです。理化学研究所には莫大な税金が投入されているのですから、理化学研究所の研究者らは自らの言葉に責任を持つべきです。理化学研究所の中に、捏造論文を出した研究者らの居場所があっていいはずがありません。

 

科学研究における不正行為とその防止に関する声明

平成17年11月2日
理研科学者会議

 科学者は、その研究目的が自己の好奇心に基づくものであれ、国策的戦略にのっとったものであれ、できうる限り自律的かつ誠実に研究を遂行する義務を持ち、その研究成果を自らのものとして公表する権利を有している。
 理化学研究所は、わが国随一の自然科学における総合研究機関であり、自然科学の新しい研究分野を開拓するとともに、国民の負託に応じた重要な分野での戦 略的研究を遂行し、研究成果の社会への還元に努めている。すなわち、世界に伍して先端的研究を推進するわが国の拠点である。この理化学研究所において、研 究者は他の機関にも増して、前述にある研究者としての義務と権利を心して自覚し、諸外国としのぎを削りつつ研究を遂行しなければならない。
 昨今、科学研究において、捏造(Fabrication)、改ざん(Falsification)、盗用(Plagiarism)などの非倫理的不正行為が発生しており、理化学研究所もその例外ではなかったことは悲しむべき事である。
 研究における不正行為は、研究者に社会が託した夢と信頼を裏切る行為であり、科学に対する裏切り行為であるとともに、研究者自身の自殺的行為であると極 言できる。理化学研究所の研究者一人ひとりが、このような不正行為に陥ることのないよう、厳しく自らを律するとともに、他者にその疑いがある場合に、すみ やかに適切な対応をなし、不正行為を未然に防ぐ努力をなすべきである。
 科学研究の不正は科学者に対して社会から託された夢と希望を自ら踏みにじる行為であることを改めて強く認識し、科学をこよなく愛する理化学研究所の研究者として、以下のことを宣言する。

  1. 科学の真理を追求するうえで、いつも他を欺くおそれがないよう自らを律する。
  2. 他者の不正を決して黙認しない。
  3. 指導的立場に立つ研究者は、研究に不正が入り込む余地のないよう日々心を配る。また、不正のないことを示すための客観的資料・データ等の管理保存を徹底する。
  4. 研究論文の著者は、その論文の正しさを客観的にいつでも誰にでも説明する責任がある。

(http://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/gijyutu/gijyutu12/siryo/attach/1334735.htm)

参考

  1. 研究開発法人に理研と産総研指定 4閣僚が合意 (日本経済新聞2014/3/5 19:28):下村博文文部科学相や山本一太科学技術相ら4閣僚は5日、世界的な研究成果を目指す「特定国立研究開発法人(仮称)」に理化学研究所と産業技術総合研究所を指定することで合意した。月内にも開く総合科学技術会議で正式に決め、内閣府などが関連法案を今国会に提出する。新法人に指定されれば、優れた研究者に高い給与を支払える。2機関については、論文の引用数や特許数、国際性などをもとに国内を代表する研究機関で、世界最高水準の研究を実施できると判断された。
  2. kahoの日記: STAP細胞の非実在について
  3. Key Initial Reactions to RIKEN’s detailed STAP stem cell protocol (Knoepfler  Stem Cell Blog)
  4. 不自然なテラトーマ画像について (小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑 2014年3月5日水曜日)

小保方晴子理研研究ユニットリーダーのSTAP細胞NATURE論文を理研も調査へ

小保方晴子理研研究ユニットリーダーを筆頭著者とするNATURE論文に関して、論文データに不自然な点が多々あることが指摘されていますが、小保方博士の所属機関である理化学研究所も2月13日に研究に関わっていない内外の専門家数人による調査チームを立ち上げ、小保方ユニットリーダーおよび関係者への聞き取りを含む調査を行っているそうです。

論文データの不自然さは今回NATUREに発表された論文にとどまらず、小保方博士の過去の論文に関しても指摘されています(pubpeer.com)。

Obokata H, et al. Reproducible subcutaneous transplantation of cell sheets into recipient mice. Nat Protoc 6.1053-9 (2011)

  • 図5a(B cell数の経時変化)と図5b(neutrophils数の経時変化)の棒グラフが酷似(pubpeer.com)

Obokata H, et al. The potential of stem cells in adult tissues representative of the three germ layers. Tissue Eng Part A 17.607-15 (2011)

Obokata H, et al. Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 505.641-647 (2014)

Obokata H, et al. Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency. Nature 505.676-680 (2014)

上記の論文の中には”うっかりミス”では説明がつかない、”不自然なデータ”も見受けられます。

STAP細胞の作製は世界中で多くの研究室が再現を試みているにも関わらず、未だに誰も成功していません(ipscell.com/stap-new-data/)。また、筆頭著者の手助けなしには共著者すら再現できていないそうです。こうなると、第三者の立会いのもと筆頭著者自身が実験して論文のデータを再現しないことには、仮にNATUREが安易に図の”訂正”を受け入れたとしても世の研究者は誰も納得しないでしょう。

参考記事と参考ウェブサイト

  1. 小保方論文の画像に疑問の声―理化学研究所が調査開始 (ウォール・ストリート・ジャーナル 2014年 2月 18日 18:23 JST):しかし理研としては小保方博士のチームの発見は依然として有効と信じているという。小保方博士やその他のチームメンバーには聞き取り調査が行われた。調査結果は来月公表するだろうという。小保方博士のコメントは得られていない。
  2. STAP細胞論文で外部から指摘 理研、調査を開始(日本経済新聞 2014/2/17 19:39):関係者によると、不自然との指摘を受けているのは、マウスの胎児の写真。共同研究者の一人は取材に対し、数百枚の画像データを取り扱っている際に混同して記述と異なる画像を載せた可能性があるとしている。
  3. 理化学研究所 細胞リプログラミング研究ユニット 小保方研究室ウェブサイト

ハーバード大バカンティ教授「論文編集の過程で起きたささいな誤り」

先日ネイチャー(NATURE)に掲載されたSTAP細胞の論文に対して疑念が生じていることに関して、共著者であるハーバード大学ヴァカンティ教授がコメントを発表しました。

「論文編集の過程で起きた、ささいな誤り(minor errors)によって生じたものだと考えている」

とのことです。

⇒ 小保方晴子理研研究ユニットリーダーのSTAP細胞NATURE論文を理研も調査へ

参考記事

  1. STAP細胞:米教授、画像の酷似は「ささいな誤り」(毎日新聞 2014年02月21日)
  2. Paper on STAP cells contains minor errors, co-author says (Mainichi Japan February 21, 2014)

小保方・理研研究ユニットリーダー「こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい」

元は週刊文春の記事だそうですが、

小保方さんの共同研究者・若山照彦教授(山梨大)によると、本人は画像の使い回しを認めているという。<「十四日に本人が泣きながら、『ご迷惑をおかけすることになるかもしれません』と電話をしてきました。ただ、『こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい』とも話していた。

もちろん改ざんが事実ならよくないことです。ただし、指摘を受けた箇所は、研究の本質とは離れた些末な部分であり、研究そのものの成果には影 響しません。彼女も、ネイチャーから細かい指摘を受けて時間に追われていたのでしょう。既に彼女はネイチャーに修正版を提出し、認めてもらう方向で進んで います」>

また、万能細胞が簡単にできるというのは誤解だといい、小保方さんも5年かかったのだから、どこかが再現してくれるまでの辛抱だと彼女を励ましているという。

この通りなら心配はないのかもしれないが、専門家の中には厳しい意見もあるようだ。<「どのような事情があろうと、論文のデータの画像の差し 替えなどあってはならないこと。事実ならば、なぜこのような大事な論文の中でしてしまったのか、理解に苦しみます。日本の科学技術そのものの信頼が損なわ れる可能性もあります」(東京大学医科学研究所・北村俊雄教授)>

http://www.j-cast.com/tv/2014/02/20197292.html?p=2

あの時あの場所で確かにそのような実験結果が得られたのだけれども、それ以降は再現されない。そんな実験結果を論文として世に出す意味があるのでしょうか?論文のMaterials and Methods (材料と方法)のセクションは他の研究者がその論文の実験結果を再現できる程度に詳細に記述することが求められています。再現性に必要な条件が記載されておらず、実際に論文著者を含めて誰にも再現できない結果であれば、そもそも科学論文として成り立ちません。後からデータを差し替えて”うっかりミス”を訂正しても、そのことは変わりません。結果を再現するためのクリティカルな実験条件が見つかってから論文を再投稿しても、遅くはないと思います。

また、小保方晴子博士が画像の使い回しを認めているという記事内容が真実なら、それが些末な部分かどうかはもはや論点ではありません。論文の一部でデータ捏造があったにもかかわらず、結論が変わらないので「訂正」を受け入れますというのなら、ネイチャーという雑誌に対する科学者からの信頼が揺らぎます。

⇒ セル、ネイチャー、サイエンスには出しません

「データ捏造はいついかなる場合にも許されない」というのは本来ならわざわざ言葉にする必要もないくらい当然のことですが、研究者の倫理感に大きなばらつきがあります。そのため、言葉にして確認することも大切でしょう。そこで、早稲田大学による研究不正の定義を紹介しておきます(ウェブサイトの文章の一部を抜粋)。

研究活動に係る不正防止に関する規程
この規程において「研究活動に係る不正行為」とは、次に掲げる行為およびそれらに助力することをいう。

一 試資料等の捏造 研究者等が調査や実験等を行わなかった、または調査や実験を行ったが試資料等を取得できなかったにもかかわらず、試資料等を作成すること。
二 試資料等の改竄 研究者等が行った調査や実験などを通じて得た試資料等を、正当な理由なく修正または削除すること。
三 作為的な行為によって恣意的に取得した試資料等の利用 計測・実験機材を操作するなどにより、正当な作業では得られないデータを取得し、または調査方法を恣意的に決定して都合の良いデータを取得すること。

早稲田大学研究倫理オフィス 研究活動に係る不正防止に関する規程

 

 

STAP細胞論文をネイチャー誌も調査へ

データの図に問題があることが指摘されている小保方博士らのSTAP細胞論文ですが、掲載したネイチャー(NATURE)誌も調査を行うことをウェブサイト上で言明しました。
STAPinvestigation

ネイチャーはこの記事で、問題となっているSTAP細胞論文の筆頭著者、小保方晴子博士の勤務先である理化学研究所(神戸)がこの論文に関する調査を開始したことを伝えています。

小保方博士が筆頭著者でハーバード大学医学部の麻酔科医チャールズ・ヴァカンティ博士が責任著者になっている2011年の論文Obokata, H. et al. Tissue Eng. Part A 17, 607–15 (2011)に関しては、幹細胞マーカーの存在を示すDNAのバンドの画像が上下反転されて、図の別の箇所でも使用されていることが指摘されています。これに関してヴァカンティ博士はネイチャーのインタビューに答え、“It certainly appears to have been an honest mistake [that] did not affect any of the data, the conclusions or any other component of the paper,”(「確かにうっかりミスがあったようだが、データも論文の結論も他のいかなる部分にも全く影響を及ぼさない。」)とコメントしています。

ネイチャーの論文に関しては、共著者の若山照彦教授(山梨大学)は画像の類似性を認め、ほとんどの胎盤の写真を自分が撮影しており小保方博士に100枚以上もの写真を送ったので図の作成にあたって写真の取り違えがあった可能性があると述べています。

STAP細胞作製に関して、多くの研究者がその再現性を確かめようと実験しています。しかしまだ誰も成功できていません。若山教授ですら、理研在籍時には小保方博士の指導のもとで実験を再現できたが、山梨大学に移籍後はうまくいっていないそうです。

ネイチャー誌を発行するネイチャー・グループの広報担当者は、“The matter has been brought to Nature’s attention and we are investigating.”(「ネイチャーはこの問題に関心を寄せており、現在調査中である。」)と述べています。

⇒ 「こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい」

参考ウェブサイト

  1. Acid-bath stem-cell study under investigation (nature.com 17 February 2014)