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理研 遠藤氏がSTAP細胞解析データを説明

【全録速報】 理研・遠藤高帆研究員が記者会見~STAP細胞のデータ解析を説明 2014.10.01

 

【全録速報】 理研・遠藤高帆研究員が記者会見~STAP細胞のデータ解析を説明 2014.10.01

参考

  1. 「STAP論文の説明は成立しない」理研・遠藤氏がデータ解析で指摘(要点資料全文)(弁護士ドットコム2014年10月01日):”STAP細胞のデータ解析をしていた理化学研究所統合生命医科学研究センター・統合ゲノミクス研究グループの遠藤高帆氏が10月1日、記者会見を開き、分析結果を報道関係者向けに発表した。”
  2. STAP細胞論文の疑惑を指摘した遺伝子発現解析結果が、論文として日本分子生物学会誌Genes to Cellsに掲載

理研がようやくSTAP細胞論文の本調査へ

STAP細胞論文捏造疑惑の全容解明に関して、理化学研究所はなぜか非常に消極的な態度をとってきました。筆頭著者のデータ捏造も大きな驚きでしたが、それよりもさらに大きな驚きだったのがこの理研の不可解な対応です。

STAP「理研は科学に対して誠実か?」川合眞紀の答弁 日経サイエンス記者の質問

この期に及んで、ようやく理化学研究所も重い腰を上げるようです。

”理研は「科学研究上の不正行為の防止等に関する規程(平成24年9月13日規程第61号)」に基づき6月30日から開始した研究論文(STAP細胞)の疑義に関する予備調査の結果を受けて、本調査を実施することとし、9月3日に外部有識者のみにより構成される調査委員会を設置しました。..”

(http://www.riken.jp/pr/topics/2014/20140904_1/)

参考

  1. 研究論文(STAP細胞)の疑義に関する本調査の実施について(独立行政法人理化学研究所 2014年9月4日)

西塚泰美先生曰く「すべての論文は 嘘だと思って読みなさい」

本庶佑博士がSTAP問題についてコメントした「新潮45」の記事(全文PDF)の中で、他人の書いた論文を読むときの心得が説かれています。これから研究者を目指す人、大学院生にとっては必読の教育的な内容です。

子供の頃から、教科書や本の内容、新聞記事など、印刷されて世に出回っているものは「真実」であると信じて、疑うことを知らずに育って大人になってしまった人は、学術論文も当然真実だけが書かれていると思い込んでいるかもしれません。そのような素直で正直な性格の人は、要注意です。

中世イスラムの科学者イブン・アル=ハイサムも、過去の科学者が書いた書物を鵜呑みにするなと戒めています。

真実を捜し求める者というのは、古い書物から学ぶ際に、書かれていることを性格的に信頼してしまうような人間ではなく、むしろ、自分が書物を信じてしまうことに疑いを持ち、書物から集めた事柄に問いかけるような人間である。

論拠や実演には従うが、あらゆる種類の不完全さや欠陥でいっぱいの人間の言葉には従わないような人間である。このように、科学者の書いたものを吟味する人間の義務というのは、もし真実を学ぶことが目的なのであれば、読んだこと全てを敵にまわすこと、書かれた内容の中核および周辺に注意を向けながら、あらゆる側面からその書物に挑むことである。

また、読んだ内容を批判的に吟味する際には、自分自身を信用しないようにしなければならない。そうすることにより、偏見や甘さに陥ることを避けることができよう。(イブン・アル=ハイサム, 965-1040 訳:当サイト)

The seeker after the truth is not one who studies the writings of the ancients and, following his natural disposition, puts his trust in them, but rather the one who suspects his faith in them and questions what he gathers from them, the one who submits to argument and demonstration, and not to the sayings of a human being whose nature is fraught with all kinds of imperfection and deficiency. Thus the duty of the man who investigates the writings of scientists, if learning the truth is his goal, is to make himself an enemy of all that he reads, and, applying his mind to the core and margins of its content, attack it from every side. He should also suspect himself as he performs his critical examination of it, so that he may avoid falling into either prejudice or leniency.(イブン・アル=ハイサム, 965-1040.https://en.wikiquote.org/wiki/Alhazen)

 

本庶先生いわく、

”しばしば秀才が陥る罠ですが論文に書いてあることがすべて正しいと思い一生懸命知識の吸収に励むあまり、真の科学的批判精神を失うという若者が少なくありません”

では一体どのような態度で他人の論文に接するべきなのでしょうか?

”重要なことは雑誌に公表された論文をそのまま信じてはいけないと言うことです。私は大学院の指導教官であった西塚泰美先生(元神戸大学長)から「すべての論文は嘘だと思って読みなさい」と教えられました。まず、疑ってかかることが科学の出発点です。教科書を書きかえなければ科学の進歩はありません。”

なぜ他人の論文を疑ってかからないといけないのか?それは論文を書いた科学者も所詮は人間のため、自分の思い込みによってデータを取捨選択してしまったり、データの解釈を誤ってしまう可能性があるからです。

”データの加工ということは多くの論文である意味で避けられないところがあります。例えば、顕微鏡下で見た写真の中で自分の考え方に合うと思われる一部分の場所を拡大したり、その部分を集めてくるという作業は意識的・無意識的に係わらず多くの研究者たちが行うことだと思います。通常はそれが意図的な変更でないことを別の方法で検証したデータをつけます。読む方としては当然そういうことも計算に入れて論文を読む必要があります。”

実際のところ、世に出回っている論文のうち、どれくらいの割合で間違いが存在するのでしょうか?

”私の大雑把な感覚では論文が公表されて1年以内に再現性に問題があるとか、実験は正しいけれども、解釈が違うとか、実験そのものに誤りがあるとか言った理由で誰も読まなくなる論文が半分はあります。2 番目のカテゴリーとしては、数年ぐらいはいろいろ議論がされ、まともに話題になりますが、やがてこの論文が先と同様に様々な観点から問題があり、やはり消えていくもの30%ぐらいはあるでしょう。論文が出版されてから20 年以上も生き残る論文というのはいわゆる古典的な論文として多くの人が事実と信じるようになる論文で、まず20%以下だと考えております。中には最初誰も注目しなかったのに5~10年と次第に評価が上がる論文もあります。”

以前、「医学生物学論文の70%以上が、再現できない!」というネイチャーの記事が話題になりましたが、ウソや間違いが論文発表されている割合は思いのほか高いようです。

STAP細胞はまだ詳細な調査報告結果が発表されましたが、不正の疑義が呈されても、「研究不正はなかった」の一言で誤魔化して、実験が正しく行われていた証拠を一切見せない大学もあります。そんな論文を信じていいいのかどうか、ご自分でご判断ください。

関連記事 ⇒ 東大医学部疑惑論文をフリーソフトで確認

 

参考

  1. STAP 論文問題私はこう考える (分子生物学会ウェブサイト内 PDFリンク 本庶 佑 元役員 2014年7月9日 新潮社「新潮45」July 2014 p28~p33より転載)
  2. NIH mulls rules for validating key results (31 July 2013):”…In a 2011 internal survey, pharmaceutical firm Bayer HealthCare of Leverkusen, Germany, was unable to validate the relevant preclinical research for almost two-thirds of 67 in-house projects. Then, in 2012, scientists at Amgen, a drug company based in Thousand Oaks, California, reported their failure to replicate 89% of the findings from 53 landmark cancer papers….
  3. ”白楽は、大学院生の頃から、論文を吟味しながら読む習慣がある。というか、まともな研究者は全部そうだろう。論文をハナから信じることはない。むしろ、間違っている点はどこか、不備な点・足りない点はどこかと思って読む。そうでなければ、その論文を越える研究ができない。他の研究者の研究成果は、まず、吟味する。しつこく、徹底的に吟味する。イヤラシイほど吟味する。そして、ほとんどの場合、間違っている点・不備な点・足りない点を見つけてしまう。” (研究倫理 白楽ロックビルのバイオ政治学 研究界の不祥事の全体像)

STAP細胞検証について日本学術会議が提言

STAP細胞捏造論文に関する理化学研究所の中間報告の記者会見が2014年3月14日に行われましたが、これを受けて日本学術会議はこの調査委員会の中立性に疑問を呈し、調査委員会のメンバーを明らかにすること、調査委員長は外部の人間にすること、また、STAP細胞作製の真偽にまで踏み込んだ調査を行うことなどを提言しました。

日本学術会議会長談話 STAP 細胞をめぐる調査・検証の在り方について 平成26 年3 月19 日
日本学術会議会長 大西 隆 (PDFリンク)

この談話の中で、「調査委員会の構成が明らかにされておらず、委員長も内部の方が務めるなど、その的確性や透明性において必ずしも十分とは言い難い」と理研の対応を厳しく批判しています。そして

(1) 今後の調査スケジュールを示すこと、
(2) 調査メンバーを明らかにし、委員長は外部の人にすること、
(3) STAP細胞作製という主張の科学的妥当性を検証すること、
(4)研究実施及び論文作成・発表の過程における理化学研究所の組織ガバナンスの問題を検証すること、
の4点を要望しています。
参考
  1. 日本学術会議とは:日本学術会議は、科学が文化国家の基礎であるという確信の下、行政、産業及び国民生活に科学を反映、浸透させることを目的として、昭和24年(1949年)1月、内閣総理大臣の所轄の下、政府から独立して職務を行う「特別の機関」として設立されました。
  2. 科学者の社会的責任と科学の発展(2014年1月 第22期日本学術会議会長大西隆):研究論文のねつ造、改ざん、盗用をはじめとする不正行為や研究費の不正使用等は、科学者や科学が社会にもたらす損失であり、科学の信頼を失墜させます。日本学術会議は、高度に発達した科学の内包する危険を自覚し、その回避のために叡智を結集するとともに、不正行為や不正使用の撲滅のために、大学、研究機関、学協会等とともに具体的な取組を進めることにしました。

理化学研究所の体質

毎日新聞の報道によれば、2014年3月18日に自民党本部で開かれた科学技術・イノベーション戦略調査会などの合同会議で、理研の野依良治理事長らは「今の段階で捏造があったとは認められない。」と説明したそうです。

データ捏造や研究不正が明らかな事項を「調査継続中」として結論を先延ばしにしておき、「現段階では捏造があったとはみとめられない」というのは詭弁です。今回のデータ捏造の事実関係を把握していない人に対してこのような言葉を伝えるのは、その人を騙す行為です。日本の科学技術政策の決定に関わる場面で、このような詭弁を用いることが許されていいのでしょうか?真面目に研究している多くの科学者や納税者を愚弄しています。

参考

  1. STAP細胞:理研「再現実験に3カ月、まとめに1年」(毎日新聞 2014年03月18日 19時48分 最終更新 03月18日 20時21分):会議終了後、塩谷立同調査会長は「(理研によると)今の段階で捏造(ねつぞう)があったとは認められないとのことだった。再発を防ぐため、研究体制がどうあるべきか、できるだけ早い時期に提示してほしいと要望した」と述べた。
  2. 理化学研究所人員・予算(理化学研究所ウェブサイト):理化学研究所平成25年度予算844億4300万円
  3. 理研・野依理事長が研究・出版倫理と不正行為についてAdv. Synth. Catal.誌に寄稿(ワイリーサイエンスカフェ):すべての科学者は、不正行為が科学に対する裏切りだということを肝に銘じるべきである
  4. 野依良治(ウィキペディア):キラル触媒による不斉反応の研究で2001年ノーベル化学賞を受賞。