Monthly Archives: November 2014

ニコニコ動画の(株)ドワンゴが人工知能の研究に乗り出す

ニコニコ動画などを運営する株式会社ドワンゴが、人工知能学会理事の山川宏氏を所長に迎えて、ドワンゴ人工知能研究所を発足させました。山川所長の挨拶文の一部を紹介すると、

… 人と同じかそれ以上に知的な機械、つまり超人的人工知能(AI)を創造し利用できれば、科学技術の進展を大幅に加速することで、環境破壊の臨界点が訪れる以前に何らかの解決を見出すことも可能になるでしょう。

… 機械自身が現実世界から知識表現を獲得できないという長年の問題がありました。… しかし 近年、脳の神経回路を模したニューラルネットワークモデルを深い階層まで積み上げることで、人の脳(大脳新皮質)のように抽象的な概念を学習できるディー プラーニング技術が成功を収めました。

… ドワンゴは、人工知能における本当の技術革新は正にこれから訪れると考え、新たに人工知能研究所を設立します。そして次世代への贈り物 となりうる、日本発での超人的AIの実現を目指します。その実現に向けた最速の道筋として、脳の神経科学的知見を参考にしながら、機械学習の組み合わせと しての脳全体の計算機能の再現を目指す、「全脳アーキテクチャ」という研究アプローチを軸として研究を進めていきます。このために当研究所では主にディー プラーニング技術を拡張・発展による多様な知識を獲得や、記憶の座である海馬体の計算モデル構築を通じた創造性や不変性等の実現を目指す研究、さらに高次 の知能に関わる脳器官に対応する機械学習装置を統合するための認知アーキテクチャ研究を進めます。 … (http://info.dwango.co.jp/pi/ns/2014/1128/index3.html)

とのことであり、人間の能力を超えた人工知能の実現を目指す非常に野心的な試みです。一企業内の研究に留めずに産学官連携の環境も作りたいとも述べており、日本の人工知能研究をパワーアップさせる効果があるかもしれません。

近年、メジャーなインターネット関連企業はビッグデータをビジネスに生かすために人工知能の研究に本腰を入れて取り組んでおり、ドワンゴのこの事業も、世界の潮流に沿ったものといえます。

例えば、グーグルでは、「グーグルブレイン」と呼ばれるディープラーニング(深層学習)研究プロジェクトに取り組んでいます。グーグルブレインは、2011年にスタンフォード大学のアンドリュー・ング(Andrew Ng) 教授によって始められたプロジェクトで、2012年にはコンピューター上のニューラルネットワークに膨大な量の画像を見せて学習させたところ、これが猫だよと人間がコンピュータに教えたわけでもないのに、「猫」を認識する「神経細胞」が自然に生じたとして、話題になりました。グーグルはさらに、2013年にディープラーニングのパイオニアであるジェフリー・ヒントン(Geoffrey Hinton)博士を招き入れたほか、人工知能研究の企業を買収するなど非常に積極的に人工知能の研究を推し進めています。(WIKIPEDIA参照)。

アンドリュー・ング教授によるディープ・ラーニングについての講義動画。
Andrew Ng: Deep Learning, Self-Taught Learning and Unsupervised Feature Learning

また、フェイスブックはフェイスブック人工知能研究所にディープ・ラーニングの第一人者であるニューヨーク大学教授のヤン・ルカン博士を所長として迎えて、人工知能の研究を行っています。

ヤン・ルカン博士のディープ・ラーニングに関するセミナー動画(本題に入っていくのは16分12秒あたりから)。
Data Science @ ESIEE Paris – Yann LeCun

その他、マイクロソフト社は「プロジェクト・アダム」というディープ・ラーニングのアルゴリズムに基づいた人口知能システムを開発しています。
Introducing Project Adam: a new deep-learning system

検索エンジン「百度(バイドゥ)」を運営する中国のBaiduも、Silicon Valley AI Lab、Beijing Deep Learning Lab (旧名Institute of Deep Learning)そしてBeijing Big Data Labという3つの人工知能研究所を擁しており、グーグル・ブレインを主導したAndrew Ng博士を2014年5月にリーダーとして迎えています。

バイドゥがシリコンバレー(カリフォルニア州サニーベール)に開設した人工知能研究所の紹介動画。
Baidu Research – An Inside Look into Baidu’s Silicon Valley A.I. Lab

参考

  1. ドワンゴが人工知能の開発に着手 – 社内に研究所を発足(マイナビニュース2014/11/28):”ドワンゴは11月28日、社内研究機関として、人工知能に関わる研究を行う「ドワンゴ人工知能研究所」を発足し、人工知能学会理事および副編集委員長である山川宏氏を所長として迎えると発表した。”
  2. 「ドワンゴ人工知能研究所」発足のお知らせ(株式会社ドワンゴ 2014年11月28日):”ドワンゴ人工知能研究所は、人類の課題である、教育、エネルギー、環境、水資源、食糧、貧困、セキュリティ等に対して大きな貢献をなしうる高度な人工知能を日本発で早期実現することを目的とし、発足いたしました。”
  3. 編集:人工知能学会誌 連載解説「Deep Learning(深層学習)」:”2012年は,機械学習分野にとって,まさしくdeep learningの年であったといえよう.Langfordの機械学習関連のブログなどで,2012年の顕著な成果として取り上げられるのは当然として,一般紙である New York Times にまで記事が掲載された.新しい機械学習手法がこれほど話題になったことは,サポート・ベクトル・マシンやノンパラメトリック・ベイズなど最近のどの手法でもなかったことである.”
  4.  ディープラーニング (ITPRO By日経コンピュータ 2014/09/19):”グーグルは2012年、「ディープラーニングを採用することで、人工知能が人間に頼らずに『YouTube』の画像の中から猫を発見した」と発表して世界を大きく驚かせた。グーグルがディープラーニングを使って開発した人工知能「GoogLeNet」は、2014年8月に開催された画像認識技術のコンテスト「Imagenet Large Scale Visual Recognition Challenge 2014(ILSVRC2014)」で首位となっている。”
  5. 脳に挑む人工知能 (ITPRO By日経コンピュータ 2014/10/01):”人工知能技術の新潮流「ディープラーニング」が、物体認識を筆頭に音声認識、自然言語解析、医薬品候補の探索などで、他の技術を圧倒する性能を示している”
  6. ニューラルネットの逆襲(岡野原 大輔 research.preferred.jp 2012-11-01):”脳が単純なニューロンの組み合わせによって高度な認識・知識活動を実現しているのと同様に、ニューラルネットも複雑な現象を学習できるのではないのかと期待されていました。しかし、一度盛り上がった機運は70年頃には一度下火となり、人工知能や機械学習の中心はもっと現実的な手法(線形識別器、カーネル法など)に置き換わっていました。そうした中でもトロント大のHintonらなどを中心にニューラルネットの研究は地道に進んでいました。その中でも2000年代後半にいくつかのブレークスルーがおき、状況は大きく代わりました。”
  7. グーグル「世界を覆う人工知能ネットワーク」構想(2014.1.29):”米WIREDのダニエラ・エルナンデスは、非常勤でグーグルで働くことになった深層学習のパイオニア、ジェフリー・ヒントンを紹介する記事の中で、深層学習がAIへのそのほかのアプローチと大きく違うのは、人間の関与の必要性からマシンを自由にして、マシンに対して、環境を人間のように理解する能力を与えることを目指している点だと述べている。”
  8. Google Brain (Wikipedia) “Google Brain is an unofficial name for a deep learning research project at Google.”
  9. Building High-level Features Using Large Scale Unsupervised Learning (論文PDFリンク)Quoc V. Le quocle@cs.stanford.edu,Marc’Aurelio Ranzato ranzato@google.com, Rajat Monga rajatmonga@google.com, Matthieu Devin mdevin@google.com, Kai Chen kaichen@google.com, Greg S. Corrado gcorrado@google.com, Jeff Dean jeff@google.com, Andrew Y. Ng ang@cs.stanford.edu
  10.  Using large-scale brain simulations for machine learning and A.I. (Google Official Blog June 26, 2012): ” … So we developed a distributed computing infrastructure for training large-scale neural networks. Then, we took an artificial neural network and spread the computation across 16,000 of our CPU cores (in our data centers), and trained models with more than 1 billion connections. We then ran experiments that asked, informally: If we think of our neural network as simulating a very small-scale “newborn brain,” and show it YouTube video for a week, what will it learn? Our hypothesis was that it would learn to recognize common objects in those videos. Indeed, to our amusement, one of our artificial neurons learned to respond strongly to pictures of… cats. Remember that this network had never been told what a cat was, nor was it given even a single image labeled as a cat. Instead, it “discovered” what a cat looked like by itself from only unlabeled YouTube stills. That’s what we mean by self-taught learning. …”
  11. Deep Learning Japan (東京大学 工学部 松尾研究室):”Deep Learning は機械学習アルゴリズムの1つで, 人間の脳を模した構造をもつニューラルネットワークを多層に重ねた構造をもちます. Deep Learning の大きな特徴は, 多段に重ねることによって抽象的なデータの表現を獲得することができる点で, 真の人工知能への第一歩であると考えられます.”
  12. Facebook’s Quest to Build an Artificial Brain Depends on This Guy (WIRED 08.14.14):”It’s good to be Yann LeCun. Mark Zuckerberg recently handpicked the longtime NYU professor to run Facebook’s new artificial intelligence lab. The IEEE Computational Intelligence Society just gave him its prestigious Neural Network Pioneer Award, in honor of his work on deep learning, a form of artificial intelligence meant to more closely mimic the human brain. And, perhaps most of all, deep learning has suddenly spread across the commercial tech world, from Google to Microsoft to Baidu to Twitter, just a few years after most AI researchers openly scoffed at it. All of these tech companies are now exploring a particular type of deep learning called convolutional neural networks, aiming to build web services that can do things like automatically understand natural language and recognize images. “
  13. 京都大学ー稲盛財団合同京都賞シンポジウム2014.7.12-13 ヤン ルカン Yann LeCun :”2013年の後半にフェイスブックの人工知能研究所長に任命されたが,今もニューヨーク大学での教授職 (常勤ではない)を継続している。… 1980年代の半ばより彼は深層学習手法,特に畳み込みニューラルネットワークモデルについて研究を行った。その成果は,フェイスブック,グーグル,マイクロソフト,百度,IBM,NEC,AT&T 等の企業が開発した画像・ビデオ理解,書類認識,人間・計算機相互作用,音声認識分野の多くの製品やサービスの基礎技術となっている。”
  14. フェイスブックが人工知能研究所、ニューヨーク大学と提携 (afpbb.com 2013年12月10日):”米SNSフェイスブック(Facebook)は9日、ニューヨーク大学(New York University、NYU)との提携の下、人工知能を研究するための新たな施設を開設すると発表した。フェイスブックの大量のデータの活用を目指している。フェイスブックは、NYUのデータ科学センター(Center for Data Science)のヤン・ルカン(Yann LeCun)教授が同プロジェクトの指揮を執ると発表。”
  15. Microsoft Challenges Google’s Artificial Brain With ‘Project Adam’ (WIRED 07.14.14):”Drawing on the work of a clever cadre of academic researchers, the biggest names in tech—including Google, Facebook, Microsoft, and Apple—are embracing a more powerful form of AI known as “deep learning,” using it to improve everything from speech recognition and language translation to computer vision, the ability to identify images without human help.”
  16. Baidu Opens Silicon Valley Lab, Appoints Andrew Ng as Head of Baidu Research (百度 プレスリリース May 16, 2014): “Baidu, Inc., the leading Chinese language Internet search provider, today announced the appointment of pioneering Artificial Intelligence (AI) researcher Andrew Ng as Chief Scientist of Baidu. Mr. Ng will lead Baidu Research, with labs in Beijing and Silicon Valley.”

コピペ論文で早稲田大学准教授が懲戒解雇

早稲田大学商学学術院の准教授(50)が2001年と2003年に学内機関誌「早稲田商学」に発表した企業戦略に関する2つの英語論文が、この准教授がアメリカの大学院在学中の1995~98年に入手した他人の未公開の論文からの盗用であったことがわかり、2014年11月21日付けで懲戒解雇されました。学内の調査委員会によると7~8割が盗用だったということです。

参考

  1. 早稲田大准教授が論文盗用で懲戒解雇 「盗用と受け止められても仕方ない」(産経ニュース 2014.11.21):”早稲田大学は21日、商学学術院の蛭田啓准教授(50)が執筆した論文2本に盗用があったとして同日付で懲戒解雇した。”
  2. 論文盗用か 早稲田大学の准教授が懲戒解雇(テレ朝ニュース 2014年11月21日):”早稲田大学は、商学学術院の男性准教授(50)が2001年と2003年に発表した企業戦略に関する2つの論文について盗用したと結論付け、21日付で懲戒解雇しました。”
  3. 早大准教授、論文盗用で懲戒解雇…不服申し立て(YOMIURI ONLINE 2014年11月21日):”早稲田大学は21日、海外の研究者の論文原稿を盗用したとして、商学部の蛭田啓准教授(50)を懲戒解雇処分にしたと発表した。”

結婚△、出産×の群馬大医教授がパワハラ解雇

群馬大学によるパワー・ハラスメントの定義:

”業務上の支配従属関係を不当に利用して,不利益な取扱い,人格的な誹謗・中傷,嫌がらせ,暴力,業務遂行の妨害等の相手の意欲及び就労関係を 著しく阻害することをいいます。”
http://www.gunma-u.ac.jp/html_campus/campuslife_16.html

NHKなどの報道によると、

「月曜日に仕事をするためには土日に働かなければならない」

と言って部下の教職員に休日出勤を強要したり、

「結婚は三角、出産はバツだ」

などと女性職員に対して発言するなど、ハラスメント行為を繰り返していた群馬大学医学部の40代の男性教授が2014年11月20日付けで懲戒解雇されました。また、部下に対して、

「ポストを空けるため(他大学などに)応募しろ」

などと言って心理的な圧力をかけ、それにより3人が精神的な病気で休み、2人が退職したそうです。大学側は2013年4月に調査委員会を設置し、2012年1月から2013年8月の間における、この教授の研究室の助教や講師の男女5人に対する言動をハラスメントとして認定しました。

 

参考

  1. 教授がパワハラ「結婚は三角 出産はバツ」(NHK NEWSWEB 2014年11月20日):”前橋市にある群馬大学医学系研究科の40代の男性教授が、部下の教職員に対して、適正な範囲を越えた休日出勤を強要したほか「結婚は三角、出産はバツだ」と女性職員を蔑視する発言などを繰り返し、パワーハラスメントを行っていたとして、大学はこの教授を懲戒解雇の処分にしました。”
  2. 群馬大、パワハラで教授を懲戒解雇 退職や休日出勤強要(朝日新聞DIGITAL 2014年11月20日):”教授は大学に発言を認めたが、一部は「指導の範囲」と話しているという。”

いざというときに命を救ってくれるはずのエアバッグに逆に命を奪われる危険性

エアバッグの異常が原因と思われる事故で死亡者が5人、負傷者は100人以上にも上るというアメリカでは、エアバッグ製造メーカーのタカタや事故車の大半を占めるホンダに対する憤りが大きくなっています。2014年11月20日に米議会の公聴会が開かれ、タカタ社やホンダの幹部が厳しく追求されました。

今現在も異常なエアバッグが装着された車を運転している多数のドライバーが危険にさらされた状態にあり、タカタとホンダは批判の矢面に立たされています。

2013年にフロリダで、2002年式ホンダシビック運転中に事故に遭った女性Stephanie Erdman氏は、エアバッグが開いたときに破裂した金属部品が飛んで顔面に突き刺さり、死ななかったのが不思議なくらいという大怪我しました。彼女は証人として今回の公聴会で証言をしています。
CBS News – Defective Airbags

下の動画は、命を守るべきエアバッグが殺人兵器になっていると憤る米上院議員Bill Nelson氏。また、2001年式のホンダシビックを運転中に交通事故に遭いエアバッグの異常な破裂により右眼を失ったフロリダ州のCorey Burdick氏はタカタ社とホンダ社に対して訴訟を起こしています。

Sen. Nelson calls for recall of reportedly dangerous airbags

参考

  1. エアバッグ:タカタ、不信払拭できず…米公聴会(毎日新聞 2014年11月21日):”委員の関心は、リコールが始まった2008年11月の数年前から、タカタが欠陥を把握していながら、隠蔽(いんぺい)したのではないかとの疑惑に集中。清水本部長は05年5月に最初の事故の報告を受けたことを明らかにしたが、「当時、欠陥を示す証拠はなかった」と疑惑を否定した。”
  2. タカタのエアバッグ問題で米公聴会 リコールまでなぜ3年 (日本経済新聞 2014/11/21):”自動車部品メーカー、タカタの幹部がエアバッグの品質問題を巡って初めて公の場で発言した米上院公聴会。”
  3. Takata airbag victims looked like they had been shot or stabbed (By Chris Isidore CNNMoney November 20, 2014):”When police got to the scene of a minor car accident in Alhambra, California in September 2013, they thought the driver, Hai Ming Xu, had been shot in the face.”
  4. Handout photo from law office of 2001 Honda Civic which Corey Burdick was driving (Chicago Tribune):”A 2001 Honda Civic which Corey Burdick, 26, was driving in Eustis, Florida, on May 29, 2014, when he was involved in an accident with another vehicle. ”
  5. Senators Are Looking At A Gruesome Image Of A Takata Airbag Injury (By Matthew DeBord Business Insider Nov. 20, 2014):”Appearing as a witness, Stephanie Erdman testified about her 2013 accident in a 2002 Honda Civic in Florida.”
  6. タカタ製エアバッグ問題で米当局が全米におけるリコールを指示~タカタが欠陥を知りながら隠していた疑いも

エイジックがTechCrunch Tokyoで受賞

電子回路を作るのに半田付けもブレッドボードも不要。家庭用インクジェットプリンターで電子回路を印刷したり、電子回路をマジックで書いたり消したりしてつくることができるなど画期的な製品を世に送り出しているベンチャー企業AgIC(エイジック)が、TechCrunch主催のイベントTechCrunch Tokyo 2014(2014年11月19日開催)のプレゼンコンテスト「スタートアップバトル」で見事最優秀賞に選ばれました。

電気の専門家でなくても電子回路を活用して新しいものを作り出すことができる、そんな画期的な製品群をAgIC(エイジック)が出しています。アイデア次第でいくらでも可能性が広がり、教育、おもちゃ、趣味、デザインなどの分野で大きなインパクトがありそうです。

下の動画は、電子回路を描いて“消せる”ペン「Erasable Circuit Marker」。

こちらの動画は、電気を通すインクの入ったインクカートリッジを使って、家庭用のインクジェットプリンターで電子回路が印刷できてしまうというもの。
AgIC lets you print circuits with an inkjet

 

参考

    1. 電子回路をコピー用紙に印刷「AgIC」が最優秀賞:TechCrunch Tokyo 2014 スタートアップバトル(ASCII.JP 2014年11月20日):”AOLオンライン・ジャパンが運営するテクノロジーメディア「TechCrunch」が19日、都内でスタートアップ企業と関係者を集めたイベント「TechCrunch Tokyo 2014」を開催”
    2. 東大発ハードウェアベンチャーのAgICが電子回路を描いて消せるペンをKickstarterに出品(週アスPLUS 2014年11月18日):”銀ナノ粒子を含む特殊なインクを使うことで、家庭用の普通のプリンターで電子回路を印刷できようにする『AgIC Print』を開発したハードウェアベンチャー“AgIC”が2014年11月18日、電子回路を描いて“消せる”ペンを同梱したキット『Erasable Circuit Marker』を米国のクラウドファンディングサイト“Kickstarter”に出品し、事前予約を開始した。
    3. AgIC株式会社ウェブサイト:”AgIC は Ag Inkjet Circuit の略であり、家庭用のプリンターを電子回路基板の製造機に変えます。”
    4. Kawahara et al., Instant inkjet circuits: lab-based inkjet printing to support rapid prototyping of UbiComp devices. UbiComp’13, September 8–12, 2013, Zurich, Switzerland

タカタがエアバッグ欠陥隠蔽の疑い

タカタ製エアバッグ問題で米当局が全米におけるリコールを指示~タカタが欠陥を知りながら隠していた疑いも

車の衝突事故でエアバッグが開くときに金属製部品が飛び散り、それが体に当たって死亡するという事故が米フロリダ州で報告されていました。事故を起こした車のエアバッグは日本のタカタ社が製造したもので、当初はフロリダ州など高温多湿な州のみでリコールが行われていましたが、高温多湿という条件には当てはまらない地域でもタカタ社製エアバッグを装備した車による同様の事故が確認されたことから、米当局は全米規模のリコールを指示しました。タカタ社がこの米当局の指示に従わない場合には、最高41億円($35 million)の罰金を科せられる可能性があります。

リコールの対象となる可能性のある車は、トヨタ、ホンダ、マツダ、BMW,日産、三菱、スバル、クライスラー、フォード、ゼネラルモーターズ(GM)の各社の特定の年式の車です(アメリカ国家道路交通安全局ウェブサイトのリコール対象車リスト)。

また、米ニューヨークタイムズは元従業員の話として、2004年にタカタ社はアメリカのヘッドクォーター(ミシガン州オーバーンヒルズ)で秘密裡(通常の勤務時間外)にエアバッグのテストを行い欠陥を認識したにもかかわらず上層部の指示でテスト結果を廃棄するなどの証拠隠滅を行い、これまで欠陥を隠していたと報道しています。

また杜撰な品質管理を暴露するビデオを入手したとしてニューヨークタイムズが、報道しています。
Takata’s Malfunctioning Airbags (BY Carrie Halperin ニューヨークタイムズビデオ Nov. 6, 2014)

参考

  1. タカタが証拠隠滅か…元従業員証言 エアバッグリコール問題、米で過熱(NewSphere 2014年11月11日):”エド・マーキー、リチャード・ブルメンソール米上院議員は7日、司法省に対し刑事捜査を開始するよう要請、また国家道路交通安全局(NHTSA)に問題のエアバッグを搭載している車両のリコールを呼び掛けるよう促した。”
  2. Takata Saw and Hid Risk in Airbags in 2004, Former Workers Say (By HIROKO TABUCHI New York Times NOV. 6, 2014): “But instead of alerting federal safety regulators to the possible danger, Takata executives discounted the results and ordered the lab technicians to delete the testing data from their computers and dispose of the airbag inflaters in the trash, they said.”
  3. タカタ製エアバッグ、リコール全米規模に 米当局指示 (日本経済新聞 2014/11/19):”タカタは「米当局の指示内容や対象となる台数など詳細を確認中」としている。タカタ問題では、ホンダやトヨタなど日本の自動車メーカーを中心に、中国を含む世界各国で1000万台超のリコールを迫られている。”
  4. 米フロリダ州でタカタとホンダに訴訟、欠陥エアバッグ死亡事故で(ロイター 2014年 11月 18日):”米フロリダ州でタカタ製エアバッグを搭載したホンダ車に乗っていた女性がエアバッグの欠陥により死亡したとして、この女性の遺族が17日、タカタとホンダに対し訴訟を起こした。”
  5. 弊社エアバッグに係るリコールについて(PDFファイル)(タカタ株式会社代表取締役会長兼CEO 高田 重久 2014 年11 月13 日)”本日、弊社の米国子会社であるTK HOLDINGS INC.(アメリカミシガン州)にて製造した運転者席側エアバッグの不具合に起因するリコールの届出を、本田技研工業株式会社様が日本等で行いました。このリコールは、本年7 月にマレーシアで起きた事故の調査の結果、運転者席側エアバッグのインフレータのうち、製造時におけるガス発生剤の吸湿管理が不適切であったものがあり、エアバッグ展開時にインフレータ容器が破損するおそれがあることから、実施されるものと承知しております。”
  6. The U.S. government is asking for a nationwide recall of vehicles equipped with exploding airbags made by Takata (By Katie Lobosco CNN Money November 18, 2014):”It would be an expansion of a current recall which covers eight million vehicles made by 10 different automakers.” (動画 Airbag company accused of cover-up)
  7. NHTSA Demands New, Additional Details on Air Bags from Takata and 10 Auto Manufacturers as Part of Ongoing Investigation (NHTSA November 18, 2014):”The U.S. Department of Transportation’s National Highway Traffic Safety Administration (NHTSA) today announced it is calling for a national recall of vehicles with certain driver’s side frontal air bags made by Takata. This decision is based on the agency’s evaluation of a recent driver’s side air bag failure in a vehicle outside the current regional recall area and its relationship to five previous driver’s side air bag ruptures, all of which are covered by existing regional recalls.”
  8. Recalls Look-up by VIN (Vehicle Identification Number)
  9. タカタ製エアバッグ事故で際立った日米の報道姿勢の違い(BY 牧野 洋 現代ビジネス 2014年10月31日) ”この死亡事故で亡くなったのは、フロリダ州オーランド在住のヒエン・トラン氏。運転中に交通事故に遭い、 今月2日に病院で死亡した。同氏の首には誰かにナイフで刺されたような切り傷があった。それを根拠に、警察は殺人事件として捜査を始めていた。死亡から1 週間後、トラン氏の遺族はホンダからリコールの通知を受け取った。同氏が乗っていたホンダアコードのエアバッグに欠陥があり、回収する必要があるという内 容だった。この結果、同氏を死に追いやったのはナイフではなく、エアバッグであるということが判明した。”
  10. タカタが直面するいばら道―エアバッグリコール(By Colum Murphy And Eric Pfanner 原文(英語)ウォールストリートジャーナル2014 年 10 月 2 日)
  11. エアバッグ世界シェア20%「タカタ」品質問題で揺らぐ世界の自動車業界…GMに続く巨大リコール、自動車市場にかつてない危機感 (産経WEST2014.8.25):”自動車部品メーカーのタカタ(本社・東京)が製造したエアバッグの不具合をめぐり、世界の自動車市場が大揺れだ。”

科研費を獲得した研究者への報奨金の授与

研究者が科研費を獲得すると、その金額(「直接経費」)の30%に相当する金額が間接経費として大学に入ります。つまり、大学が抱える研究者が科研費を獲得すればするほど大学は潤うのです。多額の研究費を獲得してもそれは研究にのみ使えるお金であって、研究者個人の懐には通常お金は入ってきません。

そこで、研究者の科研費獲得へのモチベーションを高める工夫として、報奨金制度を導入する大学が出てきています。報奨金の対象となる研究費の金額や、報奨金の金額は大学ごとにまちまちですが、公的研究費の一部がささやかながら研究者個人に還元される仕組みです。

東工大報奨金授与式を実施
平成26 年2 月13 日(木)に東工大蔵前会館ロイアルブルーホールにおいて東工大報奨金の授与式が行われました。この報奨金は、大学に多大な貢献等をした職員の勤労等に報い 励ますとともに、他の職員の勤労意欲の向上及び志気高揚を図り、大学を一層発展させることを目的として制定されたもので、今回で6 回目となりました。授与式では、平成24 年10 月から平成25 年9 月の間に外部資金、寄附金等により、合計1,500 万円以上の多額な間接経費を獲得し、大学の運営等に多大な貢献をされた次の22名の方々のうち7名の出席者に対して、三島学長から直接、目録が授与される とともに、本学を一層発展させるため、今後も尽力願いたい旨の言葉がかけられました。(東工大クロニクルNo.496 2014年3月 PDFファイル

名古屋大学 平成24年度 事業報告書 (PDFファイル) ”外部研究資金獲得に関して、間接経費獲得者に対する報奨金制度を構築した。”

科研費獲得金額の増加を目指す大学が考えることはニンジン作戦だけではありません。アメとムチでいえば、ムチを振るうことで科研費申請を促す大学もあります。科研費申請を行わない研究者には大学は研究費を減額、あるいは支給しないという厳しいものです。

科研費の申請の義務化について
7 月29 日に、科研費申請の義務化にかんする団体交渉をおこないました。
教員の話となりますが、科研費の申請をおこなわないことを2 年続けると、研究費がゼロに
なるというペナルティー付きです。しかも「研究代表者」としての申請が義務付けられていま
す。私たち教職員組合は、このような、ペナルティー付きの科研費申請義務化が教員にとって
も(申請業務にたずさわる)、事務系職員にとっても労働強化になる、という理由で反対の申
し入れをおこないました。(高知大学教職員組合中央執行委員会機関紙 こぶし 第 2 号 2014 年9 月4 日 PDFファイル

中でも科学研究費補助金の獲得増に当たっては、申請・採択増の方針によって、原則1人1研究課題以上の申請が義務づけられており、研究者各位の積極的な応募が不可欠であります。

法人化後、本学の研究推進会議がこうした「方針」実現のために「1人1課題以上の申請」を「義務」化し、それを果たさなかった教員には翌年度の研究経費の10%をカットするという、いわば“ペナルティ”を課してきたことは、周知の通りです。(熊本大学教職員組合 赤煉瓦 2009.10.7 PDFファイル

東工大生命理工(元)教授が研究費を私的流用

研究費の不正使用が起きる状況は、お金が足りなくなる次年度の物品購入に充てるための預け金、学生の学会出張旅費に充てるための裏金作りなど、ラボのため、研究のためという場合がほとんどでしょう。もちろんいかなる不正も許されるものではありませんが、最も悪質なのは私的な流用、つまり研究者が公的なお金を自分のポケットに入れてしまうことです。

東京工業大学大学院生命理工学研究科の教授(既に定年退職)が研究費の不正使用により逮捕されました。

研究費詐欺事件 東工大元教授が架空請求持ちかけか(FNNnewsCH 2014/11/16)

試薬などを購入したと見せかけて購入費を業者にプールする「預け金」の手口を用いて、計約1490万円をだまし取っていた疑いです。これらのお金は自家用車の購入やクレジットカードの支払いといった私的な目的に流用されていたと見られています。

東工大元教授 研究費を車購入に流用

逮捕されたのは、実験用試薬の架空発注に関与していた(元)教授、教授の秘書、化学製品卸会社「東光化成」の役員と同社の社員の4人です。この研究室の准教授の研究費の一部も、同様の手口でこの教授の手に渡っていたようですが、東工大の発表によれば准教授自身はこの「預け金」処理に関与していなかったということです。

今回明らかになったお金の流れはこうです。教授は取引業者と結託し、実験用試薬を架空に発注します。大学は架空の請求書に従いその代金をこの業者に支払います。この架空の発注・請求が繰り返されると、研究費が「預け金」として業者にプールされていきます。業者はプールされたこのお金を、教授秘書が管理する銀行口座に振り込み、結果的に、教授個人にお金が還流されます。NHKの報道によれば、業者の方もプール金の一部を会社の経営資金に当てていたそうで、教授と業者の双方にメリットがありました。研究者が獲得した研究費の管理を実際に行うのは大学なので、研究者と業者に大学が騙されたという構図です。

多くのメディアの報道によると、東光化成に試薬を架空発注を繰り返して約1490万円を着服したことが今回の逮捕の理由です。しかし共同通信やNHKの報道によれば、別の業者にも実験器具など物品を架空発注しており、逮捕容疑とは別に約1900万円の研究費を不正に使っていたとのことです。1900万円の研究費不正使用に関しては、2014年1月10日に東工大が既に報告書を公開しています。

既に明らかになっていたこれらの不正経理問題のため、先日(2014年11月5日)文部科学省により発表された国立大学法人評価委員会の評価結果においても、東工大は最低評価を受けていました。

東工大 法令順守で最低の評価

 

参考

  1. 東工大元教授 研究費を車購入に流用 (NHK NEWSWEB 11月15日):”岡畑元教授については、今回の逮捕容疑となった1490万円の研究費の流用とは別に、実験器具などの架空発注を行うなどして、およそ1900万円の研究費を不正に使用していたことが、ことし1月に明らかになっています。… 一方、業者のほうも、プールされた金の一部を運転資金として使っていたということです。”
  2. 元教授が業者に手口持ち掛けか 東工大の研究費詐取事件(47NEWS/1共同通信 2014/11/15):”東工大によると、岡畑容疑者は別業者にも物品を架空発注し、逮捕容疑とは別に約1900万円の研究費を不正に使っていたことが、学内の調査で判明している。”
  3. 東工大元教授ら1490万詐欺容疑で逮捕(niccansports.com (共同) 2014年11月15日):”東工大によると、岡畑容疑者は別業者にも物品を架空発注し、逮捕容疑とは別に約1900万円の研究費を不正に使っていた。”
  4. 東工大元教授ら逮捕 研究費1490万円を不正流用容疑(朝日新聞 2014年11月15日):”研究費約1490万円を不正に流用したとして、警視庁は15日、東京工業大学(本部・東京都目黒区)の元教授岡畑恵雄(よしお)容疑者(67)=川崎市麻生区=と取引業者の役員ら計4人を詐欺容疑で逮捕し、発表した。”
  5. 東工大の元教授逮捕…研究資金1490万円詐取(読売ONLINE 2014年11月15日 14時35分):”実験用試薬などを架空発注して大学から研究資金約1490万円をだまし取ったとして、警視庁は15日、東京工業大大学院生命理工学研究科の元教授、岡畑恵雄容疑者(67)(川崎市麻生区)ら4人を詐欺容疑で逮捕した。”
  6. 東工大元教授ら4人を逮捕=研究費、1490万円詐取容疑-警視庁(時事ドットコム 2014年11月15日):”岡畑容疑者は詐取した金を車の購入費やカードの支払いなどに充てていたという。”
  7. 東京工業大学大学院生命理工学研究科元教授の研究室における研究費の不正使用と関係者の処分等について発表資料PDFファイル 東京工業大学 2014年1月10日):”●平成20年に元教授と秘書で預け金を始め、平成25年3月まで架空発注・請求が行われた。 ●元教授及び秘書は、引き出した資金を研究室のために使用したと主張しているが、記録等は廃棄されているため証明する資料は存在せず、その使途は不明である。 ●不正に使用されたと現時点で認められる研究費の額は、記録等に基づき裏付けがとれたもの、今後精査を要するものを合わせて、約1,900万円である。”
  8. 研究費不正が影響、東工大また最低評価 国立大評価委(朝日新聞DIGITAL 2014年11月5日):”文部科学省の国立大学法人評価委員会は5日、2013年度の評価結果を発表した。研究費不正が繰り返されたとして、東京工業大に対し、5段階で最も悪い「重大な改善事項がある」とした。”
  9. 国立大学法人東京工業大学の平成25年度に係る業務の実績に関する評価結果(PDFリンク)(文部科学省 平成25年度 各法人の評価結果) ”平成 23 年度評価において、長期にわたり新学長を選任できなかったことにより「法人の運営に重大な改善が必要」とされたことの主因である研究費の不適切な経理について、平成 24 年 10 月の新体制発足以降、学長を中心に教育研究資金の管理・監査体制の強化を図るなど全学一体となった取組がなされてきたところであるが、平成 24 年度を含む過年度において再び研究費の不適切な経理が確認されていることは、平成 23 年度評価において指摘した、大学を挙げた不正の防止、コンプライアンス機能の強化の取組が実効を挙げておらず、東京工業大学の中期目標の前文「大学の基本的な目標」に掲げる「社会と世界から信用される大学を目指す」という点に照らして極めて深刻な事態であると考える。”
  10. 東工大生命理工の名誉教授が在職中に研究費約1900万円を不正使用していたことが発覚

大地震を予測できずに安全宣言をして有罪判決を受けた科学者6人が二審では無罪に

地震の予知に失敗した科学者の罪を問えるのか?309人が死亡した大地震の予知に失敗して禁固6年の有罪判決を受けていたイタリアの科学者6人に対して、二審では無罪の判決が下りました。「安全だという情報を科学者が発信したために被害にあった」と遺族らが訴えているのに対して、責任を問われた科学者らは「地震を予知することは誰にも不可能だ」と反論していました。

伊 地震情報巡り有罪の学者らに逆転無罪

有罪判決から一転、科学者らに無罪判決が言い渡されたことに納得できない遺族らは怒りを露わにしています。

L’Aquila earthquake scientists have their convictions overturned

下の動画は、一審で禁固6年の判決が言い渡される様子、および判決に対する遺族の反応。

Italian scientists convicted over earthquake warning

地震学者が安全だと言ったから家にとどまり被害にあったのだと、科学者の責任を訴える遺族。

Scientists found guilty in Italy quake trial

耐震基準を順守していなかった工事のせいで建物倒壊による被害が拡大したのではないかという指摘もなされています。

ACHTNER PressTV – L’Aquila Earthquake Victims State Funeral

TERREMOTO L’AQUILA 6/4/2009 (ラクイラ地震2009年4月6日)

参考

  1. 「地震予知失敗」の科学者ら逆転無罪 イタリア(朝日新聞DIGITAL 2014年11月11日):”一審判決は、全員に求刑の禁錮4年を上回る禁錮6年の有罪判決だった。世界の科学者に「学者に結果責任を求めるのか」などと波紋を広げた。”
  2. 「安全宣言」学者 一転無罪 09年イタリア中部地震 (東京新聞2014年11月11日 夕刊):”二〇〇九年のイタリア中部地震の発生前に「安全宣言」と受け止められる判断を示し被害拡大をもたらしたとして、過失致死傷罪に問われ一審で禁錮六年の実刑判決を受けた学者七人のうち六人に対し、最大被災地ラクイラの高裁は十日、一審判決を破棄し、無罪を言い渡した。”
  3. イタリア:地震学者ら逆転無罪に 実刑の1審判決破棄(毎日新聞 2014年11月11日):”高裁判決はリスク評価委員会のメンバーだった7人のうち、地震学者や災害専門家ら科学者6人について全面無罪とし、政府市民防衛局技術部の元次長に関しては、一部の被災者に対する過失致死傷罪で禁錮2年を言い渡した。”
  4. 伊 地震情報巡り有罪の学者らに逆転無罪(NHK NEWSWEB 11月11日):”この裁判は2009年にイタリア中部のラクイラなどで300人を超える犠牲者を出した地震を巡り、地震学者ら7人が、地震の発生前に安全宣言とも受け止められる情報を出して少なくとも住民37人が避難せずに死亡したとして過失致死などの罪に問われているものです。”

京大学生らが私服公安警察官を取り押さえる

2014年11月4日、大学側に事前通告せずに京都大学構内に潜入していた私服警察官が学生らに発見され、取り押さえられるという事件がありました。京都大学と京都府警察の間には、大学自治の観点から警察官が学内に入る際は事前通告するなどの申し合わせがあったにもかかわらず、それが守られていなかったことに関して、京大当局は、「誠に遺憾」とのコメントを出しています。

京大“潜入”の私服警官、学生に取り押さえられる

京都大学全学自治会同学会11・4周知ビラ.pdf)による事件の経過(一部省略):

11月4日(おおよその時刻)

12:15 同学会中執の情宣活動中に、学生有志が公安を発見・摘発する。
12:30 京大当局職員を呼ぶ。免許証、保険証から京都府警公安であると確認。携帯画面にLINEで「離脱しろ!」というメッセージも確認。
12:45 京大当局の用意した会議室に移動し、追及する。寮、キャンパスに宣伝。当局が免許証、保険証のコピーを取る。学生側もコピーを取って、その場で配布する。
13:30 「本当に警察官で公務中だったなら京大との協定違反だ」として冴木学生部長が京都府警に通報する。
14:00 京大副学長・杉万俊夫が到着する。杉万副学長が「大勢だと監禁罪になる恐れがある」として、学生側3名、当局側3 名 の6名で追及を続ける。
14:45 公安が「杉万副学長と2人なら話す」と言いだす。杉万副学長にICレコーダを持たせて学生は全員退室し、部屋の前で待機。
15:00 機動隊バスが5台と公安が大量に周辺に集まっているという情報が入る。「『釈放しないと突入する』と脅されている」と職員から伝えられる。
15:30 公安が名前と所属を自供。「休憩中に自転車で通行していただけで公務中ではない」と主張(しかし実際は自転車を構内に停め、校舎内に立ち入っている)。杉万副学長が「京大生が何度も目撃しているようだし、ただ普通に通行しているだけの人間を捕まえるはずがない。矛盾している」と追及したが、何も答えず。これ以上は埒が明かないと判断し、校外にいる京都府警の身柄引き受けの責任者を杉万副学長が追及することになる。責任者に対し、杉万副学長が「本人は否定しているが、今回の件は公務だったと考えている。大学の許可なく構内で公務を行うことは、大学の自治に反し、京都府警とのこれまでの約束を破るものだ。しっかり対応するように」と追及する。責任者は身分を明かさず、今回の事件について「公務中だったかは判らない。これから調査する」の一点張り。
16:00 責任者の追及が終わり、大衆が取り巻く中、門前で身柄の引き渡しを行う。

参考

  1. 日本国憲法 第23条 学問の自由は、これを保障する。
  2. 京大の構内に警察官、学生とトラブル 大学「誠に遺憾」(朝日新聞DIGITAL 2014年11月5日):”京都大は4日、京都府警の警察官が無断で構内に立ち入ったとして、「事前通告なしに警察官が立ち入ることは、誠に遺憾。詳細な事実関係の調査を行っている」とする杉万俊夫副学長名のコメントを発表した。”
  3. 京大:私服の府警・警備2課警官を学生ら一時取り囲む (毎日新聞 2014年11月04日):”4日午後0時20分ごろ、京都市左京区の京都大学で、無断で構内に立ち入った京都府警の私服警察官を学生らが一時取り囲む騒ぎがあった。”
  4. IWJ緊急レポート! 京都府警公安幹部にIWJが直撃取材! 京大への「潜入捜査」が発覚! 思想弾圧は進行中? 「第二のポポロ事件」の真相に迫る!
  5. 「京大ポポロ」警察官無断立ち入り 「まだ学生運動が!」「公安がばれちゃ、いかん」 ウェブで波紋広がる (産経WEST 2014.11.8):”京都大(京都市左京区)のキャンパスに4日、私服警察官が無断で立ち入ったとされる問題をめぐっては、大学の自治の観点から一部の学生たちから強い反発の声があがり、京大も「誠に遺憾」と不快感を示している。ただ、こうした動きは、中核派系とみられる学生の逮捕をきっかけに起こっており、反応はさまざまで、じわりと波紋も広がる。”
  6. 公安警察を摘発!(京 都大学全学自治会同学会中央執行委員会オフィシャルblog 2014-11-05 Wed):”昨日11月4日の昼休みに、同学会中執の宣伝活動を監視 していた公安警察を学生有志が取り押さえ、その学生有志と同学会中執をはじめとした大勢の学生と、杉万副学長を含む大学側職員数名で抗議・追及し、警察に 引き渡すという大事件がありました。”
  7. 東大ポポロ事件(ウィキペディア)