Category Archives: Uncategorized

DNA電気泳動写真のレーンの切り貼りの是非

小保方氏のSTAP論文問題は日本の生命科学研究者全体を巻き込む大騒動に発展していますが、DNAの電気泳動写真の切り貼りはどこまでなら許されるのでしょうか?雑誌の投稿規程に具体的にやってはいけないことが記述されている場合があります。

例えばMolecular Biology of the Cellの投稿規程には、

Authors may delete or crop irrelevant parts of a gel image (such as blank lanes) but should explicitly describe such manipulations in the figure legend and should add lines to the image to show where sections have been deleted. (http://www.molbiolcell.org/site/misc/ifora.xhtml)

とあり、空白のレーンなど不要な部分を除去することは構わないがその場合は除いた部分がわかるように線を引くこと、また図の説明文中にその旨をはっきりと記述することを要求しています。

Molecular Cell誌でも、

Groupings and consolidation of data (e.g., cropping of images or removal of lanes from gels and blots) must be made apparent and should be explicitly indicated in the appropriate figure legends. (http://www.cell.com/molecular-cell/authors)

 ゲルの写真でレーンを除いたりする場合には行なわれた操作が明瞭にわかるようにし、かつ、図の説明文で説明せよとあります。

Neuropsychopharmacology誌はもう少し具体的で、

Vertically sliced gels that juxtapose lanes that were not contiguous in the experiment must have a clear separation or a black line delineating the boundary between the gels. (http://www.nature.com/npp/author_instructions.html)

実験では隣接していなかったレーンを切り貼りにより並べる場合には、隙間を入れるかまたは黒い線でゲルの境界に線を入れるように求めています。

これらの規程からすると、論文には必要の無いサンプルも電気泳動してしまったためそのレーンを除いて図を作るということは、そのことを明示すれば問題ないようです。だったらレーンを並べ替えてしまってもいいのかとなると、そこまで細かい規程は見当たらずグレーゾーンに突入しているかもしれません。では同一のゲルではなく2枚のゲルのレーンを並べてもいいのかとなるとさらに疑問が膨らみます。しかし2枚のゲルの写真から一つの図を作ることが絶対にダメともいえないようで、

Molecular Pharmacology誌の投稿規程を読むと、

The groupings of images from different parts of the same gel, or from different gels, fields, or exposures must be made explicit by the arrangement of the figure (e.g., using dividing lines or ensuring white space separates lanes from different gels) and in the text of the figure legend. (http://molpharm.aspetjournals.org/site/misc/ifora.xhtml)

異なるゲルであってもレーンの間にちゃんと線を入れれば良いという記述があります。しかしさすがに移動度が極端に異なる2枚のゲルの一方を拡大・縮小して非科学的な操作により自分が合わせたいバンドの位置を合わせて並べるという行為まで許容しているとは考えにくいでしょう。

明示せずレーンを入れ替える切り貼りも、拡大縮小をデタラメに行なって2枚のゲルを張り合わせる切り貼りも、どちらもやってはいけないことです。日本のトップの研究者たちが出した論文の中で普通に「切り貼り」が行われていたという事実は驚くべきことですが、前述の2つでは悪質さの程度全く異なるため、「切り貼り」と言う言葉で両者を同列に並べるような報道姿勢は誤解を招き好ましくありません。

 

 

 

 

理研が過去の全論文(2万報超)を自主点検

理化学研究所研究員2800余名が関わる過去の全論文(2万報超)にデータ捏造、改竄、盗用などの不正行為がないか自主点検

STAP細胞NATURE論文の捏造問題の処理にあたっている理研の調査委員会の調査委員長や調査委員らの過去の論文にデータ捏造、改竄の疑義が唱えられるという異常な事態になっていますが、理研の研究者は自分の過去の論文の粗探しをされることを恐れて、STAP細胞問題に関わることに尻込みしてしまっているようです。

ジャパンタイムズの記事によると、理化学研究所の元研究者トーマス・クヌッフェル(Thomas Knopfel)氏は、理研在職中に研究不正を問題にしようとしたらむしろ激しいハラスメントに会い、理研で研究を続けることが不可能になったと述べ、研究不正に関して非常に甘い理研の隠蔽体質を強く批判しています。

理研の野依良治理事長は石井俊輔氏がSTAP細胞論文調査委員会の委員長を辞任するという事態を受け、4月25日に理研の研究リーダーらに対して、画像の切り貼りや盗用などの不正がないかを自主的に点検するよう文書で指示していたことが明らかになりました。

参考

  1. 理研、論文の自主点検指示=対象研究者2800人余(時事ドットコム 2014/05/04-14:37):理研では年間約2500本の論文を出しているが、指示文書では、どの時点までさかのぼって点検するかは明示していない。
  2. 理研 全研究者に論文の自主点検指示 (NHK NEWSWEB 5月4日 11時28分):理化学研究所は少なくともこの10年の間に書かれた論文を対象とする方針で、この間の論文の数は2万を超えるとみられるということです。
  3. 小保方氏側「調査委の信用なくなった」と不信感(読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月04日 13時25分):「STAP細胞の問題に関わると、自分の研究にも厳しい目が向けられると思うようだ」。理研のある幹部は、読売新聞の取材に対し、委員の論文の確認作業が思うように進んでいないことを認めた。
  4. STAP問題で理研、全研究者の論文を自主点検 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月04日 13時25分):STAP(スタップ)細胞の論文問題を受け、理化学研究所が、理研のすべての現職研究者約3000人がかかわる論文について自主点検していることが3日、わかった。
  5. ‘STAPgate’ shows Japan must get back to basics in science – Misconduct, and covering it up, common in nation’s labs (The Japan Times Apr 20, 2014):(Thomas Knopfel) “I personally had been severely harassed (and finally found unsuitable to continue my work at Riken) because I was not willing to tolerate events that in my word constitute ‘research misconduct.’ ”
  6. ドイツ人教授「理研は“STAP”以前も改ざんあった」(テレ朝NEWS 04/17 19:01):理化学研究所の元研究者、トーマス・クヌッフェル氏:「(Q.論文の盗用など見たことがあるか?)ええ、見たことがあります。私は、それについて批判しま したが、うまくいかなかった。批判に対する前向きな反応はなく、逆に私の立場が危うくなりました。それは、理化学研究所で育まれた一種の『文化』だと思い ます」【クヌッフェル教授のインタビュー動画】

山中伸弥教授が自身の論文不正疑惑を強く否定

小保方晴子氏のSTAP論文捏造疑惑ともあいまって、DNA電気泳動の写真データの切り貼りが広く研究者の間で行なわれていた事実が発覚し、日本の科学研究の信頼性が大きく揺らぐ異常な事態になっています。

以前からインターネット上の一部のサイトで山中伸弥教授の論文に関しても疑義が指摘されていましたが、2014年4月28日に山中教授が記者会見を行いこの疑惑をきっぱりと否定しました。

20140428_1

(上図は京都大学iPS細胞研究所ウェブサイトより転載)

参考

  1.  2000年にThe EMBO Journalに掲載された論文について (京都大学iPS細胞研究所 2014.04.28):京都大学iPS細胞研究所山中伸弥教授は、同教授らが2000年に発表した論文に掲載された図に関する疑問点を指摘したウェブサイトを発見しました。当研究所は、山中教授の申し出を受け、事実関係を調査しました。
  2. 山中伸弥氏の論文画像類似事案(捏造指摘ではない)捏造、不正論文 総合スレネオ2 のコメント240で指摘された、山中伸弥氏の論文(EMBO J. 2000;19:5533-41.)の実験画像類似事案について。 (http://blog.goo.ne.jp/netsuzou/e/a703a56e46063cd81de556269b3cb3b9
  3. Shinya Yamanaka, Xiao-Ying Zhang, Mitsuyo Maeda, Katsuyuki Miura, Shelley Wang, Robert V. Farese, Jr, Hiroshi Iwao, and Thomas L. Innerarity. Essential role of NAT1/p97/DAP5 in embryonic differentiation and the retinoic acid pathway. EMBO J. Oct 16, 2000; 19(20): 5533–5541. doi:  10.1093/emboj/19.20.5533.
  4. 「今後、ノートしっかりとる」 山中氏会見、一問一答(朝日新聞デジタル2014年4月28日23時39分):元データは、共同研究者のノートにあるのか。山中 自分自身の記載漏れか、共同研究者が実験したノートを私が持っていないのか、どちらかわからないのが正直な答えだ。
  5. 山中所長会見:ネットで不正指摘 課題に研究者の説明責任 (毎日新聞 2014年04月28日 21時56 最終更新 04月28日 22時25分):…今回、山中教授は生データを示せず、不正がなかったと完全には証明できなかった。…
  6. 「内容は一点の曇りもない」「生データ無いのは恥ずかしい」 山中伸弥教授の会見内容(産経ニュース 2014.4.28 21:38):「論文に疑問を呈されたことは、去年の4月初めに把握した。共同研究者のデータは保存していなかった。指摘されているデータが自分のノートからは出てこない。これは反省するしかない。日本の科学者の見本とならないといけない立場は十分に理解している。心からおわび申し上げる。しかし、論文内容については一点の曇りもない。自分の論文に疑問を持たれるのは、死ねといわれるのに近い痛みを伴う。心より悔やんでいる」
  7. 山中教授、不正否定=共著者ノート、確認できず陳謝-14年前の論文・京大 (時事ドットコム 2014/04/28-21:17):実験の生データは山中教授のノートでは確認できなかった。共に研究の中心となった中国出身の研究者のノートに記録されている可能性もあるが、連絡が取れないという。
  8. 山中教授「反省、おわび」 過去の論文疑義でデータ発見できず(日本経済新聞 2014/4/28 19:07):京大iPS細胞研究所によると、論文にネット上で疑義が指摘された13年4月に調査を開始し、山中教授から段ボール5箱分の実験ノートの提出を受けた。
  9. 山中伸弥教授が論文の疑義に反論 ES細胞研究で データ不備には謝罪 (産経ニュース 2014.4.28 21:37):生データが自身のノートから発見できなかった点は「研究者として反省し、おわびする」と述べた。

論文疑義を受け石井俊輔氏が実験ノートを公開

小保方晴子氏らのSTAP細胞NATURE論文の疑義に関して調査を行なってきた理化学研究所調査委員会では石井俊輔・理研上席研究員が委員長を務めていましたが、その石井氏の研究室から出た過去の論文にデータ操作の疑義が生じ、石井俊輔氏は調査委員会委員長を辞任しました。石井氏の後任として、調査委員会委員で弁護士の渡部惇氏が4月26日付で新委員長に就任しました。

この件に関しては、石井俊輔氏が実験ノート、生データを公開し、行なわれた訂正に関して詳細に説明をしています。

リンク:「インターネット上で指摘されている当研究室からの論文に関する疑義について。」(理化学研究所分子遺伝学研究室ホームページ 石井俊輔 4/24;  4/28  6~9ページ追記, 4/30 10~11ページ追記)

参考

  1. 石井俊輔氏が責任著者となっている論文に関する疑義を頂きました(warblerの日記 2014-04-24) 石井俊輔氏が責任著者である論文についての疑義(PDFリンク)
  2. Toshio Maekawa, Y Sano, T Shinagawa, Z Rahman, T Sakuma, S Nomura, JD Licht, and Shunsuke Ishii. ATF-2 controls transcription of Maspin and GADD45α genes independently from p53 to suppress mammary tumors. Oncogene 27, 1045-1054, 2008
  3. Chie Kanei-Ishii, Teruaki Nomura, Jun Tanikawa, Emi Ichikawa-Iwata and  Shunsuke Ishii. Differential Sensitivity of v-Myb and c-Myb to Wnt-1-induced Protein Degradation.  Journal of Biological Chemistry 279, 44582-44589, 2004
  4. 調査委員会委員長辞任のお知らせ(理研ウェブサイト上のPDFファイルへのリンク)(理化学研究所 石井分子遺伝学研究室ホームページ 上席研究員 石井俊輔 2014年4月25日):昨夕、インターネット上で私どもの研究室から発表された2つの論文についての疑義が公開されました。これらの疑義については即日、実験ノートのコピー、オリジナルデータを示しながら、研究不正ではないことを、研究室のホームページに掲載しました。しかしこのような状況で、STAP細胞論文についての調査委員会の委員長の任務を継続することは、調査委員会および理研に迷惑をおかけすることになります。そこで委員長の職を辞し、調査委員会から身を引くことが賢明と判断し、委員長の職を辞することを申し出、研究所に承認して頂きました。このような事態に至ったことは不徳の致す所であり、皆様に色々なご迷惑をおかけした事を深くお詫び申し上げます。
  5. 理研調査委員長 みずからも画像切り貼りの指摘受け辞任の意向(NHK NEWSWEB 4月25日 12時39分):石井委員長らが7年前に発表した乳がんの論文で、遺伝子の実験結果の画像を注釈を付けないまま切り貼りしたりしていたなどとする指摘があり、石井委員長は、委員長を辞任する意向を理化学研究所に対し伝えたということです。
  6. 理研のSTAP調査委員長辞任へ 自身の論文に疑義(日本経済新聞 2014/4/25 12:22):石井氏は自らの研究室のホームページで、論文の説明の順番に合わせて画像を入れ替えていたことを明らかにしたうえで「疑念を抱かせてしまったこと、迷惑をかけたことを深くおわび申し上げる」と謝罪した。「オリジナルデータはすべて保存しており、いつでも開示できる」とも説明し、実験ノートを写した画像も公開した。すでに訂正の手続きを取っており、学術誌側も了承しているという。
  7. STAP理研調査委員長が辞任 自身の論文で画像加工(朝日新聞デジタル2014年4月25日12時05分):「切り張りではないか」と不正の疑いがインターネット上で指摘され、石井氏は24日、訂正の手続きをとったとする文書を自身の研究室のサイトで公表した。
  8. STAP細胞:石井・理研調査委員長が辞任(毎日新聞 2014年04月25日 12時13分 最終更新04月25日 14時05分):理研は石井氏の論文不正疑惑の指摘について予備調査を始めた。不正の疑いがあると判断すれば、STAP細胞論文と同様に調査委を発足させる。
  9. STAP論文:理研、信頼失墜に拍車 調査委員長が辞任 (毎日新聞 2014年04月26日 07時45分):STAP細胞論文の小保方(おぼかた)晴子・理研研究ユニットリーダーの画像切り張りを調査委は改ざんと認定したのに対し、石井氏は「自分(の論文)は1枚の画像の中の順番を入れ替えただけ」と違いを強調した。ある国立大教授は「不正に変わりはない。だが、実験ノートも示しており、データを開示していないSTAP細胞論文とは、問題の重みに違いがある」と分析する。
  10. 指弾された小保方氏と同じことをしていた! 理研・石井調査委員長が「画像切り貼り」で辞任 (JCASTニュース2014/4/25 15:33):「真正な画像データが存在していることは中間報告書でも認められています」という小保方氏の反論については、「これは非常に話が簡単でし て…」と、わざわざ前置きしたうえで「差し替え用の真正と思われる画像があるということと、論文投稿時に、非常に不確実なデータを、意図的にあるいは非意 図的に使ったということは全く別問題。不正の認定は後者の『論文投稿時にどういう行為が行われたか』なので、それは関係ない」と一蹴していた。
  11. STAP細胞騒動~理研の石井氏と丹羽氏の論文疑惑~(探偵ファイル 森口尚史 元 東京大学特任教授):石井氏と小保方さんでは不正のレベルが段違いである。前者は論文の結論には影響しないし、開示された生データのお陰で石井氏への疑義は晴れる。一方、後者 は論文全域にわたる不正であって結論に甚大な影響を及ぼすものであり、小保方さんは自らの疑義を晴らせるに十分な生データを開示していない。

2014年4月9日小保方晴子氏、記者会見で反論【全編動画2時間36分12秒】

STAP細胞論文問題で理研の調査委員会によって不正行為を認定された小保方晴子氏が2014年4月9日に大阪市内で記者会見を行いました。

【全編動画】STAP細胞問題で小保方晴子氏が会見 (2時間36分12秒)

この度はSTAP細胞に関する論文の作成に関し、私の不注意、不勉強、未熟さ故に多くの疑念を生み、理化学研究所及 び共同執筆者の皆様をはじめ、多くの皆様にご迷惑をおかけしてしまったことを心よりお詫(わ)び申し上げます。また、責任を重く受け止め、深く反省してお ります。本当に申し訳ありませんでした。今日まで、筆頭著者である私から何も情報の発信が出来なかったことを重ねてお詫び申し上げます。

国際間をまたぐ2つの研究室で、2本分のNature論文のデータを同時にまとめ執筆していく作業は私の能力を遥(はる)かに越えていたのかも知 れませんが、私はその時々に論文発表に向け全力で取り組んで参りました。生物系の論文の基本的な執筆法や提示法について不勉強なままでの作業になり、それ に加え私の不注意も加わり、結果的に多数の不備が生まれてしまったことを大変情けなく、申し訳なく思っております。それでも私はSTAP現象がいつか必ず 誰かの役に立つと信じ、研究を続けてきました。多くの研究者の方々から見れば、考えられないようなレベルでの間違いだと思いますが、この間違いによって論 文の研究結果の結論に影響しない事と、なにより実験は確実に行われておりデータも存在していることから、私は決して悪意をもってこの論文を仕上げた訳では ないことをご理解いただきたく存じます。

そもそも私が正しく図表を提示していたならば、調査委員会自体も必要なく、お忙しい中、調査に参加してくださった調査委員の先生方にも心からのお 詫びと感謝を申し上げます。しかし、調査結果では、事実関係をよく理解していただかないまま不正と判定されてしまいました。弁明と説明の機会を十分に与え てくださったならば、必ず間違いが起こった経緯を理解していただけるものと思いますので、昨日不服申し立てをさせていただきました。

STAP現象は何度も確認された真実です。私はSTAP現象に出会って以降、この現象を発表する使命感と共に、毎日実験に取り組んでまいりまし た。そして、この現象のメカニズムが詳しく理解され、いつか多くの人に役立つ技術にまで発展させていける日を夢見てきました。どうかSTAP現象が論文の 体裁上の間違いで否定されるのではなく、科学的な実証・反証を経て、研究が進むことを何よりも望んでおります。

この度は本当に申し訳ありませんでした。

小保方晴子

(朝日新聞デジタル http://www.asahi.com/articles/ASG49421KG49PTIL009.htmlより転載)

参考

  1. 小保方氏「不服申し立てに際してのコメント」全文(朝日新聞デジタル2014年4月9日12時59分):小保方晴子ユニットリーダーが9日の会見時に配布した「不服申し立てに際してのコメント」の全文
  2. 質疑応答・全54問】小保方さんSTAP細胞記者会見全文 「ねつ造と言われた気持ち」「ぶりっ子報道について」ほか(http://logmi.jp/10299)
  3. 涙の会見で巻き起こる”擁護論”に意義あり!ノーベル賞学者が起こった「小保方さんは科学者失格!」ノーベル化学賞を2010年に受賞した根岸英一教授が、「コピペは偽造、嘘つきということだ」と本誌に怒りの告発。(週刊文春2014年4月24日号):「これは基本的な、あってはならないミステイクです。どうやら、偽造という要素も入ってるように思えます。 科学者が間違いを起こすことは当然ありますが、多少でも意図的に行われたとしたら、 科学の世界では犯罪です。科学者失格なのです。  …そういう方は最初から研究してはいけない人間だということです。 …どんなに複雑な実験であっても、再現できない実験だったら公表することは許されないのです。 再現不可能だということは、間違いか意図的な嘘のいずれかであるはずです。」(STAP細胞の懐疑点PART317)
  4. STAP作製法「今すぐ公開すべきだ」…米学者 (読売オンライン 2014年04月10日 15時28分):米国の世界的な幹細胞学者、ルドルフ・イエーニッシュ米マサチューセッツ工科大教授が9日、理化学研究所の小保方晴子ユニットリーダー (30)がSTAP(スタップ)細胞の作製法を論文発表する意向を9日の記者会見で明らかにしたことについて、「論文にする必要はない。今すぐ公開すべき だ」と批判した。
  5. 小保方氏説明会見、識者に聞く STAP問題(朝日新聞  2014年4月10日(木) 配信):名古屋大教授・森郁恵 切り張りをした画像について、2枚の画像がそれぞれ存在するので「改ざん」には当たらないと主張していたが、別々の画像を1枚にした時点で科学の世界では「ないものを作った」ことになる。写真の取り違えについては、自分で気づいてネイチャーに訂正を出した際、今年2月に撮り直した写真を出したと言っていた。これも科学者の常識に反する。実験をした時期に撮った写真を提出すべきだ。
  6. 研究者が見た小保方氏会見 「強引な主張」「証拠示して」「上司に説明責任」(産経ニュース2014.4.10 11:31)  難波名誉教授は、「小保方氏はSTAP細胞の作製に200回以上成功したと話しているが、科学的証拠なしに信じるのは困難。サンプルが保存してあるならそれを示してほしい」と、検証可能なデータの開示が不可欠との認識を示した。
  7. もうほっとけばいい(ハフィントンポスト 山口浩 駒澤大学グローバル・メディア・スタディーズ学部教授  2014年04月11日 10時46分):もしどうしても存在すると主張したいのであれば、「つべこべいわずにさっさと作ってみせろ」「できたとする証拠や求められてる資料をとっとと出せ」というだけのことで、これまでそれをやらなかったのは、世界中の研究者による追試験が1つも成功していないことを併せ考えれば、できないからだろうと考えるのが自然だ。
  8. ノートがあるならもっておいで。。。。(野尻美保子(平常モード) ‏@Mihoko_Nojiri )

小保方晴子氏が2014年4月9日に記者会見【ニコニコ生放送】

1月28日の記者会見以来公の場に姿を現していなかった小保方晴子氏ですが、ついに、2014年4月9日に記者会見を開くそうです。4月1日に行なわれたSTAP細胞論文調査委員会の記者会見では小保方氏が単独でデータ捏造、改竄を行なったと結論付けられましたが、これを不服とする申し立てを8日に行い、9日の記者会見で研究不正認定に対する反論を行なう予定です。

小保方晴子氏が反論することで、理化学研究所調査委員会による小保方晴子ユニットリーダーの研究不正行為の認定が覆る可能性はあるのでしょうか?弁護士ドットコムの記事が参考になります。

小保方博士はDNAの電気泳動の写真でレーンの切り貼りを行なったことに関しては悪意はなかったと反論していますが、調査委員会のいう「悪意」とは法律用語であって通常の日本語とは意味が異なるようです。4月1日の最終報告記者会見に同席していた理研側の弁護士も、悪意というのは知っていながらという意味、故意ということ、と説明していました。小保方博士は、見栄えが良くなる様に切り貼りしたと主張しているので、「悪意」(=故意)を自ら認めていることになるようです。

博士論文からの画像流用に関しては小保方博士は単純なミスだったと反論しています。問題が指摘された図はSTAP現象を示すこの論文のメインとなる図であるため、取り違えたという説明には説得力がありません。

みなが一番知りたいことはどうしてこのような「論文の体をなしていない」論文が世に出てしまったのかということでしょう。いったいどんな研究体制でSTAP細胞の研究が行なわれたのか、研究や論文作製の全体像がわかるような説明が小保方晴子氏の口から語られることが期待されます。

4月9日の記者会見で小保方氏がどのような説明を行なうのかが注目されます。

ニコニコ生放送(番組ID:lv175328217)
小保方晴子氏 記者会見 生中継<STAP細胞・最終報告書に対する不服申し立て>

2014/04/09(水) 開場:12:50 開演:13:00
【説明者】小保方晴子 理化学研究所・細胞リプログラミング研究ユニットリーダー、三木秀夫 弁護士、室谷和彦 弁護士

参考

  1. STAP論文「不正があった」とする理研調査委「最終報告書」 弁護士はどう見るか? (弁護士ドットコム2014年04月07日 21時50分):今回の最終報告書では、客観的な資料にもとづき、研究不正行為を認定することが困難なものについては全て否定しているうえ、博士論文で使用された画像と今 回の論文で使用された画像が『同一のもの』と断定せずに『酷似するもの』と判断するなど、非常に慎重な判断を行っていると評価することができます
  2. STAP細胞:小保方氏、9日に記者会見…7日入院 (毎日新聞 2014年04月07日 17時39分、最終更新 04月07日 20時37分): 小保方氏は「私のミスでこんなに大きな問題になり申し訳ないが、調査に納得できない。私から説明したい」と話し、本人の意向で記者会見を開く。…小保方氏は調査委に関して「イエス、ノーで答える質問が多く、言いたいことが言えなかった」と不満を述べているという。
  3. 小保方氏 8日不服申し立て 9日会見へ (NHK NEWSWEB 4月7日 17時30分):弁護士によりますと、小保方リーダーは心身の状況が不安定なため、7日、入院したということですが、会見には出席するということです。
  4. 小保方氏、9日に会見へ 理研に不服申し立て (ITmedia  2014年04月07日 17時29分 更新):会見の出席者は、小保方氏と代理人の三木秀夫弁護士、室谷和彦弁護士。
  5. 小保方氏、9日に記者会見へ(産経ニュース2014.4.7 17:33):新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の論文不正問題で、理化学研究所の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)は不正を認定した調査 委員会の最終報告は承服できないとして、理研に対し8日に不服申し立てを行う方針を決めた。9日に大阪市内で記者会見する。
  6. 小保方氏、9日会見=STAP細胞、発表後初 (ウォール・ストリート・ジャーナル 2014年 4月 07日 18:19 JST):1月28日にSTAP細胞の発表記者会見を開いて以降、小保方氏が公の場に出るのは初めて。
  7. 小保方氏、体調不良で入院…9日に記者会見 (読売オンライン2014年04月07日 19時12分):STAP細胞の論文に捏造や改ざんがあるとした理化学研究所の調査委員会の最終報告書について、不正を認定された小保方晴子ユニットリーダー(30)が8日に理研に不服申し立てを行った上で、9日午後、大阪市内のホテルで記者会見すると、代理人の弁護士が明らかにした。
  8. 小保方氏、9日に記者会見 理研へ8日不服申し立て(ニコニコニュース/共同通信デジタル:ニュース一覧 2014年4月7日(月)17時58分配信):三木弁護士によると、小保方氏は心身の状態が不安定だとして、7日に入院した。
  9. 小保方氏、9日に記者会見…所属する理研と全面対決か(サンスポ 2014.4.7 20:29):申し立てでは、理研が調査委員会の委員を入れ替えて再調査し、捏造や改ざんがあったとの結論を撤回するよう求める。
  10. 理研 疑惑4点“グレー”判断も「論文の体をなさない」(スポニチ2014年3月15日):STAP細胞の論文に不適切な画像データなど数々の疑義が寄せられている問題で、理化学研究所の調査委員会は14日、都内で中間報告の会見を行い、「論文の体をなしていない」と撤回を求めた。

2014年4月7日理化学研究所丹羽博士らがSTAP細胞検証実験計画で記者会見

STAP細胞検証実験を行なう神戸理研の丹羽博士らが、実験計画を説明するための記者会見を2014年4月7日に東京で開きました。

「STAP細胞」論文問題 共同執筆者、STAP細胞検証実験の概要を発表(14/04/07)

STAP細胞作製プロトコール(Protocol Exchange)の責任著者が今になってSTAP細胞が「あるかどうか分からない」のだとすると、あのプロトコールは一体何だったのでしょうか?NATURE誌のSTAP細胞論文は小保方氏のみが研究不正で断罪されましたが、NATURE論文疑惑の釈明として後から出されたSTAP細胞作製プロトコールの著者は小保方、笹井、丹羽(責任著者)の3氏です。

理研調査委員会の最終報告にあるようにデータ捏造、改竄は小保方氏一人の行為だったとしても、この「後出しプロトコール」こそが研究不正の組織的隠蔽工作そのものだと感じた人も多いはずです。STAP細胞が「あるかどうか分からない」 のにSTAP細胞作製プロトコールを連名で発表した責任は誰がどう取るのでしょうか?

笹井氏は、NATURE論文の中に多数の不正データが見つかった現時点でもなおSTAP現象でしか説明がつかない部分があると述べています。だとすれば、NATURE論文にまだ残っているという信頼できるデータが何なのかのまず最初に説明をすべきではないでしょうか?それをやらずにSTAP細胞の検証実験に踏み切った場合、STAP細胞捏造論文を出した著者らがさらに多額の税金を使ってSTAP細胞「仮説」の検証実験を行うことに国民が理解を示せるでしょうか?

小原雄治・国立遺伝学研究所特任教授は産経ニュースへ寄稿した中で、

理研は今後、細胞の存在を調べる再現実験を行うというが、まずは論文の真正なデータを検証可能な形で明らかにし、再現実験に値するかどうか見極めた方がいいのではないか。もしリンパ球の目印がなければ、再現実験は幽霊を追い掛けるようなものだ。(http://sankei.jp.msn.com/science/news/140407/scn14040710100003-n1.htm)

と指摘しています。

参考

  1. 「STAP現象はあくまでも一つの仮説」 論文の共著者・丹羽氏が記者会見で明言(弁護士ドットコム 2014年04月07日 21時13分):丹羽氏によると、STAP細胞の研究においては、主に、論文の構成に関するアドバイスを小保方ユニットリーダーにおこなっていた。2014年2月以降は、実験手順書(プロトコル)を作成するため、実験の流れを3回ほど確認したが、自ら手を動かして実験をしていたわけではなかったという。
  2. STAP論文問題、検証実験の詳細は 会見の一問一答(朝日新聞デジタル 2014年4月7日23時11分):丹羽氏は、どのようにSTAP細胞の研究にかかわったのか。丹羽 2013年1月から研究に参加した。論文の構成への助言や、幹細胞の研究をしているので、その方面から適切に表現できるよう助言した。直接、実験はしていない。
  3. 「共著者の1人として心よりおわび」 丹羽氏が記者会見 再現実験へ(ITメディアニュース2014年04月07日 14時42分 更新):丹羽氏はNature論文の撤回に同意しており、STAP細胞の存在については、「あるかどうか分からない」という立場。「あるかどうかを知りたいというスタンスから、検証実験に参加することにした」
  4. 小保方氏を検証に加えず 理研チームが会見、「協力は得たい」(産経ニュース 2014.4.7 15:45):実験責任者の相沢慎一特別顧問は、小保方氏しか知らない実験のテクニックもあり得るとして「協力を得られるものなら得たい」と話した。
  5. STAP論文の共著者が7日会見(日本経済新聞 2014/4/4 22:30):理化学研究所は7日午後、新型万能細胞「STAP(スタップ)細胞」の存在を検証する実験計画を説明するため、論文の共著者の一人である理研発生・再生科学総合研究センターの丹羽仁史・プロジェクトリーダーらが東京都内で記者会見する。
  6. Haruko Obokata,Yoshiki Sasai & Hitoshi Niwa. Essential technical tips for STAP cell conversion culture from somatic cells.     Protocol Exchange  (2014) doi:10.1038/protex.2014.008. Published online 5 March 2014. Corresponding author Correspondence to:Hitoshi Niwa (niwa@cdb.riken.jp)
  7. 「理研は元データ開示し根本的検証を」 小原雄治・国立遺伝学研究所特任教授(産経ニュース 2014.4.7 10:31):小保方晴子氏らは捏造とされた画像について、本来の画像が存在するとしているが、調査委員会の最終報告では、実験ノートの不備などで、それが真正なものとは証明できなかったと解釈できる。
  8. 調査委員会報告の概要を受けてのコメント(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター 笹井 芳樹 2014 年 4 月1日)(PDFリンク):なお、Figure 2 の免疫染色の画像の件では、以前に、画像の不正流用の組織的な隠匿などの疑義を問う一部の報道がありましたが、そう言った事実は一切ないことをここに述べさせていただきます。Figure 2 の免疫染色の画像の取り違いの調査委員会への報告の際、私どもの当初の説明に不十分なものがあったとのご指摘も報告書にございましたが、これは自己点検での発見された過誤を追加報告する際の私どもの不手際によるものであり、隠蔽とは次元の異なるものであります。…刺激惹起性多能性獲得という現象の真偽は、今後の生物学研究に大きな影響をもつものであり、今後、その検証は厳密かつ公正に行うことが必須であると思います。また、理研には、そうした集中的な検証に貢献する責務があると思っております。仮に、今回疑義を生じたデータを除いてみたとしも、その他のデータで刺激惹起性多能性獲得を前提としない説明が容易にできないものがあると私は考えており、理研内外での予断のない再現検証に対して積極的に協力して、真偽の解明に貢献したいと思っております。

実在しないSTAP細胞作製の再現実験は無駄

「実在しないSTAP細胞作製の再現実験は研究費と時間の無駄遣い」

STAP細胞を報告した小保方博士らのNATURE論文にデータ捏造やデータ改竄が見つかったことから、STAP細胞の存在に対する疑義が大きくなりました。STAP細胞が存在するかどうかは科学的な検証が必要なため、理化学研究所の調査委員会のミッションではないとして議論の対象外に置かれました。調査委員会は疑義が指摘された論文の図のみを取り上げたため、残りの論文の図に関して小保方博士らが本当に実験した証拠があるのかどうかは全く明らかではありません。

STAP細胞が存在するという実験的な証拠は、信頼するに足るものが存在しない状態です。それでもSTAP現象が本当ならば非常に重要な発見になるため、世界中でSTAP細胞を再現する試みが行なわれています。残念ながら、いまだに誰も成功していません。

そんな努力を続けてきた研究者の一人、香港中文大学のケニース・リー(李)博士は、ついに再現実験を止めると表明しました。

李博士は、「自分はSTAP細胞が存在するとは思わないし、これ以上この実験を続けることは労力や研究費の無駄遣いになる。」「自分の実験に戻りたい。」と述べています。

Kenneth Ka-Ho Lee · The Chinese University of Hong Kong

Thank you all for your excellent suggestions on improving the data.  Personally, I don’t think STAP cells exist and it will be a waste of manpower and research funding to carry on with this experiment any further.

実験ノートを見せられないけれども実験データは正しいと主張したところで、それを信じる研究者はいません。

参考

  1. 「捏造ではありません」ナマ声で反論 小保方さん“臨戦態勢”へ 「週刊新潮」が直撃 (産経ニュース 2014.4.3 11:27):「週刊新潮」によると、神戸市内でその姿を発見されるや、「STAP細胞は捏造ではありません!」と、質問される前からこう言い放ったという。
  2. ラボノート (理化学研究所):“ラボノート”ってご存知でしたか? 実験ノートとも呼ばれ、研究者等が実験データやアイデアを記録し、第三者が確認をとる仕様となっていて、研究の過程を証明するためのノートです。

調査委員会最終報告で小保方氏の不正を認定

2014年4月1日に理化学研究所のSTAP細胞NATURE論文調査委員会が最終報告となる記者会見を行い、小保方氏のデータ捏造・改竄の研究不正を認定する結論を下しました。DNAの電気泳動ゲルの写真のレーンの切り貼りを改竄と認定し、また、博士論文の図をNATURE誌の論文の図に流用した行為を捏造と判断しました。研究論文の疑義に関する調査報告書は3月31日付けの書類として公表されています。

中間報告書のスライドでゲルの写真に「修正」が加えられていたことに関しては質疑応答のときに記者から質問が出ましたが、石井調査委員長は未発表データなので削って欲しいと著者らの申し出があったために削ったと説明しました。

小保方氏はこの最終報告を受けて、「驚きと憤りの気持ちでいっぱいです。」「とても承服できません。」「到底容認できません。」という声明を出しました。

調査委員会の調査報告書(3月31日付け)を受け取りました。驚きと憤りの気持ちでいっぱ
いです。特に,研究不正と認定された2点については,理化学研究所の規程で「研究不正」の対
象外となる「悪意のない間違い」であるにもかかわらず,改ざん,ねつ造と決めつけられたこと
は,とても承服できません。近日中に,理化学研究所に不服申立をします。
このままでは,あたかもSTAP細胞の発見自体がねつ造であると誤解されかねず,到底容認
できません。小 保 方 晴 子(http://www3.riken.jp/stap/j/p9document8.pdf

理化学研究所が研究不正の定義を極度に狭く解釈するのを逆手に取って、小保方氏が反撃に転じた格好です。理研と小保方氏の間の泥仕合に発展する様相を呈してきました。本日の記者会見での竹市センター長のコメントによれば理化学研究所は小保方氏をユニットリーダーとして迎えるにあったって研究室のセットアップ費用を1500万円をかけているそうです。それに加えて小保方晴子ユニットリーダーに割り当てられた研究費が年間1千万円、部下を雇うための人件費として1千万円、そして週刊誌などの情報によれば年俸が800万円~1千万円程度だそうです。これらが全て税金で賄われていることを考えると、データ捏造・改竄を全く悪いことと認識できない倫理観の人間を研究リーダーとして雇い入れた理化学研究所の責任は非常に重いものがあります。

今回の最終報告でも結局のところ本当に実験がなされていたのかが曖昧なままでした。テラトーマ形成の実験の図に対応するHE(ヘマトキシリン・エオジン)染色のプレパラートは調査委員が確認したそうです。しかしそのスライドガラスには日付や実験条件のラベルがなく、また実験ノートも杜撰でまともに日付や実験条件が書き込まれておらず、そのプレパラートが本当にその実験を行ったときのものかどうかを実験ノートをもとに追跡、検証できなかったというのですから、「実験は行われていたと思う」と調査委員がコメントするのはお人良し過ぎます。どんな実験条件のプレパラートかわからない以上、その実験が行われた証拠は見つからなかったと言うべきです。

小保方氏の実験ノートの現物を調査委員会が入手したのが中間報告を行った3月14日よりも後だったというのも、本気で調査がなされていなかったことを物語っています。書き換え、廃棄、付け足しなどを許さないように実験ノートやデータの入ったPCは直ちに調査委員会の管理下に置くべきだったでしょう。

小保方氏は論文の図を作製する根拠となった実験が正しく行われたことを立証する責任があります。第三者が客観的に検証可能な実験ノートの記載がないのであれば、その実験は行われなかった可能性が高いとみなすのが、通常の研究者の研究不正に対するスタンスでしょう。悪意があったかとかミスかどうかという議論以前に、コピペで博士論文を作成し、実験ノートをまともに付けない人を研究者として雇っていることがおかしいのです。

HuffPost Japanの記事「小保方晴子さんが単独で『STAP細胞論文を捏造・改ざん』理研が最終報告書」に対して多数寄せられたフェイスブック上のコメントはほとんどが、理化学研究所は小保方晴子氏一人に全部の責任を擦り付けて、トカゲの尻尾きりをしたに過ぎない、小保方氏はかわいそう、がんばれ!小保方さん、という論調ばかりです(https://www.facebook.com/HuffPostJapan)。今回の研究不正に対して早い段階から毅然とした取り組みを行なわなかったせいで理研は研究者社会からの信用を失い、データ捏造を行なった小保方氏に世間の同情が集まるというおかしな事態になっています。

 

STAP細胞:記者質問【全】4/1理研調査委

参考

  1. 研究論文の疑義に関する調査報告書(研究論文の疑義に関する調査委員会 委員長 石井 俊輔、委員 岩間 厚志、古関 明彦、眞貝 洋一、田賀 哲也、渡部 惇 平成26 年3 月31 日)(PDFファイル):(1-2)論文1:Figure 1i の電気泳動像においてレーン3 が挿入されているように見える点。 調査結果 小保方氏と笹井氏の連名により提出されたFigure 1i の元になったゲルの写真の電子ファイルと実験ノート類及び同図の作成経緯と方法の書面による説明、並びに両氏からの個別の聴取内容を精査した結果、Figure 1i の図は2 つのパルスフィールド電気泳動ゲルを撮影した2枚の写真に由来する加工画像であることを確認した。同電気泳動においては、合計29 のサンプルを、サンプル1 から14 をゲル1 に、サンプル15 から29 をゲル2 に電気泳動したこと、Figure 1i のレーン1, 2, 4, 5 がゲル1 の左から1, 2, 4, 5 番目のレーン(標準DNA サイズマーカーをレーン0 として左から番記)に相当し、レーン3 がゲル2 のレーン1(同)に相当することを、各ゲルに写った写真情報から確認した。なお、ゲル1 のレーン3とゲル2 のレーン1 はともにT 細胞受容体遺伝子再構成を示すポジティブコントロールであり、それぞれ脾臓のCD45+血液細胞とCD45+CD3+ T リンパ球由来のDNA のPCR 産物を泳動したものである。画像の加工については、ゲル1 のレーン1, 2, 3, 4, 5 の写真において本来レーン3 が存在していた場所にゲル2 のレーン1 の写真が単純に挿入されたものではなく、前者のゲルにおける標準DNA サイズマーカーレーンの泳動距離が後者のそれに比して約0.63 倍であり、Figure 1i の作成時に前者を縦方向に約1.6 倍に引き伸ばす加工をした上で後者が挿入されたことを、前者に写った埃類の位置関係の縦方向への歪み等から確認した。また後者については写真に淡く写ったスメアが消失して挿入されていることからコントラストの調整も行われていたと判断した。そこで小保方氏に説明を求めたところ、T 細胞受容体遺伝子の再構成のポジティブコントロールを明瞭に示すためにはゲル2 のレーン1 が適しており、ゲル1とゲル2 のそれぞれの標準DNA サイズマーカーの泳動について双方のゲルにおいて、標準DNA サイズマーカーの対数値と泳動距離が良好な直線性を保っている関係にあることを目視で確認した上で、ゲル1 の写真を縦方向に引き伸ばし、標準DNA サイズマーカーの位置情報に基づいてレーン3 の写真の挿入位置を決定したとの説明があった。検証の結果、ゲル1 とゲル2 の間には、標準DNA サ
    イズマーカーの対数値と泳動距離について直線性の保持は見られず、説明どおりに標準DNA サイズマーカーの位置情報に基づいてレーン3 を配置することが無理であること、仮にFigure 1i のレーン3 に見られるT 細胞受容体遺伝子再構成バンド群の位置に近い標準DNA サイズマーカー群に絞ってそれらの位置情報に基づいてレーン3 の画像を配置するとFigure 1i のレーン3 に見られるT 細胞受容体遺伝子再構成バンドとは異なる位置にT 細胞受容体遺伝子再構成バンドが来ることから、説明を裏付けることはできなかった。説明とは逆に、Figure 1i のレーン3 に見られるT 細胞受容体遺伝子再構成バンド群の位置に合わせる形でレーン3 の画像を配置すると、ゲル1 とゲル2 の標準DNA サイズマーカーバンドの位置にずれが生じることから、Figure 1i の画像加工時には、標準DNA サイズマーカーを基準にしていたのではなく、T 細胞受容体遺伝子再構成バンド群の位置を隣接するレーン4 のそれらに合わせる形で図の挿入が行われたことが示唆された。電気泳動されたサンプルについては、実験ノート類などの記載やサンプルチューブのラベルなど小保方氏から提供された各種の情報は、Figure 1i のレーン1, 2,4, 5 は論文のとおりであること、論文で「Lymphocytes」とラベルされたレーン3はCD45+CD3+ T リンパ球であることを示していた。 評価(見解) 論文に掲載された画像が、2枚の別々に電気泳動されたゲルの写真から作成された合成画像であることは、画像の詳細な解析から間違いない。この論文で重要な役割を持つFACS-Sorted Oct4-GFP 陽性細胞群2 つに由来するサンプルが泳動された2 つのレーンを含む複数のレーンの画像を、意図的に且つ軽微とは言いがたい約1.6 倍の倍率で縦方向に引き伸ばした画像に、ポジティブコントロールの役割を持つ1 つのレーンをコントラスト調整して配置することで合成している。加えて、当該1 レーンの貼り付け操作において、科学的な考察と手順を踏まないでT 細胞受容体遺伝子再構成バンドを目視で配置していることなどは、2枚の異
    なるゲルのデータをあたかも1枚のゲルで流したかのように錯覚させるだけでなく、データの誤った解釈を誘導する危険性を生じさせる行為である。当時の小保方氏には、このような行為が禁止されているという認識が十分になかった、また、このようなデータをその真正さを損なうことなく提示する方法についてNature 誌が指定していることを認知していなかったともうかがえる点がある。研究者を錯覚させるだけでなく、データの誤った解釈へ誘導することを、直接の目的として行ったものではないとしても、そのような危険性について認識しながらなされた行為であると評価せざるを得ない。T 細胞受容体遺伝子再構成バンドを綺麗に見せる図を作成したいという目的性をもって行われたデータの加工であり、その手法が科学的な考察と手順を踏まないものであることは明白である。よって、改ざんに当たる研究不正と判断した。改ざんされた画像は、小保方氏が行った実験データを元に、同氏が作成したものであり、笹井、若山、丹羽の三氏は、この実験及び画像データ作成に関与していない。三氏は、小保方氏から、論文投稿前に、すでに改ざんされた画像をその事実を知らされないまま示されており、この改ざんは容易に見抜くことができるものではなかったことなどから、三氏については、研究不正はなかったと判断さ
    れる。(1-5)笹井、小保方両氏から、以下の修正すべき点が見つかったとの申し出を受け、この点についても調査した。論文1:Figure 2d, 2e において画像の取り違えがあった点。また、これらの画像が小保方氏の学位論文に掲載された画像と酷似する点。 調査結果 2 月20 日に笹井氏と小保方氏より、修正すべき点についての申し出とこれに関する資料の提出を受けた。申し出の内容は、論文1の脾臓の造血系細胞から作製したSTAP 細胞からの分化細胞並びにテラトーマの免疫染色データ画像の一部(Figure 2d 下段中央の1枚とFigure 2e 下段の3枚)が、実際には骨髄の造血系
    細胞から作製したSTAP 細胞を用いた画像であること、正しい画像に訂正することを考えているという2点であり、提出された資料はこれらの画像のファイルであった。小保方氏から、それぞれの実験の過程で、脾臓及び骨髄に由来する血液細胞のサンプルに対し、いずれもhemato(hematopoietic:血液系の意味)というラベルを用いていたため混乱が生じ、同氏において画像の取り違えをしてしまったとの説明を受けた。その後、論文1の画像は、小保方氏の早稲田大学における学位論文に掲載された画像と酷似することが判明した。上記の申し出の際、これらの図が小保方氏の学位論文に掲載されたデータから得られたものであるとの言及はなかった。笹井氏と小保方氏の両氏より、学位論文のデータは、学術雑誌への投稿論文に使用することが可能と理解していたため言及する必要はないと考えていたとの説明を受けた。論文1では生後1週齢のマウス脾臓由来細胞を酸処理することにより得られた
    STAP細胞が用いられているが、他方、学位論文では生後3ないし4週齢の骨髄由来細胞を細いピペットを通過させる機械的ストレスをかけることにより得られたsphere細胞(球状細胞塊形成細胞)が用いられており、実験条件が異なる。小保方氏は、この条件の違いを十分に認識しておらず、単純に間違えて使用してしまったと説明した。論文1の画像を解析すると学位論文と似た配置の図から画像を
    コピーして使用したことが認められた。また論文1の画像は、2012年4月にNature誌に投稿したものの採択されなかった論文にすでに使用されており、その論文においては、学位論文に掲載されている機械的ストレスによって得られたsphere細胞からの分化細胞の免疫染色画像3枚と、テラトーマのヘマトキシリン・エオジン染色画像3枚、並びに免疫染色データ画像3枚に酷似した画像が使用されていたことを確認した。小保方氏は、その後Nature誌に再投稿するにあたり、酸処理により得られたSTAP細胞を用いた画像に一部差し替えを行っているが、その際にも、この画像の取り違えに気付かなかったと説明した。委員会では、実験ノートの記述や電子記録等から、上記各画像データの由来の追跡を試みたが、3年間の実験ノートとして2冊しか存在しておらず、その詳細とは言いがたい記述や実験条件とリンクし難い電子記録等からこれらの画像データの由来を科学的に追跡することは不可能であった。笹井氏は、2月20日の委員会のヒアリングの数日前に小保方氏から画像の取り違え等について知らされ、論文を訂正するための正しいデータを至急取り直すことを小保方氏に指示したと説明した。実際に、訂正のために提出されたテラトーマに関する画像の作成日の表示は2014年2月19日であった。笹井氏から、学位論文は投稿論文に使用できると認識していた、正しいと思われるデータが得られたことから、学位論文の画像が使用されていた件については委員会のヒアリングでは言及しなかったが、この点については深く反省しているとの説明を受けた。評価(見解) 小保方氏が学位論文の画像に酷似するものを論文1に使用したものと判断した。データの管理が極めてずさんに行われていたことがうかがえ、由来の不確実なデータを科学的な検証と追跡ができない状態のまま投稿論文に使用した可能性もある。しかしながら、この2つの論文では実験条件が異なる。酸処理という極めて汎用性の高い方法を開発したという主張がこの論文1の中核的なメッセージであり、図の作成にあたり、この実験条件の違いを小保方氏が認識していなかったとは考えがたい。また、論文1の画像には、学位論文と似た配置の図から切り取った跡が見えることから、この明らかな実験条件の違いを認識せずに切り貼り操作を経て論文1の図を作成したとの小保方氏の説明に納得することは困難である。このデータはSTAP 細胞の多能性を示す極めて重要なデータであり、小保方氏によってなされた行為はデータの信頼性を根本から壊すものであり、その危険性を認識しながらなされたものであると言わざるを得ない。よって、捏造に当たる研究不正と判断した。小保方氏は、客員研究員として若山研在籍時、またその後もチームリーダーとしてテラトーマ作製の実験を行っており、若山氏は、所属する研究室の主宰者として、またこのような実験を指導する立場でともに研究を行っていた者として、これらのデータの正当性、正確性、管理について注意を払うことが求められていた。笹井氏についても、本論文執筆を実質的に指導する立場にあり、データの正当性と正確性を自ら確認することが求められていた。もとより、両氏は、捏造に関与したものではなく、データの正当性等について注意を払わなかったという過失によりこのような捏造を許すこととなったものであるが、置かれた立場からし
    ても、研究不正という事態を招いたことの責任は重大であると考える。丹羽氏は、論文作成の遅い段階でこの研究に参加したものであり、画像データの抽出等には関与しておらず、不正は認められなかった。なお、上述のとおり、画像の取り違えに関する笹井氏らの当初の説明には、不十分なものがあった。このような行為は委員会の調査に支障をきたす恐れがあり、真摯な対応が求められるところである。
  2. 調査報告書に対するコメント」(小 保 方 晴 子 平成26年4月1日)(理研ウェブサイト上のPDFファイル):
  3. 調査委員会報告の概要を受けてのコメント(理化学研究所 発生・再生科学総合研究センター
    笹井 芳樹 2014 年4 月1日)(理研ウェブサイト上のPDFファイル)

 

 

早稲田大学が博士論文の不正行為を調査へ

小保方晴子博士が早稲田大学先進理工学部生命医科学科に提出した博士論文に関して、論文の中の文章や実験データをコピーアンドペースト(コピペ)により作成していたことが発覚しましたが、これを受けて早稲田大学は不正の有無に関して調査を行うことを表明しました。

平成24年度私立大学等経常費補助金学校別交付額一覧(日本私立学校振興・共済事業団PDF)によると早稲田大学への交付額は95億2828万8千円で、慶應義塾大学の96億889万円に次いで第2位。私学の雄と自他共に認める早稲田大学には毎年これだけの金額の税金が国から投入されているのです。剽窃などの不正行為を働いた論文に対して博士号が授与されて良いはずがありません。残念なことに、小保方晴子氏が所属していた研究室や同じ学科の他の研究室でもコピペ博士論文が大量に発覚しており、もはや小保方晴子氏の個人の問題だけでは済まされない状況になってきました。小保方氏が教育を受けた環境に構造的な問題があるのかもしれません。

ちなみに、上記の私立大学等経常費補助金に加えて、早稲田大学には「卓越した大学院拠点形成支援補助金」として平成25年度で2億8172万4千円。平成24年度が4億6490万9千円交付されています。交付の対象 は、「実践的化学知」教育研究拠点。小保方晴子氏はこの「実践的化学知」教育研究拠点の制度を利用してハーバード大学に留学しています(ここがよかった!GCOEハーバード留学体験記-小保方晴子 氏)。

参考

  1. 早稲田大学の博士論文のコピペ発覚リスト  (計21名)(http://stapcells.blogspot.jp)
  2. 小保方さん博士論文 早大が調査開始へ(NHK NEWS WEB 3月26日 13時14分):理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが、早稲田大学に提出した博士論文に文章の盗用などの疑いが出ている問題で、早稲田大学は不正の有無について外部の有識者を交えた詳しい調査を始めることを明らかにしました。…早稲田大学は不正が確認された場合には、小保方さんの博士論文や学位の取り消しを検討するとしています。
  3. レポートにおける剽窃行為について(早稲田大学メディアネットワークセンター):書籍やWebなどの他人の文章をレポート(Webページの作成課題を含む)として提出することは許されません。 一部分であったとしても、後述の出所の明示を含む引用の要件がみたされていなければ同様に許されません。上記に該当するレポートは試験におけるカンニング 行為(他人の答案や持込の禁止されている資料を写すこと)と同様にみなされ、不正行為に該当します。不正行為が発覚した場合、Waseda-net IDの利用停止、該当科目の無効、また所属学部・研究科において、その時点で履修しているすべての科目の無効、停学を含む厳しい処罰が下されますので、十 分に注意してレポートを提出してください。レポートの一部に、他人の文章の一部を引用する、あるいは内容の一部を同一性が失わないように要約して引用する 場合は、その出所を示し、自分の書いた文章 ではないことを明示する必要があります。また引用にはそのほかにも守る必要のあるルールがあります。これらを守らずに提出すると、剽窃にあたり、著作権法 に抵触します。
  4. 剽窃・盗用は不正行為(早稲田大学政治学研究科 剽窃定義確認書 PDF):研究を志す者が、絶対に行ってはならない行為として、剽窃・盗用があります。剽窃・盗用(英語ではPlagiarism)とは、「他人の作成した著作物の内容やその基になっているアイデアなどを、脚注をつけるなどの必要な手続きを踏まずに借用し、あたかも自分のものであるように書いたり報告したりすること」です。これは、カンニングと同様の不正行為です。絶対に行ってはなりません。
  5. 博士学位取り消しについて(早稲田大学2013/10/21、2013/12/26追記):早稲田大学は、下記のとおり、不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明しましたので、当該学位について、授与の取り消しを決定しました。…学位規則(学位授与の取消)第23条 本大学において博士、修士または専門職学位を授与された者につき、不正の方法により学位の授与を受けた事実が判明したときは、総長は、当該研究科運営委員会および研究科長会の議を経て、既に授与した学位を取り消し、学位記を返還させ、かつ、その旨を公表するものとする。
  6. 「卓越した大学院拠点形成支援補助金」の交付決定について(文部科学省 平成25年10月):「卓越した大学院拠点形成支援補助金」は、優秀な学生をひきつけ、世界で活躍できる研究者を輩出する環境づくりを推進することを目的として、優れた研究基 盤を活かし高度な教育と研究を融合する卓越した拠点を有する大学に対し、博士課程の学生が学修研究に専念する環境を整備するために必要な経費を支援するも のです。
  7. 私立大学等経常費補助金交付要綱第2条(文部科学省):私立大学等経常費補助金(以下「国庫補助金」という。)は、私立の大学、短期大学及び高等専門学校(以下「私立大学等」という。)の教育条件の維持及び向上並びに私立大学等に在学する学生に係る修学上の経済的負担の軽減を図るとともに、私立大学等の経営の健全性を高め、もって私立大学等の健全な発達に資するため、日本私立学校振興・共済事業団(以下「事業団」という。)が学校法人に対し私立大学等の経常的経費について補助するための財源として、国から事業団に交付するものである。

小保方氏のSTAP細胞は若山氏のマウスと別

STAP細胞がいろいろなマウスの系統から作れるかどうかを調べるために、若山博士が129系統のマウスを小保方博士に渡していたにもかかわらず、そのマウスから調整したはずのSTAP細胞2系統に関してDNAを解析した結果、129系統由来ではなく、B6系統とF1系統由来のDNAであるという結果が得られたそうです。

若山博士から129系統のマウスを受け取っておきながら、小保方博士があえてB6やF1でSTAP細胞を作製し、129系統由来のSTAP細胞として若山博士に渡した意図は不明です。

参考

  1. 保存細胞にも疑念 実験と別種のマウスと判明(産経ニュース 2014.3.25 21:16):若山照彦山梨大教授は、小保方氏に129系統という種類のマウスを渡してSTAP細胞の作製を依頼。小保方氏はこのマウスの細胞を弱酸性溶液で刺激し、STAP細胞の塊を2株作製できたとして若山教授に渡したという。 …遺伝子を調べたところ、129系統ではなく、実験には使わなかったはずのB6とF1という別種のマウスの細胞だったことが判明。
  2. 依頼と違うマウスで使用 STAPで若山氏が報告(中国新聞2014年3月26日)
  3. 別マウスの遺伝子検出 STAP細胞実験、新たな疑念(アピタル 朝日新聞の医療サイト 2014年3月25日):小保方さんはいずれの株についても「129」と呼ばれる系統のマウス由来の細胞だとして若山さんに提供した。しかし遺伝子を調べたところ、「B6」というマウスと、B6と129の子どものマウスに由来する細胞とわかったという。
  4. 依頼と違うマウスで作製 STAP細胞で小保方氏 共著者が報告(スポニチアネックス2014年3月25日 23:13):理研によると、若山氏は論文の発表前、マウスの系統に関係なくSTAP細胞を作れるかを調べるため「129」と呼ばれる系統のマウスを小保方氏に提供し、STAP幹細胞の作製を依頼した。
  5. STAP幹細胞:別マウスの遺伝子検出 山梨大の保存分(毎日新聞 2014年03月25日 21時58分 最終更新 03月25日 22時15分):STAP細胞を作るため使ったはずのマウスの遺伝子のタイプが確認されず、別の系統のマウスしか検出されなかった
  6. Generation of Mice from ES Cells at MIT:There are three types of mouse embryonic stem (ES) cells that are used routinely for targeting and generation of mice at MIT: 129, C57BL/6 and 129/B6 F1. ES細胞作製で使われる3系統、129、B6,F1の説明
  7. マウスおよびラット系統の命名法に関する規則と指針(PDF):系統は、20 世代かそれ以上兄妹交配が行われた時、近交系とみなされ、その系統の個体をたどると1 組の祖先にたどることができる。…ハイブリッド(交雑系) 同じ手順で交配した2 系統の子孫であるマウス、ラットは遺伝的に同一で、2 系統の省略
    記号を使って大文字で表記し、そのうしろにF1 をつける。(ただし、母系統を最初に記述)。…省略が認められている系統は下記の通り。129 129 strains (サブタイプを含む:例 129S6 は、129S6/SvEvTac の略)…B6 C57BL/6 strains
  8. Hybrid mice(The Jackson Laboratory):F1 hybrid mice are produced by crossing mice of two different inbred strains. Although they are heterozygous at all loci for which their parents have different alleles, they are similar to inbred strains in that they are genetically and phenotypically uniform.
  9. 細胞培養基礎講座 第22回「ES細胞のマウス系統」(細胞・培地・血清の「細胞.jp」):「まず、毛色が違うよ。129SVは茶色、C57/BL6は黒色、DBA/1は淡褐色をしているんだ。」

STAP細胞の作り方(Vacanti研)

いまだに世界のどの研究室も再現できていないSTAP細胞作製ですが、理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターの小保方博士、丹羽博士、笹井博士らがプロトコール・エクスチェンジに詳細な手順を発表したのに続いて、STAP細胞NATURE論文の共著者であるハーバード大学バカンティ教授も自身が所属する所属するハーバード大学ブリガム・アンド・ウィメンズ病院麻酔科のウェブサイト上にSTAP細胞作製のプロトコールが発表されました。

vacantiProtocol

このプロトコールには著者名が記されていませんが、バカンティ教授を紹介するウェブサイト上にリンクがあることから、バカンティ研究室による発表と理解されます。

Protocol for generating STAP cells from mature somatic cells (STAP細胞作製プロトコールへのリンク)

協同してNATURE誌にSTAP細胞作製に関する論文を発表したにも関わらず、著者らがばらばらに2つのSTAP細胞作製プロトコールを発表するというのは不可解です。しかし、もしSTAP細胞作製が真実なのであれば、少しでも情報が多いということは再現実験を試みている研究者にとっては良いことでしょう。

参考

  1. Protocol for generating STAP cells from mature somatic cells (Department of Anesthesiology, Brigham and Women’s Hospital)
  2. Charles A Vacanti, M.D. (Center for Tissue Engineering & Regenerative Medicine, Brigham and Women’s Hospital)
  3. Essential technical tips for STAP cell conversion culture from somatic cells. Haruko Obokata,Yoshiki Sasai & Hitoshi Niwa. Protocol Exchange, Published online 5 March 2014
  4. STAP再現実験をより明解にするための1つの提案(http://www.ipscell.com/tag/stap-cells/ Posted on March 19, 2014 By Jun Seita, M.D., Ph.D.): …ストレスや障害を受けた細胞が自家蛍光を発することは良く知られた現象です。…プロトコールに1つのコントロールの追加を提案したいと思います。Oct3/4-GFP遺伝子改変マウスから採取した細胞に追加して、野生型マウスからも同じ手順で細胞を採取し、同じ手順で外部刺激処理・培養し、同じ条件で解析を行ってください。
  5. Reactions to New On-Line Vacanti Lab STAP Cell Protocol(http://www.ipscell.com/ Posted on March 20, 2014):The thing that first struck me most strongly about this published protocol is that it is not the same protocol reported in the Nature papers and it also is not the same as the recently posted RIKEN STAP protocol.

理化学研究所中間報告の懐疑点

2014年3月14日の理化学研究所中間報告で最終報告のときには小保方さんも出席するのかという質問に答えて、石井調査委員長は「被告と原告」の関係なので調査委員会と小保方さんが同席しての会見はあり得ないと答えました。中間報告会の冒頭で理研幹部が国民に対して謝罪したことから明らかなように、同じ例えで言うなら納税者である国民が原告で、被告が理研というのが本来あるべき構図です。現在の調査委員会は被告が裁判官になっているようなもので、公正さが期待できません。

今回の調査委員会のあり方に関しては不可解なことがいくつもあります。

まず外部の有識者を交えた調査委員会を立ち上げたと報道されていましたが、理研所属の研究者である石井調査委員長以外にどのような人が調査委員として参加しているのかが明らかにされませんでした。メンバーを伏せられていたのでは調査がどれだけ公正なものなのかが全くわかりません。

6項目に絞って不正の有無を調べるだけ、と調査対象を最初から非常に限定しているのも変な話で、本気で調べるつもりがないのかという疑念が湧きます。

研究不正の有無の判定に関して悪意の有無にこだわっているのも、論点をずらそうとしているように見えます。

今回のSTAP細胞NATURE論文の問題はデータ捏造だけでなく、そもそも論文業績ゼロの人間がなぜ理研でPI(研究室の主宰者)として雇われたのかという理研人事の公正さに対する疑念もあります。

政府から巨額の予算が得られる「特定国立研究開発法人」に指定されるかどうかの瀬戸際にある理研ですから、理研に雇用されている研究者が調査委員長を務める調査委員会が理研に不利な裁定を下すとは思えません。中間報告の会見は理研によって完全にコントロールされているように見えました。

参考

  1. 「STAP」写真流用把握も問題と説明せず(NHK  NEWSWEB 3月13日 19時20分):NHKが関係者に取材したところ、およそ1か月前には、小保方さんと、研究チームの中心メンバーで研究所の副センター長がこの問題を把握 していたことが分かりました。さらに外部の有識者も入った調査委員会のメンバーには、この問題が単なる画像の取り違いと伝えられ、流用の疑いもある重要な 問題だとは説明されていなかったということです。
  2. 組織的隠蔽か? 「STAP細胞疑惑」にフタする理研の論理(日刊ゲンダイ2014年3月14日):この論文で研究の核心部分のひとつとなる写真は、小保方さんの博士論文から流用された疑いが指摘されている。当然、研究の信憑性に関わる重要な問題のはずだが、論文の共著者で理研の笹井芳樹・副センター長は事態を把握しながら、調査委の外部メンバーに「単なる画像の取り違え」などと伝え、流用疑惑を十分に説明しなかったという。
  3. 理研中間報告「肝心な部分が謎」…大隅教授不満(読売新聞2014年3月16日09時13分):(日本分子生物学会理事長の大隅典子・東北大教授は)「理研の中間報告は画像流用など肝心な部分の謎が解明されておらず、非常に残念。調査委員会の委員長が理研内部の人なのも不思議」などと、読売新聞の取材に述べた。
  4. 日々の研究(京都大学理学研究科教授佐々真一氏のブログ 2014-03-14 金曜日):今日の日記で、小保方氏を実名表記に変えたのは、「2/20に笹井氏と小保方氏より「画像の取り違え」として調査委員会に申し出があった」という事実を 知ったからである。これには意図があると考えざるを得ない。調査に対して事実でない説明を述べるのは、科学の作法以前の問題だし、証拠隠滅にもつながる行 為だと思う。
  5. 【辛坊治郎】STAP細胞論文での理化学研究所の中間報告は隠蔽会見! (YOUTUBE)
  6. 「STAP細胞」小保方さんと並ぶキーパーソン 「笹井芳樹」副センター長とは?(弁護士ドットコム2014年03月16日 15:15)

 

早稲田大学理工学部におけるコピペ教育

早稲田大学出身の小保方博士らの論文で画像データや本文の中に、他の論文からのコピーアンドペーストが数多く見つかったことは大きな驚きでした。しかも、そのような事実が露呈した時の小保方・理研研究ユニットリーダーのセリフが、「こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい」というものでしたのでさらにびっくりしました。しかし、これは驚くべきことではないという驚くべき告白がはてな匿名ダイアリーに投稿されています。

これを読むと小保方晴子博士のSTAP細胞作製NATURE論文捏造事件は早稲田大学の杜撰な教育システムが遠因であるという見方もできそうです。一部を抜粋して紹介すると、

… 早稲田の理工に入ると、1年生の実験が始まる。週1回の実験で、レポートや試問が課され、それをまとめる必要がある。また、2年生になると学科別の専門的な実験が始まり、レポートの量も増え、求められるものも増える。レポートはダメなところがあると再提出になる。ひとつでもレポートが提出期限を守れていないと即留年である。規則は厳しい。

そこで、そのとてつもない量のレポートを量産するため、学生たちは必死にコピペを行う。先輩たちから大量に受け継がれてきた「過去レポ」をもらい、それを切り貼りして組み合わせるのである。切り貼りする手間がないときは、一字一句同じレポートが作られる。写経である。…

教授陣はコピペを容認している。学生がコピペを多用するのを知っていているため、私のいたときはレポートはすべて手書きでないと認められなかった。つまり、こういうことだ。どうせ殆どの学生はコピペをするのだから、それをパソコン上でやっては何も身につかないので、せめてコピペをして書いて覚えさせよう、と。実際に何人かの先生たちはそれを公に口にしていた。写経ならまだ意味があると。…

先ほどの1年生や2年生のレポートも、教授が見るには多すぎるので、ほとんどは修士課程の学生が採点を行う。そのため、かつて自分たちが行ってきたコピペを批判するケースはない。コピペでも必ずレポートは通過する。

1年生,2年生,3年生と学年が上がるにつれてひたすらコピペを繰り返してきた学生は、卒業論文でもひたすらコピペを行って卒業する。…ほとんどの人は先輩の修論や卒論をコピペする。…

そうやってコピペされてできあがった卒論や修論は、教授には見てもらえない。できあがった卒論や修論を一番読むのは、それをコピペする次の学生である。そして、一番の問題は、こうやって育っていった学生は、こう思うことだ。「レポートとは、コピペをすることであり、それは普通の方法である」と。学生にとって論文を書くこととコピペは表裏一体なのだ。博士課程にいったからといって、それがいきなり変わるかというと難しいと思う。

このように、早稲田の理系はコピペで成り立っているといっても過言ではない。そのため、今回話題になっていることも、早稲田出身から言わせれば、なんら違和感はないのではないだろうか。

この匿名の投稿記事の内容が真実であれば、今回の論文データ捏造事件には「悪意はなかった」と言えるかもしれません。しかし、悪意のない間違いは不正とはみなさないという理化学研究所の規則を拡大解釈するのはやはりおかしいでしょう。悪意があろうがなかろうが、無知のせいであろうが、意図的なデータ操作は研究不正そのものです。

ちなみに私立大学にも税金が投入されており、平成24年度の私立大学等経常費補助金(日本私立学校振興・共済事業団ウェブサイトPDFリンク)を見ると早稲田大学の場合、95億2828万8千円という数字です。早稲田大学がこのような教育をよしとしているのであれば、税金を使うべきではありません。

小保方氏はウォール・ストリート・ジャーナルの取材に対して問題となっている博士論文は「下書き」であるなどと荒唐無稽な言い訳をしていたことが3月14日に明らかになりましたが、15日の報道によれば一転して、博士論文を自ら取り下げる決意をしたようです。

参考

  1. 早稲田大学の理工系におけるコピペ文化について(はてな匿名ダイアリー)
  2. 早稲田大学の博士論文のコピペ発覚リスト  (2014年3月21日 計21名 ):常田聡 研究室, 西出宏之 研究室, 武岡真司 研究室, 逢坂哲彌 研究室, 平田彰 研究室, 黒田一幸 研究室
  3. 科学研究上の不正行為の防止等に関する規程(平成24年9月13日規程第61号)(PDFリンク)第2条2 この規程において「研究不正」とは、研究者等が研究活動を行う場合における次の各号に掲げる行為をいう。ただし、悪意のない間違いおよび意見の相違は含まないものとする。(1)捏造 データや研究結果を作り上げ、これを記録または報告すること。(2)改ざん 研究資料、試料、機器、過程に操作を加え、データや研究結果の変更や省略により、研究活動によって得られた結果等を真正でないものに加工すること。(3)盗用 他人の考え、作業内容、研究結果や文章を、適切な引用表記をせずに使用すること。
  4. 小保方さん論文コピペ問題 「早稲田の理系はコピペで成り立っている」はてな匿名ダイアリーの記事が話題に(ガジェット通信2014.03.15 09:30)
  5. いけないという認識なし…画像加工で小保方さん(読売新聞2014年3月14日23時44分):理化学研究所調査委員会の石井俊輔委員長らによると、小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダー(30)はこれまで、2月20日、同28日、3月1日の計3回、聞き取り調査に応じた。遺伝子解析の画像の加工については「やってはいけないという認識はなかった。申し訳ありません」と謝罪したという。
  6. 小保方さん、博士論文撤回を早大に申し出 (ニッカンスポーツ2014年3月15日11時12分):新たな万能細胞「STAP細胞」の論文を発表した理化学研究所(理研)の小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダー(30)が、早稲田大時代に博士号を得るために提出した3年前の博士論文を取り下げる意向があることが14日、大学関係者への取材で分かった。
  7. 「下書きで使った物が残っている」―小保方氏、博士論文巡る疑惑で (ウォール・ストリート・ジャーナル2014年 3月 14日 13:44 JST):小保方氏は14日朝にウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)宛てに電子メールを送り、2011年に博士号を取るため早稲田大学に提出した博士論文の無断引用疑惑について回答した。…小保方氏は電子メールで「現在、マスコミに流れている博士論文は審査に合格したものではなく下書き段階の物が製本され残ってしまっている」と説明。さらに、下書き段階で参考のために転載した文章や図表が引用も訂正もなく、そのまま残っていると述べた。大学側には、小保方氏が下書きだとしているこの論文の撤回を要請したという。早稲田大学の広報担当者は、そのような要請は認識しておらず、別版の博士論文についても知らないと述べた。
  8. 早稲田大学の理工系の非コピペ文化について/電気・情報生命工学科の学生から
  9. 小保方氏「博士論文」、早大が本格調査へ (TBS NEWS 最終更新:2014年3月26日(水) 12時9分):新たな万能細胞として「STAP細胞」を発表した理化学研究所の小保方晴子研究ユニットリーダーが、3年前に早稲田大学に提出した博士論文について、早稲田大学は近く、本格的な調査委員会を設置することを決めました。

理研CDBのPIらが声明を発表

疑惑のSTAP細胞のNATURE論文を発表した小保方博士らは理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の所属ですが、理研CDBへの信頼が著しく損なわれてしまった現在の状況を憂慮した他のPI(Principal investigators;研究室主宰者)らが声明を発表しました。

2014年3月14日
理化学研究所 発生・再生科学総合研究センターの研究室主宰者による声明
今回 Nature誌に掲載されたSTAP論文に関連して生じている様々な問題に対し、下記に名を連ねる者は、同じ理研CDBの研究室主宰者として大変深刻に受 け止め、憂慮しております。わたしたちは同じ研究者として科学の公正性を回復、担保するためのあらゆる努力を払う所存です。また、理化学研究所における研 究活動が社会の信頼無くしては成り立たないことを十分に自覚しております。我々は、社会及び研究者コミュニティーに対して最大限誠実な行動を取ることをお 約束すると共に、高い規範の下に研究活動に励み、その成果を社会に還元すべく不断の努力を続けることをここに表明いたします。
戎家美紀
永樂元次
榎本秀樹
藤原裕展
古田泰秀
花嶋かりな
平谷伊智朗
今井猛
猪股秀彦
北島智也
清成寛
清末優子
倉永英里奈
Raj Ladher
森本充
森下喜弘
西村隆史
Guojun Sheng
柴田達夫
高橋政代
上田泰己
Yu-Chiun Wang

http://www.cdb.riken.jp/jp/index_stap_140314.html

理研がSTAP論文不正に関する中間報告

理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(理研CDB)の小保方晴子研究ユニットリーダーらがNATURE誌に発表したSTAP細胞の論文に疑義が生じている問題ですが、理化学研究所が設置した調査委員会(委員長:石井俊輔理研上席研究員)らは2014年3月14日の午後に東京都内で記者会見し、中間報告を発表する予定です。

論文不正を理化学研究所が公式に認めるのかどうか、認めた場合責任の所在をどこまで認定するのか、興味が持たれます。論文に不正があったことはインターネット上で十分な証拠が呈示されており疑問の余地はないでしょう。筆頭著者である小保方氏の責任が重大であるのは当然としても、不正行為をある時点で知っていたにも関わらずその後隠蔽工作とも受け取れる行動を取っていた他の著者らの責任をどこまで問うのかが注目されます。

失墜した理研の信用を回復するためには、責任の所在を明らかにし万人が納得するような事後処理をすることです。

  1. 論文不正の認定焦点=理研、14日に中間報告-「STAP細胞」真偽は別問題(時事ドットコム 2014/03/13-17:40)

ハーバード大学バカンティ教授「論文を取り下げる理由はない。」

決定的なデータ捏造の証拠がインターネット上に呈示されて、STAP細胞のNATURE論文は取り下げの方向に動きだしました。しかし共著者のハーバード大学のバカンティ教授はバカンティ教授は論文を取り下げるつもりはないとアメリカの記者の取材に応じて答えました。また、これまで沈黙を守り続けている小保方博士とも3月10日に話をしたそうで、小保方博士もバカンティ教授と同じ考えなのだそうです。

参考

  1. Co-Author of Stem-Cell Paper Asks for Retraction(WSJ)

STAP細胞NATURE論文を取り下げへ「何より私自身、真実が知りたい」

STAP細胞に関するNATURE論文の共著者の一人、山梨大学教授若山博士は、研究データに重大な問題が見つかった結果、STAP細胞が存在するという確信がなくなったとして、他の共著者に論文取り下げを呼びかけたことを2014年3月10日のNHKのインタビューで明らかにしました。若山教授は、自分が担当した実験については正しいと信じているが、前提となるデータの信頼性に確信が持てなくなった、と述べています。

また、若山教授は山梨大学のウェブサイト上でも声明を発表しました。

STAP細胞の論文の問題について 2014年3月10日      
関係各位
山梨大学生命環境学部生命工学科      
 教   授  若山 照 彦      
STAP細胞の論文の問題について
   今年1月30日にNature誌に発表したSTAP細胞に関する論文について、現在、多くの問題が指摘されております。私が担当した部分(共著者より提供された細胞からのキメラマウスの作製、及び幹細胞の樹立)については、自信を持って適正に実験がなされたと言い切れますし、共著者の結果についても信頼してきました。
   しかし本論文に関して様々な疑問点が指摘されている今日、私はSTAP細胞について科学的真実を知りたいと考えております。そこで私は、先に共著者より提供され、キメラマウスの作製実験に用いたSTAP幹細胞を所有していますので、この細胞を公的第三者研究機関に提供し、詳細な生化学的分析を依頼する事を決断しました。

   分析結果は速やかに公表致します。

http://www.yamanashi.ac.jp/modules/information/index.php?page=article&storyid=768

理化学研究所は平成17年に「科学研究における不正行為とその防止に関する声明」を出しており、その中で「研究論文の著者は、その論文の正しさを客観的にいつでも誰にでも説明する責任がある。」と述べています。若山教授はこのSTAP論文の著者の中ではただ一人、マスコミの取材に答えて持ち上がった疑義に関しても自分の考えを説明してきました。今回の声明の内容も合わせて考えると、これまでの言動は首尾一貫しており、少なくとも論文著者として一定の説明責任は果たしています。

参考

  1. STAP細胞 確信なくなった(NHK NEWSWEB 3月10日 19時06分)
  2. STAP細胞の論文の問題について (山梨大学 2014年3月10日)

産経ニュースが「小保方博士がSTAP細胞作製の再現に成功」と報道

産経ニュースが、NATURE論文発表後としては初めて小保方博士がSTAP細胞作製の再現に成功したと報じています。理化学研究所は2014年3月5日に「STAP細胞作製に関する実験手技解説の発表について」という声明をウェブサイト上で発表していますが、小保方博士がSTAP細胞作製の再現に成功したという記述は見当たりません。

STAP細胞 小保方さん、再現実験に成功 論文発表後初めて
2014.3.6 08:59 [先端技術]
理研は5日、小保方晴子研究ユニットリーダーが1月末の論文発表後、初めてSTAP細胞の再現実験に成功したことを明らかにした。実験の客観的な証明には第三者による再現が必要だが、成果の正しさを一定程度裏付けた形だ。

理研によると、小保方氏は理研発生・再生科学総合研究センターで先月、再現実験を開始。論文通りの手法でマウスの体細胞を弱酸性溶液で刺激し、あらゆる細胞に分化できるSTAP細胞を作製することに成功した。細かい実験手順も含め同センターとして正しさを再確認したとしている。
(http://sankei.jp.msn.com/science/news/140306/scn14030609000001-n1.htm)

日本報道検証機構@Watchdog_Japan 2 時間

【調査結果】産経新聞3月6日付朝刊31面(電子版:http://sankei.jp.msn.com/science/news/140306/scn14030609000001-n1.htm …)が、理研発生・再生科学総合研究センターがSTAP細胞の再現実験に論文発表後初めて成功したと報道。他紙が報じていないことから調査した結果、理研広報室より事実であるとの回答を得ました。

 

何の証拠も示さずにSTAP細胞作製の再現に成功したと言ったところで、一体誰が信じるのでしょうか?