高知県立大学が3万8千冊の本を焼却処分して大炎上

   




高知県立大学が、いらない本として3万8千冊を焼却処分したのだそうです。

吉川弘文館が1979年から18年がかりで刊行した国内最大級の歴史百科事典「国史大辞典」全17冊は、新品で約30万円し古書価格で数万円の値がつく。同様に「日本国語大辞典(2版)」全14巻(小学館、2000年)も高値で引き合いがある。 … 農山漁村文化協会が1986~92年に出した「日本の食生活全集」全50巻は各巻3、4冊ずつが焼却された。第39巻は「高知の食事」(高知県立大の松崎淳子名誉教授他編)だった。江戸中期の土佐藩御用絵師、中山高陽の紀行集(57年、高知市教育委員会)をまとめたのは国文学者の清水孝之元高知女子大教授。膨大な数の各大学史と一緒に、高知短大の20年史高知女子大の30年史も燃やされている。 (高知県立大焚書 知の機会奪う 職員「移行へダイエット」高知新聞 2018.08.17 08:38 記事閲覧は要登録)

戦前の図書など貴重な文献も含まれていた。… 焼却処分されたのは、土佐藩の国学者が著した万葉集の注釈本(1922年)や、自由民権運動の研究文献目録(84年)などの郷土関係資料のほか、政治、経済、科学、文学など幅広い分野に及ぶ。 (県立大、蔵書3万8000冊焼却…貴重な文献も 読売新聞 YOMIURI ONLINE 2018年08月18日 14時50分)

この焼却処分に反応する人が多かったせいか、大学が声明をだしました。その一部を紹介します。

本学の蔵書は、歴史的には高知女子大学、高知短期大学、旧高知女子大学保育短期大学部の図書を統合しつつ、このたび高知工科大学の一部の図書を含めたものであり、永国寺キャンパスの整備にあわせて新図書館を新しく開館いたしました。… 蔵書の収蔵能力は旧図書館と同程度を保ちつつ、将来も増加し続ける蔵書のことも考慮し、大学として慎重に検討を行い、3.8万冊程度を除却するという決断をいたしました。… 重複図書約18,700冊、雑誌約12,700冊、書籍約6,600冊、合計約3.8万冊を除却することを決定しました。(高知県立大学永国寺図書館の蔵書の除却について 平成30年8月18日 高知県公立大学法人高知県立大学 学長 野嶋 佐由美)

上の声明の中には、重複していて破損がひどい本などを選んで廃棄処分を決めたという説明もあります。本の価値は、それをその価値を認める人が存在するかどうかで変わるものでしょうから、焼却する前に広く県民に告知して、欲しい人に譲渡してあげてほしかったと思います。

焼却される予定だったリストには「日本植生誌」四国の巻(1982年)や「土佐日記の風土」(87年)などが載っていた。… 県立大の岡村一良事務局長は「手順は規定に従ったもので問題はない。ただ、焼却という方法には配慮が足りなかった。焼却処分する前、公立図書館に声を掛けることも検討したが、蔵書に県立大のスタンプが押されていることもあり実現しなかった。他の大学に声を掛けたり、一般向けのバザーを開いたりする方法もあった」と説明した。(<高知県立大>蔵書3万8000冊焼却 学長「配慮足りず」 毎日新聞
YAHOO!JAPANニュース 2018/8/19(日) 11:25配信)

焼却処分に関しては非難する声と理解を示す声があるようです。

そもそもこの問題は、17日に高知新聞が「高知県立大学で蔵書3万8000冊焼却 貴重な郷土本、絶版本多数」と報じたことで発覚。… 同紙は、複本のない6659冊は「完全に失われた」と、大学の対応を批判した。この記事はTwitterでもトレンド入りし、大学の対応をめぐり議論が巻き起こっていた。

「本と出合う機会を奪った」などという批判がある一方で、報道された書籍のリストには「類書や新装版、改訂版がある」「電子化やデータベース化されている」ことを理由に、大学側の対応に理解を示す声もあがっていた。(3.8万冊の図書焼却、高知県立大が謝罪 「注意を払う必要があったと反省」 大学の対応をめぐり議論が巻き起こっていたが…… BUZZFEED NEWS2018/08/19 08:49 Kota Hatachi 籏智 広太 BuzzFeed News Reporter, Japan)

はてな匿名ダイアリーには、大学図書館で勤務を経験した人ならではのコメントがありました。(主観的に選んだ)一部を紹介します。

高知新聞の記事見出しを見たとき、ツタヤ図書館的なことを大学図書館がやるなんて世も末だなと衝撃受けたけど記事読んだら通常業務してるだけじゃねーか!と二度びっくりしたので元図書館(私立大学)の中の人として補足を書くことにした。…

大学にもよるだろうけど、本当の貴重書・重要度の高い図書は図書館にはなく研究室にあったりする。特定専門分野の第一人者が定年退職し、後任研究者がいないと研究室所蔵図書の価値がわかる人がいなくなり、あえなく廃棄処分になるケースも何回か経験してきた。…

郷土資料の保存や収集は公立図書館や博物館の役割で、県立であっても大学図書館が担う必要はないように思う。ただ、郷土資料を大量に廃棄するときは、公立図書館や博物館に一声かける配慮はあってよかったようには思う。(■高知県立大焚書記事問題を元大学図書館の人視点から はてな匿名ダイアリー 2018-08-18)

古本屋さんのコメントも紹介。

最善策ではないが、このような非難を受けるものではないのではないか?というのが私の考えです。… 高知新聞が内容の精査もせずに「なんてことをやってるんだ」とか「だれかなんとかしろ」というような無責任な論調でなく、大学、図書館、あるいは本屋にキャパシティをひろげよう、、、予算を置こう、人材を育てていこう、という結論に至らなかったのが本当に残念です。 (高知県立大学蔵書の処分は適切だったのではないか 閻魔堂 note.mu 2018/08/17 23:45

 

参考

  1. 高知県立大学図書館で蔵書の一部を焼却処分したら大炎上した件 (togetter)
  2. 高知県立大学 蔵書3・8万冊を焼却処分し謝罪「より細心の注意を払う必要があった」(スポニチ Aponichi Annex 2018年8月18日) 高知県立大学(高知市)は18日、昨年4月の図書館新設に伴い、貴重な絶版本などを多数含む蔵書約3万8000冊を焼却処分にしたと一部で報じられた件に関し「配慮が十分でなかった」「より細心の注意を払う必要があった」などと公式サイトで謝罪、釈明した。
  3. 蔵書3万8000冊焼却処分 高知県立大(産経WEST 2018.8.18 15:45)

 


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