「 脳科学 」 一覧

記憶は最初に海馬で形成され、後に大脳皮質へ転送されるという従来の学説が覆る 大脳皮質でも最初から記憶痕跡細胞が形成され、後にサイレントな状態からアクティブになることを利根川研が発見、サイエンス誌に報告

  2017/04/13    科学ニュース, 脳科学

記憶は海馬でまず短期的に形成され、後に大脳皮質に記憶情報が転送されて長期的に固定化されると考えられてきました。しかし、MITの利根川研究室が2017年4月7日のサイエンス誌に発表した論文によれば、記憶痕跡細胞は海馬だけでなく最初から大脳皮質でも形成されます。しかし、大脳皮質の記憶痕跡細胞は、最初はいわばサイレントな状態で存在し、その後活動するようになります。 「学習時の記憶情報は前頭前皮質にもすでに存在したのです。この実験結果は、記憶が徐々に転送されるという従来の学説に反するものです。」と北村博士は述べた。(原文:“Already the prefrontal cortex contained the specific memory information,” Kitamura says. “This is contrary to the standard theory of memory consolidation, which says that you gradually transfer the memories. The memory is already there.”)(参考:MITニュース)   ( (出典:http://www.riken.jp/en/pr/press/2017/20170407_1/) プレスリリース Neuroscientists …

no image

勝者の神経回路と敗者の神経回路:勝つか負けるかは自分の脳の中で決まる

  2016/04/03    脳科学

脳の中には、闘争に勝ちやすくなる神経回路と闘争に負けやすくなる神経回路が存在することを、理研の研究グループが発見し、2016年4月1日にサイエンス誌で発表しました。「戦い続けるための神経回路」と、「降参するための神経回路」のどちらが強く働くかによって、その雄の勝ち負けが決まる可能性があるとのことです。勝敗を決めるのは相手ではなく自分の脳なのかもしれません。 通常、2匹の雄は互いに挑発しあったり噛み付き合ったりして、延々と闘争を繰り広げます。 典型的なオスのゼブラフィッシュによる闘い / The typical sequence of a male zebrafish fight やがて勝敗が決すると、勝者は自由に泳ぎまわりますが、敗者は勝者を刺激しないように底でおとなしくじっとしています。 闘い後の野生型ゼブラフィッシュの敗者の行動 / Normal behavior of losing wildtype zebrafish 10 minutes after a fight 今回の研究では、勝者の脳では下の図でHb(背側)領域からDTA領域へ向かう回路が活発に活動し、敗者の脳ではMR領域へ向かう神経回路が活発に活動するという差があることが見いだされました。 手綱核(Hb、赤が外側背側手綱核、緑が内側背側手綱核、青が腹側手綱核)、脚間核(IPN、赤が背側脚間核dINP、緑が腹側脚間核vIPN)、背側被蓋野(DTA)、正中縫線核(MR)、背側縫線核(DR) (理研プレスリリースより) 下の写真は脳の活動性を調べた実際の実験データ。「勝者」の脳ではDTAの領域の神経活動が活発な様子がわかります。一方、「敗者」の脳ではIPN(腹側部)領域およびMR領域の活動が強まっています。 (理研プレスリリースより) 今回見出された”勝者の回路”(戦い続けるための神経回路)の働きを実験的に抑えられた雄は負けやすくなりました(下の図の赤い棒グラフ)。逆に、”敗者の回路”(降参するための神経回路)の働きを実験的に抑えられた雄は勝つ可能性が上がりました(下の図の緑色の棒グラフ)。 (理研プレスリリースより) 下の動画は、「降参するための神経回路」の働きを実験的に抑制した雄が負けたときの行動。勝敗はついているにも関わらず、敗者の行動(=底でじっとおとなしくしていること)をとろうとしません。敗者のほうが闘争に敗れたときの適応的な行動が取らないために、勝者は執拗に攻撃を続けてしまっています。 闘い後の遺伝子改変ゼブラフィッシュの敗者の行動 / Abnormal behavior of transgenic loser …