Monthly Archives: September 2013

分子生物学会2013@神戸で婚活?

今年の分子生物学会年会の実行委員長は近藤滋氏。熱帯魚の縞模様を始めとして動物の形態が示すパターンがどのようにして形成されるのかを明らかにしてきた業績で世界的に有名ですが、その「かなり個性的」なパーソナリティもまた広く知れ渡っています。

その近藤滋氏が音頭を取る今年の分子生物学会年回は、従来の「学会」の概念をひっくりかえすくらいに面白いものになりそうです。細胞工学(和文レビュー雑誌)に「こんどうしげるの 生命科学の明日はどっちだ!?」という人気コラムを連載していて、 第十六回:来年の分子生物学会は嵐を呼ぶぜ!では以下のような所信表明を行っていました。

諸君、私は分生が好きだ。
諸君、私は分生が好きだ。

諸君、私は分生が大好きだ。

シンポジウムが好きだ。ワークショップが好きだ。プレナリートークが好きだ。ポスター発表が好きだ。ランチョンセミナーが好きだ。企業展示が好きだ。フォーラムが好きだ。受賞講演が好きだ。

横浜で、札幌で、京都で、博多で、神戸で、この日本で行われるあらゆる分子生物学会が大好きだ。

朝一番の講演のために、聴衆が一斉に会場に入ってくるのが好きだ。

座長の挨拶に続いて会場が暗くなり、最初のスライドが映し出されるとこころが踊る。

極めつけのデータを示したスライドで、会場に軽いため息を上げさせるのが好きだ。

ツッコミを入れてくる質問者を、更に決定的なデータでやり込めた時など、胸がすくような気持ちだった。

ずらりと並んだポスターの前を、そぞろ歩きをしながら眺めるのが好きだ。

紳士服の青木で買った新品スーツを来た大学院生が、一生懸命説明している様など感動すらおぼえる。

展示会場で、企業の係員から手渡される粗品を集める楽しさといったら、もうたまらない。

アンケート用紙を手にしたグライナーのコンパニオン部隊が、引き気味の大学院生に、何度もアタックを繰り返すのも最高だ。

マイナーなテーマのシンポを主催するのが好きだ。

頑張って動員をかけたのに、トークの切れ目ごとに人が立ち上がり去っていくのを見るのは、とてもとても悲しいものだ。

コンピートしているラボに先を越されるのが好きだ。

ひとつ前の演者に自分と同じ実験結果を話されてしまい「偶然同じ結果なのですが」と前置きせざるをえなくなるのは屈辱の極みだ。

諸君。

分子生物学会の会員諸君。

君たちは、2013年神戸年会に一体何を望んでいる?

今までどおりの分生を望むか?

もっと刺激的なイベントにあふれた学会を望むか?

熱血議論の限りを尽くし、三千世界の新発見があふれる、嵐の様な学会を望むか?

「分生」「分生」「分生」

よろしい。ならば分生だ。

我々は、手に入れた研究結果を、今まさに発表せんとする若手研究者だ。

だが、世間から隔絶された実験室で、1年間耐え続けてきた我々に、ただの学会ではもう足りない。

大学会を!

一心不乱の大学会を!

分子生物学会を面白くするために様々な企画案があったようでそれらのいくつかは実現するようです。海外ポスドクの学会参加支援、TEDフォーマットのプレゼン、楽器経験者によるJAZZ演奏、出会いがない若手研究者男女出会いの場のプロデュースなど、真面目な学術集会にイベント性が付加されており、こんな学会なら参加してみたいと思わせる内容です。

しかし一番取り上げて欲しかったデータ捏造論文不正問題への取り組みが現時点ではウェブサイト上に見当たらないのが気になります。12月までにはまだ間があります。分子生物学会が研究不正防止に向かって真正面から取り組んでいることを示す企画を上げてきてほしいものです。

捏造論文を出したラボヘッドたちをパネリストとして招待するとか、分子生物学会の重鎮を集めて「非捏宣言」をしてもらうとか、データ捏造の現場を目撃したことのある人たちによる覆面座談会とか、リアルタイム匿名掲示板による論文不正防止の議論とか、とにかくなんでも良いので、分子生物学会はこの問題を風化させるつもりはないという意思表示をしてもらいたいものです。それなくしては、分子生物学会に明日はありません。

第36回日本分子生物学会年会(年会長:近藤滋)ウェブサイト

10月19日(土)筑波宇宙センター特別公開

毎年恒例「宇宙の日」の筑波宇宙センター特別公開。今年の日時は、
日時:10月19日(土)10:00~16:00(入場15:30まで)
場所は、
茨城県 つくば市 千現2-1-1(郵便番号 305-8505、電話番号 029-868-5000)

ファンファン!JAXA!:宇宙航空研究開発機構 JAXA(ジャクサ)イベント情報ウェブサイト

国際宇宙ステーション(ISS)ライブ映像(http://spacestationlive.nasa.gov/timeline/


Live streaming video by Ustream

2013年のノーベル賞受賞候補者を予測

学術情報、研究動向の分析を行うトムソン・ロイター社が、論文・引用データに基づいてノーベル賞クラスの研究者を選出し、本年度のトムソン・ロイター引用栄誉賞の対象者として発表しました。選ばれたのは以下の3氏です。

大隅 良典 氏(医学・生理学分野「オートファジーの分子メカニズムおよび生理学的機能の解明」)→東京工業大学  大隅研究室ウェブサイト
水島 昇 氏(医学・生理学分野「オートファジーの分子メカニズムおよび生理学的機能の解明」)→東京大学 水島研究室ウェブサイト
細野 秀雄 氏 (物理学分野 「鉄系超伝導体の発見」)→東京工業大学 細野研究室ウェブサイト

トムソン・ロイターによると、トムソン・ロイター引用栄誉賞の選出は、ノーベル賞受賞と高い相関性を示しているそうです。つまり、上記3氏はノーベル賞の有力候補と言えます。

参考

  1. 「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を発表。日本からは、東京工業大学の細野秀雄氏、大隅良典氏、東京大学の水島昇氏 (トムソン・ロイター 2013年 プレスリリース
  2. 日本人3人含むノーベル賞有力候補を発表=トムソン・ロイター(朝日新聞デジタル2013年9月25日

科研費申請書の書き方

* これは古い(2013年9月)記事です。最新版(2014年9月)のこちらの記事をご覧ください
⇒ 【平成27年度】誰も教えてくれなかった「通る」科研費申請書の書き方

 

今年も科研費申請の時期がやってきました。

文科省の予算配分もあって、ここ数年リサーチアドミニストレーター(URA)を大学が雇用する動きが活発になってきました。URAの重要な職務の一つが、外部資金獲得支援です。今まで科研費をどう書いたら良いか悩んでいた研究者も今年は強力な助っ人を得て、今までよりもずっと良い申請書が書く人が増えそうです。

申請書の書き方テクニック~科学研究費(若手研究B)を例に~ 福井大学URAオフィス (PDF14ページ):望ましくない言葉遣いを具体的に列挙するなど、丁寧・親切。

科研費計画調書の書き方指南 九州大学大学院数理学研究科 三町勝久(PDF5ページ):典型的な採択されないポイント6点、採択される申請書を書く際の心構えなど。

現時点で一般に公開されていませんが、京大も科研費申請書指南書を作成しています。

「科研費申請書の教科書」~サステイナブルな研究活動を行うために 京都大学学術研究支援室:落ちる申請書には理由があった!京都大学で採択・不採択になった科研費申請書を網羅的に分析すると、明らかな差があることに気付いた。優れた研究でも「伝わらない」申請書は採択されない。審査委員に「伝わる」申請書の書き方を、学術研究支援室が説く!(*本書は学内の科研費説明会の参加者にお配りし,また教員の方々には部局を通じて本書を配布させていただきました.既に数々のお問い合わせを頂いており,本書への強いニーズを実感しております.)

今年の申請に合わせたタイミングで新しく書籍も出版されています。

科研費獲得の方法とコツ 改訂第3版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略 児島 将康  (出版年月日:2013/8/10):
ビジュアル図解 科研費のしくみと獲得法がわかる: 応募の方法から、申請書の書き方・仕上げ方まで 佐藤 成美  (出版年月日2013/7/23)

「霊長類認知ゲノミクス」キックオフワークショップ 9月30日(月)-10月1日(火)@生理研

「霊長類認知ゲノミクス」キックオフワークショップ
期日:9月30日(月)-10月1日(火)@
会場:自然科学研究機構生理学研究所

ヒトの高次認知機能やその破綻として現れる精神・神経疾患の根本的な理解には、マウスやラットなどのげっ歯類に代わる、ヒトにより近縁な霊長類モデルの開発が必要不可欠であると考えられます。ヒトの疾患、特に高次認知機能に関わる病態機序の解明には、そもそもヒト脳との形態や機能分化の程度において大きな差異があるマウス脳やラット脳で得られた結果を、ヒトに外挿する方法論の限界も指摘されており、一方、ヒトにおいては、病態と遺伝子・分子の相関関係は明らかにできる可能性がありますが、実験的な操作や侵襲的な実験が不可能なため、因果律の解明まで踏み込む事が極めて難しいのが現状です。

そこで、本プロジェクトでは、ヒト脳との形態的・機能的類似性を持ち高次認知機能課題の遂行に優れているマカクザル(ニホンザルおよびアカゲザル)、また、高度の社会性・認知機能を有し、かつ世代時間の短いマーモセットを対象に、げっ歯類でもヒトでも行えないエビデンスベースの因果律の解明を目指した霊長類精神・神経疾患モデルの作出を行う事を目標とするものであります。


上記の目的を達成するために、具体的に3つのフェーズを想定しています。


① みつける(ゲノム解析:エキソーム解析、CNV 解析、など)
② はかる(中間表現型解析:遺伝子発現解析、タンパク質機能解析、脳構造・機能イメージング、認知行動解析、など)
③ そうさする(操作・介入実験:遺伝子導入、クローンサル作製、など)


上記の3つのフェーズ間をシームレスかつ体系的につなぎ合わせることで、「霊長類認知ゲノミクス」研究を推進しようというのが本ワークショップのねらいです。

http://www.nins.jp/cnsi/brain/index.php#bs_infoより一部転載)

2013年11月18日(月)―19日(火)第3回URAシンポジウム

2013年11月18日(月)―19日(火)第3回URAシンポジウム

URA

高い実績を有する国内のURAを招き、URAの実務・組織運営について紹介すると共に、大学における研究活動やイノベーション促進に向けてのURAネットワークの機能について議論します。

参加対象:URA及び研究支援業務に携わる職員、教員(研究者)

機能(業務) 業務内容のイメージ
(1)研究戦略推進支援業務(リサーチ・ディベロップメント関係等)
① 政策情報等の調査分析 政府の科学技術政策、審議会の答申・提言等や、ファンディング・エージェンシー等の事業について、その策定段階からインターネットや関係者へのヒ アリング等を通じて情報を収集し、政策動向等について分析を行う。また、組織においてこの機能充実のため、施策情報等にかかるデータベースの整備等、情報 分析機能の強化、充実を図る。
② 研究力の調査分析 研究者の研究分野、外部資金獲得状況や論文投稿状況等を把握し、マッピング等により大学・部局等の研究特性の組織的把握を行う。また、組織においてこの機能充実のため、研究者情報のデータベースの整備等、研究プロジェクトの策定基盤を強化・充実化する
③ 研究戦略策定 組織の研究教育資源を有効に活用することを目指し、組織改編、研究拠点形成、研究支援体制構築に関する立案・支援、関係部局との調整等を行う。研究者相互の認識の拡大と深化、意識醸成、プレゼンス確立のため、例えば新たな課題発見のためのワークショップの開催等を行う。
(2)プレ・アワード業務
① 研究プロジェクト企画立案支援 外部資金獲得状況等から他大学との比較、採択結果の分析等を行う。また、研究者のマッチング、研究チームの構成員候補のリストアップ等の外部資金に応募する研究プロジェクトの企画案の策定のための支援、調整等を行う。
② 外部資金情報収集 国、ファンディング・エージェンシーや企業等が募集する補助金・委託事業等の国内外の外部資金及び関連情報について、その策定段階からインター ネットや関係者へのヒアリング等を通じて収集、募集内容、対象や要件等を分析し、背景となる政策動向や外部資金獲得によるメリット・デメリット等を把握 し、適切な研究分野・経験を持つ研究者に情報提供を行う。
③ 研究プロジェクト企画のための内部折 衝活動 外部資金受入、研究プロジェクトに必要な研究資源の確保や協力機関との契約等締結に関する事務局との調整、学内の研究者・研究科等への研究プロ ジェクトへの参画交渉・調整を行う。また、申請件数が限られている大型外部資金について、学内ヒアリング等を通じて公募条件の合致の確認、申請件数の調整 を行う。
④ 研究プロジェクト実施のための対外折 衝・調整 学外の研究者・研究機関への研究プロジェクトへの参画交渉や外部資金受入、事業計画・NDA等の契約等締結に関する協力機関との調整を行う。
⑤ 申請資料作成支援 研究者の発想を整理し、必要なデータ等の収集、外部資金の申請書の研究計画の分筆・ドラフトや予算計画の作成を行う。また、申請書の添削・改善アドバイスや形式・内容が公募条件等に適合しているかどうかの確認を行う。
申請書等を基にヒアリング審査等におけるプレゼンテーション資料等の作成や支援を行う。申請書やプレゼン資料作成指導セミナー等の開催。
(3)ポスト・アワード業務
① 研究プロジェクト実施のための対外折衝・調整 外部資金採択時に、ファンディングエージェンシー等との研究計画・予算、間接経費の比率等の調整、詳細な研究・予算計画の作成を行う。
② プロジェクトの進捗管理 研究プロジェクトの運営ミーティング、研究チームミーティング等の運営、各研究チーム等を含む研究プロジェクトの進捗状況の把握・調整を行う。また、研究プロジェクトに関係する論文発表、学会発表、知的財産の取得、その他研究成果の把握・整理を行う。
③ プロジェクトの予算管理 学内共同研究者、協力機関等への予算配分案の調整・作成を行うと伴に、研究費の執行状況の把握及び研究計画や法令・補助条件等に適合しているかの 確認を行う。また、内部監査、外部資金の額の確定検査等の検査への対応を事務と連携して行う。研究目的・内容に必要なスペックを満たす機器等のリストアッ プ及び調達の際の仕様書等の作成、メーカーや経理担当者との調整を行う。
④ プロジェクト評価対応関連業務 ファンディング・エージェンシー等による年度評価、中間評価、事後評価等に対して報告書、プレゼンテーション資料等の作成やその支援、ヒアリングへの出席等の対応を行う。また、研究プロジェクト自体で行う評価委員会の開催・運営を行う。
⑤ 報告書作成業務 各種報告書に必要な研究成果等の整理、研究者・研究チームとの執筆内容の調整・整理・取りまとめを行い、ドラフトを作成する。また、報告書の添削・改善アドバイスや報告書が研究計画等へ適合しているかどうかの確認を行う。
(4)関連専門業務
① 教育プロジェクト支援業務 教育研究拠点形成や、連合大学院設置等、大学院教育を主とした連携支援を行う。国・大学の大学院教育方針を理解しつつ連携構想を研究面から整理するとともに、学内関係者および外部関係機関との連絡・調整を行い、教員・事務と共同で連携に関する具体的な手順を進める。
② 国際連携支援業務 国際的な教育研究に関するコンソーシアム形成とう、海外機関との連携を進めるにあたり、海外の教育研究動向・状況を理解し、説明資料作成、連絡、調整、契約、調印式等の現地でのイベント開催等の一連の業務を、教員、事務職員と連携して行う。
また、国際共同研究支援の一環として、国外から研究者を招聘するための連絡、調整等を行う。
③ 産学連携支援業務 企業との組織的連携、産学官連携コンソーシアム、地域振興を含めた地域産業界との連携の構築支援を行う。具体的には、企業と研究者の研究プロジェ クトに対する考え・要望を聞き、方向性を整理し、プロジェクトの実現に向けた交渉・仲介を行う。また、産業界と連携し公的競争的資金による複数の当事者に よる大型・長期のプロジェクトの推進を支援する。
④ 知財関連業務 必要に応じて学内の関連部署と連携・調整しつつ、知財の発明範囲の確定、特許明細書の検討・作成、企業と共同出願する際の調整・交渉を行う。また 産学官連携コンソーシアム、特区構想等の特別な取り組みについては、事業趣旨や申請内容を踏まえ、当該事業に最適な知財の取り扱いを提案できる。
⑤ 研究機関としての発信力強化推進 研究活動に関係する研究機関としての提言、宣言等の立案を支援する。また、学外の研究者や学外ステークホルダー等に対する研究機関としての発信力・ブランド力を強化するため、研究内容、研究環境等に関する広報活動に参画する。
⑥ 研究広報関連業務 Webサイトの掲載内容の立案、デザイン、管理や更新を行う。その他、ニュースレター、パンフレット等の海外向けも含めた広報資料の企画・作成を 行う。 また、プレス発表等の手配や取材の対応を行う。研究会や一般向けセミナー等におけるプレゼンテーション資料の作成や研究内容・成果の発表・報告を行うと伴 に、セミナー等の成果の取りまとめ、来場者とのネットワークの形成を行う。
⑦ イベント開催関連業務 シンポジウム等の企画・立案、プログラム策定を行い、必要な講師等の選定・招聘、関連する手続等の事務部門・イベント会社との調整を行う。また、イベントの対象に合った適切な広報を行い、準備・開催当日の管理・運営を行う。
⑧ 安全管理関連業務 必要に応じて学内の関連部署と連携・調整しつつ、薬品等の取扱、遺伝子組み換え動植物、病原性微生物、放射線等の実験に関する法令等への適合性確 認や定期的な運用状況の確認を行う。併せて、保管・実験等に必要な申請書類等の作成を行う。また、事故発生時の学内外の対応を行う。海外調査、フィールド ワーク等における参加研究者の把握、実施計画の作成、保険加入等の管理を行う。
⑨ 倫理・コンプライアンス関連業務 必要に応じて学内の関連部署と連携・調整しつつ、利益相反や知的財産・研究成果の取り扱いに関する確認、実験等に伴い収集する個人情報の管理等を 行う。また、研究者等に対する各種倫理・コンプライアンス関連の助言・情報提供を行うとともに、倫理・コンプライアンス違反があった際の学内外の対応を行 う。

リサーチアドミニストレーター(URA)リンク集

リサーチアドミニストレーター(URA; Univsersity Research Administrator)の業務に関するリンク集です。

【リサーチ・アドミニストレーターとは】

  1. リサーチ・アドミニストレーター (URA) という職業を知っていますか?:丸山 浩平氏、阿部 佑氏(東京農工大学 先端産学連携研究推進センター)へのインタビュー(Chem-station.com)

【組織】

  1. リサーチアドミニストレーション研究会
  2. Society of Research Administrators (SRA) 
  3. National Council of University Research Administrators (NCURA)

【企業】

  1. エルゼビア・ジャパン株式会社イベントエルゼビア研究戦略セミナー2013年6月26日「研究評価」エルゼビア研究戦略セミナー2012年6月7日「URAを取り巻く環境の最新情報」
  2. トムソン・ロイター・プロフェッショナル株式会社トムソン・ロイター 学術情報ソリューションが提供するURA・研究支援実務担当者向け有料研修

【国立大学】

  1. 京都大学 学術研究支援室(Kyoto University Resaerch Administration Office):   「科研費申請書の教科書」”落ちる申請書には理由があった!”URA募集特設サイト
  2. 金沢大学 先端科学・イノベーション推進機構 (Organization of Frontier Science and Innovation, O-FSI) 
  3. 北海道大学URAステーション北海道大学創成研究機構研究支援室
  4. 大阪大学 大型教育研究プロジェクト支援室 (Osaka University Research Administrator) :
  5. 東京大学 研究活動 リサーチ・アドミニストレーター
  6. 名古屋大学学術研究・産学官連携推進本部
  7. 九州大学学術研究推進支援機構(University Research Administration Office)
  8. 筑波大学 URA研究支援室(Research Administration Office)
  9. 広島大学 研究推進機構
  10. 九州工業大学リサーチ・アドミニストレーション・センター
  11. 岡山大学ニュース「本学におけるURAは、森田学長が直接指揮する組織として設置。」
  12. 奈良先端科学技術大学院大学 先端科学技術研究推進センター
  13. 東京医科歯科大学研究推進・産学連携
  14. 東京工業大学研究推進部
  15. 電気通信大学 研究・産学連携
  16. 豊橋技術科学大学 研究・技術開発
  17. 神戸大学 学術研究推進機構
  18. 熊本大学 研究

【私立大学】

  1. 早稲田大学 研究推進部
  2. 慶應義塾大学研究連携推進本部
  3. 同志社大学研究開発推進機構同志社大学リサーチ・アドミニストレーターについて(PDF)、

森口尚史氏のiPS細胞臨床研究不正に関する最終報告書を東大が公表

iPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心筋細胞を患者に移植したというウソの発表をした森口尚史(ひさし)氏(49)。新聞で大々的に報道された直後にウソがバレてさんざん世間を騒がせましたが、ようやく東京大学が最終報告書をまとめて公表しました。

森口尚史氏による研究活動の不正行為に関する調査報告 東 京 大 学

平成24 年10 月10 日、米国で開催された国際会議において、森口 尚史 元・医学部附属病院 特任研究員(平成24 年10 月19 日付け懲戒解雇。以下「森口尚史氏」という。)により、iPS 細胞から誘導した心筋細胞移植を初めてヒトで行ったとする研究(以下「iPS 心筋細胞移植」という。)をハーバード大学の関連病院で行ったとする発表がなされ、翌11 日に読売新聞で報道された。直後にハーバード大学は、正規の手続きを経た臨床応用が行われたことを否定し、その後、森口尚史氏による虚偽発表等の不正行為 について新聞各誌で報道された。

これを受け、本学においては、森口尚史氏が在籍していた医学部附属病院及び先端科学技術研究センターにおいて予備調査を実施するとともに、本部に設置した科学研究行動規範委員会1において調査・審議を行い、調査結果をまとめたので、その概要を報告・公表するものである。

http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_250920_j.html

 4. 本学の対応について
(1) 関係者の処分等
森口尚史氏に対しては、虚偽の発表を行い、大学法人の名誉又は信用を著しく傷つけたとして、平成24年10 月19 日付けで懲戒解雇の懲戒処分が既になされている。その他の関係者については、本学規則に基づき、厳正に対処する。
(2) 公的研究費の返還
森口尚史氏が特任研究員として雇用され、参画していた公的研究費に関しては、資金配分機関の指導に基づき、適切に対応する。
(3) 論文の取り下げ
不正行為であると認定した14 編の論文のうち、5 編については、既に撤回されている。その他の論文等についても、撤回等の処置が確実に講じられるよう、適切に対応する。
(4) 再発防止に向けた取組

http://www.u-tokyo.ac.jp/public/pdf/public01_250920_j.pdfから一部抜粋)

不正を行った責任者は懲戒解雇、公的研究費を返還するというものです。助教の監督責任についても言及していますが、この森口尚史氏の一件は「単独犯」の趣きが強いものです。それに対して、東京大学分子細胞生物学研究所や大阪大学医学部の研究不正は研究室ぐるみの組織的犯罪の様相があります。なぜなら、同じ研究室から出た異なる筆頭著者による複数の論文で不正行為があったからです。

実質的な論文不正の責任者を懲戒解雇し、研究費を返還させるということを是非他の事件にも公平、公正に適用してもらいたいものです。億単位の研究費を使って不正行為を働いてきた研究室は、その数億円~数十億円を返還すべきですし、それを徹底することが今後の論文不正防止の最良の策でしょう。

再発防止に向けた取組みで教育のためのリーフレットを配っても効果はありません。そんなことは何年も前から行われていることです。

過去にさかのぼってでも責任を追及して、懲戒解雇、研究費返還などを徹底的に行い、論文不正が割に合わないことだと研究者に知らしめることが最重要です。捏造体質の研究室が組織的に行ってきた論文不正の悪質さに比べたら、森口尚史氏の件などジョークみたいなもので、メディアがこぞって仰々しく取り上げる価値はありません。

参考ウェブサイト

  1. 森口尚史のブロマガ「医学報道の光と闇」 降圧剤の臨床研究不正~バルタン星人(バルサルタン)の方程式~
  2. 森口尚史インタビュー(2012年11月10日):「十八番はデュエット曲の『ロンリー・チャップリン』や。俺、こう見えてサービス精神旺盛で、女には結構モテんねん。学生時代にバンドでボーカルやってたから、歌もなかなかのもんや」

 

 

 

2013年11月7日~浜松ホトニクスフォトンフェア

浜松ホトニクスが2013年11月7日(木)~9日(土)フォトンフェアを開催します。内容は光技術に関連した展示、講演・セミナー。

講演タイトルは、

『次の60年へ、光の未来への新しい挑戦 – HAMAMATSUから世界へ』
『日本の科学技術と新産業』
『電子管技術 -その基盤・現状・将来展望-』
『システム製品の現状と将来展望』
『光半導体製品の現状と将来展望』
『ライフホトニクス -研究・開発の現状と将来展望-』
『量子カスケードレーザの研究開発に携わって』
『質量の起源とヒッグス粒子』
『バイオミメティクス(生物模倣技術)と光生物学-信号としての光が織り成す世界-』

フォトンフェアでは他にも数多くのセミナー、展示があります。

詳細は浜松ホトニクスフォトンフェアウェブサイトをご覧ください。

10月29日東京でMATLAB EXPO開催

日本最大級のMATLABイベントMATLAB EXPOが2013年10月29日に東京・ホテルグランパシフィックLE DAIBAで開催されます(参加費無料、事前登録制)。内容は、基調講演、セミナー、チュートリアル、出展パートナー企業による製品展示、デモなど。セミナーのトピックは、

  • Embracing Complexity- 複雑性への取り組み
  • 基礎研究の現場から眺めた情報技術の見えないイノベーション
  • MATLABプログラミング入門
  • 今から始めるSimulink入門~制御編~
  • Simscapeによる物理モデリング入門
  • MATLABによる最適化入門
  • MATLABによるビッグデータ解析
  • MATLABプログラミング中級編パワフル機能を完全活用
  • MATLABによる機械学習
  • MATLABで試す機械学習
  • いまからはじめる、MATLABによる画像処理・コンピュータービジョン(導入編)
  • いまからはじめる、MATLABによる画像処理・コンピュータービジョン(活用編)
  • MATLABで信号処理~各種センサーを題材として~
  • 音声分野におけるMATLABの利用と先端研究紹介
  • ますます広がるSimulinkからの通信システム実装
  • MATLAB/Simulinkを活用した電源システム設計フロー紹介
  • ついに出た、SimulinkによるプログラマブルSoCデバイスへの実装ワークフロー
  • 画像処理IPコアへのHDL Coder適用事例
  • モーター・モーション制御モデルベースデザイン実践「制御系設計」編
  • モーター・モーション制御モデルベースデザイン実践「プラントモデリング」編
  • モーター・モーション制御モデルベースデザイン実践「リアルタイムテスト」編
  • モーター・モーション制御モデルベースデザイン実践「組み込みコード生成」編
  • 不具合の早期検出~モデルベースデザインによるモデルとコードの検証~
  • 多入出力(MIMO)制御システムのチューニングをSimulinkでより簡単に
  • 太陽光発電用パワーコンディショナへのMATLAB/Simulinkの活用
  • Simscapeと閉ループシミュレーションを活用したエンジン制御開発のフロントローディング実践
  • 量産ソフト開発向けのモデルベースデザイン環境構築
  • CADデータを活用したロボットシミュレーションと実機制御のシームレス化
  • アセスメントによるモデルベースデザインプロセス改善

詳細、最新情報はマスワークス社のMATLAB EXPOウェブサイトをご覧ください。

 

参考(商品・サービス紹介)

  1. 転職スキル習得に役立つお勧めのプログラミングスクール

アトピーを改善する化合物JTC801を京都大学らが発見

京都大学のプレスリリース(2013年9月17日)によると、皮膚の保護機能、天然保湿成分として働く蛋白質フィラグリン(Filaggrin)を増やすことでアトピー性皮膚炎の症状を改善させる化合物JTC801を京都大学らが発見しました。アトピーを抑える飲み薬の開発に期待されます。この研究成果は2米国科学誌「The Journal of Allergy and Clinical Immunology」誌に掲載されました。

アトピー性皮膚炎の患者の2~3割でフィラグリン遺伝子の異常があることが知られています。また、ほぼすべてのアトピー性皮膚炎の患者でフィラグ リン蛋白が低下していることが知られています。これらの事実から、フィラグリンの量を増やすことでアトピー性皮膚炎が改善できるのではないかという発想で今回の研究が行われました。

京都大学 アトピー症状を改善する化合物を特定

参考

  1. 皮膚バリア機能を高めることでアトピー性皮膚炎の症状を改善させる内服化合物を発見(京都大学2013年9月17日)

バルサルタン(製品名:ディオバン)臨床研究にノバルティスファーマは会社ぐるみで関与していたのか?

ノバ社は改めて会社組織としての臨床研究への関与を否定(medical.nikkeibp 2013. 9. 3 )と報道されていますが、実際のところノバルティスファーマ社は組織ぐるみで関与していたのでしょうか?

ノバルティスファーマ社は第三者に委託して今回の問題を調査し、その結果を「バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書」として自社ウェブサイト上で公開しています。その中のまとめの一部を転載すると(強調のため一部太文字下線にしました)、

  1. ノバルティスファーマの社員は一般的に、当該元社員による研究への関与は、当該元社員がノバルティスファーマの社員としてではなく大阪市立大学の非常勤講師として研究に参加していたため、許されると思い込んでいました。
  2. 当該元社員らのノバルティスファーマのアドレスを送信元として受信されたEメールおよび様々な文書や関係者の証言から窺える状況によると、5つの医師主導臨床研究の研究者は、当該元社員らがノバルティスファーマの社員であることを認識していた、ないしは認識して然るべきであったといえます。
  3. 当該元社員らの上司とノバルティスファーマの経営陣の一部の者は、当該元社員の研究への関与の程度について認識していた、ないしは認識して然るべきであったといえます。一方、経営陣のうちの上層部の者は当該元社員の日々の業務については把握していなかったと考えられます。
  4. これら5つの研究は、ノバルティスファーマの奨学寄附金による支援を受けていました。これらの奨学寄附金は、名目上は使途を特定していませんが、ノバルティスファーマは奨学寄附金が当該研究の支援に用いられることを意図及び期待し、また奨学寄附金を受け取る側も、奨学寄附金が研究の支援を意図していることを認識していました。

とのことです。ご覧の通り、この報告書はかなり踏み込んだ表現をしています。会社が多額のお金を大学の研究者に渡し、自分たちにとって有益な研究結果を期待していたと結論付けているのです。これは、会社が組織として関与していたことを強く示唆しています。

 

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Jikei Heart Study論文をLANCETが撤回

東京慈恵会医科大学で実施された降圧剤バルサルタンに関する臨床研究の論文が、掲載されていたジャーナルLANCET自身によってついに撤回されました。この撤回は、東京慈恵会医科大学Jikei Heart Study調査委員会(委員長 橋本和弘)の報告を受けて、LANCET編集部により取られた措置です。

LANCET編集部のコメント

The Lancet published the Jikei Heart Study in April, 2007. 1 On July 31, 2013, we were informed by Professor Kazuhiro Hashimoto (Jikei University) that there had been a press conference on July 30 reporting an interim conclusion from an internal investigation into this research. The report considered that “The data on blood pressure are not reliable…”. Given this finding, we now wish to retract the Jikei Heart Study on the grounds that we no longer have confidence in the published results.

この論文の内容はどのようなものだったのでしょうか?

論文発表時のノバルティスファーマのプレスリリース(2007年4月27日)によると、

  1. 高血圧治療薬ディオバン® (一般名:バルサルタン) に関する日本で初めての大規模臨床試験
  2. 従来の降圧治療に選択的AT1受容体ブロッカー(ARB)のディオバンを追加投与した群(ディオバン群)で、主要評価項目である複合心血管イベントが39%と有意に減少
  3. Jikei Heart Studyは、東京慈恵会医科大学の施設を中心として実施された試験で、降圧薬治療を受けている高血圧、冠動脈疾患、心不全を有する日本人患者3,000 例以上を対象としたもの
  4. 従来治療強化群と従来治療にディオバンを追加投与するディオバン群で、血圧値をどちらの群も130/80 mmHgを目標として下げた場合の、脳卒中を含む複合心血管イベントに及ぼす影響が比較検討された
  5. Jikei Heart Studyは、独立的な運営委員会によって企画・設計・実施された医師主導の臨床試験。運営委員会は、東京慈恵会医科大学および臨床試験に参加し た病院の代表メンバーから成る。統括責任者は東京慈恵会医科大学循環器内科の望月正武 教授。スウェーデンのサールグレンスカ大学病院のビヨン・ダーロフ教授が共同統括責任者を務めた。
  6. 本試験は、ディオバン群で明確なメリットが示されたことにより、データ安全性モニタリング委員会の勧告によって早期に終了した。
  7. ディオバンは、血圧の上昇に関与しているアンジオテンシンIIのタイプ1受容体(AT1)を選択的にブロックする薬剤 (ARB:AngiotensinII Type1 Receptor Blocker)で、高血圧治療の第一選択薬として世界約100カ国で承認。日本では、2000年に発売。

「独立的な運営委員会によって企画・設計・実施された医師主導の臨床試験」というのが真っ赤なウソで、実はディオバンを開発し販売しているノバルティスファーマ社の社員がこの臨床試験データの解析を行い、しかもそれだけではなく、欲しい結果が得られるようにデータを改竄(かいざん)し、身分を隠して論文発表に加わっていたわけですから、これほど悪質なことはありません。ノバルティス社は薬の臨床研究を行った5つの大学に対し、総額およそ11億3千万円もの寄付を行っていたそうです(2013年9月3日TBS)。組織的には関与していないという主張はただの言い逃れに過ぎず、全く説得力がありません。

データ捏造は論外としても、ノバルティス社(または事件に関与した社員)が悪者で大学の医師たちが騙されたという構図では全くありません。厚生労働省が公表している第1回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会議事録によると、

森下委員:「最後までノバルティス社の方ということを研究グループが全員知らなかったのか、途中から気づく機会があったのか、用は最後の論文のところの所属・氏名の書きぶりのことでお聞かせ願いたいと思います。
橋本参考人:「主な研究担当者は、最初に紹介されたときは大阪市立大学の非常勤講師の統計の方だという認識でした。ただ、全部で122名の医師が参加した計画ですので、その人によって大分温度差はあるのですが、主に運営委員会等に出てくるような方々は、数ヶ月後ないしは1年後ぐらいには彼がノバルティス社員だということは知っていました。つまり、最終的に論文を書く時点では主な人たちはみんな知っていた。全員ではありません。主な人たちは知っていたということです。

大学関係者はノバルティスから多額の寄付金を受け取っており、ノバルティスが販売する薬の効果に関して当のノバルティス社の社員がデータ解析しているという事実も知りながら、論文中にはそのようなことはないというウソの記載をしていたのですから、著者として名を連ねている大学関係者の責任も大きいと言えます。

 

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