Category Archives: 論文データ捏造

小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義

日本人若手女性研究者による快挙として日本だけでなく世界中を沸かせたSTAP細胞の発見ですが、驚いたことに、STAP細胞作製を報告した小保方博士らのネイチャー論文のデータの信頼性に関して疑義が生ずるという非常に残念な状況になっています。

Obokata et al., Nature 505;676–680 図1b

Fig1b

Obokata et al., Nature 505;676–680 図2g

Fig2g

異なる個体のマウスを用いた実験データのはずなのに、上図1bと図2gで胎盤(緑色の蛍光写真の中の、周辺部が茶色の円形の組織)の形態が、向きや縦横比は異なりますが酷似しており、同一個体の写真としか思えないという指摘がなされています。

またObokata et al., Nature 505,641–647の論文の図1iでは下に示すように明らかに3番のレーンを切り貼りした形跡が窺えます。

ArticleFig1i     ArticleFig1Contrast

左側は論文の原図。右側はコントラストを変えて背景の明るさを強調したもの。3番目のレーンだけ背景が黒くいため、切り貼りされたものとわかります。

また、同じ筆頭著者が2011年に出した論文に関してもゲル上のDNAのバンドを反転させて別の図に流用した可能性が指摘されています。

理化学研究所は「研究成果自体は揺るがないと考えている」そうですが、たとえ論文の一部であったとしてもデータの”不適切な取り扱い”があれば、論文そのものの信憑性が著しく低下することは否めません。

データの”不適切な取り扱い”は単純ミスなのか意図的なのか?

意図的だとしたら動機は?単純なミスなら原因は?

”不適切さ”が指摘された以外のデータに関しては、どこまで信用していいのか?

ネイチャー誌はこの問題にどう対処するのか(「訂正」を受け入れるのかそれとも「論文取り下げ」にするのか)?

理化学研究所は小保方博士および他の著者らをどう処遇するのか?

そもそも本当にSTAP細胞はできていたのか?他の研究室でこの論文の実験結果の再現性は確認できているのか?

疑問が尽きません。

ちなみに、2013年日本分子生物学会年会のウェブサイト内の文書に、このような場合にネイチャー(Nature)編集部はどういう対処をするかに関して編集者の人の見解があります。

基本は-Principle of Scientific Publication is “Trust”。論文の中身に疑義が有った場合、Allegation(告発)はすべて基本受け付けている(匿名であろうが)。
中身としては図の問題が多い。Image duplication, Image manipulation など。
その場合は著者にoriginal data と詳細な説明を要求する。それを見て判断する。
もし、“look for intent to mislead as opposed to sloppy practice”.(意図的な不正)が見つかれば、著者の所属機関に連絡し、その報告を待つ(最終決定の前に)。
結果,結論が正しいなら(Conclusion stands), retraction ではなく、Correction を選ぶのが方針(意図的なものが無ければ、retraction にはならないと個人的には判断)。

2013年日本分子生物学会年会 理事会企画フォーラム「研究公正性の確保のために今何をすべきか?」3.研究不正を防ぐジャーナルシステム(12月4日(水曜日)10:00-11:30)のセッション報告速報(PDFファイル

⇒ 小保方博士らのSTAP細胞論文をネイチャー(NATURE)誌も調査へ

STAP細胞作製は本当に真実なのかどうか、今世界中の研究室が再現性を確認するための努力を続けています。Knoepfler Lab Stem Cell Blog STAP NEW DATAというウェブサイトでは、ポジティブな結果、ネガティブな結果にかかわらずSTAP細胞再現性テストの結果の投稿を呼びかけており、用いた刺激条件や培養条件の詳細および得られた結果の写真が投稿されています。実験の一例として、多能性獲得の指標となるマーカー遺伝子のプロモーター活性を、GFP(緑色蛍光蛋白質)レポーターの蛍光として確認するというものがありますが、「細胞が緑色に光った!」と喜んだのもつかの間、後になって自家蛍光に過ぎないことがわかったなどという失敗談も報告されていたりして、研究者の努力がリアルタイムで感じられます。

⇒ 「こんなことで研究そのものまで疑われるのは悔しい」

参考記事&参考ウェブサイト

  1. On the articles of Haruko Obokata, who discovered STAP cells (stapcell.blogspot.jp)
  2. 小保方晴子が筆頭著者の論文の不適切さについて (世界変動展望)
  3. 論文捏造&研究不正@JuuichiJigen
  4. STAP論文を検証=「不自然な画像」指摘受け-理化学研究所 (時事ドットコム 2014/02/17-11:37):理化学研究所(神戸市)は17日、マウスで新しい万能細胞「STAP(スタップ)細胞」を作ったと発表した小保方晴子研究ユニットリーダーらの論文につい て、「不自然な画像データが使われている」とインターネット上などで指摘を受けたため、外部の専門家を交え調査を始めたことを明らかにした。理研は「研究 成果については揺るぎない」と説明している。
  5. Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Haruko Obokata,Teruhiko Wakayama,Yoshiki Sasai,Koji Kojima,Martin P. Vacanti,Hitoshi Niwa,Masayuki Yamato & Charles A. Vacanti. Nature 505,641–647 (30 January 2014) doi:10.1038/nature12968
  6. Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency. Haruko Obokata,Yoshiki Sasai,Hitoshi Niwa,Mitsutaka Kadota,Munazah Andrabi,Nozomu Takata,Mikiko Tokoro,Yukari Terashita,Shigenobu Yonemura,Charles A. Vacanti & Teruhiko Wakayama. Nature 505,676–680(30 January 2014) doi:10.1038/nature12969
  7. The Potential of Stem Cells in Adult Tissues Representative of the Three Germ Layers. Haruko Obokata, Koji Kojima, Karen Westerman, Masayuki Yamato, Teruo Okano, Satoshi Tsuneda, and Charles A. Vacanti. Tissue Engineering Part A. March 2011, 17(5-6): 607-615. doi:10.1089/ten.tea.2010.0385.

 

ハーバード大学ヴァカンティ教授らがヒトSTAP細胞の作製に成功か!?

⇒ 小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義

先日マウスを用いてSTAP細胞の作製を発表した小保方晴子博士の留学先であり共同研究者であるハーバード大学ヴァカンティ教授らのグループはヒトの細胞を用いてSTAP細胞を作製することに成功した可能性があるということでSTAP細胞の写真を公開しました。
PossibleHumanSTAPcells
(Image from newscientist.com: Charles Vacanti and Koji Kojima, Harvard Medical School)

厚生労働省が研究不正もみ消しを手助け!?

多額の国家予算が投じられるプロジェクトで不当なデータ改ざんが見つかったので厚生労働省にそれを告発するメールを送ったのに、厚生労働省は調査を始めるどころか、告発された側にそのメールを転送し、不正を隠蔽工作する機会を与えるという大失態を演じていました。

田村憲久厚労相による釈明は「告発として受け止めると厚労省も調査に入らなければいけなくなる」ので内部告発として受理せず、不正が疑われている代表研究者の所属研究機関である東京大学に調査を依頼しました。「第三者的な公平な調査を強く依頼している。中立的な調査でなければ、研究機関として信頼性を失う話。強い思いで調査していただけると思う」と苦しい言い訳をしていますが、研究チーム責任者が所属する機関に公正な調査を期待するのは無理というものです。実際のところ、東京大学は2月3日現在の時点で調査委員会を設立してすらいないようです。

告発者である杉下守弘・元東大教授は「J―ADNI関係者から完全に独立した第三者」による調査と結果の全面公開を要請しており、「多額の国家予算が投じられるプロジェクトということで不当なデータ改ざんの問題に目をつぶれば、J―ADNIの科学的価値は失われ、アルツ ハイマー病患者をはじめ国民に多大な損失をもたらす」と指摘しています。

参考記事

  1. 発表が嘘だらけ「J-ADNI」臨床データ改竄問題が泥沼化 (huffingtonpost.jp 2014年01月17日 10時26分):「改ざんではない。この分野の大規模共同研究は日本では初めてのため、データ処理技術など、研究班に未熟な点があった」と、朝田隆・筑波大教授は説明したのだという。…「この分野の大規模共同研究は日本では初めて」なので未熟というが、これまでに同一分野の多施設臨床研究としてJ-COSMIC、SEAD-Jという国内多施設臨床研究があり、それぞれに成果を挙げている。
  2. 告発の元教授、国に調査要請 アルツハイマー研究改ざん(アピタル 2014年2月 4日):アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」の主要メンバーで研究データの改ざんを内部告発していた杉下守弘・元東大教授が3日、 実名で記者会見した。データを扱ってきた事務局員が疑惑報道後に証拠資料を持ち出したと指摘。全資料を第三者の管理下にただちに移し、国が主体的に調査す るよう求める要請書を研究に予算を出す厚生労働、経済産業、文部科学の3省に送った。
    要請書などによると、杉下氏はデータチェックの責任者の一人。作業中に「データ改ざんというべき極めて不適切な問題」を発見し、昨年11月18日に厚労省に告発メールを送った。ところが厚労省は無断で告発対象の研究チームの責任者に転送し、調査しなかった。
    さらに朝日新聞が1月10日に改ざん疑惑を報道した後、製薬会社から出向している事務局員が研究責任者の指示で杉下氏が保管していた証拠資料を持ち出した と指摘。この職員は不適切なデータ処理に関与した疑いがあり、疑惑がもみ消される恐れがあると判断して実名での告発に踏み切ったという。
  3. 内部告発メール転送、厚労相が謝罪 データ改ざん問題(朝日新聞デジタル 2014年1月21日22時50分):田村憲久厚労相は21日の記者会見で、「許可を得ずにご本人の名前をだして確認行動を行った。大変申し訳ない対応だった。おわび申し上げる」と述べた。告発した本人には20日に職員が謝罪したという。…告発メールは昨年11月18日に厚労省に届いた。同省の担当専門官は翌日、実名入りの告発メールを無断で転送。告発者の名が業界内で知られてしまい、告発 者は「私が悪者で研究の信頼性を損なわせたという評価が研究者の間に広まった。名誉毀損(きそん)だ。厚労省は疑惑をもみ消そうとしているのでは」と反発 していた。

信じられないくらい簡単に体細胞を万能細胞に転換させる方法を日本人女性研究者(30)が発見!

⇒ 2014年4月1日STAP細胞NATURE論文調査委員会最終報告で小保方氏のデータ捏造・改竄の研究不正を認定

⇒ 小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義

理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の研究ユニットリーダー小保方晴子博士(30)らは、非常に簡便な方法で体細胞を万能細胞に転換させることができることを発見し、それを報告する2つの論文が英国科学誌ネイチャーの今週号に掲載されました。

今回小保方晴子博士らが発表した方法は、「分離した体細胞を弱酸性の溶液に30分間浸すだけ」で多能性を持つ細胞が作れてしまったという画期的ものであり、iPS細胞作製では必須の遺伝子操作が全く不要になります。遺伝子操作により細胞に導入された外来性の遺伝子が将来予測のつかないような不都合な働きをしてしまうかもしれない、という不安を抱えなく済むのです。今回発表された方法があまりにも単純なため、これはアーチファクト(人工的な操作に由来する見かけ上の産物)ではないかと周りの研究者やネイチャーの査読者らに思われたようです。アーチファクトなどではなく、確かに体細胞が全能性を持つ細胞に変化したのだということみなに納得させるためには確固たる実験的証拠を積み上げる必要があり、論文掲載に至る道のりは非常に険しいものでした。

今回の発見は生物学的に大きな意義があるだけでなく、再生医療における応用面でも画期的な新規技術です。再生医療のための多能性細胞作製という目的を達成するための手段として現在主流なのが山中伸弥教授が開発したiPS細胞作製技術ですが、今後は小保方博士らが発見したこの簡便な「STAP細胞」作製法がそれに取って代わる可能性が大いにあります。生物学上の常識を覆しただけでなく、日本だけでなく世界の再生医療の研究のあり方を一変させてしまうほどのインパクトを持った大きな研究成果です。

iPS細胞を開発した山中伸弥京都大教授の話 「重要な研究成果が日本人研究者 によって発信されたことを誇りに思う。今後、人間の細胞からも同様の手法で多能性幹細胞が作られることを期待している。マウスの血液細胞に強いストレスを 加えると多能性が誘導されることを示した興味深い研究であり、細胞の初期化を理解する上で重要な成果だ。医学応用の観点からは、iPS細胞のような細胞の 新しい樹立法ともとらえることができ、人間でも同様の方法で体細胞において多能性が誘導された場合、従来の方法とさまざまな観点から比較検討する必要があ る」(http://sankei.jp.msn.com/science/news/140129/scn14012921170001-n1.htm

 岡野栄之慶応義塾大学教授の話「クローン技術やiPS細胞に続く、細胞を初期化して多能性を持たせる技術として発展する可能性がある。遺伝子を導入せずに、血液の細胞を初期化した点が興味深い。」(http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2901R_Z20C14A1EA2000/

英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのクリス・メイソン教授の話「また日本人が万能細胞の作製法を書き換えた。山中伸弥氏は4つの遺伝子で人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ったが、STAP細胞は一時的に酸性溶液に浸して培養するだけ。どれだけ簡単になるんだ!」(http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3000P_Q4A130C1CR0000/)

小保方晴子博士の言葉(http://sankei.jp.msn.com/science/news/140129/scn14012921250003-n1.htm

  • 「誰も信じてくれなかったことが、何よりも大変だった。」
  • 「周りの研究者からは『きっと間違いだ』と言われ、当時の実験データだけでは証明することができず、くやしくて、泣き明かした夜は数知れない。」
  • 「お風呂のときもデートでも四六時中、研究のことを考えていた。」
  • 「(昨年春、ネイチャーに投稿した際)過去何百年の細胞生物学の歴史を愚弄していると酷評され、掲載を却下されました。」

  • 「(実験室で白衣でなく祖母からもらったかっぽう着を着るのは)おばあちゃんに応援されているような気がするから。」

参考

  1. Obokata et al., Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 505, 641–647 (30 January 2014) doi:10.1038/nature12968
  2. Obokata et al. Bidirectional developmental potential in reprogrammed cells with acquired pluripotency. Nature 505,676–680 (30 January 2014) doi:10.1038/nature12969
  3. Acid bath offers easy path to stem cells (David Cyranoski博士による解説記事 Nature誌 29 January 2014)
  4. 細胞外からの強いストレスが多能性幹細胞を生み出す(独立行政法人 理化学研究所 神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター 2014年1月30日)
  5. 小保方晴子研究室(理化学研究所神戸研究所 発生・再生科学総合研究センター)
  6. 刺激だけで万能細胞―日本人研究者ら、マウスで簡単に作製 (ウォールストリートジャーナル 2014年 1月 30日 19:02 JST)
  7. 小保方晴子 ハーバード留学体験記 (実践的化学知NEWS ここがよかった!GCOE):私は博士課程の1年の夏から2年の冬までの間、アメリカのボストンにあるハーバード大学医学部に留学させていただきました。たった1年と数ヶ月の留学でしたが、人生何年分にもあたる刺激的な出会いの連続でした。
  8. 小保方晴子さんをリーダーとする研究チーム、STAP細胞開発に成功 2011年先進理工学研究科博士後期課程修了(早稲田大学ニュース&プレスリリース 2014/01/30):小保方さんは理工学部のAO入試の1期生として入学後、早稲田大学理工学研究科応用化学専攻に進学。学部在学時にはラクロス部に所属し文武両道を実践。博士課程では早稲田大学先進理工学研究科生命医科学専攻での研究を東京女子医科大学との医工融合研究教育拠点である先端生命医科学センター(TWIns)にて継続。博士課程1・2年次には早稲田大学グローバルCOEプログラム「実践的化学知」教育研究拠点の支援を得て、ハーバード大学へ留学。そこでの研究成果が今回の発表の礎となりました。
  9. 小保方晴子さんについて、当時の指導教員常田聡教授がご質問にお答えしました(USTREAM動画へのリンク)
  10. 早稲田大学常田聡研究室: 常田研究室は1996年4月に理工学部応用化学科内に誕生しました。その後,2007年4月の理工学部再編に伴い,理工学と医学分野との融合を図るミッ ションを持って,先進理工学部生命医科学科/大学院先進理工学研究科生命医科学専攻に移ることになり,新しく生まれ変わりました。また,2008年4月に は,東京女子医科大学の隣接地に新設された先端生命医科学センター(通称TWIns)に研究場所を移しました。

森口尚史氏の人件費の返還を国が求める

経済産業省は、不正行為があったと認定された森口尚史氏の研究に関し、東京大学に対して研究費の返還を請求する措置を講じることを決めました。この研究費は森口尚史氏の人件費として使われたものです。森口氏の不正が認定されたのは、平成22年度地域イノベーション創出研究開発事業の「ヒトiPS 細胞冷却保存法に関するテクノロジーア セスメント研究」。

また日本学術振興会も、不正行為が行われた研究プロジェクト「医工連携による磁場下過冷却(細胞)臓器凍結保存技術開発と臨床応用を目指した国際共同研究」に関し、森口尚史特任研究員の雇用に係る人件費全額について返還させる措置を講ずると発表しています。

参考

  1. 研究活動の不正行為を行った者に対して措置を行います (PDF) 経済産業省 平成25年12月27日(金)
  2. 最先端・次世代研究開発支援プログラムに係る研究活動の不正行為について JSPS日本学術振興会
  3. JSPS 医工連携による磁場下過冷却(細胞)臓器凍結保存技術開発と臨床応用を目指した国際共同研究:配分費総額  1億4487万7179円
  4. 森口氏の研究不正、東大などに1230万円返還請求(朝 日新聞2013年12月28日00時09分):東京大の森口尚史・元特任研究員がiPS細胞(人工多能性幹細胞)研究で虚偽の発表をした問題で、研究費を 支給した日本学術振興会と経済産業省は27日、森口氏に対して研究費の申請資格を来年4月から5年間停止し、森口氏の人件費計1229万2066円の返還 を東大などに求める処分を発表した。
  5. 森口尚史氏の人件費返還、学術振興会も要求(2013年12月28日12時19分  読売新聞) 元東京大病院特任研究員の森口尚史(ひさし)氏(49)がiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心筋細胞を患者に移植したと虚偽発表した問題で、文部科学省所管の日本学術振興会は27日、東大に提供した研究費から森口氏の人件費として支払われた約997万円について、東大に返還を求めたと発表した。
  6. 森口氏の人件費、東大に230万円返還要請(2013年12月27日23時16分  読売新聞):元東京大病院特任研究員の森口尚史(ひさし)氏(49)がiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心筋細胞を患者に移植したと虚偽発表した問題で、経済産業省は27日、森口氏が東大在籍中、東大に提供した研究費約600万円のうち、森口氏の人件費約230万円の返還を、東大に求めたと発表した。

 

今こそ示そう科学者の良心2008

分子生物学会はここ数年間にわたって研究不正問題に取り組んできました。2008年の年回において若手教育シンポジウム「今こそ示そう科学者の良心2008 -みんなで考える科学的不正問題」の司会進行役を務めていたのが東京大学加藤茂明教授(2012年辞職)でした。

この時点ではまだ加藤茂明研究室の不正は世に知られておらず、当時大きな問題になっていたのは、大阪大学の杉野明雄教授による論文捏造事件でした。2008年のこのシンポジウムの内容の詳細は公表されています(PDFリンク)。データ捏造に関して深く議論されており、論文不正問題を考える上での貴重な資料になります。

研究費を私的に流用すればもちろん犯罪ですが、データ捏造論文をバレた後で撤回し公的な研究費を無駄にしても、研究者が賠償責任を問われたとか法で裁かれたという話は聞きません。せいぜい辞職するなり解雇されるなりしてお終いのようです。科学者から見た場合、科学研究における不正行為は一体どれくらい悪いことなのでしょうか?

やっぱり科学における犯罪ですよね、不正は。(柳田)13ページ

真理の探究という崇高な目的のために生きているはずの科学者がなぜデータ捏造という考えられないような不正行為に手を染めてしまうのか?データ捏造が発生するメカニズムをまず理解する必要があります。これに関しては、このシンポジウムで夏目徹氏がまるで捏造の瞬間を実況中継しているかのように、非常に臨場感溢れる解説をしています。

捏造というのは4つのパターンに分類されます。基本的には、まずボトムアップ型というのが非常に基本的ですね。ボトムアップ出来心。あなたが実験をやったとします。「ここに、バンドが出ればなぁ…」、「この濃淡がひっくり返ってくれたらなぁ…」なんて思いながらですね、ついデータをいじってまった。これは全く遊びでやったんですけども、やってるうちに何か妙に熱中してくるんですね。「この濃淡、意外に自然じゃないか」とかですね。悪いことにですね、それをボスに見つかっちゃうんですよ。「お、A君、やったな、とってもいいじゃないか」、「いや、先生これは…」、「よくやったな。君はいつかやってくれると思ってたんだ」、なーんてやってるうちにデータが一人歩きしてですね、言い出せなくなってしまう。で、それがパブリッシュされる。それがたまたま某プレミアムジャーナルで、記者会見までしてしまって・・・。最悪のパターン。これはボトムアップ出来心型という、一番レベルの低い捏造です。

レベル2というのはですね、ボトムアップ確信犯型というやつですね。レビューアーから「確かめの実験をしなさい。ここの再現性をもう少し見なさい」、あるいは「このデータは数値が少し差が少ない。もう一回確認しなさい」。これはもう何回やったって同じだと。でもしょうがないからやろう。やろうと思ったんですが、それをやるにはですね、抗体が要るんですが、「あっ、抗体が切れてる。ストックが尽きた。しょうがない、ハイブリドーマを起こさなきゃいけないな」。そしたらですね、もう正月休みだったんですね。正月返上で、レビューアーが、「リバイズしなさい」。誰もいない正月の研究室で、ストックを開けてみたらですね、液体窒素が切れてるんですよ。(笑)ハイブリドーマ全滅。どうしようと途方に暮れてる時に除夜の鐘がボ~ンなんて鳴ってね。僕がやったんじゃないですよ。そこで、ですよ。ところが、それで仕方ないと途方に暮れてエクセルに向かってですね、カシャカシャ…。そこに立ち話をしにボスが来たっていうのも知らないのに、やってしまった。というのもあるんですね。これがボトムアップ確信犯型です。どうせバレない。これは非常にたち悪いです。最近ハイテク化したので、こういうのをほぼ生業としているプロの方もいらっしゃって、皆さん「えっ?!」と思うような、ものすごい手口があるんです。それはなかなか見破られません。

それから、次のレベル3は、もっとたち悪いですね。ボトムアップがあるということは、当然トップダウンもあるんですね。トップダウン恫喝型というのがありますけれども。これはですね、ボスが非常に思い込みの激しい情熱家だったりする場合が多いんですけども、このストーリーの実験でこういうデータが出るまで絶対許さない。データを出さない限りは家にも帰っちゃだめ。全くコントロールと差のないデータを先生に出しても、「心の目で見てみろ」とすごいことを言われて… 泣く泣く捏造に近いことを、なかば強制される。恫喝される。これをトップダウン恫喝型って言うんですね。で、これはレベル3です。

レベル4はどういうやつだと思いますか? トップダウン洗脳型というやつです。これはですね、これは私、見て本当に驚いたんですけども「捏造は悪ではない」。こんなのやったってやんなくても変わらないようなものはやる必要はない。それによってコストと人件費を大幅に節約できるのだと。「だからバレそうもない捏造は大いにやりなさい」というようなことを激励するような人を、私はたった1人ですが、見たことがあります。

夏目氏はボトムアップとトップダウンという考え方で4つに分けていますが、(1)あと一歩でアクセプト(論文の受理)されそうな論文を通すために絶対に必要なデータを「成り行きで」捏造する不正行為と、(2)トップジャーナルに通るような良いストーリーを作り上げるために研究の早い段階で、ストーリーに沿う内容のメインデータを作り上げてしまう「確信犯的」不正行為、の2種類に分けることも出来そうです。

前者の場合は、結論が変わるほどの重要なデータではないために、見過ごされてしまいかねない研究不正。データの不備を指摘された場合には、「手違いでした」と後から正しいデータを差し出して逃げ切ろうとするパターンです。不正の件数としてはこちらの方が圧倒的に多いでしょう。バレても誤魔化して事なきを得ることができる可能性が高いだけにたちの悪いものです。論文を掲載した雑誌社も穏便に済ませたいでしょうから、「正しいデータ」を受け取って一件落着になりそうです。

後者は、論文が出版されたあと多くの研究者が追試して結果が食い違ったり再現されなかったりして問題になることが多い、つまり結論が間違ってしまうようなデータ捏造。もちろん、捏造した内容がたまたま真実と同じなら気付かれないままになる可能性もあります。

加藤研究室の場合は、関与した研究者(論文著者)の数や不正論文の数が多く、捏造されたものもメインのデータであったり、対照実験のデータであったりするため両者の複合型といえるでしょう。

非常に興味深いことに、このシンポジウムの記録には加藤研究室に過去在籍していた金氏の発言があります。

以前、私は加藤茂明先生のところの研究室で研究をしていたんですけれども、その時は、自分たち世代までは結構そういうことが問題になって、いい研究を正しいルールでやりたいと、そういうのがカッコいいという考え方がありまして、例えば再現がよくとれないんだけども、「何回、n層何回あったらこの実験はみんなに公表してもいいと思う?」とか友達に聞いたりすると、誰かが「これは3回なんだよ」とか言ったり、「3回じゃ足りないから、3回じゃいけないから」とか「5回以上しないと自分は認めない」とか、そういうことがあるので、やはりいい研究をやるというのは、正しいルールでやったほうがカッコいいという。「魂を捨てたら、もう研究者の生命は終わりよ」という話もしますが、そういうだめな魂は絶対つくってはいけないと思わないと、長い間、研究は楽しくやっていけないと思います。

「いい研究を正しいルールでやることがカッコいい」という風潮が当時の加藤研にあったようです。研究をまるでゲームか何かのように捉えているようで、とてもサイエンスをやる態度とは思えません。この発言内容からすると金氏がデータ捏造に積極的に関与したとは考えにくいのですが、不思議なことに加藤研から出た不正論文の中でも際立って捏造箇所が多いNature論文の筆頭著者です。この論文は、

2008年8月18日投稿
2009年8月24日受理
2011年12月1日訂正
2012年6月14日撤回

という経過をたどりました。東京大学の中間報告では誰がどう不正に関与したかに関しては全く何の情報もありませんが、ヤフーニュースによると

多くの場合、論文の筆頭著者と、不正を働いた研究者は別人だった。不正の大部分は、当時、助手を務めた一部の研究者によって行われていた。 (http://bylines.news.yahoo.co.jp/kamimasahiro/20130904-00027838/)

という驚くべき内容が報道されています。真相の究明に関しては東京大学の最終報告が待たれます。

研究不正防止対策に関してですが、このシンポジウムではいくつかの提言がなされています。

データの管理というのは非常に重要です。皆さん個人のノートを持っているかもしれませんけれども、それはinstituteに所属するものであって、決して個人のものではないということが、ほとんどの研究所、大学で規定されていると思います。

一番多いのがですね「電子データだったのでなくなってしまった」という言い訳が多いんですけれども、そういうのを許さないためにも、きちんとしたデータ管理を心がけるというのを少し呼びかけておきたいと思います。(16~17ページ)

不正の疑惑が生じた場合、実験ノートが存在しなくて実験データだけがある場合には不正とみなすというくらいの強い態度で臨めば不正は減りそうです。加藤茂明教授は「性善説」に基づいた研究室運営を行っていたことがアダになったという発言をされていますが、部下にデータ捏造をさせないためにはPIはどうすれば良いのでしょうか?

いろいろな実験は学生にやらせているんですけど、その時に伝えているのは、どっちでもいいから、本当の答えが知りたい。白でも黒でも、赤でも青でもどっちでもいいから、ともかくきちっとした実験をやって、コントロールをちゃんとおいて、本当は赤なのか青なのかを示してくれて、それが、本当は赤が欲しかったんだけど青になるとか、結果がどうであっても全然ハッピーだということを伝えて。青だったら論文書きやすいとか、いろんなことがあるんですけど、でも逆に赤のほうがいい論文になることも往々にしてあるわけですから、ともかく真実を教えてよとしか言いようがなくて。(山中)(17~18ページ)

お互いに生データレベルで、常にみんなが何をやっているかというのを知り合える状態というのをつくり、かつ、その中でやっぱり厳しい、厳しいというか、フィードバックチェック機構が働く、というのを実現していきたい。(後藤)(18ページ)

僕の今の工夫は1つはオープンにするということです。1対1のミーティングもやりますが、必ず全員の前で自分の仕事を月にいっぺんは発表する。で、誰が何をしてるかをみんなが知っているというオープンにすることが、やっていることの1つです。もう1つは、もう当たり前の結果だったらいいんですけれども、iPSができたという結果、ジャームラインに入ったという結果、プラスミドでできたという結果、こういうときは、必ず違う人に、やや違う手法でやってもらっています。(山中)(23~24ページ)

つまりやる人はいるんです、必ず。犯罪と同じですよ。犯罪ゼロっていうことはない。犯罪が起きそうなときに、それを抑止するという発想のほうが、学問とい うのは制度的なものですので、やっぱり抑止するということは、我々の倫理観、高いものを持っていて、問題が出たときには、その行為自身を許さない。そっち のほうが教育のために、不正行為をやらないようにという教育よりも効果出るんじゃないかなあと。(柳田)13ページ

研究不正が発覚したときに誰がどう責任を負うべきなのかは、状況にもよるでしょうし非常に難しい問題です。

自分が関知していなければ、非常に恥ずかしいことですが、やめる必要はまったくないのであって…それはしょうがないですよ。罪じゃないですよ。それは仕方がない。だけど自分の能力がなかったことは認める必要があります。(柳田)(23ページ)

学生さんがもし自発的に変なことをやったとしても、それを見抜けなかったコレスポンディングオーサーが悪いわけですし。まず、そのPIでコレスポンディングオーサーになるんだったら、もうこの論文の責任は全部僕だと。だって、その論文でいい面は全部コレスポンディングオーサーが取っちゃうわけですから、悪いことが起こっても当然同じ、全部受け止めるべきであって。それは、僕は当然と思ってます。

辞める以外の責任の取り方というのは、いかにそれをちゃんと説明責任、世間に知らせて、恥ずかしいですけど、その場に留まってやるというのも大変つらい目に遭うと思うので。(山中)(23ページ)

 

 

加藤茂明 元東大教授がフライデー誌に真情を吐露

2014年8月1日の記事も合わせて御覧ください ⇒ 東大分生研加藤茂明研究室の論文不正問題で加藤(元)教授が実験ノート捏造を指示:東京大学科学研究行動規範委員会が結論

 

一体どうすればこんな大規模な研究不正が起こり得るのか?みなが首をかしげる事件ですが、加藤茂明東京大学・分子細胞生物学研究所元教授が論文捏造の真実を「フライデー」9月6日号で語っていました。

「私の管理が甘かったので、研究室の一部のメンバーが暴走してしまった。言い 訳がましいかもしれませんが、私はずっと性善説で生きてきました。部下の一部が論文データを改ざん、ねつ造しているなんて思いも寄らず、チェック機能が まったく働いていませんでした。私自身がアナログ人間なので、画像処理でデータが操作できるなんて想像もできなかった。すべての責任は私にあります。」

「けっして研究室ぐるみで不正をしていたのではない。真面目に研究をしているメンバーが大半だったんです。」

研究室には50人ほどのメンバーがいたが、不正に手を染めていたのはそのうちの一つのグループであり、13人ほどのメンバーだという。

参考

加藤茂明研究室から出された51報の「不適切」な論文リスト

2014年8月1日の記事も合わせて御覧ください ⇒ 東大分生研加藤茂明研究室の論文不正問題で加藤(元)教授が実験ノート捏造を指示:東京大学科学研究行動規範委員会が結論

 

科学研究行動規範委員会の調査において、「科学的な適切性を欠いた画像が掲載されていた」とした51報の論文(http://www.u-tokyo.ac.jp/public/pdf/20131226_04-2_appendix1_jp.pdf)。筆頭著者が異なる捏造論文がこれほど大量に出たということは、たまたま血迷った人がいたということではなく、研究室内での組織的な論文捏造と思われます。

  1. Genes Dev. 2010 Jan 15;24(2):159-70. doi: 10.1101/gad.1857410. Epub 2009 Dec 29. A histone chaperone, DEK, transcriptionally coactivates a nuclear receptor. Sawatsubashi S, Murata T, Lim J, Fujiki R, Ito S, Suzuki E, Tanabe M, Zhao Y, Kimura S, Fujiyama S, Ueda T, Umetsu D, Ito T, Takeyama K, Kato S.
  2. J Biol Chem. 2009 Nov 20;284(47):32472-82. doi: 10.1074/jbc.M109.009738. Epub 2009 Sep 23.Phosphorylation of Williams syndrome transcription factor by MAPK induces a switching between two distinct chromatin remodeling complexes.
    Oya H, Yokoyama A, Yamaoka I, Fujiki R, Yonezawa M, Youn MY, Takada I, Kato S, Kitagawa H.
  3. Nature. 2009 Oct 15;461(7266):1007-12. doi: 10.1038/nature08456. DNA demethylation in hormone-induced transcriptional derepression.
    Kim MS, Kondo T, Takada I, Youn MY, Yamamoto Y, Takahashi S, Matsumoto T, Fujiyama S, Shirode Y, Yamaoka I, Kitagawa H, Takeyama K, Shibuya H, Ohtake F, Kato S.
  4. Mol Cell Biol. 2009 Jan;29(1):83-92. doi: 10.1128/MCB.00884-08. Epub 2008 Nov 3. Coactivation of estrogen receptor beta by gonadotropin-induced cofactor GIOT-4. Kouzu-Fujita M, Mezaki Y, Sawatsubashi S, Matsumoto T, Yamaoka I, Yano T, Taketani Y, Kitagawa H, Kato S.
  5. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Mar 10;106(10):3818-22. doi: 10.1073/pnas.0809819106. Epub 2009 Feb 23. Aberrant E2F activation by polyglutamine expansion of androgen receptor in SBMA neurotoxicity. Suzuki E, Zhao Y, Ito S, Sawatsubashi S, Murata T, Furutani T, Shirode Y, Yamagata K, Tanabe M, Kimura S, Ueda T, Fujiyama S, Lim J, Matsukawa H, Kouzmenko AP, Aigaki T, Tabata T, Takeyama K, Kato S.
  6. Genes Cells. 2007 Nov;12(11):1281-7. A reduction state potentiates the glucocorticoid response through receptor protein stabilization. Kitagawa H, Yamaoka I, Akimoto C, Kase I, Mezaki Y, Shimizu T, Kato S.
  7. Nat Cell Biol. 2007 Nov;9(11):1273-85. Epub 2007 Oct 21. A histone lysine methyltransferase activated by non-canonical Wnt signalling suppresses PPAR-gamma transactivation. Takada I, Mihara M, Suzawa M, Ohtake F, Kobayashi S, Igarashi M, Youn MY, Takeyama K, Nakamura T, Mezaki Y, Takezawa S, Yogiashi Y, Kitagawa H, Yamada G, Takada S, Minami Y, Shibuya H, Matsumoto K, Kato S.
  8. Mol Cell Biol. 2007 Jul;27(13):4807-14. Epub 2007 Apr 30. The pituitary function of androgen receptor constitutes a glucocorticoid production circuit. Miyamoto J, Matsumoto T, Shiina H, Inoue K, Takada I, Ito S, Itoh J, Minematsu T, Sato T, Yanase T, Nawata H, Osamura YR, Kato S.
  9. Mol Cell Biol. 2007 Nov;27(21):7486-96. Epub 2007 Aug 20. A regulatory circuit mediating convergence between Nurr1 transcriptional regulation and Wnt signaling. Kitagawa H, Ray WJ, Glantschnig H, Nantermet PV, Yu Y, Leu CT, Harada S, Kato S, Freedman LP.
  10. J Biol Chem. 2006 Jan 6;281(1):20-6. Epub 2005 Oct 31. An hGCN5/TRRAP histone acetyltransferase complex co-activates BRCA1 transactivation function through histone modification. Oishi H, Kitagawa H, Wada O, Takezawa S, Tora L, Kouzu-Fujita M, Takada I, Yano T, Yanagisawa J, Kato S.
  11. Mol Cell Biol. 2007 Nov;27(22):7947-54. Epub 2007 Sep 17. Vitamin K induces osteoblast differentiation through pregnane X receptor-mediated transcriptional control of the Msx2 gene. Igarashi M, Yogiashi Y, Mihara M, Takada I, Kitagawa H, Kato S.
  12. J Pharmacol Exp Ther. 2005 Nov;315(2):545-52. Epub 2005 Aug 3. Human expanded polyglutamine androgen receptor mutants in neurodegeneration as a novel ligand target. Furutani T, Takeyama K, Tanabe M, Koutoku H, Ito S, Taniguchi N, Suzuki E, Kudoh M, Shibasaki M, Shikama H, Kato S.
  13. J Pharmacol Sci. 2005 Feb;97(2):184-9. Epub 2005 Feb 11. Nuclear receptors as targets for drug development: crosstalk between peroxisome proliferator-activated receptor gamma and cytokines in bone marrow-derived mesenchymal stem cells. Takada I, Suzawa M, Kato S.
  14. Genes Cells. 2004 Oct;9(10):983-92. In vivo potentiation of human oestrogen receptor alpha by Cdk7-mediated phosphorylation. Ito S, Takeyama K, Yamamoto A, Sawatsubashi S, Shirode Y, Kouzmenko A, Tabata T, Kato S.
  15. EMBO J. 2004 Apr 7;23(7):1598-608. Transrepression by a liganded nuclear receptor via a bHLH activator through co-regulator switching. Murayama A, Kim MS, Yanagisawa J, Takeyama K, Kato S.
  16. Cell. 2003 Jun 27;113(7):905-17. The chromatin-remodeling complex WINAC targets a nuclear receptor to promoters and is impaired in Williams syndrome. Kitagawa H, Fujiki R, Yoshimura K, Mezaki Y, Uematsu Y, Matsui D, Ogawa S, Unno K, Okubo M, Tokita A, Nakagawa T, Ito T, Ishimi Y, Nagasawa H, Matsumoto T, Yanagisawa J, Kato S.
  17. Nature. 2003 May 29;423(6939):545-50. Modulation of oestrogen receptor signalling by association with the activated dioxin receptor. Ohtake F, Takeyama K, Matsumoto T, Kitagawa H, Yamamoto Y, Nohara K, Tohyama C, Krust A, Mimura J, Chambon P, Yanagisawa J, Fujii-Kuriyama Y, Kato S.
  18. Nat Cell Biol. 2003 Mar;5(3):224-30. Cytokines suppress adipogenesis and PPAR-gamma function through the TAK1/TAB1/NIK cascade. Suzawa M, Takada I, Yanagisawa J, Ohtake F, Ogawa S, Yamauchi T, Kadowaki T, Takeuchi Y, Shibuya H, Gotoh Y, Matsumoto K, Kato S.
  19. Mol Cell Biol. 2002 Jun;22(11):3698-706. Ligand-selective potentiation of rat mineralocorticoid receptor activation function 1 by a CBP-containing histone acetyltransferase complex. Kitagawa H, Yanagisawa J, Fuse H, Ogawa S, Yogiashi Y, Okuno A, Nagasawa H, Nakajima T, Matsumoto T, Kato S.
  20. Nucleic Acids Res. 2002 Mar 15;30(6):1387-93. Transcriptional regulation of the mouse steroid 5alpha-reductase type II gene by progesterone in brain. Matsui D, Sakari M, Sato T, Murayama A, Takada I, Kim M, Takeyama K, Kato S.
  21. Neuron. 2002 Aug 29;35(5):855-64. Androgen-dependent neurodegeneration by polyglutamine-expanded human androgen receptor in Drosophila. Takeyama K, Ito S, Yamamoto A, Tanimoto H, Furutani T, Kanuka H, Miura M, Tabata T, Kato S.
  22. EMBO J. 2001 Mar 15;20(6):1341-52. A subfamily of RNA-binding DEAD-box proteins acts as an estrogen receptor alpha coactivator through the N-terminal activation domain (AF-1) with an RNA coactivator, SRA. Watanabe M, Yanagisawa J, Kitagawa H, Takeyama K, Ogawa S, Arao Y, Suzawa M, Kobayashi Y, Yano T, Yoshikawa H, Masuhiro Y, Kato S.
  23. J Biol Chem. 1999 May 7;274(19):12971-4. Positive and negative modulation of vitamin D receptor function by transforming growth factor-beta signaling through smad proteins. Yanagi Y, Suzawa M, Kawabata M, Miyazono K, Yanagisawa J, Kato S.
  24. Biochem Biophys Res Commun. 1996 May 15;222(2):395-400. Retinoic acid differentially up-regulates the gene expression of retinoic acid receptor alpha and gamma isoforms in embryo and adult rats. Takeyama K, Kojima R, Ohashi R, Sato T, Mano H, Masushige S, Kato S.
  25. Biochem Biophys Res Commun. 2004 Jul 16;320(1):268-72. Ecdysone receptor-dependent gene regulation mediates histone poly(ADP-ribosyl)ation. Sawatsubashi S, Maki A, Ito S, Shirode Y, Suzuki E, Zhao Y, Yamagata K, Kouzmenko A, Takeyama K, Kato S.
  26. Mol Cell Biol. 2009 Feb;29(4):1017-34. doi: 10.1128/MCB.02123-07. Epub 2008 Dec 15. Corepressive action of CBP on androgen receptor transactivation in pericentric heterochromatin in a Drosophila experimental model system. Zhao Y, Takeyama K, Sawatsubashi S, Ito S, Suzuki E, Yamagata K, Tanabe M, Kimura S, Fujiyama S, Ueda T, Murata T, Matsukawa H, Shirode Y, Kouzmenko AP, Li F, Tabata T, Kato S.
  27. EMBO J. 2005 Nov 16;24(22):3881-94. Epub 2005 Oct 27. Ligand-induced transrepression by VDR through association of WSTF with acetylated histones. Fujiki R, Kim MS, Sasaki Y, Yoshimura K, Kitagawa H, Kato S.
  28. Mol Cell Endocrinol. 2007 Feb;265-266:168-73. Epub 2007 Jan 23. 1alpha,25(OH)2D3-induced DNA methylation suppresses the human CYP27B1 gene. Kim MS, Fujiki R, Kitagawa H, Kato S.
  29. Genes Cells. 2008 Dec;13(12):1279-88. doi: 10.1111/j.1365-2443.2008.01244.x. Epub 2008 Nov 20. Activation of facultatively silenced Drosophila loci associates with increased acetylation of histone H2AvD. Tanabe M, Kouzmenko AP, Ito S, Sawatsubashi S, Suzuki E, Fujiyama S, Yamagata K, Zhao Y, Kimura S, Ueda T, Murata T, Matsukawa H, Takeyama K, Kato S.
  30. Mol Cell. 2002 Mar;9(3):553-62. Nuclear receptor function requires a TFTC-type histone acetyl transferase complex. Yanagisawa J, Kitagawa H, Yanagida M, Wada O, Ogawa S, Nakagomi M, Oishi H, Yamamoto Y, Nagasawa H, McMahon SB, Cole MD, Tora L, Takahashi N, Kato S.
  31. Endocrinology. 1999 May;140(5):2224-31. Positive and negative regulations of the renal 25-hydroxyvitamin D3 1alpha-hydroxylase gene by parathyroid hormone, calcitonin, and 1alpha,25(OH)2D3 in intact animals. Murayama A, Takeyama K, Kitanaka S, Kodera Y, Kawaguchi Y, Hosoya T, Kato S.
  32. J Biol Chem. 2001 Nov 16;276(46):42684-91. Epub 2001 Sep 11. The tamoxifen-responsive estrogen receptor alpha mutant D351Y shows reduced tamoxifen-dependent interaction with corepressor complexes. Yamamoto Y, Wada O, Suzawa M, Yogiashi Y, Yano T, Kato S, Yanagisawa J.
  33. Biochem Biophys Res Commun. 2002 Jun 21;294(4):779-84. Stabilization of androgen receptor protein is induced by agonist, not by antagonists. Furutani T, Watanabe T, Tanimoto K, Hashimoto T, Koutoku H, Kudoh M, Shimizu Y, Kato S, Shikama H.
  34. Proc Natl Acad Sci U S A. 2004 Feb 10;101(6):1673-8. Epub 2004 Jan 27. Brain masculinization requires androgen receptor function. Sato T, Matsumoto T, Kawano H, Watanabe T, Uematsu Y, Sekine K, Fukuda T, Aihara K, Krust A, Yamada T, Nakamichi Y, Yamamoto Y, Nakamura T, Yoshimura K, Yoshizawa T, Metzger D, Chambon P, Kato S.
  35. Oncogene. 2004 Aug 5;23(35):6000-5. BRCA1 function mediates a TRAP/DRIP complex through direct interaction with TRAP220. Wada O, Oishi H, Takada I, Yanagisawa J, Yano T, Kato S.
  36. Genes Cells. 2005 Dec;10(12):1095-102. Repressive domain of unliganded human estrogen receptor alpha associates with Hsc70. Ogawa S, Oishi H, Mezaki Y, Kouzu-Fujita M, Matsuyama R, Nakagomi M, Mori E, Murayama E, Nagasawa H, Kitagawa H, Yanagisawa J, Yano T, Kato S.
  37. EMBO J. 2007 Feb 7;26(3):764-74. Epub 2007 Jan 25. A cell cycle-dependent co-repressor mediates photoreceptor cell-specific nuclear receptor function. Takezawa S, Yokoyama A, Okada M, Fujiki R, Iriyama A, Yanagi Y, Ito H, Takada I, Kishimoto M, Miyajima A, Takeyama K, Umesono K, Kitagawa H, Kato S.
  38. Nature. 2007 Mar 29;446(7135):562-6. Dioxin receptor is a ligand-dependent E3 ubiquitin ligase. Ohtake F, Baba A, Takada I, Okada M, Iwasaki K, Miki H, Takahashi S, Kouzmenko A, Nohara K, Chiba T, Fujii-Kuriyama Y, Kato S.
  39. Arch Biochem Biophys. 2007 Apr 15;460(2):166-71. Epub 2006 Aug 14. Multiple co-activator complexes support ligand-induced transactivation function of VDR. Yamaoka K, Shindo M, Iwasaki K, Yamaoka I, Yamamoto Y, Kitagawa H, Kato S.
  40. EMBO Rep. 2008 Jun;9(6):563-8. doi: 10.1038/embor.2008.55. Epub 2008 May 2. Switching of chromatin-remodelling complexes for oestrogen receptor-alpha. Okada M, Takezawa S, Mezaki Y, Yamaoka I, Takada I, Kitagawa H, Kato S.
  41. Nature. 2009 May 21;459(7245):455-9. doi: 10.1038/nature07954. Epub 2009 Apr 19. GlcNAcylation of a histone methyltransferase in retinoic-acid-induced granulopoiesis. Fujiki R, Chikanishi T, Hashiba W, Ito H, Takada I, Roeder RG, Kitagawa H, Kato S.
  42. Proc Natl Acad Sci U S A. 2009 Jun 9;106(23):9280-5. doi: 10.1073/pnas.0901184106. Epub 2009 May 26. Distinct function of 2 chromatin remodeling complexes that share a common subunit, Williams syndrome transcription factor (WSTF). Yoshimura K, Kitagawa H, Fujiki R, Tanabe M, Takezawa S, Takada I, Yamaoka I, Yonezawa M, Kondo T, Furutani Y, Yagi H, Yoshinaga S, Masuda T, Fukuda T, Yamamoto Y, Ebihara K, Li DY, Matsuoka R, Takeuchi JK, Matsumoto T, Kato S.
  43. J Biol Chem. 2010 Jun 11;285(24):18166-76. doi: 10.1074/jbc.M109.077024. Epub 2010 Apr 16. Double PHD fingers protein DPF2 recognizes acetylated histones and suppresses the function of estrogen-related receptor alpha through histone deacetylase 1. Matsuyama R, Takada I, Yokoyama A, Fujiyma-Nakamura S, Tsuji N, Kitagawa H, Fujiki R, Kim M, Kouzu-Fujita M, Yano T, Kato S.
  44. Proc Natl Acad Sci U S A. 2010 Nov 16;107(46):19891-6. doi: 10.1073/pnas.1010307107. Epub 2010 Nov 1. Testis-specific protein on Y chromosome (TSPY) represses the activity of the androgen receptor in androgen-dependent testicular germ-cell tumors. Akimoto C, Ueda T, Inoue K, Yamaoka I, Sakari M, Obara W, Fujioka T, Nagahara A, Nonomura N, Tsutsumi S, Aburatani H, Miki T, Matsumoto T, Kitagawa H, Kato S.
  45. Cold Spring Harb Symp Quant Biol. 2011;76:165-73. doi: 10.1101/sqb.2011.76.010736. Epub 2011 Sep 2. Regulated histone methyltransferase and demethylase complexes in the control of genes by nuclear receptors. Yokoyama A, Fujiki R, Ohtake F, Kato S.
  46. Mol Cell. 2009 Oct 23;36(2):340-7. doi: 10.1016/j.molcel.2009.08.017. Maturation of microRNA is hormonally regulated by a nuclear receptor. Yamagata K, Fujiyama S, Ito S, Ueda T, Murata T, Naitou M, Takeyama K, Minami Y, O’Malley BW, Kato S.
  47. Mol Cell Biol. 1999 Aug;19(8):5363-72. Purification and identification of p68 RNA helicase acting as a transcriptional coactivator specific for the activation function 1 of human estrogen receptor alpha. Endoh H, Maruyama K, Masuhiro Y, Kobayashi Y, Goto M, Tai H, Yanagisawa J, Metzger D, Hashimoto S, Kato S.
  48. J Biol Chem. 2000 Oct 27;275(43):33201-4. Ligand type-specific interactions of peroxisome proliferator-activated receptor gamma with transcriptional coactivators. Kodera Y, Takeyama K, Murayama A, Suzawa M, Masuhiro Y, Kato S.
  49. Proc Natl Acad Sci U S A. 2006 Jan 3;103(1):224-9. Epub 2005 Dec 22. Premature ovarian failure in androgen receptor-deficient mice. Shiina H, Matsumoto T, Sato T, Igarashi K, Miyamoto J, Takemasa S, Sakari M, Takada I, Nakamura T, Metzger D, Chambon P, Kanno J, Yoshikawa H, Kato S.
  50. Nat Cell Biol. 2007 May;9(5):604-11. Epub 2007 Apr 15. DEAD-box RNA helicase subunits of the Drosha complex are required for processing of rRNA and a subset of microRNAs. Fukuda T, Yamagata K, Fujiyama S, Matsumoto T, Koshida I, Yoshimura K, Mihara M, Naitou M, Endoh H, Nakamura T, Akimoto C, Yamamoto Y, Katagiri T, Foulds C, Takezawa S, Kitagawa H, Takeyama K, O’Malley BW, Kato S.
  51. Biochem Biophys Res Commun. 2010 Apr 16;394(4):865-70. doi: 10.1016/j.bbrc.2010.02.167. Epub 2010 Mar 2. Glucose-induced expression of MIP-1 genes requires O-GlcNAc transferase in monocytes. Chikanishi T, Fujiki R, Hashiba W, Sekine H, Yokoyama A, Kato S.

分生研 加藤研論文不正問題 東大が中間発報告

2014年8月1日の記事も合わせて御覧ください ⇒ 東大分生研加藤茂明研究室の論文不正問題で加藤(元)教授が実験ノート捏造を指示:東京大学科学研究行動規範委員会が結論

 

加藤茂明研究室の論文不正問題に関して東大がようやく中間発報告を公表しました。不正に関する申立てを東京大学が受けたのが去年の1月10日ということですから、中間報告の公表に至るまでに、実に丸2年もの年月がかかったことになります。東京大学が公式にデータ捏造を認めたという意味は大きいですが、それ以上目新しいことは何もありません。申立てを行った方のウェブサイトに、”捏造の疑い”が誰の目にも明らかな形で詳細に示されていたのですから。

 

誰がどのような動機でどういう状況下でこのような不正に手を染めたのか、どうしてファーストオーサーが異なる論文でもこのような「捏造工場」が長期間にわたって機能しえたのか、研究室運営の構造上の問題点を明らかにしてほしいところですが、最終的な報告にはまだ時間がかかりそうです。

今後、研究不正の事実認定に基づいて誰にどう責任を問うのか、東京大学の判断が注目されます。

記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における
論文不正に関する調査(中間報告)」の実施について

日 時:平成25年12月26日(木)14:00~15:00
場 所:東京大学医学図書館3階会議室
出席者:大和 裕幸 東京大学理事・副学長(コンプライアンス担当)
科学研究行動規範委員会委員長
秋山 徹 東京大学分子細胞生物学研究所長
吉村 忍 東京大学広報室長
http://www.u-tokyo.ac.jp/public/public01_251226_j.html

平成24年1月10日、本学に対し、加藤茂明東京大学分子細胞生物学研究所教授(当時)の主宰する研究室の関係者が発表した論文24報について、不 正行為が存在する旨の申立てがあった。 これを受け、本学においては、分子細胞生物学研究所において予備調査を実施するとともに、科学研究行動規範委員会 において調査・審議を行い、今回これまでの調査の経過を取りまとめ、中間報告として公表するものである。今後、同委員会において引き続き調査を行い、最終 的な調査の結果を取りまとめる。

配付資料一覧:
1)記者会見「東京大学分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正に関する調査(中間報告)」の実施について
2)研究倫理をめぐる問題事案について―中間報告の公表に当たって― (総長)
3)分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正の疑いに関する調査(中間報告)の概要
4-1)分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正の疑いに関する調査(中間報告)
4-2)【別添資料1】分子細胞生物学研究所旧加藤研究室における論文不正の疑いに関する調査状況
4-3)【別添資料2】科学的な適切性を欠いた画像データの態様の例
4-4)参考資料
1.高い研究倫理を東京大学の精神風土に(平成25年10月8日 総長)
2.東京大学の科学研究における行動規範
3.東京大学科学研究行動規範委員会規則

(英語版資料[一部抜粋]):
Summary of the Interim Report
A High Standard of Research Ethics as the Ethos of the University of Tokyo(President’s message)

参考サイト

 

ディオバン臨床試験、統計解析丸投げのウソ

ディオバン(一般名バルサルタン)臨床試験のデータ不正問題で、研究者が「統計解析の知識が無かったので専門家に丸投げしていた」という主旨の釈明をしていました。しかしどうやらそれもウソだったようです。

主任研究者である東京慈恵会医科大学循環器内科の望月正武教授(現・客員教授)に対し、共同主任研究者のスウェーデン・イェーテボリ大学准教授の Bjorn Dahlof氏が、「統計学者とも綿密に打ち合わせて、ぜひ、有意差が出る地点まで試験を継続させてください」と指示していたことが分かった。両氏はま た、中間解析の時点から、薬剤の有効性をはかる主要評価項目(プライマリーエンドポイント)の結果を熟知していたことも明らかになった。https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/45008/Default.aspx

むしろ有意差を出すために積極的に介入していたというのが真相のようです。

 

ディオバン臨床研究不正事件 同じカテゴリー内の記事一覧

     

     

    Diovan臨床研究の滋賀医科大SMARTでも不正か

    ノバルティスの降圧剤「ディオバン(一般名=バルサルタン)」 の臨床研究を行ったのは、

    1. 京都府立医科大学(KYOTO Heart Study)
    2. 東京慈恵会医科大学(JIKEI Heart Study)
    3. 滋賀医科大学(SMART; ShigaMicroalbuminuria Reduction Trial)
    4. 千葉大学 (VART; Valsartan Amlodipine Randomized Trial)
    5. 名古屋大学(NAGOYA Heart Study)

    の5つ。いづれも研究を主導した研究室に多額の寄付金が供与され、ノバルティス社にとって都合の良い実験結果が得られていました。京都府立医科大学(KYOTO Heart Study)と東京慈恵会医科大学(JIKEI Heart Study)に関しては学内の調査結果が発表されており、データ操作に問題があったと結論付けています。滋賀医科大学でも論文に記載されたデータと元の資カルテの数値が一致しない部分が多数あり、データ改竄(かいざん)、データ捏造(ねつぞう)が疑われています。

    千葉大学と名古屋大学はまだ論文不正調査の結果を発表しておらず、公表が待たれます。

    参考

    1. ディオバン、滋賀医大もデータ不一致 学内調査、月内に公表(産経ニュース2013.10.14 09:23
    2. ノバルティス ディオバン(バルサルタン)臨床研究データ捏造疑惑 (http://diovan-novartis.blogspot.jp/
    3. 降圧剤「ディオバン」捏造臨床論文 滋賀医科大やっと認める 往生際悪い名大 (http://n-seikei.jp/)

    ディオバン臨床研究不正事件 同じカテゴリー内の記事一覧

      バルサルタン(製品名:ディオバン)臨床研究にノバルティスファーマは会社ぐるみで関与していたのか?

      ノバ社は改めて会社組織としての臨床研究への関与を否定(medical.nikkeibp 2013. 9. 3 )と報道されていますが、実際のところノバルティスファーマ社は組織ぐるみで関与していたのでしょうか?

      ノバルティスファーマ社は第三者に委託して今回の問題を調査し、その結果を「バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書」として自社ウェブサイト上で公開しています。その中のまとめの一部を転載すると(強調のため一部太文字下線にしました)、

      1. ノバルティスファーマの社員は一般的に、当該元社員による研究への関与は、当該元社員がノバルティスファーマの社員としてではなく大阪市立大学の非常勤講師として研究に参加していたため、許されると思い込んでいました。
      2. 当該元社員らのノバルティスファーマのアドレスを送信元として受信されたEメールおよび様々な文書や関係者の証言から窺える状況によると、5つの医師主導臨床研究の研究者は、当該元社員らがノバルティスファーマの社員であることを認識していた、ないしは認識して然るべきであったといえます。
      3. 当該元社員らの上司とノバルティスファーマの経営陣の一部の者は、当該元社員の研究への関与の程度について認識していた、ないしは認識して然るべきであったといえます。一方、経営陣のうちの上層部の者は当該元社員の日々の業務については把握していなかったと考えられます。
      4. これら5つの研究は、ノバルティスファーマの奨学寄附金による支援を受けていました。これらの奨学寄附金は、名目上は使途を特定していませんが、ノバルティスファーマは奨学寄附金が当該研究の支援に用いられることを意図及び期待し、また奨学寄附金を受け取る側も、奨学寄附金が研究の支援を意図していることを認識していました。

      とのことです。ご覧の通り、この報告書はかなり踏み込んだ表現をしています。会社が多額のお金を大学の研究者に渡し、自分たちにとって有益な研究結果を期待していたと結論付けているのです。これは、会社が組織として関与していたことを強く示唆しています。

       

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        Jikei Heart Study論文をLANCETが撤回

        東京慈恵会医科大学で実施された降圧剤バルサルタンに関する臨床研究の論文が、掲載されていたジャーナルLANCET自身によってついに撤回されました。この撤回は、東京慈恵会医科大学Jikei Heart Study調査委員会(委員長 橋本和弘)の報告を受けて、LANCET編集部により取られた措置です。

        LANCET編集部のコメント

        The Lancet published the Jikei Heart Study in April, 2007. 1 On July 31, 2013, we were informed by Professor Kazuhiro Hashimoto (Jikei University) that there had been a press conference on July 30 reporting an interim conclusion from an internal investigation into this research. The report considered that “The data on blood pressure are not reliable…”. Given this finding, we now wish to retract the Jikei Heart Study on the grounds that we no longer have confidence in the published results.

        この論文の内容はどのようなものだったのでしょうか?

        論文発表時のノバルティスファーマのプレスリリース(2007年4月27日)によると、

        1. 高血圧治療薬ディオバン® (一般名:バルサルタン) に関する日本で初めての大規模臨床試験
        2. 従来の降圧治療に選択的AT1受容体ブロッカー(ARB)のディオバンを追加投与した群(ディオバン群)で、主要評価項目である複合心血管イベントが39%と有意に減少
        3. Jikei Heart Studyは、東京慈恵会医科大学の施設を中心として実施された試験で、降圧薬治療を受けている高血圧、冠動脈疾患、心不全を有する日本人患者3,000 例以上を対象としたもの
        4. 従来治療強化群と従来治療にディオバンを追加投与するディオバン群で、血圧値をどちらの群も130/80 mmHgを目標として下げた場合の、脳卒中を含む複合心血管イベントに及ぼす影響が比較検討された
        5. Jikei Heart Studyは、独立的な運営委員会によって企画・設計・実施された医師主導の臨床試験。運営委員会は、東京慈恵会医科大学および臨床試験に参加し た病院の代表メンバーから成る。統括責任者は東京慈恵会医科大学循環器内科の望月正武 教授。スウェーデンのサールグレンスカ大学病院のビヨン・ダーロフ教授が共同統括責任者を務めた。
        6. 本試験は、ディオバン群で明確なメリットが示されたことにより、データ安全性モニタリング委員会の勧告によって早期に終了した。
        7. ディオバンは、血圧の上昇に関与しているアンジオテンシンIIのタイプ1受容体(AT1)を選択的にブロックする薬剤 (ARB:AngiotensinII Type1 Receptor Blocker)で、高血圧治療の第一選択薬として世界約100カ国で承認。日本では、2000年に発売。

        「独立的な運営委員会によって企画・設計・実施された医師主導の臨床試験」というのが真っ赤なウソで、実はディオバンを開発し販売しているノバルティスファーマ社の社員がこの臨床試験データの解析を行い、しかもそれだけではなく、欲しい結果が得られるようにデータを改竄(かいざん)し、身分を隠して論文発表に加わっていたわけですから、これほど悪質なことはありません。ノバルティス社は薬の臨床研究を行った5つの大学に対し、総額およそ11億3千万円もの寄付を行っていたそうです(2013年9月3日TBS)。組織的には関与していないという主張はただの言い逃れに過ぎず、全く説得力がありません。

        データ捏造は論外としても、ノバルティス社(または事件に関与した社員)が悪者で大学の医師たちが騙されたという構図では全くありません。厚生労働省が公表している第1回高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する検討委員会議事録によると、

        森下委員:「最後までノバルティス社の方ということを研究グループが全員知らなかったのか、途中から気づく機会があったのか、用は最後の論文のところの所属・氏名の書きぶりのことでお聞かせ願いたいと思います。
        橋本参考人:「主な研究担当者は、最初に紹介されたときは大阪市立大学の非常勤講師の統計の方だという認識でした。ただ、全部で122名の医師が参加した計画ですので、その人によって大分温度差はあるのですが、主に運営委員会等に出てくるような方々は、数ヶ月後ないしは1年後ぐらいには彼がノバルティス社員だということは知っていました。つまり、最終的に論文を書く時点では主な人たちはみんな知っていた。全員ではありません。主な人たちは知っていたということです。

        大学関係者はノバルティスから多額の寄付金を受け取っており、ノバルティスが販売する薬の効果に関して当のノバルティス社の社員がデータ解析しているという事実も知りながら、論文中にはそのようなことはないというウソの記載をしていたのですから、著者として名を連ねている大学関係者の責任も大きいと言えます。

         

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          データ捏造など悪質な論文不正を行った研究者は研究費返還を

          研究不正を防ぐには、倫理的な教育も大事でしょうが、一番効果的なのは罰則の強化でしょう。データ捏造を行うことが割に合わない行為だとわかれば、不正を行う人は減ると思われます。 平成25年7月26日(金)に行われた下村博文文部科学大臣の定例記者会見で、大臣は質疑応答で、「不正行為との関係が認められた研究費については、返還を求めるとともに、応募資格の制限等の措置を取ることにしております。」とかなり踏み込んだ発言をしています。この言葉通りに厳格に実行されれば、研究不正の状況は劇的に改善するでしょう。

          ――平成25年7月26日(金)に行われた下村博文文部科学大臣の定例記者会見より――
          記者:「同じく東大の話ですけれども、論文の改ざんの問題が昨日報道されておりますが、それ以降、文科省の方にも何か報告等があれば教えていただけますか。」

          大臣:「東大における論文不正行為の事実関係については、現在、東大において、不正の事実関係も含めて調査中であるという報告を受けている段階であります。東大に対しては、ガイドラインにのっとった厳正かつ速やかな調査を行い、その結果を取りまとめて報告するよう指示しております。文部科学省としては、調査報告の内容を精査し、不正行為との関係が認められた研究費については、返還を求めるとともに、応募資格の制限等の措置を取ることにしております。また、研究活動等の不正については、競争的資金に係る研究活動のガイドラインを策定し、大学に対して厳格な運用を求めているところでありますけれども、更に倫理教育の強化等を含めた、新たな研究不正防止のための取組についても検討していきたいと考えております。」

          記者:「東大の問題ですけれども、論文の不正の方ですが、告発から1年半たっても、その状況が明らかにされていないということと、まさしく、昨日の現職の教授が逮捕された案件もあると。国民の目から見れば、国のお金を使って研究をしっかりしているはずの機関が何をやっているんだと、そんなことに使っているのかというふうなことで、疑問の目が向けられると思うのですが、文部科学省として、更に指導を厳しくするとか、どのようなお考えをお持ちでしょうか。」

          大臣:「そうですね。今まで、やはり大学の先生というのは立派な先生方だからという、性善説が前提で物事が行われてきた部分があったというふうに思います。しかし、ルールとか、また私的流用したら、これはもう明らかな犯罪ですから、それは、東大の先生というか大学の先生では起こり得ないという、今まで前提条件があったのかもしれませんが、今後、どんなポストであろうが誰であろうが、やはり不正は不正として事前にチェックできるような仕組みというのも、改めて考えていかなければならない時期に、残念ながら来ているのかなと。そういう前提の中で、今回、この東大の2件の問題等、詳細な報告を受けた後、文部科学省として、改めてチェック機能の強化、二度とそういう不正が行われないような仕組みをどうつくるかと、これは、倫理教育の強化を改めてするということも当然いたしますが、そういうことも含めて検討していく必要があると思います。」

          存在しないマウスを解析した不思議な阪大論文

          2004年に阪大から出たNature Medicineの論文でビックリ仰天なのは、「脂肪細胞異的PTENノックアウトマウス」を作製し、その解析を行ったと言いつつ肝心の遺伝子改変マウスが存在すらしていなかったということです。

          アカデミックなポストに就くことも、研究費を獲得することも非常に熾烈な競争を強いられます。これほど悪質な不正行為を働いても普通に研究を続けられるというのであれば、研究者間の公平な競争が妨げられ、日本の研究レベルが下がるだけでしょう。「これでクビにならないのなら、データ捏造しない研究者の方が頭がおかしいのか!?」と錯覚してしまいそうなくらいにたまげた話です。

          論文の撤回など普通の研究者なら一生に一度も無いのが普通ですが、捏造論文を一度出したラボは面白いことに何度でも同じようなことを繰り返す傾向があります。このラボからも、2004年のnature medicineに続いて、2005年にはサイエンス誌にVisfatin: a protein secreted by visceral fat that mimics the effects of insulin.という論文が発表され(Science 307(5708):426-30)、その後撤回されています。撤回の事情はというと、

          『大阪大学医学系研究科は14日教授会を開き、同研究科の下村伊一郎教授らが、肥満と糖尿病に関する研究で04年に米科学誌に発表した論文を取り下げるよう、本人に通知した。捏造(ねつぞう)、改ざん、盗用などの証拠は認められなかったが、実験がずさんで不備があり、不正の疑いがあると判断した。』(asahi.com 2007年06月14日 日々是好日

          のだそうです。

          存在しないマウスを解析したという不思議な論文:

          Nature Medicine 10, 1208 – 1215 (2004)
          Published online: 17 October 2004 | doi:10.1038/nm1117There is a Retraction (June 2005) associated with this Article.

          Enhanced insulin sensitivity, energy expenditure and thermogenesis in adipose-specific Pten suppression in mice

          Nobuyasu Komazawa1, Morihiro Matsuda2, Gen Kondoh1, Wataru Mizunoya3, Masanori Iwaki2, Toshiyuki Takagi2, Yasuyuki Sumikawa4, Kazuo Inoue3, Akira Suzuki5, Tak Wah Mak6, Toru Nakano7, Tohru Fushiki3, Junji Takeda1,8 & Iichiro Shimomura2,9,10

          Abstract

          Pten is an important phosphatase, suppressing the phosphatidylinositol-3 kinase/Akt pathway. Here, we generated adipose-specific Pten-deficient (AdipoPten-KO) mice, using newly generated Acdc promoter–driven Cre transgenic mice. AdipoPten-KO mice showed lower body and adipose tissue weights despite hyperphagia and enhanced insulin sensitivity with induced phosphorylation of Akt in adipose tissue. AdipoPten-KO mice also showed marked hyperthermia and increased energy expenditure with induced mitochondriagenesis in adipose tissue, associated with marked reduction of p53, inactivation of Rb, phosphorylation of cyclic AMP response element binding protein (CREB) and increased expression of Ppargc1a, the gene that encodes peroxisome proliferative activated receptor gamma coactivator 1 alpha. Physiologically, adipose Pten mRNA decreased with exposure to cold and increased with obesity, which were linked to the mRNA alterations of mitochondriagenesis. Our results suggest that altered expression of adipose Pten could regulate insulin sensitivity and energy expenditure. Suppression of adipose Pten may become a beneficial strategy to treat type 2 diabetes and obesity.

          参考

          1. これだけの大々的な捏造論文を出して、この程度での軽い処分なら、今後捏造者がまず減ることはないだろうと思います。捏造論文に甘い大阪大学(生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ2006年 02月 16日)
          2. 「下村教授の責任は重い。その理由は、責任著者であるということだけではない。…この論文が正しいと世の中で通ればその果実の大半は下村教授が受け取っていたはずだからである。間違っていたから知りませんでは通らない。いわんや被害者のような態度を取ってはいけない。」阪大医下村グループ等捏造論文事件について On scientific fraud (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2005年 05月 31日)
          3. (論文の捏造データに関して)「わたくしは、科学の世界における最悪の行為とみなしてます。」阪大での捏造論文について(続き) Scienfic fraud 2 (生きるすべ IKIRU-SUBE 柳田充弘ブログ 2005年 05月 31日)

          Kim et al. Nature 15 October 2009

          Kim et al. DNA demethylation in hormone-induced transcriptional derepression. Nature 461, 1007-1012 (15 October 2009)

          今回東京大学の調査により明らかになった分子細胞生物学研究所加藤茂明教授(既に退職)の研究室における研究不正の中でも、データ捏造の度合いがひどくしかも一流誌に掲載されているという点で一際目を引くものの一つがこの論文です。この論文に関しては、調査委員会の予備調査結果が出るよりも前に既に撤回されています。

          2008年8月18日 論文投稿
          2009年8月24日 論文受理
          2009年10月15日号Natureに論文掲載
          2011年11月1日 論文訂正
          2012年6月14日 論文撤回

          という経過を辿りました。論文掲載後にデータ捏造疑惑が生じて、苦し紛れの「訂正」をしているわけですから、部下のデータ捏造を教授がうっかり見逃したという図式ではないようです。

          DNA demethylation in hormone-induced transcriptional derepression

          Mi-Sun Kim1,2,3, Takeshi Kondo2, Ichiro Takada2, Min-Young Youn2, Yoko Yamamoto2, Sayuri Takahashi2, Takahiro Matsumoto1,2, Sally Fujiyama1,2, Yuko Shirode1,2, Ikuko Yamaoka1,2, Hirochika Kitagawa2, Ken-Ichi Takeyama2, Hiroshi Shibuya3, Fumiaki Ohtake1,2 & Shigeaki Kato1,2

          1. ERATO, Japan Science and Technology Agency, 4-1-8 Honcho, Kawaguchisi, Saitama 332-0012, Japan
          2. Institute of Molecular and Cellular Biosciences, University of Tokyo, 1-1-1 Yayoi, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0032, Japan
          3. Department of Molecular Cell Biology, Medical Research Institute and School of Biomedical Science, Tokyo Medical and Dental University, Yushima, Bunkyo-ku, Tokyo 113-8510, Japan

          Correspondence to: Shigeaki Kato1,2 Correspondence and requests for materials should be addressed to S.K. (Email: uskato@mail.ecc.u-tokyo.ac.jp).

          Nature 461, 1007-1012 (15 October 2009) | doi:10.1038/nature08456; Received 18 August 2008; Accepted 24 August 2009

          There is a Corrigendum (1 December 2011) associated with this document.

          There is a Retraction (14 June 2012) associated with this document.

          この論文は一度、著者により「訂正」(Corrigendum)されています。

          Several lanes of the ChIP analyses in this Letter were inadvertently duplicated or erroneously created during figure assembly. We now provide corrected figure panels for Figs 1f, 2c, 2f, 2g and 3h and Supplementary Figs S8, S9a, S9b, S11, S13b, S18 and S28. Our results and conclusions are not affected by these errors, but we apologise for the careless mistakes made.

          During initial preparation of the figure panels, the panels for the negative controls (with no obvious signals), inputs and some data were inappropriately duplicated and mixed up. The experiments were performed several times, so a set of data with adequate negative controls and inputs from one experimental round could be found. We have replaced the previous set of data in these panels with a correct set, and confirmed that these corrections do not affect the original claims in the published text. Representative ChIP data are displayed and significance was statistically assessed from several independently repeated experiments. We have also repeated the experiments and obtained the same results as those in the published figures.

          そして結果的に、著者らにより「撤回」されました。
          In this Letter, we claimed that hormone-regulated transcriptional control involves DNA demethylation mediated by MBD4. Subsequently, we corrected some figure panels that appeared to have been erroneously prepared (Corrigendum, http://www.nature.com/nature/journal/v480/n7375/full/nature10604.html). However, we later found that other figure panels contained data duplications. After further review, we now conclude that the results presented in the original figures had been inappropriately manipulated, and given these more serious concerns we no longer have confidence in the original figures. We therefore wish to retract this Letter and sincerely apologise for any adverse consequences that may have resulted from the paper’s publication.

          製薬会社ノバルティス社の降圧剤ディオバン(バルサルタン)臨床研究データは捏造

          京都府立医科大学が2013年7月11日に出した調査結果によると、松原弘明教授(2月に退職)が実施した日本人の高血圧患者約三千人のデータに基づく臨床研究で、「ディオバンがほかの降圧剤より脳卒中や狭心症を減らせる」と結論づけたことに関して、「この結論には誤りがあった可能性が高い」ということです。

          「誤り」という言葉は曖昧です。要するに、捏造、でっち上げということです。ディオバンは年間の売り上げが約一千億円以上にもなるノバルティス社の看板商品。京都府立医科大学の学長は記者会見で、刑事告発なども視野に協議していると話したそうです。

          この臨床研究にはノバルティス社の社員が参加していたこと、松原教授の研究室にはノバルティス社から一億円を超えるお金が寄付されていたことなどから、これは誰か一人の犯罪というよりも、組織ぐるみのより大きな枠組みの中で起きた事件といえそうです。

           

          参考

          1. 降圧剤問題 臨床データ操作判明 京都府立医大「論文、誤り濃厚」(東京新聞2013年7月12日 朝刊
          2. 京都府立医科大学によるバルサルタン医師主導臨床研究に係る調査報告発表に対するノバルティス ファーマの見解(ノバルティス ファーマ ウェブサイト
          3. ノバルティス ディオバン(バルサルタン)臨床研究データ捏造疑惑 追求ブログ:  ノバルティスファーマ社員の白橋伸雄氏が身分を隠して多数の降圧剤バルサルタンの臨床研究(臨床試験)の統計解析に関与していことが判明。果たして、データ捏造への関与はあるのか?会社ぐるみの詐欺的販売促進活動か?(http://diovan-novartis.blogspot.jp/

           

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            ヒトクローン胚性幹細胞作製CELL論文に疑義

            2005年にソウル大の黄禹錫博士がヒトクローン胚性幹細胞作製に成功したと論文発表したのが、捏造だったというのは衝撃的な出来事でした。2013年、ついに今度こそ本当にヒトクローン胚性幹細胞作製に成功したという論文がCELLに発表されましたが、論文の図の作成時に「同じデータを再利用していた」という「ミス」が複数見つかったり、「不自然に一致しすぎている2回の実験結果」を指摘する声が上がるなど、釈然としない事態になっています。

            ネイチャーの解説記事は、単純なミスか不正行為かの判断を避けながらも、責任著者の釈明だけでなく、他の科学者の厳しい意見も紹介しています。なお、疑義に関する詳細な議論は、PubPeerというフォーラム上で行われています。

            マイクロアレイによる遺伝子発現の定量に関しては、同じクローンの細胞を異なるディッシュで培養して実験した場合、このように発現パターンが99.8%も一致するのはほとんどあり得ないという専門家の指摘です。

            CELLのエディターが論文の著者らに対して実験ノートの提出を求めることにより、「データを取り違えて図を作製してしまった。」、「確率が低かろうが一致したのが事実だから問題ない。」という釈明が受け入れられるものかどうかを判断できるでしょう。

            試料の調整を独立に2回行いそれらを測定することと、試料の調整は1回のみでそれを2つにわけて2回測定することは、明確に区別されるべきです。どちらを行ったのかを論文中で明示する限り、何の問題もありません。しかし、サンプルを2つに分けただけなのに、サンプル調整を2回行ったと言って2回分の測定データを見せるならば、それは真実に反することになります。

            * * *

            人クローン論文にミス「悪意ない」と責任者
            2013.5.24 08:01
            米オレゴン健康科学大のシュフラート・ミタリポフ博士は、人クローン胚性幹細胞(ES細胞)の論文に使われた写真や記述に複数の「悪意のないミス」があったことを認め、掲載した米科学誌セルに訂正を申し入れる考えを示した。英科学誌ネイチャー電子版が23日、伝え、セル誌は「小さなミスで、論文の科学的成果には影響しない」とするコメントを発表した。
            論文の主執筆者は立花真仁研究員だが、博士はチームの責任者。博士は論文発表を急ぐあまり、同じ写真を2度使ったり、写真の説明を取り違えたりするなどのミスが起きたことが分かったと話した。
            ネイチャーによると、博士は論文の7ページ目にある2種類の幹細胞の写真に付けた説明が入れ替わっていることを認め、幹細胞で働く遺伝子を調べたグラフに使われている画像も一部、誤ったものが使われていた。
            人クローンES細胞をめぐっては、韓国ソウル大の黄禹錫元教授が発表した論文が捏造だった経緯がある。(共同)

            1. Stem-cell cloner acknowledges errors in groundbreaking paper (nature.com)
            2. Human Embryonic Stem Cells Derived by Somatic Cell Nuclear Transfer. (PubPeer)
            3. 人クローン論文にミス「悪意ない」と責任者 産経ニュース2013.5.24 08:01

            データ捏造准教授が懲戒解雇に

            以下、ニュースからの転載です。

            日本経済新聞ウェブサイト2013/5/11 0:29
            三重大准教授がデータ捏造 懲戒解雇に
            三重大と名古屋大は10日、三重大大学院生物資源学研究科の青木直人准教授(47)が、名古屋大在籍時などに発表した論文で、捏造(ねつぞう)した画像データを掲載していたことを明らかにした。不正論文を研究実績として文部科学省所管の日本学術振興会などに補助金を申請、受け取っており、三重大は9日付で懲戒解雇処分とした。

            FNN東海テレビNEWS 05/10(金) 18:52更新
            論文データねつ造で三重大准教授を懲戒解雇
            三重大学大学院の47歳の准教授が、データをねつ造するなどして11本の論文を不正に作成していたことがわかり、大学は准教授を懲戒解雇処分とした。懲戒解雇されたのは、三重大学大学院生物資源学研究科の青木直人准教授(47)。三重大学によると青木准教授は、名古屋大学の助手をしていた平成8年以降に発表した細胞の情報伝達に関する研究など11本の論文の69箇所について、別の実験で用いたデータを加工して載せるなどの不正行為をしていた。青木准教授は、「過って実験結果を掲載した」と説明していたが、該当する実験記録がほとんど確認できなかったという。このため三重大学は、意図的なデータのねつ造と認定し、青木准教授を9日付で懲戒解雇した。

            以下、三重大学の公式発表(http://www.mie-u.ac.jp/topics/university/2013/05/post-285.html)より。
            大学教員の研究不正及び懲戒処分について 2013年5月10日
            (対象者)三重大学大学院生物資源学研究科 准教授
            (事案の概要)
            大学院生物資源学研究科准教授が捏造及び改ざんしたデータを用いた論文投稿を行ったとする三重大学宛申立があり,三重大学研究行動規範委員会予備調査委員会において予備調査した結果,「不正行為の可能性は有」と判断し,三重大学研究行動規範委員会において調査専門委員会による調査を行うことを決定した。
            准教授は本学に赴任する以前は,名古屋大学に所属しており,両大学が協議の上,互いに協力しつつ独立して調査に当たることとした。
            調査委員会では,指摘された研究論文,実験ノート及び元画像データ等の精査,関係資料の調査並びに被告発人からのヒアリングを実施した。研究行動規範委員会は,調査委員会の調査結果に基づき,研究不正行為があったと認定した。
            (本学の対応)
            ①平成23年2月に研究不正に関する告発があり,研究行動規範委員会に調査専門委員会を設置し,慎重に調査した結果,平成25年1月に不正行為が存在すると認定した。
            ②平成25年2月,教育研究評議会に審査委員会を設置し,慎重に処分内容を審議した。
            ③審査委員会の審査結果を受け,平成25年5月9日の役員会の議決を経て,本学職員就業規則に従い,同日付けで懲戒解雇とした。

            その他参考となる文書やウェブサイト

            1. 不正行為の疑いが指摘された10論文に関する認定 三重大学研究行動規範委員会(PDF)
            2. 三重大学 青木直人の論文捏造、不正 三重大学大学院生物資源学研究科と、名古屋大学大学院生命農学研究科の青木直人准教授による論文捏造、研究不正事件の追及ブログ(11JIGEN)