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アディポネクチン受容体アゴニストを発見

東大病院 アディポネクチン受容体アゴニストを発見

A small-molecule AdipoR agonist for type 2 diabetes and short life in obesity (Nature doi:10.1038/nature12656 Published online 30 October 2013

アディポネクチン受容体を活性化して健康長寿を実現する内服薬の種を発見東京大学プレスリリース 2013 年10 月29 日 東京大学医学部附属病院

東大、運動/食事制限なしでメタボ/糖尿病の治療ができる薬の候補物質を発見マイナビニュース2013/11/01
東京大学は10月29日、脂肪細胞から分泌される抗糖尿病、抗メタボリックシンドローム作用を有する善玉ホルモンの「アディポネクチン」の代わりに「アディポネクチン受容体」を活性化することができる内服薬(低分子化合物)の種を、マウスを用いた実験により発見することに成功したと発表した。

善玉ホルモンの代替物質=糖尿病、メタボ新薬期待-マウスで効果・東大時事ドットコム2013/10/31-03:12
肥満になると減ってしまう善玉ホルモンと同じ働きをする化合物を発見し、糖尿病のマウスに飲ませると血糖値が下がったと、東京大医学部付属病院の門脇孝教授や山内敏正講師らが30日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

東大グループがAdipoRonを同定,アディポネクチン薬開発へ 5年以内に臨床第Ⅰ相試験目指す(MT PRO 2013年10月31日)
10月29日,東京大学病院糖尿病・代謝内科教授の門脇孝氏,同科講師の山内敏正氏らは記者会見を開き,同氏らの研究グループが発見した,アディポネクチン受容体を活性化させる低分子化合物に関する研究成果について発表した。

東大、生活習慣病防ぐ薬剤開発 肥満マウスの寿命を延ばす共同通信2013/10/31 03:00
糖尿病やメタボリック症候群などの生活習慣病を防ぐ薬剤を開発し、短命な肥満マウスの寿命を延ばすことに成功したと、東京大などのチームが30日付の英科学誌ネイチャー電子版に発表した。

肥満での生活習慣病防ぐ飲み薬の候補物質、東大が発見日本経済新聞2013/10/31 3:00
東京大学の門脇孝教授と山内敏正講師らは、肥満が原因となる糖尿病やメタボリック(内臓脂肪)症候群などの生活習慣病を防ぐ飲み薬の候補物質を発見した。

糖尿病・メタボ改善物質を発見 東大など、治療薬に期待朝日新聞デジタル2013年10月31日03時02分
メタボリックシンドロームや糖尿病を防ぐホルモンの働きを活発にする物質を、東京大の門脇孝教授(糖尿病・代謝内科)らの研究チームがマウスの実験で発見した。

食事制限・運動なしでメタボ治療…マウスで効果読売新聞2013年10月31日03時03分
肥満が原因で発症する糖尿病やメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)を治療する薬の候補物質を見つけたと、東京大の門脇孝教授(糖尿病・代謝内科学)らの研究チームが発表した。

トークの締めくくり stop there and take questions

「トークはここまでにして、質問を受けることにします。」
トークを止めるときの言い方でよく耳にします。日本語だと「これで」終わりにしますが、英語だと”stop there”とhereではなくてthereを使うところがちょっと面白い気がします。
So I will stop there and take questions.
I will stop there and take any questions.
I will stop there and take your questions.
I think I will stop there and take your questions.
I will stop there and take any questions you may have.
I will stop there and take any questions you might have.
So I will stop there and take any and all questions that you might have.

製薬会社から医師らへ4700億円超(2012年度)

読売新聞(2013年10月22日07時48分)によると、製薬業界から2012年度に国内の医師や医療機関に提供された資金の総額は4700億円を超えていたそうです。ちなみに国の医療分野の研究開発予算が1700億円で、それをはるかに上回る金額。

以下の五項目の総額が4700億円とのことですが内訳は、

  1. 共同研究などに使われる研究・開発費:2438億円。このうち、薬の承認を得るために行う治験などの臨床試験費に1840億円。
  2. 寄付金などの学術研究助成費:532億円。そのうち、指定された研究者が自由に使える奨学寄付金が340億円。研究者は指定されず大学に提供された一般寄付金が84億円。
  3. 講師謝礼や原稿料など
  4. 医師向けの講演会、説明会などの「情報提供関連費」
  5. 飲食や中元歳暮などの接遇費。

これだけお金をかけてもらっておいて、製薬会社に不利な実験データを出せる医師が果たしてどれくらいいるのでしょうか?

* 「情報提供関連費」というのは、自社製品に関する医師らへの講演会や説明会の費用。「接遇等費用」というのは、MR活動に伴う飲食や慶弔費など。

ミクスONLINE(2013/08/28 03:53)に塩野義製薬の例が掲載されています。それによると、2012年度の医師らへの支払い総額が102億8300万円。これは塩野義製薬の国内医療用医薬品売上1657億円の6.2%にあたります。内訳はというと、

  1. 研究費開発費等 総額62億6400万円(共同研究費 6億6100万円、委託研究費 7億8500万円、臨床試験費 45億6300万円)
  2. 学術研究助成費 総額12億3800万円(奨学寄附金 10億1600万円、一般寄附金 1800万円)
  3. 原稿執筆料等(講師謝金など) 総額4億8000万円
  4. 情報提供関連費(後援会費、説明会費など)総額22億0400万円
  5. 接遇等費用 9800万円

もっと詳細な内容に関しては、各製薬会社のウェブサイトをごらんください。研究資金や原稿執筆料、講師謝金などの提供を受けた大学、研究室名、病院名、個人の氏名などが開示されています。

参考ウェブサイト

  1. 武田薬品工業株式会社 企業活動と医療機関等への資金提供に関する情報:武田薬品「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」に基づき、本Webサイトにて医療機関等への資金提供に関する情報を公開します。
  2. アステラス2012年度 医療関係者等との連携活動に伴う金銭支払い実績:「医療関係者等との連携活動に関するアステラス透明性ポリシー」に基づき、医療関係者等との連携活動に伴う金銭支払い実績を公開いたします。対象期間:2012年4月1日~2013年3月31日
  3. 第一三共株式会社 2012年度 医療機関等への支払いについて:「第一三共と医療機関等との関係の透明性に関する基本方針」に基づき、以下の支払いについて情報公開します。第一三共株式会社 企業活動と医療機関等への資金提供に関する情報
  4. エーザイ株式会社社 2012年度 医療機関等及び医療関係者に対する支払い 
  5. 塩野義製薬株式会社 企業活動と医療機関等への資金提供に関する情報:当社の「企業活動と医療機関等の関係の透明性に関する指針」に基づき、本Webサイトにて医療機関等への資金提供に関する情報を公開します。
  6. 中外製薬と医療機関等の関係の透明性に関する指針」に係る公開情報 ― 2012年度:当該決算年度(1月1日~12月31日)における国内の医療機関・医療関係者等に対して提供した全ての資金等を、「(1)研究費開発費等」「(2)学術研究助成費」「(3)原稿執筆料等」「(4)情報提供関連費」「(5)その他の費用」の5つに分類して公開しています。
  7. 田辺三菱製薬株式会社 2012年度の医療機関等への資金提供に関する情報

博士課程進学と博士の価値:博士ってどれくらい凄いの?

The Illustrated Guide to a Ph.D.  by Matt Mightを改変 scienceandtechnology.jpにて日本語訳を付しGIFアニメーションを作製

「末は博士か大臣か」と言われたのは遠い昔のこと。 博士号は「車の免許証と同じ」と言われます。 それがないと職業としての研究はできないから。博士号は「足の裏の米粒みたいなもの」と言う人もいます。取らないと気持ち悪い。でも、取っても食えないから。

博士を取るということが一体どういうことなのかをGizmodoでMatt Might氏が解説しており、ギズモード・ジャパンにその紹介記事がありました。非常に現実的な視点で解説されており、博士号の”凄さ”がわかります。

 

参考

 

記事更新記録 20170812 一部の語句を修正 アニメーションの最後の言葉Keep pushing.を訳出し忘れていたことに気付いた。いつか修正せねば。

 

研究生活カテゴリーの記事一覧

ハゲが治る? ふさふさの髪の毛を取り戻す

人の毛髪を再生することは大きなチャレンジです。しかし、今回コロンビア大学の研究者らは脱毛症の男性から採取した「毛乳頭細胞」を髪の毛を生やす能力を保たせたまま培養する方法を発見。培養した毛乳頭細胞が人の皮膚に作用して髪の毛を生えさせたと報告しました。

同様の実験はマウスなどの細胞では既にうまくいっていましたが、なぜか人の毛乳頭細胞を培養しても、皮膚に働きかけて「毛包」を誘導する作用が失われてしまうという困難がありました。マウスでは培養した細胞が塊りを作っているという観察がブレークスルーになりました。人の毛乳頭細胞の培養でも平面的に増殖させるのではなく、立体的な塊りになるような培養条件にしてみたら、うまくいったというものです。

今回の研究では、人の皮膚(新生児の陰茎の皮膚)をマウスの背中に移植しておき、その人の皮膚に脱毛症の男性から取った毛乳頭細胞を培養して増やした塊りを移植して、皮膚から髪の毛が生えてくるかどうかを実験で調べました。まだ全ての実験を人間に対して行える段階ではないため、このようにマウスの背中を借りた実験が行われました。しかし、生えてきた毛髪はマウスの細胞に由来するものではなく、人の細胞由来だったということが確かめられています。

新生児の陰茎の皮膚を用いたというのはちょっとびっくりしますが、もともと毛がまったく生えていないので毛が生えてくるかどうかの実験に適しているとのことです。アメリカでは生まれた赤ちゃんに割礼(男性の陰茎包皮の切除手術)を行うことが多いので、材料として入手しやすいのも一つの理由でしょう。

参考

  1. Microenvironmental reprogramming by three-dimensional culture enables dermal papilla cells to induce de novo human hair-follicle growth. Claire A. Higgins, James C. Chen, Jane E. Cerise, Colin A. B. Jahoda,and Angela M. Christiano, Published online before print October 21, 2013, doi: 10.1073/pnas.1309970110 PNAS (米国科学アカデミー紀要)
  2. Hair Regeneration Method is First to Induce New Human Hair Growth(コロンビア大学ニュースルームOctober 21, 2013)
  3. 毛乳頭細胞で毛を再生=立体的な培養法工夫、移植で―脱毛症治療に期待・米英チーム(ヤフーニュース・時事通信 10月22日(火)1時36分配信
  4. 脱毛症患者に新たな希望(ウォールストリートジャーナル2013年 10月 22日 15:37 JST
  5. New Hope for Baldness(The Wall Street Journal Oct. 21, 2013 2:07 p.m. ET)
  6. マルホ皮膚科セミナー ラジオNIKKEI2011 年8 月25 日放送第74 回日本皮膚科学会東京支部学術大会①会長講演「毛成長誘導の主役は毛乳頭細胞?毛包幹細胞?」北里大学 皮膚科教授 勝岡 憲生(PDF)
  7. 東京理科大学辻孝研究室「毛髪再生医療の実現を目指して
  8. 株式会社エーセル「毛乳頭細胞の活性化試験(養毛・育毛・発毛試験)
  9. 割礼、するべき?(わいわい! ママのブログ2010-08-14 15:03:22)

この論文の責任著者である2人、アメリカ・コロンビア大学のAngela M. Christianoさんとイギリス・ダラム大学のColin A. B. Jahodaさん(3分25秒~)による解説。

Angela Christiano: New Method for Hair Regeneration

自分の赤ちゃんをデザインする時代が到来?

生まれてくる自分の赤ちゃんが健康で、人よりも容姿や運動能力、頭の良さが優れていて欲しいと思いますか?

精子銀行や卵子銀行から理想的な遺伝子を持った精子、卵子を手に入れて、自分の思い通りの赤ちゃんがデザインできたらいいと思いますか?

アメリカの遺伝子解析会社「23アンドミー」(23 andMe)が、提供される精子や卵子の遺伝子と自分の遺伝子の組み合わせからどんな赤ちゃんが生まれるかを予測する遺伝子解析技術を開発し、その特許がこの度認められました。

男女の産み分け、ガンなどの病気のリスクを減らすこと、足の速さ、髪の色、眼の色、‥。

生命の操作はどこまで許されるのでしょうか?

 

参考

  1. United States Patent 8,543,339 Wojcicki,et al. September 24, 2013
  2. FreePatentsOnline.com/8543339.pdf
  3. A 23andMe Patent (23andme.com October 1, 2013)
  4. “I prefer a child with …”: designer babies, another controversial patent in the arena of direct-to-consumer genomics Genetics in Medicine 03 October 2013
  5. Personal-genetics firm denies pursuit of designer babies in patent filing (blogs.nature.com 02 Oct 2013 | 14:35 BST)
  6. 遺伝子解析で赤ちゃん設計? 外見や能力予測、米で特許(朝日新聞DIGITAL 2013年10月20日07時57分
  7. 子供の遺伝子予測、米企業に特許 「デザイナーベビー」と批判(産経ニュース 2013.10.20 21:21
  8. Design Your Own Baby: Patent Granted (Discovery.com Oct 4, 2013 05:00 PM)
  9. Personal Genomics Firm 23andMe Patents Designer Baby System, Denies Plans to Use It (Wired.com 10.02.13 12:08 PM)
  10. 23andMe’s Designer Baby Patent (HuffingtonPost.com 10/04/2013 2:29 pm)
  11. GenoChoice.com:Create Your Own Genetically Healthy Child Online!
  12. Announcing 23andMe’s First Patent (23andme.com May 28, 2012)
  13. Design Your Baby (BigThink.com August 20, 2010, 12:00 AM)
  14. The Need to Regulate “Designer Babies” (Scientific American 2009)
  15. Would You Design Your Own Baby? (About.com March 12, 2009)
  16. Simmons, D. (2008) Genetic inequality: Human genetic engineering. Nature Education 1(1) 

 

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The K Computer 理研一般公開2013.10.19

日本の最先端の科学研究を担う理研(理化学研究所)。理研に属する研究所は日本のいくつかの場所に分かれて存在しますが、2013年10月19日(土)は神戸地区の理研で一般公開が行われます。普段は見ることができない研究所の中に入って実験施設を見学し、研究者と話をする絶好の機会です。

開催日 2013年10月19日(土)
時間 10:00-16:00(入場受付は15:30まで)
対象 一般
場所 理研神戸地区
兵庫県神戸市中央区港島南町2-2-3 (第1会場)
兵庫県神戸市中央区港島南町7-1-26 (第2会場)
詳細 神戸地区一般公開ホームページ

神戸理研公開

ディオバン臨床試験、統計解析丸投げのウソ

ディオバン(一般名バルサルタン)臨床試験のデータ不正問題で、研究者が「統計解析の知識が無かったので専門家に丸投げしていた」という主旨の釈明をしていました。しかしどうやらそれもウソだったようです。

主任研究者である東京慈恵会医科大学循環器内科の望月正武教授(現・客員教授)に対し、共同主任研究者のスウェーデン・イェーテボリ大学准教授の Bjorn Dahlof氏が、「統計学者とも綿密に打ち合わせて、ぜひ、有意差が出る地点まで試験を継続させてください」と指示していたことが分かった。両氏はま た、中間解析の時点から、薬剤の有効性をはかる主要評価項目(プライマリーエンドポイント)の結果を熟知していたことも明らかになった。https://www.mixonline.jp/Article/tabid/55/artid/45008/Default.aspx

むしろ有意差を出すために積極的に介入していたというのが真相のようです。

 

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国際画像機器展2013年12月4日(水)~6日(金)於パシフィコ横浜

工業用カメラ、照明装置、画像解析装置などマシンビジョン関連の新製品が一同に会する国際画像機器展が開催されます。

セミナー&特別講演

1. Time-of-Flight and Depth Sensing CMOS Image Sensors
2. Avalanche Photodiodes and Photon Counting CMOS Sensors
3. High Speed CMOS Sensors AnaFocus Founder and Chairman/Speaker: Angel Rodriguez Vazquez PhD.

JIIA統計報告とマシンビジョンにおける国際規格動向 統計分科会主査 児玉潮兒((株)ファースト)
FSF運営専門委員会委員長 佐久間恒雄(キリンテクノシステム(株))

ものづくり日本のメーカーによるHOTARUインターフェース開発の紹介 HOTARUインターフェース開発委員会

3年目の実績が示すPoint Grey社製 USB3カメラの実利用 (株)ビュープラス 中村心哉

①テレダイン・ダルサ製品最新動向
・CMOSカラー/モノクロ 高速ラインスキャンカメラ
・次世代カメラリンクフレームグラバー
②FLIR社 OEM向けTau2 サーマルカメラ Version2.4 の導入メリット (株)エーディーエステック ①太田将樹②石倉祐三

マシンビジョンの未来を拓くコンピュテーショナルフォトグラフィ技術 広島市立大学 大学院情報科学研究科教授 日浦慎作

マシンビジョンの過去、現在、これから 蝶理イメージング(株) 代表取締役社長 高岡 豊

画像処理におけるCUDA・GPUの活用と性能向上実現へのポイント エヌビディア 森野慎也

画像処理市場の潮流を読む:
~変化する画像処理の応用市場とコンポーネント技術の革新を解説~
新規応用市場:「工場の外へ」
(小売店、コードリーダー、OCR、医療、バイオ、…)
技術革新:USB3、画像センサー、三次元計測、分類法、… (株)リンクス 村上 慶

マシンビジョン照明規格の国際的動向とセンサー性能表示規格EMVA1288の最新情報 照明分科会主査 増村茂樹(シーシーエス(株))
カメラ仕様分科会主査 杉森健司((株)シムコ)

世界初プロフェッショナル液体レンズ ~高速・省電力・堅牢・高画質~ クロニクス(株) Frederic LAUNE

CoaXpress-meeting the challenge for faster frame grabber interface
-Euresys- フレームグラバーボード最新情報 EURESYS s.a./ Mr.Marc Damhaut・Mr.keith Russel

非接触検査技法としてのアクティブ・サーモグラフィ
及び3D計測 ・FLIR社 赤外線サーモグラフィカメラ
・Automation Technology社 アクティブ・サーモグラフィ
・LMI社 3Dラインプロファイラー (株)エーディーエステック/楯 裕一郎、酒井洋幸

「レンズ拡散板:LSD」による画像処理用照明の品質向上/「照明シミュレーター」による開発期間短縮 (株)オプティカルソリューションズ 関 雅也

マシンビジョンを支えるデジタルカメララインナップと用途事例 東芝テリー(株) 岩田利明

CMOSIS high technology of CMOS camera sensors and future
(CMOSIS 超高性能CMOSカメラセンサとその将来) CMOSIS Mr. Lou Hermans

History and future prospect on 4k TV and 4k digital cinema
(4kディジタルシネマ開発の歴史と展望) former member of NTT Mr. Sadayasu Ono

海外市場が求める最適品質の作り方~目視検査の限界を考える~ (株)オービット 山田宏和

Learning Based Image Enhancement(学習型画質改善技術) College of Information Science and Engineering,Ritsumeikan University Prof.Yen-Wei Chen

画像処理市場の潮流を読む:
~変化する画像処理の応用市場とコンポーネント技術の革新を解説~
新規応用市場:「工場の外へ」
(小売店、コードリーダー、OCR、医療、バイオ、…)
技術革新:USB3、画像センサー、三次元計測、分類法、… (株)リンクス 村上 慶

CoaXPress規格の最新情報および、カメラ制御の新標準IIDC2の概要と最新動向 CoaXPress分科会主査 渡邉雅仁 (アディメック・エレクトロニック・イメージング(株))
IIDC2分科会主査 鳥居貞文 (浜松ホトニクス(株))

イメージセンサー技術とインタフェース技術を基にした最適なカメラの選び方 Point Grey Research(株) 吉田里志

最適なカメラ選定に必要な基礎知識 3
センサー/インターフェースの特徴と機器選定
~ CCD,CMOS / CoaXPress,USB3.0,CameraLink,GigE… ~ (株)アプロリンク 水見暢志

Robot & Remote-Controlled Machine Technology for Response against Accident of Nuclear Power Plants toward Decommission
(廃炉に向けた原子力発電所事故対応のためのロボットおよび遠隔操作機器技術) University of Tokyo Prof. Hajime Asama

⇒ 国際画像機器展2013ウェブサイト

論文捏造の元教授が退職金を返納

松原弘明京都府立医大元教授(56)は2013年2月に退職していましたが、府立医大在職中に発表した5論文でデータ捏造があり、懲戒免職相当と判断されていました。

参考サイト

  1. バルサルタン:臨床試験疑惑 論文捏造の元教授、退職金返納 京都府立医大が学長ら処分(毎日新聞 2013年10月12日
  2. 京都府立医科大学循環器内科、関西医科大学第二内科の松原弘明氏の論文での研究不正疑惑について(http://blog.goo.ne.jp/matsubaralaboratory

Diovan臨床研究の滋賀医科大SMARTでも不正か

ノバルティスの降圧剤「ディオバン(一般名=バルサルタン)」 の臨床研究を行ったのは、

  1. 京都府立医科大学(KYOTO Heart Study)
  2. 東京慈恵会医科大学(JIKEI Heart Study)
  3. 滋賀医科大学(SMART; ShigaMicroalbuminuria Reduction Trial)
  4. 千葉大学 (VART; Valsartan Amlodipine Randomized Trial)
  5. 名古屋大学(NAGOYA Heart Study)

の5つ。いづれも研究を主導した研究室に多額の寄付金が供与され、ノバルティス社にとって都合の良い実験結果が得られていました。京都府立医科大学(KYOTO Heart Study)と東京慈恵会医科大学(JIKEI Heart Study)に関しては学内の調査結果が発表されており、データ操作に問題があったと結論付けています。滋賀医科大学でも論文に記載されたデータと元の資カルテの数値が一致しない部分が多数あり、データ改竄(かいざん)、データ捏造(ねつぞう)が疑われています。

千葉大学と名古屋大学はまだ論文不正調査の結果を発表しておらず、公表が待たれます。

参考

  1. ディオバン、滋賀医大もデータ不一致 学内調査、月内に公表(産経ニュース2013.10.14 09:23
  2. ノバルティス ディオバン(バルサルタン)臨床研究データ捏造疑惑 (http://diovan-novartis.blogspot.jp/
  3. 降圧剤「ディオバン」捏造臨床論文 滋賀医科大やっと認める 往生際悪い名大 (http://n-seikei.jp/)

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科研費応募のすすめ

研究費のボスは、ラボの運営に必要な資金を得るために科研費に応募するのは当然です。その下の助教などのスタッフもラボの運営を助け、また自らの独立した研究を推進するうえで、科研費の獲得は非常に重要です。

ポスドクの場合はどうでしょうか?ボスがしっかりお金を取ってくるラボであれば、ポスドクは自分で研究費を稼いでくる必要性をあまり感じないかもしれません。もちろん科研費の申請を出せない雇用形態もあります。しかし応募資格があるのにチャレンジしないのだとしたらもったいない話です。なぜなら、科研費獲得実績は、近い将来PI(Principal Investigator 研究代表者)のポジションを獲得するためには、論文業績と同じくらいに重要になってくるからです。

お金を集めてくるのがうまいボスが率いる大きなラボで、ポスドクとして長い年数研究に専念してしまった場合、ジョブアプリケーションの外部資金獲得実績の欄が空欄になってしまうという落とし穴があります。今の自分の業績では無理、などと自分で決め付けてしまわずにチャレンジしましょう。仮に自分の申請が採択されなかったとしても、自分の研究の強みや弱みを再確認してよりよい実験計画へ修正するいい機会です。

2013年ノーベル化学賞は計算化学のカープラス、レヴィット、ワーシェルの3氏に

2013年ノーベル化学賞は、計算化学の分野で功績のあったマーティン・カープラス(Martin Karplus)、マイケル・レヴィット(Michael Levitt)、アリー・ワーシェル(Arieh Warshel)の3氏。受賞理由は、 複雑な化学システムに対するマルチスケールモデルの開発に対して(”for the development of multiscale models for complex chemical systems”)。タンパク質のような高分子の動態を計算機で調べる場合に、全ての原子に関して量子力学による記述を行うことは計算量が膨大になりほとんど不可能です。そこで、反応に関与する小さな領域だけに対して量子力学を適用し、残りの大部分は古典力学で記述するという方法を考案しました。これにより計算量を減らしたモデリングが可能になりました。

2013年ノーベル化学賞受賞者の発表。
Quick look: 2013 Nobel Prize in Chemistry Announcement

  1. マーティン・カープラス氏の略歴(英語)ハーバード大学ウェブサイト
  2. マイケル・レヴィット氏の略歴 スタンフォード大学
  3. アリー・ワーシェル研究室のウェブサイト(南カリフルニア大学)
  4. ノーベル財団のプレスリリース(PDF)
  5. 受賞対象となった研究の詳細な解説と3氏の貢献に関する解説(ノーベル財団 英語PDF)

2013年ノーベル物理学賞はアングレール、ヒッグス両氏

2013年のノーベル物理学賞受賞者が発表されました。受賞したのは、ブリュッセル自由大学のフランソワ・アングレール氏とエディンバラ大学のピーター・ヒッグス氏。受賞理由は、素粒子の質量の起源を説明する機構の理論的発見に対して(”for the theoretical discovery of a mechanism that contributes to our understanding of the origin of mass of subatomic particles, and which recently was confirmed through the discovery of the predicted fundamental particle, by the ATLAS and CMS experiments at CERN’s Large Hadron Collider”)。この「ヒッグズメカニズム」と呼ばれる理論が正しいためには、理論の中で出てくる「ヒッグズ粒子」の存在が証明されなければなりません。実験物理学者らはこのヒッグズ粒子が存在する証拠を実験的に示そうと長年努力してきました。去年になってようやくそのような実験データが得られ、今年その内容が論文発表されたという経緯があります。このような状況から、多くの人が今年のノーベル物理学賞はヒッグズ氏に与えられるであろうと予想していました。

ヒッグズ・メカニズムは、ピーター・ヒッグスが1964年に提唱した、ゲージ対称性の自発的やぶれと質量の生成に関する理論ですが、同時期に複数の研究グループから同様の理論が独立に提唱されたため、3人の名前をつないでブルー・エングレール・ヒッグス・メカニズム(Brout–Englert–Higgs mechanism)と呼ばれたり、もっと多くの人の名前をつないだ名称で呼ばれることもあります。(ウィキペディア:ヒッグズ機構

フランソワ・アングレール氏が2013年4月21日にテル・アビブ大学で行ったブルー・エングレール・ヒッグス・メカニズムに関するレクチャー。
The Brout-Englert-Higgs Mechanism and its Scalar Boson

オランダの理論物理学者ヘーラルト・トホーフト(Gerardus ‘t Hooft)氏が2012年4月9日にカリフォルニア大学バークレー校で行ったヒッグズ粒子に関するレクチャー。

2013年ノーベル医学生理学賞はジェームズ・ロスマン、ランディ・シェックマン、トーマス・スドホフの3氏に

2013年度のノーベル医学・生理学賞が発表されました(http://www.nobelprize.org/)。受賞したのはジェームズ・ロスマン(James E. Rothman)、ランディ・シェックマン(Randy W. Schekman)、トーマス・スドホフ(Thomas C. Südhof)氏の3人。受賞理由は、細胞内の小胞輸送を制御する機構の発見に対して(for their discoveries of machinery regulating vesicle traffic, a major transport system in our cells)。

ちなみにジェームズ・ロスマンとランディ・シェックマンの2人は、「細胞内膜輸送を調節する機構の発見」(For discoveries revealing the universal machinery that orchestrates the budding and fusion of membrane vesicles—a process essential to organelle formation, nutrient uptake, and secretion of hormones and neurotransmitters.)で2002年にアルバート・ラスカー基礎医学研究を受賞していました。また、トーマス・スドホフ氏は2013年のアルバート・ラスカー基礎医学研究を「神経伝達物質の急速な放出の基礎となる、分子機構および調節システムに関する発見」(”For discoveries concerning the molecular machinery and regulatory mechanism that underlie the rapid release of neurotransmitters. ”)によりRichard Scheller氏と共に受賞していました。

ノーベル賞受賞者決定のアナウンス。5か国語で順にアナウンスしています(スウェーデン語、英語、ドイツ語、フランス語、ロシア語)。英語での発表は1分46秒から。その後受賞理由の解説が続きます。
Nobel Prize announcement in Physiology or Medicine 2013

Südhofのカタカタ表記に関しては、彼がドイツ人でアメリカの大学教授であるということからドイツ語読みするか英語読みするかで新聞社によりまちまちです。ここでは、サイエンティストライブラリー:御子柴克彦 俯瞰と徹底 分子から細胞、発生へという日本語の記事の中の記述「結局、グリーンガード、シュナイダー、スドホフらも同じものを追いかけていたことになりますが、彼らに先んじることができました。」を参考にスドホフとしました。

分子生物学会2013@神戸で婚活?

今年の分子生物学会年会の実行委員長は近藤滋氏。熱帯魚の縞模様を始めとして動物の形態が示すパターンがどのようにして形成されるのかを明らかにしてきた業績で世界的に有名ですが、その「かなり個性的」なパーソナリティもまた広く知れ渡っています。

その近藤滋氏が音頭を取る今年の分子生物学会年回は、従来の「学会」の概念をひっくりかえすくらいに面白いものになりそうです。細胞工学(和文レビュー雑誌)に「こんどうしげるの 生命科学の明日はどっちだ!?」という人気コラムを連載していて、 第十六回:来年の分子生物学会は嵐を呼ぶぜ!では以下のような所信表明を行っていました。

諸君、私は分生が好きだ。
諸君、私は分生が好きだ。

諸君、私は分生が大好きだ。

シンポジウムが好きだ。ワークショップが好きだ。プレナリートークが好きだ。ポスター発表が好きだ。ランチョンセミナーが好きだ。企業展示が好きだ。フォーラムが好きだ。受賞講演が好きだ。

横浜で、札幌で、京都で、博多で、神戸で、この日本で行われるあらゆる分子生物学会が大好きだ。

朝一番の講演のために、聴衆が一斉に会場に入ってくるのが好きだ。

座長の挨拶に続いて会場が暗くなり、最初のスライドが映し出されるとこころが踊る。

極めつけのデータを示したスライドで、会場に軽いため息を上げさせるのが好きだ。

ツッコミを入れてくる質問者を、更に決定的なデータでやり込めた時など、胸がすくような気持ちだった。

ずらりと並んだポスターの前を、そぞろ歩きをしながら眺めるのが好きだ。

紳士服の青木で買った新品スーツを来た大学院生が、一生懸命説明している様など感動すらおぼえる。

展示会場で、企業の係員から手渡される粗品を集める楽しさといったら、もうたまらない。

アンケート用紙を手にしたグライナーのコンパニオン部隊が、引き気味の大学院生に、何度もアタックを繰り返すのも最高だ。

マイナーなテーマのシンポを主催するのが好きだ。

頑張って動員をかけたのに、トークの切れ目ごとに人が立ち上がり去っていくのを見るのは、とてもとても悲しいものだ。

コンピートしているラボに先を越されるのが好きだ。

ひとつ前の演者に自分と同じ実験結果を話されてしまい「偶然同じ結果なのですが」と前置きせざるをえなくなるのは屈辱の極みだ。

諸君。

分子生物学会の会員諸君。

君たちは、2013年神戸年会に一体何を望んでいる?

今までどおりの分生を望むか?

もっと刺激的なイベントにあふれた学会を望むか?

熱血議論の限りを尽くし、三千世界の新発見があふれる、嵐の様な学会を望むか?

「分生」「分生」「分生」

よろしい。ならば分生だ。

我々は、手に入れた研究結果を、今まさに発表せんとする若手研究者だ。

だが、世間から隔絶された実験室で、1年間耐え続けてきた我々に、ただの学会ではもう足りない。

大学会を!

一心不乱の大学会を!

分子生物学会を面白くするために様々な企画案があったようでそれらのいくつかは実現するようです。海外ポスドクの学会参加支援、TEDフォーマットのプレゼン、楽器経験者によるJAZZ演奏、出会いがない若手研究者男女出会いの場のプロデュースなど、真面目な学術集会にイベント性が付加されており、こんな学会なら参加してみたいと思わせる内容です。

しかし一番取り上げて欲しかったデータ捏造論文不正問題への取り組みが現時点ではウェブサイト上に見当たらないのが気になります。12月までにはまだ間があります。分子生物学会が研究不正防止に向かって真正面から取り組んでいることを示す企画を上げてきてほしいものです。

捏造論文を出したラボヘッドたちをパネリストとして招待するとか、分子生物学会の重鎮を集めて「非捏宣言」をしてもらうとか、データ捏造の現場を目撃したことのある人たちによる覆面座談会とか、リアルタイム匿名掲示板による論文不正防止の議論とか、とにかくなんでも良いので、分子生物学会はこの問題を風化させるつもりはないという意思表示をしてもらいたいものです。それなくしては、分子生物学会に明日はありません。

第36回日本分子生物学会年会(年会長:近藤滋)ウェブサイト

10月19日(土)筑波宇宙センター特別公開

毎年恒例「宇宙の日」の筑波宇宙センター特別公開。今年の日時は、
日時:10月19日(土)10:00~16:00(入場15:30まで)
場所は、
茨城県 つくば市 千現2-1-1(郵便番号 305-8505、電話番号 029-868-5000)

ファンファン!JAXA!:宇宙航空研究開発機構 JAXA(ジャクサ)イベント情報ウェブサイト

国際宇宙ステーション(ISS)ライブ映像(http://spacestationlive.nasa.gov/timeline/


Live streaming video by Ustream

2013年のノーベル賞受賞候補者を予測

学術情報、研究動向の分析を行うトムソン・ロイター社が、論文・引用データに基づいてノーベル賞クラスの研究者を選出し、本年度のトムソン・ロイター引用栄誉賞の対象者として発表しました。選ばれたのは以下の3氏です。

大隅 良典 氏(医学・生理学分野「オートファジーの分子メカニズムおよび生理学的機能の解明」)→東京工業大学  大隅研究室ウェブサイト
水島 昇 氏(医学・生理学分野「オートファジーの分子メカニズムおよび生理学的機能の解明」)→東京大学 水島研究室ウェブサイト
細野 秀雄 氏 (物理学分野 「鉄系超伝導体の発見」)→東京工業大学 細野研究室ウェブサイト

トムソン・ロイターによると、トムソン・ロイター引用栄誉賞の選出は、ノーベル賞受賞と高い相関性を示しているそうです。つまり、上記3氏はノーベル賞の有力候補と言えます。

参考

  1. 「トムソン・ロイター引用栄誉賞」を発表。日本からは、東京工業大学の細野秀雄氏、大隅良典氏、東京大学の水島昇氏 (トムソン・ロイター 2013年 プレスリリース
  2. 日本人3人含むノーベル賞有力候補を発表=トムソン・ロイター(朝日新聞デジタル2013年9月25日

科研費申請書の書き方

* これは古い(2013年9月)記事です。最新版(2014年9月)のこちらの記事をご覧ください
⇒ 【平成27年度】誰も教えてくれなかった「通る」科研費申請書の書き方

 

今年も科研費申請の時期がやってきました。

文科省の予算配分もあって、ここ数年リサーチアドミニストレーター(URA)を大学が雇用する動きが活発になってきました。URAの重要な職務の一つが、外部資金獲得支援です。今まで科研費をどう書いたら良いか悩んでいた研究者も今年は強力な助っ人を得て、今までよりもずっと良い申請書が書く人が増えそうです。

申請書の書き方テクニック~科学研究費(若手研究B)を例に~ 福井大学URAオフィス (PDF14ページ):望ましくない言葉遣いを具体的に列挙するなど、丁寧・親切。

科研費計画調書の書き方指南 九州大学大学院数理学研究科 三町勝久(PDF5ページ):典型的な採択されないポイント6点、採択される申請書を書く際の心構えなど。

現時点で一般に公開されていませんが、京大も科研費申請書指南書を作成しています。

「科研費申請書の教科書」~サステイナブルな研究活動を行うために 京都大学学術研究支援室:落ちる申請書には理由があった!京都大学で採択・不採択になった科研費申請書を網羅的に分析すると、明らかな差があることに気付いた。優れた研究でも「伝わらない」申請書は採択されない。審査委員に「伝わる」申請書の書き方を、学術研究支援室が説く!(*本書は学内の科研費説明会の参加者にお配りし,また教員の方々には部局を通じて本書を配布させていただきました.既に数々のお問い合わせを頂いており,本書への強いニーズを実感しております.)

今年の申請に合わせたタイミングで新しく書籍も出版されています。

科研費獲得の方法とコツ 改訂第3版〜実例とポイントでわかる申請書の書き方と応募戦略 児島 将康  (出版年月日:2013/8/10):
ビジュアル図解 科研費のしくみと獲得法がわかる: 応募の方法から、申請書の書き方・仕上げ方まで 佐藤 成美  (出版年月日2013/7/23)

「霊長類認知ゲノミクス」キックオフワークショップ 9月30日(月)-10月1日(火)@生理研

「霊長類認知ゲノミクス」キックオフワークショップ
期日:9月30日(月)-10月1日(火)@
会場:自然科学研究機構生理学研究所

ヒトの高次認知機能やその破綻として現れる精神・神経疾患の根本的な理解には、マウスやラットなどのげっ歯類に代わる、ヒトにより近縁な霊長類モデルの開発が必要不可欠であると考えられます。ヒトの疾患、特に高次認知機能に関わる病態機序の解明には、そもそもヒト脳との形態や機能分化の程度において大きな差異があるマウス脳やラット脳で得られた結果を、ヒトに外挿する方法論の限界も指摘されており、一方、ヒトにおいては、病態と遺伝子・分子の相関関係は明らかにできる可能性がありますが、実験的な操作や侵襲的な実験が不可能なため、因果律の解明まで踏み込む事が極めて難しいのが現状です。

そこで、本プロジェクトでは、ヒト脳との形態的・機能的類似性を持ち高次認知機能課題の遂行に優れているマカクザル(ニホンザルおよびアカゲザル)、また、高度の社会性・認知機能を有し、かつ世代時間の短いマーモセットを対象に、げっ歯類でもヒトでも行えないエビデンスベースの因果律の解明を目指した霊長類精神・神経疾患モデルの作出を行う事を目標とするものであります。


上記の目的を達成するために、具体的に3つのフェーズを想定しています。


① みつける(ゲノム解析:エキソーム解析、CNV 解析、など)
② はかる(中間表現型解析:遺伝子発現解析、タンパク質機能解析、脳構造・機能イメージング、認知行動解析、など)
③ そうさする(操作・介入実験:遺伝子導入、クローンサル作製、など)


上記の3つのフェーズ間をシームレスかつ体系的につなぎ合わせることで、「霊長類認知ゲノミクス」研究を推進しようというのが本ワークショップのねらいです。

http://www.nins.jp/cnsi/brain/index.php#bs_infoより一部転載)