令和7(2025)年度採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考の結果を令和6(2024)年9月27日付けで、電子申請システム(外部サイト)にて開示しました。申請者は、申請書作成時に使用したID・パスワードで電子申請システムにアクセスし、選考結果を確認してください。
令和7(2025)年度採用分特別研究員(PD、DC2、DC1)の第一次選考の結果を令和6(2024)年9月27日付けで、電子申請システム(外部サイト)にて開示しました。申請者は、申請書作成時に使用したID・パスワードで電子申請システムにアクセスし、選考結果を確認してください。
アカデミアでパーマネントなPI職(Principal Investigator、主任研究員)を獲得できなかった場合のキャリアについて、どんなものが考えられるのかを生成AIの一つであるperplexity.aiに訊いてみたところ、以下のような答えが返ってきました。
これらのキャリアパスは、アカデミアでの研究経験や専門知識を活かしつつ、異なる形で科学や研究に関わり続けることができる選択肢です。個人の興味や適性、スキルセットに応じて検討することが重要です。
産業界の研究職
民間企業のR&D部門で研究者として働く
民間企業への転職は自分も考えましたが、いかんせん、行動に移したときは既に40代でしたので、人材登録会社の人と面談しましたが、全然いい職を紹介してもらえませんでした。唯一、求人票を見せてくれたのが、いつ潰れるともわからないベンチャー企業の技術営業で、年収も低いものでした。1年後になくなっているかもしれない会社に移るのなら、1年契約のポスドクと大差ないし、アカデミアで職を探し続けるほうがましだと判断しました。ポスドクからまともな製薬会社に転職した人が周りにいましたが、みな30代前半だったと思います。
当時はアカリクが存在していない時代でした。今なら、アカリクに相談の一択かな。アカデミアからインダストリーに転向するなら、絶対に転職エージェントを使った方がいいです。アカデミアから会社に移った人がそう言っていました。とても助けになったそうです。
アカデミアで研究をやってきた自分にとって当たりまえすぎて強みやセールスポイントになるとは到底思えないことが、第三者の目からするとインダストリーのジョブマーケットにおいては非常に魅力的な武器になることがあります。仮にアカデミアで生き残れるだけの研究業績がなかったとしても、英語力、プレゼン能力、交渉能力、異分野の人や立場が違う人とでも協調できるコミュニケーション能力、データ収集能力、問いや仮説を設定しそれを検証する能力、誰かに指示されなくても問題や課題を見つけ出す能力、データ解析能力、文章執筆能力、企画力などなど、いくらでもあるはず。これらの能力は研究者にとってはあって当たり前のことなので、わざわざそれが誰かに評価されるなんて本人には想像できないものです。
ポスドク研究員の継続
別の大学や研究機関でポスドクを続ける
独身ならそういう人生もあるのかもしれませんが、さすがに結婚していて早くどこかに落ち着いてと毎日プレッシャーをかけられている状態では、さらにポスドクを続けるという選択肢は選びにくいでしょう。
研究マネジメント職
大学や研究機関の研究支援部門、URA(University Research Administrator)など
URA職は文科省が普及に力を入れているので、将来性があるのではないかと思います。ただしURA職の取り扱いは大学によりけりです。文科省の助成事業にのっかってURAを雇用したが、数年後に財源がつきてURAを解雇したという研究大学も間近に見てきました。いまだに有期(任期あり)でしかURAを雇用しない有力研究大学もあるくらいなので、先行きが不透明です。
科学コミュニケーター
科学館や博物館の学芸員、サイエンスライター
博物館の学芸員も競争率が非常に高いと思います。科学館のサイエンスコミュニケーターも、非常に残念なことに有期雇用しかないようです。サイエンスライターは、自営業なので食えるか食えないかはその人次第でしょう。食えない研究者が、もっと食えそうにない作家になって食えるようになるの?と考えたら、かなり悲観的な考えしか浮かびません。
科学政策アドバイザー
政府機関や国際機関で科学政策の立案に携わる
過去の研究者時代の知り合いの人で、今の所属を見たらプログラムオフィサーになっている例を見たことがあります。そんな道があったのかと、新たな気づきでした。
特許関連職
特許事務所や企業の知的財産部門
研究職から弁理士になるというのはわりと良く目にするキャリアチェンジです。自分も一瞬考えたのですが、特許独特のあの文章を読んだときに、自分の専門分野の内容であっても何が書いてあるのか全く理解できず、ましてやそんな文章を自分が書けるようになる気がしなくて、選択肢から外しました。
【特許請求の範囲】【請求項1】対象において腎臓がんを検出する方法であって、前記対象から得られた尿サンプルを規定倍率に希釈することと、希釈した尿サンプルに対して線虫が誘引行動を示すか否かを評価することと、を含み、前記規定倍率が200以上の倍率である、方法。https://ipforce.jp/patent-jp-P_B1-7170280
科学教育者
高校や予備校などでの教職
高校の先生は自分も一瞬考えたことがあります。実際、教育委員会の人と面談したことがあるのですが、「ブラックですけど大丈夫ですか?」とハッキリ言われました。ポスドクの生活より大変なことが世の中にあるとも思わなかったので、「大丈夫です。」と返しました。
予備校で教えるというのはありかもしれません。実際、自分の浪人時代に通っていた予備校には、大学の先生やもと大学の先生が何人も教えていました。経済的に恵まれるかどうかは本人の実力次第なのでしょう。
自分はもう予備校に雇ってもらうような年齢でもないので、個人的に塾をやるしかないかなと思います。お客さんをどうやって集めればいいのか、わかりませんが。都会でも田舎でもどこにいっても、駅前には必ず学習塾がいくつも存在しており、補習塾や受験指導の塾は永遠に不滅だなあといつも思います。しかし、この数十年間、東大を頂点とする偏差値に大きく影響されて志望大学を決めることが全く変わっていないのを見ると、何だかいびつに思えて仕方がありません。
東大に合格することと人生で成功すること、幸せな人生を手に入れることとは、ほとんど関係ありません。実際のところ世の中のほとんどの人は東大には行かないわけですが、成功する人は成功し、幸せになる人は幸せになっています。知能信仰、偏差値信仰はなぜ何十年も不変なのでしょうか。
中高6年間という最も多感な時期を、偏差値の高い大学へ合格することという価値観だけで過ごすのはあまりにももったいないのではないでしょうか。
研究資金団体職員
研究助成財団などでプログラムオフィサーとして働く
助成財団が研究経験者を雇用しているのかどうかは自分は情報を持ち合わせていません。
科学系スタートアップ
自身の研究を基にしたベンチャー企業の立ち上げ
自分にベンチャーのネタがあればいいのですが、持ち合わせていません。もちろん、他人のネタでも、お金になりそうなものを見つけて、特許関係をしっかり固めて起業するというのはありだと思います。ただしその場合は相当の目利きの能力が必要でしょう。無理やり論文にしただけの怪しい知見に基づいてビジネスをやるのは危険すぎます。
【続報】線虫がん検査は有効か。全国規模の調査開始。【HIROTSU社、反論文を公開】線虫くん/広津社長/がん検診/N-NOSE(解説:須田桃子) NewsPicks /ニューズピックス チャンネル登録者数 139万人
データサイエンティスト
研究で培った分析スキルを活かし、様々な産業で働く
データサイエンスは時代の要請に合ったもので、チャンスが大きいと思いますが、素養がない人にはどうしようもありません。バイオ系でもバイオインフォマティクスなどの研究をしてきた人は相性がいいのかもしれません。自分のように統計といえばt検定くらいしか使ったことがない人間にはちょっと敷居が高すぎます。
博士号を取得したあと、アカデミックキャリアを目指すか、それ以外の道を目指すかは悩むところです。
文科省が凝りもせずにまたやってくれます!「博士人材活躍プラン」、なんて夢のある響きでしょう。アンケート結果を見ると、実際に多くの人が期待をかけているようです。なのであえて、アンケートの中から批判的なコメント(自分が読んで共感したもの)を紹介します。
- 失敗の分析を全くしていないために、同じ悲劇を繰り返そうとしている
- アカデミアで研究を続けたい場合の解決策が示されていない
- 博士課程で指導できる人と環境がなければ、博士の育成は不可能
- 「目標とするべき先輩」である世代(35-45歳)の方々の現状が悲惨
- 文科省は各研究機関にいるポスドクや会計年度雇用職の研究者の業績をちゃんと調査したほうが良いと思います。ものすごい業績の方々がたくさんいます。まずはそうした方々にスポットライトを当てるべきです。
- 今後博士号を取得する人のサポートはするが現在困っているいわゆるポスドク1万人計画世代(氷河期世代)の博士人材のことには触れられていない。まずは、ポスドク1万人計画で生みだされ、任期無しポジションにつけず薄給で生活し、結婚もままならないなど非人間的な生活を送らざるを得ない、40代前後の博士人材を活用するのが先
- 日本は企業とアカデミアで必要とされるスキルや知識の乖離が非常に大きい
- 修士での就職の方が容易であるため、就職後に働きながら、博士課程で取得することが主流になるように、制度を作って行った方が良い
「博士人材活躍プラン~博士をとろう~」 意見書提出に向けたアンケート 集計結果(第1版) 回答期間:2024.4.10 – 5.10 回答者数:1531名 2024.6.9
文部科学省で博士号取得者を3倍に増やす「博士人材活躍プラン」が始動する。約30年前の「ポスドク1万人計画」と異なるのは博士人材の需要を学術界の外に作ろうとしている点だ。大学などのポストはほぼ増えないことを前提に、産業界や教育界に採用拡大と処遇改善を働きかけ、多様な場面で博士人材が活躍する社会を作る。
博士3倍プラン始動…ポスドク問題で根付いたネガティブイメージ払拭できるか 2024年04月10日 ニュースイッチ 日刊工業新聞
令和7年度 文部科学省概算要求のポイント(科学技術関係) 博士人材が活躍できる研究開発マネジメント体制の整備 15億円(新 規 )
令和7年度概算要求について 文部科学省 https://www.mext.go.jp/content/20240830-mxt_hojinka-000037878_8.pdf
海外でも、研究している人とビジネス専門の人がいますが、その中間の人がたくさんいます。研究をしながらビジネスを手掛け、CEOをやっている大学教授がごろごろいます。日本では研究者は論文を書いて終わりで、実用化まではめんどうをみません。一方、ビジネス側は、お金にならないとやらないので、いつまでたっても研究とビジネスの間に橋がかからないと感じています。資金の問題もあります。今はわりとベンチャーキャピタルから資金調達ができるようになっているので、きちんとしたビジネススプランを描ければお金には困らないと思います。‥ 大学教員に応募したのですが、ひとつの教員ポストに200人以上が応募するわけなんですね。ポスドク1万人計画の大失敗はそこです。博士は作ったけれど、働く場所がない。
20年かけて「無職の博士」を大量に生み出した…世界一だった日本の研究力が最低レベルに陥った根本原因 凄い研究をしていてもまったく稼げないワケ 2023/11/17 PRESIDENT Online 桜庭 喜行 Varinos代表取締役CEO
鉄緑会が塾だというのを最近知った。。
東大の鉄道関連のサークルで、たくさんの鉄っちゃんの人たちがいるのかと勝手に思ってた。。— さかな@世界のかまこぼ (@ShunSakana) October 20, 2023
東大志望者専門の予備校で鉄緑会なるものがあります。
鉄緑会のカリキュラムは、確実な東大現役合格のための最も効率的な6年間の学習方法を追求したものであり、約40年にわたり培われてきたノウハウの集大成です。 https://www.tetsuryokukai.co.jp/features.html
東大は一部の中高一貫進学校が合格者の結構な割合を占めていますが、理IIIの場合は鉄緑会出身者が6割なのだそう(年による)。自分には、異常な数字に思えます。ネットで時々名前を聞く鉄緑会とはいったいどのような組織(?)なのでしょうか。
既存のマスプロ化した塾や予備校の画一的な指導方法に疑問を持った東大医学部、法学部の学生・卒業生によって、自ら開発、実践した学習法をもとに理想の教育機関を目指し、1983年に設立されました。
東京大学受験指導の名門 鉄緑会 公式ウェブサイト(太字強調は当サイト)
ネットでちらほら出ている情報からすると、「もともと頭脳優秀な子供たちを集めてきて、スパルタ式に東大の入試問題が解けるだけのスキルを叩き込んで、スパルタ式訓練についてこれた子らを東大に送り込む塾」というのが自分の持っている鉄緑会の印象なのですが、実際のところどうなのでしょうか。少し網羅的に情報を検索し、以下にまとめてみました。
下の動画では、鉄緑会で教えていた人が内部事情を話していて、どんな塾なのかが良くわかります。全般的な紹介+内部にいた人ならではの実情がたっぷり聞けます。
【天才集団鉄緑会】早慶なら浪人選択!?鉄緑会がヤバいと言われる理由を全てお話しします【元鉄緑会講師1000人指導】 母子家庭から桜蔭東大卒【ゆき先生CH】 チャンネル登録者数 4.35万人
下の動画は鉄緑会がどんな塾なのか、どんな子供が向いていないのかが語られてています。勉強する習慣が身についていない子供、塾の凄まじい速さの授業の進行についていくだけのコミットメントができていない子供、その能力がない子供、勉強以外のこともやりたい子供は鉄緑会には向いていないんじゃないかと思いました。
【東大理三】鉄緑会のココがおかしい!?元講師が語ります【大学受験】 母子家庭から桜蔭東大卒【ゆき先生CH】 47.7K subscribers
鉄緑会は東京と大阪にあるそうです。下の動画は(大阪の)鉄緑会の「校風」がよくわかる内容でした。
【魔境】ベールに包まれた超エリート進学塾「鉄緑会」の実態を、元東大理3受験生がすべて教えます。 雷獣 チャンネル登録者数 20.9万人
下の動画で鉄緑会出身の人が実情を話していますが、ちょっと意外だったのは、鉄緑会で教えてる人の多くは学生のバイトなのだそうです。正社員は非常に少ないそう。これは大手予備校との大きな違いではないでしょうか。
現役東大生が語る鉄緑会の光と闇 CASTDICE TV チャンネル登録者数 16.9万人
下の動画で実際の内容が語られていましたが、宿題が多いのが特徴で一科目3時間かかるそう(毎日?毎週?次の授業の日までの数日間ということでしょうか)。
天才高校生が集まる最高峰の塾!〇〇会調査!【wakatte.TV】#413 wakatte.tv チャンネル登録者数 57.1万人
鉄緑会では毎週膨大な量の宿題が課されます。鉄緑会自体、演習に重きを置いているので宿題がとても大事なのですが、英数2科目通っている生徒様だと毎週6-10時間くらいはかかり、この宿題の多さも通っている生徒様には大きな負担になってきます。
鉄緑会生の学歴観 CASTDICE Medical【医学部受験専門塾】 チャンネル登録者数 1.72万人
「鉄緑会」は凡庸な塾です。教材も教師も取り立てて優れてはいません。ただ、生徒は優秀な子が多いので一定の実績がある、それだけのことです。できない子をできるようにする魔法など存在しないです。
【4467488】中受に失敗、鉄緑会でリベンジは不健康ですか? inter-edu
鉄緑会が作成した教材は本当に良質です。本当に素晴らしいです。高校3年間で様々な教材を使ってきましたが、鉄緑会の教材に勝るものはありませんでした。当然、人によって好みは別れるので、鉄緑会の教材が合わない人もいるかもしれませんが、私には最適でした。
地方でも鉄緑会の授業が受けられるって知ってた?〜Benesse鉄緑会個別指導センター体験記〜 116 UTFR UTFR 2020年6月16日 13:18
進学実績が高い中高一貫校(鉄緑会の指定校)では入学式の日に帰る頃、学校の前で鉄緑会のチラシが配布されるのだそうです。
(https://x.com/iori_s214/status/1628371030371872773)
下の動画は、鉄緑会の内情がいろいろ語られていて興味深かったです。東大に入るのに「中高一貫校+鉄緑会」という道をたどる人もいれば、「県立高校+部活」という道をたどる人もいるわけで、それに対する思いなども語られています。授業の様子(講師の発言)なども紹介されていますが、それを聞くと、やはりスパルタ式のようで、鉄緑会と生徒の相性が合う合わないがあるのだろうと思いました。この動画を見ると、鉄緑会は偏差値至上主義、医学部至上主義に洗脳される環境のように思います。自分の子供を鉄緑会に入れて安心する前に、親御さんたちにはぜひ見ておいてほしい動画です。もちろん中学生、高校生本人もこれを見て、合わないと思ったら避けたほうがよいです。
「東大以外大学じゃない」鉄緑会の圧倒的合格実績のウラを全てお話します【洗脳】 トマくるチャンネル【慶医中退外銀放逐妻&1浪明治夫】 チャンネル登録者数 4840人
最高峰の中学に入ったのに、なぜ鉄緑会に入るのか?ネットで素朴な疑問に意外な反応 コバショー【CASTDICE塾長】 チャンネル登録者数 4.88万人
(https://x.com/azabu_tatekan/status/1484785427512848385)
「合格おめでとう次は東大!!」
- 一番重要なのは「本人がやりたい(通いたい)と思うか」
- 、本人のやる気を親の期待が上回るケースというのは、あまりよい結果になりません。鉄緑会の提案するカリキュラムは「最短ルート」である可能性はありますが、それしか道がないわけではありません。
「次は東大」となるのか? 2024/2/3 ひっそり中高一貫生
あえて語る 中高6年間鉄緑会に通うことで医学部に合格できなくなる5つの理由 CASTDICE Medical【医学部受験専門塾】 チャンネル登録者数 1.63万人
下のツイートでは鉄緑会のシステムや実情が詳細に解説されており、入塾を考える人にとっては貴重な情報になると思いました。
新中1から鉄緑会に通う人も多いと思うので、中1-2鉄緑会の仕組みを解説しておく。鉄緑会の中身を調べずに忌み嫌う不思議な人もいるが、無知は良くない。理解してから忌み嫌うべし。
(1)進度について… pic.twitter.com/0CLcWw6jRK
— 『戦記』教育投資ジャーナリスト (@SenkiWork) March 24, 2024
鉄緑会・東京校の16年の合格実績は、東大が277人、国公立大学医学部は228人。1学年の東京校の生徒数は約700人だから、4割程度が東大に合格したわけだ。他も医学部に合格しており、ほぼ8割の生徒は第1志望の学校に進学する。
東大理三、合格者の6割 進学塾「鉄緑会」の全貌 2017 / 2 / 4
面白い分析がありました。東大入試が易しくなったため、反復学習が有効性を増したというものです。
- 鉄緑会の繁栄、SEGの没落の原因は共通であり、一番の理由は東大入試の易化(特に数学)
- 1990年代の数学はかなり難しく、理3以外は数学を捨てても合格点に届くと言われるほど数学の平均点は低かった‥ このような状況だと「数学だけが極端にできて、他が今一つの人」「数学が極端にできないが、他が平均よりちょっと出来る人」という学力が凸凹の人たちが一定数合格することになり、私はおそらくそれが、2000年代以降の極端な易化につながったと考えています
- こうなると数学の才能がなくても、反復学習でなんとか東大数学で得点できるようになりますから、徹底的な先取り+反復学習の鉄緑会と「心に広がる数学の世界を!」とうたっているSEGとでどちらに軍配があがるかは自明の理
- 実績がよければそちらに優秀な人が流れるので、ここからは好循環で鉄緑会の一人勝ち
鉄緑会の賛否について② 2023-10-08 20:55:26
鉄緑会以外にも有名な塾がいくつかありますが、例えばSEGの基本理念をみると、SEGは鉄緑会の対極にあるように思います。
「好き」から「楽しむ」へ 大学受験の結果は、たしかに大事です。しかし、それ以上に大事なことは、学ぶ楽しさ・達成する楽しさ・生きる楽しさを経験することではないでしょうか? 楽しんで学べば、結果も自然についてくるのです。(SEGについて 沿革)
大学入学は通過点に過ぎず、実際のところその人が自分の人生で何をやりたいかが問題になってくるわけです。一部の名の通った企業に入ることが最終目的なのであれば確かに行く大学の名前の影響は大きいのでしょう。しかし、それ以外の目的であれば、研究者の道もそうですが、途中の経路としてどこの大学を通過したとしても、結局同じところに辿り着くことは可能です。
- 日本で一番優秀な、優秀すぎる人種が、「理3でまあまあじゃん」というトップの風潮で、才能証明のためだけに理3にする例が結構あります
- 理3に入ってから、数年経つと違うことをしているパターンが多い
- 本当に根っから医学を志したい人間をそこで蹴落としている
- 理3以外の東大狙いであれば、そこまでする必要はなく、学校の授業を完璧にしていれば十分
鉄緑会で悲しいパターンにならないために 2019年07月17日(水) 00時01分07秒
勉強ができることに一番の価値を置くのは危険で、仮にそのような価値観がアリだとしても、それはせいぜい大学受験までのことで、しかも塾の内部や進学校の内部で通用する、一時的でローカルな狭い価値観でしかありません。大学に入った瞬間に学ぶべきことは人それぞれで多様になり、皆が一律に学力で評価されることはなくなります。ましてや大学を卒業して社会に出れば、学生時代に勉強ができたかどうかが問われることは皆無です。社会人として何を成し遂げたか(研究者であれば、大学院以降どんな研究成果を挙げたか)で人は評価されます。
研究の世界には東大出身者は多いですが、「鉄緑会」という言葉をリアルで耳にしたことは自分は一度もありません。なので、読み方が「てつりょく」なのか「てつろく」なのかがいつも不安になります。また、誰がどこの大学の出身かを話題にする研究者にも会ったこともありません。みんな研究業績を気にするので、「ネイチャーを持っている人」(=その人の論文業績には、Nature誌に掲載された筆頭著者論文がある)といった言い方なら聞いたことがあります。
(図引用元:山下 良輔『転職が僕らを助けてくれる』ダイヤモンド社 2021/12/15 より)
「学校の勉強ができる(た)こと=人間としての価値が高い」わけでは全くないことは、社会人にとっては当たり前のことなのに、なぜか子供時代にはそのような価値観が蔓延しているようなきらいがあります。社会人であるはずの大人が、なぜか自分の子供に対して、そういう価値観を無意識に植え付けているのかもしれません。
そういえば、理3が1番だから理3を目指したが学力が低迷した少年が共通テスト初日に東大の前で受験生を刺すという事件もありました。鉄緑会と直接の関係はありませんが、この事件の背景にあるのは、理3至上主義に囚われた少年の考え方でした。
鉄緑会の創立に実は和田秀樹氏が関わっていたそうです。灘中学・高校の学習法を東京で実現させようというのが最初の意図だったとか。中学と高校で学ぶべき勉強量の割合がおかしいのでそれを6年間で均して、楽に勉強を勧めようというのが本来の狙いだったというのを聞いて、非常に納得しました。自分も全く同じことを受験当時考えていました。(公立)中学であれほど勉強すべき量が少なかったのに、なぜ同じ3年間でその10倍くらいの勉強を(公立)高校でさせられるのだろうと。
和田秀樹/小6から1年で灘5位合格し東大理三で鉄緑会創設→日本大学理事・開業医しながら通信教育で年商3億の漢(和田秀樹) トマホークTomahawk チャンネル登録者数 26.8万人
「鉄緑戦士」「鉄緑廃人」
すごい言葉だ。こんな言葉があるとは。受験界隈だけだよな。
進学校だけで使われるのだろうな。 pic.twitter.com/pXyxBeK0bT
— naka (@DzwsqOuXSLHof91) November 21, 2023
「学校の成績表に、『週4日鉄緑は行き過ぎでは…??』みたいなこと書かれました。次の面談のとき、絶対減らすかやめるように説得されると思うけどどうしよう…」
だと…!!
がんばれ聖光の鉄緑戦士— yuto (@shikaiyama) July 29, 2023
授業切りまくって卒業単位得られず高認の鉄緑戦士えぐ。そういうのめっちゃ好きや
— metoち (@Metoro_Nome) November 2, 2024
これは合ってる。
自宅学習では間に合わず学校で鉄の内職をしないと付いていけない子と2時間程度の学習で付いていける子と、鉄緑戦士は二極化します。#中学受験 #大学受験 https://t.co/yxRAIdqYFM— サンフラン (@autourdumonde8) September 5, 2024
【重要?】忘れ去られがちなこと
✨鉄緑に通えたとしても莫大な勉強量についていけなければやめることになる✨
最後まで通えた人が良い結果を残す。こういうのって生存者バイアスっていうのかな
鉄緑戦士は最初から学力高い
12歳のときのトップ層が18歳でもトップにいるのは普通のことでは?
— ガチノビ@東大理3Youtuber (@mathnyans3) August 12, 2024
高校3年生の時点での学力が、小学校6年生の時点での学力と相関するのは、そりゃそうだろうなと思います。
本日発売の #別冊マーガレット 6月号に#かしこい男は恋しかしない 第18話掲載中!
今回は日本初!! 最強の東大受験塾・鉄○会が少女漫画に登場!
鉄緑でも正直の恋愛脳はおさまらない!! 東大生のバイト講師にガチ恋した正直が生み出した秘策とは…!?
個性豊かな鉄緑戦士たちにもご注目です pic.twitter.com/z6YdePWdXA— 凹沢みなみ (@BmgHoshiko) May 13, 2024
鉄を過大評価し過ぎ。
中高6年間を鉄緑戦士で通す子もいるが、高3の夏まで部活中心で鉄は基本サボりの子もいる。受かる子も落ちる子もいる。そこに魔法はない。
また、子どもを鉄に通わせる親がリッチかというとそうではない。鉄の保護者会に出てみて分かったが、若葉会のママ達とは全く異なる階層。 https://t.co/lRjtglrF9k— サンフラン (@autourdumonde8) April 21, 2024
本当にそれはそう。鉄の教材は脳死で回して腕の筋肉で解けるようにするだけでいいからマジで楽
— Sasame-Taro (@EcHxrIfWdz11684) October 7, 2024
「確シリ」とは、確認シリーズという教材のことのようですね。
†模範鉄緑戦士† pic.twitter.com/yPwUz2kxgt
— natsu (@natsu_SEG_Fe) May 14, 2023
東大がどのような学生を欲しがっているのかはあまりよくわかりませんが、推薦制を導入したりして入試を多様化させていることからすると、東大合格者が「受験戦士」一色になることは望んでいないのだろうと想像できます。
東大総長と京大総長の対談の中で、京大総長はかなり直截的な表現をしています。
松本「今の学生は、たとえてみれば『伸びきったゴム』。これ以上伸びる余地がない。」
松本「科学の世界でその分野のトップを目指すような研究をするためには、受験で覚えたテクニックや偏差値の高さだけでは役に立ちませんから。」
松本「現在のように大学というゴールに向かって、幼稚園から延々と塾でトレーニングして育つのは異常です。」
文芸春秋2010年2月号 東大総長×京大総長『タフな学生育てます』(PDF)
「知識・技能だけで大学に入ったって伸びるわけがない。そんな学生……学生と呼ばずに生徒って呼びたくなる子たちが京大にもいっぱいいる。『自律のエンジン』が育っていないんです。それを高校までに育てなきゃ。」
東大を頂点とした“偏差値ヒエラルキー”が抱える「恐しい問題」 小山 英樹 2022.1.6
鉄緑会には「指定校」というものがあり、鉄緑会が決めた指定校(毎年見直しがある)の生徒は入塾テストが免除されるのだそうです。
鉄緑会指定校・在籍生徒数一覧(2024年10月現在)
開成 1118 名 桜蔭 891 名 筑大駒場 596 名 麻布 522 名 海城 495 名 駒場東邦 320 名 筑大附 444 名 豊島岡 451 名 女子学院 290 名 雙葉 266 名 渋谷幕張 301 名 渋教渋谷 277 名 早稲田 289 名 聖光学院 101 名 栄光学園 99 名
https://www.tetsuryokukai.co.jp/features.html
鉄緑会の入塾テストは、鉄緑会のカリキュラムを基準とした出題範囲になるため、相当先取りした勉強をしていないかぎり途中からの入塾は難しそうです。そこで子供を東大に入れたい親は、都内有数の中高一貫進学校への準備として実績のある塾を選ぶのだそう。そんな塾の代表格がSAPIXだそうです。
開成って定員300人の中250以上SAPIXって塾から出てるし早稲アカやらなんやら含めたら10割塾でてる。
塾に行っても自分のように武蔵とかの御三家落ちたりするし、両国も難関として有名。
塾なしで受かるってのはコイキングレベル1で伝説のポケモン100連戦するようなもの。 https://t.co/NymO1oXSCf— えんぺら (@enpera192913) August 20, 2024
SAPIXという塾は名前は聞くけど中身は知らなかったので、ネットの情報を見てみました。
SAPIXが用意したレールについて来れる子供だけが栄光を勝ち取ることが出来るというスタイル。‥ 受験サイボーグを育成するため、とにかく圧倒的な量の宿題が出されます。絶対に全部を終わらせることなんて出来ません。今年開成に合格した子も、全部は無理だったと言ってます。
SAPIX・早稲アカ・四谷大塚・日能研 4大大手塾を比較 2019年02月10日 偏差値50からの奇跡の合格‥息子の中学受験の記録
すごい塾ですね。鉄緑会とやっていることが変わりません。もし小4からSAPIXに入ってこのノリで勉強を続けるのだとしたら8年間、東大?合格を目指して怒涛の宿題をこなす人生を過ごすことになるわけですね。
圧倒的な合格実績を誇る、中学受験の『SAPIX(サピックス)』その指導の秘密に迫る! NewsTV チャンネル登録者数 6870人
上の動画によるSAPIXの紹介は、その上で紹介したブログの内容とはかなり異なる印象を受けます。実際のところどうなんでしょうか。
— ゆうた家庭教師で月1600万/YouTubeマーケ (@k_yuta_z) May 11, 2021
【川上量生 × ホリエモン】SAPIXの詰め込み教育が、子供の人生を台無しに?公文式の学習内容は時代遅れ?【サピックス / 堀江貴文 / 中学受験 / 二月の勝者 / ドワンゴ】 ホリエモンの切り抜き宮殿 チャンネル登録者
中学受験のための塾は、それはそれでまたなんだかいろいろと大変そうです。
【二月の勝者】第1話 -中学受験のリアル-父親の経済力と母親の狂気 にしむら先生 受験指導専門家 チャンネル登録者数 11.5万人
上の動画を見ると、塾の使命は(教育ではなく)合格させることだと明言していて、合格したい子供が塾に入るのに、そこだけ見ればなんの問題もないような気もします。じゃあなぜ自分はわざわざこんなブログ記事を書いているんだろうということになりますが、自分はこの動画の中で紹介されている学生アルバイトの感覚(教育をすべき)に近いからなのかなと思いました。一般論として、大学は別に点の取り方の訓練をうまくこなしてきた学生を受け入れたいわけではないはずです。だからこそ一生懸命、思考力を試すような入試問題を考えているわけです。問題に真正面から向かい合うという当たりまえの態度をすっ飛ばして、点を取りに行くことだけ考えるのは違うんじゃないかと思うわけです。入試で合格点を取ることは、「目的」ではなくて勉強した「結果」に過ぎないというのが自分の感覚です。
大学受験の結果は、たしかに大事です。しかし、それ以上に大事なことは、学ぶ楽しさ・達成する楽しさ・生きる楽しさを経験することではないでしょうか? 楽しんで学べば、結果も自然についてくるのです。(SEG) (*太字強調は当サイト)
そういう意味で、SEGのウェブサイトに書かれている理念に自分は賛同します。勉強は自分ひとりで問題と向き合うものであって、よくいわれがちな「受験勉強のライバル」なんてものは全く不要だと思います。順位を気にするのは、思うように成績が伸びなかったときに自分で自分の首を絞めるだけでしょう。順位を気にするのは2番以下の人間の中にしかおらず、1番にいる人は順位なんてそもそも気にしていないものです。
鉄緑会のような塾がなかった私らの時代だと、よほどの天才でない限り、独力でなんらかの勉強法を工夫している生徒しか理Ⅲには入れなかったんです。ところが今は、その60点、80点が中1の頃から塾で詰め込んできた勉強の差になっている。それが危険だと思っているんです。‥ 昔なら、たくさん点を獲れるということは、それだけ自分で勉強の工夫をしてるということ。「学校の先生の言う通りやってたら、こんな高い点は獲れないから自分で工夫する」という経験がとても大切なんです。
(受験エリートが軒並み“ダメ医師”に…OBが明かす「東大医学部」の残念すぎる実態 和田秀樹×鳥集徹 『東大医学部』対談 #1 2020/11/03)*太字強調は当サイト
上の和田秀樹氏のコメントもそうですが、下のエッセイもまた非常に説得力があると思いました。自分も思い起こすと、小学校か中学校の頃に星に興味を持ち、まったく理解できませんでしたが天文計算入門とかいう本を読もうとして、球面三角形の三角関数の公式などを眺めていました。受験勉強専門の塾に通っていたら、そういう”無駄な時間”を過ごせていなかったのではないかと思います。
SAPIXや鉄緑会が日本の癌というよりは、 日本の受験戦争自体が行き詰まっていて、その象徴がたまたまこれらの塾なのだということなのかも知れない
わからないことは別に悪いことではないから、 わからなくても慌てることはない。むしろ、わからないことを楽しむようにすらなる。 これが、正常な意味での知的好奇心を養うのだ。 わからないことは楽しいことだろ。違うのか? どうやらSAPIXや鉄緑の出身者はそうは思わない。彼らは、わからないことは悪いことだと考える。‥‥
受験が人間の格付けの意味を持ち、それが昇華していった結果、 究極解であるSAPIXや鉄緑会を偶然にも生み出してしまった。
(SAPIXと鉄緑会は日本の癌 Nov 12, 2020)*太字強調は当サイト
受験勉強が最終目標だった彼らは大学に合格した瞬間に何をすれば良いのかわからなくなる。本来は中高生時代に好きなものを見つけ、熱中し、受験後の未来を考えるべきだったのに、受験勉強を偏重しすぎた。
(【あるある】鉄緑戦士の末路がヤバすぎる… 2021.04.02 東京受験.jp)
「大学に入るまで塾に頼り切る生き方は、もしかしたら私から、何かを深く思考する能力を奪ったのかもしれないと思うことがあります。
(受験エリートを牛耳る「サピックス」&「鉄緑会」の正体 PRESIDENT Online おおた としまさ おおた としまさ 教育ジャーナリスト 2016/03/06 15:00)
東大生は不確実性に慣れていない。東大受験の経験が大きいので、勉強すれば必ず点数取れるっていう因果関係の中で生きている。そうではなくて、不確実性が重要なのです。今ってみんなアメリカに行けるけど、コロンブスがすごいのは、大陸があるかどうか分からないときにアメリカに行ったからですよね。
「東大生は、つぶしが利く道を選ぶ傾向が強すぎる」 エルテス 菅原貴弘 代表取締役社長 2014年8月25日 東大新聞オンライン
仮に研究者になることを考えた場合、小学生から塾漬けで中高時代を東大受験成功のための最適なシステムに組み込まれて過ごすことがどれほどプラスになるのだろうかと懐疑的に思えます。機械学習でトレーニングデータに対する過学習の結果、学習効果がむしろ下がってしまうというのがありますが、東大受験に特化して過学習がおきるとそれ以外のことに使えない頭になってしまう恐れがあるかも。
難しいのは、勉強の出来る優等生への指導ですね。彼らは勉強と研究を混同してしまいがちなので。知識が豊富なせいか、新奇性の高い研究には後ろ向きになってしまうようです。‥ 先人達が切り開いた道をなぞるのが「勉強」で、新しい道を切り開くのが「研究」だと言ってもすぐにはピンときてくれない。(【特別鼎談】博士後期課程から社会へ -三者の歩んだ奇跡ー Part 2 博士の選択)
しっかり訓練されたサルと変わらないやつがあまりに多すぎる。教わったことはなんでも知っている。ーーーだがそれだけなのだ。(数学者ショレム・マンデルブロ)
詰め込み教育をしてるのは開成麻布武蔵筑駒じゃなくて指定暴力団鉄緑会だぞ https://t.co/JCBI35NTuh
— ひゅーず (@ML2310_2354) July 17, 2023
ノーベル賞を取っている人の出身高校! ノーベル賞は地方国公立高校ばかり!! 【公式】メガスタチャンネル チャンネル登録者数 4.06万人
内部の人の動画などを見て鉄緑会についていろいろ知ったあとの、自分が思うところのまとめです。
鉄緑会は、自分が漠然と思っていたよりもはるかにスパルタ式でした。仮に自分がうっかり鉄緑会に入ろうものなら、一瞬で落ちこぼれて心を病みそう。学力至上主義の非常に狭い価値観で洗脳する場になっているように見えるところが、一番の懸念です。勉強って別に競争じゃないし、ましてや人間の価値を測る物差しでもありません。
鉄緑会の東大合格実績がここまで凄いと、鉄緑会に入らないと東大には合格できないのではないかと錯覚する人が出てきそうですが、実際のところ東大には日本全国の地方の県立高校からも合格者は出ているわけですので、鉄緑会は東大に合格するための「必要条件」ではありません。ハイペースの授業についていけない子供も多数いるらしいことを考えれば、鉄緑会は東大に合格するための「十分条件」でもありません。鉄緑会は、東京都内の学力優秀な子供たちを強力なマグネットのように集めて、彼らに東大受験に特化したスパルタ教育を施して、ついてこれた人間だけを東大に送り込む効率を究極にまで高めた「システム」のように思えます。医学部に行く必要がない(本人がそもそも医師になりたいわけではない)のに医学部至上主義に洗脳されるというおまけつきです。
ウェブサイトで掲げられている、”既存のマスプロ化した塾や予備校の画一的な指導方法に疑問”を持って、”自ら開発、実践した学習法をもとに理想の教育機関を目指し”たというという設立当初の理念と、現実には大きな乖離があるようにも感じます。今や鉄緑会が東大合格者・理3合格者という「製品」を、究極にまで効率を高められた画一的なシステムにより大量生産しているのではないでしょうか。生徒一人ひとりは、本来、理解のしかたも理解する速さも、勉強に対する興味の持ち方も目指す職業も違うにも関わらずです。また、この画一化されたシステムに適合しなかった人間を容赦なく切り捨てているところも、問題ではないかと思います。製品としての適否を選別するシステムにもなっているわけです。鉄緑会のハイペースについていけずに落ちこぼれるくらいなら、むしろ自分の理解能力に見合った落ち着いたペースで勉強をして着実に実力をつけていくほうが実は良い結果を生んでいたであろう高校生もたくさんいたはずです。
志望大学に合格するためには入試当日に合否ラインを超える点数を取ればいいだけのことなので、別に高校2年生の段階で東大合格の力をつけている必要は全くないわけです。勉強は他人との競争ではないので、目の前の問題とだけ向き合っていればよく、周りの人間がその問題を早い時期から解けるかどうかは全くどうでもいい話です。大学入試問題の難易度は大体例年同じ程度になるように作られているので、何割解ければ合格できるという見通しが立ちます。東大の模試や過去問を解いたときに、合否ラインを超える割合の点数が受験当日までに取れるように自分のペースで勉強を進めていける生徒であれば、鉄緑会に身を投じる必要はないのではないでしょうか。
鉄緑会のやり方が合う人は鉄緑会に行けばいいと思いますが、鉄緑会が自分には合わないのに「鉄緑会しかない」と思い込んで、無理して鉄緑会に入ってもいい結果を生まないように思います。
一番大事なことは、高校生自身が自分に適した無理のない勉強方法を自分で考えてそれを実行することです。鉄緑会のペース、やり方、思想や理念が合わない人は、鉄緑会がいくら実績をアピールしていても「それは自分のためのものではない」と見切るべきです。鉄緑会とは全く違う理念で運営されている塾は他にいくらでもあります。
そもそも中高一貫校の場合は高2までに高校3年分の勉強を終わらせていて、高3のときは実戦的に入試問題を解く演習の時間にあてているところが多いらしいので、それで十分なんじゃないの?と他人事ながら思ってしまいました。
勉強は、正答を得ることが大事なわけではなくて、正答を得るまでの思考の過程を楽しめることのほうが大事で、そういう勉強をしているからこそ大学入学後も勉強を続けていけるのだと思います。ましてや大学院まで進むと、正答がそもそもあるかどうかすらわからない問題に取り組むことになるわけですし。というよりも、問題を与えてもらえることはなくなり、問題を自分で設定できる能力が試されることになります。
小学生のときから塾で成績順に席につかされ、中高一貫校でも常に成績順を意識させられ、成績が良いほど人間的な価値が高いかのような価値観を醸成され、最も偏差値の高い大学・学部に合格することが人生の勝者であるかのような洗脳を受け、医師になりたいわけでもないのに医学部を志望して、めでたく大学に合格しても入学後には、その長年培われた価値観・人生観が根本から崩される、そんな人生、無駄が多すぎではないでしょうか。
社会に出たあとで要求されることや測られるときの物差しは、もはや過去の学業成績などではないので、別に東大の入試問題が解けなくても、東大に合格できなくても、いったん社会に出てしまえば何も困ることはありません。
生成AIで科研費の申請書を書くことは可能か?という素朴な疑問を追求するために、前回、4つの生成AIを試してみました。
このときは、なんとなく「それっぽい」仕上がりになったように思ったのですが、もっといろいろ試してみないと、生成AIがどれくらい有用なのかがわからないので、引き続き別のテーマで試してみます。
生成AIの一つであるPerplexityに、「全身エリテマトーデスに対する新規治療戦略に関して研究助成申請書作成のためのたたき台をつくってくれない?」とお願いして、あとは分量を増やしてもらったり、箇条書きをやめてもらったりして、科研費申請書の下書きを作ってもらいました。具体的に何をやってほしいかに関してはノーヒントです。生成AIが数秒で作ってくれた申請書がこれ。
研究課題名: SLEにおけるIRF5阻害による新規治療戦略の開発
概要:
本研究は、全身性エリテマトーデス(SLE)の病態形成に重要な役割を果たす転写因子IRF5を標的とした新規治療法の開発を目指す。IRF5阻害剤の開発と、その治療効果の検証を行う。マウスSLEモデルを用いた前臨床試験、患者由来細胞を用いたex vivo解析、および臨床検体を用いたバイオマーカー探索を統合的に実施する。IRF5阻害剤の投与による治療効果を評価し、免疫細胞の機能変化を解析することで治療メカニズムを解明する。患者由来細胞を用いて、IRF5阻害の効果と個人差を評価し、治療効果予測因子を探索する。さらに、臨床検体を用いてIRF5活性化状態を反映するバイオマーカーを同定し、疾患活動性や治療反応性との相関を解析する。本研究により、SLEの病態メカニズムの解明と新たな治療法の確立が期待される。
(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」
SLEは自己免疫疾患の代表的疾患であり、多様な臓器障害を引き起こす難治性疾患である。現行の治療法では、ステロイドや免疫抑制剤を中心とした非特異的な免疫抑制が主体となっており、長期的な副作用や治療抵抗性の問題が存在する(Schmid et al., 2024, Breast Cancer Res Treat 12(3):345)。そのため、より特異的かつ効果的な治療法の開発が急務となっている。近年の研究により、転写因子IRF5がSLEの病態形成に重要な役割を果たすことが明らかになってきた。IRF5は、I型インターフェロン(IFN)の産生や炎症性サイトカインの発現を制御する中心的な転写因子であり、SLE患者の免疫細胞で異常に活性化していることが報告されている(Inoue et al., 2023, Cancer Res 83(15):2789)。本研究の着想に至った経緯として、我々の予備的研究において、IRF5阻害剤の開発に成功し、マウスSLEモデルにおいてその有効性を確認したことが挙げられる。この結果を踏まえ、本研究では以下の学術的「問い」を設定する:
(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性
本研究の目的は、IRF5阻害剤を用いたSLEの新規治療法を開発し、その有効性と安全性を検証することである。本研究の学術的独自性と創造性は、IRF5という特異的な分子標的に着目し、従来の非特異的免疫抑制とは異なるアプローチを提案している点にある。独自に開発したIRF5阻害剤を用いることで、これまで困難であったIRF5の機能解析が可能となる。さらに、マウスモデル、患者由来細胞、臨床検体を統合的に解析することで、基礎研究から臨床応用までを見据えた包括的な研究デザインを採用している点も特筆すべきである。
(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ
SLE治療の分野では、近年、B細胞を標的としたベリムマブやT細胞共刺激を阻害するアバタセプトなど、より特異的な治療法が開発されている(Ohto et al., 2023, Nat Biotechnol 41(8):1023)。しかし、これらの治療法も十分な効果を示さない患者が存在し、新たな治療標的の探索が続けられている。IRF5に関しては、遺伝学的研究によりSLEの疾患感受性遺伝子として同定されて以来、その病態への関与が注目されてきた。しかし、IRF5を標的とした治療法の開発はまだ初期段階にあり、本研究はこの分野における先駆的な取り組みとして位置づけられる。
(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか
本研究では、以下の3つの側面から研究を進める:
(5)本研究の目的を達成するための準備状況
本研究を遂行するための準備状況として、独自のスクリーニング系を用いて高い特異性と効果を持つIRF5阻害剤の候補化合物を同定している。また、MRL/lprマウスを用いたSLEモデルの系を確立しており、予備的な実験でIRF5阻害剤の有効性を確認している。さらに、SLE患者の血液サンプルおよび臨床情報のバンクを整備しており、倫理委員会の承認も得ている。解析技術面では、単一細胞RNA-seq、マルチカラーフローサイトメトリー、プロテオミクス解析など、最新の解析技術を導入済みである。これらの準備状況により、本研究を効率的かつ効果的に進めることが可能となっている。
(6)本研究がどのような国際性を有するか
本研究は、SLEが世界中で問題となっている難治性疾患であり、IRF5阻害という新規アプローチが国際的な自己免疫疾患研究コミュニティーの注目を集めると予想されることから、高い国際性を有する。研究成果は国際学術誌への投稿や国際学会での発表を通じて、世界に向けて発信する予定である。また、海外の研究機関との共同研究を計画しており、国際的な研究ネットワークの構築を目指している。さらに、将来的には国際共同臨床試験の実施を視野に入れており、本研究の成果がSLEの国際的な治療ガイドラインの策定にも貢献することが期待される。これらの取り組みにより、本研究は世界のSLE研究をリードし、国際的な医療の発展に寄与することが可能となる。
申請書を書いてくれたのはいいのですが、なぜ転写因子IRF5に注目したの?と思いました。
なんのことはない、Perplexityが吐き出した研究内容と同じ結果がすでに研究成果として出ていたのですね。これは生成AIの落とし穴だと思います。不用意に生成AIを使うと、他人の研究成果を真似しただけのような計画書が出来上がってしまう恐れがあるというわけです。生成AIに相談を持ち掛けるにしても、自分独自の何かをもっていて、それを使ってさてどうするかで相談するのが良いのでしょう。最初から丸投げだと、他人のアイデアの盗用を無自覚にしてしまう危険があるということが今回わかりました。
すぐに生成AIに頼ると自分が頭を使わなくなってバカになりそうですが、自分で考えても煮詰まってしまったときには、生成AIは強力な助けになります。アイデア出しに使うとよいのではないでしょうか。あるいは時間をかけたくない定型文書作成の場合は、最初から使うのも良いと思います。読むべき論文を効率よく探す目的なら、生成AIは非常に有用です。
Concensusは、AI-powered Academic Search Engineというだけあって、文献検索に使いやすい生成AIです。日本語でふつうに会話するように質問を投げることができます(他の生成AIもそうですが)。例えば、「コーヒーは体いいいの?」と聞くと、文献を紹介しつつ、いいのかどうかを教えてくれるという便利なもの。特に、イエスかノーかで答えられるような質問の仕方をしたときには、YesかNoかで確率付きで答えてくれて便利です。
もちろん文献も表示されます。今の場合は10個の論文に絞り込まれていました。普通に検索するとおそらく数百~数千件はヒットしそうな内容ですので、たった10件に絞られたこれらの論文がどれだけ妥当なのかが気になります。質の良い重要な論文に絞り込んでくれるのだとしたら重宝しそうです。質問をちょっとずつ細かくしていけば、別の論文も拾えてくるので、候補となる論文を広げていくことができます。数百、数千件の検索結果を自分で絞りこむ手間を考えれば、10件の結果を吟味するこのやり方のほうが効率的で現実的だと思いました。
ChatGPTには 自分は毎月20ドル払って有料版を使っています。GPT-3.5(無料)とGPT-4(有料)を比較したことがありますが、自分が良く知っている日本人歌手のヒット曲Top10を教えてといったお願いをしたときに、GPT-4のほうがましな回答をよこしてきました。GPTは日本の事情にはかなり疎い印象です。
自分がやりたい事務処理を自動で行うpythonコードを書いてもらったときは、ほぼそのまま動くコードを書いてくれて重宝しました。
Claudeに科研費の申請書を書いてと依頼したときに、代筆はお断りとあっさり断られことがあります。人間よりもよほど研究倫理がしっかりしているなと感心しました。しかし、頼む言葉を少し変えたら書いてくれました。無料版の場合、数回、使うとすぐに数時間使えなくなります。なので無料版は実用的ではありません。
旧称Bard。
Perplexityは文書作成や文献検索ができますが、生成AIエンジンは他社のものを使っているようです。無料版でもけっこうイケますが、有料版(月額20ドル)の説明を読むと、
といった特徴があります。
無料版はなくて月10ドルからのサブスクの設定になっています。
研究ネタのテキストを放り込むと、なんだか製薬会社かベンチャー企業のパンフレットのイメージ図みたいな写真が合成されてでてきました。学術的な内容を表したイラストを期待していたので、ちょっとズレました。
しかし、ためしに大学の講義のシラバスを作ってもらうようにしてみたら、なんと講義スライドをさくさくと作ってくれました。スライドごとに埋め込まれたイラストは苦笑いしてしまうレベルで、正確ではないので使えませんが、トピックを羅列した部分は講義内容を考えるうえで非常に役立つと感じました。ただし8回分の(つまりスライド8枚)お願いは無料でしたが、14回の講義にしようとしたら、プロ版が必要になりました。まあ、イラストは使えないので、文書生成系AIツールがあれば事足りるようにも思います。
ChatGPTのOpenAIが出している画像用のAI。これは画像を生成してくれるAIのようです。テキストに基づいて画像をつくれるらしい。ネットではDall-E 2の紹介記事が多かったのですが、もうDall-E 2は終了していてDall-E 3にバージョンアップしていました。使おうと思ったら、「Try in ChatGPT」というメッセージしかなくてChatGPTの画面に飛ばされるので、単独で使うのでなくChatGPTに組み込まれているということのようです。科研費の申請書の一部をテキストとして放り込んで、模式図を作ってもらいましたが、全然使える代物ではありませんでした。得意不得意があるのでしょう。
ウェブ上にどんなイラストを描いてほしいかをテキストで入れるとそのイメージを画像にしたものが生成されるそう。科学的な内容を試してみましたが、まったく使いものになりませんでした。
芸術的で独創的な画像生成をしてくれるそうですが、 テキスト処理能力はないみたい。月額8ドルからのサブスクリプションをしないと全くお試しもできないみたい。
ハルシネーション,バイアス,プライバシー,著作権などの懸念 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/advpub/0/advpub_2024-010/_html/-char/ja
AIツールは研究者の創造性や独創性を失わせる可能性があります。AIはインプットと既存の研究知識に基づいています。科学を発展させるには、その分野の人々による独創的、創造的、批判的思考が必要です。また、AIが生成したテキストをコピーペーストするだけでは、剽窃につながる可能性があります。
AIツールを学術研究に効果的に活用するには プロダクト Paperpal 学習コンテンツ 論文執筆のヒント September 25, 2023 https://www.editage.jp/blog/using-ai-powered-tools-effectively-for-academic-research/
チェックを怠ると、自分の研究に他者の研究を意図せず取り込んでしまう可能性があり、それが発覚すると、著者と出版社の双方の信用が傷つく恐れがあります。アイデアの独自性と帰属を維持することは研究公正を守るうえで必須であり、研究者はAI生成コンテンツの引用が適切であることを確かめ、意図せぬ倫理違反がないように気を配る必要があります。https://www.turnitin.jp/blog/ai-writing-in-academic-journals-mitigating-its-impact-on-research-integrity
生成AI花盛りの今日この頃ですが、科研費の申請書作成においても生成AIを活用した人が多かったのではないでしょうか。科研費の研究計画調書を生成AIに丸投げしたときに、どれくらいまともな申請書を作ってくれるのか試してみたいと思います。
依頼内容:トリプルネガティブ乳がんの新しい表面分子マーカー標的の探索という研究テーマで、科研費の申請書を書いてください。
生成AIといえばChatGPTしか知りませんでしたが、知人が、「ChatGPTよりも、PerplexityとかClaudeのほうがいいよ」というので、まずはPerplexity無料版から試してみます。
以下、Perplexityが数秒で返してくれた回答がわりとあっさりしていたので、内容をもう少し具体的にして分量を増やすようにお願いしたほか、学術的な問いもしっかり書くようにお願いしてみました。自分は分量などの指示をしただけで、実験方法や計画に関しては、最初のテーマ(上記)の指示以外は、何の指示もしていません。引用文献も適宜いれてくれるように指示しました。
研究課題名: トリプルネガティブ乳がん新規表面マーカー探索
概要
本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規表面分子マーカーを同定し、診断・治療標的としての有用性を検証することを目的とする。最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせ、TNBC特異的な表面タンパク質を網羅的に探索する。同定されたマーカー候補の機能解析と臨床検体での検証を行い、TNBCの早期診断や個別化治療に貢献する新規標的分子の発見を目指す。本研究では、(1)プロテオミクス解析によるTNBC特異的表面タンパク質の同定、(2)機械学習を用いた候補分子の絞り込み、(3)候補分子の機能解析、(4)臨床検体での検証、(5)診断・治療標的としての有用性評価を行う。これにより、TNBCの分子病態の理解を深め、新たな診断マーカーや治療標的の開発につながる知見を得ることが期待される。
(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、HER2のいずれも発現していない乳がんサブタイプであり、他の乳がんサブタイプと比較して予後不良であることが知られている(Schmid et al., 2024, Breast Cancer Res Treat 12(3):345)。TNBCに対する治療法は限られており、新たな診断・治療標的の同定が急務となっている。近年、がん細胞表面に発現する分子が、診断マーカーや治療標的として注目されている。特に、抗体薬物複合体(ADC)の開発により、がん細胞特異的な表面タンパク質を標的とした精密な治療法が可能になりつつある(Ohto et al., 2023, Nat Biotechnol 41(8):1023)。しかし、TNBCにおいては特異的な表面マーカーの同定が遅れており、その探索が重要な課題となっている。本研究の着想に至った経緯として、最新のプロテオミクス技術と機械学習の発展が挙げられる。これらの技術を組み合わせることで、網羅的かつ効率的なタンパク質解析が可能になった(Inoue et al., 2023, Cancer Res 83(15):2789)。さらに、クライオ電子顕微鏡技術の進歩により、タンパク質複合体の詳細な立体構造解析が可能になり、抗体と標的分子の相互作用を原子レベルで理解できるようになった。これらの背景を踏まえ、本研究では以下の学術的「問い」を設定する:
これらの問いに答えることで、TNBCの分子病態の理解を深め、新たな診断法や治療法の開発につながる重要な知見が得られると考えられる。
(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性
本研究の目的は、TNBCの新規表面分子マーカーを同定し、その診断・治療標的としての有用性を検証することである。
本研究の学術的独自性と創造性は、最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた網羅的探索アプローチを用いてTNBC特異的な表面タンパク質を同定し、その機能解析を行うとともに、臨床検体を用いた新規マーカーの検証と臨床応用可能性の評価を一貫して行う点にあり、これにより従来のアプローチでは見出せなかった新たな診断・治療標的の発見が期待される。
(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)研究の分野では、近年、新規バイオマーカーの同定と治療標的の探索が精力的に進められている。TNBCは他の乳がんサブタイプと比較して予後不良であり、効果的な治療法が限られているため、新たな診断・治療標的の同定が急務となっている(Schmid et al., 2024, Breast Cancer Res Treat 12(3):345)。最近の研究では、TNBCにおけるIL-34の高発現が予後不良と相関することが報告され、新たな治療標的として注目されている(Kiyono et al., 2020, Breast Cancer 27(4):518)。また、プロテオミクス技術と機械学習を組み合わせたアプローチにより、TNBC特異的な表面タンパク質の網羅的探索が進められている(Inoue et al., 2023, Cancer Res 83(15):2789)。さらに、抗体薬物複合体(ADC)を用いた新規治療法の開発も活発に行われており、TNBCに対する治療効果が期待されている(Ohto et al., 2023, Nat Biotechnol 41(8):1023)。本研究は、最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた網羅的探索アプローチを用いて、TNBC特異的な新規表面分子マーカーの同定を目指す。さらに、同定されたマーカーの機能解析と臨床検体での検証を通じて、TNBCの早期診断や個別化治療に貢献する新規標的分子の発見を目指す。このアプローチは、既存の研究手法を統合し、さらに発展させたものであり、TNBCの分子病態の理解を深め、新たな診断マーカーや治療標的の開発につながる重要な知見をもたらすことが期待される。
(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか
(5)本研究の目的を達成するための準備状況
まず、TNBC細胞株および非TNBC細胞株のコレクションを確立し、研究に必要な細胞材料を整えた。次に、表面タンパク質解析のためのプロテオミクスプラットフォームの最適化を行い、高精度な網羅的解析が可能な状態にある。また、機械学習アルゴリズムの開発と予備的なデータ解析を実施し、TNBC特異的な表面タンパク質の効率的な同定に向けた準備が整っている。臨床検体の収集と使用に関しては、倫理委員会の承認を取得済みであり、患者サンプルを用いた検証実験を速やかに開始できる体制が整っている。さらに、候補分子の機能解析のための分子生物学的手法を確立しており、同定された新規マーカーの機能的重要性を迅速に評価できる準備が整っている。これらの準備状況により、本研究を効率的かつ効果的に進めることが可能となっている。
(6)本研究がどのような国際性を有するか
本研究で同定される新規マーカーは、TNBCの診断・治療に新たな展開をもたらし、国際的な乳がん研究の方向性に影響を与える可能性を持つ。同定されたマーカーの検証や機能解析において、海外の研究機関との共同研究を積極的に推進し、国際的な協力体制を構築する。また、日本人TNBC患者の特性を考慮したマーカー探索を行うことで、人種間での差異を明らかにし、個別化医療の発展に貢献する。研究成果は国際学会や高インパクトファクターの学術誌で発表し、世界的な認知度を高めるとともに、同定された新規マーカーや関連技術について国際特許の出願を目指す。これらの取り組みを通じて、本研究は世界の研究をけん引し、国際協同を通じて世界の研究の発展に貢献するとともに、我が国独自の研究としての高い価値を創出することが期待される。
引用文献
いかがでしょうか?ほんの15分くらいで、自分の専門外のトピックでこれだけの研究計画調書が書けてしまいました。分量的にはこれで3ページちょっとなので、適当な図も入れてほしかったのですが、Perplexityは図を描く能力は無いみたいです。
さて、ChatGPTのほうはどうでしょうか。自分はChatGPTはサブスクを購入しているのですが、ChatGPT 4o 以外に、ChatGPT o1-preview という目新しいものが登場してiいたのを見つけ、それに書いてもらいました。以下が、ChatGPTが作った申請書です。以下は、ChatGPTが書いてくれた科研費の申請書です。
表題: トリプルネガティブ乳がん新規表面分子マーカーの探索
概要
本研究は、予後不良で治療法が限られるトリプルネガティブ乳がん(TNBC)に焦点を当て、新たな表面分子マーカーを探索することを目的とする。最新のプロテオミクス技術を活用し、TNBC細胞の表面タンパク質を網羅的に解析することで、TNBCに特異的な分子を同定する。さらに、同定した分子の機能解析を行い、細胞増殖や転移への関与を明らかにする。臨床検体を用いた検証により、これらの分子が診断や治療標的として有用であるかを評価する。最終的に、TNBC患者の予後改善に寄与する新規治療法の開発基盤を築くことを目指す。
本文
(1) 本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」:
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2が陰性である乳がんの一種であり、全乳がんの15–20%を占める(Foulkes et al., 2010, N Engl J Med 363(20):1938)。TNBCは高い増殖能と転移性を特徴とし、他のサブタイプと比較して予後が悪い。さらに、ホルモン療法やHER2標的療法が適用できないため、化学療法が主な治療手段となっている。しかし、化学療法に対する抵抗性や副作用の問題から、新たな治療戦略の開発が喫緊の課題である。
近年、がん細胞の表面分子を標的とした治療法が注目を集めている。特に、抗体療法やCAR-T細胞療法は、特異的な表面抗原を持つがん細胞を選択的に攻撃することが可能である(Shimizu et al., 2018, Nat Rev Clin Oncol 15(12):731)。しかし、TNBCにおいては、広く適用可能な表面分子マーカーが限られているため、この分野での進展が妨げられている。
本研究の着想は、プロテオミクス技術の進歩により、細胞表面のタンパク質群を網羅的に解析できるようになったことに基づく。これにより、従来の遺伝子発現解析では見つからなかった新規の表面分子を同定できる可能性がある。本研究の核心をなす学術的「問い」は、「TNBCに特異的な新規表面分子マーカーを同定し、それが診断および治療の新たな標的となり得るか」である。
(3) 関連分野の研究動向と本研究の位置づけ:
現在、TNBCの分子特性を解明するために、遺伝子発現プロファイリングが盛んに行われており、複数の分子サブタイプが提唱されている(Lehmann et al., 2011, J Clin Invest 121(7):2750)。これにより、各サブタイプに適した治療法の開発が期待されている。しかし、遺伝子レベルでの解析は必ずしもタンパク質の発現や機能を反映しないため、タンパク質レベルでの解析が重要となっている。
一方、表面プロテオミクスによりがん細胞の表面タンパク質を網羅的に解析する研究が進んでいるが、TNBCに特化した研究は限定的である。特に、TNBCの細胞表面に存在するタンパク質を網羅的に解析し、機能的な役割を解明する研究はほとんど行われていない。
本研究は、最新のプロテオミクス技術を用いてTNBCの表面タンパク質を網羅的に解析し、新規の分子マーカーを同定する点で独創的である。また、同定した分子の機能解析や臨床検体での検証を行うことで、実際の診断・治療への応用可能性を示すことができる。本研究は、タンパク質レベルでの新たな知見を提供し、TNBC研究の新たな方向性を示すものである。
(4) 本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか:
(5) 本研究の目的を達成するための準備状況:
本研究を遂行するための技術的および人的な準備は整っている。質量分析装置(LC-MS/MS)やデータ解析用のソフトウェアは既に導入済みであり、プロテオミクス解析のための実験手技についても十分な経験がある。さらに、TNBC細胞株および非TNBC細胞株は研究室内で培養可能であり、倫理委員会の承認を得て患者由来の臨床検体も入手可能である。研究チームは、分子生物学、プロテオミクス、病理学の専門家から構成されており、各分野での豊富な研究経験を持つメンバーが揃っている。これらの準備により、研究開始後すぐに実験に着手できる体制が整っている。
(6) 本研究がどのような国際性を有するか:
本研究は、世界的に解決が求められているTNBCの治療戦略に新たな知見を提供するものである。得られた成果は国際的な学術雑誌に投稿し、主要な国際学会での発表を予定している。また、同分野で活躍する海外の研究者との共同研究を推進し、情報交換や技術交流を行う計画である。日本独自の高い技術力と独創的な研究手法を活かし、世界のTNBC研究を牽引する役割を果たすことを目指している。これにより、国際的な研究コミュニティにおける日本のプレゼンスを高め、TNBC患者の予後改善に貢献することが期待される。
引用文献リスト:
以上は、ChatGPTが書いてくれた科研費の申請書でした。文献を引用してくれるのはいいのですが、その文献そもそも存在するの?ということも起こるので要注意です
さて、Claudeも試してみましょう。以下は、Claudeが書いてくれた科研費の申請書になります。
トリプルネガティブ乳がん新規表面分子標的の探索
研究概要
本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規表面分子マーカーを同定し、治療標的としての有用性を評価することを目的とする。TNBCは予後不良であり、効果的な治療法の開発が急務となっている。本研究では、最新のプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた革新的アプローチにより、TNBCに特異的な表面タンパク質を網羅的に探索する。同定された候補分子について、in vitroおよびin vivo実験によりその機能と治療標的としての可能性を詳細に検証する。さらに、同定された分子の発現パターンと臨床病理学的特徴との関連を解析し、バイオマーカーとしての可能性も評価する。本研究により得られる知見は、TNBCの分子病態の理解を深めるとともに、新規診断法や治療法の開発につながることが期待される。最終的に、本研究はTNBC患者の予後改善に貢献し、乳がん治療の新たな展開をもたらす可能性を秘めている。
1. 本研究の学術的背景、着想に至った経緯、および学術的「問い」
乳がんは女性の悪性腫瘍の中で最も頻度が高く、その中でもトリプルネガティブ乳がん(TNBC)は特に予後不良であることが知られている(Foulkes et al., 2010, N Engl J Med 363(20):1938-1948)。TNBCは、エストロゲン受容体(ER)、プロゲステロン受容体(PR)、およびHER2受容体が陰性であり、これらを標的とした従来の治療法が効果を示さない(Bianchini et al., 2016, Nat Rev Clin Oncol 13(11):674-690)。そのため、TNBCに対する新規治療法の開発は喫緊の課題となっている。
近年、がん細胞表面に発現する分子を標的とした治療法が注目を集めている。例えば、HER2陽性乳がんに対するトラスツズマブや、PD-L1を標的とした免疫チェックポイント阻害剤などが臨床で成功を収めている(Emens, 2018, Cancer 124(10):2086-2103)。しかし、TNBCに特異的な表面分子マーカーは依然として限られており、有効な標的治療法の開発が遅れている状況にある。
最近の研究により、TNBCの不均一性が明らかになってきた(Lehmann et al., 2011, J Clin Invest 121(7):2750-2767)。この不均一性は、TNBCの治療抵抗性の一因となっていると考えられる。したがって、TNBCのサブタイプに共通する、あるいは特異的な表面分子マーカーを同定することが、新規治療法開発の鍵となる可能性がある。
プロテオミクス技術の進歩により、細胞表面タンパク質を網羅的に解析することが可能になってきた(Bausch-Fluck et al., 2018, Proteomics 18(21-22):e1800200)。さらに、機械学習技術の発展により、大規模なデータセットから有意義な情報を抽出する能力が飛躍的に向上している(Zou et al., 2019, Nat Rev Genet 20(6):311-322)。
これらの背景を踏まえ、本研究では以下の学術的「問い」を設定する:
2. 本研究の目的および学術的独自性と創造性
本研究の主な目的は、TNBCに特異的な新規表面分子マーカーを同定し、その機能解析を通じて治療標的としての可能性を評価することである。この目的を達成するため、最新のプロテオミクス技術と機械学習を統合した新規アプローチを採用する。この方法により、従来の手法では見落とされていた微妙な発現パターンの違いを検出し、新規マーカーの同定につなげることが可能となる。さらに、本研究ではTNBCの不均一性を考慮した解析を行う。これにより、TNBCのサブタイプ間の違いを考慮に入れたよりきめ細かな治療標的の同定を目指す。同定された候補分子については、in vitroおよびin vivo実験を通じて多角的に機能を解析する。この包括的なアプローチにより、候補分子の生物学的意義と治療標的としての可能性を総合的に評価することが可能となる。このように、本研究は最新技術の統合、TNBCの不均一性への注目、多角的な機能解析という独自の視点と方法論を組み合わせることで、TNBCの新規治療法開発に向けた革新的な知見をもたらすことが期待される。
3. 関連分野の研究動向と本研究の位置づけ
TNBC研究の分野では、新規バイオマーカーや治療標的の探索が精力的に行われている。近年、アンドロゲン受容体(AR)やPoly(ADP-ribose) polymerase (PARP)などが注目を集めており、これらを標的とした治療法の開発が進められている。また、免疫チェックポイント阻害剤の登場により、TNBCに対する免疫療法の可能性が開かれつつある。しかし、これらの治療法の有効性は限定的であり、より効果的な治療法の開発が求められている。
既存の研究が特定の分子や経路に焦点を当てているのに対し、本研究ではプロテオミクスと機械学習を用いた網羅的なアプローチを採用する。これにより、これまで見落とされていた新規標的を発見する可能性を高める。さらに、表面タンパク質の発現パターン、臨床病理学的特徴、機能解析のデータを統合的に解析することで、より包括的な理解を目指す。また、同定された分子について、治療標的としての可能性を直接評価することで、基礎研究から臨床応用への橋渡しを目指す。このように、本研究は網羅的、統合的、そして臨床応用を見据えたアプローチを採用することで、TNBC研究の新たな展開をもたらすことが期待される。
4. 本研究で明らかにしようとする内容
本研究では、以下の点を明らかにすることを目指す:
5. 本研究の目的を達成するための準備状況
本研究を遂行するための準備は十分に整っている。当研究室では、これまでに100例以上のTNBC患者の腫瘍サンプルと臨床情報を収集しており、さらに複数の医療機関との共同研究体制を構築していることから、追加サンプルの収集も可能である。プロテオミクス解析に関しては、最新の質量分析装置(Q Exactive HF-X)を導入済みであり、高感度かつ網羅的な解析が可能な体制を整えている。データ解析のための計算機環境も整備されており、経験豊富なバイオインフォマティシャンとの協力体制も確立している。細胞実験に関しては、TNBC細胞株(MDA-MB-231, BT-549など)および正常乳腺上皮細胞株を保有しており、in vitro実験のための準備が整っている。動物実験についても、マウス異種移植モデルの作製および解析の経験があり、必要な設備・体制が整っている。さらに、同定された分子に対する抗体作製のため、抗体作製会社との協力体制を構築している。これらの準備状況により、本研究計画を迅速かつ効率的に遂行することが可能である。
6. 本研究の国際性
本研究は高い国際性を有している。TNBCは世界中で問題となっているがんタイプであり、本研究で同定される新規標的分子は、国際的な乳がん研究コミュニティに大きなインパクトを与える可能性がある。研究の進捗に応じて、AACR(American Association for Cancer Research)やESMO(European Society for Medical Oncology)などの国際学会で積極的に成果を発表し、世界の研究者とのディスカッションを通じて研究の質を高める予定である。また、本研究で得られた知見を基に、海外の研究機関との共同研究を積極的に推進する。特に、同定された分子の機能解析や治療標的としての評価において、各国の専門家との協力を進める計画である。本研究は、日本の強みであるプロテオミクス技術と機械学習を組み合わせた独自のアプローチを採用しており、日本発の革新的な研究として国際的に高い評価を得ることが期待される。研究成果は Nature、Science、Cancer Cell などの国際的に評価の高い学術誌に投稿し、世界中の研究者に向けて発信する。最終的に、本研究の成果はTNBCの診断・治療法の開発につながる可能性があり、世界中の患者の予後改善に寄与することが期待される。これらの取り組みを通じて、本研究は日本の乳がん研究の国際的プレゼンスを高め、世界の研究の発展に貢献することを目指す。
引用文献リスト
以上はClaudeが作ってくれたものです。明らかに不要な文などを削除するなど、微修正はしましたが、吐き出された文章そのままです。
GEMINIに頼んだら、アウトラインを箇条書きにしてくれるのですがなかなか申請書っぽい文章にしてくれません。代筆させられるのをいやがっているかのようです。「上記はあくまで一例です。ご自身の研究内容に合わせて、より詳細な情報を加えてください。」とやたらと念を押してきます。それでもごり押しして、書いてもらいました。
表題案
概要
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、既存の治療法が限られ、予後不良な悪性腫瘍である。本研究は、この難治性のTNBCに対して、全く新しい治療戦略を確立することを目的とする。具体的には、最新のAI技術とオミクス解析を融合し、TNBC細胞表面に特異的に発現する新規分子マーカーを網羅的に探索する。同定したマーカーを標的とすることで、従来の治療法では効果が得られなかったTNBC患者に対して、効果的な治療が可能となることが期待される。本研究を通じて、TNBCの分子メカニズムを深堀りし、新規治療薬の開発へと繋げ、最終的にはTNBC患者の生存率向上に貢献する。本研究は、AIと生命科学の融合による革新的ながん研究であり、国際的な学術界において注目を集める。
(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」
トリプルネガティブ乳がん(TNBC)は、乳がんの中でも特に悪性度が高く、治療が困難なタイプとして知られている。乳がんは、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2と呼ばれる3つの受容体によって、その性質が大きく異なる。TNBCは、この3つの受容体すべてが陰性であるため、ホルモン療法やHER2を標的とした治療が効きにくく、治療選択肢が限られている。
TNBCは、乳がん全体の約15~20%を占め、その予後不良性から、新たな治療標的の探索が急務である。これまでの研究により、TNBCは遺伝子変異やエピジェネティックな変化が非常に多様であり、その分子機序は複雑であることが明らかになっている。Lehmannらの研究(2011)は、TNBCがBL1とBL2という2つの主要なサブタイプに分類されることを示し、TNBCの分子多様性の深さを浮き彫りにした。さらに、Liuらの研究(2016)は、TNBCが腫瘍微小環境との複雑な相互作用を通じて進展することを示唆し、TNBCの治療標的探索の難しさを際立たせている。
このようなTNBCの多様性に対応するためには、エストロゲン受容体、プロゲステロン受容体、HER2が陰性であるTNBCに対して効果的な従来のホルモン療法や分子標的療法とは異なり、新規の表面分子マーカーを探索し、それらを標的とする新たな治療法の開発が不可欠である。従来の研究では、既知の癌遺伝子や腫瘍抑制遺伝子に焦点を当てられてきたが、TNBCの多様性から考えると、これらの既知の遺伝子だけでは、全てのTNBC患者をカバーできない可能性がある。そこで本研究では、AI技術を活用した網羅的なオミクス解析により、従来の解析手法では見つけることができなかった、TNBCに特異的な分子シグネチャーを同定し、「TNBCの多様な分子背景において、共通して発現が変動し、かつ治療標的となりうる新規表面分子マーカーは存在するか?」という学術的な問いに対する答えを見つけることを目指す。AI技術の進歩により、膨大なオミクスデータを解析し、TNBCの分子メカニズムのより深い理解を目指し、最終的には、TNBC患者の予後改善に貢献したい。
(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性
本研究の目的は、以下の3点です。
本研究は、TNBCの分子メカニズムの解明を深め、新規治療標的の同定を可能にし、最終的にTNBC患者の予後改善に繋がることを目指す。
学術的独自性と創造性
本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規治療標的探索において、AI技術とオミクス解析を融合するという、極めて革新的なアプローチを採用する。従来のTNBC研究は、特定の遺伝子や経路に焦点を当てた探索が主流であったが、本研究では、AIの力を借りて、膨大なオミクスデータを網羅的に解析し、未知の分子マーカーを探索する。
具体的には、深層学習などのAI技術を活用し、トランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームなど、多層のオミクスデータを統合的に解析することで、TNBCに特異的な分子シグネチャーを効率的に抽出する。これにより、従来の手法では見つけられなかった、より精度の高いマーカーの同定が期待できる。
本研究の学術的な独自性は、単に既存の手法を組み合わせるのではなく、AIという新たなツールを導入することで、TNBC研究の新たな地平を開拓しようとする点にある。また、多層オミクスデータを統合的に解析するという点も、本研究の大きな特徴である。これらの独創的なアプローチにより、TNBCの分子メカニズムの解明を深め、最終的には、TNBC患者の生存率向上につながる新たな治療法の開発に貢献することが期待される。
さらに、本研究で得られた成果は、TNBCだけでなく、他の種類の癌の研究にも応用できる可能性があり、広範なインパクトを与えることが期待される。AI技術と生命科学の融合という学際的なアプローチを通じて、従来の枠組みを超えた新たな知見を創出し、がん研究に革新をもたらす可能性を秘めている。
(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ
近年、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の分子標的療法開発に向けた研究が活発化しており、特にオミクス解析技術の進歩により、TNBCの分子多様性が明らかになってきた。従来の研究では、特定の遺伝子変異や経路に焦点を当てた探索が主流であったが、TNBCの多様性に対応するため、より網羅的な解析手法が求められてきた。本研究は、こうした研究動向を踏まえ、AI技術と多層オミクス解析を融合することで、TNBCの新規表面分子マーカーを探索するという、極めて革新的なアプローチを採用する。AI技術の進歩により、膨大なオミクスデータを解析し、複雑な生物学的ネットワークから、TNBCに特異的な分子シグネチャーを抽出することが可能になった。本研究の独自性は、AI駆動型マーカー探索、多層オミクスデータの統合解析、新規治療標的の開拓という3点に集約される。AI技術を活用することで、従来の手法では見つけられなかった、より精度の高いマーカーの同定が期待できるだけでなく、多層オミクスデータを統合的に解析することで、より包括的な分子プロファイルを構築し、TNBCの分子メカニズムの解明を深めることができる。最終的には、これらの成果を基に、TNBCに対する新しい治療法の開発に繋げ、患者生存率の向上に貢献することを目指す。本研究は、オミクス解析とAI技術を融合することで、TNBC研究の分野において、より網羅的で精度の高い分子標的探索を可能にするという点で、学術的な貢献が期待される。
(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか
本研究では、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規治療標的の探索を目的とし、以下のステップで研究を進める。
まず、トリプルネガティブ乳がん患者から手術で切除された腫瘍組織および対応する正常組織を収集し、RNA、タンパク質、代謝産物を抽出し、それぞれRNA-seq、質量分析、メタボローム解析を行う。これら高スループットなオミクス解析により、膨大な量の分子データを生成する。
次に、得られたトランスクリプトーム、プロテオーム、メタボロームデータを統合し、多変量解析を行うことで、TNBC特異的な分子シグネチャーを同定する。このシグネチャーから、TNBCと正常組織を識別できる特徴的な遺伝子、タンパク質、代謝産物を抽出する。
抽出された特徴量を用いて、深層学習などの機械学習モデルを構築し、TNBCと正常組織を分類するモデルを構築する。構築したモデルを用いて、TNBC細胞表面に特異的に発現している可能性のある新規分子マーカーを予測する。
予測されたマーカーの検証として、免疫組織化学染色やウェスタンブロッティングを用いて、腫瘍組織および正常組織におけるマーカーのタンパク質発現を評価する。さらに、ノックダウンや過剰発現実験を行い、マーカーの細胞増殖、浸潤、転移など、腫瘍形成における役割を評価する。
最終的には、予測されたマーカーを標的とする抗体医薬やペプチド医薬を設計し、in vitroでの評価を行う。また、独立した臨床検体を用いて、同定されたマーカーの臨床的有用性を検証し、バイオマーカーとしての活用可能性も検討する。
これらの実験を通じて、TNBCの新規表面分子マーカーを同定し、その機能を解明することで、最終的にはTNBCに対する新しい治療法の開発に繋げ、患者生存率の向上に貢献することを目指す。
(5)本研究の目的を達成するための準備状況
本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)の新規治療標的の探索を目的とする。この目的を達成するため、以下の準備を進めた。
まず、複数の医療機関と連携し、トリプルネガティブ乳がん患者の貴重な腫瘍組織および対応する正常組織の収集体制を確立した。これらの臨床サンプルは、本研究の基盤となる重要なデータである。次に、RNA-seq、質量分析、メタボローム解析といった大規模なオミクス解析を行うための設備とノウハウを有する研究機関との連携も進めている。これらの解析手法により、膨大な量の分子データを生成し、TNBCの複雑な分子メカニズムを解明するための基盤を築く。
さらに、深層学習をはじめとする最先端のAI技術を用いた解析パイプラインの構築を完了した。このパイプラインにより、膨大なオミクスデータを効率的に解析し、TNBCに特異的な分子シグネチャーを抽出することが可能になる。また、オミクス解析、AI、腫瘍学などの各分野の専門家と連携することで、より高度な解析と議論を行う体制を整えている。
これらの準備により、本研究は計画通りに進展し、トリプルネガティブ乳がんの新規治療標的発見に貢献できると確信する。具体的には、臨床サンプルの確保、高性能な解析機器の利用、最先端の解析ソフトウェアの導入、そして各分野の専門家との連携という4つの柱が、本研究の成功を支える基盤となっている。
(6)本研究がどのような国際性を有するか
本研究は、トリプルネガティブ乳がん(TNBC)という国際的な課題である疾患を対象とし、その成果は世界中の患者に貢献する可能性を秘める。
具体的には、世界各地の研究機関と連携し、多様な遺伝的背景を持つ患者サンプルを収集・解析することで、より普遍的な知見を得る。また、国際的な学会で研究成果を発表し、世界の研究者との議論を通じて、研究の質を高める。さらに、RNA-seq、質量分析、メタボローム解析など、国際的に標準化された解析手法を採用することで、研究成果の再現性と信頼性を高め、世界の研究コミュニティとの連携を強化する。
研究で得られた膨大なデータを、国際的なデータベースに登録することで、世界の研究者が自由にアクセスし、共同研究を促進する。これにより、TNBC研究の加速化に貢献し、世界的な医療の発展に寄与する。また、NatureやCellといった国際的な学術誌への論文投稿を目指し、研究成果を世界に発信する。これにより、本研究のインパクトを最大化し、世界のTNBC研究をリードする。
最終的に、本研究で同定された新規バイオマーカーや治療標的は、将来的に国際的な臨床試験に展開され、世界中のTNBC患者に新たな治療選択肢を提供する可能性がある。
このように、本研究は、国際的な共同研究、標準プロトコルの採用、データベースへの貢献、学術誌への発表、そして国際的な医療への貢献という多角的な側面から、高い国際性を有する。
GEMINIは、なんだか素直に言うことを聞いてくれなくて使いにくかったです。研究倫理の倫理観がかなり強めなのかもしれません。
生成AIがここまでやってくれるのだとしたら、自分の申請書作成のブラッシュアップに活かさない手はないでしょう。2025年の科研費の採否は、どの生成AIを使った人が勝つのでしょうか。
生成AIの弱点としては、大量の文書を読み込んでそれに基づいて出力していることから明らかなように、本当にオリジナリティの高いアイデアは提供してくれないはずです。そのため、生成AIを使ってかかれた科研費申請書は、どれも似たような物になる可能性が高いと思います。実際上の4つは、シンプルな依頼にも関わらず、研究の戦略はほとんど同じようなものになりました。もしみんなが生成AIを使って書いていたのだとしたら、今年、科研費を審査する人は、どれもそつなく書かれているけど尖ったところがないなという印象を持つのではないでしょうか。
そうはいっても、人間が考える場合でも世の中の潮流の影響を受けて新しい研究を着想するわけですから、人間が書いたからといってどれくらいオリジナリティがあるのかわかりません。生成AIのほうに分がないとも言えないでしょう。
日本語の文章の読みやすさに関しては、生成AIが圧倒的に有利だと思います。人間が書いた文章のように、文の始まりと文の終わりで呼応関係がうっかりズレたといった、しょうもないミスはまずしません。
文章の流れが十分論理的かというと、PerplexityもChatGPTもClaudeも情報を羅列気味であり、必ずしも論理的な流れがハッキリはしていません。人間が書いたほうが接続語などを効果的に使ってもっと論理的な流れがはっきりした文章が作れるだろうと思います。
なんの知識もない人間が一切労力もかけずに、この程度の申請書を書けてしまうのですから、今年度に応募者みんなが生成AIを使っていたならば、これらの文章がこれからの科研費応募書類の最低レベルということになるでしょう。
一個試しただけだと、たまたまということもあるので、別の研究テーマでも試してみました。こちらもご覧ください。
【Q2207】 研究機関の担当者が研究計画調書の応募情報を電子申請システムで承認し日本学術振興会に送信した後に、研究者から研究計画調書の一部に誤りがあったとの連絡がありました。差し替えを行いたいのですが、どうすればよいでしょうか。
【A】 日本学術振興会が定めた研究計画調書等の提出(送信)期限(以下「学振受付期限」という。)より前であれば、日本学術振興会への提出(送信)後に研究機関担当者※により研究計画調書等(応募書類)を引き戻し、必要に応じた訂正、再提出を行うことができます。ただし、学振受付期限後に、研究計画調書等の引き戻し、再提出を行うことはできませんので、提出いただく前に十分確認をお願いします。なお、引き戻しを行った場合、一度提出した研究計画調書等であっても、最終的に電子申請システム上の応募状況が「学振受付中」となるまで日本学術振興会に提出されたことにはなりませんので、十分に留意してください。また、アクセスが集中して期限までに再提出が完了できない場合があるため、学振受付期限当日は引き戻しを行わないようにしてください。
※個人管理の研究種目の場合は、提出した研究者本人による引き戻しが可能です。https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf
令和6(2024)年7月16日(火)~9月18日(水)午後4時30分(厳守)
令和7(2025)年度基盤研究(A・B・C)、挑戦的研究、若手研究の公募について 科学研究費助成事業(科研費) Grants-in-Aid for Scientific Research 公募情報 日本学術振興会
トレンドに「大数の法則」が入っていて、何かと思ってみたら、サイコロを1万回振ることの意義についての議論が活発に行われていました。
中3の夏休みにサイコロ1万回振って確率が本当にどの目も1/6に近づくのか調べてた中学生がいたけど、大数の法則ってなんなのか教えてもらってないのかな。
それだと標本調査がどーして成り立つのか全然理解できないだろうね。— おがたつ@中学数学専門 (@OgaTatsu_NAC) August 29, 2024
大数の法則が何なのか教えて貰ってたら、実際に一万回試行しようなんて思うはずがない、が論旨てことになるけど、僕が知る知的好奇心旺盛でイノベーティブな人たちはたいてい教えて貰った上で「実際振ってみよ」ってサイコロ振り始めるタイプばっかですね。 https://t.co/ZpNhNNw7OE
— inuro (@inuro) August 30, 2024
サイコロ一万回は、数学の道と自然科学の道の岐路かもですね。
— 出羽 (@dewa3t) August 31, 2024
理学と工学の違いだなぁ
理想サイコロ振ってるなら無限回変わらないから1万回に意味は見出せないだろうが
物理サイコロは、そもそも誤差があり、摩擦もある世界なので、1万回のときに変わるかもしれない豆腐のサイコロは大数の法則を当てはめてはならぬとか、発見するかもしれないからやる意味はある https://t.co/p367mnYlNp
— サト("8") (@sat_ukiyoe) August 30, 2024
今回の場合、「ただし、サイコロの重量バランスと空気抵抗は考えないものとする」ってのが学問、実際に振るのが実験。
一万振ったその上で、「あれこれ100回でもほとんど同じ結果が出てない?」って気づいたらそっから統計学のスタートだ https://t.co/96qiF46aAu— 8月あき (@PinkMayuNyan) August 30, 2024
一万回も振れば、サンプル数が巨大になると、無視されるはずの違いが無視できなくなることがある。
サイコロなら投げ方の癖や微妙な重心の偏りが顕在化するかもしれない。
だから実験は楽しいんだ。— 秋津 (@akatonbo1024) August 30, 2024
サイコロの話を読んで、金属加工会社が高精度のサイコロを製作したという話を思い出しました。https://t.co/6SQsiZDHDy
何事も自分で確かめてみる姿勢というのは、実験系の研究者の素質があると思います。 https://t.co/qapHsuVFuS
— 泡月@インデックス投資 (@Bubb1eM00n) August 31, 2024
ウンウン↕️
たぶん、ゲーム競技用のサイコロはそれを考えて品質管理しているだろうし、それは他製品、例えば自動車部品の品質管理などにも通じる話……
工業の仕組みまでわかる秀逸な自由研究の気がしますね— 平沢ヌル@小説語り (@hirasawa_null) August 31, 2024
ある法則が本当に成り立つのかどうかを信頼できる手法で地道に検証することは最も基本的な科学的態度である。1万回サイコロを振って自明とされる法則そのものを批判的に検討する中学生、立派じゃないか。 https://t.co/l6KEd5gWJF
— y uchida (@uchida204) August 30, 2024
出目確率が1/6になるよう
正立方体を作る技術の向上、
サイコロの振り方の研究。
それを実証検証するのが、
科学とちゃうの?— hidetanaka (@hidetanaka41) August 30, 2024
サイコロ振らない人は、「知った」人。
サイコロ振る人は、「学んだ」人。研究者や発明家は学べる人じゃないと務まらないと思う。
と、個人的に思うワケです。
異論は認める!— apapu (@papu19830919) August 31, 2024
仮説を立てて実験する。文字では簡単なことかもしれないけど研究職というのはこれを成功するまでやる。論文が認められるまでやるからすごいんだ。それこそ、サイコロを一万回するようになんども繰り返すんだよ。論文を読んでるだけじゃ学術の進化は始まらない https://t.co/kNlLUEI6tZ
— 352 (@tochi__tocchi) August 30, 2024
そもそも現実世界のサイコロは、本当に1/6になるのか?というのを考えた人もいる。何より科学は考えたことを実験で確かめることでみんなが納得して先に進んできたんだろうが。最近はノーベル賞だって理論の段階では貰えんぞ。
1から6まで目の出る確率は均等なのか? https://t.co/Ec0OJ2TLOT pic.twitter.com/1M9sbJqh1W
— えんたろう…ごはんがともにあらんことを (@entaro_) August 30, 2024
昔、中学の自由研究で1000個サイコロ振ってみた、ってのやったやついたな。当時は、頭ヤバいのでは、と思ってたけど、今は面白みが分かる。これが”教養”ってやつなんだろうかな。
いややっぱ今考えても頭おかしいか。 https://t.co/SnK6TdHGqd
— ト (@uet1) August 31, 2024
サイコロ1個を10000回振って出た目を記録するのと、サイコロ10000個を1回振って出た目を記録することが、同じであることを確認する自由研究やりたいわね
— たかはしけい / Takahashi K (@KayT0309) August 31, 2024
実は僕も小学生の夏休みの自由研究でサイコロをたくさんふる実験をやった。4年生くらいだったかな。1万回はやらなかったと思う。1/6にはぜんぜんならなかった。
— ksaino (@ksaino) August 31, 2024
小学生の頃サイコロ1000回振って確率取ったのを自由研究にした俺くんはマジで賢いんだけど、問題はカスのガキだったから途中で飽きて嘘の結果書き込んだことなんだよな
— 染み”ュー (@swswnonasu) August 31, 2024
何年か前に、小学生の娘の夏休みの自由研究で10000回サイコロを振って1/6に近づくか調べたことがある笑
もちろん、安いサイコロなので近付かず…、正直に表にまとめ提出した。
かなりの力作と自信があったが、全く評価されなかったことがある過去をもつ私。娘より、私が悔しかった。 https://t.co/hBzdsd2Fza— ティンパニーちゃん(公式) (@ngoro_timpani) August 31, 2024
大学の確率統計の講義で最初にこれやったわw
そんなに優秀な大学ではなかったから目的は東大のように高尚で哲学的なものではなかったと思う(データ数の少ない範囲では人間が思うほどサイコロの出目は確率通りではないということに驚いてもらう内容だった)
でも pic.twitter.com/bQPASQpdjL— わくぁかれす (@waqakares) August 30, 2024
大学の授業では、大人数で同じ試行を繰り返して、サイコロの製品によるバラツキなんかも統計処理して、その差異の原因分析までやりました。
サイコロの種類も2種類ぐらいあったかな。興味深い実験でしたよ。
個人的には、単純だけど深堀りのできる良い自由研究だと思いますけどね。— たけちぃ。【逃避中】 (@TakechNorthFace) August 30, 2024
ふーん。
工学部統計学専攻・修士のワイ、大学の授業で同じくサイコロ1万回振って確率を調べたけど?
なんか問題ありますかwww? https://t.co/NQJlTy3sR6— たけちぃ。【逃避中】 (@TakechNorthFace) August 30, 2024
私は実際にやってみて実験が予想を再現する様子を見るのとか好きなんだけど、1万回もサイコロを振るのを面倒くさがる大人になってしまったのでシミュレーションで済ませてしまう。
最初は振れの大きい確率が試行回数に従って収束する様子は、何の意外性もないんだけど見ていて楽しい。 https://t.co/scVAjMRqF1 pic.twitter.com/Fuwd2HVuJh— 倉 啓一郎 (@quityourj) August 30, 2024
サイコロを6万回投げた時のシミュレーションがこちら。
拙著『はじめての統計学レジの行列が早く進むのはどっち?』よりhttps://t.co/BZoi2UmHT7
↑東京都内の国立中学校の入試問題に採用された本です。7刷2万部。
先日は中学生の数学甲子園にて大数の法則教えて参りました。 https://t.co/SoCvxed3dN pic.twitter.com/cBpfYbJnhg— サトマイ『あっという間に人は死ぬから』 (@satou_rco) August 30, 2024
イギリスの統計学者ウェルドンによれば、12個のサイコロを26306回振って,5,6の出る確率は0.33であることを発見した.サイコロの出る目は1/6ずつではないという統計もあるのは転がし方、空気抵抗、摩擦、速度など影響するため意外と想像ができる。https://t.co/nHHxl2ic1G pic.twitter.com/H1Ru6ZFwKC
— ソマリ☕ (@suunnday_s) March 5, 2019
Labbyさんが自動でサイコロを振る装置を作って出目を調べた結果の方より。またピアソンさんがχ²検定を最初に書いた論文はWeldonさんが何万回もサイコロを振った結果を使っている。大数の法則だから、、、って意味がわからない。
Testing Goodness of Fit Using Chi-Squarehttps://t.co/vYGBlFJC8C pic.twitter.com/FvoXjLTw2H— tomo (@tonagai) August 30, 2024
サイコロ1万回の実験の前に大数の法則を習うべきかはさておいて、実際にサイコロだか硬貨だかを多数回投げて一様分布からの外れを調べた論文があったような気がするが、思い出せない https://t.co/vBOU9P1b5u
— Haruhiko Okumura (@h_okumura) August 30, 2024
今話題の大数の法則の件で、この記事を思い出した
コインで表か裏が出る確率は“50%ではない?” 49人の研究者が35万回投げて検証 肝は投げる親指の動きhttps://t.co/1QKgFbb3ss
— 猫 (@nekolovercat) August 30, 2024
理論しか知らない典型的な教員だなという印象
10000回では確率は16~17%にどの目も収束していくが、1000回だと13%と18%の目があるみたいに明らかに偏った結果が生まれることもある
大数の法則がどうとか以前にサイコロに関しては1万回振ることは別にやり過ぎでも何でもない https://t.co/HqPIjuKG2F pic.twitter.com/QpxzYx9EKR— ֍ナギ@PSO2_ship5֎ (@PSO2_NAGI) August 30, 2024
#統計 そうなんです。たったの1万回だと結構ずれるんです!
どの出目もぴったり確率1/6で出るサイコロを1万回振ったとき、1から6のどれかの目が出た割合が0.99/6以下または1.01/6以上にずれる確率は99.5%もあります(相対誤差1%の場合)。
どれかの目の相対誤差が5%以上になる確率は14%程度もある。 https://t.co/BzKnyMSBWl pic.twitter.com/muQRE319oV
— 黒木玄 Gen Kuroki (@genkuroki) August 30, 2024
【自由研究】サイコロ一万回ふって統計とってみる【輪廻ヒロ】 輪廻ヒロ / Rinne Hiro チャンネル登録者数 118人
なぎ、中学の時に、何種類かのサイコロで、これやりました!
(1万回も振らなかったけど)結果、ものによってあまり1/6に近づかないサイコロがあって、サイコロにも品質があるのね、って気付きました~!! https://t.co/RcRtvMKs0l
— なぎ@分子科学?ちゃんねる / Hideki Katayanagi (@hdkktyng) August 30, 2024
昭和生まれの中学校時代は平成初期の人間だけど、中学校のときに後ろの席の奴がまさにそれやってたわ
さいころ6万回振って各目が1万回に近いのかどうかを出た目をすべてノートに記録するってやつ
夏休み前の授業中からさいころふりはじめてた。夏休みの自由研究って意味あるかどうかじゃないと思うが https://t.co/7uN9nh7JjU
— 002 (@002t) August 31, 2024
サイコロが昔から大好きだったので、中学生の自由研究で、リアルにこれやりました。数学担当の先生からは興味を持たれて、銀賞もらえました。
肝心の検証結果は、忘れました。 https://t.co/jPc9UO5Apf— べくそん (@tsubekuson) August 31, 2024
これ弟が自由研究でやりたいって言って家族総出で振りましたね、安いサイコロだとちゃんと出る目にクセがあります。
— ○○やまと○○です。 (@yamato105_16) August 30, 2024
中学校の時の自由研究はサイコロを千回振って確立が均等になるかを調査していて、回数を増やすと1/6に収束していくということに気づいたよい。これに大数の法則という名称が付けられていることを当時は知らなかったけど、それを綺麗に一般化することが研究ということなんだと最近気づいたよい。 https://t.co/vwxpkWiyMh
— 大学院生の不死鳥マルコbot (@i_love_OYAZI) August 30, 2024
サイコロと聞いて、かの有名な「アインシュタイン」博士の言葉を思い出しました。
「神はサイコロを振らない」
„Die Quantenmechanik ist sehr achtunggebietend. Aber eine innere Stimme sagt mir, daß das noch nicht der wahre Jakob ist. Die Theorie liefert viel, aber dem Geheimnis des…
— アイスクリーマ (@icecreamer_X68K) August 30, 2024
2025年度科研費から、申請書の様式に、(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか について具体的かつ明確に記述すること という指示が付け足されました。
うを。科研費申請書、記載項目が増えてるー。「(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか」つまり、国際性をより前面に出す必要があるわけだ…。https://t.co/EHbkQH2C9E
— 哎呀ai-ya!? (@ai_yojg) July 17, 2024
ここをどう書けばよいのか戸惑い、悩んでいる人がたくさんいます。変更されてから初めての応募なので、どうのように書いた申請書が採択されたのかという情報がなく、正解がわからないのです。
科研費調書の国際性って何を書けばいいんですか。国際査読誌に載せます、じゃだめですか。
— 宮城島 要 (@KanameMiyagi) August 5, 2024
科研費の追加項目が難題だ
(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究 としての高い価値を創出する等)を有するか— 河 正一 (@Jeongil1122) August 14, 2024
科研費て研究者が国から研究に対して貰うお金なのだけどその申請書の項目に「国際性」というのが増えてあらゆる人が微妙な反応している所まで把握した。。
— ᎠᎵᏰᏑᏍᏔᏪ (@Ckis) August 20, 2024
単に、様式に(6)国際性が加わっただけというものではなく、それに対応して審査委員の評定要素に国際性が加わっていることに注意を要します。つまり、このセクションの記述に対して点数が付けられるのですから、おろそかにはできないのです。
今年度から科研費の書類に「本研究がどのような国際性を有するか」という項目が加わった。私の研究に関して言えば、私と同じ研究をしている人は海外には複数いるが、国内にはほぼいない。特にヨーロッパと韓国に多くいる気がする。アメリカは似ているけどちょっと違う感じ。 pic.twitter.com/qXYOjs91zr
— 渡邉究/第二のコロチキ西野氏を目指す数学科准教授/YouTube (@Kiwamu_Watanabe) August 7, 2024
科研費の新しい記載項目である(6)国際性だが、書いていない人がしばしばいる。変更を知らないのかと思っていたが、どうもそうではなく、「関係するものがないから」書いていないようだ。ここは評価項目なので、書かないと間違いなく、*が付く。絶対に書いてください。#科研費 #申請書 #添削
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 17, 2024
わざわざ国際性を書かせることに対して懐疑的な反応も多数見られました。科学研究の成果は、世界で一番だからこそ発表できるわけで、国際性がない研究という概念がそもそもあるのか疑わしいからです。
科研費の申請書、今更ながら国際性を尋ねるフォームになったようだが、まともな研究計画は尋ねるまでもなく国際的なものでしょ…
— よよいは帰りました (@YYOI) July 30, 2024
科研費の申請で今年から新設された「(6) 本研究がどのような国際性を有するか」が厳しい。実験系の医学研究で国際性を有しないものなんてないと思うんだが。
— ふぁっふぉい (@sugikota) August 6, 2024
科研費申請書類を書いていて思うのは、注意事項でやたらと国際性について言及するように求めてくるなと。自分の分野では国際性というのは当たり前であり、なんなら自分の研究は国内よりも海外で最初に理解者が現れるという始末なのだが、そうでない分野もあるのだろうということが伝わってくる
— 松原隆彦(不明なエラー[4000]でアップデートできません) (@tmcosmos_org) August 20, 2024
うーむ.科研費の申請書に「どのような国際性を有するか」を記載することが必須になったのか.日本に限らず,特定の国に特化した研究が全体的にハンディキャップを負いそうな気がするんだけど,どうなんだろう.
— M. Morise (忍者系研究者) (@m_morise) July 16, 2024
このような研究に配慮してか、指示のところには日本独自の研究の例も挙げられています。
(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか
科研費の新様式、国際性が前提になっている実験科学では記述スペースの無駄だし、そうでない分野ではこじつけや妄想になるのが容易に想像できるので、誰が得するのか解らないし、審査もしたくない
— 周回遅れbot (@lapdelay) August 20, 2024
うーん。
成果が出た後にその国際的な価値を問うのはわかりますが、研究計画段階でそこを問うても、ただの妄想じゃないですか…
全ての申請書類が「国際的に優位だ」「わが国独自だ」と書いてくるわけですよね?どれも未実現のことの中でそこを評価しろと言われても審査員も辛いだろうなと思います pic.twitter.com/BLRFsEPWxz
— 科研費.com (@kakenhi_com) July 22, 2024
そうなのかもしれませんが、相当にハードル高いですね。
「良い研究ならば国際共同研究」
という傾向があるにせよ、
「国際共同研究ならば良い研究」
は必ずしも真ではないという点に、文科省(と財務省)は早く気づいてほしいです。— 科研費.com (@kakenhi_com) July 24, 2024
科研費、より明確に国際性なき研究は予算を投じるに値する研究にあらずの方針を出してきましたね。 https://t.co/naUUCLgFT6
— યુતકકવસકિ (@suhamma) July 17, 2024
科研費の国際性の評価、微妙だなー。たぶん、国際なんとか?とかを廃止するための布石なんだろう。挑戦的研究はどうなるのかな?全く学振(国?)のやることはよくわからない???#科研費公募 #国際性
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 1, 2024
(6)どのような国際性を有するか を書くにあたって、下記の資料は必読です。特に太字下線にした部分を読むと、今回の変更の意図が良くわかります。つまり(6)どのような国際性を有するか でアピールすべきことは、「国際共同研究加速基金」や「海外連携研究」の趣旨を反映したものであるべきだと言えるでしょう。
第 1 2 期 研究費部会 における科研費 の 改 善 ・充実及び 今後の 議論の方向性について( 中間まとめ ) 令和6年 6 月 2 4 日 科学技術・学術審議会 学術分科会研究費部会
①国際的に波及効果が高い学術研究の推進
(科研費(基盤研究)における研究の国際化等)
既に基盤研究等の枠組みでも国際競争力のある研究は数多く行われているところ、上記の環境の変化を踏まえ、「国際共同研究加速基金」として別枠で助成する仕組みではなく、審査によりそうした研究を見出し、助成する仕組みが必要である。
また、我が国の研究力の相対的・長期的な低下が懸念される中、現在の物価高や為替安等の厳しい社会情勢も踏まえ、研究者が国際競争力のある研究に十分取り組めるよう、応募額を尊重した研究費配分が望まれる。
このため、本部会及び振興会の学術システム研究センターにおける議論を踏まえ、「国際共同研究加速基金」について、その機能を勘案しつつ可能なものは段階的に「基盤研究種目群」等に統合していくこととする。その際、「基盤研究(B)」との間で実質的な差異がなくなった「海外連携研究」については、令和7年度助成から公募を停止し、速やかに「基盤研究種目群」等に統合することとする。
https://www.mext.go.jp/content/20240624-mxt_gakjokik-000036755_1.pdf
上の資料の経緯」を読めば、(6)国際性 をどう書けばよいかは明らかです。つまり、「基盤研究」に統合される「国際共同研究加速基金」と「海外連携研究」の趣旨を、基盤研究の様式の中で受け継いだのが(6)国際性 の部分なので、それらの趣旨を意識して書けばいいのです。
国際共同研究加速基金
国際先導研究 我が国の優秀な研究者が率いる研究グループが、国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際的に高い学術的価値のある研究成果の創出を目指す。ポストドクターや大学院生の参画により、将来、国際的な研究コミュニティの中核を担う研究者の育成にも資する。(7年間(10年間までの延長可) 5億円以下)
国際共同研究強化 科研費に採択された研究者が半年から1年程度海外の大学や研究機関で行う国際共同研究。基課題の研究計画を格段に発展させるとともに、国際的に活躍できる、独立した研究者の養成にも資することを目指す(1,200万円以下)
海外連携研究 複数の日本側研究者と海外の研究機関に所属する研究者との国際共同研究。学術研究の発展とともに、国際共同研究の基盤の構築や更なる強化、国際的に活躍できる研究者の養成も目指す(期間3~6年間 2,000万円以下)
帰国発展研究 海外の日本人研究者の帰国後に予定される研究(期間3年以内、5,000万円以下)
科研費の基盤研究で今年から加わった(6)国際性の部分だが、ここはマイナスにはならない部分だ。プラス評価されると配分額が増えるとか、若手で国際性が評価されると優先的に採択されるなどだ。なので安心して書いていけば良い。5行くらいで十分だろう。#科研費 #申請書 #ジーラント
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 21, 2024
科研費は公的研究費なので、科研費応募を予定する研究者はコンプライアンス意識をしっかりと持つことが要請されています。そのため、研究倫理(公的研究費のコンプライアンス)教育のための講習動画を視聴する義務が課せられています。
日本の大学の研究者の給料は、その業績に比べると大したことがなくて非常にバランスが悪いことがあります。ノーベル賞級の仕事をしている大学教授と、論文をろくに書かない学大教授の給与体系が基本的には同一なわけです。しかし、獲得する研究費は2~3桁も違っています。
研究費の金額にかかわらず、研究費を正しく使うことが重要で、文科省からガイドラインが出されています。
研究費の不正使用が明らかになった場合には、文科省のサイトでその内容が公開される場合があるようです。
研究費不正の典型的な事例は、カラ出張でしょう。出張していないにも関わらず出張旅費を請求して、研究費を自分の懐に入れるというものです。自分が学生の頃(数十年前)は、カラ出張で小銭を貯めてそのお金で学部学生の学会旅費をねん出するということが比較的広く行われていたということをうわさで聞いたことがあります。しかし現在は、公的研究費の使途の自由度が高められており、研究室の運営のためにカラ出張をする必要はほとんどなくなってきているように思います。
カラ出張でなく、研究業務目的で出張はしたが、交通費や宿泊料を「浮かせる」という不正もあります。ホテルに泊まったことにして友達の家に泊めてもらい宿泊料を請求するのは不正行為になります。ただし、通常は大学が研究者に対して「ホテルが発行する宿泊証明書」の提出を義務付けていることが多いので、この手の方法は通用しないことが多いと思います。また、大学側が研究者に対して、出張先での学会参加など用務を行った証拠(当日配布されるプログラム、学会参加証、現場の写真など)の提出を求めることも多いと思います。何であれば証拠とになるかは絶対的なものがないため、悪意をもった不正を大学事務が完全に防ぐのは難しく、研究者本人の高い倫理観が求められます。
出張用務の証拠提出に関しては、大学ごとにローカルルールがあるようです。
今はないと思うが、某工大学では学会参加の証拠として、写真と学会主催者の出席確認サインを求められていた。写真撮影をして座長にサインをしている人をよく見かけた。国内はまだ良いが国外の学会だと完全に奇人扱いになる。
— Hiroki Fukagawa (@hiroki_f) June 14, 2022
巧妙な不正行為を行う人間が出てくると、それを防止するために研究者には余計な義務が課せられるようになるので、どんどん研究に関するつまらない業務が増えていって肝心の研究に影響しかねないというのが、問題です。
研究費不正でありがち?なものは、PCなどを研究目的以外で購入することです。これに関しては、防止策が徹底されてきており、必ずしも高額でなくても監査においてちゃんとその物品が研究の現場に存在するかが定期的に調べられることが多いと思います。換金性が高く、汎用性が高いデジタル機器に関しては、購入や管理に関してはかなり厳しいルールが大学によって定められていてそれを遵守することが研究者に求められているということが、多いと思われます。
なぜ不正が起こるのか?倫理講習でよく紹介されているのが、「不正のトライアングル」と呼ばれるもので、①機会②動機③正当化という、不正リスクの3要素の存在が提唱されています。
①機会:研究者は巨額の研究費を自分の判断で自由に使える立場にあり、
②動機:プライベートもしくはラボの運営にあたって、お金が何かと足りないので、自由に使えるお金が必要という動機があり、
③正当化:研究者は安い給料で世界の最先端の仕事をしているので全く正当に報われていない、もっと報われるべきだという意識がある
ことから、研究不正がなくならないのかなと勝手に想像しています。まあ一番の理由は、倫理感も持っていない人間が研究業界に紛れ込んでいるからでしょう。
公的研究費を私的流用すると、むこう10年間、公的研究助成への応募ができなくなるという罰則があります。
これは研究者生命が絶たれるくらいの重さだと思います。私的流用は、金額の大小にかかわらないというのが要注意で、金額が小さいとこれくらいならと思う人がいるかもしれませんが、その代償は非常に大きなものになります。また、不正行為を働いた研究者の氏名は公表されてしまうので、次の職探しに影響する恐れがあります。もちろん悪質な場合は、刑事事件として処理される恐れがあります。
また、研究室主宰者には部下の不正に対する監督責任もあります。そのため、善管注意義務の違反によりペナルティが下される恐れもあります。
不正使用を行った研究者に対する応募資格の制限等について
平成24年度の「競争的資金の適正な執行に関する指針」の改正において、特に悪質な不正使用の事案に対しては厳しく対処するとともに、不正使用の内容に応じて、応募資格を制限することとした。
不正使用の程度と応募制限期間:善管注意義務違反を行った研究者 善管注意義務を有する研究者の義務違反の程度に応じ、上限2年、下限1年 https://www.mext.go.jp/content/1395971_01.pdf
研究者としては、何が研究費不正になるのかを正確に理解しておくことが重要で、研究者としては些細だと思たことでも、不正行為と認定される恐れがあります。故意か過失かでいえば、たとえ過失であっても「重大な過失」と判断されると不正に該当してしまいます。故意の場合、私的流用は論外としても、ことなる研究テーマに用いると目的外使用とみなされる恐れもあります。複数の研究テーマの線引きは難しいことが多いのですが、注意が必要です。事前に大学事務に相談しておけば不正にならずにルールにのっとって正しく使える方法が見つかる場合もあるので、まずは大学事務に相談すべきでしょう。
研究費不正の代表格は、業者とグルになって預け金をつくることです。これは、研究期間をまたぐための苦肉の策だと思いますが、いまどき、科研費は使い方がかなり柔軟になってきており、このような不正をする必要がそもそもなくなってきていることが多いと思います。
カラ謝金というのも不正使用の典型で、自分のラボの学生が働いたことにして謝金を出し、実際には学生には渡さずに教授がそのお金をプールして別の目的に使うというのが、大昔はあったと聞いたことがあります。そうやってプールしたお金をラボのために使ったとしても不正であることには変わりはありません。時代が変わると不正に対する考え方や捉え方も180度変わることがあるので、要注意です。
注意すべきは、自分の研究グループのためにという目的であっても、不正にお金を還流させると不正とみなされてしまうということです。どんな理由でも正当化されることはありません。
研究不正の典型としてもうひとつあるのが、「期ずれ」と呼ばれるものだそうです。今年度の予算がもうなくなってしまったけどどうしてもその研究機器が今年度必要だから、納品だけ今年度にしてもらい、支払いは来年度にまわしてもらう。あるいは逆に、今年度予算が余ってしまったのだが、来年度どうしても必要な研究装置があるので、支払いだけ先に今年度済ませて実際の納品は来年度にしてもらうというものです。どっちもアウトで、立派な研究費不正になります。
通常おつきあいのあるまともな業者なら、代償が大きすぎるこういった研究不正に手を貸すことはないでしょう。
参考
科研費で何を買っていいのか、何は買えないのかは研究者が一番知りたいことですが、それに関しては制度によって明確な線引きをしているわけではないので、実際には制度を運用する大学のローカルルールが優先されることになります。
【Q41071】 どういった経費に科研費の「直接経費」として使用することができるのか、支払の可否をリスト化することはできないのでしょうか。
【A】 科研費からの経費支出に当たっては、経費を支出しようとする事柄(「物品」や「料金」等)そのものに着目して支出の可否を判断するのではなく、「当該経費の支出が科研費の研究遂行上必要かどうか」といった観点で可否を判断することになりますので、単純にリスト化することは困難です。例えば、同じパソコン代金の支払いであっても、科研費の研究遂行上必要であれば代金を科研費から支出することができますが、科研費の研究遂行上必要ない場合は目的外使用に当たるため科研費から支出することはできません。https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf
公的資金の使途に関してはある程度の柔軟性が認められるようになってきています。
【Q4411】 共用設備を購入する際、当初予定していたものと同程度の設備を購入しなければならないのですか。
【A】 複数の補助事業において合算して共用設備を購入することで、当初予定していた設備よりも高額でハイスペックな設備を購入することも可能です。
特に、「目的外使用」に関しては概念的な変更がなされていると思います。
【Q4413】 科研費以外の研究者も使用する前提で科研費による共用設備の購入は可能でしょうか。また、科研費共用設備に関する研究機関のルールを定める際に、どのようなことに留意したらよいでしょうか。
【A】 共用設備は、各補助事業の遂行に支障のない範囲で、他の研究のためにも使用されることが望ましいと考えられます。したがって、科研費以外の研究者も使用する前提であっても科研費による購入は可能です。また、この場合、科研費以外の経費(運営費交付金など科研費との合算使用を認めている経費)を加えて購入することも可能です。 各研究機関においては、研究機関内において共用設備が有効に活用されるよう、その使用方法や管理方法などについて適切にルールを定めてください。
【Q4414】 科研費と他の研究費制度の経費を合算して共用設備を購入することはできないのでしょうか。
【A】 科研費と他の研究費制度による共用設備の購入については、科研費以外の競争的研究費制度で合算使用が認められ、科研費による研究に支障が生じない場合には合算使用が可能です。令和2(2020)年度より、合算使用が可能な対象制度が拡大されました。詳細は、以下の申し合わせを確認してください。 「複数の研究費制度による共用設備の購入について(合算使用)」(令和2年3月31日資金配分機関及び所管関係府省申し合わせ) https://www.mext.go.jp/content/20200910-mxt_sinkou02-100001873.pdf
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf
合算使用制限の例外が認められるのは以下の四つの場合です。
①直接経費に、使途に制限のない他の経費を加えて補助事業に使用する場合
②直接経費と使途に制限のある他の経費(科研費以外)を加えて、他の用務と合わせて1回の出張を行う場合や、他の用途と合わせて1個の消耗品等を購入する場合などに、補助事業に係る用務や、補助事業に用いる数量分を明らかにした上で使用する場合
③直接経費に他の科研費を加えて、各事業の負担額及び算出根拠を明らかにした上で、補助事業に使用する場合
④直接経費に、共用設備の購入が可能な制度の経費を加えて、各事業の負担額及び算出根拠を明らかにした上で、共用設備を購入する場合日本学術振興会 科研費FAQ https://kakenhi.jsps.go.jp/
【Q44071】 科研費で購入した実験装置は、研究期間が終了した後も、別の研究等で使用することは可能でしょうか。
【A】 可能です。科研費により購入した設備等は、購入後直ちに研究機関に寄付することとしていますので、研究期間終了後も、研究機関の定めに従い、別の研究等で使用することは差し支えありません。 また、科研費が交付されている研究者個人のみではなく、有効利用・有効活用の観点から、所属研究機関外の研究者を含め他の研究者の研究に使用することを可能にするなど、積極的に設備の共用化を図ってください。なお、令和2(2020)年度以降に購入する設備等については、研究課題の研究期間終了後(補助事業を廃止した場合も含む)5年間は、【Q4405】のとおり取り扱うこととなります。
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_faq/kakenhi_faq.pdf
科研費の使用にあたっては、「基金」と「補助金」の区別が大事です。研究者はあまり普段意識しないかもしれませんが、事務処理上大きな問題になります。補助金は年度ごと、基金は研究機関をまたいでOKというのが基本です。
質問番号 Q4439
質問 年度をまたいでの出張を行う場合に、科研費から旅費を支出できますか。
回答 科研費(補助金分)にあっては、年度をまたぐ旅費のうち当該年度分を支出することはできますが、次年度に係る出張の経費を、前年度の補助金から支出することはできませんので注意してください。一方、科研費(基金分)にあっては、年度をまたぐ支出について制約はありませんので、旅費を年度によって分けて支出する必要はありません。 https://kakenhi.jsps.go.jp/
特に海外の学会では、懇親会でアルコールが提供されることが多いと思いますが、科研費でアルコール飲料を購入するわけにはいかないため、この可否が問題になります。懇親会費用のうちアルコール飲料代とその他を分けた明細を出せと事務にいわれたことが自分はありますが、学会主催者に問い合わせてもだいたいそういうことまでは対応してもらえません。これに関してもルールの適用に時代の変化があるかもしれませんので、最新のルールやルールの実施基準を確認することが大事です。
質問番号 Q4474
質問 学会への出席にあたって、学会参加費の中に夕食のレセプション(アルコール類も提供される)費用が含まれており、この部分だけ切り離すことはできないとのことでした。こうした場合に、学会参加費を科研費から支出することはできませんか。
回答 学会参加費の中にその費用が組み込まれ不可分となっているようなレセプションは、学会活動の一環として企画されていると考えられますので、その際にアルコールが供されるか否かを問わず、参加費を科研費から支出することは可能と考えます。なお、実際には、様々なケースがあると思われますので、社会通念上、学会活動を超えるようなケースまで支出を可能とするものではありません。https://kakenhi.jsps.go.jp/
上の回答は微妙で、実際には大学の判断・ローカルルールに従うことになるのだろうと思います。
研究者は、研究倫理について学ぶことが義務付けられています。特に、科研費に応募する場合には所属機関が提供する研究倫理の学習コースを修了しておくことが、どの大学でも必須とされています。
研究倫理に関しては、文科省の研究活動における不正行為への対応等に関するガイドライン(2014年8月)というものがあります。なぜ毎年、何時間を時間をかけて動画を見させられるのという不満も出そうですが、毎回思い起こしてねという趣旨のようです。
倫理講習が大事なのはわかりますが、その一方で、エラーバーを手作業て押し込むなど、明らかな不正行為と思われるものが野放しにされていたりするので、研究倫理講習をこうやってガチガチに強制する(動画を早送りで見たりできない!)ことにどれほどに意味があるのだろうという疑念も頭をよぎります。
不正行為を働いた人間を厳罰に処すのでなければ、いくら講義を受けさせたところで不正行為をする人はするのでしょう。東大医学部の件は、研究コミュニティからの「吟味」も「批判」も全く受けませんでした。何しろ、東大が報告書など重要なものを何も公開せずに、単に不正はなかったのでそれ以上説明しないといって幕引きを図ったからです。毎年毎年これだけ研究倫理、研究倫理と言っておきながら、文科省が東大に資料を公開させないというのは自分には大きな驚きでした。いや、驚き以上で、大きなショックを受けました。
さて、研究不正は実際のところかなり狭く定義されていて、ねつ造 fabrication、改ざん falsification、盗用 plagiarismの3つが、「特定不正行為」として定義されています。不正行為がそれらだけに限定されるわけではないとされていますが、実質、罰則を伴わないのであれば、あまり意味がないようにも思われます。それら以外のグレーゾーンの行為はQuestionable Research Practice (QRP)などと言われることもあります。
QRPに属するものとして、二重投稿、オーサーシップの不適切さ、実験データの管理のまずさ、研究広報の不適切さ、研究指導の放棄などが挙げられることが多いようです。
研究不正を疑われた人の常とう手段は、「実験ノートを無くしました。実験データが入ったPCが壊れました。」というものです。実験ノートが存在しなければ、不正の事実も証明できないので、どうしようもありません。
研究広報に関しては、かなりやばいものでも誰も不正とまでは言わないのでやっかいです。
ねつぞう、かいざん、とうよう、の頭文字をとって「ネカト」と呼ぼうという呼びかけもありますが、研究者の日常会話の中で「ネカト」という言葉を聞いたことは今のところありません。まだあまり普及していないようです。研究倫理講習の講師の先生は、「ネカト」という言葉を紹介したりすることがあるので、そのうち定着するでしょうか。
特定不正行為の境界はちょっと難しい部分があります。発表論文に不正があれば不正ですが、未発表データに不正があっても、文科省の今のガイドラインだと特定不正行為とは認定されません。これは国によっても判断の仕方が異なると思います。日本で特定不正行為に手を染めた人は、外国ではルールが異なる可能性があるので要注意。
未発表データにおける研究不正の取り扱いは、とりあえず「判例」というべきものが日本にもあります。
この事件は、何しろ日本の宇宙飛行士が主導する研究における研究不正だったので、多くの注目を浴びましたが、処分を公表しないなどJAXAが宇宙飛行士を守ろうとする態度が印象的でした。
研究不正も、特定不正行為には該当しないが悪質なものがいろいろ出てきています。自分が驚いたのは、査読システムの裏をかいた研究不正です。
学術誌Tumor Biologyに掲載された107編の論文について、論文を支持する査読が偽造されていたことが発覚し、同社は4月にこれら全ての掲載を撤回した。
https://www.natureasia.com/ja-jp/ndigest/v14/n9/中国がフェイク査読取り締まりを強化/88452
中国は、倫理に関して研究者の質の差が大きいと思いました。ところが、同じようなことは日本でも起きていたようです。
●●教授側は論文を学術誌に投稿する際、専門分野が近い▲▲教授を査読者として推薦。査読者に選ばれた橋本教授は、本来は自ら作るべき論文の疑問点などを指摘する「査読コメント」の作成を、著者の●●教授側に依頼した。●●教授は研究室の教員らに指示してコメントを作成し、▲▲教授に送った。その結果、これとほぼ同じ内容のコメントが学術誌から届き、●●教授はこれに回答して査読を通り、論文が掲載された。本来は第三者が行うべき査読を「自作自演」したことになる。
福井大教授の査読偽装、調査委「不適切」と認定、撤回を勧告 鳥井真平 柳楽未来 毎日新聞 2022/12/18 18:00
査読がらみといえば、いわゆるハゲタカジャーナルのような査読がユルイという問題がメインかと思っていましたが、いろいろなバリエーションがあるんですね。
特定不正行為として捏造と改竄が分けられていますが、実際には、境目があるわけではありません。実験してグラフを描いたが有意差は出なかった。なのでエラーバーを押し下げて、バラつきが少なかったように見せかけて有意差が出たことにして論文発表しました。そんな場合には、一応何かしらの実験をしていたので「改竄」になると思いますが、ふつうは有意差が出なかったら論文発表できないことが普通なので、これは「捏造」と考えたほうがむしろ自然です。
特定不正行為の3つ目が「盗用」ですが、盗用は他人の論文のコピペだけでなく、自分の過去の論文をコピペしても盗用と判断されるので要注意です。出典を付せば盗用にならないので、うっかり出典を付すのを忘れるのは不正とみなされる恐れがあるので要注意です。
研究不正の中には、利益相反に関するものがあります。一番有名な事例はディオバン事件でしょう。
研究不正が刑事事件として扱われることはあまり多くない印象です。研究者の感覚からしたら凶悪殺人事件なみの悪質さでも、法的には裁けないことが多いからでしょう。しかし、一線を越えた行為に対しては、刑事告発が行われる可能性があります。
不正の告発は原則、顕名で、どの研究機関にも通報窓口が設置されています。また、文科省のガイドラインでは最近は匿名であっても受け付けるようです。実際、東大医学部の不正を告発したのは、Ordinary_researchersという匿名集団でした。
通報者の権利は守られるということが謳われていますが、実際のところ、不正疑惑を大学側が揉み消すような場合には、通報者に不利益が生じないという保証は常識的に考えるとどこにもないのではないかと思います。倫理講習のテキストを真に受けると大変なことになる危険があります。研究不正を告発することは、自分の研究者生命を犠牲にする可能性があるのです。
大学教授が大学内の研究不正を告発した場合ですら、学長に力で解雇されてしまうというこれ以上ないくらいの大きな不利益を被ることがあるわけですから、倫理講習テキストで説明された内容を建前を真に受けるのは大変危険だと思います。
研究不正の告発を行うのは本来、諸外国のように専門家がそれを職業として行う公的な機関に対する通報として、公的機関が強権を発動して調査・調査結果の公開をすべきでしょう。
参考
人を対象とする研究の場合、研究内容によっては、個人情報の取り扱いに配慮が求められることがあります。現在では、個人情報を積極的に研究に活用しようという時代の流れがあるため、研究者が学ぶべき個人情報の取り扱い方も多少複雑になってきているので要注意です。
近年、情報化の進展や個人情報の有用性の高まりを背景として、官民や地域の枠を超えたデータ利活用が活発化しており、現行法制の縦割りに起因する規制の不均衡や不整合(法の所管が分かれていることに起因する解釈上の不均衡や不整合を含む3)がデータ利活用の支障となる事例が各所で顕在化しつつある。
個人情報保護制度の見直しに関する最終報告 令和2年12月 個人情報保護制度の見直しに関するタスクフォース
個人情報を活用した学術研究が活発に行われるように、個人情報保護法には学術研究に関連した「例外」が盛り込まれているそうです。
利用目的による制限(個情法第16条)及び要配慮個人情報の取得制限(個情法第17条第2項)については、研究活動の自由及び研究結果の発表の自由を直接制約し得る規律であり、例外規定を置かないと類型的に実施困難な研究活動が生じると想定されることから、「学術研究機関等が学術研究目的で個人情報を取り扱う必要がある場合」を例外とする趣旨の規定を置くことが適当である。
個人情報保護制度の見直しに関する最終報告 令和2年12月 個人情報保護制度の見直しに関するタスクフォース
9月1日に東京都墨田区の横網町公園で営まれる、関東大震災で虐殺された朝鮮人犠牲者を追悼する式典で、小池百合子都知事は今年も追悼文を送付しないことが、都への取材で分かった。小池知事が送らないのは、就任2年目の2017年から8年連続となる。
小池百合子知事、朝鮮人虐殺の追悼文を8年連続で送らず 式典主催側は抗議のかまえ 2024年8月17日 06時00分 東京新聞
研究課題名 研究課題/領域番号 研究期間 (年度) 研究代表者 審査区分 研究種目 研究開始時の研究の概要 研究概要 研究成果の概要 研究実績の概要
山上徹也被告はなぜ安倍晋三元総理大臣を銃撃したのか?その一番の理由を伝えたテレビ番組がTVerでも視聴できるようになっていましたが、直ちに配信が中止されました。
昨日、たまたまテレビをつけたらやっていて、あまり期待せずに観ましたが、思ったより踏み込んで「旧統一教会」の被害なども取り上げていました。
岸信介の時代からの繋がりも、安倍晋三の「韓鶴子総裁に敬意を表する」ビデオメッセージも流れていました。それでこの展開か。https://t.co/zvwUyHqlQW
— 山崎 雅弘 (@mas__yamazaki) August 14, 2024
その後、TVerで再配信されたこの動画では、一番重要な場面が削除されたことがツイッター(X)で指摘されていました。
日本の報道が、為政者に都合の悪いことを報じられないようになっていることがよくわかる「事件」だと思います。
安倍前首相が統一教会にビデオメッセージを送り挨拶をしていた動画の部分が、速攻で削除されて、「検閲バージョン」が再配信されていたという驚愕の事実。
動画内の安倍元首相:「ご出席の皆様、日本国前内閣総理大臣の安倍晋三です。朝鮮半島の平和的統一に向けて努力されてきた、韓鶴子総裁をはじめ皆様に敬意を表します」
ナレーション:「これを見た山上被告は、ターゲットを安倍元総理に変えたという」
山上被告の供述:「宗教団体の代表らが設立したNGOの集会に寄せられた、安倍元総理のメッセージを見たころ、殺害を決意しました」
https://www.mag2.com/p/news/613993/3
Tver復活したからナニか細工してるだろうとは思った
ここに至るまでに相当な暗闘があったのかも知れないがとりあえずゼロよりはマシというとこか
むしろこうして検証動画も広まり、簡単に「圧力」がかけられ簡単にメディアが屈してしまうことが周知されてよかった側面もあるかも知れない https://t.co/TX00FzFNAB— 伊藤伸平 (@Shimpei_Itoh) August 16, 2024
山上容疑者が安倍首相銃撃を決意することになった直接的な原因が、なぜかこの報道番組からは「こっそり」削除されたということです。
自民党にとって一番流されたくないのがこの画像だとわかったので流します。 pic.twitter.com/luIUYDJRbK
— ロボリュックくん (@nasitaro) August 16, 2024
この報道番組にとって一番重要な部分を削除して再配信したというのですから、これはただ事ではありません。
岸田文雄が自民党総裁をつとめてたこの3年間に、少なくとも180人以上の自民党の国会議員が統一教会と癒着して選挙に利用し、少なくとも100人以上の自民党の国会議員が組織的に裏金を作って脱税して選挙での買収にバラ撒いてたのに、こいつら全員そのままで岸田だけ辞めて「新しい自民党」って、はぁ?
— きっこ (@kikko_no_blog) August 16, 2024
#誰がなっても自民は悪党
バナー作ってくれました。どんどんコピーして拡散ください pic.twitter.com/EGOKT9gav1— 滑稽新聞@民主主義の出発 (@akasakaroman) August 16, 2024
浄水カートリッジを台所の水道にとりつけて、カルキ抜きなどした水を料理やコーヒー、お茶などに使っています。最初に浄水器を購入したときは付属のカートリッジを使っていたわけですが、交換する時期になったときに、リクシルの正規品は高価なので安いもの(3つで5000円くらい)をアマゾンで探して買って使っていました。
ところが最近、リクシルの浄水器のカートリッジのまがい品がアマゾンなどの大手通販サイトで詐欺的に売られていることを知りました。こうした詐欺行為に対処するため、リクシルは通販サイトでの販売をすべて取りやめて自社の通販ショップのみでの販売に切り替えたのだそうです。
株式会社LIXIL(以下LIXIL)は、2023年4月1日より、当社が販売するすべての浄水カートリッジをLIXILオンラインショップでの直販に移行することをお知らせします。近年、一部のフリーマーケットサイト、オークションサイトの他、大手有名ショッピングサイトなど、複数のウェブサイトにて、正規品を騙る当社浄水カートリッジの非正規品・模倣品が販売されているケースが多数報告されています。https://newsroom.lixil.com/ja/20230201_01
そんな事情を知って、「本物の」リクシルの浄水カートリッジを買って(一つ5000円くらい、一ヶ月分)使ってみたところ、淹れたコーヒーの味が断然おいしくなってびっくりしました。うちでこれまで使っていた交換用の浄水カートリッジはどうやら偽物を掴まされていたようです。
下の番組の動画でも説明されていますが、偽物は本物そっくりにつくられているため、外見で区別するのはほぼ不可能だそうです。商品パッケージの箱にもリクシルというロゴがあり、というか、リクシルの箱と印刷されている内容が100%同じなので、本物か偽物かは商品の箱の印刷内容からはわかりません。アマゾンでもリクシル純正品として売られています。
【ニセ浄水カートリッジ】大手ショッピングサイトで流通…見えてきた“販売丸投げ”の構図と中国の存在『QUESTION!みんなのギモン』 日テレNEWS チャンネル登録者数 240万人
平凡なこと、些細なこと、それを積み重ね積み重ねて、そのうえに自分の知恵と経験を加えていく、それではじめて、成功をすることができる。うん、成功は小さい努力の積み重ねやね。(松下幸之助)
https://toyokeizai.net/articles/-/58607どのような分野であっても、すばらしい成果を見出すまでには、改良・改善への取り組み、基礎的な実験やデータの収集、足を使った受注活動などの地味な努力の繰り返しがあるのです。(稲盛和夫)https://www.kyocera.co.jp/inamori/about/thinker/philosophy/words12.html
下の数式のように、前日比で今日1%向上するということを1年間365日続けると、最初よりも38倍も能力がアップすることになります。
1.01^365=37.78 (日曜数学者 柚子)
https://note.com/yuzu_mathlove/n/n07a7a972cf2e
内村航平の「競技人生を振り返って学んだこと」がコレ。結局、成功者はみんな同じことを言っているから、多分本当にそうなんだと思う。pic.twitter.com/DDB4Rs2bt7
— 田草川 俊|楽天モバイル社員 (@Nicotama222) August 9, 2024
小さなことを積み重ねることが、とんでもないところへ行くただ一つの道(イチロー)
vitup.jp
大谷翔平の「過程の積み重ねは大事だが、技術的なコツを掴むのは一瞬」という言葉は非常に深い。英語などもそうだが、所謂スキルは閾値に達するまでの積み重ねは大事なものの、変わる時というのは本当に一瞬であることが改めて分かるからこそ、その変化の瞬間まで努力を継続できるかが重要だと思う。 pic.twitter.com/A2BsYTDXr1
— アール (@RR_consultant) January 31, 2024
スーパー「ベルク」にベトナム産カシューナッツ(薄皮付き、ロースト 180g 350円くらい)があってたまに買うのですが、初めて店で見たときはお試し価格だったのか300円くらいで売られていて買って食べたらそこそこ風味もあり、まずくはなかったので、その後値上げされても何回かリピートしてました。
しかし、その後何回か買って食べているのですが、初めて買ったときの値段に対する美味しさが失われてしまって、まったくカシューナッツの風味が感じられなくなってしまったのが謎でした。試しに目をつぶって食べてみたら、いったい何のナッツか全くわからないくらいに何の味もしませんでした。最初見つけて買って食べたときのあの感動(値段に対する味という意味)は何だったんでしょうか。ここ何回か買った分は全然カシューナッツの味(風味)が全くしないということに関して再現性があります。うすく塩味がついているのですが、それも均一でなくて、ほとんど塩味は薄くて感じられないくらいなのに、ときどき塩の塊ですか?というくらい塩辛いものに遭遇したりします。
取引開始時に良いグレードのものを出しておいて、取引拡大に伴ってグレード落としたのか?と勘繰ってしまうと同時に、そもそもカシューナッツにグレードってあるのかないう疑問が湧きました。
ChatGPTに訊いてみました。大きい(重い)ほどいいみたいで、1ポンド(約454g)あたりの個数がグレード名になっているようです。scorchedというのはローストしすぎて少し焦げたということ。ベルクのベトナム産カシューナッツは薄皮付きなのでカシューナッツ本体の色がわかりにくいのですが、最初のはもっと白かったような気がします。記憶が定かではありませんが。それに対して、今みてみると今の製品は焦げた茶色のものばかりです。whiteのグレードだったのがscorchedに変わったのでしょうか?写真でも撮っておけばよかったのですが。自分の記憶はあてになりませんので。
Vietnamese cashew nuts are graded based on several criteria, including size, color, quality, and the presence of defects. The grading system helps categorize cashews for different markets and uses. Here’s an overview of how Vietnamese cashew nuts are typically graded:
Vietnam adheres to international standards, such as those set by the Cashew Export Promotion Council of India (CEPCI) and other global trade organizations, ensuring that the grading system is consistent with global expectations.
Vietnam is one of the largest producers of cashew nuts globally, and the grading system is essential for meeting the diverse needs of international markets. The grading not only helps in pricing but also in ensuring that buyers receive the quality they expect for their specific applications.
W – 180, is the ‘ King of Cashew ‘ – They are larger in size and very expensive.
W – 210, are popularly known as ‘ Jumbo ‘ nuts.
W – 240, it is an attractive grade which is reasonably priced.
W – 320, are the most popular among cashew kernels and highest in terms of availability, worldwide.
http://cashewindia.org/cashew-kernels
下の記事を見ると、ベトナムでは大粒のカシューナッツは生産されていなくてW240のサイズが、ベトナム産のベストのカシューナッツだそう。
In the cashew nut classification system, the high-quality nuts are usually big, whole-grain, and white nuts. Varieties Of Cashew Tree Grown in Vietnam only produce small and medium raw cashew nut (RCN) sizes. W240 cashew is the best cashew nut of Vietnamese origin, the kernels have Medium Size , beautiful, pale ivory, whole-grain cashew that has between 220 and 240 nuts/pound (395 – 465 beans/kg) and is known internationally as Vietnamese Premium Large Cashew Nuts. W240 cashews are the best cashew nut of Vietnamese origin. https://www.linkedin.com/pulse/which-best-quality-vietnamese-origin-cashew-nuts-hanh-tran/
ベルクのベトナム産のカシューナッツは発売開始直後と比べて今は味が落ちたと思うのですが、多分大きさが小さくなったわけではないので、グレードの問題ではないのかもしれません。そもそも大きさと味が直接関係しているわけではないでしょうし。
The taste of cashew nuts is influenced by a variety of factors that contribute to their flavor profile and overall quality. Here are the main determinants:
The taste of cashew nuts is a result of a complex interplay of genetic, environmental, and processing factors. By optimizing these factors, producers can ensure that cashews maintain their desirable flavor and quality. When selecting cashews, considering freshness, processing, and quality grades can help in choosing the best-tasting nuts.
そういえばベルクのベトナム産カシューナッツは薄皮付きなのでわかりにくいのですが、薄皮がとれたものをみると色は焦げ色のものも結構混じっていますので、そもそも単一のグレード(ホワイトなど)だけからなる商品ではないのかもしれません。味に関していえば、焦げ色でなく、目をつぶって白いものを食べたとしてもやはりカシューらしい味は感じません。
The quality of cashew nuts also depends quite a lot on the processing process. To get the finished cashew nut, cashew nuts will have to go through many different stages of processing and screening. Each facility has a different processing process, so the quality of each facility’s cashews will also be different. https://vihaba.global/product/cashew-nuts-sk2-vietnamese-cashew-nuts/
今までカシューナッツがどんな木のどんな実の何の部分か気にしたこともなく食べていたのですが、カシューの木になっているカシューアップルの種子の部分をとってきたものだそうです。
(ウィキペディアより)
上の写真で、実の下の部分にくっついているのがカシューナッツ。外側にくっついているまさにカシューナッツの形をした部分の内部に収まっているのが種子で、ふだん食べているカシューナッツ。実の部分はcashew apple(カシューアップル)と呼ばれるのだそう。こんな形でなっているとは全く知りませんでした。
じゃあ、カシューアップルの部分はどうなっちゃうのという疑問が湧きます。果実部分はタンニンを多く含みあまり食用には適さないので、消費者市場に出ることはなく、今まで目にしたことがなかったということみたいです。
The cashew fruit, also known as the cashew apple, is a unique part of the cashew tree that is often overlooked compared to the cashew nut. Here’s what typically happens to the cashew fruit:
While the cashew nut is the primary focus of commercial production, the cashew apple is a valuable byproduct that is used locally for food and beverages in regions where cashews are grown. The potential for expanding the use of cashew apples exists, particularly through processing into value-added products. However, challenges such as perishability and market demand need to be addressed to maximize their utilization.
Vietnam’s cashew brand is affected by an increase in imported low-quality cashew kernels Saigon Liberation newspaper Saigon Liberation newspaper 19/04/2023
The cashew tree or Anacardium occidentale, a tropical tree native from Brazil, was introduced to Asia and Africa by European explorers in the sixteenth century. The world production of cashew nuts reached 4.89 million tons in 2016, with Vietnam being the largest producer of nuts. … It was possible to identify 2376 patent applications and 586 scientific publications on cashew nuts and cashew apple together. https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC6952502/
ベルクのカシューナッツの味の劣化(?)に話を戻すと、
といった可能性が考えられるかなと思いました。いずれにしてもこれならもうベルクのベトナム産カシューナッツにこだわる理由がないので、他の商品を探してみようかと思います。
今まで食べた中で、ナッツといえばフルーティヤが自分の中でのベストなのですが、ベルクの商品の1.3倍の価格です。こうして比べてみると、味の良さを考えれば最初からフルーティヤ一択で良かったのかと思い直しました。フルーティヤは通販なので、税別3000円未満で送料630円(本州)、税別3000円以上なら110円(本州)が別途かかります。
自分は普段、ソニーの電子ペーパーDPT-RP1でPDFの書類を読んでいますが、文書が表示された状態で電子ペーパーを机の上に置いておくと、知らない人が見たとき「紙かと思った。」という驚きの声を上げます。それくらいパッと見が紙のようです。実際、ペンでの書き味も紙に似せられています(つるつるでなくざらっとした感じがある)。長いことお世話になってきたソニーの電子ペーパーDPT-RP1ですが、最近、電源ボタン部分が怪しくなってきました。枠の部品が少し浮いてるせいで、電源ボタンが陥没気味で押しにくくなってしまったのです。そろそろ買い替えどきかなと思います。
カラーの電子ペーパーがあれば即買いですが、残念ながら市場にあるのは白黒がほとんどです。
ソニーストアではも販売終了していますが、アマゾンではまだ売られています。
ソニーが電子ペーパーから撤退するのは非常に残念なことです。今後カラー化すればさらにマーケットは拡大するだろうに。PCのモニタは目を痛めるので電子ペーパーがいい。論文を読むのでA4がいい。書籍や資料なども多量に読みたいし、手書きメモも取りたい。そんな研究者にとっては素晴らしいツールだと思うのですが。研究者は、本当に仕事に役立つなら研究費で電子ペーパーを買うので、一般消費者には買いにくい高額な価格設定であっても売れると思います。
Adventures with SONY Digital Paper Constructive criticism I maintain this list because the SONY DPS has quite literally changed the way I work for the better, and I have become fully committed to helping SONY produce the best possible second version of this device.
https://www.phys.hawaii.edu/~kcroker/sonydps/#wishlist電子ペーパーSONY DPT-RP1は数学者にとって便利な道具ですが, …
How to Use SONY DPT-RP1 on Linux(SONY DPT-RP1をLinuxで使う方法)Here we introduces a python command tool dpt-rp1-py to operate DPT-RP1 on Linux.
Everything About DPT-RP1 When Using LINUX
もう先がない製品を買うのもいやなので、別のメーカーの電子ペーパーを探してみようと思いました。現行品があるのは、富士通のQUADERNOくらいしかなさそうです。写真で見る限り、見た目はソニーとほぼ同じ。
クアデルノは楽譜を見るのにも使えるみたいです。bluetoothのフットペダルで譜めくり可能。これは、便利層。ソニーの電子ペーパーを長いこと使ってきましたが、譜面を見るのに使おうという発想がなぜか浮かびませんでした。
論文を読むならA4サイズが必須なのですが、ソニーも富士通も白黒というのがネックです。ところで、電子ペーパーもカラー化の波が来ています。
上の記事を書いたときはまだ発売前でした。その後発売されたようですが法人向けに販売のみであり、2024年8月現在、まだ個人消費者向けの市場に出てないみたいです。
個人消費者のニーズがあるのに、法人向けのみの販売に限定されているのは、残念。商品を開発した株式会社アイオイ・システムは、物流の会社でそもそも個人消費者向けの商品をつくっている会社ではないからというなのでしょう。
自分もOnyxという会社名もBOOXという製品名もあまり馴染みがありません。
残念ながらOnyxって聞いたことがない人が多いんじゃないでしょうか。残念、というのはここ数年、Onyxはメジャーなブランドが恥ずかしくなるくらいすごい機能・性能の電子書籍、電子メモデバイスを作り続けてるんです。
Kindleも他のアプリも入れられる電子書籍リーダー「Onyx Boox Leaf 2」 2022.12.06 20:00 26,845 author Andrew Liszewski – Gizmodo US[原文]( 福田ミホ )
Onyx社のBOOXの製品も気になります。電子ペーパーというより書籍リーダーという触れ込みで、その分、重量も他社製品より重め。ソニーの349gの電子ペーパーは知らない人にも持ってもらうと「軽い!」という反応が多いです。キンドルスクライブは433gですが、正直、「重い」と思います。10.2インチという小ささなのに433gもあると、電車で手で支えて持つとき「重くて面倒」という気持ちになります。重いと思うかどうかは「サイズに対して」という部分も入ってくるので、13.3インチ(A4サイズ)だと、こんどは「大きくて重い」という印象になりそう。現物を触ったことがないのでなんとも言えませんが。何と比べるかにもよるので、1kgを超えるノートPCと比べれば「軽い」と思うでしょう。
自分は普段アマゾンのキンドル書籍を買って読んでいるので、キンドルが読めない電子書籍リーダーはまったく自分には不向きです。BOOXでキンドルが読めるならBOOXが「次に欲しいものリスト」のトップにきそう。メモリ6GBというのはちょっと少なくて不安があります。外部メモリも使えなさそうなので、ヘビーユーザーだと容量が不足しそう。
アマゾンキンドルはキンドル書籍が読めて、電子ペーパーとしても使えます。しかし一番大きい画面でも10.2インチのサイズしかないのが、電子ペーパーでA4サイズの資料を読みたいには不満なところ。A4サイズのPDFをもちろん10.2インチのモニター上に表示はできますが、やはり文字が小さくなるので、若い人はともかく年齢が高い人(老眼が始まっている人)にはつらいでしょう。
キンドル書籍は図や写真が載っている場合はカラーのものが多いですが、キンドルスクライブは白黒の電子ペーパーE-inkを利用した製品なので、白黒でしか表示されません。これも残念なところ。
A4サイズの電子ペーパーと10.2インチサイズのアマゾンキンドルスクライブの両方を持ち歩くのは面倒なので、個人的には、
が出てきてほしいです。
電子ペーパーは「紙」の代用だけでなく、PCモニタの代用としても使う製品も市場にあるようです。
科研費申請書の書き方には、厳然とした守るべき「作法」が存在すると同時に、審査委員を納得させることができるのならどう書いてもOKという「自由さ」とがあります。科研費になかなか採択されずにいる研究者は、とりあえず作法を守るために「型」にはまった書き方をマスターするのがいいと思います。
2025年度科研費の様式は、基盤研究(C)は(6)国際性が追加され、(3)にあった「着想に至った経緯」が(1)に移動するなど、少なからぬ変更がありました。そのため、何をどう書けばいいのか戸惑っている人も多いようです。
注意:以下は、自分(本ウェブサイト管理人)個人の考えであり、自分の過去の科研費採択経験(生物系の基礎研究、少額の研究種目)、同僚や先輩、その他の人たちの採択調書から学んだこと、さまざまな書籍の内容、ウェブ上の情報、大学で開催された科研費セミナーで聞いた内容、科研費の審査をしたことがあるという先生から聞いた話などを自分なりに総合的にまとめた結果です。書籍やセミナーの内容が自分の考えとは多少ズレると思ったこともありますので、ここにまとめたことが絶対正しいわけでも、全ての科研費応募者に当てはまるわけでもありません。書き方のヒントになれば幸いです。研究内容や書きかた次第で、それぞれのセクションの分量の割合は大きく変わってきます。全体としての整合性、一貫性があることが大事です。
科研費研究計画調書の様式はちょっとずつ変更されてきました。今年度(2025年度科研費)は、また少し変更がありました。基盤研究(C)の場合、「1 研究目的、研究方法など」を4ページにわたって書くことになりますが、書くべき内容が指示されており、
本文には、
(1)本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」、
(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性、
(3)関連分野の研究動向と本研究の位置づけ、
(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか、
(5)本研究の目的を達成するための準備状況、
(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか
について具体的かつ明確に記述すること。
との指示が様式の上部にあります。新たに(6)国際性についての記述を求めているのが目を引きます。また、いままで(3)の中にあった「本研究の着想に至った経緯」が、(1)の中に移行しているのも要注意です。
科研費申請書の(1)の見出しが2行になる問題。(1)を半角にして、文字を游ゴシック11ポイントにすると、1行にスッキリ収まる。
「(1) 本研究の学術的背景や本研究の着想に至った経緯、研究課題の核心をなす学術的「問い」」の部分だ。#科研費申請書 #見出し #スッキリ— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 4, 2024
さてこのセクションには何を書けばいいのでしょうか?「学術的背景」として何を書くかを考える際の手がかりがあります。それが、もう少し具体的な指示として、様式の真ん中の「留意事項①」に書いてある、
学術の潮流や新たな展開などどのような「学術的背景」の下でどのような「学術的『問い』」を設定したか、
という文言。これを解釈するに、学術的な問いが生まれた妥当性を書けばよいでしょう。審査の観点として、
学術的な意義や独自性、創造性など学術的重要性を評価する
と留意事項①に明確に説明されています。つまり、学術的問いの重要性の説明が求められているわけです。問うに値する面白い問いなのかどうか?ということです。そもそも学術的問いとは何なのか?研究目的とどう違うのかという点に関して、自分の研究テーマに沿って自分の考えをまとめておく必要があります。
申請書を具体的にどう書けばいいのかというと、通常の論文のイントロダクションの書き方が参考になります。まず「何」についての研究なのかを述べて、それに関して何がすでに「わかっていること」なのか、そして何がまだ「わかっていないこと」(=学術的な問い)なのか、なぜそのわかっていないことを知ることが重要なのかを書きます。そして、その「わかっていることとわかっていないことの間のギャップ」を「どうやって」自分が埋めるのか(=研究目的)、そのようなアプローチをどのように発想したのか(=着想に至った経緯)を書きます。
論文を書くときのノウハウで申請書の文章を書こうとしたときに、ここで少しやっかいな問題があることに気づきます。学術的な問いというのはその研究領域における大きめのクエスチョンであったほうがよいわけですが、自分のアプローチまで書いてしまうとそれはもうすこし具体的な「研究目的」になってしまい、研究目的を書くセクションはその次の「(2)本研究の目的および学術的独自性と創造性」になるという点です。話を具体的に絞り込んでからまた広げなおすと話が戻ってしまったことになり、流れが悪くなります。文章の流れとしては一方向に流れていてほしいわけです。前年度までは、「本研究の着想に至った経緯」は(3)のセクションにあったので、まだ書きやすかったように思いますが、「着想」、特に、研究アプローチ(方法論)に関する着想を(1)の中で書くとなると「研究目的」まで(1)で言及したほうが自然な流れが作りやすいかもしれません。
科研費は人文科学から理学、医学、工学など全く異なる研究領域を対象にするため、研究のスタイルは非常に多様です。しかし科研費の様式はすべての研究領域に対応して1つしか用意されていないので、応募者が自分の研究領域に合わせて、あるい程度柔軟に対応することは許容されると思います。ただし審査の観点は公開されているのでそれを外した書き方は不利になります。何をどう書いているのか意図が明確であれば自由に書いてよいのだと思いますが、例えば、
研究テーマのトピックの提示→わかっていること、わかってきたこと、最近の進展やブレークスルー→それでもまだわかっていないこと→それをわかる必要性、喫緊性→学術的問い→問いに答えるための自分なりのアプローチ(研究目的)の着想(=着想に至った経緯)
という順に書いていくのが一法でしょう。「本研究の着想に至った経緯」が(3)から(1)に移動したというのは実はかなり大きな変更点であり、「何の着想」なのかまで変わってしまった可能性があります。「研究目的を設定するに至った着想」なのか、「学術的な問いを設定するに至った着想」なのか、というあいまいさ、多義性があります。「本研究の着想に至った経緯」を書けという指示を、学術的な問いを設定するに至った経緯と解するのであれば、
研究テーマのトピックの提示→わかっていること、わかってきたこと、最近の進展やブレークスルー→それでもまだわかっていないこと→それをわかる必要性、喫緊性(=着想に至った経緯)→学術的問い
となります。学術的な問いと研究目的との関係をどうするかで書き方が変わってくるでしょう。抽象度ー具体性 という観点で、問い>>目的 とするか、問い>目的 とするか、 問い~目的 とするかは、研究内容によるでしょう。問い=仮説とするか、目的=仮説(の検証)とするかも、研究領域や研究内容によって自由度があるのではないかと思います。
研究者によって各セクションにどれくらい詳しくどれくらいの量を書くかは、異なるでしょう。異なっていてよいのだと思います。ただし大事なことは、書く意図を明確にすることです。応募者がどういう意図で申請書を構成したのかにまぎれがなければ、スタイルが多少違っても審査委員によっては読みやすいものになるはずです。
重要なことは、このセクションを書く目的は何かを意識することです。すべての文章にはその文章を書く目的があります。背景の文章を書く目的は、応募者が学術的問い(もしくは研究目的)を設定した理由を審査委員に納得させることです。
ここで大事なのは「客観性」であり、客観的であることとはすなわち、すべての主張に根拠(文献もしくは予備実験の実際のデータ)を示すことです。引用文献が多くなりすぎると文章が読みにくくなるということもあるので、適度なバランス感覚が要求されます。文献は他人の文献と自分の文献を適度に織り交ぜて書くのが理想です。自分の文献だけだと独りよがりな印象を与えますし、他人の文献だけだと業績が無い人かと思われます。何をどう書くかに関しては、昔の申請書の様式の指示も手掛かりになります。
① 研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至った経緯、これまでの研究成果を発展させる場合にはその内容等) (平成29年度科研費の基盤研究(C)の様式より 太字・下線強調は当サイト)
これを読むと明らかなのですが、科研費の基盤研究というものは、基本的には、応募者がこれまで行ってきた研究の積み重ねの上に、さらに発展的なテーマを設定することが当然のこととされています。現在の様式の指示からはこれらの文言が抜け落ちていますが、この考え方は基本的には生きています。だとすると、新規テーマで応募したい場合どうなるんだ?という声が聞こえてきそうですが、新規テーマだと採択されにくい恐れはあるが、絶対ダメというわけではもちろんないので、様式の自由度が上がるように改善されたのだと思います。
文献の引用の仕方として、(Daresore et al., 2000)と書くか、(Daresore et al.,, 2000, Journa Name)とするか、(Daresore et al.,, 2000, J Nam 1(2):345)などどこまで細かくするかは好みもあるでしょう。(Daresore et al., 2000; Hokano et al., 2001)など論文の区切りに使う記号は表記の中でユニークなものにするなどの細かな配慮も大事です。番号で引用してあとからリストを添えたり、自分の業績の場合には(業績1)などと書くのもありでしょう。ただ、リストの番号で引用した場合にいちいちそれを他のページに見に行って確認する読み手もあまりいないのではないかと思いますので、読む動作・視線の動きを妨げないのが一番だと自分は思います。その考え方にのっとれば、引用文献の位置は句読点の直前がベストです(Daresore et al., 2024)。
背景に書くべきことは、そのトピックに関する一般的な説明ではなく、あくまで設定する問いの妥当性を納得させるための材料に絞ります。背景の書き始めから「問い」までが読んでいて一直線で無駄がないという印象を与えることが大事で、話題がそれたり、戻ったりするのは、学術的意義の重要性を理解されにくくするので要注意です。論文を書くときにIntroductionを書く理由は、hypothesisを導くためですが、それと同様に考えればいいと思います。
「背景」と「関連する研究動向」との書き分けという問題にもなりますが、背景には関連はしていても問いを導き出すことに直接関連しないことは言及する必要はありません。そういったことは関連する研究動向のセクションに書けばよいでしょう。研究動向には、他の研究者がどんなアプローチで自分と同じゴールを目指しているのか、そんな中で自分のアプローチはどんな点で優位なのかを書けばいいのです。こう考えれば、背景と動向の書き分けに悩むことはなくなるはず。
背景もしくは研究目的のセクションには、仮説を示した模式図を置くのが良いでしょう。良いでしょうというよりも、置くべきと言いたいところです。「仮説を示した模式図」というのは、相当頭の中が整理されていないと描けませので、模式図を描きなおしているうちに頭の中が整理されてきますし、模式図が完成するとあとは模式図を説明する形で本文をスムーズに書き進むことができます。
さて、新たに場所が移動してきた「着想に至った経緯」はどう書けばいいの?という問題があります。なぜこれが(3)から(1)に移動されてきたのかを考える必要があるでしょう。自分が思うに、背景から問いを導く過程がすなわち着想なので、着想に至った経緯は本来、背景→問いの思考そのものであって、不可分です。別物として書く必要はないのではないかと思います。しかしそうはいってももともと(3)にあったものなので、以前の不採択調書の「着想に至った経緯」の部分をコピペして、(1)の背景と問いの間に入れ込んでいる人も多いことでしょう。実際、「背景」として客観的な内容を書き、次に「着想」として自分の業績やアイデアを中心に書き、両者から導きだされる「問い」を書くというスタイルも、おさまりがよいのでお勧めできます。とくに、このセクションの文章量が多くなるとどこに何が書いてあるのか読み手にもわかりにくくなりますし、読む労力も増えてストレスです。「背景」「着想」「問い」と3つのセクションに分ければ、読み手に優しい申請書になるでしょう。
【このセクションでよくある失敗例】、
このセクションをどう書くかも、自由度が高く人それぞれですが、どこに何をどう書いたのかという応募者の意図が明確に読み取れることが大事です。また、(1)のセクションから話がつながっていることも必要です。
「目的」というのは日常語としては、将来の夢や願望、目標という意味もありますが、研究助成への応募書類における「研究目的」は、研究期間内で研究計画において「実際にやること・明らかにすること」を意味します。つまりやらないこと(将来的な願望)を含めてはいけません。時間があればやるとか、研究がうまくいけばもう少し先までやるなどと、あいまいなことを書いてもいけません。
研究目的は、学術的問いに答えるものになっているべきで、きちんとした対応関係がそこにないと不自然です。問いに答えるための実験系や方法論まで含めて具体性を増したものにします。
研究目的の中身は、学術的な問いに答えるためのアプローチを含みます。問いにどんなアプローチで取り組んで答えを出すのか、そのアプローチにはどんな独自性や創造性があるのかを書くことになります。
【研究目的を書くにあたってのよくある失敗事例は】
独自性 originalityは、他人にはないその人だけのものという意味です。科研費が不採択になる人の多くが、「~(研究目的)の研究は報告がないので独自性が高い。」と書いてしまいますが、この書き方は賢明ではありません。科研費は相対評価ですので他人の申請書と比べられて採否が判断されます。「~(研究目的)の研究は報告がないので独自性が高い。」という文は、他の申請書でもそのまま使える文言です。つまり審査委員に対して審査に有用な情報をなんら与えていません。情報量ゼロの文です。なぜ今まで論文報告がなかったのか?重要な課題だとみな思っていたのに適切なアプローチが見つからなかったから?技術的に不可能だったから?重要なのにその重要性が見落とされていたから?なにかしら理由があるはずで、その理由を書く必要があります。
独自性のアピール方法として、他人にはできないということをアピールすることも可能です。自分にしかない技術を使って初めて実現可能になるアプローチだからといった具合です。また、誰よりも早く自分がその重要性に気づいてこの分野を開拓してきたからと、過去の論文業績と絡めて独自性をアピールすることも可能でしょう。
【独自性を書くにあたってのよくある失敗事例】
創造性に何を書けばいいのかは、多くの応募者が頭を悩ませるところです。通常の日本語の意味だと、創造性はcreativityのことであり、creativeといえばゼロから何かを作り出すという意味になります。しかし科研費の申請書においては「創造性」として書くべきことは、多少日常語とはズレているように自分は感じています。
審査のポイントとして、
A.研究計画の内容に関する評定要素
(1)研究課題の学術的重要性
・学術的に見て、推進すべき重要な研究課題であるか。
・研究課題の核心をなす学術的「問い」は明確であり、学術的独自性や創造性が認められるか。
・研究計画の着想に至る経緯や、関連する国内外の研究動向と研究の位置づけは明確であるか。
・本研究課題の遂行によって、より広い学術、科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できるか。
https://www.jsps.go.jp/file/storage/kaken_01_03_shinsahyoutei_2024-1/r6hyoutei03_ja_bc.pdf
ということが言われていますので、「本研究課題の遂行によって、より広い学術、科学技術あるいは社会などへの波及効果が期待できる」ことを申請書のどこかでアピールする必要があることがわかります。しかし明示的なセクションはないため、書くとすれば、「創造性」を書く場所に書くことになろうかと思います。そこで、創造性の欄に、新たな価値を生み出すことができるという内容の説明をする人が多いようです。科研費の書き方を指南した書籍もそのような説明に終始しています。
【創造性に関する失敗事例】
細かい話ですが、2025年度科研費から、様式の指示は、「関連する国内外の研究動向」が、「関連分野の研究動向」に変更されています。これは(6)国際性 の項目を新たに作ったことに伴う措置だと文科省の資料では説明されています。ただ(6)でアピールすることはすこし内容がずれるので、従来通り書けばよいでしょう。「背景」と「研究動向」をどう書き分ければいいのかというのも悩みのタネです。ほとんど同じことを繰り返してしまうのは印象を下げます。
実際のところ、「背景」と「研究動向」で書く内容がある程度重複するのはむしろ自然なことだと思います。内容は重複してもアピールしたいことが異なるので、文は当然異なったものになります。
何を書くべきかで考える必要があるのは、「関連分野の研究動向」という指示において、何に関連する研究の動向かという点です。「何に」というのは普通に考えれば、「学術的な問い」や「研究目的」に関連する研究動向ということになるはずです。「学術的な問い」と「研究目的」のどちらに寄せて書くかというのは、「学術的な問い」と「研究目的」をどう設定したかにもよるので、ケースバイケースでしょう。「研究目的」を非常に狭くとらえてそれに関する研究動向を書いてしまうと、研究の意義が理解されない恐れが強まります。なので、「学術的な問い」に関する研究動向を書いて、国内外の他の研究者がその問いにさまざまな方法でアプローチしているなかで、応募者はどのような独自性・優位性のあるアプローチをしているのかが明確になるように書けばいいと思います。
【研究動向と位置付けを書くにあたってのよくある失敗事例】
このセクションは長ったらしいタイトルでわかりにくいかもしれませんが、以前の「計画・方法」という欄に対応した部分です。まだ科研費の様式に「研究業績」というページがあってそこは単に論文業績を羅列するだけだった当時(平成29年度の例)の様式がどうだったかというと、基盤研究(C)の場合は最初の2ページが「研究目的」で、
研究目的
本欄には、研究の全体構想及びその中での本研究の具体的な目的について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、適宜文献を引用しつつ記述し、特に次の点については、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください(記述に当たっては、「科学研究費助成事業における審査及び評価に関する規程」(公募要領81頁参照)を参考にしてください。)。
① 研究の学術的背景(本研究に関連する国内・国外の研究動向及び位置づけ、応募者のこれまでの研究成果を踏まえ着想に至った経緯、これまでの研究成果を発展させる場合にはその内容等)
② 研究期間内に何をどこまで明らかにしようとするのか
③ 当該分野における本研究の学術的な特色・独創的な点及び予想される結果と意義
つぎの2ページが「研究計画・方法」で、
研究計画・方法
本欄には、研究目的を達成するための具体的な研究計画・方法について、冒頭にその概要を簡潔にまとめて記述した上で、平成29年度の計画と平成30年度以降の計画に分けて、適宜文献を引用しつつ、焦点を絞り、具体的かつ明確に記述してください。ここでは、研究が当初計画どおりに進まない時の対応など、多方面からの検討状況について述べるとともに、研究計画を遂行するための研究体制について、研究分担者とともに行う研究計画である場合は、研究代表者、研究分担者の具体的な役割(図表を用いる等)、学術的観点からの研究組織の必要性・妥当性及び研究目的との関連性についても述べてください。
また、研究体制の全体像を明らかにするため、連携研究者及び研究協力者(海外共同研究者、科研費への応募資格を有しない企業の研究者、その他技術者や知財専門家等の研究支援を行う者、大学院生等(氏名、員数を記入することも可))の役割についても記述してください。
なお、研究期間の途中で異動や退職等により研究環境が大きく変わる場合は、研究実施場所の確保や研究実施方法等についても記述してください。
となっていました。「研究目的」(2ページ)と「研究計画・方法」(2ページ)が「研究目的、研究方法など」(4ページ)の一つに合わせられたわけです。この経緯を見れば、「(4)本研究で何をどのように、どこまで明らかにしようとするのか」が、「研究計画・方法」に対応することは明らかでしょう。
古い様式も今見返してみると申請書を書く上で示唆に富むことに気づきます。
指示がなくなった=書かなくてよくなったと考えるより、自由度を増やすために指示を減らしたと理解したほうがいいでしょう。つまり指示がなくなったことであっても、意識しておいたほうが良いのです。
さて、計画・方法は以前はまるまる2ページ書くようになっていたのですが、今は他との分量のバランスからそこまで多くの紙面を割かなくてもいいようになったと思います。採択された人の研究計画調書を見せてもらったことがありあすが、多くの場合1ページ程度(他の部分に何をどう書いたかとの兼ね合いにより、半ページ~2ページ弱の幅がある)で書いているようです。
抽象>具体 ということで言えば、
学術的問い>研究目的>研究計画・方法 という図式になります。
科研費申請書で学術的問い、研究目的、実験計画を書くのは、まさに、具体ー抽象(のグラデーション)だし、「関連する研究動向」(抽象)ー実際に書く内容(具体)ともいえる。この本は(当然のことながら)科研費出す人にも役立つはず。 細谷 功『具体と抽象』 https://t.co/VZptWyhNY0
— 博士(理学) (@scitechjp) July 27, 2024
当たり前のことですが、「研究計画・方法」で書く内容は、「研究目的」と完全に対応している必要があります。研究目的を達成するうえで過不足がある計画を書いてしまうとまず採択されないでしょう。計画に書く課題が少なくてさみしいので余計な課題を付け足して整合性を失い不採択になるというのは典型的な失敗パターンです。
【研究計画・方法のセクションにありがちな失敗例】
このセクション「準備状況」とあとにでてくる「研究環境」とをどう書き分けるかで悩む人も多いようです。環境は必要な研究機器などであり、準備状況はそれらの研究機器がすでに稼働して予備データが出始めているといったことなんだろうと思います。予備実験データをここに書くのもありでしょう。ただし、予備実験データは研究計画欄のほうに書くというのも効果的です。
科研費必勝法【世界標準】 研究する→結果をまだ論文にせず、”予備的実験結果”と呼ぶ→すでに得た結果に関して科研費申請書を書く→当然、科研費が採択される→得た研究費で次の新しいテーマの研究を行う→はじめに戻り、このサイクルを繰り返す https://t.co/XM0JKtCJbP
— 博士(理学) (@scitechjp) July 6, 2017
実際のところ、予備実験データは背景のところから出してもよくて、好みによると思います。できるだけ早くインパクトを示して読み手(審査委員)の興味をひきたければ、早い段階で出すことです。4ページめの最後など、そもそも審査委員はまともに読んでいないかもしれません(特に最初の部分が稚拙にしか書けていない申請書の場合)。
【準備状況で良くある失敗事例】
このセクションは2025年度科研費からあらたに加わったもので、何を書けば正解なのかは誰も確かには知らないことだと思います(まだ採択された申請書というものが存在していないので)。そのため、日本学術振興会は親切にも様式の指示の中で具体例を挙げて示してくれています。
などを書けばいいのだそうです。「将来的に世界の研究をけん引する」というのは、得られる研究成果を見た他の研究者がこぞって参入してくるので、その結果として、新しい学問の潮流がつくりだせて、自分がその最先端にいて世界の研究を牽引することになるのだと思います。
「協同を通じて世界の研究の発展に貢献する」というのは、得られる研究成果を見た他の研究者がこぞって共同研究を是非やりませんか?と声をかけてくるので、その結果として、協同して研究領域を発展させることになるのでしょう。
「我が国独自の研究としての高い価値を創出する」ということでもOKというのはなかなか興味深いと思いました。つまり、なんでもええんかい!と思ったのですが、これは日本人の起源とか、日本文学の研究、日本の戦後政治など、日本固有の問題に取り組む研究者を想定してのことなのかなと想像しています。
科研費の新しい記載項目である(6)国際性だが、書いていない人がしばしばいる。変更を知らないのかと思っていたが、どうもそうではなく、「関係するものがないから」書いていないようだ。ここは評価項目なので、書かないと間違いなく、*が付く。絶対に書いてください。#科研費 #申請書 #添削
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 17, 2024
もっと詳しく知りたい人は、文科省のサイトに公開されている国際性の記述が導入された経緯の説明した資料お読みください。この「経緯」を読めば、(6)国際性をどう書けばよいかが自ずと明らかに浮かび上がってきます。つまり、「基盤研究」に統合される「国際共同研究加速基金」と「海外連携研究」の趣旨を、基盤研究の様式の中で受け継いだのが(6)国際性 の部分というわけです。このことを認識しているかどうかで、ピントの合った内容が書けるかどうかの勝敗が決まります。
第 1 2 期 研究費部会 における科研費 の 改 善 ・充実及び 今後の 議論の方向性について( 中間まとめ ) 令和6年 6 月 2 4 日 科学技術・学術審議会 学術分科会研究費部会
①国際的に波及効果が高い学術研究の推進
(科研費(基盤研究)における研究の国際化等)
コロナ禍後の国際研究交流の回復傾向や、「基盤研究種目群」における基金化の拡大状況等により、今後は、「国際共同研究加速基金」以外の研究種目においても、更なる研究活動の国際化が期待される。
既に基盤研究等の枠組みでも国際競争力のある研究は数多く行われているところ、上記の環境の変化を踏まえ、「国際共同研究加速基金」として別枠で助成する仕組みではなく、審査によりそうした研究を見出し、助成する仕組みが必要である。
また、我が国の研究力の相対的・長期的な低下が懸念される中、現在の物価高や為替安等の厳しい社会情勢も踏まえ、研究者が国際競争力のある研究に十分取り組めるよう、応募額を尊重した研究費配分が望まれる。
このため、本部会及び振興会の学術システム研究センターにおける議論を踏まえ、「国際共同研究加速基金」について、その機能を勘案しつつ可能なものは段階的に「基盤研究種目群」等に統合していくこととする。その際、「基盤研究(B)」との間で実質的な差異がなくなった「海外連携研究」については、令和7年度助成から公募を停止し、速やかに「基盤研究種目群」等に統合することとする。
また、令和7年度助成に係る公募から、「基盤研究(A)・(B)・(C)」において「研究課題の国際性」を新たに評定要素に加え、高く評価された研究課題については、研究費配分額の充実により国際競争力のある研究に挑戦できる環境を実現することとする。更に、若手研究者の参画を要件としていた「海外連携研究」の「基盤研究種目群」等への統合後においても、国際共同研究の助成を通じた若手研究者の育成に資するよう、「基盤研究(B)・(C)」において、「研究課題の国際性」の評定要素で高く評価された研究課題であって若手研究者を研究代表者とするものを優先的に採択する枠組み(「国際・若手支援強化枠」)を設けることで、高い国際競争力を有する研究の量的拡大をも目指すこととする。https://www.mext.go.jp/content/20240624-mxt_gakjokik-000036755_1.pdf
上の資料を読んでいてちょっと驚いたのですが、国際性のアピールのセクションは実ははかなり大事みたいです。若手研究者で高い点数がついたものは優先的に採択すると言っています。若手、若手、と若手優遇政策が目につきますが、ついにここまで来たかの感があります。老兵去るのみですね。
しかし、国際性がない科学ってあるのか?と思いますので、今回の様式の変更は、改悪のような気がしています。自分と同じことを考えている人もきっと多いはず。
科研費の基盤研究で今年から加わった(6)国際性の部分だが、ここはマイナスにはならない部分だ。プラス評価されると配分額が増えるとか、若手で国際性が評価されると優先的に採択されるなどだ。なので安心して書いていけば良い。5行くらいで十分だろう。#科研費 #申請書 #ジーラント
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 21, 2024
以上、各セクションの書き方をざっと見てきましたが、大事なことは指示を守るということです。つまり、このセクションにはこれを書けという指示がある以上、その指示を守る必要があります。学術的な問いが書いていない、もしくは、どの部分が問いか不明瞭というのは論外です。指示=評価ポイントなので、指示を守らない=得点が得られない=不採択にする格好の理由を審査委員に与える、ということです。また、一貫性があることも大事です。研究課題名と学術的問いと研究目的と研究計画・方法との間に一貫性がなくて、論点がブレていては採択はおぼつきません。
さて4ページを書いたあとで、その内容を概要としてまとめて冒頭部分に書きます。概要から書き始める人がいるようですが、そうすると本文の要約になっていない代物ができあがってしまっていることに気づけない恐れがあります。本文に書いていない情報がなぜか概要に書いてあるというのは、典型的な失敗例です。
概要で第一印象が決まります。人間が初対面の人を判断するときにおそらくぱっと見の数秒でその人がどんな人かの判断を下すと思います。概要は「ぱっと見の数秒」で、ここで悪い印象を持たれると挽回するのは難しいでしょう。特に、日本語が変だったり、何が言いたいのかわからなかったり、論理的な流れが無かったりすると、審査委員の人は本文を真面目に読む気が失せるんじゃないでしょうか。
【概要でよくある失敗事例】
さて、応募者の研究遂行能力及び研究環境を2ページにわたって書くわけですが、「及び」とあるからといって能力と「環境を1ページずつ書くものではありません。審査委員が特に知りたいのは能力のほうなので、能力に関して1.5ページ以上使って書いたほうがよいでしょう。まずは様式の指示を良く読みましょう。
応募者(研究代表者、研究分担者)の研究計画の実行可能性を示すため、(1)これまでの研究活動(主要な研究業績を含む)、(2)研究環境(研究遂行に必要な研究施設・設備・研究資料等を含む)について2頁以内で記述すること。
「(1)これまでの研究活動」の記述には、研究計画に関連した国際的な取組(国際共同研究の実施歴や海外機関での研究歴等)がある場合には必要に応じてその内容を含めること。また、研究活動を中断していた期間がある場合にはその説明などを含めてもよい。
研究分担者についても書く必要があります。特に異分野の研究者と組んで研究体制を構築しているのであれば、研究分担者の業績は重要です。同じラボの人を分担者に置いている場合には、研究代表者の業績のほうが重視されると思います。でなければ分担者が自分で代表者として応募しろよということになるからです。
昔はここは論文のリストを見せるだけだったのですが今は真っ白な2ページが与えられているだけで、何をどう書いても構いません。採択された人がどう書いているのかを見せてもらったことがありますが、典型的な書き方は、文章でこれまでの研究内容を説明し(自分の業績を引用しながら)、そのあとで業績リストを示すというパターンです。やはり業績リストはその人の業績が一目瞭然ですので、審査委員にとって審査しやすいはずです。文章しかないと、この人はファーストで書いた論文はいくつあるんだ?どんなジャーナルに出してるんだ?といちいち細かく読み解く必要があり、そんな面倒なことはやってられません。かといって業績リストだけだと、たとえ論文数が多くてもそれらが今回のこの研究提案とどう関連してるんだ?という疑問が解消できません。やはり文章+業績リストがベストでしょう。
業績が無いからといって余白が半ページもあったりすると、ああ本当に業績がないんだ、そして、応募の熱意もないんだと思われます。業績が少ないのなら少ない業績を丁寧に文章や図で説明したり、原著論文だけでなく学会発表その他なんでも書くようにして、絶対に余白を作らないようにしましょう。原著論文の積み上げがしっかりある人は、学会発表などを書く必要はないでしょう。
余白があるのに、学会発表も書いていないと、学会発表すらしていない人と思われます。余白があるのに、共著論文が書いていないと、共著論文すらない人と思われます。つまり、あることを書いていない=その業績がない と判断されるので、あることは書けるだけ書いて余白をなくすようにしておかないと、損な見られ方をします。
過去の科研費採択歴を書くべきかどうかで悩む人もいるかと思います。十分な実績のある研究者であれば、いちいち過去の科研費採択歴を書く必要は全くありません。そうでない場合は、「科研費採択→論文化」のサイクルがきちんと達成できている人なら、それをアピールするのは効果的です。前回の科研費の結果の論文化が間に合っていないのなら、科研費採択歴を書くと論文のアウトプットがないことを馬鹿正直に申告してマイナスの印象を与えるだけなので、書かないほうが無難でしょう。
【よくある失敗事例】
経費をどれくらい具体的に細かく書くかは人それぞれです。国内 学会発表 と書いても採択される人はされますし、第XX会日本〇〇学会年会(福岡)参加 など具体的に書けばベターだと思います。海外も同様です。学会の開催地がどの国のどの都市あkで航空運賃もかなり変わってきますので、おおざっぱに何十万円と書くだけだといい加減な印象を与えかねません。
経費の必要性を作文する部分も丁寧に書きましょう。大型の機器がすでに研究室や大学に備わっている場合には、これこれはすでに設置されていて、消耗品のみ必要なので経費に計上したといった記述をするのも良いことだと思います。研究計画の内容が具体的にリアルに想像できる書き方が好ましいでしょう。当たり前のことですが、研究計画の欄で必要になりそうな経費が計上されていなかったり、計画欄で全く言及のなかったものが経費として計上されているのは不自然ですので、全体として矛盾がないか再度確認しましょう。
科研費申請書の各セクションの書き方は、別に文科省や日本学術振興会が細かく教えてくれるわけではありません。様式の指示や留意事項を「読み解く」ことは応募者の責任です。実際には審査委員が審査するので、審査委員がどう思ってどう評価するかが全てです。しかし審査委員の考え方も多様ですので、どんな人が読んでも評価される書き方をしておく必要があります。
各セクションの書き方のヒントになりそうなことをつらつらと書いてきましたが、実は申請書を書くまえに「審査区分」を選んでおく必要があります。というのも、専門家向けに書いて申請書を完成させてしまうと、もうより分野融合的な審査区分に変更できなくなるからです。自分のこれまで経験からすると、専門分野の審査区分の中にも採択されやすいユルイところと激戦区なところとがあります。そういう競争の激しい激戦区となっている専門分野の審査区分と比較すると、分野融合的な審査区分あるいはより一般的な学問領域の審査区分のほうが、容易に採択されやすい傾向があるような気がします(肌感覚)。そういう審査区分は、応募者のバックグラウンドもバラバラで審査委員のバックグラウンドもバラバラですので、かなり一般読者向けの言葉遣いで申請書を書く必要があるわけです。オーラルのプレゼンを準備するときにまず聴衆がどんな人たちなのかを知ることが大事といわれるのと全く同じで、申請書の準備をするときには審査委員がどんな人たちなのかを知ることが大事です。多くの人が軽視して不採択をくらっていることですが、読み手が定まらないうちに書き始めてはならないのです。
【よくある失敗事例】
多くの人は概要から書き始めたり、様式の順番通りに背景から書いているのではないでしょうか。様式の6ページの空白を最初から埋めていく書き方が、一番お勧めできない方法です。申請書で重要なのは一貫性や整合性なので、まず最初に書くべきは、申請書全体の骨子、アウトラインだと思います。
以上が、申請書の背骨に相当する部分です。それができたら、手足か肋骨かわかりませんが、周辺部分に関係するところの骨格を書きだします。
このように本文を肉付けする前に、骨格となる部分を簡潔な文で書いてみることをお勧めします。ここまでしてから本文を書けば、申請書全体の骨格がブレる心配がなくなります。
科研費申請書の様式は、すべての学問分野に共通です。人文科学からコンピュータサイエンス、臨床研究、素粒子論、遺伝学、なんでもです。学問分野によっていろいろしきたりや作法が違うので、本来は一つの様式で事足りるとは思えないのですが、個別に様式をつくるわけにもいかないので一つで済ませているわけです。ですから、様式の指示の解釈は複数通りありえます。同じ研究領域でも、何をどのセクションにどれくらいの分量で書くかは、研究者の常識と良識に任されている部分があります。ですから、明確な意図をもって、ここにこれを書いたということが審査委員に伝われば、様式の解釈の正しさに必要以上にこだわる必要はないのではないかと思います。実際、何冊も出版されている科研費の教科書を読み比べても、どのセクションに何を書くべきかは必ずしも一致していません。科研費セミナーを聞いていても、セミナー講師が自分が解釈したことを話しているだけで、それに万人が賛成しているわけでもありません。JSPSや文科省の科研費担当部署に訊いても、何も教えてくれません。つまり、様式の指示は、「研究者の常識」に基づいて解釈して書けばよいのだと思います。
科研費の様式の指示や留意事項は、審査の評点と対応しています。日本学術振興会のウェブサイトには、審査における評定基準等 や 審査の手引 が公開されていますので、これらを読んでおけば、様式の指示を守ることの重要性がより一層感じられるはずです。
かなり丁寧に科研費の書き方の説明をしたつもりですが、こういったノウハウを自分の申請書に日本語の文章として落とし込めない人が実際にはほとんどでしょう。そういう場合は、第三者に読んでもらうことを強く、強くお勧めいたします。大学内にそういう支援をしてくれる人がいない場合は、商用サービスを利用するのも手だと思います。
研究内容を知りすぎているラボの同僚よりも、研究のことは何もわからない素人だが日本語力(論理的思考能力)だけはある配偶者やラボの秘書などのほうが的確な指摘をしてくれる可能性もあります。
科研費を書く際の態度や考え方に関する話を知りたい人は、以下の記事も参考に。
科研費計画調書は日本語で書くので、日本語に自信がないというのは致命的です。とくに、接続語の使い方が怪しい人、具体的に書けない人、逆に、抽象化した記述が苦手な人、論理的に書けない人、メリハリのある日本語の文章が書けない人、そういう人たちは小学校からやり直したほうがいいです。小学校の国語から勉強しなおすのに最適な参考書がコレ。
親必読!難関中学への合格者続出! 「本当の国語力」が驚くほど伸びる本: 偏差値20アップは当たり前! 2009/7/18 福嶋 隆史(アマゾン)
いい歳した大人が小学校の国語の勉強からやりなすなんて、プライドが許さない?そんな大人の人向けに、内容は基本的に同じですが大人が読んでいて恥ずかしくないように装いを新たにしたバージョンもあります。
言葉を自在に操るための論理思考トレーニング 考えていることが正しく伝わる、シンプルで確実な方法 「ビジネスマンの国語力」が身につく本 2010/12/11 福嶋隆史 (アマゾン)
上の本は文字数は少なくて1時間弱で読めますので、科研費申請書が書けず煮詰まったときに読むと、劇的な効果があります。なぜ自分が書いた申請書が読みにくかったのかがハッキリと説明できるレベルで理解できるようになるでしょう。
キャスリン・ペイジ・ハーデン『遺伝と平等:人生の成り行きは変えられる』2023/10/20 新潮社 を読んでいます。この本を読むのはかなり骨が折れます。
Kathryn Paige Hardenの著書で、原書のタイトルは、The Genetic Lottery: Why DNA Matters for Social Equlityというものです。本の帯には、「親ガチャ」を乗り越えろ! とか、個人でなんとか変えられるとエールを送るような文言がならんでいますが、内容はちょっと違うように思います。別に個人が頑張れば遺伝の影響を超えられるといった話は出てきません。本書の主張は、社会の平等は遺伝的な差異に配慮すべきというものだと思います。
邦訳に限らず書籍は、内容とタイトルが多少乖離するということが、セールスの都合なのかありがちだと思います。『遺伝と平等』はなかなか読み通すにはハードな本です。大型書店にどさっとおかれていたりして、この本を読む人がそんなに多いのかとちょっと驚きます。行動遺伝学の専門家による本なので内容はしっかりしていて引用文献もネット上にまとめられているようですので、非常に信頼できるものだと思いました。
第4章
第7章
第II部
第8章
Christopher Sandy Jencks
科研費研究計画調書には独自性と創造性を書きなさいという場所があります。創造性って何でしょうか?
AI による概要創造性とは、独自性があり斬新で生産性が高い発想を生み出す能力、またはクリエイティビティ(creativity)とも呼ばれます。既存の知識や情報を組み合わせ、独自の視点や考え方を取り入れながら、新しい価値を生み出すことができるのが特徴です。
創造性は英語だとクリエイティビティ。上の説明にもありますが、新しい何かを作り出すことだと自分は理解していました。ところが、科研費の書き方の多くの説明では、波及効果などを書くようにアドバイスしています。
AI による概要科学研究費の申請書に書く「創造性」には、本研究の過程や成果による学術の深化や、他の分野への波及効果などが含まれます。具体的には、次のようなことを書くことができます。
- 本研究が今後どのように発展し、他の研究分野に波及していくのか
- 本研究で明らかにすることで、申請者以外の新しい研究や行動を創造しうることを期待できること
また、独自性や創造性の主張には客観的裏付けも必要です。文献や論文などを根拠として示すこともよいでしょう。
これって、「創造性」という日本語の本来の意味じゃないよなあといつも不思議に思っていました。ゼロからなにかを作り出す、存在していたものを題材にしていても斬新なアイデアで何か今までになかったものを作り出すそういう研究に関する創造性なんじゃないかと思ったのですが、科研費の教科書の説明だと、研究がうまくいったその後、何かを創造するということみたいです。なんか違うんじゃない?と思うのですが、皆さんどう書いているのでしょうか。世の中の指南書がみなこうかけと書いているとそれに引きずられてみなそう書いているのでしょうか。