「 科学ニュース 」 一覧

人類史上初めての、体の中の細胞が持つ遺伝情報を直接書き換える試み

人間の体の構造や機能の設計図となるのが遺伝子配列です。この配列の一部が通常と異なると、正常に機能するたんぱく質が作られなくて遺伝的な病気になることがあります。アリゾナ州出身のブライアン・マデュー(Brian Madeux)さん(44)は、イズロン酸-2-スルファターゼ (iduronate–2-sulfatase)という酵素の遺伝子にそうした異常があり、ハンター(Hunter)症候群と呼ばれる遺伝性代謝異常症に悩まされてきました。症状が広範囲にわたるため、2年に一回はなにかしらの手術を受けなければならないような生活をおくってきたそうです。 MPS II (Hunter syndrome) is a progressive disorder that primarily affects males and is caused by mutations in the gene encoding the iduronate-2-sulfatase (IDS) enzyme which is also required for the degradation of GAGs. Children with MPS …

海馬での記憶が大脳皮質へ転送される学説が覆る

  2017/04/13    科学ニュース, 脳科学

記憶は海馬でまず短期的に形成され、後に大脳皮質に記憶情報が転送されて長期的に固定化されると考えられてきました。しかし、MITの利根川研究室が2017年4月7日のサイエンス誌に発表した論文によれば、記憶痕跡細胞は海馬だけでなく最初から大脳皮質でも形成されます。しかし、大脳皮質の記憶痕跡細胞は、最初はいわばサイレントな状態で存在し、その後活動するようになります。 「学習時の記憶情報は前頭前皮質にもすでに存在したのです。この実験結果は、記憶が徐々に転送されるという従来の学説に反するものです。」と北村博士は述べた。(原文:“Already the prefrontal cortex contained the specific memory information,” Kitamura says. “This is contrary to the standard theory of memory consolidation, which says that you gradually transfer the memories. The memory is already there.”)(参考:MITニュース)   ( (出典:http://www.riken.jp/en/pr/press/2017/20170407_1/) プレスリリース Neuroscientists …

アフリカツメガエル(Xenopus laevis)のゲノムが解読される

  2016/10/21    ゲノム科学, 科学ニュース

発生生物学の実験材料としてよく用いられるモデル動物アフリカツメガエル(Xenopus laevis)ゲノムの塩基配列が解読され、今週のNature誌に論文が発表されました。 Adam M. Session,    Yoshinobu Uno,    Taejoon Kwon,    Jarrod A. Chapman,    Atsushi Toyoda,    Shuji Takahashi,    Akimasa Fukui,    Akira Hikosaka,    Atsushi Suzuki,    Mariko Kondo,    Simon J. van Heeringen,    Ian Quigley,    Sven Heinz,    Hajime Ogino,    Haruki Ochi,    Uffe Hellsten,    Jessica B. …

手の発生と魚の胸びれの発生とに共通の仕組み

  2016/08/21    科学ニュース

手は、進化的には魚の胸鰭(むなびれ)の部分に相当すると考えられています。しかし、魚の鰭には鰭条(きじょう)と呼ばれるスジが多数ありますが、指があるわけでもなく、その構造は手とは似ても似つかぬものです。そのため、手のどの部分が鰭のどの部分に対応するのかはわかりません。 シカゴ大学ニール・シュービン博士の研究グループがマウスの前肢やゼブラフィッシュの胸鰭の形成に関与する遺伝子の発現機構を調べたところ、そこに一つの共通性が浮かびあがってきました。 これまでの研究でシュービン博士らは、ゼブラフィッシュよりも進化の過程でゲノムの変化が少ないスポッテッド・ガーという魚のゲノムを調べ、マウスの”手”になる部分で遺伝子の発現を制御することができる特定のゲノム領域(エンハンサー)を見つけていました。スポッテッド・ガーの「手のエンハンサー」をゼブラフィッシュに導入し、発生の時期にこのエンハンサーが働いた細胞がその後何になるのか追跡調査してみたところ、鰭のスジの部分になっていることがわかったのです(下の写真)。 マウスの前肢(左)とゼブラフィッシュの胸鰭(右)を標識するエンハンサーの働き(緑色)(シカゴ大学ニュースより) マウスの”手”の部分の形成には、Hoxa13とHoxd13という2つの遺伝子関わっており、この2つの遺伝子の働きをなくすと、手の部分が形成されなくなることが知られています。そこで、ゼブラフィッシュでも同様にHoxa13とHoxd13の遺伝子の働きをなくしてみたところ、鰭のスジがある部分が小さくなり、かわりに、鰭の根元の部分の硬い骨からなる領域が増大することがわかりました。指=ヒレのスジの部分というわけでは決してありませんが、形がまったく異なっていても、遺伝子の働きという視点でみると共通性が見えてくるのは面白いものです。 研究チームの中村哲也研究員:「魚が陸上生物へ進化したメカニズムの解明に向け、大きな一歩だ」(魚のひれにある骨、哺乳類の手に進化 シカゴ大確認 日経新聞 2016/8/20) 参考 Tetsuya Nakamura, Andrew R. Gehrke, Justin Lemberg, Julie Szymaszek & Neil H. Shubin. Digits and fin rays share common developmental histories.  Nature Published online 17 August 2016 Evolutionary biology: Fin to …

一般相対論の予言から100年 重力波をついに検出

一般相対性理論を完成させたアインシュタインはその理論に基づき、1916年に重力波の存在を予言しました。この予言から100年後の今、アメリカのLIGO(レーザー干渉計重力波天文台)の研究グループが重力波を直接観測することに世界で初めて成功しました。下の動画はこの研究成果を発表する記者会見の模様です。 LIGO detects gravitational waves (National Science Foundation) 0:00- France Cordova氏(アメリカ科学財団ディレクター) の挨拶 2:25 – 重力波の説明ビデオ放映 4:00 – 12:43 David Reitze氏が重力波観測の成功を報告 “We did it! “ 。2つのブラックホール連星が合体し重力波が発生すること、地球に届いた重力波をどうやって検出したかの説明。 12:54 - 21:13 Gabrieal Gonzalez氏が今回の観測結果をわかりやすく説明しています。 14:08- LIGOの説明 14:48- 観測された重力波データの説明 21:43 – 31:02 Rainer Weiss氏が重力波研究の歴史と測定装置について解説 31:25 - 39:45 Kip Thorne氏 40:00 – …