「 科学ニュース 」 一覧

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火星が2018年7月31日に最も接近

夜の南天低いところに異様に赤く明るく光る星が目につきますが、それは火星で、現在地球にかなり接近しているため明るく見えています。 火星大接近2018(国立天文台) 2003年8月以来の最接近で、2018年7月31日に火星は地球に最も近づきます。ちなみに衝(Opposition)(火星が太陽の正反対の位置にくる)は7月28日(日本時間)。 What’s Up for July 2018 火星大接近2018は、「大接近」とも呼ばれる近い距離での最接近となります。このころの火星はマイナス2.8等の明るさで輝き、視直径は24秒角を超えます。(大学共同利用機関法人 自然科学研究機構 国立天文台)   参考 火星大接近 2018年夏、南の空の赤い星に注目! 7月31日 地球再接近 距離:5760万km (astroarts.co.jp) Watch for it: Mars will be CLOSEST to Earth in over 30 years (theweathernetwork.com) 火星が地球に最接近(2018年7月)(国立天文台) 火星の大接近と小接近 (国立天文台)

体の細胞の遺伝情報を直接書き換える初の試み

人間の体の構造や機能の設計図となるのが遺伝子配列です。この配列の一部が通常と異なると、正常に機能するたんぱく質が作られなくて遺伝的な病気になることがあります。アリゾナ州出身のブライアン・マデュー(Brian Madeux)さん(44)は、イズロン酸-2-スルファターゼ (iduronate–2-sulfatase)という酵素の遺伝子にそうした異常があり、ハンター(Hunter)症候群と呼ばれる遺伝性代謝異常症に悩まされてきました。症状が広範囲にわたるため、2年に一回はなにかしらの手術を受けなければならないような生活をおくってきたそうです。 MPS II (Hunter syndrome) is a progressive disorder that primarily affects males and is caused by mutations in the gene encoding the iduronate-2-sulfatase (IDS) enzyme which is also required for the degradation of GAGs. Children with MPS …

海馬から大脳皮質への記憶転送の学説が覆る

  2017/04/13    科学ニュース, 脳科学

記憶は海馬でまず短期的に形成され、後に大脳皮質に記憶情報が転送されて長期的に固定化されると考えられてきました。しかし、MITの利根川研究室が2017年4月7日のサイエンス誌に発表した論文によれば、記憶痕跡細胞は海馬だけでなく最初から大脳皮質でも形成されます。しかし、大脳皮質の記憶痕跡細胞は、最初はいわばサイレントな状態で存在し、その後活動するようになります。 「学習時の記憶情報は前頭前皮質にもすでに存在したのです。この実験結果は、記憶が徐々に転送されるという従来の学説に反するものです。」と北村博士は述べた。(原文:“Already the prefrontal cortex contained the specific memory information,” Kitamura says. “This is contrary to the standard theory of memory consolidation, which says that you gradually transfer the memories. The memory is already there.”)(参考:MITニュース)   ( (出典:http://www.riken.jp/en/pr/press/2017/20170407_1/) プレスリリース Neuroscientists …

アフリカツメガエルのゲノムが解読される

  2016/10/21    ゲノム科学, 科学ニュース

発生生物学の実験材料としてよく用いられるモデル動物アフリカツメガエル(Xenopus laevis)ゲノムの塩基配列が解読され、今週のNature誌に論文が発表されました。 Adam M. Session,    Yoshinobu Uno,    Taejoon Kwon,    Jarrod A. Chapman,    Atsushi Toyoda,    Shuji Takahashi,    Akimasa Fukui,    Akira Hikosaka,    Atsushi Suzuki,    Mariko Kondo,    Simon J. van Heeringen,    Ian Quigley,    Sven Heinz,    Hajime Ogino,    Haruki Ochi,    Uffe Hellsten,    Jessica B. …

手の発生と魚の胸びれの発生とに共通の仕組み

  2016/08/21    科学ニュース

手は、進化的には魚の胸鰭(むなびれ)の部分に相当すると考えられています。しかし、魚の鰭には鰭条(きじょう)と呼ばれるスジが多数ありますが、指があるわけでもなく、その構造は手とは似ても似つかぬものです。そのため、手のどの部分が鰭のどの部分に対応するのかはわかりません。 シカゴ大学ニール・シュービン博士の研究グループがマウスの前肢やゼブラフィッシュの胸鰭の形成に関与する遺伝子の発現機構を調べたところ、そこに一つの共通性が浮かびあがってきました。 これまでの研究でシュービン博士らは、ゼブラフィッシュよりも進化の過程でゲノムの変化が少ないスポッテッド・ガーという魚のゲノムを調べ、マウスの”手”になる部分で遺伝子の発現を制御することができる特定のゲノム領域(エンハンサー)を見つけていました。スポッテッド・ガーの「手のエンハンサー」をゼブラフィッシュに導入し、発生の時期にこのエンハンサーが働いた細胞がその後何になるのか追跡調査してみたところ、鰭のスジの部分になっていることがわかったのです(下の写真)。 マウスの前肢(左)とゼブラフィッシュの胸鰭(右)を標識するエンハンサーの働き(緑色)(シカゴ大学ニュースより) マウスの”手”の部分の形成には、Hoxa13とHoxd13という2つの遺伝子関わっており、この2つの遺伝子の働きをなくすと、手の部分が形成されなくなることが知られています。そこで、ゼブラフィッシュでも同様にHoxa13とHoxd13の遺伝子の働きをなくしてみたところ、鰭のスジがある部分が小さくなり、かわりに、鰭の根元の部分の硬い骨からなる領域が増大することがわかりました。指=ヒレのスジの部分というわけでは決してありませんが、形がまったく異なっていても、遺伝子の働きという視点でみると共通性が見えてくるのは面白いものです。 研究チームの中村哲也研究員:「魚が陸上生物へ進化したメカニズムの解明に向け、大きな一歩だ」(魚のひれにある骨、哺乳類の手に進化 シカゴ大確認 日経新聞 2016/8/20) 参考 Tetsuya Nakamura, Andrew R. Gehrke, Justin Lemberg, Julie Szymaszek & Neil H. Shubin. Digits and fin rays share common developmental histories.  Nature Published online 17 August 2016 Evolutionary biology: Fin to …

一般相対論の予言から100年 重力波をついに検出

一般相対性理論を完成させたアインシュタインはその理論に基づき、1916年に重力波の存在を予言しました。この予言から100年後の今、アメリカのLIGO(レーザー干渉計重力波天文台)の研究グループが重力波を直接観測することに世界で初めて成功しました。下の動画はこの研究成果を発表する記者会見の模様です。 LIGO detects gravitational waves (National Science Foundation) 0:00- France Cordova氏(アメリカ科学財団ディレクター) の挨拶 2:25 – 重力波の説明ビデオ放映 4:00 – 12:43 David Reitze氏が重力波観測の成功を報告 “We did it! “ 。2つのブラックホール連星が合体し重力波が発生すること、地球に届いた重力波をどうやって検出したかの説明。 12:54 - 21:13 Gabrieal Gonzalez氏が今回の観測結果をわかりやすく説明しています。 14:08- LIGOの説明 14:48- 観測された重力波データの説明 21:43 – 31:02 Rainer Weiss氏が重力波研究の歴史と測定装置について解説 31:25 - 39:45 Kip Thorne氏 40:00 – …

京大らがブラックホール連星を可視光観察

  2016/01/08    天文学, 科学ニュース

京大らがブラックホール連星の放射エネルギー変動を可視光領域で観察 はくちょう座V404は、ブラックホールと恒星とが近接した連星で、X線新星として知られています。X線新星はアウトバーストと呼ばれる急激な増光現象を不定期に生じますが、1989年のアウトバースト以来26年ぶりのアウトバーストが2015年6月に起こり、京都大学らの国際的な共同研究チームが観測を行いました。アウトバースト時のブラックホール近傍からの放射エネルギーの振動現象はこれまでこれまでX線領域でしか観測されていませんでしたが、今回の観測によりアウトバースト時の可視光の変動が初めて捉えられ、2016年1月7日付けのNature誌で報告されました。 Repetitive patterns in rapid optical variations in the nearby black-hole binary V404 Cygni (Nature 529,54–58 (07 January 2016)doi:10.1038/nature16452 Received 25 July 2015  Accepted 13 November 2015 Published online 06 January 2016 ) Repetitive patterns in rapid optical variations …

113番目の元素の発見で理研が命名権を獲得

  2015/12/26    科学ニュース

113番目の元素の発見者は日本の理研と認定される見込みで、命名権の獲得により「初めての日本発の元素」が誕生します。 原子番号113の元素にはウンウントリウム (ununtrium) という仮の名称が与えられています。理化学研究所の森田浩介博士らのグループは線形加速器を用いて亜鉛(原子番号30)をビスマス(原子番号83)に衝突させる実験を行い、1個のウンウントリウムの合成に初めて成功し2004年9月28日に発表しました。その後も研究を続け、2005年、2012年とこれまでに合計3個のウンウントリウム検出に成功していました。2012年の成果によって日本初の新元素発見が確定したと思われたにも関わらず、ロシア=アメリカ共同研究グループとの先取権獲得競争もあり、国際的な認定が今の今まで見送られてきました。 産経新聞の報道によれば、理研による113番元素の発見がようやく国際的に認定される運びとなり、日本(理研)がこの新しい元素に対する命名権を獲得することが確実になりました。 審査は新元素を認定する国際純正・応用化学連合(IUPAC)と、国際純粋・応用物理学連合(IUPAP)の合同作業部会が実施。関係者によると、作業部会は理研を113番元素の発見者として承認する報告書を化学連合側に提出した。物理学連合側の同意を踏まえて正式決定する。(日本初の新元素、国際認定へ 理研に113番の命名権、「ジャポニウム」有力 産経新聞 2015.12.26) Japanese discovery of element 113 – Periodic Table of Videos 元素の周期表には百十数個の名前が並んでいますが、これまでに日本で命名された元素は一つもありません。 The NEW Periodic Table Song (Updated) 原子番号113番の元素ウンウントリウム (ununtrium) (仮称)に対して、ついに、日本にゆかりのある名前が与えられることになります。 理研の仁科芳雄博士は昭和15年、93番が存在する可能性を加速器実験で示したが検出できず、直後に米国が発見。その加速器は戦後、原爆製造用と誤認した連合国軍総司令部(GHQ)によって破壊されてしまった。113番は仁科博士の研究を受け継ぐチームが発見したもので、雪辱を果たした形だ。(日本初の新元素 悲願100年、米露独の独占崩す 産経新聞 12月26日) 参考 Ununtrium (Wikipedia) 日本初の新元素、国際認定へ 理研に113番の命名権、「ジャポニウム」有力 (産経新聞 2015年12月26日) 日本初の新元素 悲願100年、米露独の独占崩す (産経新聞 2015年12月26日 長内洋介) 【祝!のはずでした…】113番目の元素 命名権を日本の理化学研究所が獲得!?(日本科学未来館 科学コミュニケーターブログ 2015年08月17日 …

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痕跡細胞からの記憶想起にシナプス増強は不要

  2015/05/28    科学ニュース

逆行性健忘においても、記憶は痕跡細胞の中に保持されていることをMITの利根川研究室がマウスの実験で明らかにし、サイエンス誌に発表しました。論文タイトルはEngram cells retain memory under retrograde amnesia。 マウスを小箱に入れ、弱い電気刺激を与えて小箱の環境が怖いことを記憶させました。通常、こうした体験をさせた翌日に、マウスを同じ小箱に置くと怖い体験を思い出してマウスは“すくみ”ます。しかし、マウスが小箱は怖いと記憶した直後に、シナプス増強が起こらないようにする薬剤を与えると、マウスは怖い体験の記憶を失って、同じ小箱に入れられてもすくみませんでした。 ところが、翌日、怖い体験をした小箱とは別の小箱に同じマウスを入れ、怖い体験の記憶痕跡を人工的に活性化したところ、記憶を失ったはずのマウスがすくみました。これは、シナプス増強がなくても記憶は痕跡細胞群の中に直接、保存されていることを意味します。(理化学研究所60秒でわかるプレスリリースより) 論文著者は、Tomás J. Ryan, Dheeraj S. Roy, Michele Pignatelli, Autumn Arons, Susumu Tonegawaで、最初の3人に関してはcontributed equally to this workとのことです。 Tonegawa Lab Members (利根川研究室ラボメンバー The RIKEN Brain Science Institute and the Picower Institute for Learning and Memory …

サルも鏡に映った自分の姿を自分と認識

  2015/01/12    科学ニュース

魚などの下等な動物は鏡に映った自分を他の個体だと思い込んで、鏡の中の自分に対して攻撃したりします。ヒトやチンパンジー(大型類人猿)は鏡に映った自分を自分自身と認識できることが知られており、イルカ、ゾウなどでもそのような「鏡像認知」能力を示す報告がありましたが、サルの仲間に関してはそのような能力はないと考えられていました。 今回、中国の研究グループがマカクザルも鏡に映った自分を自分だと認識している可能性があるという論文をカレントバイオロジー誌に発表しました。 Monkeys May Be Able To Recognize Themselves In A Mirror With Training Animals which have passed the mirror test are common chimpanzees, bonobos, orangutans, dolphins, elephants, humans and possibly pigeons. (ScienceDaily 2015-01-12) しかしながら、1970年にチンパンジーが鏡に映った自分を自分と認識していることを報告したゴードン・ギャラップ(Gordon Gallup)博士は、サルがそのように振舞うように訓練された結果に過ぎないとして、この研究結果の結論は誤っていると批判しています。 参考 Liangtang Chang,Qin Fang, …