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MIT利根川進教授らのグループが海馬の中の新たな神経回路を発見

  2013/12/23    科学ニュース

海馬は記憶学習に重要な脳の部位として最も精力的に研究されている領域です。脳の働きを知るためには脳を構成している神経細胞同士がどのように「配線」されているのか、つまり神経回路をまず明らかにする必要があります。一番良く研究されていたはずの海馬の神経回路で、実は今まで信じられてきたことが間違いであったということが明らかになりました。利根川進マサチューセッツ工科大学教授(理化学研究所脳科学総合研究センターセンター長を兼任)らのグループによる研究成果です。 海馬はCA1,CA2,CA3という3つに区分されますが、大脳皮質から海馬に至るまでの神経結合は、嗅内皮質→歯状回(DG)→CA3→CA1という3つのシナプスを介する回路が知られていましたが、CA2の領域にある神経細胞がどこから入力を受けてどこへ出力しているのか関しては研究が進んでいませんでした。 「歯状回(DG)→CA2という経路は存在しない」というの一般的な定説となっていました。 ところが、今回の利根川研究室らの研究により、CA2領域はDGからの入力を受けており、さらにCA1の深い層へ出力しているということが明らかになりました。この新たな神経回路の発見により、海馬における情報処理機構の研究が一層進展することが期待されます。 (緑色に見えるのが歯状回(DG)の神経細胞、赤色は歯状回(DG)の神経細胞の軸索、オレンジ色はCA2の細胞。歯状回の神経細胞から伸びた軸索の先端が、CA2の領域に到達している様子が見事に示されています。 独立行政法人理化学研究所 2013年12月19日 プレスリリースより) さらに、「嗅内皮質第3層の神経細胞は海馬CA1領域に入力する」と言われていたことも実は間違いで、実際には「嗅内皮質第3層の神経細胞は海馬CA2領域に入力している」ことがこの論文で示されました。 常識を疑えとよく言われますが、「みんなが信じていること」であっても、何の根拠があってそう言われてきたのかをとことん遡って突き詰めて行くことにより、今回のような大発見成し遂げることができるというレッスンのようです。 参考 Kohara K, Pignatelli M, Rivest AJ, Jung HY, Kitamura T, Suh J, Frank D, Kajikawa K, Mise N, Obata Y, Wickersham IR, Tonegawa S. Cell type-specific genetic and optogenetic tools …