Category Archives: 科学ニュース

痕跡細胞からの記憶想起にシナプス増強は不要

逆行性健忘においても、記憶は痕跡細胞の中に保持されていることをMITの利根川研究室がマウスの実験で明らかにし、サイエンス誌に発表しました。論文タイトルはEngram cells retain memory under retrograde amnesia。

マウスを小箱に入れ、弱い電気刺激を与えて小箱の環境が怖いことを記憶させました。通常、こうした体験をさせた翌日に、マウスを同じ小箱に置くと怖い体験を思い出してマウスは“すくみ”ます。しかし、マウスが小箱は怖いと記憶した直後に、シナプス増強が起こらないようにする薬剤を与えると、マウスは怖い体験の記憶を失って、同じ小箱に入れられてもすくみませんでした。

ところが、翌日、怖い体験をした小箱とは別の小箱に同じマウスを入れ、怖い体験の記憶痕跡を人工的に活性化したところ、記憶を失ったはずのマウスがすくみました。これは、シナプス増強がなくても記憶は痕跡細胞群の中に直接、保存されていることを意味します。理化学研究所60秒でわかるプレスリリースより)

論文著者は、Tomás J. Ryan, Dheeraj S. Roy, Michele Pignatelli, Autumn Arons, Susumu Tonegawaで、最初の3人に関してはcontributed equally to this workとのことです。

Tonegawa Lab Members (利根川研究室ラボメンバー The RIKEN Brain Science Institute and the Picower Institute for Learning and Memory at MIT)

参考

    1. Engram cells retain memory under retrograde amnesia. Science 29 May 2015: Vol. 348 no. 6238 pp. 1007-1013 DOI: 10.1126/science.aaa5542 (Sciencemag.org)
    2. 記憶痕跡回路の中に記憶が蓄えられる-神経細胞同士のつながりの強化は記憶の想起には不要- (理化学研究所 2015年5月29日 60秒でわかるプレスリリース):より詳細な報道発表資料
    3. 逆行性健忘:発症前の過去のことがらを思い出すことができなくなること。外傷性脳損傷や認知症で発症することが多い。(理研プレスリリース補足説明
    4. 思い出せないけど…脳には記憶残る 理研がマウスで実験(朝日新聞デジタル 2015年5月29日):”認知症などで過去を思い出せないのは、記憶が失われたのではなく、残っているのに取り出せないだけ――。そんな可能性を示すマウス実験の成果を、理化学研究所のグループが29日付米科学誌サイエンスに発表する。”

アマミホシゾラフグ 2015年新種トップ10に

何年も前から奄美大島の海底でダイバーらによって目撃されていたミステリーサークル。誰が一体何の目的でこのような不思議な幾何学模様を海底の砂場に作っていたのか、その謎が解けたのが2014年でした。ミステリーサークルをつくっていたのは、新種のフグ。このフグが「新種トップ10」に選ばれました。

「新種トップ10」は、米ニューヨーク州立大の国際生物種探査研究所(State University of New York College of Environmental Science and Forestry (ESF))が毎年選び、分類学の父と呼ばれる植物学者リンネの誕生日5月23日に合わせて発表しているものです。

ESF: Top 10 New Species for 2015

Pufferfish: ‘Crop Circles’ under the Sea
Torquigener albomaculosus
Location: Japan

How it made the Top 10: Scientists recently solved a 20-year-old mystery under the sea and discovered a new fish. Intricate circles with geometric designs about six feet (2 meters) in diameter, found on the seafloor off the coast of Amami-Ōshima Island, were as weird and unexplained as crop circles. They turn out to be the work of a new species of pufferfish, Torquigener albomaculosus. Males construct these circles as spawning nests by swimming and wriggling in the seafloor sand. The nests, used only once, are made to attract females. The nests have double edges and radiating troughs in a spoke-like geometry. The design isn’t just for show. Scientists discovered the ridges and grooves of the circle serve to minimize ocean current at the center of the nest. This protects the eggs from the turbulent waters and possibly predators too. Yoji Okata, an underwater photographer, first observed the artistic behavior. Subsequently, a team of ichthyologists and a television crew carried out an expedition to record the phenomenon.

ESFによる説明を日本語に訳しておきます。

フグ:海底のミステリーサークル
Torquigener albomaculosus
場所:日本
トップ10に選ばれた理由:最近、科学者らは20年来の海底の謎を解き、新種の魚を発見しました。奄美大島の海岸沖の海底で発見された直径約2メートルの幾何学的なデザインをもった複雑なサークルは、ミステリーサークルと同様に奇妙で説明がつかないものでした。そのサークルは新種のフグTorquigener albomaculosusによって作られたものであることが明らかになりました。雄が、海底の砂場を体をよじらせて泳ぎながら、産卵用の巣としてこれらのサークルを構築します。その巣は、一度きりしか使われませんが、メスを誘い寄せるために作られるのです。その巣は、縁が2重になっていて、車輪のスポークのような幾何模様の放射状の溝があります。このデザインは単に見せるためだけではありません。科学者の発見によると、サークルにある畝と溝は巣の中心部分で潮の流れを最小にする効果があります。このことにより卵はかき乱すような水野流れや、おそらくは捕食者からも守られているのです。水中写真家の大方洋二氏が初めてこの芸術的な行動を観察しました。その後、魚類学者のチームとテレビクルーがこの現象を記録するための調査を行いました。

アマミホシゾラフグを紹介したBBCの番組。アマミホシゾラフグのオスがミステリーサークルを作るプロセスや、産卵行動が、美しい映像で紹介されています。

Japanese Pufferfish Masterpiece – BBC Life story David Attenborough (7分17秒)

Attracting attention is an essential part of winning a mate. The world’s oceans are filled with brilliant colours,…all designed to make their wearers conspicuous. Unfortunately this small, Japanese puffer fish is dull,…almost to the point of invisibility but to compensate,…he is probably nature’s greatest artist. To grab a female’s attention, he creates …something that almost defies belief. His only tools are his fins. In his head, a plan of mathematical perfection. He ploughs the sand, breaking it up into the finest of particles. These shells aren’t just rubbish to be removed,…he uses them to decorate the bridges of his construction. He can’t rest for more than a moment, but must work 24 hours…a day for a week, or the current will destroy his creation. A final tidy up and his masterpiece is complete. Nowhere else in nature does an animal construct something…as complex and perfect as this. If this doesn’t get him noticed, nothing will. Now it’s ready for inspection. A female, swollen with eggs. To make sure she gets the best view, he encourages her into the centre. Inspection over,…she withdraws to await the final stage of the process. By the next morning all the softest sand is now in the middle. The centre of the arena has been flattened. Right on cue here she is. This is what she wanted. It’s a perfect bed for her eggs. The male now grasps her cheek and then fertilises her miniscule eggs. And with a quick flick of his fins, he buries them. They carry on like this until she has finished laying. An hour of his rough affection leaves a love bite on her cheek. Finally, she leaves. He stays to fan the eggs until they hatch,…while his extraordinary work of art fades away around him. (転載元Transcript)

番組のシーンの概略。

0:23 色鮮やかな他の海の生き物たちに比べると、アマミホシゾラフグはとても地味で目立ちません。しかし、おそらく自然界でもっともすばらしい芸術家なのです。
0:38 オスはメスを惹きつけるために、ほとんど信じられないようなことをします。
0:54 彼が用いる道具は、ヒレだけ。
1:55 彼は休むことなく、1日24時間、1週間働かなければなりません。そうしないと、潮の流れが彼の創作物を壊してしまうことになるでしょう。
2:22 彼のマスターピースの完成
3:42 メスが登場し雄がつくった作品をチェック
4:16 メスは一度退場し、最終工程を待ちます。翌朝までには、一番やわらかい砂が真ん中に集められています。アリーナの真ん中の部分は平らにされています。
5:08 メスにとって完璧な産卵の場ができあがっています。オスはメスのほほを噛み、メスが産んだ卵に精子をかけ受精させます。
5:25 オスはひれをパタパタと動かして卵を埋めます。メスが卵を産み切るまでこれらの行動が繰り返されます。
6:38 メスは去り、オスは卵の世話をするために残ります。

参考

  1. ESF: Top 10 New Species for 2015 On the list: agile spider, North American dinosaur and fish that makes circles in the sand (ESF, State University of New York College of Environmental Science and Forestry 5/21/2015)
  2. Keiichi Matsuura. A new pufferfish of the genus Torquigener that builds “mystery circles” on sandy bottoms in the Ryukyu Islands, Japan (Actinopterygii: Tetraodontiformes: Tetraodontidae). Ichthyological Research January 2015, Volume 62, Issue 2, pp 207-212 Date: 06 Sep 2014
  3. 奄美大島の海底にミステリーサークルを作るフグ「アマミホシゾラフグ」が世界の新種トップ10(2015年)に選ばれました (PDFリンク)(国立科学博物館 平成27年5月21日):”独立行政法人国立科学博物館(館長:林良博)の名誉研究員、松浦啓一が2014年に新種として発表した「アマミホシゾラフグTorquigener albomaculosus Matsuura, 2014」が、国際生物種探査研究所(ニューヨーク州立大学)の世界の新種トップ10(2015年)に選ばれました。”
  4. あのフグがついに新種!(ブログ 水中写真家・大方洋二の魚って不思議! 2014/9/7):”奄美大島の海底で発見されたミステリーサークル。NHK「ダーウィンが来た!」で長期ロケを行い、放送後にインターネットで情報が流れたために海外のメディアから問い合わせが殺到。あの BBCも取材に訪れたほど。”
  5. SBI講座『ミステリーサークルの謎』:”2014年2月2日、瀬戸内町公民館で「大島海峡ミステリーサークルの謎」についての講演会が開催されました。講演会の様子やミステリーサークルが出現する奄美大島海峡について、マリンステイションのダイビングスタッフ伊藤がお伝えします。…講師の松浦啓一さんは水産学博士で魚類分類学のスペシャリスト。…このミステリーサークルは2007年に清水で伊藤が初めて発見して以来、正体は謎のまま。まさにミステリーだったのですが、2011年に水中写真家の大方洋二さんとともに、フグとサークルの関係を確認しました。なんと大方洋二さんは今から20年程前にも嘉鉄でサークルを見た事があったそうです。”
  6. アマミホシゾラフグ フグ科 学名 Torquigener albomaculosus 奄美大島・瀬戸内町の清水と嘉鉄海域で発見された海底ミステリーサークルの作者である。(せとうちなんでも探検隊 奄美大島の瀬戸内町文化遺産活用実行委員会のプロジェクト)
  7. See the top 10 new species of 2015 – in pictures (The Guardian 21 May 2015):”A cartwheeling spider and a dinosaur dubbed the ‘chicken from hell’ are among the 10 most amazing creatures chosen by scientists from over 18,000 species new to science in the last year. Find out more on the SUNY College of Environmental Science and Forestry website”
  8. アマミホシゾラフグ:巣作り名人、「新種トップ10」に (毎日新聞 2015年05月21日):”同研究所は生物多様性の保全などを目的に08年からトップ10を発表。今回は昨年新種とされた約1万8000種から選んだ。”
  9. ミステリーサークル描くフグ「世界の新種」に (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2015年05月22日):”鹿児島・奄美大島で海底に美しい「ミステリーサークル」を描くフグが、国際的な研究組織が選ぶ今年の「世界の新種トップ10」に入ったと、国立科学博物館が21日発表した。…同館の松浦啓一・名誉研究員(66)らが新種と確認し、昨年、星をちりばめたような模様から「アマミホシゾラフグ」と命名した。…調査に参加した水中写真家の大方洋二さん(73)は、「何十年も潜って一番驚いた発見」と喜んでいる。”
  10. NHK ミラクル・スピーシーズ ダーウィンが来た!:”新種TOP10とは?アメリカのニューヨーク州立大学・国際生物種探査研究所は、毎年5月23日、分類学の父で植物学者のカール・リンネの誕生日にあわせて、前年度に発見された18000種にも及ぶ新種の中からTOP10を選出し、発表しています。”
  11. 海底のミステリーサークルができるまで。
  12. NHK総合「ダーウィンが来た!生きもの新伝説」 – 世紀の発見!海底のミステリーサークル – 放送日 2012年9月9日(日) 19:30~20:00 (gooテレビ番組):”シッポウフグの仲間がやって来た。フグは地面を掘ったり、海藻を抜きながらミステリーサークルをつくっていた。胸びれや尾びれなど、体全体を使って、発見から6日目にミステリーサークルができていた。さらにフグは、貝殻の欠片を集めて、丸くて真ん中に細かい砂があり、スジ模様や起伏などのある形を作っていた。”

辛い状況の仲間を助ける、ドブネズミの共感力

大変な思いをしている人に手を差し伸べるのは、人間や犬などの高等な動物だけが持つ優しさかというとそうでもないようです。関西学院大学の研究グループが、ラット(ドブネズミ)にも仲間を助ける感覚が存在していることを2015年5月12日にAnimal Cognition誌で報告しました。

下の写真に示すように、2つの区画のうち水を張ったほうに一匹のラットを入れ、他方にも別のラットを入れます。真ん中の透明な仕切りにはドアがついていて、水がないほうにいるラットはそのドアを開けて、水中にいるラットを助け出すことができるつくりになっています。このような装置で、ラットが水中の仲間を助けるため仕切りのドアを開けるかどうかを調べる実験を行いました。

RatRescueAnnotated
(説明の語句を除く写真部分は関西学院大学報道資料より転載)

この実験の結果、ラットが、水中にいる仲間のラットを助ける行動をとることが明らかになりました。

面白いことに、自分自身にこの辛い”水責め”経験があるラットのほうが、仲間を助けるまでの時間が早いということが示されました。下記の図で、横軸はセッション回数、縦軸はドアを開けるのにかかった時間。自らも”水責め”された経験があるラットは、2、3回のセッション後には仲間を速やかに助けることを学習しています。

RatRescue2
(関西学院大学報道資料より転載)

自分自身が過去に苦しんだことがある人のほうが、他人の苦しみを察する能力が高いということに通じるのでしょうか。

参考

  1. Nobuya Sato, Ling Tan, Kazushi Tate, Maya Okada. Rats demonstrate helping behavior toward a soaked conspecific. Animal Cognition, 12 May 2015 ; DOI: 10.1007/s10071-015-0872-2
  2. 溺れる友に手を差し伸べるラット  —ラットにおける援助行動— (関西学院大学 報道資料2015年5月11日)(PDFファイル3ページ):”関西学院大学文学部・佐藤暢哉教授およびその研究グループは、齧歯(げっし)類であるラットが、窮地に陥っている仲間のラットに対して共感し、その苦境から助け出すことを示しました。”
  3. Rats will try to save other rats from drowning (ScienceDaily May 12, 2015):”Rats have more heart than you might think.”
  4. ラットに共感能力:「助けなきゃ」水責めに仲間が反応 (毎日新聞 2015年05月12日):”ラットは、水に入れられた仲間がいると苦境を察して助けようとすると、関西学院大(兵庫県西宮市)の研究グループが実験で示し、独の比較認知科学誌(電子版)で12日発表した。”

チリ南部のカルブコ火山が約50年ぶりに大噴火

2015年4月22日に南米チリ南部にあるカルブコ(Calbuco)火山が約50年ぶりに大噴火を起こしました。
Explosión volcán calbuco

Erupción Calbuco Chile 2015, 2 Timelapse Volcán HD,

Calbuco Volcano Blankets Towns In Chile With Ash

今回のカルブコ(Calbuco)火山の噴火の映像にUFO(未確認飛行物体)が写り込んでいるのではないかと、話題になっています。
5 AMAZING UFO / OVNI Video’s from Witnesses at Calbuco Volcano!!

参考

  1. カルブコ火山が約50年ぶり噴火、チリ南部で非常警報(AFP 2015年04月23日):”(一部更新)南米チリ南部にあるカルブコ(Calbuco)火山が22日、約50年ぶりに噴火し、当局が非常警報を発令した。”

サルも鏡に映った自分の姿を自分と認識

魚などの下等な動物は鏡に映った自分を他の個体だと思い込んで、鏡の中の自分に対して攻撃したりします。ヒトやチンパンジー(大型類人猿)は鏡に映った自分を自分自身と認識できることが知られており、イルカ、ゾウなどでもそのような「鏡像認知」能力を示す報告がありましたが、サルの仲間に関してはそのような能力はないと考えられていました。

今回、中国の研究グループがマカクザルも鏡に映った自分を自分だと認識している可能性があるという論文をカレントバイオロジー誌に発表しました。

Monkeys May Be Able To Recognize Themselves In A Mirror With Training

Animals which have passed the mirror test are common chimpanzees, bonobos, orangutans, dolphins, elephants, humans and possibly pigeons. (ScienceDaily 2015-01-12)

しかしながら、1970年にチンパンジーが鏡に映った自分を自分と認識していることを報告したゴードン・ギャラップ(Gordon Gallup)博士は、サルがそのように振舞うように訓練された結果に過ぎないとして、この研究結果の結論は誤っていると批判しています。

参考

    1. Liangtang Chang,Qin Fang, Shikun Zhang, Mu-ming Poo, Neng Gong. Mirror-Induced Self-Directed Behaviors in Rhesus Monkeys after Visual-Somatosensory Training. Current BIology.DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.11.016 Published Online: January 08, 2015
    2. Monkeys seem to recognize their reflections (Natue News 09 January 2015): “… “Simply because you’re acting as if you recognize yourself in a mirror doesn’t necessarily mean you’ve achieved self-recognition,” says Gordon Gallup, an evolutionary psychologist at the State University of New York in Albany, who in 1970 was the first to demonstrate mirror self-recognition in captive chimpanzees. …”
    3. 鏡像認知(脳科学辞典)
    4. James R. Anderson,Gordon G. Gallup Jr. Which Primates Recognize Themselves in Mirrors? Plos Biology. Published: March 01, 2011 DOI: 10.1371/journal.pbio.100102: “we conclude that there is no compelling evidence for mirror self-recognition in any non-ape primate species”
    5. Koji Toda,Shigeru Watanabe. Discrimination of moving video images of self by pigeons (Columba livia). Animal Cognition.October 2008, Volume 11, Issue 4, pp 699-705
    6. Joshua M. Plotnik, Frans B. M. de Waal, and Diana Reiss. Self-recognition in an Asian elephant. PNAS September 13, 2006;103(45):17053–17057, doi: 10.1073/pnas.0608062103
    7. Diana Reiss and Lori Marino. Mirror self-recognition in the bottlenose dolphin: A case of cognitive convergence. PNAS 98(10):5937–5942, doi: 10.1073/pnas.101086398 Accepted February 20, 2001.
    8. Gordon G. Gallup, Jr. Chimpanzees:self-recognition. Science Jan.2,1970;167(3914):86-87.(http://radicalanthropologygroup.org/sites/default/files/pdf/class_text_023.pdf):”After prolonged exposure to their reflected images in mirrors, chimpanzees marked with red dye showed evidence of being able to recognize their own reflections. Monkeys did not appear to have this capacity.”
    9. 鏡に映った自身の像で解発されるイトヨの闘争行動(動画)
    10. Animals vs Mirrors Compilation

ダンゴムシの交替制転向反応に触覚が関与

日本の高校生が、ダンゴムシで交替制転向反応が生ずるメカニズムに触覚が関与していることを実証する研究報告により2014年インテル国際学生科学技術フェアに入賞しました。

ダンゴムシは壁にぶつかっったときに右に曲がると、その次にまた壁にぶつかったら場合今度は左に曲がり、以降右、左、交互に曲がる傾向があり、「交替制転向反応」と呼ばれています。

【YOUTUBE動画】ダンゴムシは壁にぶつかり右に曲がると次は左に曲がる習性がある。トリビアの泉

 

参考

  1. 米の国際学生科学技術フェア、日本の高校生2人が入賞(朝日新聞DIGITAL 2014年5月17日22時31分):世界の高校生が科学研究の成果を競うインテル国際学生科学技術フェア(ISEF)が米ロサンゼルスで開かれた。最終日の17日、表彰式があり、富山県立高岡高3年の林靖人(やすひと)さん(17)が動物科学部門の2等、宮城県仙台第二高3年の山中美慧(みえ)さん(17)がエネルギー・運輸部門の2等にそれぞれ選ばれた。
  2. Intel ISEF 2014 ファイナリスト研修会:Intel ISEF 2014 への出場に備え、3月27日から 3月30日までの 4 日間、国際的な舞台で勝ち抜くための論理構築やコミュニケーション力、プレゼンテーション技術の向上を図るためのファイナリスト研修会がインテル株式会社つくばオフィスと東京オフィスにて開催されました。
  3. オカダンゴムシの交替性転向反応はなぜ起こるのか? 林 靖人(富山県立髙岡高等学校2年) (つくば生物ジャーナル Tsukuba Journal of Biology (2013) 12)(PDF リンク):本研究では、交替性転向反応が障害物と接触する触角の方向性によって最終的に決定されているという仮説をたて、これを検証した。ダンゴムシは最初の転向後、BALMによって曲がった向きと反対側へ傾くように進み、次の分岐点では、接触した触角とは逆方向に転向する。これによって結果的に交替性転向反応を示すと考えられる。
  4. 知の回廊 第56回『ダンゴムシから進化を読む』 ダンゴムシから進化を読む 陸棲等脚類はなぜ集合するのか (中央大学 YOUTUBE動画):節足動物 甲殻類 等脚目 ワラジムシ亜目 フナムシ ワラジムシ ダンゴムシ オカダンゴムシ(Armadillidium vulgare) クチクラ バソトシン バソプレッシン アンギオテンシンII 抗利尿ホルモン 水分摂取
  5. ダンゴムシ迷路・娘の自由研究用(YOUTUBE動画 BGMあり)
  6. ダンゴムシの迷路
  7. ダンゴムシの意思決定 Decision-making in pill bugs The 27th Annual Conference of the Japanese Society for Artificial Intelligence, 2013 (PDF link):ダンゴムシの交替性転向反応は,BALM 以外にも走触性(Hughes, 1989)や記憶(Kupfermann, 1966)など,複数の機構が並列的に作用して実現されている可能性が高く(右田・森山, 2005),これらを統合して転向方向を選択する意思決定機構の存在が予想される.著者らは,ダンゴムシ個体にT字路を連続して遭遇させた実験(Moriyama, 1999)でしばしば観察された,転向方向の変更(図1)は,ダンゴムシの意思決定が顕著に反映された現象なのではないかと考えている.転向方向の変更は,個体がT字路において転向した後,次のT字路へ達するまでに停止し,後進で直前のT字路へ引き返し,前回の転向とは逆の方向へ転向することで達成される(図1).後進を含むこの一連の行動はBLAMでは説明できないため,転向方向の変更は別の機構の働きによって現れると考えられる.
  8. 川合隆嗣 無脊椎動物における交替性転向反応研究の展開と問題点について  動物心理学研究 第61巻第1号 83-93 (2011)(PDFリンク):交替性転向反応(turn alternation)と呼ばれる現象がある。これは,連続する分岐点において,動物がある方向に曲がると,その次の分岐点では前とは逆の方向に高確率で曲がる傾向を指す。…この傾向は,微生物から昆虫に至るまで幅広い無脊椎動物の間で観察することができ,1950年代から数多くの実験がなされている。…しかしながら,交替性転向反応のメカニズムや制御変数に関する統一的な見解は未だに得られていない。…脚を持たない無脊椎動物におけるメカニズムまで説明できる一般性の高い仮説は,現在のところない
  9. オカダンゴムシの交替性転向反応 : 通路長・転向方向・転向回数の効果(PDFリンク 関西学院大学リポジトリ 人文論究, 60(3): 113-125 2010-12-10):少なくともワラジムシ目の動物において現在最も有力な仮説とされているのは,Hughes(1985)のBALM(bilaterally asymmetrical leg movements)仮説である。この仮説では,反応が交替性に現れる原因を,左右の脚の運動量差を均一にするメカニズムが生体に働くためであるとしている。例えば,ある分岐点で右に曲がると左脚を多く使用することになる。すると次には,左右の脚の運動量を均衡にしようと右脚が活動性を上げる。すなわち,左に曲がるということになる。
  10. オカダンゴムシの交替性転向反応とその逃避行動としての意味(日本応用動物昆虫学会誌 50(4), 325-330, 2006-11-25)(PDFオープンアクセスリンク):オカダンゴムシは交替性転向反応を示すことが知られている.この反応の機構として,左右の脚にかかる負荷を均等にするというBALM仮説が知られている.
  11. R. N. HUGHES. Mechanisms for turn alternation in woodlice (Poreellio Beaber): The role of bilaterally asymmetrical leg movements. Animal Learning & Behavior.1985, 13 (3), 253-260 (PDFリンク):Along with results of the other experiments, this result in particular supported an explanation for woodlouse alternation based on bilaterally asymmetrical leg movements (BALM)arising from the negotiation of forced turns. Such asymmetry is seen as biasing an animal to turn in the opposite direction to a preceding forced turn.
  12. R. N. HUGHES. TURN ALTERNATION IN WOODLICE (PORCELLIO SCABER). Anim. Behav ., 1967, 15, 282-286 (PDFリンク):As the persistence of the tendency seems to depend on time, it might be rewarding to seek a neural controlling mechanism involving the establishment of a short-term memory trace somewhere in the central nervous system (as suggested by Kuferman, 1966), or else, at a more peripherallevel, greater inhibition of neural components of the limbs adjacent to the outer wall of a maze turn i.e. the limbs that have to `walk further’ .

メスにペニス、オスに膣、 北大研究者が発見

メスにペニス、オスに膣、 セックスでのオスメスの役割が逆になっている例を北海道大学の研究者が世界で初めて発見

オスは積極的に多数のメスと交尾しようとし、メスは受け入れるオスを選ぶというのが交尾行動における一般的なオスメスの役割だと考えられます。メスが積極的に多数のオスを相手にする(promiscuous)、オスメスの性行動での役割がひっくり返った生き物はこれまでにいくつか知られていましたが、外部生殖器の構造まで逆になっている例はありませんでした。ところがブラジルの洞窟に棲むある昆虫の種では、メスにペニス、オスに膣があり、交尾行動に入ると40~70時間もの間メスがオスをがっちりつかんで離さないという、いわばオスメスの役割におけるSWAP現象が発見されました。

Neotrogla_curvata_annotated(交尾の体勢もオスメスが通常の昆虫とは逆でメスがオスに乗りかかっています。写真:北海道大学プレスリリースより)

論文のタイトルは、Female Penis, Male Vagina, and Their Correlated Evolution in a Cave Insect
(洞窟棲昆虫の「雌の陰茎」と「雄の膣」の間に見られた共進化)。

この昆虫は2010年に新種として発見されたもので、その後生殖器の構造と性行動を詳細に解析した結果、今回の発見につながりました。

カレントバイオロジーを発行しているセルプレス社では、論文が世間に与えたインパクトを測る指標Article level metricsのスコアを論文ごとに表示しています。それによると今回の論文のインパクトはカレントバイオロジーで発表されこの計測の対象となった論文3,157報の中で、堂々の1位。他の雑誌も含めてスコアを計測した209万798報の論文の中でも46位という非常に高い順位です。メスにペニスというのが衝撃的で、世界中のニュースサイト、ブログ、ツイッターで取り上げられ、非常に大きなインパクトを与えたことがわかります(リンク:この論文のArticle level metrics)。

参考

  1. Kazunori Yoshizawa, Rodrigo L. Ferreira, Yoshitaka Kamimura, Charles Lienhard. Female Penis, Male Vagina, and Their Correlated Evolution in a Cave Insect. Current Biology. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.03.022:
  2. 交尾器が雌雄で逆転した昆虫の発見-雌がペニスを持つ洞窟棲チャタテムシ-(北海道大学プレスリリース 2014/4/18)
  3. 吉澤和徳の研究室:準新翅類(半翅系昆虫)の系統と進化に関する研究。News 雌がペニスを持ち,それを使って交尾中雄を拘束する昆虫に関する論文がでました.
  4. Female insect uses spiky penis to take charge – Brazilian cave creatures’s marathon sex sessions extract nourishment along with sperm from reluctant male (Nature News 17 April 2014)
  5. In sex-reversed cave insects, females have the penises (ScienceDaily April 17, 2014): “Although sex-role reversal has been identified in several different animals, Neotrogla is the only example in which the intromittent organ is also reversed,” says Kazunori Yoshizawa from Hokkaido University in Japan.
  6. Lienhard, C., Do Carmo, T.O., and Ferreira, R.L. A new genus of Sensitibillini from Brazilian caves (Psocodea: ‘Psocoptera’: Prionoglarididae). Rev. Suisse Zool.. 2010; 117: 611–635
  7. In weird Brazilian cave insects, male-female sex organs reversed (Reuters  Thu Apr 17, 2014 12:09pm EDT): “Evolution of novelties like a female penis is exceptionally rare. That’s why I was really surprised to see the structure,” entomologist Kazunori Yoshizawa of Japan’s Hokkaido University said by email. Yoshizawa said that although sex-role reversal has been documented in several different types of animals, these insects are the sole example in which the “intromittent organ” – the male sex organ – is reversed, Yoshizawa said.
  8. 男女逆転…メスがオスに交尾器挿入する昆虫発見 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月04日 17時44分):北海道大の吉沢和徳准教授(昆虫形態学)らの研究チームは、メスがオスの体に交尾器を挿入して交尾する昆虫を、ブラジルの洞窟で発見したと、米学術誌「カレント・バイオロジー」で発表した。

 

イグ・ノーベル賞受賞報道記事

  1. イグ・ノーベル賞 雌雄逆の昆虫発見 日本人研究者に生物学賞 (NHK NEWS WEB 9月15日 11時15分) ノーベル賞のパロディーとしてユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式がアメリカのハーバード大学で行われ、メスにオスのような生殖器がある昆虫を発見した北海道大学などの研究者が「生物学賞」に選ばれ、日本人の受賞は11年連続となりました。
  2. 雄と雌「逆転」の虫を研究、日本人らにイグ・ノーベル賞 (朝日新聞DIGITAL 森本未紀、小堀龍之 2017年9月15日08時06分) 受賞したのは吉澤和徳・北海道大准教授(46)、上村佳孝・慶応大准教授(40)、海外の研究者のチーム。ブラジルの洞窟で見つかった新種の虫の雌が「ペニス」のような器官を持ち、それを使って雄と交尾することを解明した。性差とは何かを考えさせるとして、研究が評価された。
  3. メスが「男性器」持つ虫発見…イグ・ノーベル賞(読売新聞YOUMIURI ONLINE 2017年09月15日 22時06分)受賞したのは、北海道大の吉澤和徳准教授(46)(昆虫学)、慶応大の上村佳孝准教授(40)(進化生物学)らで、ブラジルの洞窟にすむシラミに近いチャタテムシという昆虫の仲間は、メスが交尾器をオスに挿入することを発見した。
  4. イグ・ノーベル賞 交尾器「雌雄逆転」の昆虫、日本人発見 (毎日新聞2017年9月15日 13時10分 最終更新 9月15日 14時06分) ユニークな科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が14日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で開かれた。ブラジルの洞窟に生息する昆虫の雌に、雄のような形状の交尾器(性器)があることを発見した吉澤和徳北海道大准教授(46)や上村佳孝慶大准教授(40)ら4人が生物学賞を共同受賞した。

虫垂にも役割

盲腸(虫垂炎)になってしまったときに治療で切り取られることが多い虫垂(ちゅうすい)。取っても困らない虫垂なら最初からなければ盲腸になって痛い思い をせずに済むのにと思ったことはありませんか?

何のためにあるのかわからなかった虫垂にも実は重要な役割があることを発見したという研究成果が報告されました。

参考

  1. Generation of colonic IgA-secreting cells in the caecal patch (Masahata et al., Nature Communications 5, Article number:3704 doi:10.1038/ncomms4704 Published10 April 2014)
  2. 無用の長物と考えられていた虫垂の免疫学的意義を解明~炎症性腸疾患の制御に繋がる新たな分子機構~(プ レスリリース 大阪大学、科学技術振興機構(JST)平成26年4月10日):大阪大学 大学院医学系研究科 感染症・免疫学講座(免疫制御学)/免疫学フロンティア研究センターの竹田 潔 教授らのグループは、私たちの体で不必要な組織と考えられていた虫垂に存在するリンパ組織が、粘膜免疫で重要な役割を果たすIgA注1)の産生に重要 な場であり、腸内細菌叢注2)の制御に関与していることを突き止めました。
  3. 虫垂は無用の長物にあらず、免疫に重要 (マイナビニュース 2014/04/12):「無用の長物」と考えられていた虫垂のリンパ組織が、粘膜免疫で重要な免疫グロブリン(Ig)Aを産生しており、腸内細菌叢(そ う)の制御に関与していることを、大阪大学大学院医学系研究科感染症・免疫学講座の竹田潔教授らが初めて突き止めた。
  4. 竹田潔研究室(大阪大学大学院 医学系研究科 予防環境医学講座 免疫制御学研究室、大阪大学免疫学フロンティア研究センター 粘膜免疫学研究室):免疫と環境因子がどのように絡み合い、どのような異常により病気が発症するのか、を解明しようとするプロジェクトが進行中です。
  5. 虫垂炎(ウィキペディア):虫垂炎(ちゅうすいえん、英: appendicitis)は、虫垂に炎症が起きている状態である。虫垂とは右下腹部にある盲腸から出ている細長い器官である。
  6. 盲腸と虫垂:「盲」というのは「突き抜けてない」と言 う意味で、大腸も小腸も先が抜けていますが、盲腸は先がめくらになっています。だから「盲」なのです。もともとはどこかにつながっていたらしいのですが、 先が細くなって退化しています。まるで芋虫がぶら下がっているようなので「虫状突起」または「虫垂」と呼ばれます。
  7. 盲腸と虫垂は別の臓器なんでしょうか? 違いがよく分かりません。(Yahoo!知恵袋 2006/9/23 08:07:22):盲腸は長さ約5cmの臓器で、その先に虫垂がヒモの様にくっ付いています。盲腸は腸ですが虫垂はそうではありません。…盲腸の先に細長く続いているのが虫垂です。虫垂は小指くらいの小さな突起です。
  8. たかが盲腸されど盲腸:虫垂炎は19世紀になってやっと盲腸周囲炎の原因であることが判明し、一八八三年カナダの開業医グロベスが初めて虫垂切除術に成功しました。今では虫垂炎で死なずに済みます。

利根川教授らが海馬に新たな神経回路を発見

海馬は記憶学習に重要な脳の部位として最も精力的に研究されている領域です。脳の働きを知るためには脳を構成している神経細胞同士がどのように「配線」されているのか、つまり神経回路をまず明らかにする必要があります。一番良く研究されていたはずの海馬の神経回路で、実は今まで信じられてきたことが間違いであったということが明らかになりました。利根川進マサチューセッツ工科大学教授(理化学研究所脳科学総合研究センターセンター長を兼任)らのグループによる研究成果です。

海馬はCA1,CA2,CA3という3つに区分されますが、大脳皮質から海馬に至るまでの神経結合は、嗅内皮質→歯状回(DG)→CA3→CA1という3つのシナプスを介する回路が知られていましたが、CA2の領域にある神経細胞がどこから入力を受けてどこへ出力しているのか関しては研究が進んでいませんでした。

「歯状回(DG)→CA2という経路は存在しない」というの一般的な定説となっていました。

ところが、今回の利根川研究室らの研究により、CA2領域はDGからの入力を受けており、さらにCA1の深い層へ出力しているということが明らかになりました。この新たな神経回路の発見により、海馬における情報処理機構の研究が一層進展することが期待されます。

(緑色に見えるのが歯状回(DG)の神経細胞、赤色は歯状回(DG)の神経細胞の軸索、オレンジ色はCA2の細胞。歯状回の神経細胞から伸びた軸索の先端が、CA2の領域に到達している様子が見事に示されています。 独立行政法人理化学研究所 2013年12月19日 プレスリリースより

さらに、「嗅内皮質第3層の神経細胞は海馬CA1領域に入力する」と言われていたことも実は間違いで、実際には「嗅内皮質第3層の神経細胞は海馬CA2領域に入力している」ことがこの論文で示されました。

常識を疑えとよく言われますが、「みんなが信じていること」であっても、何の根拠があってそう言われてきたのかをとことん遡って突き詰めて行くことにより、今回のような大発見成し遂げることができるというレッスンのようです。

参考

  1. Kohara K, Pignatelli M, Rivest AJ, Jung HY, Kitamura T, Suh J, Frank D, Kajikawa K, Mise N, Obata Y, Wickersham IR, Tonegawa S. Cell type-specific genetic and optogenetic tools reveal hippocampal CA2 circuits. Nat Neurosci. 2013 Dec 15. doi: 10.1038/nn.3614. [Epub ahead of print]
  2. 100年ぶりに脳の主要な記憶神経回路の定説を書き換え-海馬に新たな記憶神経回路を発見、記憶形成の謎解明へ大きく前進 (理化学研究所 2013年12月19日 プレスリリース)