RoBoHoN(ロボホン)コンセプトムービー
参考
- シャープ復活への挑戦「ロボット電話」で世界をねらえ (ASCII.com 2015年10月12日):ASCII編集部による「CEATEC JAPAN 2015」でのシャープ開発担当の景井美帆さんへのインタビュー
RoBoHoN(ロボホン)コンセプトムービー
参考
米国防高等研究計画局(DARPA)が主催する災害救助ロボットの競技会「DARPA Robotics Challenge(DRC)」の決勝戦(Final)が、2015年6月5日、6日に開かれました。予選は2013年に行われており、この予選の上位および新たに出場資格を得たチームによって決勝が行われました。
このコンテストは2013年の福島第一原発事故の教訓から着想を得たものです。もし高放射能による被爆をものともしないロボットが現場で作業できていたら、爆発などの事故の拡大を食い止められていたのではないかという考えから、参加ロボットは車の運転、車から降りること、ドアを開けて通ること、バルブを締めること、壁に穴を開けること、瓦礫の部分を越えて行くこと、階段を登ることなどのさまざまなチャレンジが課されています。
競技の模様。
DARPA 2015 Finals: Rescue bots compete in disaster simulation challenge
災害の場面を想定しているだけに、ロボットにとってはかなりタフな状況で、転倒するロボットが多かったようです。
A Compilation of Robots Falling Down at the DARPA Robotics Challenge
優勝したのは韓国のチームKAISTでした。
Korea’s Team KAIST robot completes tasks at the 2015 DARPA Robotics Challenge (fast motion)
ファイナリストは25チーム。日本からは、Aero(東大), AIST-NEDO(産総研), HRP-2Tokyo(東大), NEDO-Hydra(東大、千葉工大、阪大、神戸大), NEDO-JSK(東大)の5チームが参加していました。
日本から参加の5チームのうち、新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)の「災害対応ロボット研究開発」事業の支援を受けた3チームが出場する。
東京大学の稲葉雅幸教授らのチーム「NEDO―JSK」は、13年のプレ大会で優勝した「シャフト」を輩出した研究室。高出力モーター駆動の人型ロボットで挑む。シャフトの技術を応用し、前回を超える活躍ができるか注目される。
東大の中村仁彦教授らのチーム「NEDO―Hydra」は、電気油圧で全身を動かす世界初のロボットで参戦。「構成部品や制御回路、すべてゼロから作った」(中村教授)。手や足にかかる力を計測でき、工具をつかむ力やバルブを回す力を測りながら、繊細な動きができる。
産業技術総合研究所から出場するチーム「AIST―NEDO」は10年以上の運用実績のある「HRP―2」を改良。産総研の金広文男ヒューマノイド研究グループ長によると「不整地の走破、階段は成功率が高い。工具の扱いや車の運転などは成功に向け調整している」という。(日刊工業新聞 ニュースイッチ 2015年06月03日)
中国のIntelligent Pioneerと日本のNEDO-Hydraは棄権し、23チームでの優勝争いとなりました。日本勢は10位、11位、14位、最下位という成績で、他国に大きく水をあけられてしまいました。
DRC FINALS TEAM STANDINGS | ||
---|---|---|
TEAM | SCORE | TIME |
TEAM KAIST | 8 | 44:28 |
TEAM IHMC ROBOTICS | 8 | 50:26 |
TARTAN RESCUE | 8 | 55:15 |
TEAM NIMBRO RESCUE | 7 | 34:00 |
TEAM ROBOSIMIAN | 7 | 47:59 |
TEAM MIT | 7 | 50:25 |
TEAM WPI-CMU | 7 | 56:06 |
TEAM DRC-HUBO AT UNLV | 6 | 57:41 |
TEAM TRAC LABS | 5 | 49:00 |
TEAM AIST-NEDO | 5 | 52:30 |
TEAM NEDO-JSK | 4 | 58:39 |
TEAM SNU | 4 | 59:33 |
TEAM THOR | 3 | 27:47 |
TEAM HRP2-TOKYO | 3 | 30:06 |
TEAM ROBOTIS | 3 | 30:23 |
TEAM VIGIR | 3 | 48:49 |
TEAM WALK-MAN | 2 | 36:35 |
TEAM TROOPER | 2 | 42:32 |
TEAM HECTOR | 1 | 02:44 |
TEAM VALOR | 0 | 00:00 |
TEAM AERO | 0 | 00:00 |
TEAM GRIT | 0 | 00:00 |
TEAM HKU | 0 | 00:00 |
(引用:http://www.theroboticschallenge.org/)
参考
2015年4月11日(土)に行われた電王戦FINAL第5局 阿久津主税八段 対 AWAKE は、たったの21手め、対局開始後わずか50分後にAWAKE側が投了するという、予想外の幕切れとなりました。投了はソフトのAWAKEではなく、AWAKE開発者である巨瀬亮一氏の判断によるものです。
ほとんど「事故」のような形で将棋電王戦が終わりを告げたのは、いかにも異種格闘技戦らしかったというべきでしょうか。電王戦FINALに参加した5人のソフト開発者と五人の棋士らがそろって記者会見に臨みましたが、人間とコンピュータが異種というよりも、プロ棋士という人間とコンピュータ将棋開発者という人間の両者の勝負に対する考え方の違いや将棋に関する価値観の違いが際立った会見となりました。さらに、コンピュータ将棋開発者も五者五様で、一口にコンピュータ将棋ソフトと言っても、それぞれが異なる考えの元に作られていることが伺えます。
投了までの指し手 ⇒ <投了まで>将棋棋譜速報 将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE(将棋上達の探求)
コンピュータが2八角という悪手を指す可能性があることを事前研究で知っていた阿久津主税八段の作戦勝ちになったようです。
【放送事故】 わずか21手、ソフトまさかの投了!? △2八角を打ち、劇的な幕切れ! 解説付き 【将棋電王戦FINAL第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE】
投了直後の実況解説者の説明:「この局面だけを解説しますと2八角はいずれ安い駒としか交換できない、角と桂の交換くらいになってしまうんですね。後手は 大幅な駒損をしますので、まあ正直プロ的にはこの局面は大差です。先手が大優勢です。(後手は2八角を)打ってしまってはいけないですね。なので、局面だけみたら確かに、先手がはっきり大優勢なんですけど。」
【将棋】 対局直後のインタビュー + 投了局面以下の解説 【将棋電王戦FINAL第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE】
対局直後の囲み取材における阿久津八段のコメント:「(2八角という手について)今回(事前)貸し出しというルールで、貸し出ししてもらって3日目か4日めくらいにいろいろな形を試しでやっていた中で、コンピュータ将棋の中では有名な筋なんですかね、試しにやってみたら打ってくることもあるということで、そのときから知ってました。(こういう作戦を使うことの葛藤みないなものはありましたか?)普段(棋士同士では)全然やらない形なので、そういう葛藤ももちろんありましたけど。やはり団体戦ということもありますし、2勝2敗で結果を求められているということもあったので、一番勝算が高い形を取るべきかなと思いました。結果に関しては素直に嬉しいという感じではないですけど、とりあえず良かったかなと思います。」
対局直後の囲み取材における巨瀬亮一氏のコメント:「この形に誘導されると(持ち時間が)長時間でもかなりの確率で2八角を指してしまうのがわかっていたので、1六香と上がった時点で投了しようと思っていました。すでにアマチュアの方が指されていた形なので、ちょっとプロとしてはやりづらいんじゃないかと思っていました。(2八角の手に気付いたのはいつ?)全然気付いていなくて、『勝ったら100万円!』のときに気付きました。(改善できないのか?)評価関数で玉の近くに馬ができるのを過大評価してたりするので、評価関数の表現能力の限界があるというか。角が殺されるまでわからなくて、結構枝刈りしてしまうので、この手を指してしまうということですね。」
二コファーレ会場の聞き手:「100万円チャレンジでこの2八角が出て、巨瀬さんはこれで知ったということでしたけども、阿久津八段はもっと早くから知っていたということですかね。」
二コファーレ会場の解説者 森内俊之九段:「貸し出しがあって三日目くらいで自分で気付いたということで、相当調べたんだなということは感じました。」
まさに、米長邦雄 永世棋聖が亡くなる前に予言した通りのことが起きました。
このインタビューの中で米長永世棋聖は、棋士が自分を殺して、コンピュータの欠陥やソフトの意外な弱点を突き、見ている人間につまらない将棋だなと思ってもらえればプロが勝つという不思議なことになるだろう、と話しています。
将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE 1/5
21:10 (立会人)定刻になりました。阿久津八段の先手で対局を開始して下さい。
41:25 (読み上げ)先手、2八銀
43:23 (解説)ちょっと変わった手が出ましたね、2八銀。
43:53 (解説)予備知識がなければ、絶句する手ですよね。
44:06 (解説)この手を普通に解説してたら、2八銀っていうのは符号の間違いでしょ、なんかの間違いじゃないですかっていうとこですけど。こういう手もあると聞いているので、驚きません。(将棋を)覚えた手の人が指したら、こういう手はいけませんよと言われそうですけど。大丈夫なんですかこれは?
(聞き手)研究手(けんきゅうしゅ)ということ?
45:25(解説)深い狙いがあるんじゃないかと。
45:33 (聞き手)画面下に観戦記者の野月七段のコメントが入りましたが。
(解説)2八角がどうのこうのって。
(聞き手)そうですね、打たせるってコメントが今出ましたが。
47:15 (解説)この後2七銀と上がると聞きました、噂で、作戦ね。あえてここで銀あがって角打たれそうじゃないですか。でも打たれても大丈夫なんですよ。打たれても被害はないんですよ。それどころか、この角を、手はかかりますけど殺すこともできるので。取れる可能性があるんです。プロ同士なら(2八角を)打たないですね。人間なら絶対打たないです。初心者なら打ちたくなるんだけど。だけど、コンピュータは打ってくるとみてるんですよね。しかも、打ってくんなきゃ困るわけでもないんですよ。なんというか、お楽しみ抽選会みたいなもんですよ。
(解説)お楽しみは継続してもいいんですか?ワンチャンスじゃなくて、もう2回、3回。打ってくるまで待っていると。
54:18 (聞き手)2八角打たせるというのが100%登場するわけではないというコメントも先ほど流れていましたね。
1:07:25 (聞き手)中継つながっている間に2手ほどすすみまして、やはり2七銀と。
(解説)まず2七銀と予想通り上がりまして。注目の角を打つか打たないかと思ったら、(後手AWAKEは)5三銀と。当然打ちませんでしたね。
(解説)ちょっとほっとしましたね、今。
(聞き手)まだ、待つということなんでしょうか。
(解説):まだあきらめませんよ。(先手)9六歩、これも作戦の一環でしょうね。先手がなるべく条件を整えないで。(後手が)条件が良くなったから打とうかな、と考えてもらおうということでしょうね。
(聞き手)次の手、注目ですね、打つかどうか。
1:09:10 後手2八角。打ちました。打ってしまいましたね。
1:09:35 1六香。
1:09:45 (AWAKE開発者)ここで投了します
将棋電王戦FINAL 最後の記者会見
本局でハメ手が使われたことについて
15:45 (AWAKE開発者 巨瀬氏の感想)今回はアマチュアの方が指していて既に知っているハメがたちになって、それをプロが指してしまうというのは、プロの存在意義を脅かすのはプロ棋士なんじゃないかと思っています。
17:15 (阿久津八段の感想)相手の悪手を誘う含みにした指し方にしたんですけど、勝つために最善を尽くしてやらなくちゃいけないなということで本局の四間飛車という作戦を選びました。
29:45(質疑応答 読売新聞)21手で投了したのは、これ以上良くならないからなのか、それとも、これ以上指し進めても意味がないと考えられたからなのか?
(巨瀬)どちらの意味もあります。あのまま進めても勝つ見込みは全くないと思ったので投了しました。
37:15 (報知新聞)今日の将棋について。再三、アマチュアが指した手をプロが指して残念だという言葉がありますけども、それがアマチュアが指した手であれ、コンピュータが指した手であれ、盤上の最善手を常に追求するというのが棋士の尊さでもあるように思うんですが。なぜそれが残念だと思われるのか?先ほど棋士の存在意義を脅かすという言葉もありましたけども、なぜそれが脅かすんでしょうか?それが否定されたとき、じゃあ棋士はどうあらねばならないんでしょうか?
38:05 (巨瀬氏)単純に、今日の将棋を見て面白いと思ったかというのがまず一つあると思います。プロは勝たなきゃいけないのは確かなんですけど、やっぱり面白いと思ってもらうことには、今後将棋界が生き残っていくのは大変なんじゃないかなと思っていて。今日の指し方はそれを否定するような指し方だと思いましたから、それで、プロの存在意義を脅かすと言ったわけです。
38:50 (NHK)面白い将棋を指す、魅せる将棋を指すということと、勝つ負けるというプロとして譲れない部分と両方天秤にかけた結果だと思うんですけれども、どのような心境でこのような手を選ばれたのかというのを。
39:30(阿久津八段)もちろんいろいろな意見があるとは思うんですけど。見ている方が楽しいと思う将棋を指すのがプロの一番の定義だと思っています。だた今回は、この電王戦を戦うにあたって本番と同じ仕様のソフトを貸していただいているルールの中で、やれる範囲内の中で勝率が上がっていくのような形を検証して、自分にできる最善を尽くそうかなと思って今回はこういう作戦を取らしていただきました。
42:40(観戦記者)本局の投了以降の局面を練習でどのくらい指し次いだか、指し次いでどのくらいの勝率だったか?
43:25(阿久津八段)本局のような四間飛車で以降かなとはっきり決めたのは2週間前くらいですかね。
与えられた条件の中の勝負で、いろいろ考えた結果自分にとって最善を尽くすのがいいのかなと思って決断しました。投了図以下の局面についてですが、練習でももちろん何度か似た形をやってますけど、あの形と同じ形は実は今日が初めてだったんですね。こちらが間違えなければ、かなり優勢になるという局面なんですけど、ただそれでも結構練習の段階ではそこから私が間違えてというか食いつかれて逆転負けした将棋も何局かありました。
45:20 (ドワンゴ川上会長)貸し出し有りのルールについてなんですけども、これを決めましたのは主催であるドワンゴでして、将棋連盟様の実は反対の元、僕らが押し切って決めたルールってことを一つ申し上げたいということと、それとなぜこのようなルールにしたのかということを言いますと、..
53:15 (朝日新聞)事前貸し出しについての開発者の方々のご意見は?
54:05 (平岡氏)事前貸し出しについては反対です。勝負を五分五分に近づけるためには役立ったのかもしれないですけど、それは公平というのとは別次元であって、片方だけが練習できて、片方だけはそれ以上何もできなくて、穴があっても防げないというのはどう見てもおかしいし。川上さんもわかってると思いますが興行上五分五分に近づけないというのはあったと思うし、それを将棋連盟を呑んでしまったというのは凄く残念だし、ファイナルのファイナル、今日の対局で最悪の形で出たかなっていうのは思ってます。これ以上勝負として成り立たないのであれば別に続ける必要はないかなと思ってますし。どうするんですかね、これから。これ以上コンピュータの制限って難しいと思うんですよ。一番残念だったのは、巨瀬さんは一番プロの棋力向上に役立ちたいという思いが一番強かったと思いますし、それがこういう結果で、裏切られた感じになってしまって誰も得しなかったかなって思います。
56:29 (ドワンゴ会長川上氏)まず、興行として貸し出しありにしたわけではありません。これは異種格闘技戦ですから、人間とコンピュータが戦うこと事態がそもそもおかしいんですよね。もともとフェアな戦いっていうのは存在しないんです。平岡さんがおっしゃるフェアというのは、それこそ見せかけのフェアです。人間とコンピュータの戦いにあって、そもそも比べるのがおかしいのであって。
57:58 (西海枝氏)棋士の方の対応能力というか、嵌手でなくてもクセを見抜かれて、やっつけられちゃうんじゃないかというのを非常に警戒していたんですね。
59:18 (やねうら王)私は実は貸し出しルール賛成派なんですね。貸し出しでどれだけのハンデなのかというのをはっきりさせておきたいんですけど、プロ棋士の先生が本気で穴を狙うんなら、これはもう大駒1枚くらいのハンデ、レーティングでいうと500くらいのハンデだと思っています。それはランダム性を入れて回避しないといけないので、APERYとかランダム性入れるためにちょっと弱くなっていましたし。対策しなかったらそのまま飛車を詰まされたり角を詰まされたり、そういうリスクもありますんで。それをちゃんと回避しようとおもったら大駒一枚くらいの代償は支払わないといけないのかなというのは実感としてありまして。事前貸し出しありなら、私がプロ棋士くらいの棋力があるなら100%勝てます。これはもう5局とも100%勝てます。ていうくらいのハンデかなと私は思ってます。なんでわたし事前貸し出し賛成派なのかというとですね、たとえば将棋WARSでバックエンドでPONANZAとかが戦っているわけですけど、あのPONANZAが毎回同じ棋譜で負けるとこれ将棋WARSとしていいのかという話になっちゃうと思うんですね。人間と末永く対局して遊んでもらうための将棋ソフトというものを考えたときに、対策されない、弱くてもいいんだけどおんなじ負け方はしないというのは一つのテーマかなと思ってまして。そういう意味では事前貸し出しの中で開発者が工夫してみるというのは結構有意義な研究課題かなと認識しているんで、事前貸し出しに関しては実は賛成だったんですということです。
1:01:34 (山本氏)Ponanza強いんで何でも大丈夫です。
1:01:47 (巨瀬氏)棋力向上に役立てていただけるのなら貸し出しはあっていいと思います。ただ、今日の将棋の内容からはそれを見せるような感じには思えなかったんで残念です。
1:02:30(ヒーローズ株式会社)コンピュータ将棋というのはどの程度人口知能なのか?コンピュータ将棋を強くするのに培われてきた人工知能の技術をもっと汎用にしてどのような応用ができるのか?
1:03:20 (Apery開発者 平岡拓也氏)将棋ソフトは将棋に特化しているし、なかなか他に応用とかは難しいかなというのが私の感覚です。これに知性を感じるという人にとっては人工知能だし、単に探索して評価しているだけだと思う人は電卓の延長線上みたいなものかなとも思いますし。私自身、これが知能かどうかと考えたことはあまりないですね。
1:09:15 (Selene開発者 西海枝昌彦氏)プロ棋士の棋譜を利用して学習している段階だとですね、過去のプロの全ての棋譜の平均値をとってすばやく探索して出力するツールみたいな感じが開発しているとするので、人工知能的な感じが私はあんまりしてないんですね。いつかはこれが人工知能ですと、プロ棋士の棋譜を使わずにですね、編み出したんですというようなものを作りたいなあとは個人的には思っています。
1:05:05 (やねうら王開発者 磯崎元洋(やねうらお)氏)私がとあるコンサル案件でやっているのは、結局問題が組合わせ最適化とか非線形の最適化に帰着しちゃって、それを将棋プログラムの探索の処理で解決するみたいな処理もあったりするんで。
1:06:05 (Ponanza開発者 山本一成氏)コンピュータ将棋は応用が難しいです。将棋を指すことに特化していて、他のことは全く何もできません。専門性と汎用性というのは両立し難いというのが本当のところです。人工知能が社会に与えるインパクトという意味では、将棋プログラムは未来を行っているかなとは強く思います。人工知能が人間に追いつき追い越そうとしていることに、社会がどう反応するかといったことについては汎用性があるテーマかなと思っています。
1:07:25(AWAKE開発者 巨瀬亮一氏)今コンピュータ将棋に使われている技術が人工知能の発展に役立つとは全く思っていなくて、ただ私自身も、そのうち人工知能を作りたいという思いがありまして。その土台となるのはあると思います。
参考
2012年1月に米長邦雄 永世棋聖がコンピュータ将棋プログラム「ボンクラーズ」(伊藤英紀氏が開発)と対局したのが、将棋電王戦の始まりでした。翌年からは5対5の団体戦の形で開催されてきましたが、2015年の第4回将棋電王戦はFINALと銘打たれており、これが最後となる予定です。
これまでの対戦成績は、
第1回 将棋電王戦 一番勝負 持時間各3時間
2012年1月14日 ● 米長邦雄永世棋聖 ボンクラーズ/ 伊藤英紀 ○
第2回 将棋将棋電王戦 五番勝負 持時間各4時間
2013年3月23日 第1局 ○ 阿部光瑠四段 習甦/竹内章 ●
2013年3月30日 第2局 ● 佐藤慎一四段 ponanza/山本一成 ○
2013年4月 6日 第3局 ● 船江恒平五段 ツツカナ/一丸貴則 ○
2013年4月13日 第4局 持将棋 塚田泰明九段 Puella α/ 伊藤英紀 持将棋
2013年4月20日 第5局 ● 三浦弘行八段 GPS将棋/田中哲朗・森脇大悟 他 ○
将棋電王戦リベンジマッチ
2013年12月31日 ○ 船江恒平五段 vs ツツカナ ●
第3回 将棋電王戦 五番勝負 持時間各5時間
2014年3月15日 第1局 ● 菅井竜也五段 習甦/竹内章 ○
2014年3月22日 第2局 ● 佐藤紳哉六段 やねうら王/磯崎元洋 ○
2014年3月29日 第3局 ○ 豊島将之七段 YSS/山下宏 ●
2014年4月 5日 第4局 ● 森下 卓九段 ツツカナ/一丸貴則 ○
2014年4月12日 第5局 ● 屋敷伸之九段 ponanza/山本一成 ○
将棋電王戦リベンジマッチ 持時間各8時間
2014年7月19日 ● 菅井竜也五段 習甦 ○
将棋電王戦リベンジマッチ 持ち時間3時間、継盤使用可
2014年12月31日 ○ 森下卓九段 ツツカナ ● (裁定による勝敗)
第4回 将棋電王戦(FINAL) 五番勝負 持時間各5時間
2015年3月14日 第1局 ○ 斎藤慎太郎五段 Apery/平岡拓也 ●
2015年3月21日 第2局 ○ 永瀬拓矢六段 Selene/西海枝昌彦 ●
2015年3月28日 第3局 ● 稲葉 陽七段 やねうら王/磯崎元洋、岩本慎 ○
2015年3月 4日 第4局 ● 村山慈明七段 ponanza/山本一成、下山晃 ○
2015年3月11日 第5局 阿久津主税八段 AWAKE/巨瀬亮一
将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税 八段 vs AWAKE 2015年4月11日(土)10:00対局開始 東京・将棋会館 9:30 ニコニコ生放送 のPV
将棋電王戦FINAL第5局で阿久津主税(あくつ ちから)八段と対戦する将棋ソフトはAWAKE. AWAKEはこの将棋電王戦FINALの出場資格を得るための大会、第2回電王トーナメント(2014年11月1日~3日)で優勝し、「電王」の称号を手にしたソフトです。 【将棋・電王戦決勝】 awake VS ponanza 2014年11月3日
第3回将棋電王戦 第5局 屋敷伸之 九段 vs ponanza
第3回将棋電王戦 出場棋士発表PV 人類VSコンピュータ 第3回将棋電王戦 出場棋士がついに発表!第2回将棋電王戦の敗北を受け、第3回は更なる強豪棋士が出場します。
【完全版】第2回将棋電王戦 第5局 三浦弘行八段 vs GPS将棋 PV
第2回将棋電王戦に関しての羽生善治三冠のインタビュー
第2回将棋電王戦PV
【米長邦雄永世棋聖 vs ボンクラーズ】プロ棋士 対 コンピュータ 将棋電王戦 告知PV
参考
2015年4月4日(土)、奈良薬師寺の舞台で将棋電王戦FINAL第4局が行われ、村山慈明 七段がponanza(ポナンザ)に敗れるという結果になりました。
棋譜が見られるブログ ⇒ <投了まで>将棋棋譜速報 将棋電王戦FINAL第4局 「ponanza」対「村山慈明七段」(将棋上達の探求 2015年04月04日)
ponanzaの初手は7八金。一般的には7八金に対しては振り飛車をするのが有利になりやすいと言われるそうですが、村山七段は振り飛車は選びませんでした。村山七段はコンピュータ将棋対策として「相横歩取り」というプロ同士ではさほほど多くみられない戦型に持ち込みました。しかし、「攻めのponanza」は予想に反して21手目で3六飛と引いたため、飛車角総交換などの激しい戦いへ進まず、力戦(りきせん)模様となりました。解説者によると19手目の7七歩はここ40年くらいないそうで、 コンピュータ将棋らしくponanzaは常識にとらわれない手を指したようです。97手までで先手番ponanzaが勝利。
将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 1/
将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 2/
将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 3/
将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 4/
将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 5/
対局後の記者会見では東(あづま)将棋連盟常務理事が、序盤研究の第一人者である村山七段が序盤から押されぎみの展開になるなどponanzaの実力が際立っていたと述べました。
村山七段は今回の対ponanza戦に向けてこの半年間、ponanzaと練習対局をして研究を重ねてきましたが勝率が1~2割あったかどうかというくらいに強い将棋ソフトだったそうです。将棋電王戦FINALのに参加したことで得られた収穫は何かと聞かれて、けっこう棋風かわったねと言われるくらいの影響を受けており、ponanzaに引き上げてもらった部分もあると、率直にponanzaの実力を認めていました。
参考
2012年1月に第1回電王戦を戦った米長邦雄 永世棋聖(1943-2012)がコンピュータとの対戦に関してどのような考え方を持っていたのかがわかる非常に興味深いインタビューです。
電王戦に出たいきさつ
00:09 僕が棋士の中じゃ一番コンピュータというものをいろいろ研究していたので、僕が出るよりないと思って出たんですけどね。まさか、負けるとは思わなかった。
コンピュータに敗れた理由
00:34 当日の対局でやり損なったことが悔やまれます。コンピュータ相手には、気合とか、一手違いの読み比べとか、そういうものを出したときは人間がだいたい負けるんですね。コンピュータ相手に戦っているということを最初から最後まで意識してやらないとダメなんです。すごく根気が要るんです。自分を殺しながらずーっと一手一手やっていきますのでね。そのまま続ければよかったんですけど、やっぱり、暴発というんですかね、やっぱり人間らしい手を指しちゃったというところが。まあ、人間同士だったら魅力ある手だったんですけど、コンピュータにはそれは通用しなかったということですね。
1:46 僕の作戦はコンピュータの弱点を突いていくということで、途中まではうまく行ったんですけどね。やっぱりイライラしてくるもんでね。「やっちまえ!」というのが裏目に出たということです。
電王戦の企画について
02:00 (電王戦の企画について)ドワンゴの川上会長が1対1で毎年やっていくよりも、いっぺんに五局でやろうと言っていただいたので、それじゃやりましょうということで。やっぱりファンが喜んでもらえるかどうかとうことが一番大きいですね。
コンピュータに勝つための戦略
03:18 コンピュータの素晴らしさは素晴らしさで、これは人間がかなわないんだということを人間のほうが悟って、その上で、コンピュータには人間に及ばない欠陥があると、その欠陥は何であろうかということを、プロ棋士が真剣に考えて対応すれば、人間が負けることはない。コンピュータの研究成果は一部に特化していると思うんですね。人間同士で戦うということでなくて、コンピュータというものがどういうものかということを知って対局に臨めば、プロ側が勝つのだろう。5人ともプロ棋士相手に指すつもりで練習している場合は、五戦全敗だと思う。コンピュータと戦っているんだと切り替えさえすれば、プロがいけると思っている。
コンピュータに勝つために必要な態度
04:45 今年の1月14日に指した将棋で2手目に6二玉と指したんですけど、人間には非常に評判悪かった。人間同士の戦いの中ではあれは悪手(あくしゅ)なんですね。しかしコンピュータの弱点を知って指した手としては、あの時点では最善だったと思うんですね。しかし、コンピュータのほうも研究を積み重ねて、その6二玉はもう古い手だと、プログラムをいろいろ変えてやってくると思う。だけど、どこまで変えていってもコンピュータにはコンピュータの限界があるのであって。人間はあまりにもコンピュータを知らなさ過ぎる。人間相手ではなくてコンピュータと戦うということに切り替えられるかどうか、そこが見所ですね。
コンピュータ対プロ棋士の対局内容の未来
06:59 つまらん将棋だなと思ってもらえればプロが勝つという、不思議な内容になると思う。プロが自分を殺して、コンピュータの長所、弱点を知り尽くした上で指せるかどうかっていうことで。格好いいとこ見せようとか、こういうふうにやろうとプロが考えたときには、プロが負けるときだと思うんですね。
07:54 コンピュータがあまりにも強すぎる。人間同士の戦いにいきなり持ち込んでると、コンピュータにひどい目に会いますので。意外な弱点をプロが的確に突けるかどうか。
電王戦出場棋士の人選
9:18 来年、再来年どういうふうになっていくかということですけれども、この形態を続けていくとすれば、コンピュータが強くなって人間を引き離すというよりも、コンピュータを研究するプロ棋士が頑張って、逆に人間のほうが有利になってくるんだろうという気がしますね。四段でも、羽生でも渡辺でも、プロ側の人選をどうしたから、タイトルを持っているから強いとか、四段だからダメとか、引退したから弱いとか、そういうレベルでなくてですね。コンピュータをどこまで研究しているかどうかにかかっているのであって。強い棋士が出たからプロが勝つというとうことではないのだろうと思うんですね。
電王戦の意義とは?
10:28 一番大事なことは共存共栄でね。コンピュータ将棋に我々プロの棋士がどれだけ貢献できたかということが一つ。それと、人間と違う異次元のものが出てきたということでプロも頑張ると。ファンが喜ぶかどうかということが大きいと思うんですね。
11:28 おい、みんな頑張れよ!
2015年3月28日(土)に函館の五稜郭で行われた将棋電王戦FINAL第三局は、稲葉 陽 七段が「やねうら王」に敗れました。これで、人類2勝コンピュータ1勝になり、人類悲願の勝ち越しは来週行われる第四局の村山慈明 七段に託されることになりました。
棋譜再生 ⇒ 電王戦FINAL 第3局 ▲稲葉陽七段 – △やねうら王(ロックショウギ)
開始日時:2015/03/28 10:00
終了日時:2015/03/28 20:02:06
棋戦:電王戦FINAL第3局
先手:稲葉陽 七段
後手:やねうら王
▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △8五歩 ▲2五歩 △3四歩
▲7八金 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △3二金 ▲3四飛 △3三桂 ▲3六飛 △4二銀
▲9六歩 △4四歩 ▲5八玉 △6二玉 ▲3八金 △1四歩
▲7五歩 △8四飛 ▲7七桂 △4五歩 ▲2六飛 △4三銀
▲4八銀 △7二玉 ▲6八銀 △6二金 ▲6六歩 △3四銀
▲6五歩 △3五銀 ▲7六飛 △2四飛 ▲2八歩 △1三角
▲3六歩 △2六銀 ▲3七桂 △8三歩 ▲2七歩 △同銀成
▲2五歩 △同 桂 ▲2七金 △3七桂成 ▲同 金 △2九飛成
▲7四歩 △同 歩 ▲8五桂 △2二角 ▲同角成 △同 金
▲4九桂 △1九龍 ▲7三歩 △8二玉 ▲7四飛 △6六桂
▲6七玉 △5八角 ▲6六玉 △8五角成 ▲4四飛 △7四桂
▲5六玉 △3三金 ▲4二飛成 △5四香 ▲4五玉 △4四歩
▲4六玉 △3四金 ▲2三角 △4五歩 ▲同 龍 △同 金
▲同角成 △4九龍 ▲5九銀左 △4四歩 ▲同 馬 △7六飛
▲3五玉 △7八飛成 ▲8四歩 △同 馬 ▲2四歩 △5七香成
▲5四歩 △3三歩 ▲同 馬 △4八成香 ▲4五桂 △5四歩
▲2三歩成 △7三馬 ▲4八銀 △同龍寄 ▲3八銀 △3七馬
▲同 銀 △同 龍 ▲4六角 △同 龍 ▲同 歩 △2六銀
▲同 玉 △4六龍
まで116手で後手の勝ち(2ログ 将棋電王戦 FINAL 第3局 part9 2015/03/28 20:10:11.22)
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 1/7
0:00 ニコファーレ(東京・六本木) 解説者: 糸谷哲郎 竜王、深浦康市 九段、聞き手: 山田久美 女流四段、安食総子女流初段
17:33 この対局の立会人は森 雞二 九段、読み上げは貞升 南(さだます みなみ)女流初段、記録係は佐々木 大地 三段です。
24:00 稲葉七段の第1手、2六歩。
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 2/7
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 3/7
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 4/7
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 5/7
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 6/7
0:00 ここからは、解説に深浦九段、ゲストに声優の岡本信彦さん、そして私、安食でお届けいたします。
0:24 (安食)岡本さん、いかがですか?(岡本)みなさんの控え室にお邪魔させていただいてですね。深浦さんに、この手はどうなんですか?というのをずーっと聞いていたんですけれども。聞けば聞くほど、絶望感が。(深浦)言っちゃいましたか?
38:32 後手7六飛(王手金取り)。(岡本)あっ、これは(入玉の)チャンスなんじゃ..(深浦)磯崎さんの表情がなんか、それ、やんないでよっ、て顔されてますね。(岡本)ちょっと楽しくなって来ましたね。
将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 7/7
0:00 現地の方、宜しくお願いいたします。
05:54 (遠山)塚田九段のときは引き分けになりましたけど。詳しい方に言わせれば、あのまま塚田九段が無限に指せれば塚田九段が勝つだろうとおっしゃってたので。やっぱりその辺はソフトは弱点ですね。
(深浦)しかしあれから2年経っているわけですね。その間、ソフトの改良、補強するということは当然考えられて。(遠山)そうですけども、9割方やっていないと思いますね。(深浦)そうなんですねぇ?
(糸谷)入玉邪魔するよりも、もっと大切なことありますもんね。
38:50 (深浦)では引き続き現地の検討室ともつないでみたいと思います。五稜郭の室田さん、お願いします。
39:10 (村山)こんばんは、村山慈明です。(室田)ついに来週ということで、いよいよ?(村山)半年くらい練習、研究しているんですけれど。あっという間にもう来てしまったなという感じがします。
40:53 (室田)さっそくですがSurface使って解説お願いいたします。現局面、同銀まででしょうか。(村山)稲葉さんの玉が入玉できるかどうかが焦点という局面になっているんですけれども。
(室田)どうですか、できそうですか?(村山)少し前まではなんとか入玉はできるかなと思っていたんですけれども。かなりきわどい局面といいいますか、簡単には入玉できないような感じですかね。
58:03 後手、4六龍。(稲葉七段が投了)
58:40 電王手さん、対局後のお辞儀。(稲葉七段放心状態)
58:50 電王手さん、記録係らに向いて、お辞儀。読み上げの貞升 南(さだます みなみ)女流初段が合わせてお辞儀。
59:58 (解説者ら)稲葉さんのほうから2七歩で開戦したのが無理、失敗ということになりましたかね。
1:01:46 対局場における対局直後のインタビュー。
1:02:43 (質問:急に開戦、決戦になったのは稲葉さんがギアチェンジをかけた?)そういうつもりだったんですけど、ちょっと早かったかもしれないですね。やはり、少し我慢して、もっと後にギアチェンジしないといけなかった。
1:03 :33 (質問:入玉を目指すのかなと思ったら一直線には目指さなかった。それは何か作戦的にあったのでしょうか?)駒があまりにも足らないので、駒を稼げたら入玉も視野に入れようかなという指し方でした。(敗戦したことに関して)ふがいない内容で申し訳ないという気持ちですけど。自分の弱さが出た将棋になってしまったので残念ですけど、しょうがないかなと。
1:13:52 記者会見。登壇者は、立会い人 森雞二(もり けいじ)九段、やねうら王開発者 磯崎元洋氏、稲葉 陽(いなば あきら)七段、中川大輔八段(将棋連盟常務理事)、第四局の対局棋士となる村山慈明(むらやま やすあき)七段。
稲葉 七段はいかに敗れたのか?「電王戦FINAL第3局観戦記 船江恒平五段(ニコニコニュース 2015/4/2)」が参考になります。
練習する中で稲葉もやねうら王は対策の立てやすいソフトだと感じていた。とはいえ現在のレベルのソフトに必勝法を編み出すことは不可能に近い。戦型は絞りやすいが、定跡を打ち切った後のやねうら王の指し手はランダム性が強く、パターン化することは難しいのだ。それでも膨大な時間をかけて、ほとんどの形で早めに戦いを起こして優位になる手段を確立し、本局に臨んだ。…
途中までは確率の高い手を選び続けていたやねうら王だったが、△7二玉と前手△4三銀の組み合わせを指すのは非常に珍しく、稲葉としては最も出現率が低い と思っていた形になった。そして出現率が最も低いこの局面が、唯一稲葉が望む早い戦いを起こすことができない局面だった。…
稲葉はここで初めて時間を使う。気持ちを整理し、事前準備に頼るのではなく自分の力で戦うことを決めたのだろう。…
局後、稲葉は▲2七歩に関してギアチェンジのタイミングを間違ったとコメントしたが、なぜそのミスは出てしまったのだろうか。…第3図では△2八歩の不安から少し形勢を悲観していた稲葉も、△2四飛~△1三角とありがたく感じる手が続いたため第4図では逆に自信を持っていた。このあたりの対局者ならではの気持ちの揺れが、心にわずかな隙を生む。普段の対局なら問題にならなかったかもしれないが、電王戦独特の緊張感、そして事前準備が上手くいかなかったことやソフトの中終盤の強さ、色々なプレッシャーがそのわずかな隙を大きくさせてしまったのだろう。その隙間に早く良くなりたい、楽に勝ちたい、という気持ちが入り込んでくる。そしてその気持ちが生じると人は深く読むことができなくなってしまうのだ。…
参考
2015年3月21日(土)電王戦FINAL第2局 永瀬拓矢 六段 vs 「Selene」が高知城で開催されました。
こちらの動画は対局前のPV.
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢 六段 vs Selene (YOUTUBE削除済)
とりあえず当日の棋譜を今すぐ見たい方はこちらで見られるようです。
電王戦FINAL 第2局 ▲Selene – △永瀬拓矢六段 棋譜再生(ロックショウギ)
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 電王戦 棋譜 (ニコニコ静画)(niconicoアカウントが必要)
解説が行われたニコファーレからの放送。司会進行役は本田小百合女流三段、ニコファーレ会場での解説は屋敷伸之九段と広瀬章人八段、もう1人の聞き手に井道千尋女流初段という顔ぶれです。
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 1/7 (YOUTUBE削除済)
13:09 いよいよ永瀬拓矢六段が登場。高知城内に特別に設けられた対局場へ向かいます。
14:50 永瀬拓矢六段、対局の席に着き、駒を並べます。
17:00 続いて、電王手さんも駒を並べます。
23:46 三浦弘行九段から「時間となりましたのでSeleneの先手で対局を開始してください。」という声がかかりいよいよ運命の決戦がスタートしました。お互いにお辞儀。
24:29 先手Seleneの注目された初手は2六歩。それに対して後手永瀬拓矢六段の手は3四歩でした。
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 2/7 (YOUTUBE削除済)
まだまだ序盤で、解説では初手からここまでを振り返ります。
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 3/7 (YOUTUBE削除済)
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 4/7 (YOUTUBE削除済)
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 5/7 (YOUTUBE削除済)
0:00 現地からのレポート。山口恵梨子女流初段が瀬川晶司五段に戦況に関して判断を求めます。続いて三浦九段にも。Seleneが有利かという感触。
序盤から中盤にかけてなかなか戦いが始まらず長時間の戦いになると思われたこの戦い。しかし状況判断の参考となる評価値にしても、棋士の解説者らか らみても永瀬拓矢六段がやや劣勢というのが一致した見方で、時間が長引くほど人間に不利になっていくだろうと重苦しい雰囲気が漂い始めていました。
状況を見守る解説者らが1六角打ちが、状況を一変させる良い手ではないかと気付き、雰囲気がガラリと変わりました。
85 手目 勝又六段が興奮した様子で控室に入ってきた。「これはやったか!」と声を上げる。読み筋は屋敷九段と同じだ。☖1六角☗2七歩☖同角成☗同玉☖1七香成 ☗2六玉☖1四桂☗同と☖同銀。そこで☗1五歩は☖同銀☗同玉☖1一飛☗1四桂☖2三桂☗2四玉☖1五角☗2五玉☖2四歩 #電王戦 From: nrtki at: 2015/03/21 21:51:24 JST Re 公式RT
果たして、永瀬六段もその手に気付いていて実際に1六角を選ぶのかどうか、皆、固唾を飲んで見守りました。、永瀬六段の指し手は、まさにその1六角。
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 6/7 (YOUTUBE削除済)
0:00 夕食休憩後に対局再開された直後。
59:33 山口恵梨子女流初段がゲスト棋士の稲葉陽七段に形勢判断を求めます。総合判断はほんの少しSeleneが優性という判断でした。
1:17:43 解説者が1六角打ちの手筋を検討・解説。
1:27:28 後手永瀬六段が1六角打ち。
さて衝撃の結末はここから。ニコニコ生放送時の視聴者のリアルタイムな書き込みを見ると、盛り上がりぶりがわかります。誰も予想しなかったことが、その次に起こりました。
「2七角成らず(王手)」。
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene (YOUTUBE削除済)
王 手をかけらたSeleneですが、「角成らず」は想定外で王手を無視した別の手を選び、反側負けという劇的な幕切れ。解説者も立会人も視聴者も最初は何が 起こったのかわからなかった人が多かったようです。1人だけ冷静だったのが永瀬六段。彼は「角成らず」によってSeleneが投了してしまうことを知って いたのです。
しかしこのようにコンピュータソフトの不備を突いた勝ち方だと、せっかく棋士がコンピュータに勝ったのにケチがついてしまうのではないかと心配して、解説者たちは必死に寄り筋を検討しましたがどうも釈然としません。
対局直後に永瀬六段が解説場に呼ばれて、その後の読み筋の解説がなされました。
【将棋】 電王戦第2局 △2七角不成からの読み筋を永瀬本人が解説 【将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene】 (YOUTUBE削除済)
対局後の記者会見の模様。永瀬六段が「角成らず」を使った意図を詳しく説明しました。その後、Selene開発者西海枝昌彦氏による敗者の弁。立会人を務めた三浦弘行九段による講評。片上大輔六段(将棋連盟理事)が再度、何が起きたのかに関しての公式見解を説明をしました。
将棋電王戦FINAL第二局 記者会見と結果 終局経緯
将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 7/7 (YOUTUBE削除済)
0:00 問題の「2七角成らず」。解説者も「な、ならず?」動揺しています。永瀬六段の意図には誰も気付いていません。
51:20 長い協議の後、日本将棋連盟の片上理事がこのハプニングにどう対応するかの説明をしました。
58:48 永瀬六段が呼ばれて、読み筋の説明を行いました。
1:12:07 永瀬六段、Selene開発者西海枝昌彦氏、立会人三浦九段、片上理事、稲葉七段らが壇上にそろって記者会見。
TWITTERでもいろいろな感想が飛び交いました。
第1局:ソフトが投了せずに大問題 第2局:ソフトが投了してしまって大問題 #電王戦From: bringerz at: 2015/03/21 21:07:58 JST Re 公式RT
電王戦FINAL第2局をタイムシフトで改めて視聴。永瀬「不成に対応していない、あと飛車と歩も」「ほっとくと投了すると思います」。これを自分の勝ちを確信した局面でやったんだから恐れ入る。秘孔を突いたと表現した人がいたけど、本当にそんな感じ。 #電王戦 From: takatsukat at: 2015/03/21 23:42:00 JST Re 公式RT
バグで勝ったと勘違いしてる奴が多いが、そもそも裁定で継続が選ばれればその次を指さなきゃいけなかった。27角自体、大駒を切ってる訳で勝負手であり勝ちの局面以外では指さない手である。そのあとの指し手を読み切って勝ちになる局面で試しただけだ。 #電王戦 From: IL360 at: 2015/03/21 21:56:09 JST Re 公式RT
#電王戦 コンピューターのバグをつかなくても永瀬の勝ち筋だったような…。うぅむ、性格がでてるなぁ。From: Jikkenfish at: 2015/03/21 21:46:43 JST Re 公式RT
今日の電王戦は良かった。ソフト屋としては胃が痛くなりそうだが。相手がバグ修正か、裁定で継続すると言う判断される可能性を読み切って、そうなっても関係ないところで指したのが凄い。ソフトが王手ラッシュなどを自粛するなど棋士に配慮してれば手を変えてくれたかも。 #電王戦 From: IL360 at: 2015/03/21 21:12:38 JST Re 公式RT
納得できるのあの説明で? 「ほぼ必勝」の局面で大盤が必死でしたけど? #電王戦 From: march_hare_bro at: 2015/03/22 02:13:46 JST Re 公式RT
永瀬六段かっけえ。角ならず打ったあとに「プログラムミスでしょうね」「歩と飛車のならずも認識してないと思います」「ほっとけば投了しますよ?」 しびれたwwww #電王戦 From: koiwai25 at: 2015/03/22 01:49:49 JST Re 公式RT
永瀬六段が練習対局で勝率1割だったていうコメントにゾッとした。コンピュータ将棋の強さとその1割を本番に持ってきたプロ根性。 #電王戦 From: ko31 at: 2015/03/22 00:36:39 JST Re 公式RT
勝者、敗者の弁:
永瀬六段:「(不成を選んだ理由は)(事前の練習対局を通して不具合は)知っていたが、本番では修正されているかもしれないと思っていた。(自分の勝ちだろうと)自分なりに決断できる局面になった。」「(不具合がなかったとしても)(セレネの持ち)時間を削れる。」
セレネ開発者の西海枝昌彦氏:「情けない結果になって申し訳なく思っている。(不具合がなかったとして対局を)続けていても負け。悔いはない」
立会人 三浦弘行九段:「99%以上の勝ち(の局面)を、さらに100%に近づけようとした恐ろしい勝負師魂。」
(電王戦、ソフトが王手放置で負け 棋士側が連勝(日本経済新聞 2015/3/21 21:46))
永瀬六段は本当にSelneが投了しなくても100%勝っていたのか?という疑問は多くの人が抱くと思います。特に、直前までSeleneが優勢だったため余計釈然としないかもしれません。しかしプロの棋士の事後の検討ではやはり「バグ」は実質的な勝敗とは無関係という結論です。
さてその△2七同角不成の局面でSeleneが反則負けとなりましたが、形勢はどうだったのか。ニコ生画面上のやねうら王(2014年ver)、Seleneは先手+500程度だったとのこと。他のソフトも大体先手有利を示していました。しかし人間の見解は逆で、永瀬六段も現地検討陣も後手有利を示していました。ではどちらが正しかったのか。結論から言うと人間が正しかったようです。 (遠山雄亮のファニースペース 2015-03-22 第4回電王戦第2局 人工知能との本気の対峙)
【追記】2015年3月27日(金)放送のTBSのラジオ番組「荻上チキ Session-22」に永瀬六段がスタジオゲストに呼ばれて視聴者からの質問に答えていました。負ける局面でもあの手を使ったかどうかという皆が聞きたかった質問に対しては、やはりそういう勝ち方はするつもりがなかったそうです。将棋界を代表している立場上、そのような勝ち方をしても意味がないのでしょう。バグに気付いた段階で事前に伝えるつもりはなかったのかという質問も出ていました。それも考えたそうですが、バグの修正と言いつつソフトが変わってしまうようなことがあってもと考えたそう。これは過去の電王戦でそのようなトラブルがあって大問題になりましたので、それを踏まえてのことでしょう。
参考
2015年3月21日(土)に将棋電王戦FINAL第2局が高知城で行われ、永瀬拓矢六段とコンピュータ将棋不ソフト「Selene」が対戦しました。
解説者の1人、佐々木勇気五段によれば、昔はコンピュータが人間に勝てたら凄いという状況だったのに、コンピュータ将棋が強くなりすぎたために、最近では人間がコンピュータに勝てたら凄いという状況に変わってしまったそうです。そのため、電王戦のような非常に大きな注目を集める舞台なら若手であれば誰でも出てみたいところですが、勝つことが容易ではないため、必ずしも誰もが出たいと思うわけではないとのこと。また、コンピュータとの対戦のための研究に時間を割くくらいなら、羽生善治棋士棋士など上位の棋士らとの対局に向けた研究に時間を使いたいという気持ちもあるそうです。電王戦FINAL出場というオファーを受けて立つということが棋士にとっていかに大変なことかがよくわかる率直な解説でした。
昨年度の電王戦に出場した屋敷伸之九段は今回はニコファーレの会場で解説者の立場で参加しており、とても楽しそうにリラックスして見えました。ちなみに、屋敷伸之九段の弟子である伊藤沙恵女流初段は今回、大盤解説会場高知城ホールで瀬川晶司五段の解説の聞き手を務めましたが、「聞き手」デビューだったそうで、カメラを向けられた状態でかなり緊張していた様子でした。
夕方、16時45分頃の形勢判断では、今回の立会人を務める三浦弘行九段によると、五分五分。トータルで永瀬六段にちょっと傾いているのは、「希望」なんだそうです。三浦九段が部屋に現れる前に時間があったため、山口恵梨子女流初段が瀬川晶司五段の評も聞いていましたが、瀬川五段も総合的には五分五分という判断でした。
17時に夕食に入る前の局面。この時点でのニコファーレの会場での解説は広瀬章人八段と井道千尋女流初段。
夕食休憩中の現地(高知)における検討。熊倉紫野女流初段、急遽助っ人として解説に参入した片上大輔六段と、瀬川晶司五段。
18時35分頃。ゲストに、来週「やねうら王」と対戦する稲葉陽七段が登場。形勢判断は、ややSELENE有利か。
永瀬六段がやや劣勢という重苦しい状況の中、解説者たちの検討で、実は次に1六角が良いのではないかということになり、少し光が差します。果たして永瀬六段は1六角と打つのかどうか?
次に、永瀬六段が指した手はまさにその1六角でした。視聴者は大いに盛り上がります。
ところが、視聴者の期待と予想をはるかに上回ることが次に起きました。
解説者も仰天した、2七角「成らず」。相手が人間であれば、相手を挑発するために成らずにしたのかとも思えますが、永瀬六段にはどうやら意図があったようです。
勝負の結末は突然訪れました。角の「成らず」に対応していなかったSeleneが「投了」してしまいコンピュータはそこで停止してしまったのです。Selene開発者の西海枝昌彦氏が事情を説明。
あまりの予想外のことに、どう対応すべきなのかを決めるため立会人たちは緊急の協議に入りました。何が起きたのか分からない人が多かったようです。
19時50分ころ、将棋連盟理事の片上大輔六段から説明がありました。永瀬六段が指した2七角「成らず」(王手)をSelenega認識できず、王手されたのにそれを放置して2二銀の手を指してしまったことにより終了したようです。後の記者会見で説明がありましたが、記録としては「王手放置による先手の反側負け」だそうです。
対局後に永瀬六段が心情と読み筋を自ら解説しました。後で行われた記者インタビューのときにも説明していましたが、Selenetono練習対局でこのソフトの「バグ」は把握していたそうです。ただし本番のソフトでそれが修正されている可能性まで考え、成っても成らなくても損得が変わらない局面になったら使おうと考えていたとのこと。また、相手に長考させて持ち時間を削る効果があればそれだけでも使う意味があると考えていたそうです。自分の中では勝ちを確信した局面での2七角「成らず」。立会人を務めた三浦弘行九段も、永瀬六段が勝った局面だったことを確認しました。つまり相手のバグを利用しようがしまいが永瀬六段が勝っていたということで、実に見事な勝ち方でした。
勝敗が確定したところで、両者が挨拶。電王手さんもお辞儀できます。
最後のSeleneの「2二銀」という指し手をなぜ電王手さんが実際に指さなかったかに関しては、西海枝昌彦氏が記者会見で説明していました。Seleneが直接電王手さんを動かしているのではなく、間に将棋エンジンが入っていて、Seleneがあり得ない手を将棋エンジンに渡した場合には将棋エンジンが「負け」を返すという仕組みがあるためだそうです。
Seleneは非常に強いソフトで永瀬六段は練習対局ではあまり勝てていなかったそうです。特に持ち時間が少ない設定の場合にはSeleneが圧勝だったそうで、5時間くらいでやると勝てるかなという程度の勝算だったとのこと。序盤からいやな展開になって永瀬六段はかなり辛抱を強いられましたが、最終的には劣勢を引っくり返して、勝ちに持ち込みました。解説者は永瀬六段のことを、99%勝ちの状況を100%にするためにあえて相手の「バグ」を利用する手まで使ったおそるべき勝負師だと評していましたが、本番で非常に強い力を発揮した永瀬六段に多くの人が感銘を受けた一戦でした。インタビューの席で西海枝昌彦氏はこの「バグ」に関しては申し訳なかったと恐縮していましたが、このことは勝負の決着をドラマチックなものにはしましたが、実際の対局内容には影響しなかったのも幸いでした。
参考
5人のプロ棋士と5個の将棋ソフトウェアによる団体戦、将棋電王戦FINAL「人類の、けじめの戦い」第一局は、2015年3月14日(土)に京都・二条城で行われ、斎藤慎太郎五段とAperyの対決で人類側が勝利しました。
第2局は2015年3月21日(土)に高知の高知城において、永瀬拓矢六段 vs コンピュータ将棋ソフトウェア「Selene」との対局になります。
本番を直前に控えた永瀬拓矢六段へのインタビュー動画。
質問1:対局会場が「高知」になると知ったときの率直な感想は?
質問2:本番では自分が盤上で向かい合って指す相手となるデンソー開発のロボットアーム「電王手さん」を見たときの印象は?
質問3:将棋ソフト「Selene」との対局に臨む心境は?
質問4:対Selene戦においてカギを握る駒は?
質問5:ズバリ、勝算はあるのか?
電王戦を12日後に控えた時点における、永瀬拓矢六段が多くを学んだという先生、鈴木大介八段と対談。
趣味は?と聞かれて考え込む永瀬拓矢六段。電王戦に臨む決意。
本番前にSeleneのソフトウェアを提供されている永瀬拓矢六段は、日々練習対局を繰り返して研究しています。本番23日前における永瀬拓矢 六段 vs Seleneの練習対局、遠山雄亮五段による解説付き。
将棋ソフト「Selene」を開発した西海枝昌彦氏と、Seleneと対決する永瀬拓矢六段へのインタビュー。ちなみに西海枝昌彦氏はIT業界で銀行や保険のシステムを開発するのが本業なのだそうです。Seleneを作ろうと思ったきっかけなどが語られます。
電王戦FINALを50日後に控えた日の、永瀬拓矢六段への喫茶店でのインタビュー。喫茶店に入ったのはこれが人生で初めてと言う、100%将棋でできている人生。
「プロを目指したのは12歳、今22歳なんですけど、 違う人生も可能性としてはあったと思いますが、 望んだことはなかったような気がしますし、 普通に暮らして普通に勉強して普通に遊びたかったなあとは思いましたけど、 やはり、人にとって普通というのはそもそも違うので、 それに気付けた時点で自分は幸せかなあとは思いました。」
永瀬拓矢 六段 vs Seleneの練習対局、遠山雄亮五段による解説付き。1分将棋です。
電王戦出場が決定し本番を73日後に控えた時点で、コンピュータ将棋ソフトとの小手調べ対決として「ポナンザ」と初めて対戦する永瀬拓矢六段。
参考
5人のプロ将棋棋士と5つのコンピュータ将棋ソフトによる団体戦「将棋電王戦FINAL」が2015年3月14日(土)から始まります。株式会社ドワンゴと日本将棋連盟が主催するもので今年で4回目となりますが、FINALという言葉が示す通り、棋士とコンピュータ将棋ソフトを対戦させる方式は今年度で最後となります。コンピュータ将棋の代指しを担当するのはデンソーの子会社デンソーウェーブが開発したロボットアーム「電王手さん」。
対局は毎週土曜日に行われ、対局開始時刻は全局とも午前10時。ニコニコ動画で生中継されます(番組開始は9:30)。
大盤解説会が全局を通じてニコファーレで開催されるほか、第1局~第4局に関しては各対局会場近くの現地でも同時開催されます。
第1局 斎藤慎太郎 五段 vs 「Apery」 3月14日(土) 対局会場:京都・二条城
大盤解説会場:
京都烏丸コンベンションホール(解説:北浜健介八段、村田顕弘五段/聞き手:香川愛生女流王将、安食総子女流初段)
ニコファーレ(解説:鈴木大介八段、木村一基八段/聞き手:室谷由紀女流初段、貞升南女流初段)
第2局 永瀬拓矢 六段 vs 「Selene」 3月21日(土) 対局会場:高知・高知城
大盤解説会場:
高知城ホール(解説:瀬川晶司五段、佐々木勇気五段/聞き手:熊倉紫野女流初段、伊藤沙恵女流初段)
ニコファーレ(解説:屋敷伸之九段、広瀬章人八段/聞き手:本田小百合女流三段、井道千尋女流初段)
第3局 稲葉陽 七段 vs 「やねうら王」 3月28日(土) 対局会場:北海道・五稜郭
大盤解説会場:
函館金森ホール(解説:千葉幸生六段、遠山雄亮五段/聞き手:竹部さゆり女流三段、室田伊緒女流二段)
ニコファーレ(解説:糸谷哲郎竜王、深浦康市九段/聞き手:山田久美女流四段、安食総子女流初段)
第4局 村山慈明 七段 vs 「ponanza」 4月4日(土) 対局会場:奈良・薬師寺
大盤解説会場:
現地会場未定(解説:豊川孝弘七段、千田翔太五段/聞き手:村田智穂女流二段、室田伊緒女流二段)
ニコファーレ(解説:佐藤康光九段、森下卓九段/聞き手:山口恵梨子女流初段、貞升南女流初段)
第5局 阿久津主税 八段 vs 「AWAKE」 4月11日(土) 対局会場:東京・将棋会館
大盤解説会場:ニコファーレ(解説:森内俊之九段、藤井猛九段/聞き手:香川愛生女流王将、藤田綾女流初段)
参考
SONYがペット犬ロボットAIBOを一般向けに発売したのが1999年。それから15年以上の歳月を経て、今年はついにヒト型ロボットが一般消費者向けに販売されるかもしれません。
ヒト型ロボット「ペッパー(Pepper)」を開発し販売するのはソフトバンクモバイル。感情認識機能を搭載しており、いわば、人のキモチがわかる、「空気が読める」ロボットです。Pepperに癒されて暮らす生活はどんなものになるのでしょうか?
ボス『Pepper(家庭)』篇 60秒 トミー・リー・ジョーンズ 北大路欣也 サントリー
(SUNTORY)限定公開)商品名:ボス オンエア開始日:2015年2月9日 出演者:トミー・リー・ジョーンズ/北大路欣也
リビングにロボットがいる風景: Pepper 第1号ユーザーお宅訪問、戸惑う妻とクリエイター宣言の夫
ソフトバンクモバイルは2014年9月に法人向けに200台を先行販売していました。
ボス『Pepper(職場)』篇 60秒 トミー・リー・ジョーンズ 吉田鋼太郎 サントリー
(TVCM 商品名:ボス オンエア開始日:2015年2月3日 出演者:トミー・リー・ジョーンズ/吉田鋼太郎 サントリー公式チャンネル (SUNTORY)限定公開)
タモリ、ペッパーのものまねに感心 「コンドルの着地」を伝授! サントリーコーヒー「BOSS」CM発表会2
2015年2月27日にはアプリ開発を行うIT企業など開発者を対象して限定300台が発売されます。本体価格は19万8000円。
そして、待ち望まれる一般消費者向けの販売は2015年6月以降になるとみられています。
参考
ロボットが人間の助けを借りずに東大の入試を解けるくらいに人工知能の研究が進めば、きっといろいろ社会の役に立つ応用があることでしょう。
しかし、なぜ「東大」なのでしょう?
東大は「日本の知性の象徴」であり、この入試問題にロボットが答えることは「クイズに答えることより難しい」。一方では、「京大の入試問題ほどイジワルではない」ことから、チャレンジに適した題材である(公立はこだて未来大学教授の松原仁氏)
東大入試を人工知能に解かせるという設定は、チャレンジングな問題を与えてくれるという点で研究を推し進める原動力になると思われます。その一方で、大学受験をネタにしているために科学技術の問題に止まらず、社会的に影響力を持ってしまうことは免れません。
TWITTERでの反応を見ると、将来人間が知能の高いロボットに職を奪われることを恐れる人々がいます。また、ロボットに対して競争心を抱いて自分はロボットよりも賢いのか劣っているのかを考え始める人もいます。さらに、「ロボットでも入れる程度の大学」、とロボットのレベルを大学の序列化に利用する考え方も見受けられます。
偏差値信仰により日本の大学が輪切り化されているのは非常に由々しき問題ですが、東ロボくんの成績の報道に、この偏差値信仰を助長あるいは容認する姿勢が見られるのが気になるところです。代々木ゼミナール関係者のコメントの引用とはいえ、
「東大の合格は難しいが、私立大学には合格できる水準」だった。(日本経済新聞)
中堅私大よりやや下のレベルであれば十分合格可能(読売新聞)
といった表現を大手の新聞社が行うことは、世間における大学の序列化の風潮を容認しているようなものです。大手の新聞社による報道として果たして適切と言えるのでしょうか?
大学合格の難易度が大学ごとに大きく異なるのは紛れのない事実ですが、私立大学が国立大学よりも入りやすいとか、レベルが高い低いとか、「中堅」などといった言葉遣いは、各大学の関係者に対して失礼極まりない物言いでしょう。
そもそも東ロボくんプロジェクトのリーダーとして研究開発チームを率いている当の科学者が、
『うちの子はこんな大学に合格できるんですよ』って近所の人に自慢してみたい心境です。(NHK)
という発言をしています。子供は親の虚栄心を満たすために大学受験するわけではありません。
東ロボくんプロジェクトのニュースに感心したり面白がったりする人がいる一方で、不快感を示す声もあります。
国立情報学研究所らが開発を進めている「東ロボくん」は、センター試験の模擬試験だけでなく東大模試の数学も受験していたそうです。文系の問題は4問中2問で完答、理系の問題は6問中2問で完答という結果で、文系理系とも受験者中、偏差値は「約60」だったとのこと。
東ロボくんの解答例を見ると、
求める実数をxgen12と置くと、問いの条件は次の一階論理式と同値になる:
…
この式は実閉体の体系RCFの式であることから、Tarski-Seidenbergの定理により、この式と同値で量化子を含まないような式を求めることができる。Tarskiの量化子除去アルゴリズムに従って上記の式を書きかえた結果が以下の式である(変形の過程が長いため、計算紙で別途提出する。):
…
のようなことが書いてあります。TWITTERで、
FB で「この解答はやばすぎ(専門的すぎ)じゃ無いですか?誰が採点できるんだ!w」と書いた方いたので見てみたら,確かに「やばすぎ」!
という声も上がっていますが、高校生離れした解法です。一体東ロボくんがどうやって数学の問題を解いているのかに関しては、「数式処理による入試数学問題の解法と言語処理との接合における課題」という論文に解説があります。高校数学の内容を逸脱した解法を使う一方で、数学の問題文の読み取りでは、「問題テキストの言語処理の一部で人間の介入を必要とした」(PCWatch 2013/11/25 13:42)そうで、こうなると「東大の入試」という縛りが人工知能の研究を進める上でどれだけ意味があるのか疑問に思えてきます。実際に東ロボくんが苦労しているのは、簡単な日本語を理解することに過ぎないのかもしれません。
日本語の理解に限らず、世界史の問題で出てくる地図の読み取りもまだできないようで、センター試験の模試では地図上の地点aの町の名前を人間が教えてあげたりしたそうです(ブログnix in desertisの記事)。
東ロボくんの現時点での受験戦略に関しては、「ロボットは東大に入れるか」発表会(11/23)レポート(nix in desertis 2013年11月25日)の記事で紹介されており、興味深いものがあります。今回の模擬試験へのチャレンジでは、
最終的に欲しい能力を目指す本質的な研究ではなく,今回は,小手先の,現状可能なアプローチだけで,どれだけセンター試験で得点できるかに挑戦した
そうで、例えば社会科対策としては、山川出版社と東京書籍から世界史B・日本史Bの電子データをもらって丸暗記したのだそうです。そして正誤文判定の問題では、教科書の文章と照らし合わせて歴史用語がどれくらい同一の章やパラグラフに登場しているかで正誤の判断を下したとのこと。問題文の意味すら考えておらず、単語をただ拾ってくらべているだけで、ほとんど頭を使っていません。まるで、勉強が間に合わなかった受験生みたいです。それでもそこそこの成績を挙げられたというのが面白いところです。国語や英語も同じような戦略だったそう。
この結果は、選択肢を選ぶ際にサイコロを振るよりも高確率で正解を得るためのヒントになるかもしれません。
参考ウェブサイト
ロボットを東大に合格させるための研究を日本の研究者らが大真面目にしているそうです。
人工知能はどこまで人間の能力に近づけるのかという取り組みで、単に問題が解けるだけでなく日本語もちゃんと理解できるロボットを作ることが研究の目的。数学の問題で微分方程式をロボットに与えて解きなさい言えば一瞬で解けるのでしょうが、数学の問題を文章題として与えられた場合には日本語の意味するところを正しく理解するところから始めないといけません。数学は得意なのに問題文を読み間違えて点が取れない子供がいるのと同じで、現在のロボットには相当ハードルが高そうです。
「東ロボくん」は今のところ人間の形をしているロボットというわけではなくて、コンピューターの中のプログラム。その頭脳の大きさはUSBメモリにも入る程度で、4ギガバイト。この東ロボくんの現在の実力を試すために、代々木ゼミナールのセンター試験の模試を受けたんだそうです。その結果、900点満点中387点を獲得。中でも日本史B(100点満点)では56点で偏差値は56.1という好成績。総合成績では偏差値が45と判定されました。
2022年春の東大合格を目指して、日本の頭脳集団が東ロボくんに問題の解き方を教えているんだそうです。さて、この東ロボくんが晴れて東大生になる日は来るのでしょうか?
ロボットが東大に合格することにどんな社会的意義があるのか不明ですが、東大に入れるくらいの知能があれば、人間と気の利いた会話もでき、状況判断にも優れた、魅力的なロボットに育っているはずです。
現在の東ロボくんにに関する世間での評判はどうなんでしょう。TWITTERから声を拾ってみました。まずは、賞賛の声。
今の東ロボ君の成績で簡単に入れてしまう大学が多いことへの驚きの声。
東ロボくんをうらやましく思う気持ち。
東ロボくんへの愛と励ましの声。
東ロボくんを心配する声。
ロボットと張り合う人々の声。
東ロボくんのネーミングの悪さを不安視する声。
東ロボくんプロジェクトの研究成果が社会へ与える影響に関する考察。
東ロボくんプロジェクトへの疑問、批判的な意見。
細かい突っ込みの声。
その他の声。
参考ウェブサイト