将棋電王戦FINAL第三局:稲葉 陽 七段、やねうら王に敗れる

2015年3月28日(土)に函館の五稜郭で行われた将棋電王戦FINAL第三局は、稲葉 陽 七段が「やねうら王」に敗れました。これで、人類2勝コンピュータ1勝になり、人類悲願の勝ち越しは来週行われる第四局の村山慈明 七段に託されることになりました。

棋譜再生 ⇒ 電王戦FINAL 第3局 ▲稲葉陽七段 – △やねうら王(ロックショウギ)

開始日時:2015/03/28 10:00
終了日時:2015/03/28 20:02:06
棋戦:電王戦FINAL第3局
先手:稲葉陽 七段
後手:やねうら王

▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △8五歩 ▲2五歩 △3四歩
▲7八金 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲2四歩 △同 歩
▲同 飛 △3二金 ▲3四飛 △3三桂 ▲3六飛 △4二銀
▲9六歩 △4四歩 ▲5八玉 △6二玉 ▲3八金 △1四歩
▲7五歩 △8四飛 ▲7七桂 △4五歩 ▲2六飛 △4三銀
▲4八銀 △7二玉 ▲6八銀 △6二金 ▲6六歩 △3四銀
▲6五歩 △3五銀 ▲7六飛 △2四飛 ▲2八歩 △1三角
▲3六歩 △2六銀 ▲3七桂 △8三歩 ▲2七歩 △同銀成
▲2五歩 △同 桂 ▲2七金 △3七桂成 ▲同 金 △2九飛成
▲7四歩 △同 歩 ▲8五桂 △2二角 ▲同角成 △同 金
▲4九桂 △1九龍 ▲7三歩 △8二玉 ▲7四飛 △6六桂
▲6七玉 △5八角 ▲6六玉 △8五角成 ▲4四飛 △7四桂
▲5六玉 △3三金 ▲4二飛成 △5四香 ▲4五玉 △4四歩
▲4六玉 △3四金 ▲2三角 △4五歩 ▲同 龍 △同 金
▲同角成 △4九龍 ▲5九銀左 △4四歩 ▲同 馬 △7六飛
▲3五玉 △7八飛成 ▲8四歩 △同 馬 ▲2四歩 △5七香成
▲5四歩 △3三歩 ▲同 馬 △4八成香 ▲4五桂 △5四歩
▲2三歩成 △7三馬 ▲4八銀 △同龍寄 ▲3八銀 △3七馬
▲同 銀 △同 龍 ▲4六角 △同 龍 ▲同 歩 △2六銀
▲同 玉 △4六龍

まで116手で後手の勝ち(2ログ 将棋電王戦 FINAL 第3局 part9 2015/03/28 20:10:11.22

将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 1/7

0:00 ニコファーレ(東京・六本木) 解説者: 糸谷哲郎 竜王、深浦康市 九段、聞き手: 山田久美 女流四段、安食総子女流初段
17:33 この対局の立会人は森 雞二 九段、読み上げは貞升 南(さだます みなみ)女流初段、記録係は佐々木 大地 三段です。
24:00 稲葉七段の第1手、2六歩。

 

将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 2/7

将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 3/7

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将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 5/7

 

将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 6/7

0:00 ここからは、解説に深浦九段、ゲストに声優の岡本信彦さん、そして私、安食でお届けいたします。
0:24 (安食)岡本さん、いかがですか?(岡本)みなさんの控え室にお邪魔させていただいてですね。深浦さんに、この手はどうなんですか?というのをずーっと聞いていたんですけれども。聞けば聞くほど、絶望感が。(深浦)言っちゃいましたか?
38:32 後手7六飛(王手金取り)。(岡本)あっ、これは(入玉の)チャンスなんじゃ..(深浦)磯崎さんの表情がなんか、それ、やんないでよっ、て顔されてますね。(岡本)ちょっと楽しくなって来ましたね。

 

将棋電王戦FINAL 第3局 稲葉陽七段vsやねうら王 7/7

0:00 現地の方、宜しくお願いいたします。
05:54 (遠山)塚田九段のときは引き分けになりましたけど。詳しい方に言わせれば、あのまま塚田九段が無限に指せれば塚田九段が勝つだろうとおっしゃってたので。やっぱりその辺はソフトは弱点ですね。
(深浦)しかしあれから2年経っているわけですね。その間、ソフトの改良、補強するということは当然考えられて。(遠山)そうですけども、9割方やっていないと思いますね。(深浦)そうなんですねぇ?
(糸谷)入玉邪魔するよりも、もっと大切なことありますもんね。
38:50 (深浦)では引き続き現地の検討室ともつないでみたいと思います。五稜郭の室田さん、お願いします。
39:10 (村山)こんばんは、村山慈明です。(室田)ついに来週ということで、いよいよ?(村山)半年くらい練習、研究しているんですけれど。あっという間にもう来てしまったなという感じがします。
40:53 (室田)さっそくですがSurface使って解説お願いいたします。現局面、同銀まででしょうか。(村山)稲葉さんの玉が入玉できるかどうかが焦点という局面になっているんですけれども。
(室田)どうですか、できそうですか?(村山)少し前まではなんとか入玉はできるかなと思っていたんですけれども。かなりきわどい局面といいいますか、簡単には入玉できないような感じですかね。

58:03 後手、4六龍。(稲葉七段が投了)
58:40 電王手さん、対局後のお辞儀。(稲葉七段放心状態)
58:50 電王手さん、記録係らに向いて、お辞儀。読み上げの貞升 南(さだます みなみ)女流初段が合わせてお辞儀。
59:58 (解説者ら)稲葉さんのほうから2七歩で開戦したのが無理、失敗ということになりましたかね。

1:01:46 対局場における対局直後のインタビュー。
1:02:43 (質問:急に開戦、決戦になったのは稲葉さんがギアチェンジをかけた?)そういうつもりだったんですけど、ちょっと早かったかもしれないですね。やはり、少し我慢して、もっと後にギアチェンジしないといけなかった。
1:03 :33 (質問:入玉を目指すのかなと思ったら一直線には目指さなかった。それは何か作戦的にあったのでしょうか?)駒があまりにも足らないので、駒を稼げたら入玉も視野に入れようかなという指し方でした。(敗戦したことに関して)ふがいない内容で申し訳ないという気持ちですけど。自分の弱さが出た将棋になってしまったので残念ですけど、しょうがないかなと。

1:13:52 記者会見。登壇者は、立会い人 森雞二(もり けいじ)九段、やねうら王開発者 磯崎元洋氏、稲葉 陽(いなば あきら)七段、中川大輔八段(将棋連盟常務理事)、第四局の対局棋士となる村山慈明(むらやま やすあき)七段。

稲葉 七段はいかに敗れたのか?「電王戦FINAL第3局観戦記 船江恒平五段(ニコニコニュース 2015/4/2)」が参考になります。

 練習する中で稲葉もやねうら王は対策の立てやすいソフトだと感じていた。とはいえ現在のレベルのソフトに必勝法を編み出すことは不可能に近い。戦型は絞りやすいが、定跡を打ち切った後のやねうら王の指し手はランダム性が強く、パターン化することは難しいのだ。それでも膨大な時間をかけて、ほとんどの形で早めに戦いを起こして優位になる手段を確立し、本局に臨んだ。…

途中までは確率の高い手を選び続けていたやねうら王だったが、△7二玉と前手△4三銀の組み合わせを指すのは非常に珍しく、稲葉としては最も出現率が低い と思っていた形になった。そして出現率が最も低いこの局面が、唯一稲葉が望む早い戦いを起こすことができない局面だった。…

稲葉はここで初めて時間を使う。気持ちを整理し、事前準備に頼るのではなく自分の力で戦うことを決めたのだろう。…

局後、稲葉は▲2七歩に関してギアチェンジのタイミングを間違ったとコメントしたが、なぜそのミスは出てしまったのだろうか。…第3図では△2八歩の不安から少し形勢を悲観していた稲葉も、△2四飛~△1三角とありがたく感じる手が続いたため第4図では逆に自信を持っていた。このあたりの対局者ならではの気持ちの揺れが、心にわずかな隙を生む。普段の対局なら問題にならなかったかもしれないが、電王戦独特の緊張感、そして事前準備が上手くいかなかったことやソフトの中終盤の強さ、色々なプレッシャーがそのわずかな隙を大きくさせてしまったのだろう。その隙間に早く良くなりたい、楽に勝ちたい、という気持ちが入り込んでくる。そしてその気持ちが生じると人は深く読むことができなくなってしまうのだ。…

参考

  1. 将棋電王戦FINAL第3局、やねうら王が入玉を目指した稲葉陽七段を下す。ソフトがシリーズ初勝利 (将棋ワンストップ・ニュース):”90手目、やねうら王が△7六飛と王手金取りに打ったところで、開発者「やねうらお」こと磯崎元洋さんの表情が明らかに曇りました。この手は駒得となる一方、入玉を許すような手でもあり、…稲葉七段は一直線に入玉を目指さず、97手目▲5四歩、101手目▲4五桂など時折攻め、玉は中段で停滞させました。…しかし、この入玉を目指さなかったことが裏目に出て、稲葉玉は中段で寄せられる格好に・・・。”
  2. 第3局はやねうら王が勝利し、コンピューターの1勝となる|将棋電王戦FINAL(週アスPLUS 2015年03月28日)
  3. 電王戦、プロ棋士3連勝ならず 稲葉七段「ふがいない」 (日本経済新聞 2015/3/28):”「(早く優勢にして)楽に勝ちたい」と思ってしまった稲葉七段が勝負を急ぎ、やねうら王が優勢に。稲葉七段も終盤、「入玉(自玉が敵陣に進入し詰まない状態になること)」含みで粘ったが、最後はやねうら王が稲葉玉をつかまえた。”
  4. 「将棋電王戦FINAL」第3局で稲葉七段が破れソフト1勝目「不甲斐ない将棋」(マイナビニュース 2015/03/28)
  5. 電王戦FINAL 第3局 ▲稲葉陽七段 – △やねうら王(ロックショウギ)
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