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電王戦 阿久津八段にAWAKE開発者が21手で投了

2015年4月11日(土)に行われた電王戦FINAL第5局 阿久津主税八段 対 AWAKE は、たったの21手め、対局開始後わずか50分後にAWAKE側が投了するという、予想外の幕切れとなりました。投了はソフトのAWAKEではなく、AWAKE開発者である巨瀬亮一氏の判断によるものです。 ほとんど「事故」のような形で将棋電王戦が終わりを告げたのは、いかにも異種格闘技戦らしかったというべきでしょうか。電王戦FINALに参加した5人のソフト開発者と五人の棋士らがそろって記者会見に臨みましたが、人間とコンピュータが異種というよりも、プロ棋士という人間とコンピュータ将棋開発者という人間の両者の勝負に対する考え方の違いや将棋に関する価値観の違いが際立った会見となりました。さらに、コンピュータ将棋開発者も五者五様で、一口にコンピュータ将棋ソフトと言っても、それぞれが異なる考えの元に作られていることが伺えます。 投了までの指し手 ⇒ <投了まで>将棋棋譜速報 将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE(将棋上達の探求) コンピュータが2八角という悪手を指す可能性があることを事前研究で知っていた阿久津主税八段の作戦勝ちになったようです。 【放送事故】 わずか21手、ソフトまさかの投了!? △2八角を打ち、劇的な幕切れ! 解説付き 【将棋電王戦FINAL第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE】 投了直後の実況解説者の説明:「この局面だけを解説しますと2八角はいずれ安い駒としか交換できない、角と桂の交換くらいになってしまうんですね。後手は 大幅な駒損をしますので、まあ正直プロ的にはこの局面は大差です。先手が大優勢です。(後手は2八角を)打ってしまってはいけないですね。なので、局面だけみたら確かに、先手がはっきり大優勢なんですけど。」 【将棋】 対局直後のインタビュー + 投了局面以下の解説 【将棋電王戦FINAL第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE】 対局直後の囲み取材における阿久津八段のコメント:「(2八角という手について)今回(事前)貸し出しというルールで、貸し出ししてもらって3日目か4日めくらいにいろいろな形を試しでやっていた中で、コンピュータ将棋の中では有名な筋なんですかね、試しにやってみたら打ってくることもあるということで、そのときから知ってました。(こういう作戦を使うことの葛藤みないなものはありましたか?)普段(棋士同士では)全然やらない形なので、そういう葛藤ももちろんありましたけど。やはり団体戦ということもありますし、2勝2敗で結果を求められているということもあったので、一番勝算が高い形を取るべきかなと思いました。結果に関しては素直に嬉しいという感じではないですけど、とりあえず良かったかなと思います。」 対局直後の囲み取材における巨瀬亮一氏のコメント:「この形に誘導されると(持ち時間が)長時間でもかなりの確率で2八角を指してしまうのがわかっていたので、1六香と上がった時点で投了しようと思っていました。すでにアマチュアの方が指されていた形なので、ちょっとプロとしてはやりづらいんじゃないかと思っていました。(2八角の手に気付いたのはいつ?)全然気付いていなくて、『勝ったら100万円!』のときに気付きました。(改善できないのか?)評価関数で玉の近くに馬ができるのを過大評価してたりするので、評価関数の表現能力の限界があるというか。角が殺されるまでわからなくて、結構枝刈りしてしまうので、この手を指してしまうということですね。」 二コファーレ会場の聞き手:「100万円チャレンジでこの2八角が出て、巨瀬さんはこれで知ったということでしたけども、阿久津八段はもっと早くから知っていたということですかね。」 二コファーレ会場の解説者 森内俊之九段:「貸し出しがあって三日目くらいで自分で気付いたということで、相当調べたんだなということは感じました。」 まさに、米長邦雄 永世棋聖が亡くなる前に予言した通りのことが起きました。 【ニコニコ動画】米長邦雄永世棋聖インタビュー 第2回将棋電王戦 このインタビューの中で米長永世棋聖は、棋士が自分を殺して、コンピュータの欠陥やソフトの意外な弱点を突き、見ている人間につまらない将棋だなと思ってもらえればプロが勝つという不思議なことになるだろう、と話しています。 将棋電王戦FINAL 第5局 阿久津主税八段 vs AWAKE …

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人工知能と人間の頭脳との戦い 将棋電王戦がいよいよ最終章へ

2012年1月に米長邦雄 永世棋聖がコンピュータ将棋プログラム「ボンクラーズ」(伊藤英紀氏が開発)と対局したのが、将棋電王戦の始まりでした。翌年からは5対5の団体戦の形で開催されてきましたが、2015年の第4回将棋電王戦はFINALと銘打たれており、これが最後となる予定です。 これまでの対戦成績は、 第1回 将棋電王戦 一番勝負 持時間各3時間 2012年1月14日 ● 米長邦雄永世棋聖  ボンクラーズ/ 伊藤英紀  ○ 第2回 将棋将棋電王戦 五番勝負 持時間各4時間 2013年3月23日 第1局 ○ 阿部光瑠四段 習甦/竹内章 ● 2013年3月30日 第2局 ● 佐藤慎一四段 ponanza/山本一成 ○ 2013年4月 6日 第3局 ● 船江恒平五段 ツツカナ/一丸貴則 ○ 2013年4月13日 第4局 持将棋 塚田泰明九段 Puella α/ 伊藤英紀 …

電王戦 村山七段がponanzaに敗れる

2015年4月4日(土)、奈良薬師寺の舞台で将棋電王戦FINAL第4局が行われ、村山慈明 七段がponanza(ポナンザ)に敗れるという結果になりました。 棋譜が見られるブログ ⇒ <投了まで>将棋棋譜速報 将棋電王戦FINAL第4局 「ponanza」対「村山慈明七段」(将棋上達の探求 2015年04月04日) ponanzaの初手は7八金。一般的には7八金に対しては振り飛車をするのが有利になりやすいと言われるそうですが、村山七段は振り飛車は選びませんでした。村山七段はコンピュータ将棋対策として「相横歩取り」というプロ同士ではさほほど多くみられない戦型に持ち込みました。しかし、「攻めのponanza」は予想に反して21手目で3六飛と引いたため、飛車角総交換などの激しい戦いへ進まず、力戦(りきせん)模様となりました。解説者によると19手目の7七歩はここ40年くらいないそうで、 コンピュータ将棋らしくponanzaは常識にとらわれない手を指したようです。97手までで先手番ponanzaが勝利。 将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 1/ 将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 2/ 将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 3/ 将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 4/ 将棋電王戦FINAL 第4局 村山慈明七段 vs ponanza 5/ 対局後の記者会見では東(あづま)将棋連盟常務理事が、序盤研究の第一人者である村山七段が序盤から押されぎみの展開になるなどponanzaの実力が際立っていたと述べました。 村山七段は今回の対ponanza戦に向けてこの半年間、ponanzaと練習対局をして研究を重ねてきましたが勝率が1~2割あったかどうかというくらいに強い将棋ソフトだったそうです。将棋電王戦FINALのに参加したことで得られた収穫は何かと聞かれて、けっこう棋風かわったねと言われるくらいの影響を受けており、ponanzaに引き上げてもらった部分もあると、率直にponanzaの実力を認めていました。 参考 「将棋電王戦FINAL」第4局村山七段が敗れ2勝2敗に並ぶ、決着は最終局へ(マイナビニュース 2015/04/04):”終局後の会見で村山七段は「相横歩取りは、練習では激しい将棋になることが多かった。本譜は練習でほとんど指されず、研究していない形になってしまった。いい将棋が指せなくて残念です」と肩を落とし、ponanzaの開発者・山本一成氏は「力が出やすい展開になって、序盤の分かれは悪くないのではと思っていた。両者勝ち越しをかけて第5局を戦うのは初めて。つなげることができたと思う」と語っていた。” ponanzaが完勝しコンピューター側が2勝2敗のタイとなる|将棋電王戦FINAL(週アスPLUS 2015年04月04日) 将棋電王戦FINAL第4局、ponanzaが「将棋の定跡に重大な問題提起」した構想で村山慈明七段に完勝 …

将棋電王戦を戦う棋士たちへ、米長 永世棋聖

2012年1月に第1回電王戦を戦った米長邦雄 永世棋聖(1943-2012)がコンピュータとの対戦に関してどのような考え方を持っていたのかがわかる非常に興味深いインタビューです。 【ニコニコ動画】米長邦雄永世棋聖インタビュー 第2回将棋電王戦 電王戦に出たいきさつ 00:09 僕が棋士の中じゃ一番コンピュータというものをいろいろ研究していたので、僕が出るよりないと思って出たんですけどね。まさか、負けるとは思わなかった。 コンピュータに敗れた理由 00:34 当日の対局でやり損なったことが悔やまれます。コンピュータ相手には、気合とか、一手違いの読み比べとか、そういうものを出したときは人間がだいたい負けるんですね。コンピュータ相手に戦っているということを最初から最後まで意識してやらないとダメなんです。すごく根気が要るんです。自分を殺しながらずーっと一手一手やっていきますのでね。そのまま続ければよかったんですけど、やっぱり、暴発というんですかね、やっぱり人間らしい手を指しちゃったというところが。まあ、人間同士だったら魅力ある手だったんですけど、コンピュータにはそれは通用しなかったということですね。 1:46 僕の作戦はコンピュータの弱点を突いていくということで、途中まではうまく行ったんですけどね。やっぱりイライラしてくるもんでね。「やっちまえ!」というのが裏目に出たということです。 電王戦の企画について 02:00 (電王戦の企画について)ドワンゴの川上会長が1対1で毎年やっていくよりも、いっぺんに五局でやろうと言っていただいたので、それじゃやりましょうということで。やっぱりファンが喜んでもらえるかどうかとうことが一番大きいですね。 コンピュータに勝つための戦略 03:18 コンピュータの素晴らしさは素晴らしさで、これは人間がかなわないんだということを人間のほうが悟って、その上で、コンピュータには人間に及ばない欠陥があると、その欠陥は何であろうかということを、プロ棋士が真剣に考えて対応すれば、人間が負けることはない。コンピュータの研究成果は一部に特化していると思うんですね。人間同士で戦うということでなくて、コンピュータというものがどういうものかということを知って対局に臨めば、プロ側が勝つのだろう。5人ともプロ棋士相手に指すつもりで練習している場合は、五戦全敗だと思う。コンピュータと戦っているんだと切り替えさえすれば、プロがいけると思っている。 コンピュータに勝つために必要な態度 04:45 今年の1月14日に指した将棋で2手目に6二玉と指したんですけど、人間には非常に評判悪かった。人間同士の戦いの中ではあれは悪手(あくしゅ)なんですね。しかしコンピュータの弱点を知って指した手としては、あの時点では最善だったと思うんですね。しかし、コンピュータのほうも研究を積み重ねて、その6二玉はもう古い手だと、プログラムをいろいろ変えてやってくると思う。だけど、どこまで変えていってもコンピュータにはコンピュータの限界があるのであって。人間はあまりにもコンピュータを知らなさ過ぎる。人間相手ではなくてコンピュータと戦うということに切り替えられるかどうか、そこが見所ですね。 コンピュータ対プロ棋士の対局内容の未来 06:59 つまらん将棋だなと思ってもらえればプロが勝つという、不思議な内容になると思う。プロが自分を殺して、コンピュータの長所、弱点を知り尽くした上で指せるかどうかっていうことで。格好いいとこ見せようとか、こういうふうにやろうとプロが考えたときには、プロが負けるときだと思うんですね。 07:54 コンピュータがあまりにも強すぎる。人間同士の戦いにいきなり持ち込んでると、コンピュータにひどい目に会いますので。意外な弱点をプロが的確に突けるかどうか。 電王戦出場棋士の人選 9:18 来年、再来年どういうふうになっていくかということですけれども、この形態を続けていくとすれば、コンピュータが強くなって人間を引き離すというよりも、コンピュータを研究するプロ棋士が頑張って、逆に人間のほうが有利になってくるんだろうという気がしますね。四段でも、羽生でも渡辺でも、プロ側の人選をどうしたから、タイトルを持っているから強いとか、四段だからダメとか、引退したから弱いとか、そういうレベルでなくてですね。コンピュータをどこまで研究しているかどうかにかかっているのであって。強い棋士が出たからプロが勝つというとうことではないのだろうと思うんですね。 電王戦の意義とは? 10:28 一番大事なことは共存共栄でね。コンピュータ将棋に我々プロの棋士がどれだけ貢献できたかということが一つ。それと、人間と違う異次元のものが出てきたということでプロも頑張ると。ファンが喜ぶかどうかということが大きいと思うんですね。 11:28 おい、みんな頑張れよ! 参考 第2回電王戦(ニコニコ大百科):第2回電王戦とは、2013年に5人のプロ棋士と5組のコンピュータ将棋プログラムによって行われた将棋棋戦である。当初の予定では、第1回から1年に1戦ずつ5年間で計5回戦行われる予定だった。しかし、2012年1月14日に行われた第1回戦米長邦雄永世棋聖 VS ボンクラーズ終了後の記者会見で、急遽その話は白紙となり、2013年はプロ棋士5人VSコンピュータ5ソフトの一斉対局が行われることになった。  

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将棋電王戦FINAL第三局:稲葉 陽 七段、やねうら王に敗れる

2015年3月28日(土)に函館の五稜郭で行われた将棋電王戦FINAL第三局は、稲葉 陽 七段が「やねうら王」に敗れました。これで、人類2勝コンピュータ1勝になり、人類悲願の勝ち越しは来週行われる第四局の村山慈明 七段に託されることになりました。 棋譜再生 ⇒ 電王戦FINAL 第3局 ▲稲葉陽七段 – △やねうら王(ロックショウギ) 開始日時:2015/03/28 10:00 終了日時:2015/03/28 20:02:06 棋戦:電王戦FINAL第3局 先手:稲葉陽 七段 後手:やねうら王 ▲2六歩 △8四歩 ▲7六歩 △8五歩 ▲2五歩 △3四歩 ▲7八金 △8六歩 ▲同 歩 △同 飛 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △3二金 ▲3四飛 △3三桂 ▲3六飛 △4二銀 ▲9六歩 △4四歩 ▲5八玉 △6二玉 ▲3八金 △1四歩 …

永瀬六段2七角成らずで見せた勝負師の真髄

2015年3月21日(土)電王戦FINAL第2局 永瀬拓矢 六段 vs 「Selene」が高知城で開催されました。 こちらの動画は対局前のPV. 将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢 六段 vs Selene (YOUTUBE削除済) とりあえず当日の棋譜を今すぐ見たい方はこちらで見られるようです。 電王戦FINAL 第2局 ▲Selene – △永瀬拓矢六段 棋譜再生(ロックショウギ) 将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene 電王戦 棋譜 (ニコニコ静画)(niconicoアカウントが必要) 電王戦 棋譜 将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene / 電王戦 – ニコニコ静画 (マンガ)   解説が行われたニコファーレからの放送。司会進行役は本田小百合女流三段、ニコファーレ会場での解説は屋敷伸之九段と広瀬章人八段、もう1人の聞き手に井道千尋女流初段という顔ぶれです。 将棋電王戦FINAL …

電王戦FINAL第2局 永瀬拓矢 六段 vs Selene

2015年3月21日(土)に将棋電王戦FINAL第2局が高知城で行われ、永瀬拓矢六段とコンピュータ将棋不ソフト「Selene」が対戦しました。 解説者の1人、佐々木勇気五段によれば、昔はコンピュータが人間に勝てたら凄いという状況だったのに、コンピュータ将棋が強くなりすぎたために、最近では人間がコンピュータに勝てたら凄いという状況に変わってしまったそうです。そのため、電王戦のような非常に大きな注目を集める舞台なら若手であれば誰でも出てみたいところですが、勝つことが容易ではないため、必ずしも誰もが出たいと思うわけではないとのこと。また、コンピュータとの対戦のための研究に時間を割くくらいなら、羽生善治棋士棋士など上位の棋士らとの対局に向けた研究に時間を使いたいという気持ちもあるそうです。電王戦FINAL出場というオファーを受けて立つということが棋士にとっていかに大変なことかがよくわかる率直な解説でした。 昨年度の電王戦に出場した屋敷伸之九段は今回はニコファーレの会場で解説者の立場で参加しており、とても楽しそうにリラックスして見えました。ちなみに、屋敷伸之九段の弟子である伊藤沙恵女流初段は今回、大盤解説会場高知城ホールで瀬川晶司五段の解説の聞き手を務めましたが、「聞き手」デビューだったそうで、カメラを向けられた状態でかなり緊張していた様子でした。 夕方、16時45分頃の形勢判断では、今回の立会人を務める三浦弘行九段によると、五分五分。トータルで永瀬六段にちょっと傾いているのは、「希望」なんだそうです。三浦九段が部屋に現れる前に時間があったため、山口恵梨子女流初段が瀬川晶司五段の評も聞いていましたが、瀬川五段も総合的には五分五分という判断でした。   17時に夕食に入る前の局面。この時点でのニコファーレの会場での解説は広瀬章人八段と井道千尋女流初段。   夕食休憩中の現地(高知)における検討。熊倉紫野女流初段、急遽助っ人として解説に参入した片上大輔六段と、瀬川晶司五段。 18時35分頃。ゲストに、来週「やねうら王」と対戦する稲葉陽七段が登場。形勢判断は、ややSELENE有利か。 永瀬六段がやや劣勢という重苦しい状況の中、解説者たちの検討で、実は次に1六角が良いのではないかということになり、少し光が差します。果たして永瀬六段は1六角と打つのかどうか?   次に、永瀬六段が指した手はまさにその1六角でした。視聴者は大いに盛り上がります。   ところが、視聴者の期待と予想をはるかに上回ることが次に起きました。   解説者も仰天した、2七角「成らず」。相手が人間であれば、相手を挑発するために成らずにしたのかとも思えますが、永瀬六段にはどうやら意図があったようです。 勝負の結末は突然訪れました。角の「成らず」に対応していなかったSeleneが「投了」してしまいコンピュータはそこで停止してしまったのです。Selene開発者の西海枝昌彦氏が事情を説明。 あまりの予想外のことに、どう対応すべきなのかを決めるため立会人たちは緊急の協議に入りました。何が起きたのか分からない人が多かったようです。 19時50分ころ、将棋連盟理事の片上大輔六段から説明がありました。永瀬六段が指した2七角「成らず」(王手)をSelenega認識できず、王手されたのにそれを放置して2二銀の手を指してしまったことにより終了したようです。後の記者会見で説明がありましたが、記録としては「王手放置による先手の反側負け」だそうです。 対局後に永瀬六段が心情と読み筋を自ら解説しました。後で行われた記者インタビューのときにも説明していましたが、Selenetono練習対局でこのソフトの「バグ」は把握していたそうです。ただし本番のソフトでそれが修正されている可能性まで考え、成っても成らなくても損得が変わらない局面になったら使おうと考えていたとのこと。また、相手に長考させて持ち時間を削る効果があればそれだけでも使う意味があると考えていたそうです。自分の中では勝ちを確信した局面での2七角「成らず」。立会人を務めた三浦弘行九段も、永瀬六段が勝った局面だったことを確認しました。つまり相手のバグを利用しようがしまいが永瀬六段が勝っていたということで、実に見事な勝ち方でした。 勝敗が確定したところで、両者が挨拶。電王手さんもお辞儀できます。 最後のSeleneの「2二銀」という指し手をなぜ電王手さんが実際に指さなかったかに関しては、西海枝昌彦氏が記者会見で説明していました。Seleneが直接電王手さんを動かしているのではなく、間に将棋エンジンが入っていて、Seleneがあり得ない手を将棋エンジンに渡した場合には将棋エンジンが「負け」を返すという仕組みがあるためだそうです。 Seleneは非常に強いソフトで永瀬六段は練習対局ではあまり勝てていなかったそうです。特に持ち時間が少ない設定の場合にはSeleneが圧勝だったそうで、5時間くらいでやると勝てるかなという程度の勝算だったとのこと。序盤からいやな展開になって永瀬六段はかなり辛抱を強いられましたが、最終的には劣勢を引っくり返して、勝ちに持ち込みました。解説者は永瀬六段のことを、99%勝ちの状況を100%にするためにあえて相手の「バグ」を利用する手まで使ったおそるべき勝負師だと評していましたが、本番で非常に強い力を発揮した永瀬六段に多くの人が感銘を受けた一戦でした。インタビューの席で西海枝昌彦氏はこの「バグ」に関しては申し訳なかったと恐縮していましたが、このことは勝負の決着をドラマチックなものにはしましたが、実際の対局内容には影響しなかったのも幸いでした。 参考 将棋電王戦FINAL 第2局 永瀬拓矢六段 vs Selene (ニコニコ生放送) 対局会場・現地大盤解説会場(ニコニコインフォ)【第2局:高知・高知城】3月21日(土) 永瀬拓矢 六段 vs Selene 現地大盤解説会場:高知城ホール 解説:瀬川晶司五段、佐々木勇気五段 聞き手:熊倉紫野女流初段、伊藤沙恵女流初段 「将棋電王戦FINAL」開催概要(日本将棋連盟):第2局 3月21日(土)10:00対局開始 △永瀬拓矢六段 vs ▲Selene 対局会場:高知城 <高知県高知市丸ノ内1-2-1>、大盤解説会場:高知城ホール(解説:瀬川晶司五段、佐々木勇気五段/聞き手:熊倉紫野女流初段、伊藤沙恵女流初段)、ニコファーレ(解説:屋敷伸之九段、広瀬章人八段/聞き手:本田小百合女流三段、井道千尋女流初段) 【将棋】えりりんと勝又清和六段の現地リポート(YOUTUBE動画):観戦リポーターを務める山口恵梨子女流初段と勝又清和六段 サークルKサンクス様の渋皮和栗のモンブラン。もう一個頂きました。局面は中盤ですね。75歩から一気に開戦しそうな雰囲気です。 …