細胞傷害性T細胞とは
細胞傷害性T細胞(cytotoxic T lymphocyte; CTL)は、リンパ球T細胞の一種で、宿主にとって異物である細胞すなわち、移植細胞、ウイルス感染細胞、癌細胞などを認識して破壊する。(参照:ウィキペディア)
細胞傷害性T細胞の呼称
細胞傷害性T細胞は、キラーT細胞、CD8陽性T細胞、CD8+T細胞などとも呼ばれる。(参照:ウィキペディア)
細胞傷害性T細胞の分化
未分化のT細胞は、CD4分子と、CD8分子の両方を発現している(ダブルポジティブ)。T細胞が成熟するにつれ、分化をしていき、CD4とCD8のどちらか一方しか発現しなくなる(シングルポジティブ)。CD8分子を発現しているT細胞がキラーT細胞へと分化する。他方、CD4分子を発現しているT細胞はヘルパーT細胞へ分化する。(参照:ウィキペディア)
細胞傷害性T細胞の活性化
抗原刺激を受ける前のキラーT細胞は、細胞傷害活性を持たないナイーブCD8陽性T細胞であるが、抗原刺激を受けを受けて活性化し、細胞傷害活性を持つようになる。(参照:ウィキペディア)
細胞傷害性T細胞の活性化のしくみ
抗原提示細胞(APC)が、ナイーブCD8陽性T細胞に対して、異物の「抗原ペプチド」(ウイルスや細菌などの抗原を分解したペプチドのこと)クラスI主要組織適合抗原(MHC-class I)と共に提示する。ナイーブCD8陽性T細胞は、T細胞受容体(TCR; T cell receptor)を介してそれを認識する。これと同時に「共刺激分子」からのシグナルが入っていると(後述)、ナイーブCD8陽性T細胞はこの異物の抗原ペプチドを提示する細胞に特異的な細胞傷害活性を持つようになる。(参照:ウィキペディア)
共刺激
- T細胞活性化におけるCD137受容体の役割 (Immuno-Oncoloy)
- T細胞の活性化 (Immuno-Oncology)
殺すべき細胞をキラーT細胞が認識する仕組み
ほとんどの細胞は、細胞表面にMHC(主要組織適合性複合体)クラスIという分子を持っていて、普段はMHCクラスIの上に自分自身の抗原をを乗せて細胞表面に提示している。この「目印」のおかげで、キラーT細胞からの攻撃を受けずにすんでいる。しかし、細胞が病原体に感染すると、MHCクラスIの上に(自分自身の抗原ではなく)病原体由来の抗原を乗せて細胞表面に提示する。これが目印となり、病原体に感染した細胞はキラーT細胞に殺傷される。(参照:理研プレスリリース解説 平成28年)
病原体や癌細胞の抗原がT細胞に認識される様子をまとめた下の図がわかりやすい。
(出典:京府医大誌 126(6),377~389,2017)
キラーT細胞が相手の細胞を殺す仕組み
CTLは細胞傷害物質であるパーフォリン、グランザイム、 TNF (tumor necrosis factor)などを放出したり、ターゲット細胞のFasを刺激してアポトーシスに陥らせることで異物を攻撃する。(参照:ウィキペディア)
キラー細胞が標的細胞を認識すると細胞間隙にパーフォリンやグランザイムBなどを含む顆粒成分が放出される.また, キラー細胞表面上に発現したFasL, TRAIL,TNF-α,TWEAKといったTNFファミリー分子が標的細胞上に発現している各々の対応するレセプターに結合することによって,標的細胞に細胞死が誘導される.(Inflammation and Regeneration Vol.23 No.3 May 2003 PDF)