Category Archives: がん

尿1滴で網羅的ながん検査ができるN-NOSE(エヌノーズ)

尿1滴で網羅的ながん検査ができるN-NOSE(エヌノーズ)のCMを見かけました。線虫を使ってがんの診断ができるという研究成果は以前からあちこちで紹介されていましたが、ずいぶんと大々的に販売プロモーションをかけているようです。東山紀之さんがTVCMに起用されています。

エヌノーズ【N-NOSE】TVCM / 東山紀之「告白1 受けていない人」篇 2021/10/29 HIROTSUバイオサイエンス

 

がん検査・早期発見の重要性

  • 癌は、早期であればある程、診療にかかる精神的・身体的・経済的・社会的負担が軽く、根治の可能性も高い。進行すればする程、根治の可能性は低下し、切除不能の進行再発癌に至っては、多大の負担と損失のうえ、延命治療となる現実がある。
  • このため、いずれの年齢や社会においても、癌を早期発見・早期治療できれば、様々な場面において負担と損失が小さくできることは明白である。
  • しかし、早期癌では症状が無い事が一般的であり、受診者は癌検診を受けるためのモチベーションに欠けるのが現実である。
  • 簡単で安価、多くの人を対象として施行可能で高精度な癌検診法が新たに開発・応用されれば、世界の癌診療に革命をもたらすと言っても過言ではない。

線虫の嗅覚を用いた癌検出法 (WO2015088039A1 patents.google.com)

 

線虫の嗅覚

N-NOSEは、線虫の嗅覚の感度がずば抜けていることが基盤となっています。HIROTSUバイオサイエンスを起業した代表取締役の広津崇亮氏は学生のときに線虫の嗅覚の研究を開始したそうです。

Hirotsu T., Saeki S., Yamamoto M. and Iino Y. The Ras-MAPK pathway is important for olfaction in Caenorhabditis elegans.  Nature, 404, 289-93 (2000)https://www.nature.com/articles/35005101

その後、広津氏は2013年にがん患者の尿と健常者の尿を線虫が嗅ぎ分けることができることを発見したそう。

  1. A Highly Accurate Inclusive Cancer Screening Test Using Caenorhabditis Elegans Scent Detection. Hirotsu T., Sonoda H., Uozumi T., Shinden Y., Mimori K., Maehara Y., Ueda N., Hamakawa M. PLOS ONE, 10(3):e0118699(2015)
  2. 線虫嗅覚によるがん検査 Cancer screening test using C. elegans scent detection. 広津 崇亮 Hirotsu T. アロマリサーチ Aroma Research,16,134-136 (2015)

 

線虫の嗅覚を用いた癌検出法(特許)

一部を抜粋して紹介。

  1. 【請求項1】被検者由来の生体関連物質又はその処理物の匂いに対する線虫の反応を指標として癌を検出することを特徴とする癌の検出方法であって、被検者由来の生体関連物質又はその処理物の匂いに対して、線虫が正の応答を示したときは、当該応答結果は、被検者は癌である、又は癌のリスクがあると判定することの指標となり、生体関連物質又はその処理物が、体液、細胞、組織、又は細胞若しくは組織の培養物若しくは保存液である、前記方法。
  2. 【請求項4】被検者由来の生体関連物質又はその処理物の匂いに対するトランスジェニック線虫のカルシウム濃度の変化を指標として癌を検出することを特徴とする癌の検出方法であって、前記トランスジェニック線虫は、カルシウム結合タンパク質及び蛍光タンパク質をコードするインディケーター遺伝子を発現させてあり、
    被検者由来の生体関連物質又はその処理物を前記トランスジェニック線虫に刺激として与えたときの、インディケーター遺伝子によりコードされるインディケータータンパク質から発する蛍光の蛍光強度比の変化又は蛍光強度変化が、対照の生体関連物質又はその処理物を使用したときの蛍光強度比の変化又は蛍光強度変化と比較して大きいときは、当該比較結果は、被検者は癌である、又は癌のリスクがあると判定することの指標となり、前記生体関連物質又はその処理物が、体液、細胞、組織、又は細胞若しくは組織の培養物若しくは保存液である、
    前記方法。
  3. 線虫は匂い物質に対して、寄る、逃げるといった化学走性を示すことから、本発明においては、この行動を指標として癌の匂いに対する線虫の反応を調べる。健常者、及び癌患者の尿に対する線虫の反応を調べたところ、健常者の尿に対しては忌避行動を、癌患者の尿に対しては誘引行動を示し、30検体を調べその精度は100%であった(図1)。また、早期癌を含む、胃癌、結腸・直腸癌、膵臓癌の全てに反応したことから、がん探知犬の行動と同じく、様々な癌に共通した、癌特有の匂いに反応している事が示された。
  4. 早期癌を検出することが可能である。ステージ0、1の早期癌についても、高精度で検出可能である。尿を採取した時点(2011年)で既存の腫瘍マーカーで陰性と判断された検体について、このテストでは陽性を示した。この患者は、経過観察中の2年間に癌を発症した。すなわち、既存の腫瘍マーカーでは検出できない癌を、本発明により検出することが可能である。
  5. 一度の検診で多くの種類の癌について診断することができる。これまでのところ、胃癌、結腸・直腸癌、食道癌、膵臓癌、前立腺癌、胆管癌、乳癌、悪性リンパ腫、消化管間葉性腫瘍、盲腸癌、肺癌について検出可能であることを確認している。
  6. 30検体のテストでは100%の感度・特異度で検出が可能であった。さらに、中規模テスト(242検体)を行っても、癌患者について100%の感度・95%の特異度で検出が可能であった。

引用元:https://ipforce.jp/patent-jp-B9-6336481 https://patents.google.com/patent/WO2015088039A1/ja


 

Q&A

  1. がんの匂い物質の正体は? ⇒ まだわかっていない。
  2. 線虫でがん検出という発想はどこから? ⇒ がん探知犬の話は聞いたことがあったので、犬でできるなら線虫でも。
  3. 課題は? ⇒ いかに多くの人が受けられるように広げるか。

参照:日立財団高尾記念科学技術セミナー2017.10.15国立科学博物館

 

研究者から事業家へ

元々私は理学部にいたので、正直なところずっと基礎研究にしか興味がありませんでした。… 線虫の嗅覚が優れているのであれば、その機能を世の中の役に立たたせることが出来るのではないかと閃きました。… 2015年の3月に、線虫ががんの匂いを識別する内容の論文を発表しましたが、その当時私は理学部の教員でしたので、実用化は誰かがやるだろうと他人任せにしていました。… 2015年に取材を受けた時、当初は気楽に「実用化は10年後くらいですかね。」と答えていたのですが、このままでは10年後といわず永遠に実用化は不可能だと思い、論文発表の半年後に起業する決断をしたわけです。… 当時は九州大学の教員でしたので兼業という形でやっていました。… 結果失敗しました。ちょうどそのベンチャーを畳む時に今の創業メンバーと知り合いました。… 「あなたが社長をやりなさい!技術の体現をしているのはあなただけなのだから、あなたが先頭に立たないと皆に信用してもらえない。」と言われまして、その時は半信半疑でしたが社長になる決断をしました。(『線虫を用いたがん撲滅への飽くなき挑戦』〜線虫嗅覚センサーを利用した革新的がん検査〜 hbio.jp)*太字強調は当サイト

 

参考

  1. https://lp.n-nose.com/
  2. HIROTSU BIOSCIENCE
  3. 世界初の線虫がん検査で世界を変える大学発ベンチャー 2019年 1月 21日 中小機構
  4. エイベックス・ヘルスケアエンパワー合同会社(平成3年7月~社名変更 旧社名:エイベックス&ヒロツバイオエンパワー合同会社 AVEX & HIROTSU BIO EMPOWER LLC )
  5. 一般社団法人 Empower Children

  6. 尿1滴で、線虫が早期がんを嗅ぎ分ける! ――95.8%という驚きの高感度 2016年3月17日 IBM 廣津崇亮(ひろつ・たかあき)九州大学大学院理学研究院生物科学部門助教1972年生まれ。1997年、東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻修士課程修了。サントリーでの勤務を経て、1998年、再び東京大学大学院理学系研究科生物化学専攻へ。博士課程で、線虫の嗅覚について研究を開始。2001年、博士課程修了。博士号取得。その後、日本学術振興会特別研究員(東京大学遺伝子実験施設)、京都大学大学院生命科学研究科ポスドク研究員を経て、2005年より現職。

日本が2050年までに実現させるムーンショットな研究テーマ6個

1000億円を使って実現させる夢のある(?)実現が無理そうな(?)研究を助成するムーンショット制度のテーマが発表されていました。これは研究者の自主性やユニークなアイデアが尊重される科研費のようなボトムアップ型の助成とはことなり、国策として選定された研究領域を重点的に支援するトップダウン型の研究助成です。

研究領域の設定を間違うと、やる価値のない研究に莫大な研究費を投入してしまって、全てが無駄になります。また、研究領域を設定する段階ですでに採択されそうな研究者が決まっている場合には、研究費配分の公正さに疑問が付きます。

以前、公募された中から絞られたムーンショット研究課題の候補を紹介しましたが(記事)、最終的にはどのような研究テーマが設定されたのでしょうか?

世の中の反響(ツイート)とともに紹介します。

ムーンショット目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」

人がカラダから解放されるというのは、脳を直接ロボットにでもつなぐのかなと思いました。しかし、脳からも解放するというので、だとしたら人間から「意識」を吸い出してそれを、人工知能にコピーするのかな。そうすれば、クラウド上に自分の意識が存在して空間や時間の制約からも解放されたことになりそう。しかし、電気代がかかるので、エネルギーの制約からは逃れられない。

あるいは、人間死んだらカラダからも脳からも空間からも時間からも解放されるってことか。2050年までに人類が滅んで、死んだあと霊魂になっていれば、霊魂の集まりとしての社会は存続できそう。

SFなのかオカルトなのかわからない、全く見通しのない研究テーマに思えます。

 

 

ムーンショット目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」

がんのリスクとなる遺伝はすでに多数同定されていることを考えれば、超早期に疾患の予測を行うことは、かなり現実的。予防にまでつなげるのはチャレンジですが、この研究テーマが一番内容がわかりやすく、かつ、実現が可能そう。

 

ムーンショット目標3:2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現

「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」

自ら学習し行動するロボットに何をさせましょうか。自分の代わりに職場に出かけていって仕事をするロボットとか。自分の代わりに東大を受験して合格してくれるロボットとか?(関連記事

 

ムーンショット目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

資源ごみはリサイクルしましょうという運動の徹底か。

 

ムーンショット目標5:2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

未利用の生物機能ってなんでしょう?遺伝子組み換え作物をもっと市場に流通させることとか。

 

確かに目標1を達成すれば、他の目標に取り組む必要が無さそう。こういう場合には、目標1を全力で達成させることが肝要かと。

 

ムーンショット目標6:2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現したところで、経済、産業安全保障を発展させるのは所詮、人間の役割であって、別にコンピュータが何かしてくれるわけではないでしょう。コンピュータを使う人間の精神が発展していなければ、どうしようもありません。


 

 

 

1000億円を月に向かって放り投げるのではなく、1000億円を使って、研究の種を地面にまけばよいのに、と個人的には思います。地に足の着いた研究でない限り、発展は見込めません。

 

ムーンショット説明会日程

何しろ1000億円ですから、多数の研究者からの応募が殺到することが予想されます。

 

とはいえ、ムーンショットで何を実現したいのか全く意味不明のテーマが多くて、いったいどんな研究課題なら採択されるのかが、わかりにくいです。

 

トップダウン型の研究助成ですので、まずその趣旨を理解することが採択のカギを握ります。ムーンショット研究の趣旨説明のための説明会が全国で開催されますので、お出かけしてみてはいかがでしょうか?

 <大阪会場>  map
2月26日(水)10:00~15:15
新大阪丸ビル別館 10F 10-1号室 (大阪府大阪市東淀川区東中島1-18-22)
▶構想ディレクター(PD)登壇予定: ムーンショット目標1,2,3,6
 <東京会場 ①> map
2月28日(金)10:00~15:15
科学技術振興機構 東京本部別館1階ホール(東京都千代田区五番町7 K’s五番町)
▶構想ディレクター(PD)登壇予定:  ムーンショット目標1,2,3,6
<仙台会場>  map
3月4日(水)10:00~14:35
TKPガーデンシティ PREMIUM仙台東口10階 ホール10A(宮城県仙台市宮城野区榴岡3-4-1)
▷録画映像放映 【注1】構想ディレクター(PD)の登壇はありません。
<福岡会場>  map
3月9日(月)10:00~14:35
TKP博多駅前シティセンター8階 ホールA(福岡県福岡市博多区博多駅前3-2-1)
▷録画映像放映 【注1】構想ディレクター(PD)の登壇はありません。
<東京会場 ②> map
4月1日(水)10:00~15:15
科学技術振興機構 東京本部別館1階ホール(東京都千代田区五番町7 K’s五番町)
▶構想ディレクター(PD)登壇予定:  ムーンショット目標1,6 【注2】 ▷録画映像放映

要申し込みです。

→ 参加申し込みフォームのウェブページ(JST)

 

参考

  1. MOONSHOT ムーンショット型研究開発事業(JST) :JSTが管轄するムーンショット研究に関するウェブサイト

肝腫瘍に対する経皮的ラジオ波凝固療法(Radiofrequency ablation; RFA)

経皮的ラジオ波凝固療法の実際

Radiofrequency ablation of liver tumors • Oncolex 2013/09/13 Institute for Cancer Genetics and Informatics

 

Radiofrequency ablation (RFA)の原理

実際に右の腎臓のところにできた腫瘍をRFAで焼き殺して治療している例。

Radiofrequency Ablation 2013/06/22 Doctor Klioze

肝臓がんについて

肝臓がんの概観

Liver Cancer | Advancements in Treatment Options 2017/06/05 Johns Hopkins Medicine

治療方法について

肝臓がんの治療方法は多様であり、がんの状態に合わせて選択されるそうです。下の動画では、UCLAの放射線医が、インターベンショナルラジオロジー(Interventional Radiology; IVR)による治療として、Thermal ablation(Radiofrequencey Ablation (RFA)経皮的ラジオ波焼灼療法), Microwave Ablation (MWA))、 Transarterial chemoembolization (TACE)、 Transarterial Y90 Radioembolizationの3つの方法を紹介しています。

Minimally Invasive Treatment for Liver Cancer – Sid Padia, MD | UCLAMDCHAT 2017/10/17 UCLA Health

がん免疫療法 免疫チェックポイント阻害薬(ICI) Ipilimumabの効果 ~抗CTLA-4抗体~

2018年に本庶佑博士とともにノーベル医学生理学賞を受賞したジェームス・アリソン博士が、最初の臨床試験のことを語るインタビュー動画。

2015 Lasker DeBakey Clinical Medical Research Award 2015/09/07 Albert and Mary Lasker Foundation

Talks@12: Immunotherapy: An Answer to Cancer? 2017/11/07 Harvard Medical School

 

抗CTLA-4抗体(免疫チェックポイント阻害薬)の最初の臨床試験で効果があった患者さんのストーリー

Sharon Belvinさんのストーリー

上の動画でも登場したSharon Belvinさんのストーリー。

She’s the Answer to Cancer…and So Are You 2016/05/06 Cancer Research Institute

  1. Milestones in Medicine: How Immunotherapy Began in Cancer Care A look back at how immunotherapy began in oncology. (ARLENE WEINTRAUB SEPTEMBER 25, 2019 curetoday.com) Sharon Belvin was 23 and running out of options to treat her stage 4 melanoma in 2005 when her oncologist at Memorial Sloan Kettering Cancer Center in New York City offered to enter her in a clinical trial of a drug designed to empower her immune system to fight the cancer. By that point, she had progressed after several rounds of chemotherapy, plus radiosurgery to remove tumors that had spread to her brain. The drug blocked CTLA-4, a protein “checkpoint” that prevents the immune system from recognizing and attacking cancer. After just four treatments, 60% of Belvin’s tumors were gone. Within months, they had all disappeared, and she has been cancer-free ever since. In 2011, that drug, Yervoy (ipilimumab), became the first checkpoint inhibitor to be approved by the Food and Drug Administration (FDA).
  2. For this Nobel winner, fighting cancer began with his family (Oct 1, 2018 6:25 PM EST PBS) アリソン博士が2018年ノーベル医学生理学賞を受賞した直後のPBS NEWSのインタビュー動画(7:26)トランスクリプト付き
  3. Melanoma survivor’s unlikely recovery leads to lifestyle changes (Oct 1, 2017 sungazette.com) The treatment involved 90-minute infusions and injections in Belvin’s leg.  … But the radiologist had never seen anything like it. He had to verify he’d grabbed the right labs. My tumors had shrunk by 60 percent in that first round.
  4. A Scientist’s Dream Fulfilled: Harnessing The Immune System To Fight Cancer (June 9, 2016 3:41 PM ET Heard on All Things Considered  NPR) Sharon Belvin’s nightmare with cancer began in 2004, when she was just 22.
  5. Six Miracle Cancer Survivors (Robert Langreth Mar 2, 2009, 04:50pm forbes.com) An experimental drug helped Sharon Belvin, who was diagnosed with melanoma in her lung when she was 22 and spent two years in standard treatment. The drug is called ipilimumab, and it aims to trigger the immune system against cancer. Within four months, her lung tumors started to shrivel. By late 2006, they were gone. Today Belvin, now 27, is off all treatment.

Tom Telfordさんのストーリー

  1. How the Promise of Immunotherapy Is Transforming Oncology (Tom Telfordさんのストーリー WSJ ) He had surgery at Memorial Sloan Kettering Cancer Center, followed by months of chemotherapy. But the disease spread to his liver and kidneys. The diagnosis: Stage 4 melanoma, a skin cancer typically fatal within a year. “Death is not an option,” he told his doctor. Nine years later, against all odds, Mr. Telford is still alive. What saved him was an experimental immunotherapy drug—a medication that unleashes the body’s own immune system to attack cancer.

 

ipilimumabをFDAが承認

On 25 March, the FDA cleared ipilimumab, produced by Bristol-Myers Squibb, based in New York, to treat advanced melanoma, a particularly lethal form of skin cancer. Although the drug typically lengthens a patient’s life by only 4 months or so, in clinical trials a fraction of patients lived much longer.

Although ipilimumab can add years of life, only 20–30% of patients show any benefit at all (F. S. Hodi et al. N. Engl. J. Med. 363, 711–723; 2010).

(引用元:Melanoma drug wins US approval. Nature volume 471, page  561 (2011) 28 March 2011)

 

臨床試験

  1. MDX-010 Antibody, MDX-1379 Melanoma Vaccine, or MDX-010/MDX-1379 Combination Treatment for Patients With Unresectable or Metastatic Melanoma (Phase 3)(NCT00094653) Study Type : Interventional (Clinical Trial) Actual Enrollment : 1783 participants Allocation: Randomized Intervention Model: Parallel Assignment Masking: Triple (Participant, Care Provider, Investigator) Primary Purpose: Treatment Official Title: A Randomized, Double-Blind, Multicenter Study Comparing MDX-010 Monotherapy, MDX-010 in Combination With a Melanoma Peptide Vaccine, and Melanoma Vaccine Monotherapy in HLA-A2*0201-Positive Patients With Previously Treated Unresectable Stage III or IV Melanoma Study Start Date : September 2004 Actual Primary Completion Date : August 2009 Actual Study Completion Date : October 2009 
  2. IPILIMUMABの臨床試験(NIH ClinicalTrials.govデータベースの検索結果) 

 

臨床試験の結果を報告した論文

  1. The heterogeneity of the kinetics of response to ipilimumab in metastatic melanoma: patient cases. Cancer Immun. 2008; 8: 1. Published online 2008 Jan 17. PMCID: PMC2935787 Results from preclinical and early clinical trials support currents phase II/III testing of ipilimumab as first- and second-line therapy for metastatic melanoma. 
  2. CTLA4 blockade with ipilimumab to treat relapse of malignancy after allogeneic hematopoietic cell transplantation. Blood. 2009 Feb 12;113(7):1581-8. doi: 10.1182/blood-2008-07-168468. Epub 2008 Oct 30. Twenty-nine patients with malignancies that were recurrent or progressive after allo-HCT, received ipilimumab as a single infusion at dose cohorts between 0.1 and 3.0 mg/kg.  … Three patients with lymphoid malignancy developed objective disease responses following ipilimumab: complete remission (CR) in 2 patients with Hodgkin disease and partial remission (PR) in a patient with refractory mantle cell lymphoma. At the 3.0 mg/kg dose, active serum concentrations of ipilimumab were maintained for more than 30 days after a single infusion. Ipilimumab, as administered in this clinical trial, does not induce or exacerbate clinical GVHD, but may cause organ-specific IAE and regression of malignancy.
  3. Improved Survival with Ipilimumab in Patients with Metastatic Melanoma. August 19, 2010 N Engl J Med 2010; 363:711-723 DOI: 10.1056/NEJMoa1003466 METHODS A total of 676 HLA-A*0201–positive patients with unresectable stage III or IV melanoma, whose disease had progressed while they were receiving therapy for metastatic disease, were randomly assigned, in a 3:1:1 ratio, to receive ipilimumab plus gp100 (403 patients), ipilimumab alone (137), or gp100 alone (136). RESULTS The median overall survival was 10.0 months among patients receiving ipilimumab plus gp100, as compared with 6.4 months among patients receiving gp100 alone (hazard ratio for death, 0.68; P<0.001). CONCLUSIONS Ipilimumab, with or without a gp100 peptide vaccine, as compared with gp100 alone, improved overall survival in patients with previously treated metastatic melanoma.
  4. A phase II multicenter study of ipilimumab with or without dacarbazine in chemotherapy-naïve patients with advanced melanoma. Investigational New Drugs June 2011, Volume 29, Issue 3, pp 489–498 (Free abstract)
  5. Pooled Analysis of Long-Term Survival Data From Phase II and Phase III Trials of Ipilimumab in Unresectable or Metastatic Melanoma. J Clin Oncol. 2015 Jun 10;33(17):1889-94. doi: 10.1200/JCO.2014.56.2736. Epub 2015 Feb 9.
  6. Overall Survival with Combined Nivolumab and Ipilimumab in Advanced Melanoma. October 5, 2017 N Engl J Med 2017; 377:1345-1356 DOI: 10.1056/NEJMoa1709684 2つのICIを併用した効果をみたもの

 

抗CTLA-4抗体の効果を調べた初期の論文

  1. Leach DR, Krummel MF, Allison JP. Enhancement of antitumor immunity by CTLA-4 blockade. Science. 1996 Mar 22;271(5256):1734-6. (PDF) We reasoned that CTLA-4 blockade would remove inhibitory signals in the costimulatory pathway, resulting in enhanced rejection of the tumor cells. We injected groups of BALB/c mice … 
  2.  

2018年ノーベル生理学医学賞は本庶佑博士とJames Allison博士が受賞

2018年ノーベル生理学医学賞が日本時間2018年18時30分に発表されました。

2018年ノーベル生理学医学賞発表の瞬間

Announcement of the Nobel Prize in Physiology or Medicine 2018
 

免疫制御分子の発見とがん治療への応用の研究に関して、本庶佑博士とジェームズ・P・アリソン(James Patrick Allison)博士が共同受賞しました。

【ノーベル賞受賞】本庶佑 京都大学名誉教授 記者会見

【ノーベル賞受賞】本庶佑 京都大学名誉教授 記者会見 生中継(ニコニコ生放送)(20:20終了)
ノーベル医学生理学賞に京大・本庶氏 午後7時20分から会見(2018年10月1日)

(06:06~)この度はノーベル医学生理学賞を頂くことになりまして大変名誉なことだと喜んでおります。これはひとえに、長いこと苦労してきました共同研究者、学生諸君、また、さまざまな形で応援して下さった方々、また、長い間支えてくれました家族、ほんとに言い尽くせない多くの人に感謝いたしております。1992年のPD-1の発見とそれに続く極めて基礎的な研究が、新しいがん免疫療法として臨床に応用され、そして、たまにではありますが、この治療法によって重い病気から回復して元気になった、あなたのおかげだと言われる時があると、本当に私としては自分の研究がほんとに意味があったということを実感し何よりもうれしく思っております。そのうえにこのような賞を頂き大変、私は幸運な人間だというふうに思っております。今後この免疫療法がこれまで以上に多くのがん患者を救うことになるように、一層、私自身ももうしばらく研究を続けたいと思いますし、世界中の多くの研究者がそういう目標に向かって努力を重ねておりますので、この治療法がさらに発展するようになると期待しております。また、今回の基礎的な研究から臨床につながるような発展ということで授賞できたことによりまして、基礎医学分野の発展がいっそう加速し、基礎研究に関わる多くの研究者を勇気付けるということになればわたしとしてはまさに望外の喜びでございます。
(質疑応答 10:05~)

本庶佑 京都大学名誉教授・特別教授のノーベル賞受賞記者会見【動画&書き起こし】 

報道

<ノーベル賞>医学生理学賞に 本庶佑氏 京都大名誉教授

 

2018年ノーベル生理学医学賞は本庶佑博士とジェームズ・P・アリソン博士

 

免疫制御分子の発見とがん治療への応用

 

ジェームズ・P・アリソン博士および本庶佑博士のノーベル賞授賞対象となった研究内容の説明

 

PD-1の発見とオプジーボの開発

  1. 脚光を浴びる新たな「がん免疫療法」:小野薬品のオプジーボ-京都大学・本庶佑研究室が開発をけん引(塚崎 朝子 2015.04.22 nippon.com

がん幹細胞ニッチ内のがん抑制遺伝子Fbxw7

がん抑制遺伝子Fbxw7の「がん幹細胞ニッチ」における働きを九大の研究グループが発見 細胞外環境を標的とする新しい治療戦略の可能性も

がんの細胞外環境(”がん幹細胞ニッチ”)を標的とする新しい治療戦略の可能性を示す研究成果を、九州大学の研究グループがThe Journal of Clinical Investigation誌に発表しました。

九州大学プレスリリースによると、この研究成果のポイントは、

  1. がんニッチの形成に関わる重要たんぱく質「Fbxw7」が「CCL2」を抑制する作用をもつことを発見
  2. Fbxw7が低下するとCCL2が上昇し、がん転移が増加する。
  3. 上昇したCCL2を阻害するプロパゲルマニウム(既に肝炎治療薬として臨床的に使用されている既存薬)によって、がん転移を強力に抑制することに成功。

とのことです。

論文の要旨

The gene encoding F-box protein FBXW7 is frequently mutated in many human cancers. Although most previous studies have focused on the tumor-suppressive capacity of FBXW7 in tumor cells themselves, we determined that FBXW7 in the host microenvironment also suppresses cancer metastasis. Deletion of Fbxw7 in murine BM-derived stromal cells induced accumulation of NOTCH and consequent transcriptional activation of Ccl2. FBXW7-deficient mice exhibited increased serum levels of the chemokine CCL2, which resulted in the recruitment of both monocytic myeloid-derived suppressor cells and macrophages, thereby promoting metastatic tumor growth. Administration of a CCL2 receptor antagonist blocked the enhancement of metastasis in FBXW7-deficient mice. Furthermore, in human breast cancer patients, FBXW7 expression in peripheral blood was associated with serum CCL2 concentration and disease prognosis. Together, these results suggest that FBXW7 antagonizes cancer development in not only a cell-autonomous manner, but also a non-cell-autonomous manner, and that modulation of the FBXW7/NOTCH/CCL2 axis may provide a potential approach to suppression of cancer metastasis. (http://www.jci.org/articles/view/78782

参考

  1. F-box protein FBXW7 inhibits cancer metastasis in a non-cell-autonomous manner.  J Clin Invest. doi:10.1172/JCI78782. Published January 2, 2015
  2. がんの転移を強力に抑制する既存薬を発見 (九州大学 プレスリリース 平成26年12月17日)
  3. 九大 がん転移抑える薬 (NHK NEWSWEB 2015年1月3日):”中山主幹教授は「既存の薬の成分ならば新薬に比べて格段に早く実用化できる可能性があり、今回の発見のメリットは大きい。今後、臨床を重ねて早くがんの患者に届けたい」と話しています。”
  4. 既存薬で転移抑制 九大教授ら、マウス実験で確認(毎日新聞 1月3日):”がんを転移しやすくするたんぱく質を世界で初めて突き止めたとの研究成果を、中山敬一・九州大教授(分子医科学)らのチームが2日の米科学誌ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションに発表した。既存の肝炎治療薬に、このたんぱく質の働きを妨げて転移を抑える効果があることもマウスの実験で確かめた。研究チームは「ヒトへの有効性は今後の治験(臨床試験)を待つ必要があるが、副作用が少ない薬なので期待が持てる」と話す。”
  5. がん転移を抑える薬剤 九大、マウス実験で確認(日本経済新聞 2015/1/3):”この薬剤はB型慢性肝炎の治療薬として処方されているプロパゲルマニウム。ニッチを狙い転移を抑える初めての薬となり得るが、現段階ではがん患者への効果は未確認。チームは「国の承認が出るまで使用しないで」と警告している。”
  6. がん転移、たんぱく質関与=薬で抑制、マウスで確認-九州大(時事ドットコム):”がんの周りにあり、増殖や転移を促す細胞の集まり「がんニッチ」に関わるたんぱく質を発見したと、中山敬一九州大教授らの研究グループが発表した。論文は3日、米医学誌に掲載される。”
  7. B型肝炎治療薬、がん転移抑制の可能性 九州大チーム(朝日新聞APITAL):”B型肝炎治療用の飲み薬に、がんの転移を抑える可能性があるとするマウスでの研究結果を、九州大の研究チームがまとめた。ヒトでの臨床試験(治験)で有効性や安全性を確かめ、5年程度で公的医療保険の適用を目指すという。”