コンピューター将棋ソフトPonanzaの実力

2015年4月4日(土)の電王戦FINAL第4局において村山慈明 七段と対戦するコンピューター将棋ソフトは「Ponanza(ポナンザ)」。

Ponanzaは2013年に行われた第2回電王戦に出場し、佐藤慎一四段と対戦して勝利しました。これにより、現役プロ棋士を破った初めてのコンピュータ将棋ソフトとして、歴史にその名を刻んでいます。

棋譜:
プロが負けた歴史的な1局

(ニコニコ静止画の棋譜。視聴にはアカウントが必要)

2013年第2回電王戦の結果(日本将棋連盟)

局数 プロ棋士 コンピュータ/開発者
第1局 阿部光瑠四段 習甦/竹内章
第2局 佐藤慎一四段 ponanza/山本一成
第3局 船江恒平五段 ツツカナ/一丸貴則
第4局 塚田泰明九段 Puella α/ 伊藤英紀
第5局 三浦弘行八段 GPS将棋/田中哲朗・森脇大悟 他

 

2014年の第3回電王戦では、最終局においてPonanzaは屋敷伸之九段と対戦。団体戦におけるいわば「大将戦」で将棋界のトップ棋士を破ったことにより、再び大きな衝撃を与えました。

棋譜 ⇒ <投了まで>第3回将棋電王戦第5局 屋敷伸之九段 対 ponanza <将棋棋譜速報>(将棋上達の探求ブログ 2014年04月12日)

 

2014年第3回電王戦の結果(日本将棋連盟)

局数 プロ棋士 コンピュータ/開発者
第1局 菅井竜也五段 習甦/竹内章
第2局 佐藤紳哉六段 やねうら王/磯崎元洋
第3局 豊島将之七段 YSS/山下宏
第4局 森下 卓九段 ツツカナ/一丸貴則
第5局 屋敷伸之九段 ponanza/山本一成

NHK 『サイエンスZERO』(サイエンスゼロ)ではこの対局に焦点を当てて、近年のコンピュータ将棋ソフトウェアとプロ棋士との戦い方の差を紹介しています。

サイエンスZERO「プロ棋士大苦戦!進化する将棋コンピューター」 – 2014-07-06 part 1

サイエンスZERO「プロ棋士大苦戦!進化する将棋コンピューター」 – 2014-07-06 part 2

サイエンスZERO「プロ棋士大苦戦!進化する将棋コンピューター」 – 2014-07-06 part 3

サイエンスZERO「プロ棋士大苦戦!進化する将棋コンピューター」 – 2014-07-06 part 4

サイエンスZERO「プロ棋士大苦戦!進化する将棋コンピューター」 – 2014-07-06 part 5

参考

  1. Ponanzaとは、山本一成が開発したコンピュータ将棋ソフトウェアである。(ニコニコ大百科)
  2. 山本 一成@Ponanza @issei_y

将棋電王戦を戦う棋士たちへ、米長 永世棋聖

2012年1月に第1回電王戦を戦った米長邦雄 永世棋聖(1943-2012)がコンピュータとの対戦に関してどのような考え方を持っていたのかがわかる非常に興味深いインタビューです。

電王戦に出たいきさつ
00:09 僕が棋士の中じゃ一番コンピュータというものをいろいろ研究していたので、僕が出るよりないと思って出たんですけどね。まさか、負けるとは思わなかった。

コンピュータに敗れた理由
00:34 当日の対局でやり損なったことが悔やまれます。コンピュータ相手には、気合とか、一手違いの読み比べとか、そういうものを出したときは人間がだいたい負けるんですね。コンピュータ相手に戦っているということを最初から最後まで意識してやらないとダメなんです。すごく根気が要るんです。自分を殺しながらずーっと一手一手やっていきますのでね。そのまま続ければよかったんですけど、やっぱり、暴発というんですかね、やっぱり人間らしい手を指しちゃったというところが。まあ、人間同士だったら魅力ある手だったんですけど、コンピュータにはそれは通用しなかったということですね。
1:46 僕の作戦はコンピュータの弱点を突いていくということで、途中まではうまく行ったんですけどね。やっぱりイライラしてくるもんでね。「やっちまえ!」というのが裏目に出たということです。

電王戦の企画について
02:00 (電王戦の企画について)ドワンゴの川上会長が1対1で毎年やっていくよりも、いっぺんに五局でやろうと言っていただいたので、それじゃやりましょうということで。やっぱりファンが喜んでもらえるかどうかとうことが一番大きいですね。

コンピュータに勝つための戦略
03:18 コンピュータの素晴らしさは素晴らしさで、これは人間がかなわないんだということを人間のほうが悟って、その上で、コンピュータには人間に及ばない欠陥があると、その欠陥は何であろうかということを、プロ棋士が真剣に考えて対応すれば、人間が負けることはない。コンピュータの研究成果は一部に特化していると思うんですね。人間同士で戦うということでなくて、コンピュータというものがどういうものかということを知って対局に臨めば、プロ側が勝つのだろう。5人ともプロ棋士相手に指すつもりで練習している場合は、五戦全敗だと思う。コンピュータと戦っているんだと切り替えさえすれば、プロがいけると思っている。

コンピュータに勝つために必要な態度
04:45 今年の1月14日に指した将棋で2手目に6二玉と指したんですけど、人間には非常に評判悪かった。人間同士の戦いの中ではあれは悪手(あくしゅ)なんですね。しかしコンピュータの弱点を知って指した手としては、あの時点では最善だったと思うんですね。しかし、コンピュータのほうも研究を積み重ねて、その6二玉はもう古い手だと、プログラムをいろいろ変えてやってくると思う。だけど、どこまで変えていってもコンピュータにはコンピュータの限界があるのであって。人間はあまりにもコンピュータを知らなさ過ぎる。人間相手ではなくてコンピュータと戦うということに切り替えられるかどうか、そこが見所ですね。

コンピュータ対プロ棋士の対局内容の未来
06:59 つまらん将棋だなと思ってもらえればプロが勝つという、不思議な内容になると思う。プロが自分を殺して、コンピュータの長所、弱点を知り尽くした上で指せるかどうかっていうことで。格好いいとこ見せようとか、こういうふうにやろうとプロが考えたときには、プロが負けるときだと思うんですね。
07:54 コンピュータがあまりにも強すぎる。人間同士の戦いにいきなり持ち込んでると、コンピュータにひどい目に会いますので。意外な弱点をプロが的確に突けるかどうか。

電王戦出場棋士の人選
9:18 来年、再来年どういうふうになっていくかということですけれども、この形態を続けていくとすれば、コンピュータが強くなって人間を引き離すというよりも、コンピュータを研究するプロ棋士が頑張って、逆に人間のほうが有利になってくるんだろうという気がしますね。四段でも、羽生でも渡辺でも、プロ側の人選をどうしたから、タイトルを持っているから強いとか、四段だからダメとか、引退したから弱いとか、そういうレベルでなくてですね。コンピュータをどこまで研究しているかどうかにかかっているのであって。強い棋士が出たからプロが勝つというとうことではないのだろうと思うんですね。

電王戦の意義とは?
10:28 一番大事なことは共存共栄でね。コンピュータ将棋に我々プロの棋士がどれだけ貢献できたかということが一つ。それと、人間と違う異次元のものが出てきたということでプロも頑張ると。ファンが喜ぶかどうかということが大きいと思うんですね。
11:28 おい、みんな頑張れよ!

参考

  1. 第2回電王戦(ニコニコ大百科):第2回電王戦とは、2013年に5人のプロ棋士と5組のコンピュータ将棋プログラムによって行われた将棋棋戦である。当初の予定では、第1回から1年に1戦ずつ5年間で計5回戦行われる予定だった。しかし、2012年1月14日に行われた第1回戦米長邦雄永世棋聖 VS ボンクラーズ終了後の記者会見で、急遽その話は白紙となり、2013年はプロ棋士5人VSコンピュータ5ソフトの一斉対局が行われることになった。