Category Archives: 産学連携

産学連携、何ソレおいしいの?

産学連携は美味しい

  1. 「大学は美味しい!!」フェアへ広島大学産学連携商品を出展しています
  2. イベント・リポート 第 2 回『大学の産学連携品は美味しい!!』フェア 日本補完代替医療学会誌第6巻第3号2009年10月:165–169

 

産学連携とは、企業と大学が共同研究をするというものです。今や国策となっており、大学教員は産学連携に興味がないなどとは言っていられません。

産学連携の始まり

今では、産学連携の部署を持たない大学は存在しないのではないかというくらいに、当たり前になっていますが、産学連携はいつから始まったのでしょうか?

  • 米国では、1970年代後半の米国経済の国際競争力低下を背景として、1980年に、政府資金による研究開発から生じた発明についてその事業化の促進を図るため、政府資金による研究開発から生じた特許権等を民間企業等に帰属させることを骨子としたバイ・ドール法を成立させた。
  • いわゆる日本版バイ・ドール制度を、産業活力再生特別措置法第30条(平成十一年法律第百三十一号)で措置した。(1999年)
  • 2006年新教育基本法によって、「研究成果の社会還元」が大学の使命のひとつとして明記されました。

参考:日本版バイ・ドール制度(産業技術力強化法第17条)経済産業省、国公立大学が創る未来 第二回「国策」としての産学官連携2016 朝日新聞DIGITAL

 

大学と社会との関係

  • 大学が社会から社会に対する貢献を求められていることを、大学人はもっと理解すべきと考えており、そのことが産学連携の基本となっている。
  • 産と学が新しい何かを生み出し、それが社会にちゃんと貢献することが産学連携の基本。
  • 社会が受け取ったときに経済的価値があれば社会はそれを利益として受け取るし、経済的ではなくても社会の倫理的な価値もある。また、社会基盤を整備するために必要なものもある。それらを社会がどれだけ受け入れるかが、社会受容性

(DOI: 10.15108/stih.00006 公開日: 2015.12.01 STI Horizon, Vol.1, No.1 発行者: 文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP))

 

産官学連携におけるそれぞれの思惑

企業は大学をツールとして使って自社の研究開発を促進し、事業化を通じて成長させるのが目標だ。

大学は産業界との連携による外部資金の獲得、研究教育活動の活性化が狙いである。

は最終的には雇用の創出税収の増大を期待する。

特集 地方大学×中小企業 群馬大学教授 伊藤正実 戦略経営者 2015年11月号)

 

産学連携が進まない理由

産学連携の本質的な問題点は、少なくとも6割の大学教員は企業との共同研究に興味はなく、自分の好きな研究を行っているということである。もちろん、企業のニーズに応えない長期的な基礎研究は重要であるが、重箱の隅をつつくような単なる暇つぶしにも見える研究が少なくない。実際、産学連携に熱心で、しかも研究能力に抜きんでた教員は全体の数パーセントいればいい方であろう。(誰も語らない産官学連携の問題点 大学教授のぶっちゃけ話 2008年1月7日)

お互いにハー ドルが高いと思い込んでいるのかもしれません。(産学運擦 の拶謝易に追る 肩書きは必要ない。 連携とは人と人とが つながることである 株式会社バイオジェットCEO兼 先端研究部研究統括 塚原 正俊氏 AGRIGARAGE03

  1. 組織的な産学官連携を行う上での 問題点とその背景要因: 産学官の有識者による自己診断とそこから得られる示唆 科学技術・学術基盤調査研究室 研究員 村上 昭義 STI Horizon, Vol.4, No.4  文部科学省科学技術・学術政策研究所 (NISTEP)
  2. 産学官連携の課題 文部科学省

 

産学連携で問題になるポイント

大学と企業との間で、特許共同出願時における不実施補償や、共同研究などにおける守秘義務のあり方など幾つかの問題をめぐって、さまざまな不協和音が聞こえているのが現実である。(2005年7月号特別寄稿 ”温度差”とすれ違い、産業界の苛立ちの狭間で-第4回産学官連携会議に出席して- 産官学連携ジャーナル 藤本 暸一  早稲田大学 知的財産戦略研究所 客員教授)

 

産学連携の現状

文部科学省によると「共同研究」「受託研究」「治験」など、大学と企業とのいわゆる産学連携の実施状況について、その総額が2017年度、全体で960億円と、初めて900億円を超えた。このうち「共同研究」については、約608億円と全体の約63.4%を占め、全体の伸びを牽引している。(進まぬ産学協同研究 現状と課題は? 2019年11月25日 日テレNEWS24

装置産業型 一社で保有してもたまにしか使わずコストが高くつくので、高額の工作機械や測定装置を大学の研究室が保有し、複数の企業が共同研究や委託研究で大学を介して実質的に共有

研究員型 大学教員を企業の研究員あるいは熟練した研究マネジャーとして使おうという話

のれん型 ○○大学と共同研究しています、○○先生の試験研究で効果が確かめられました、といった連携事実そのものに主な関心

無償労働力提供型 卒業論文をはじめとする学位と引き換えに試験研究や実験に学生を無償奉仕させれば、企業にとってみると非常に安価に目的が達成でき、教員も自由になる研究費が得られて双方にメリットがあった

産学官連携の心得 2018年11月号 産学官連携ジャーナル)

 

全体的に「シーズとニーズを結びつけることが産学連携」という固定観念にとらわれすぎている傾向がある。例えば、中小企業が自社製品を大学に評価・分析してもらうことも産学連携の一形態と考えることができ、活発化させていくべきである。また、産学連携というと大上段に構えすぎて、大きな案件を狙いに行き過ぎるという傾向もある。身の丈にあった細かい分野でトップを目指すということが方向性として正しいと考えている。(ISSN 1342-5927 調査研究報告 No.127 平成 25 年 12 月 中小企業の産学連携の実態~地域一体型の「面的」な産学連携の取組 公益社団法人中小企業研究センター)

 

産学連携の事例

 

大学からのスピンアウト・ベンチャー

ベンチャーの4パターン

営利型本当に儲けるためのベンチャー

1.「急成長型

2.「ニッチ(すき間)型」技術重視

非営利型

3.「研究・教育振興型」教育や研究の振興を目的とする

4.「社会目的型」環境保護などを目的とする

(参考:産学官連携推進委員会(第4回) 議事録 平成13年6月27日)

 

産学連携の様々な形

  1. 国立大と研発法人、産学連携の子会社設立が可能に 2020年01月23日 ニュースイッチ(日刊工業新聞)

 

産学連携のパートナーを探す・見つける方法

企業が大学の研究者を探す方法

  1. 提携先の見つけ方について教えてください。 J-Net 21

 

産学連携部署

東北大学

福井大学

 

産学連携を促進する要素

  1. 大学における産学連携の成長要因に関する研究 産学連携額6(2)、2010
  2. 「産学ツーリズム」で 地元企業の魅力を再発見。岐阜大学では,学長や理事ら大学執行部が地元企業を訪問し, 企業の魅力を認識する「産学ツーリズム」を行っています。 工場見学や企業トップらと情報交換を行い相互理解に尽力。 また共同研究や産官学連携なども行いながら,岐阜の産業界 とともに発展することを目的とした活動を行っています。

研究者カタログ

大学が自分の大学所属の研究者を企業に売り込むためには、うちにはこんな研究者のこんな研究がありますと紹介するための「商品カタログ」を作ると便利でしょう。

企業向け教員紹介冊子の作成を提案した。当初、学内のムードはこの教員紹介冊子作成に冷ややかであった。(ヒューマンネットワークのつくり方 私の産学官連携活動の4年間 -人脈のありがたさを実感- 水谷 嘉之 岐阜大学 客員教授・産官学融合 センター 産学連携コーディネーター 2006年4月号  産学官連携ジャーナル

  1. 岐阜大学 さんかんがく「教員紹介冊子」

 

参考

  1. 産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン【追補版】産学官連携を通じた価値創造に向けて 令和2年6月30日文部科学省経済産業省 84ページPDF
  2. 産学官連携の心得~門前の小僧の経験から〜 沖大幹 東京大学 国際高等研究所サステイナビリティ学連携研究機構 教授 2018年11月号  産学官連携ジャーナル
  3. 海外大学における産学連携のマネジメント・制度に関する調査報告書 平成 30 年 3 月 三菱総合研究所(84ページPDF 文科省)
  4. 本格的な産学連携活動の促進に向けた基礎調査報告書 平成 29 年 3 月 三菱総合研究所(149ページPDF 文部科学省)
  5. 「産学官連携による共同研究強化のためのガイドライン(仮称)」の⾻⼦素案平成28年10⽉⽂部科学省⾼等教育局⽂部科学省科学技術・学術政策局経済産業省産業技術環境局
  6. 特集 地方大学×中小企業 群馬大学教授 伊藤正実 戦略経営者 2015年11月号
  7. 産学連携による知識創出とイノベーションの研究-産学の共同発明者への大規模調査からの基礎的知見 2013 年 6 月 文部科学省 科学技術政策研究所 一橋大学 イノベーション研究センター 長岡貞男 細野光章 赤池伸一 西村淳一 (142ページPDF)
  8. 中小企業の産学連携の実態~地域一体型の「面的」な産学連携の取組 公益社団法人中小企業研究センター ISSN 1342-5927 調査研究報告 No.127 平成 25 年 12 月 165ページPDF
  9. 米国の大学における外国企業との産学官連携の実施状況等調査報告書 平成 23 年 3 月 未来工学研究所 105ページPDF
  10. ヒューマンネットワークのつくり方 私の産学官連携活動の4年間 -人脈のありがたさを実感- 水谷 嘉之 岐阜大学 客員教授・産官学融合 センター 産学連携コーディネーター 2006年4月号  産学官連携ジャーナル
  11. ”温度差”とすれ違い、産業界の苛立ちの狭間で-第4回産学官連携会議に出席して- 産官学連携ジャーナル 2005年7月号特別寄稿藤本 暸一  早稲田大学 知的財産戦略研究所 客員教授

 

「そろそろ決着を付けないと」2018年ノーベル医学生理学賞受賞の本庶佑(ほんじょたすく)京都大学特別教授(78)が正当な対価226億円を求めて小野薬品を提訴へ

産学連携は大いに推奨されており、大学評価項目としても重要なもののひとつですが、ノーベル賞受賞の栄誉につながった産学連携が、手放しで喜べないどころか見ていて苦しくなるほどの緊張を強いられる事態です。本庶氏と小野薬品、双方の主張が対立したまま緊張が解けずに何年間も過ぎています。

ここに来てついに、本庶氏が小野薬品に対して裁判を起こすという事態になりました。アカデミアの研究者の考え方と、民間企業の経営者の考え方は大きく異なっているのだと思います。どこでどう折り合いがつけられることになるのか、見守るほかありません。

  • 平成18年に特許に関する契約を小野薬と締結。その後契約内容をめぐり、当時の弁護士から「極めて詐欺的」と聞かされ、問題意識を持つようになった
  • 小野薬は当初、同氏への対価は「得られた全体の10%」と提案したが、後に「0・25%」と何の説明もなく通知
  • 勝訴すれば、得られた分配金を後に続く研究者のために充てたい

(「企業がアカデミアの無知を悪用」本庶氏、小野薬品への不満あらわ 2020.6.5 19:49 産経新聞

ノーベル賞・本庶特別教授 小野薬品提訴へ がん治療薬の特許使用料の配分巡り 2020/06/05 読売テレビニュース

  1. ノーベル賞本庶氏と小野薬品の対立 京大に特許のノウハウなく判断できず「不信」に (2020/6/6 08:00 47ニュース 京都新聞社本庶氏と同社は、オプジーボの特許に関わる契約を06年に締結した。「小野薬品とは複数のプロジェクトを一緒にしてきており、信頼できると思っていた」という本庶氏は、弁護士を入れずに契約した。当時の京大には十分なノウハウはなかった。「(本庶氏には)契約が公正か、実質的に判断はできなかった」(代理人弁護士)という。本庶氏によると、契約を結んでから数年後、同契約に基づく特許への対価が不当に低いという指摘を周辺から受けた。
  2. ノーベル賞本庶氏が小野薬品を提訴へ 226億円支払い求め「10年の辛抱、決着」 (2020/6/5(金) 16:28配信 京都新聞 YAHOO!JAPAN) 小野薬品から協力を求められ、訴訟で得られる金額の40%を支払うという説明を受けた。訴訟はメルクが特許使用料などを支払うとの内容で17年1月に和解。しかし同年8月、小野薬品は本庶氏に、メルクから得た金額の1%相当のみを配分すると支払い通知 ヤフーコメント1642件

これまでの経緯

小野薬品のこれまでの対応

PD-1特許に関するライセンス契約につきましては、本庶教授と当社が合意の下、2006年に締結しております。そして、2014年より契約に基づく対価をお支払いしており、今後も契約に基づく対価を四半期ごとにお支払いして参ります。

また、2011年に本庶教授から当社に要請のあった契約の見直しに対しては誠意をもって話し合いを続けて参りましたが合意に至らず、2018年11月に本庶教授に対し、対価の上乗せという枠組みではなく将来の基礎研究の促進や若手研究者の育成に資するという趣旨から京都大学への寄付を検討している旨、申し入れています。(PD-1特許に関する報道を受けての当社コメント 2019年5月22日 小野薬品工業株式会社 (PDF) より一部を転載)

本庶氏は2003年、がん細胞を攻撃する免疫細胞に存在する分子「PD―1」を応用した新薬開発を目指し、特許を小野薬品と共同出願14年発売のオプジーボは皮膚や肺、胃などのがん治療で用いられ、売り上げは昨年末までに世界で1兆円を超えた。 一方、本庶氏が持つ特許に対し、小野薬品が示した対価は約26億円。さらに100億円規模とされる上乗せも提案したが、本庶氏側は「本来は800億円以上」と拒み、一切受け取っていない。小野薬品相良社長は「当時、がん免疫治療薬は『眉唾もの』とされ、他企業は全て断った。開発リスクが高い案件では普通の契約内容」と主張。([解説スペシャル]知財人材 大学に不足…オプジーボ「対価」で産学対立 2019/05/18 05:00 読売新聞オンライン

  1. 本庶氏、小野薬品を改めて批判 オプジーボ対価巡り(2019/4/10 19:47 日本経済新聞)オプジーボが開発される以前は、がんの免疫療法は「海の物とも山の物ともわからないという扱い」(医療関係者)だった。その中で、当時売上高1000億円規模の中堅メーカーだった小野薬品がオプジーボに投じた開発費は数百億円に上る。同社はもともとがん治療薬には携わったことがなく、開発は大きな賭けだったといえる。

小野薬品といえば自分の記憶をたどると、大阪の小さな製薬会社という印象しかありませんでした。月日が流れて、このような抗体薬で世界レベルの大ヒットを飛ばす日が来るとは想像もつきませんでした。

 

2018年ノーベル医学生理学賞受賞直後のインタビュー

以前の記事「本庶佑 京都大学名誉教授・特別教授のノーベル賞受賞記者会見【動画&書き起こし】」から、小野薬品や産学連携に関して本庶氏が語った部分を再掲します。

小野薬品との関係

Q(29:44 産経新聞) 製薬会社とのかかわりについて伺いたいと思います。小野薬品さんとの提携について。

A(30:04) 提携というのはね、これは会社同士の話で、僕は学者ですからね、僕は事業をやってるわけではないので、小野薬品との関係は、特許に関して、ライセンスを小野薬品に与えるという関係です。

大学と製薬企業との望ましい関係

Q(30:33) 企業が利益を大学に還元される仕組みが必要だとおっしゃっていましたがそれに関してはいかがでしょうか?

A(30:41) それはそうだと思います。わたしは小野薬品も含めてね、アカデミア…、この研究は、研究自身に関して小野薬品は全く貢献していません。それはもうはっきりしてます。でその特許に関してライセンスを受けてるわけですからそれに関して十分なリターンを大学に入れてもらいたいと思っています。そのことによってまた次のね、わたしはもうそれを使って新たな研究をするというよりは、わたしの希望としては次のジェネレーションが京都大学でそのリターンをもとにした基金でエンカレッジされてそれでもういっぺん育っていくと、そん中からまた新しいシーズが生まれると。でそれが、日本の製薬企業にそういう形で再び還っていくと。そういう良いWIN-WINの関係をつくるということが望ましいということで小野薬品にも長くお願いしているわけです。

 

メルク社の抗 PD-1 抗体製品「キイトル ーダ」に関する特 許権侵害行為差止請求訴訟

今回の報道によれば、小野薬品がMERCKを相手取り訴訟を起こした際に本庶氏が協力した対価を受け取ることになっていたわけですが、その報酬のパーセンテージに関して、双方の主張が大きく食い違っているようです。

  1. ノーベル賞本庶氏が小野薬品を提訴へ 226億円支払い求め「10年の辛抱、決着」 (2020/6/5(金) 16:28配信 京都新聞 YAHOO!JAPAN) 小野薬品から協力を求められ、訴訟で得られる金額の40%を支払うという説明を受けた。訴訟はメルクが特許使用料などを支払うとの内容で17年1月に和解。しかし同年8月、小野薬品は本庶氏に、メルクから得た金額の1%相当のみを配分すると支払い通知 ヤフーコメント1642件

2017年 1月21日 小野薬品工業

抗PD-1抗体特許侵害訴訟についてMerck社と和解し、ライセンス契約を締結

小野薬品工業およびブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、当社と本庶佑氏( 京都大学大学院医学研究科 客員教授)との共有に係る抗PD-1抗体の用途特許および当社とBMS社との共有に係る抗PD-1抗体の物質特許を保有しており、Merck社(米国)およびその関連会社による抗PD-1抗体製品である「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ、MK-3475)の販売等の特許侵害に対し、日本、米国、欧州等において特許侵害訴訟を提起するなど係争しておりましたが、このたび当社およびBMS社はメルク社と和解し、ライセンス契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。 本契約により、当社およびBMS社が保有する用途特許および物質特許が有効であることを確認した上で、メルク社の「Keytruda キイトルーダ®」の販売を許諾すること、また、メルク社は当社およびBMS社に対して6億2500万ドルの頭金を支払い、 2017年1月1日から2023年12月31日まではキイトルーダの全世界売上の6.5%、 2024年1月1日から2026年12月31日までは2.5%をロイヤルティとして支払うことで合意に至りました。 なお、頭金およびロイヤルティは当社に25%、BMS社に75%の割合で分配されます。(転載元:http://www.knak.jp/ta-sangyou/pharma/ono.htm

 

抗がん剤「オプジーボ」に関する特許権侵害差止請求訴訟

小野薬品工業株式会社(以下「小野薬品工業」)及びブリストル・マイヤーズ スクイブ 社(以下「BMS 社」)は、抗 PD-1 抗体の用途特許及び抗 PD-1 抗体の物質特許に基づき、 Merck 社及びその関連会社(以下「メルク社」)による抗 PD-1 抗体製品である「キイトル ーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ、MK-3475)の販売等の特許侵害に対し、2016 年に特 許権侵害行為差止請求訴訟を提起した。 小野薬品工業及び BMS 社は、訴訟提起時から、当該治療が患者の生命救済に関わるとい う特徴を考慮して、ロイヤルティ等を含む適切な対価を支払う旨の訴訟当事者の合意がな されれば、又は裁判所による命令が下されれば、訴訟において「キイトルーダ®」の販売差止を求めない旨を表明していた。 2017 年1月 21 日、小野薬品工業及び BMS 社は、メルク社と和解し、ライセンス契約が締結されたことを発表した。当該契約により、小野薬品工業及び BMS 社が保有する用途特許及び物質特許が有効であることを確認した上で、Merck 社の「キイトルーダ®」の販売を許諾すること、また、メルク社は小野薬品工業及び BMS 社に対して6億 2500 万ドル の頭金を支払い、2017 年1月1日から 2023 年 12 月 31 日までは「キイトルーダ®」の全世界売上の 6.5%、2024 年1月1日から 2026 年 12 月 31 日までは 2.5%をロイヤルティとして 支払うことで合意に至った。なお、頭金及びロイヤルティは小野薬品工業に 25%、BMS 社 に 75%の割合で分配される。本和解により、メルク社の「キイトルーダ®」販売に関する 各国の訴訟は終結した。(バイオ医薬品の知的財産制度等に係る諸外国における実態調査 平成 29 年度 厚生労働省医政局経済課 委託事業 平成 30 年3月 一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産研究所 PDF 厚生労働省

  1. 抗PD-1抗体を巡る特許訴訟~小野/BMS(オプジーボ; Opdivo) vs Merck(キートルーダ; Keytruda) (2020.04.20 2016.09.24 医薬系特許的判例ブログ
  2. Merck settles PD-1 patent lawsuit with BMS and Ono (Article by Phil Taylor23rd January 2017 pmlive.com) The US drugmaker has agreed to pay Bristol-Myers Squibb and Ono Pharmaceutical $625m to settle the patent infringement litigation – focusing on intellectual property in the area of PD-1 inhibitors – and will also pay a 6.5% royalty on sales of Keytruda (pembrolizumab) through to December 2023. A lower 2.5% royalty rate applies from January 2024 to December 2026.
  3. Bristol-Myers Squibb suing Merck & Co. for alleged infringement of immunotherapy patent in US (September 5th, 2014 By: Joe Barber firstwordpharma.com)Bristol-Myers Squibb filed a lawsuit in US district court seeking unspecified damages from Merck & Co. for allegedly infringing a new immunotherapy patent. According to the litigation, filed in federal court for the District of Delaware, Bristol-Myers Squibb claims “Merck is threatening to exploit that invention” with a later-developed method of treatment, in violation of a patent issued on May 20. The move comes as Merck won FDA approval for the melanoma drug Keytruda (pembrolizumab), the first anti-PD-1 immunotherapy to be cleared in the US.

  4. Case 1:14-cv-01131-UNA Document 1 Filed 09/04/14

 

2人目、3人目のオプジーボの発明者

本庶氏と小野薬品との間の争いに直接かかわらないかもしれませんが、抗PD-1抗体薬オプジーボの発明者は本庶氏だけではないという米国裁判所の判断がありました。

オプジーボの作用機序

オプジーボ(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は、ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体です。オプジーボは、PD-1とPD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との結合を阻害することで、がん細胞により不応答となっていた抗原特異的T細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を示します。(オプジーボ 小野薬品・ブリストル・マイヤーズ スクイブ)

 

幾度にも亘る研究論文の交換,複数にわたる現地での会合等の事実から本庶佑博士からの働き掛けが単なる学界での研究論文の交換のつもりであったとしても先方は共同研究の申し出,それに対する先方の承諾と言った形で理解されている可能性が大であると言わざるを得ない。(共同発明に係る特許紛争 -最近のオプジーボ特許の発明者を巡って- 元平安女学院大学教授 元大阪大学大学院講師 西口 博之 パテント 2019 Vol. 72 No. 11

  1. 「オプジーボ」特許、米地裁が「新発明者」 (2019/5/30 20:32 日本経済新聞)米連邦地方裁判所が米国の2人の研究者を、本庶佑・京都大学特別教授と小野薬品工業が持つがん免疫治療法に関する特許の共同発明者と認める判断を示した。
  2. 本庶さんの主張認めず 米地裁「オプジーボ発明は3人」 (香取啓介=ワシントン、嘉幡久敬 2019年5月23日 11時32分 朝日新聞DIGITAL)判決は17日付。発明者と認められたのは、ダナファーバーがん研究所ゴードン・フリーマン氏ら。免疫治療薬オプジーボの開発につながる本庶さんの6件の特許に2015年に同研究所が2人を発明者として加えるよう訴えていた。本庶さん側は、2人の貢献は発明者に加えるほど際立ったものではないと主張していた。判決は、3人が創薬につながる、免疫のブレーキ役をする「PD―1」「PD―L1」という分子の働きについて、1999年から2000年にかけて頻繁に会議して共同で論文を発表したり、実験データの共有をしたりしていたと指摘。「本庶氏の特許の発明の概念は、3人の科学者の協力の結果である」と結論づけた。
  3. 米地裁、オプジーボの発明者に米学者2名を追加 (knak (2019年5月25日 12:05 化学業界の話題

 

参考

本庶氏の考え方と小野薬品との考え方がなぜこれほどにまで食い違ってしまったのか、論点がどこにあるのかを理解する助けになりそうなウェブ記事を纏めておきます。

  1. オプジーボ特許料問題 交渉戦術の選択に残る2つの疑問 事例・判例 (投稿日: 2019/04/12 編集長 橋詰 卓司)本庶特別教授が契約を締結したとされる2006年(平成18年)時点、京都大学にライセンス契約をサポートする体制はなかったのか という点です。… 京都大学は、2003年(平成15年)度時点で大学知的財産本部整備事業の対象となっていたことが資料からも確認でき、何らかのバックアップを行う準備はあったものと考えられます。
  2. オプジーボと産学連携の法律問題(2019年4月13日 投稿者: NOGUCHI デライブ知的財産事務所)オプジーボには『2種類の特許』があるとのことです。一つは『物質特許』、もう一つは『治療法特許(用途)』らしいです。… 産学連携では、特許権の共有が珍しいことではありません。企業と大学が共同研究をした場合、その成果としての発明を共同で出願すれば、特許権の共有が発生することになります。そして、大学は特許発明の実施能力がないことが一般ですので、不実施補償の契約交渉が行われることになります。… 産学連携における特許法73条2項の問題は、今に始まった問題ではなく、以前から多くの問題点が指摘されていたことなのです
  3. 知財戦略推進に係る研究現場からの意見 (独立行政法人理化学研究所 主任研究員 川合真紀 資料7 PDF)いわゆる不実施補償の見直しの動き 公的研究機関は、自ら実施することはできないので、これまでは共同研究の相手方企業が実施(製品化)する際には研究機関に実施料(いわゆる不実施補償)を支払うことが契約上の慣例 公的研究機関:公的機関の創出した財産を特定の者に益を供することへの対価を求めることは必要 企業側:不実施補償は製品のコストに反映→競争力低下→不実施補償への抵抗感
  4. 本庶佑教授とオプジーボ特許とライセンス料(2019-04-12 主に知財。たまに問題解決)特許使用料というと、通常は特許ライセンス契約を想定すると思いますが、本庶佑教授と小野薬品の関係は「共同出願人」です。…  正確を期すならば「不実施補償契約」という言葉を使ったほうが適切だったのではと思います。すなわち、「本来特許権の実施は自由な特許権者のうち、一方が不実施の場合、不実施側が利益を保障してもらうために結ぶ契約」です。
  5. 改めて問い直される「特許の価値」と「契約」の意味。(2019-04-12 企業法務戦士の雑感 ~Season2~)2006年の契約締結の過程に何らかの瑕疵があるようなら(例えば、本庶教授が主張される「契約時の説明内容が不正確」の実態が、「小野薬品側で、出願中の特許が製品を極めて広くカバーする用途特許であることを認識していながら、あえて虚偽の説明をして低い料率で契約を締結させた」というようなレベルのものなのであれば)、契約の成立そのものを争う、という選択肢もありうるが、
  6. 切り返しの「正論」と、大学発特許をめぐる根源的な問題と。(2019-05-23 企業法務戦士の雑感 ~Season2~)自分の過去の経験の中では、特許権を共有する会社側から「不実施補償を支払う代わりに、大学の方で自由にライセンス先を見つけて実施料を取れるようにしていただいて構いませんよ」と提案しても、「こちらにはそんなノウハウはないので、あくまで『貴社が』補償金を払ってほしい」と返されることが多かったし、

 

関連記事

  1. 特許対価、本庶氏26億円 大村氏200億円 公正な産学連携のモデルを
  2. 本庶佑 京都大学名誉教授・特別教授のノーベル賞受賞記者会見【動画&書き起こし】

 

 

その他の参考サイト

  1. 共有特許権の実施について規定する 特許法 73条 2 項についての新たな視点 〜インフラ産業における共有特許に係る問題提起を踏まえて〜 (会員・KIT 虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院) イノベーションマネジメント研究科教授・Ph.D. 杉光 一成 パテント 2018 Vol.71 No.5
  2. 共同出願特許の権利範囲の落とし穴
  3. Case 1:19-cv-11380-PBS Document 1 Filed 06/21/19 DANA-FARBER CANCER INSTITUTE, INC., Plaintiff, BRISTOL-MYERS SQUIBB, CO., E.R. SQUIBB & SONS, L.L.C., AND ONO PHARMACEUTICAL CO., LTD., Defendants.

日本が2050年までに実現させるムーンショットな研究テーマ6個

1000億円を使って実現させる夢のある(?)実現が無理そうな(?)研究を助成するムーンショット制度のテーマが発表されていました。これは研究者の自主性やユニークなアイデアが尊重される科研費のようなボトムアップ型の助成とはことなり、国策として選定された研究領域を重点的に支援するトップダウン型の研究助成です。

研究領域の設定を間違うと、やる価値のない研究に莫大な研究費を投入してしまって、全てが無駄になります。また、研究領域を設定する段階ですでに採択されそうな研究者が決まっている場合には、研究費配分の公正さに疑問が付きます。

以前、公募された中から絞られたムーンショット研究課題の候補を紹介しましたが(記事)、最終的にはどのような研究テーマが設定されたのでしょうか?

世の中の反響(ツイート)とともに紹介します。

ムーンショット目標1:2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現

「2050年までに、人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会を実現」

人がカラダから解放されるというのは、脳を直接ロボットにでもつなぐのかなと思いました。しかし、脳からも解放するというので、だとしたら人間から「意識」を吸い出してそれを、人工知能にコピーするのかな。そうすれば、クラウド上に自分の意識が存在して空間や時間の制約からも解放されたことになりそう。しかし、電気代がかかるので、エネルギーの制約からは逃れられない。

あるいは、人間死んだらカラダからも脳からも空間からも時間からも解放されるってことか。2050年までに人類が滅んで、死んだあと霊魂になっていれば、霊魂の集まりとしての社会は存続できそう。

SFなのかオカルトなのかわからない、全く見通しのない研究テーマに思えます。

 

 

ムーンショット目標2:2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現

「2050年までに、超早期に疾患の予測・予防をすることができる社会を実現」

がんのリスクとなる遺伝はすでに多数同定されていることを考えれば、超早期に疾患の予測を行うことは、かなり現実的。予防にまでつなげるのはチャレンジですが、この研究テーマが一番内容がわかりやすく、かつ、実現が可能そう。

 

ムーンショット目標3:2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現

「2050年までに、AIとロボットの共進化により、自ら学習・行動し人と共生するロボットを実現」

自ら学習し行動するロボットに何をさせましょうか。自分の代わりに職場に出かけていって仕事をするロボットとか。自分の代わりに東大を受験して合格してくれるロボットとか?(関連記事

 

ムーンショット目標4:2050年までに、地球環境再生に向けた持続可能な資源循環を実現

資源ごみはリサイクルしましょうという運動の徹底か。

 

ムーンショット目標5:2050年までに、未利用の生物機能等のフル活用により、地球規模でムリ・ムダのない持続的な食料供給産業を創出

未利用の生物機能ってなんでしょう?遺伝子組み換え作物をもっと市場に流通させることとか。

 

確かに目標1を達成すれば、他の目標に取り組む必要が無さそう。こういう場合には、目標1を全力で達成させることが肝要かと。

 

ムーンショット目標6:2050年までに、経済・産業・安全保障を飛躍的に発展させる誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現

誤り耐性型汎用量子コンピュータを実現したところで、経済、産業安全保障を発展させるのは所詮、人間の役割であって、別にコンピュータが何かしてくれるわけではないでしょう。コンピュータを使う人間の精神が発展していなければ、どうしようもありません。


 

 

 

1000億円を月に向かって放り投げるのではなく、1000億円を使って、研究の種を地面にまけばよいのに、と個人的には思います。地に足の着いた研究でない限り、発展は見込めません。

 

ムーンショット説明会日程

何しろ1000億円ですから、多数の研究者からの応募が殺到することが予想されます。

 

とはいえ、ムーンショットで何を実現したいのか全く意味不明のテーマが多くて、いったいどんな研究課題なら採択されるのかが、わかりにくいです。

 

トップダウン型の研究助成ですので、まずその趣旨を理解することが採択のカギを握ります。ムーンショット研究の趣旨説明のための説明会が全国で開催されますので、お出かけしてみてはいかがでしょうか?

 <大阪会場>  map
2月26日(水)10:00~15:15
新大阪丸ビル別館 10F 10-1号室 (大阪府大阪市東淀川区東中島1-18-22)
▶構想ディレクター(PD)登壇予定: ムーンショット目標1,2,3,6
 <東京会場 ①> map
2月28日(金)10:00~15:15
科学技術振興機構 東京本部別館1階ホール(東京都千代田区五番町7 K’s五番町)
▶構想ディレクター(PD)登壇予定:  ムーンショット目標1,2,3,6
<仙台会場>  map
3月4日(水)10:00~14:35
TKPガーデンシティ PREMIUM仙台東口10階 ホール10A(宮城県仙台市宮城野区榴岡3-4-1)
▷録画映像放映 【注1】構想ディレクター(PD)の登壇はありません。
<福岡会場>  map
3月9日(月)10:00~14:35
TKP博多駅前シティセンター8階 ホールA(福岡県福岡市博多区博多駅前3-2-1)
▷録画映像放映 【注1】構想ディレクター(PD)の登壇はありません。
<東京会場 ②> map
4月1日(水)10:00~15:15
科学技術振興機構 東京本部別館1階ホール(東京都千代田区五番町7 K’s五番町)
▶構想ディレクター(PD)登壇予定:  ムーンショット目標1,6 【注2】 ▷録画映像放映

要申し込みです。

→ 参加申し込みフォームのウェブページ(JST)

 

参考

  1. MOONSHOT ムーンショット型研究開発事業(JST) :JSTが管轄するムーンショット研究に関するウェブサイト

特許対価、本庶氏26億円 大村氏200億円 公正な産学連携のモデルを

ノーベル賞授賞の対象となった研究成果、PD-1抗体(がん免疫治療薬「オプジーボ」)に関する特許を小野薬品工業と共有する本庶佑氏に対して小野薬品から渡る金額が26億円程度でしかないそうで、本庶佑氏は契約の見直しを要求しているそうです。

 

本庶氏、26億円を受け取らず契約の見直しを要望

特許契約を結んだ同社から支払われた約26億円を、納得できない点があるとして受け取っていないと明らかにした。全額法務局に供託されている。(本庶氏、小野薬との特許契約不服 がん治療薬で26億円受領せず 2019年4月10日 午後7時44分 福井新聞

  1. 特許対価、契約で大差 本庶氏26億円 大村氏200億円 問われる企業との交渉力(2019/4/12付日本経済新聞 朝刊 会員限定記事)「26億円」対「200億円」。本庶佑・京都大学特別教授と大村智・北里大学特別栄誉教授が、ノーベル賞の受賞対象となった研究成果をもとに製品を出した企業から、それぞれ得た特許のおよその対価だ。内容や期間が異なり単純比較はできないが違いは大きい。
  2. Nobel laureate Tasuku Honjo says Osaka pharmaceutical firm short-changed him for cancer drug (APR 11, 2019 KYODO / Japan Times) Honjo and his lawyer told reporters that he refused to accept the company’s offer of about ¥2.6 billion, and instead forwarded the funds to the Legal Affairs Bureau, because he believes the company shortchanged him by giving him an inadequate explanation about his compensation when they signed the agreement in 2006.

 

PD-1研究への小野薬品の貢献

本庶博士は、ノーベル賞受賞記者会見の席で、”この研究は、研究自身に関して小野薬品は全く貢献していません。それはもうはっきりしてます。でその特許に関してライセンスを受けてるわけですからそれに関して十分なリターンを大学に入れてもらいたいと思っています。”と述べ、小野薬品に対する不満を露わにしていました。

関連記事 ⇒ 本庶佑 京都大学名誉教授・特別教授のノーベル賞受賞記者会見【動画&書き起こし】

 

本庶氏の特許

  1. 本庶佑教授を発明者とする特許について調べてみた (栗原潔 | 弁理士 ITコンサルタント 金沢工業大学客員教授 2018/10/3(水) 10:52 YAHOO!JAPAN)
  2. https://patents.justia.com/assignee/tasuku-honjo 
  3. Substance specifique pour pd-1 WO2003011911A1
  4. Immunopotentiating compositions comprising anti-PD-L1 antibodies EP2206517A1

 

オプジーボを用いた治療

2017 年 4 月~2018 年 3 月までの 1 年間に約 17,000 人の患者さんに使用されている。・がん腫別の推定新規処方患者数は、全体の 4 割強にあたる 7,300 人が非小細胞肺がん、胃がんが4,200 人、頭頸部がん 2,400 人、腎細胞がん 2,200 人などである。オプジーボの動向について

 

オプジーボの小野薬品への貢献

小野薬品工業(東 1:4528)<ポイント>② 癌免疫薬オプジーボの売上高は会社計画 890 億円に対して 901 億円で着地。前期の1039 億円と比べて落ち込んだのは、昨年 2 月に薬価が 1/2 に引き下げられたため。この影響を除く数量ベースでは 45%増となった。③ 前期~昨秋に効能追加された腎細胞癌や頭頸部癌、胃癌への使用が拡大している。ただ、今年 1~3 月の売上高は 211 億円と、昨年 10~12 月の 284 億円から減少しているが、今春の薬価改定前の買い控えの影響と見られる。④ 提携先の米ブリストルなどからの販売ロイヤルティ収入は計 559 億円と 8 割以上、伸びた。(決算レポート 平成30年 5月14日) *太字強調は当サイト

オプジーボは小野薬品の主力商品。2018年4~12月期連結決算の売上高2231億円のうち、オプジーボ関連が5割超を占め、同社の業績を引っ張っている。(小野薬品「特許使用料引き上げ含め話し合い継続中」 オプジーボの本庶氏会見受け 2019年4月10日 20時15分 毎日新聞

オプジーボの売り上げは2019年3月期に900億円に上る見通し。それとは別にBMSによるオプジーボの海外販売額に応じたロイヤルティ収入があり、その額は推計で500億~550億円に上る。(ノーベル賞で脚光、「小野薬品」の期待と現実 「オプジーボ」拡大に喜んでばかりいられない 大西 富士男 2018/10/04 6:00 東洋経済ONLINE

  1. 小野薬品工業株式会社 2019年3月期 第3四半期決算短信IFRS連結 2019年2月1日 IRライブラリー 
  2. 「オプジーボ」販売量が4割増加 小野薬品、過去最高益(中村光 2018年11月1日17時53分朝日新聞DIGITAL) がん治療薬品「オプジーボ」を製造、販売する小野薬品工業の2018年9月中間期の純利益は、前年比36・0%増の288億円で過去最高だった。
  3. オプジーボが初登場2位、16年度の医薬品売上高 (2017/5/17 6:30 日本経済新聞)2位に入ったオプジーボは15年度の約6倍の1190億円を売り上げた。患者数の多い肺がんなどに適応が拡大したこともあって順調に販売を伸ばした。
  4. 平成 29 年 3 月期の業績(連結)について

 

小野薬品と本庶氏との契約内容

特許の契約の内容および本庶氏が不満とする点に関しては、RONZAの記事が詳しいと思うので、リンク先の記事をお読みください。

本庶さんらが1992年に発表した遺伝子「PD-1」をもとに小野薬品はオプジーボを開発し、その販売や他社からのロイヤルティー(権利使用料)で莫大な収入を得ている。それは、①小野薬品の直接の売上、②ブリストル・マイヤーズスクイブ(BMS)社からのロイヤルティー収入、③メルク社との特許訴訟で和解したことによる一時金などに分けられる。 ①と②について、2006年に本庶さんは小野薬品と特許の対価について契約を結んだ。ロイヤルティーの料率は0.75%を基本として、①は小野薬品が開発・製造や販売のコストをかけ苦労して売っているものなので「減額」、②は「上乗せ」するというものだ。(ノーベル賞の本庶さんが特許の対価を巡って怒る! がん治療薬「オプジーボ」成功のかげで深まっていた対立 2019年04月19日 瀬川茂子 朝日新聞編集委員 論座 RONZA)

 

大学の研究者に不利な契約が結ばれた経緯

研究者をだましたり、こちらをミスリードするような説明をしたりするとは想定していない。弁護士費用を払う金もなく、大学も払ってくれるとは言わなかった。(本庶佑氏ら一問一答「常識で対応してほしい」2019.4.10 21:12 産経WEST

同席した井垣太介弁護士は、18年に本庶氏個人と小野薬品が特許に関しての契約を結んだ際、同社からの対価の料率に関する説明が不正確だったと説明。当時の本庶氏が特許契約に関する知識が乏しかったと強調し、「本庶先生は研究で忙しく、弁護士に依頼する余裕もなかった。小野薬品ももう少し慎重なプロセス(過程)を踏むべきだった」と指摘した。(本庶氏「対価引き上げを」 オプジーボめぐり小野薬品に協議要求 2019.4.11 11:15 SankeiBiz)

 

産学連携の在り方・体制の整備に関する本庶佑氏の思い

2006年に本庶氏と小野薬品工業との間で行った特許のライセンス契約に問題があるので見直してほしいということです。実際には2011年に本庶氏が修正を求め、交渉が始まりました。だから、「オプジーボが大ヒット薬となったので、本庶氏が駄々をこねている」というわけではありません。(産学連携の推進へ、わだかまりを残すべきではない 2019.04.19 08:00 橋本宗明 【日経バイオテクONLINE Vol.3146】)

  1. 日本発ブロックバスター医薬品とその売り上げ規模(小原 満穂 (おばら・みちお)国立研究開発法人 科学技術振興機構  産学連携アドバイザー 産学官の道しるべ 産学官連携ジャーナル2016年03月号)2015年に入って、皮膚がん(メラノーマ:悪性黒色腫)に対する画期的な治療薬が販売されている。医薬品メーカーである小野薬品工業株式会社とブリストル・マイヤーズ・スクイブが共同研究して実用化したオプジーボ(一般名:ニボルマブ)である。

本庶氏は会見で「公正な産学連携のモデルを作らないと日本のライフサイエンス(生命科学)分野はダメージを受け、若手研究者もやる気を失う」と語った。(本庶氏「対価引き上げを」 オプジーボめぐり小野薬品に協議要求 2019.4.11 11:15 SankeiBiz)

 

参考

  1. Ono Pharmaceutical Company and Bristol-Myers Squibb Enter Settlement and License Agreement with Merck for Anti-PD-1 Antibody Patent Infringement Litigation (January 21, 2017 ONO PHARMACEUTICAL CO.,LTD.)
  2. Immune checkpoint inhibitors: the battle of giants (11 July 2017 Pharmaceutical Patent Analyst)
  3. Intellectual property issues of immune checkpoint inhibitors. Ulrich Storz. MAbs. 2016 Jan; 8(1): 10–26.
  4. Case 1:15-cv-13443-MLW Document 1 Filed 09/25/15 DANA-FARBER CANCER INSTITUTE, INC., Plaintiff, v. ONO PHARMACEUTICAL CO., LTD.,TASUKU HONJO, E.R. SQUIBB & SONS,L.L.C., and BRISTOL-MYERS SQUIBB CO., Defendants.

卓越研究員受入れ募集要項123件がJREC-INに

2016年3月29日追記:

文科省の卓越研究員事業のウェブサイトで、卓越研究員受け入れ先全リストが公開されました。

一覧化公開ポスト

本事業の対象となる、各機関からの提示ポストは以下のとおりです。

* * * * *

卓越研究員の受け入れ先が募集要項を公開し、2016年3月28日に、JREC-INに123件が掲載されました。

卓越研究員を受け入れを希望する大学、研究機関、民間企業の募集要項が、2016年3月28日にJREC-INに123件掲載されました。新聞の報道によれば、文部科学省が受け入れ先として、63大学、23社を含む92機関を発表し、その中にはトヨタ自動車、日立製作所、アステラス製薬、キヤノンなども含まれるそうです。

このウェブページはJRECINの内容に基づいていますが内容の正確さや新しさを保証致しませんので、必ずJREC-INでご確認下さい。

住友電気工業株式会社

  1. 【卓越研究員】「計算科学を活用した無機材料の研究に取り組む研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [工学-材料工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  2. 【卓越研究員】「放射光分析および第一原理計算を活用した材料解析を研究する研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [総合理工-量子ビーム科学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  3. 【卓越研究員】「電力システムに関する研究開発を対象とする研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  4. 【卓越研究員】「マイクログリッドのためのエネルギー管理システム開発の研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [数物系科学-物理学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  5. 【卓越研究員】「高機能なデバイス研究開発において、基礎となる物理などを研究する研究員」を募集(狭ギャップ超格子構造)住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  6. 【卓越研究員】「RE系高温超電導線材の研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [工学-材料工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  7. 【卓越研究員】「高機能なデバイス研究開発において、基礎となる物理などを研究する研究員」を募集(化合物半導体トランジスタ)住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  8. 【卓越研究員】「エネルギー監視・制御システムの研究開発を行う研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  9. 【卓越研究員】「集光型太陽光発電(CPV)システムの応用研究と開発を行う研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  10. 【卓越研究員】「高効率分散電力システムの研究・開発を行う研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  11. 【卓越研究員】「透過電子顕微鏡を使用た無機材料、無機/有機材料界面、半導体材料の解析の研究を行う研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [総合理工-ナノ・マイクロ科学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  12. 【卓越研究員】「革新的化合物半導体結晶成長技術の研究を行う研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [総合理工-応用物理学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  13. 【卓越研究員】「多波長光源のファイバへの高効率結合技術開発の研究を行う研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [総合理工-応用物理学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  14. 【卓越研究員】「レドックスフロー電池の高性能化研究の研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [化学-材料化学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  15. 【卓越研究員】「化合物半導体(特にSiC)の結晶またはエピタキシャル成長技術に関する研究開発を行う研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  16. 【卓越研究員】「LED照射機器開発の研究を行う研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [総合理工-応用物理学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  17. 【卓越研究員】「電気化学的手法を用いた微細回路形成プロセスに関する研究開発を行う研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [化学-材料化学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  18. 【卓越研究員】「量子構造における半導体中の不純物・欠陥の評価・解析の研究を行う研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [総合理工-応用物理学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  19. 【卓越研究員】「エネルギー利用コスト低減と住環境品質維持の最適化の研究開発を行う研究員」の募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  20. 【卓越研究員】「パワー半導体モジュール及びその周辺回路に関する研究開発を行う研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  21. 【卓越研究員】「パワー半導体用SiC結晶・エピの評価技術開発の研究を行う研究員」を募集 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  22. 【卓越研究員】「パワー半導体デバイスに関する研究開発を行う研究員」を募集する 住友電気工業株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)

日産自動車株式会社

  1. 【卓越研究員】準静電界の自動車への応用の研究員の募集 日産自動車株式会社 [工学-電気電子工学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  2. 【卓越研究員】電気化学デバイスの研究員の募集 日産自動車株式会社 [化学-複合化学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  3. 【卓越研究員】Share Economy、Servitizationの市場動向の研究員の募集 日産自動車株式会社 [社会科学-経済学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  4. 【卓越研究員】Assumptions Studyの研究員の募集 日産自動車株式会社 [社会科学-社会学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  5. 【卓越研究員】新構造燃料電池の非自動車用燃料電池マーケットの研究員の募集 日産自動車株式会社 [社会科学-政治学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  6. 【卓越研究員】自動運転・知能化環境理解システムの研究員の募集 日産自動車株式会社 [総合理工-計算科学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  7. 【卓越研究員】最先端応用技術開発を実行するための研究者の募集 日産自動車株式会社 [工学-機械工学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  8. 【卓越研究員】ビックデータ・AIの研究員の募集 日産自動車株式会社 [総合理工-計算科学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  9. 【卓越研究員】Connected Carシステム開発の研究員の募集 日産自動車株式会社 [総合理工-計算科学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  10. 【卓越研究員】自動運転・知能化行動決定システムの研究員の募集 日産自動車株式会社 [総合理工-計算科学]研究員・ポスドク相当、研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)

第一三共株式会社

  1. 【卓越研究員】癌免疫領域の探索研究者の募集 第一三共株式会社 [医歯薬学-薬学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  2. 【卓越研究員】疼痛領域の探索研究者の募集 第一三共株式会社 [医歯薬学-薬学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  3. 【卓越研究員】バイオインフォマティクス研究者の募集 第一三共株式会社 [医歯薬学-薬学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  4. 【卓越研究員】細胞治療領域の探索研究者の募集 第一三共株式会社 [医歯薬学-薬学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)

住友化学株式会社

  1. 【卓越研究員】ポスドク募集(化学分野)住友化学株式会社 [化学-全て]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)

旭化成株式会社

  1. 【卓越研究員】人工知能分野の研究開発と応用研究 旭化成株式会社 [情報学-全て]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期あり)

株式会社富士通研究所

  1. 【卓越研究員】人工知能、機械学習に関する研究員 株式会社富士通研究所 [情報学-人間情報学]助教相当、「卓越研究員」、研究員・ポスドク相当 常勤(任期なし)

株式会社ニコン

  1. 【卓越研究員】主任研究員 株式会社ニコン [数物系科学-数学]研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期あり)

株式会社豊田自動織機

  1. 【卓越研究員】文部科学省卓越研究員事業を経た研究開発リーダーの募集 株式会社豊田自動織機 [工学-材料工学]研究開発・技術者相当、卓越研究員 常勤(任期なし)

飯田グループホールディングス株式会社

  1. 【卓越研究員】研究員の募集(未来住宅の商用化研究開発)飯田グループホールディングス株式会社 [工学-建築学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(任期なし)

教授

  1. 【卓越研究員】情報科学研究科 ハードウェアセキュリティ分野 教授公募 奈良先端科学技術大学院大学 [情報学-計算基盤]教授相当、「卓越研究員」常勤(任期なし)

准教授など

  1. 【卓越研究員】医学研究科 神戸大学 [医歯薬学-シグナル伝達医学]助教相当、准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  2. 【卓越研究員】熊本大学大学院生命科学研究部先端生命医療科学部門分子機能薬学講座准教授の公募について 熊本大学 [医歯薬学-薬学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  3. 【卓越研究員】准教授または講師の募集(電気電子情報工学専攻)長岡技術科学大学 [工学-電気電子工学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  4. 【卓越研究員】准教授または助教の募集(応用昆虫学分野)宮崎大学 [農学-生産環境農学]准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  5. 【卓越研究員】 助教、講師もしくは准教授募集(獣医内科学分野)宮崎大学 [農学-動物生命科学]助教相当、准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  6. 【卓越研究員】准教授または講師の募集(物質材料工学専攻)長岡技術科学大学 [化学-材料化学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  7. 【卓越研究員】准教授または講師の募集(環境社会基盤工学専攻)長岡技術科学大学 [工学-土木工学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  8. 【卓越研究員】准教授または講師の募集(機械創造工学専攻)長岡技術科学大学 [工学-総合工学] 准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  9. 【卓越研究員】准教授の募集(腫瘍学分野)熊本大学 [総合生物-腫瘍学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  10. 【卓越研究員】准教授の募集(環境・エネルギー工学分野)宮崎大学 [工学-総合工学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  11. 【卓越研究員】准教授(水圏応用科学分野)宮崎大学 [農学-水圏応用科学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  12. 【卓越研究員】准教授(テニュアトラック)の公募 (A.動物生産科学)東京農工大学 [農学-動物生命科学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  13. 【卓越研究員】大阪大学情報科学研究科 准教授の募集(情報科学分野)大阪大学 [総合理工-計算科学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  14. 【卓越研究員】大阪大学データビリティフロンティア機構 准教授又は助教の募集(情報学分野)大阪大学 [情報学-人間情報学]准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  15. 【卓越研究員】大阪大学接合科学研究所 准教授又は助教の募集(工学分野)大阪大学 [工学-材料工学]准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  16. 【卓越研究員】准教授(特定有期教員)の公募 九州大学 [複合領域-デザイン学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  17. 【卓越研究員】准教授(テニュアトラック)の公募 (B.生命工学)東京農工大学 [生物学-生物科学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  18. 【卓越研究員】准教授(テニュアトラック)の公募 (C.有機材料化学)東京農工大学 [化学-複合化学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  19. 【卓越研究員】准教授(テニュアトラック)の公募 (D.メディア対話工学)東京農工大学 [情報学-情報学フロンティア]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  20. 【卓越研究員】横浜国立大学大学院工学研究院教員の公募(知的構造の創生部門准教授)横浜国立大学 [数物系科学-物理学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  21. 【卓越研究員】准教授又は助教の公募(環境創成学、環境保全学又は環境解析学)長崎大学 [環境学-環境創成学] 准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)

講師など

  1. 【卓越研究員】特命講師、特命助教(総合理工分野)の公募 神戸大学 [総合理工-全て]准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  2. 【卓越研究員】大阪大学工学研究科 講師の募集(化学分野)大阪大学 [化学-複合化学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  3. 【卓越研究員】講師の募集(教師教育学(臨床心理学または学校臨床心理学分野))福井大学 [社会科学-教育学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  4. 【卓越研究員】講師または助教の募集(グリーンイノベーション分野)京都工芸繊維大学 [工学-電気電子工学] 准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  5. 【卓越研究員】講師または助教の募集(昆虫先端研究分野) 京都工芸繊維大学 [総合生物-ゲノム科学] 准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  6. 【卓越研究員】テニュアトラック講師または助教公募(応用化学専攻 物質物理化学分野)神戸大学 [化学-複合化学]准教授・常勤専任講師相当、助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  7. 【卓越研究員】テニュア・トラック講師の募集(高等教育推進機構)大阪府立大学 [社会科学-教育学]准教授・常勤専任講師相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)

助教

  1. 【卓越研究員】助教の募集(生物科学分野)北海道大学 [生物学-生物科学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  2. 【卓越研究員】助教の募集(総合分野)九州工業大学 [情報学-計算基盤]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  3. 【卓越研究員】助教の募集(工学分野)九州工業大学 [工学-機械工学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  4. 【卓越研究員】テニュアトラック助教募集(越境性動物疾病制御研究センター)鹿児島大学 [農学-動物生命科学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  5. 【卓越研究員】助教の募集(総合人文社会分野)人間文化研究機構国際日本文化研究センター [総合人文社会-地域研究]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  6. 【卓越研究員】助教の募集(化学分野)千葉大学 [化学-基礎化学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  7. 【卓越研究員】高知大学 海洋コア総合研究センター テニュアトラック教員(特任助教)の募集(地球惑星科学分野)高知大学 [数物系科学-地球惑星科学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  8. 【卓越研究員】助教の募集(情報学フロンティア)東京工業大学 [情報学-情報学フロンティア]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  9. 【卓越研究員】もの創造系領域(環境調和材料工学研究センター)助教の公募 室蘭工業大学 [工学-材料工学]助教相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  10. 【卓越研究員】特命助教(社会科学分野)の公募 神戸大学 [社会科学-全て]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  11. 【卓越研究員】横浜国立大学大学先端科学高等研究院(大学院環境情報研究院)助教(テニュアトラック制)の公募(数理情報学)横浜国立大学 [情報学-情報学基礎]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  12. 【卓越研究員】助教の募集(生物科学)東京工業大学 [生物学-生物科学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  13. 【卓越研究員】助教の募集(電気電子工学分野)東京工業大学 [工学-電気電子工学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  14. 【卓越研究員】助教の公募(工学・プロセス・化学工学分野)熊本大学 [工学-プロセス工学・化学工学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  15. 【卓越研究員】助教の公募(数物系科学・物理学分野)熊本大学 [数物系科学-物理学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  16. 【卓越研究員】テニュアトラック助教の公募(植物分子科学/植物ゲノム科学分野)千葉大学 [農学-生産環境農学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  17. 【卓越研究員】助教の公募(工学・材料工学分野)熊本大学 [工学-材料工学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  18. 【卓越研究員】任期付助教の公募(複合化学分野)宇都宮大学 [化学-複合化学]助教相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  19. 【卓越研究員】任期付助教の公募(機械工学(機械力学・制御)分野)宇都宮大学 [工学-機械工学]助教相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  20. 【卓越研究員】助教の募集(農芸化学分野)香川大学 [農学-農芸化学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  21. 【卓越研究員】助教の募集(生物情報解析科学研究分野)北海道大学 [生物学-生物科学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  22. 【卓越研究員】特任助教の募集(発生工学分野)山梨大学 [生物学-生物科学]助教相当、卓越研究員常勤(テニュアトラック)
  23. 【卓越研究員】助教の募集(社会・安全システム科学分野)香川大学 [複合領域-社会・安全システム科学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  24. 【卓越研究員】特任助教の募集(ワイン科学、応用微生物学分野)山梨大学 [農学-生産環境農学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  25. 【卓越研究員】特任助教の募集(低エネルギー通信システム分野)山梨大学 [工学-電気電子工学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  26. 【卓越研究員】テニュアトラック助教の公募(農芸化学分野)宇都宮大学 [農学-農芸化学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  27. 【卓越研究員】助教の公募(複合化学分野)岐阜大学 [化学-複合化学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  28. 【卓越研究員】任期付助教の公募(機械工学(ロボティクス)分野)宇都宮大学 [工学-機械工学]助教相当、卓越研究員 常勤(任期あり)
  29. 【卓越研究員】 助教(獣医病理学分野)宮崎大学 [農学-動物生命科学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  30. 【卓越研究員】大阪大学基礎工学研究科 助教の募集(工学分野)大阪大学 [工学-プロセス工学・化学工学]助教相当、卓越研究員 常勤(任期なし)
  31. 【卓越研究員】テニュアトラック助教の募集(環境保全部門)鳥取大学 [農学-農芸化学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  32. 【卓越研究員】千葉大学融合科学研究科テニュアトラック助教の公募 千葉大学 [総合理工-応用物理学] 助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  33. 【卓越研究員】順天堂大学難病の診断と治療研究センター難治性疾患・再生医療実用化研究室員の募集(再生医療分野)順天堂大学 [医歯薬学-全て]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  34. 【卓越研究員】大阪大学産業科学研究所 助教の募集(物質・デバイス分野)大阪大学 [総合理工-全て]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  35. 【卓越研究員】テニュアトラック助教の募集(基礎医学分野)群馬大学 [医歯薬学-基礎医学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  36. 【卓越研究員】テニュアトラック助教の募集(複合化学分野)群馬大学 [化学-複合化学] 助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  37. 【卓越研究員】テニュア・トラック助教の募集(経済学研究科)大阪府立大学 [社会科学-経済学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  38. 【卓越研究員】長崎大学大学院医歯薬学総合研究科薬学部医薬品合成化学分野卓越研究員(助教)公募 長崎大学 [化学-複合化学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  39. 【卓越研究員】テニュアトラック助教の公募( 宇宙史 (実験・観測)分野 )筑波大学 [数物系科学-物理学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック) 情報科学研究科 ハードウェアセキュリティ分野 教授公募 奈良先端科学技術大学院大学 [情報学-計算基盤] 教授相当 常勤(任期なし)
  40. 【卓越研究員】北陸先端科学技術大学院大学教員公募(先端科学技術研究科助教)北陸先端科学技術大学院大学 [化学-複合化学]助教相当、卓越研究員常勤(テニュアトラック)
  41. 【卓越研究員】テニュアトラック助教の公募(応用微生物分野)筑波大学 [農学-農芸化学]助教相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)
  42. 【卓越研究員(予定)】学術研究院農学系助教(食品化学)の公募について【応募締切:平成28年5月9日】信州大学 [農学-農芸化学]助教相当 常勤(テニュアトラック)
  43. 【卓越研究員(予定)】学術研究院農学系助教(応用分子細胞生物学)の公募について【応募締切:平成28年5月9日】信州大学 [農学-境界農学] 助教相当 常勤(テニュアトラック)

その他の研究職員

  1. 【卓越研究員】研究職「R16-06」(正職員)-ナノ材料工学 (定年制) 国立研究開発法人物質・材料研究機構 [工学-材料工学]独立研究者、卓越研究員、助教相当、准教授・常勤専任講師相当 常勤(任期なし)
  2. 【卓越研究員】研究職「R16-01」(正職員)-生体材料(定年制)国立研究開発法人物質・材料研究機構 [複合領域-人間医工学]独立研究者、卓越研究員、助教相当、准教授・常勤専任講師相当 常勤(任期なし)
  3. 【卓越研究員】研究職「R16-02」(正職員)-固体表面・界面の機能探索とその応用(定年制)国立研究開発法人物質・材料研究機構 [総合理工-応用物理学]独立研究者、卓越研究員、助教相当、准教授・常勤専任講師相当 常勤(任期なし)
  4. 【卓越研究員】研究職「R16-03」(正職員)-二次電池(特にリチウム金属負極)材料(定年制)国立研究開発法人物質・材料研究機構 [工学-材料工学]独立研究者、卓越研究員、助教相当、准教授・常勤専任講師相当常勤(任期なし)
  5. 【卓越研究員】研究職「R16-07-1」(正職員)-物質・材料一般(応用物理学) (定年制)国立研究開発法人物質・材料研究機構 [総合理工-応用物理学]独立研究者、卓越研究員、助教相当、准教授・常勤専任講師相当 常勤(任期なし)
  6. 【卓越研究員】研究職「R16-07-2」(正職員)-物質・材料一般(材料化学) (定年制)国立研究開発法人物質・材料研究機構 [化学-材料化学]独立研究者、卓越研究員、助教相当、准教授・常勤専任講師相当 常勤(任期なし)
  7. 【卓越研究員】研究職「R16-07-3」(正職員)-物質・材料一般(材料工学) (定年制)国立研究開発法人物質・材料研究機構 [工学-材料工学]独立研究者、卓越研究員、助教相当、准教授・常勤専任講師相当 常勤(任期なし)
  8. 【卓越研究員】研究員募集(がんの予防・診断・治療に資する研究)公益財団法人がん研究会 [医歯薬学-基礎医学]研究員・ポスドク相当、卓越研究員 常勤(テニュアトラック)

参考

  1. 文部科学省事業「卓越研究員制度」ポストを公開開始 文部科学省事業の卓越研究員制度ポスト(機関から依頼されたもの)を、本日よりJREC-IN Portalで公開いたしました。求人公募情報検索画面のフリーキーワード欄に【卓越研究員】と入力して検索すると、JREC-IN Portalに掲載されている卓越研究員制度での求人公募情報の一覧がご覧いただけます。
    http://www.mext.go.jp/a_menu/jinzai/takuetsu/index.htm(文部科学省)では、卓越研究員制度での全ポスト一覧がご覧いただけます。 [JREC-IN 2016年03月28日 ]
  2. 卓越研究員 若手を熱烈歓迎!…トヨタが年収1450万円 (毎日新聞2016年3月28日):”優秀な若手研究者の雇用を確保する国の新制度「卓越研究員制度」について、大学や企業などからの受け入れ表明が想定を超える約300件に上ったことが分かった。トヨタ自動車が年間13万ドル(約1450万円)の基本給を示すなど破格の条件も含まれる。…同省によると、受け入れ表明は、同省の選抜予定人数を超え、国立大58校、企業23社など計92機関が317件のポストを提示する予定だ。そのうち約3割の96件を企業が占めた。トヨタ自動車は自動運転技術などで米国で勤務する若干名を募集。日立製作所はロボット技術などの研究職、アステラス製薬は再生医療を担う主任研究員、東京大は基礎生物学の助教を募集する。”
  3. 研究者受け入れ、東大など92機関 若手仲介事業 (日本経済新聞 2016/3/28):”文部科学省は28日、2016年度から始める若手研究者を企業や大学に仲介する事業で、受け入れ先となる92機関を発表した。大学では東京大や京都大、名古屋大など63大学、企業ではトヨタ自動車、第一三共、キヤノンなど23社が名乗りを上げた。京大などは准教授ポスト、奈良先端科学技術大学院大は教授職のポストを用意するという。”

東京女子医大が細胞シート論文を撤回

小保方晴子氏が筆頭著者の2011年ネイチャー・プロトコルズ(Nature Protocols)論文に関しては、以前から研究不正の疑惑が複数のインターネットサイトで指摘されていました。ネイチャー・プロトコルズが2016年2月25日に公表したところによれば、4人の共著者のうち小保方晴子氏を除く3人の申し出により、この論文は撤回されました。。

Retraction: Reproducible subcutaneous transplantation of cell sheets into recipient mice Published online 25 February 2016 (http://www.nature.com/nprot/journal/v11/n3/full/nprot0316-616a.html)

今回取り下げられたこの論文は小保方晴子氏が大学院時代に行った細胞シート工学関連の仕事です。早稲田大学と東京女子医大は医工融合研究教育拠点TWInsを2008年に設立しており、小保方氏の研究はここで実施されました。

Haruko Obokata,    Masayuki Yamato,    Satoshi Tsuneda    & Teruo Okano. Reproducible subcutaneous transplantation of cell sheets into recipient mice. Nature Protocols 6, 1053–1059 doi:10.1038/nprot.2011.356 Published online

論文著者4名のうち、筆頭著者の小保方晴子氏が実験の計画、実験の実施、データ解析、論文執筆を、大和雅之氏が実験の計画、データ解析、論文執筆を担当し、常田聡氏および責任著者の岡野光夫氏は研究プロジェクトの監督を行いました。

Contributions H.O. designed and conducted the experiments, analyzed the data and wrote the paper. M.Y. designed experiments, analyzed data and wrote the paper. S.T. and T.O. supervised the project.

大和雅之、常田聡、岡野光夫の3氏は、疑惑が指摘されていた論文の図に対応する生データが見つからず、論文の結果に対する確信が失われたため論文を取り下げたいと説明しています。ネイチャー・プロトコルズ誌は、論文撤回に関して小保方晴子氏の見解を求めようとしましたが連絡が取れませんでした。論文取り下げは、2016年1月13日付け。

retracted 13 January 2016
Masayuki Yamato, Satoshi Tsuneda and Teruo Okano would like to retract this protocol after concerns were raised by the community about some of the figures. Specifically, concerns were raised that the fourth graph in Figure 5a and the first graph in Figure 5b look very similar, and some of the error bars look unevenly positioned. Masayuki Yamato, Satoshi Tsuneda and Teruo Okano have been unable to locate some of the raw data to verify these figures and are no longer confident in the paper’s results. Given that these results are key to demonstrating the reliability and reproducibility of the protocol, these authors wish to retract the protocol, and they sincerely apologize for the adverse consequences that may have resulted from its publication. Haruko Obokata could not be reached by the journal for comment on the retraction. (http://www.nature.com/nprot/journal/v11/n3/full/nprot0316-616a.html)

この論文のデータの疑わしさや相反利益問題は、以前よりインターネット上の複数のサイトで指摘されていました。

小保方論文についてはNatureに出たSTAP細胞論文とTissue Eng. Aの論文について不正疑惑が出てますが、その陰に隠れてNat. Protocol.に2011年に出した論文でも怪しい点が指摘されているんです。それが、この図。Fig.5aのNumber of B cellsとFig.5bのNumber of neutrophilsの値がクリソツすぎる。違う細胞種を異なる条件で実験してるのに、この一致ぶりは奇跡。(もう一つの小保方論文のストーリー  anond.hatelabo.jp 2014-02-23)

伏線もあった。2011年、『ネイチャープロトコル』誌にセルシード社の細胞シートに関する論文が載った。執筆者には小保方氏、岡野氏、大和氏が名を連ね ている。岡野氏は細胞シートの利害関係者であるにもかかわらず、論文の「COMPETING FINANCIAL INTERESTS」(金銭的利害関係の有無)の欄には「The authors declare no competing financial interests.」(筆者らは競合する経済的利益はないと宣言する)と記していた。(小保方研究に関与する企業の株価が急上昇――STAP細胞騒動に株価操作疑惑 週刊金曜日 2014年4月30日

参考

  1. もう一つの小保方論文のストーリー (anond.hatelabo.jp 2014-02-23)
  2. 小保方研究に関与する企業の株価が急上昇――STAP細胞騒動に株価操作疑惑 (週刊金曜日 2014年4月30日)
  3. 東京女子医科大学 大和雅之教授は、(株)セルシード社の株主であり共同研究先 (小保方晴子のSTAP細胞論文の疑惑 stapcells.blogspot.jp 2014年2月13日):”利益相反事項の隠蔽疑惑:小保方晴子氏の2011年のNature Protocol誌の論文は、(株)セルシード社の製品の細胞シートの性能に関するものでした。そして、論文の共著者である東京女子医大の岡野光夫教授や大和雅之教授は(株)セルシードの関係者であり、特に、岡野光夫教授は、有価証券報告書ではこの時点で同社株の大量保有者かつ役員でした。このように、金銭的利益相反問題が存在するにも関わらず、このNature Protocol誌の論文には、”金銭的利益相反は無い(The authors declare no competing financial interests.)”と宣言していました。これらの虚偽記載もまた、彼らの信用を大きく損なう結果となりました。”
  4. 東証JQG 7776 (株)セルシード チャート(10年) ヤフーファイナンス
  5. 東京女子医科大学・早稲田大学連携 先端生命医科学研究教育施設 TWIns:”東京女子医大と早稲田大学による医工融合研究教育拠点である「東京女子医科大学・早稲田大学連携先端生命医科学研究教育施設」を2008年4月にオープンしました。東京女子医大のT、早稲田のW、そしてInstitutionを組み合わせて、通称「TWIns(ツインズ)」と命名しました。”
  6. 東京女子医科大学先端生命医科学研究所 メンバー: 大和雅之 所長・教授 Masayuki YAMATO Director of TWIns, Professor 岡野 光夫 特任教授     Teruo OKANO Professor
  7. 小保方晴子(ウィキペディア)
  8. 株式会社セルシード (CellSeed) 基盤技術 論文紹介
  9. 株式会社セルシード 日本発・世界初の「細胞シート再生医療」の世界普及を目指す (東京女子医大先端生命科学研究所細胞シートティッシュエンジニアリングセンター)セルシードは、2001年に設立された東京女子医科大学発の再生医療企業です。日本発・世界初の再生医療プラットフォーム技術である「細胞シート工学」を 基盤技術とし、細胞シート工学を用いて組織や臓器を再生することによって様々な難治性疾患・損傷を治療する「細胞シート再生医療」の事業化・世界普及を目 指しております。
  10. 東京女子医大先端生命科学研究所細胞シートティッシュエンジニアリングセンター ご挨拶:”我々はこうした細胞シートの積層化で組織や臓器を少量の細胞から造り、まったく新たな“細胞シート治療学”の確立とその医療テクノロジーの普遍化を達成することで再生医療の世界拠点の形成を目指す。 特任教授 岡野光夫”
  11. 企業事例 IPO編 株式会社セルシード (あなたのビジネスを、公的機関がバックアップ! J-NEt21 中小企業ビジネス支援サイト 企業事例 こうして活用しよう中小企業向けファンド):”2001年5月に創業した際には、東京女子医科大学岡野教授など創業メンバーを中心にして資本金を集めた。そして、創業から入念な準備を経て、約1年後の2002年6月に、初めてVC投資を受け入れ、本格的な研究に取り組みはじめた。”
  12. 小保方氏のSTAP以前の論文撤回 ネイチャー姉妹誌 (日本経済新聞 2016/2/27):”英科学誌ネイチャーの姉妹誌「ネイチャープロトコルズ」は27日までに、小保方晴子氏がSTAP細胞論文より前に発表していた別の論文を撤回したと発表した。”
  13. 小保方氏らの論文撤回 英科学誌「元データ確認できず」(朝日新聞DIGITAL 2016年2月27日):”STAP細胞論文の筆頭著者で、早稲田大の大学院生だった小保方晴子・理化学研究所元研究員らが執筆した論文が撤回されたと、英科学誌ネイチャーの関連誌電子版で25日発表された。”
  14. 小保方氏ら4人論文 英科学誌が撤回 共著者3人申し出(毎日新聞2016年2月27日):”英科学誌「ネイチャー・プロトコルズ」は、元理化学研究所研究員の小保方晴子氏(32)らが2011年に報告した論文を、1月13日付で撤回したと発表した。”
  15. 小保方氏らネイチャー論文、共著者申し出で撤回(読売新聞 YOMIURI ONLINE 2016年02月27日12時37分):”元理化学研究所研究員の小保方晴子氏(32)らの2011年の論文が撤回されたと、英科学誌ネイチャーが25日、発表した。論文中の二つのグラフが酷似しているとの指摘があり、小保方氏以外の共著者3人が撤回を申し出た。同誌は小保方氏にも接触を試みたが、連絡がつかなかったという。論文は、再生医療に用いる「細胞シート」の性質を、マウスで評価するための手順をまとめた内容。STAP論文を発表する2年半前の11年6月、「ネイチャー・プロトコルズ」誌に掲載された。”
  16. 読売新聞の見出しは変だ: 「小保方氏らネイチャー論文、共著者申し出で撤回」 「ネイチャー」(本紙)と「ネイチャー・プロトコル」(同じ出版社だが、いわゆる姉妹雑誌)の違いを分かっていないようだ。 From: rjgeller at: 2016/02/28 06:50:56 JST
  17. ライフサイエンスと利益相反 (平成25年度「リサーチ・アドミニストレーターを育成・確保するシステムの整備」(研修・教育プログラムの作成)5.ライフサイエンスと利益相反 東京女子医科大学リサーチ・アドミニストレーター河原直人)
  18. 利益相反かあるかどうかを判断するための”6つのP” (Editage Insigts 投稿者 ヴィレンドラ・ナイク 2015年01月13日):”金銭的利益の原因となる利益相反は、著者が一番多く直面し、開示しなければならないものです。資金提供源、研究から金銭的利益を得る会社の株の所有、研究の恩恵を受ける会社からもらう顧問料や給料などが挙げられます”