振り子の等時性の法則(ガリレイ)を利用した振り子時計の発明(ホイへンス)

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日本の特許法では、発明は自然法則を利用した技術的思想の創作と定義されています。振り子時計の発明は、日本での特許法よりも何百年も前にはなりますが、まさに、「振り子の等時性」(ガリレオ、1581年)という自然法則を利用した「技術的思想の創作」(ホイへンス、1656年)の一例と言えるのではないでしょうか。

振り子時計の発明

オランダのクリスティアン・ホイへンス(1629- 1695)は1656年に、ガリレオが発見した振り子の等時性の法則を利用した振り子時計を発明し、特許も取りました。

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  3. 12月25日はホイヘンスが振り子時計を作成した日 https://x.com/Fukumath/status/1871677236572459514

この法律で「発明」とは、自然法則を利用した技術的思想の創作のうち高度のものをいう。(特許法 第二条)

高校の物理で波の進み方に関する、ホイへンスの原理というものを習います。

  1. ホイヘンスの原理の詳しい解説! https://rikeilabo.com/principle-of-huygens

それくらいホイへンスは有名な物理学者ですが、じつは時計の発展にも大きな貢献を果たしています。

おじいさんの古時計のチックタックチックタックの正体

時計の針を動かす一番の中心になるのは、ガンギ車(がんぎぐるま、ガンギ車、雁木車、Escape wheel)という30個(下の動画の時計の場合)の歯がついた歯車です。ガンギ車は「重り」または「ぜんまい」の力によって常に回ろうとしていますが、その歯の部分に、振り子に結合して連動して動くアンカーのパレットのツメが入って止めては離し、止めては離しということをやっています。ツメは2つあって交互にガンギ車を止めているので、チック、タックと音がするわけです。

下の動画の場合、振り子の一振り(片道1秒)によって歯1個分動きます。振り子が逆に振れたときにまた1個分動きます。なのでこのEscape wheelは、30秒で一回転することになります。

How Tower Clocks Work Trevor Murphy チャンネル登録者数 1110人

 

振り子にエネルギーを与えるしくみ

振り子は段々減衰してしまうため、減衰しないようにエネルギーを与える仕組みが必要ですが、それはどこから来るのでしょうか。さきほどのEscape wheelの歯が毎回、振り子を「押しやって」いるからです。Escape wheelを動かすには例えば下の動画では、Escape wheelの軸の部分に取り付けた重りの「位置エネルギー」が使われています。Escape wheelは、重りによって回されているので常に周り続けようとするのですが、振り子に結合しているアンクル(anchor(錨))と呼ばれる部品の先端にある、ガンギ車の歯と接触する部分「パレット」(pallet、爪石)がガンギ車の歯を受け止めたり解放したりすることによって、回る速さを制御しています。

How escapement mechanisms work. 3D Printer Academy チャンネル登録者数 52万人

下の動画が、振り子時計のメカニズムを非常にわかりやすく説明していました。振り子時計のほうは、ぜんまいによって「がんぎぐるま」が駆動されていて、説明用の模型では重りが使われています。

振り子時計が動く仕組みを解説してみた 古時計愛好家のわったん Wattan clock lover チャンネル登録者数 698人

上の動画で、振り子のおもり(ボブ)を外した途端、がんぎぐるまがカチャカチャと速く動いていますがこれは、振り子の周期が速くなったのではなくて、振り子の重さでがんぎぐるまを止めておく力がなくなったために、単に、逆にがんぎぐるまが振り子を動かしてしまっているためだと思います。つまりもはや、振り子が振り子としては動いていません。振り子の重さは下の計算式で見るように、理論上は振り子の周期には影響しません。

 

振り子の等時性

振り子は、ちょっとだけ揺らしても、大きく揺らしても、左右に振れるときにかかる時間は変わりません。振り子の周期が振幅の大きさによらないのです。

この「振り子の等時性の法則」は、1581年にイタリアのガリレオ・ガリレイ(1564–1642)が発見しました。

振り子の周期は、揺れ幅にもよらず、重りの重さにも拠らないというのは一見不思議な気もしますが、振り子の等時性の法則は、高校の物理のレベルで理解することができます。

(以下、Claudeさんの説明)

振り子の等時性は、振り子が1往復する時間(周期)が、振れ幅(振幅)によらず一定であるという性質です。ガリレオがピサ大聖堂のシャンデリアの揺れを観察して気づいたとされる有名なエピソードですね。振り子の運動を、糸の長さ $l$、重力加速度 $g$、振れ角 $\theta$ で考えます。おもりに働く力のうち、円弧方向の復元力は

$$F = -mg\sin\theta$$

ここで小さい振れ角($\theta \ll 1$)のとき、$\sin\theta \approx \theta$(ラジアン)と近似できるので

$$F \approx -mg\theta = -mg\frac{x}{l}$$

($x = l\theta$ は円弧に沿った変位)

これを整理すると

$$F = -\frac{mg}{l}x$$

これはバネの復元力 $F = -kx$ とまったく同じ形です。つまり単振り子は単振動とみなせて、周期は

$$T = 2\pi\sqrt{\frac{l}{g}}$$

この式に振幅が含まれていないことが、等時性の正体です。周期は糸の長さ $l$ と重力加速度 $g$ だけで決まり、どれだけ大きく振れても(小振幅の範囲なら)同じ時間で戻ってきます。厳密には $\sin\theta \approx \theta$ という近似が成り立つ範囲、つまり振れ角が十分小さいときだけの話です。振幅が大きくなると $\sin\theta$ と $\theta$ のずれが無視できなくなり、周期は振幅に依存して少しずつ長くなります。したがって「等時性」は近似的な法則であり、完全に厳密なものではありません。

(Claudeさんの説明、ここまで)

上のT=の式を見ると、振り子の長さl以外は、どれも定数ですので、長さだけで周期が決まるということがわかります。

 

振り子時計の仕組み:脱進機(Escapement)

17世紀オランダの特許制度

(以下、Claudeの説明)

ホイヘンス(Christiaan Huygens)が振り子時計を発明した時期(1656-1657年頃)のオランダの特許制度について整理します。

ホイヘンスの振り子時計と17世紀オランダの「発明特権」制度

事実関係

ホイヘンスは1656年12月25日に振り子時計の発明を完成させ、1657年6月14日に特許を出願、2日後の6月16日に付与されました。ただし、特許権者として名前が記録されているのはホイヘンス本人ではなく、ハーグの時計職人サロモン・コスターで、オランダの連邦議会(States-General)からホイヘンスの発明に基づく時計を製造・販売する排他的権利(privilege)を21年間にわたって付与されました。現存する最古の振り子時計には「Salomon Coster, Haghe, met privilege 1657」と刻印されており、コスターが発明者ホイヘンスから製造権を取得していたことを示しています。

  1. Oldest pendulum clock The clock face is inscribed “Salomon Coster. Haghe. met privilege 1657“, which translates as “Salomon Coster, Hague. With Permission, 1657“. The last part is a reference to Coster having purchased the rights to the pendulum clock design from its inventor, Dutch scientist Christiaan Huygens.

当時のオランダの制度的特徴

17世紀のオランダ共和国(ネーデルラント連邦共和国)には、現代的な意味での「特許法」は存在しませんでした。代わりに運用されていたのが 「発明特権」(uitvindingsoctrooi / invention privilege) と呼ばれる制度です。

1. 用語と法的性質

権利は「opene brieven van octroij」(許可の公開状)によって付与され、やがて「privilege」と「octrooi」は同義語として使われるようになりました。これは主権者の恩恵(グレース)として付与される排他的な製造・販売権であり、現代の特許権のような法律に基づく権利(right)とは本質的に異なります。研究者の間では、近代的な「特許(patent)」という用語ではなく「発明特権(invention privilege)」という表現を使い、時代錯誤的な解釈を避けるべきだとされています。

2. 付与機関の多層構造

当初は主権者が付与していましたが、1581年以降、連邦共和国の中央政府(States-General)、7つの州議会(States of the Provinces)、そして北部オランダの都市当局という3つの異なる機関が発明特権を付与するようになりました。ホイヘンス=コスターの場合はStates-Generalから付与を受けましたが、その後1658年10月にはヘルダーラント州からも追加的な許可(attache)が付与されています。つまり、全国的な保護を得るには複数の機関から個別に特権を取得する必要がありました。

3. 新規性と実用性の要件

発明を特許化するためには、その発明が新しく(new)かつ実用的(practical)である必要がありました。発明は1年後に公開されました。ただし、発明特権は必ずしもオリジナルな発明であることを必要とせず、外国で既に存在する技術や装置を当該地域に導入した者も特権を取得できました。この点は、現代の特許制度における絶対的新規性の要件とは大きく異なります。

4. 保護期間

コスターに付与された保護期間は21年間でしたが、これは制度上統一されたものではなく、個別の付与ごとに期間が定められていたと考えられます。

5. 制度の目的

16世紀以降、政府は経済発展を奨励するために発明特権を用いるようになり、一定期間の排他的な利用権を付与しました。一部の特権では他者へのライセンス供与も認められていました。

ホイヘンスの場合の実効性

制度は存在したものの、その実効性には限界がありました。ホイヘンスはコスターを通じてオランダで特許を取得しましたが、発明からあまり利益を得られませんでした。フランスではピエール・セギエがフランス国内での権利を拒否し、ロッテルダムのシモン・ダウやロンドンのアハシュエロス・フロマンティールが1658年には設計を模倣しました。

つまり、オランダ国内でのooctrooi(特権)は存在しても、国際的な保護は当然なく、さらにオランダ国内でも各州ごとに個別の許可が必要という多層的かつ分断的な構造が、権利の実効的な行使を困難にしていたわけです。

日本法との比較の視点

この17世紀オランダの「発明特権」は、現代の日本の特許法とは根本的に異なる点がいくつかあります。主権者の恩恵として個別に付与される点(現代は法定の権利)、全国統一的な効力がない点(属地主義はあるが少なくとも一国内では統一的に効力が及ぶ)、絶対的新規性が不要な点、そして実体審査の仕組みが制度化されていない点などです。なお、オランダはその後19世紀に一度特許制度を完全に廃止するという、ヨーロッパでも異例の経験を経ており、1869年に特許法が廃止され、新しい特許法が施行されたのは1910年になってからでした。

(以上、Claudeの説明)

ホイへンスの発明の要点

ホイヘンス以前にも脱進機(エスケープメント)は存在していました。時系列で整理すると、1300年頃のルネサンス期に、最初の機械式時計(塔時計)が登場しました。このときの脱進機は「冠型脱進機(バージ脱進機)」と呼ばれるもので、冠のような形の歯車と棒テンプ(フォリオット)の組み合わせでした。棒テンプは振り子と違って等時性がなく、錘の位置で回転速度を調整する原始的な仕組みだったので、1日に数時間の誤差が出るのが普通でした。

ホイヘンスの発明(1656年)のポイントは、脱進機そのものではなく、既存の冠型脱進機に「振り子」を組み合わせたことです。

THE HISTORY OF THE PENDULUM CLOCK – Christiaan Huygens Invents A New Time Silly Vintage Watches チャンネル登録者数 1.19万人

ガリレオが1583年に発見した振り子の等時性を時計に応用し、さらに振幅が大きいと等時性が崩れる問題をサイクロイド曲線の補正板で解決しました。つまり調速機(レギュレーター)の革新です。これにより誤差は1日数分にまで劇的に改善されました。

The Spaans Coster, Dated 1658 A highly important early pendulum Dutch wall box timepiece with alarm Dr John C Taylor チャンネル登録者数 2560人

その後の展開としては、ホイヘンスの振り子時計はまだ冠型脱進機を使っていたため、振幅が大きくなりすぎるという弱点がありました。そこでロバート・フックが「退却式アンクル脱進機」を発明し、振幅を2~5度程度に抑えることを可能にしました。1671年頃にウィリアム・クレメントがこれを改良し、1mの長い振り子(周期2秒)を使えるようにして、さらに精度が向上しました。さらに1715年にジョージ・グラハムが直進式アンクル脱進機(デッドビート脱進機)を発明し、日差1秒程度の精度を達成しました。

まとめると、ホイヘンスの貢献は「脱進機の発明」ではなく「等時性を持つ振り子を時計の調速機として組み込んだこと」です。脱進機自体は300年以上前から存在していて、ホイヘンスはそこに振り子という精密な時間基準を与えたわけです。さらに1675年にはひげゼンマイ付きテンプを発明して、振り子が使えない携帯時計にも等時性をもたらしました。だから「機械時計の父」と呼ばれています。

  1. Claude.ai
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おじいさんの古時計は重り式かぜんまい式か

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  1. Claude.ai

 

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  1. Claude.ai

 

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