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国際性が様式に追加
2025年度科研費から、申請書の様式に、(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか について具体的かつ明確に記述すること という指示が付け足されました。
うを。科研費申請書、記載項目が増えてるー。「(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか」つまり、国際性をより前面に出す必要があるわけだ…。https://t.co/EHbkQH2C9E
— 哎呀ai-ya!? (@ai_yojg) July 17, 2024
ここをどう書けばよいのか戸惑い、悩んでいる人がたくさんいます。変更されてから初めての応募なので、どうのように書いた申請書が採択されたのかという情報がなく、正解がわからないのです。
科研費調書の国際性って何を書けばいいんですか。国際査読誌に載せます、じゃだめですか。
— 宮城島 要 (@KanameMiyagi) August 5, 2024
科研費の追加項目が難題だ
(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究 としての高い価値を創出する等)を有するか— 河 正一 (@Jeongil1122) August 14, 2024
科研費て研究者が国から研究に対して貰うお金なのだけどその申請書の項目に「国際性」というのが増えてあらゆる人が微妙な反応している所まで把握した。。
— ᎠᎵᏰᏑᏍᏔᏪ (@Ckis) August 20, 2024
国際性が評定要素に追加
単に、様式に(6)国際性が加わっただけというものではなく、それに対応して審査委員の評定要素に国際性が加わっていることに注意を要します。つまり、このセクションの記述に対して点数が付けられるのですから、おろそかにはできないのです。
今年度から科研費の書類に「本研究がどのような国際性を有するか」という項目が加わった。私の研究に関して言えば、私と同じ研究をしている人は海外には複数いるが、国内にはほぼいない。特にヨーロッパと韓国に多くいる気がする。アメリカは似ているけどちょっと違う感じ。 pic.twitter.com/qXYOjs91zr
— 渡邉究/第二のコロチキ西野氏を目指す数学科准教授/YouTube (@Kiwamu_Watanabe) August 7, 2024
科研費の新しい記載項目である(6)国際性だが、書いていない人がしばしばいる。変更を知らないのかと思っていたが、どうもそうではなく、「関係するものがないから」書いていないようだ。ここは評価項目なので、書かないと間違いなく、*が付く。絶対に書いてください。#科研費 #申請書 #添削
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 17, 2024
国際性がない科学研究?
わざわざ国際性を書かせることに対して懐疑的な反応も多数見られました。科学研究の成果は、世界で一番だからこそ発表できるわけで、国際性がない研究という概念がそもそもあるのか疑わしいからです。
科研費の申請書、今更ながら国際性を尋ねるフォームになったようだが、まともな研究計画は尋ねるまでもなく国際的なものでしょ…
— よよいは帰りました (@YYOI) July 30, 2024
科研費の申請で今年から新設された「(6) 本研究がどのような国際性を有するか」が厳しい。実験系の医学研究で国際性を有しないものなんてないと思うんだが。
— ふぁっふぉい (@sugikota) August 6, 2024
科研費申請書類を書いていて思うのは、注意事項でやたらと国際性について言及するように求めてくるなと。自分の分野では国際性というのは当たり前であり、なんなら自分の研究は国内よりも海外で最初に理解者が現れるという始末なのだが、そうでない分野もあるのだろうということが伝わってくる
— 松原隆彦(不明なエラー[4000]でアップデートできません) (@tmcosmos_org) August 20, 2024
国際性をアピールしにくい研究
うーむ.科研費の申請書に「どのような国際性を有するか」を記載することが必須になったのか.日本に限らず,特定の国に特化した研究が全体的にハンディキャップを負いそうな気がするんだけど,どうなんだろう.
— M. Morise (忍者系研究者) (@m_morise) July 16, 2024
このような研究に配慮してか、指示のところには日本独自の研究の例も挙げられています。
(6)本研究がどのような国際性(将来的に世界の研究をけん引する、協同を通じて世界の研究の発展に貢献する、我が国独自の研究としての高い価値を創出する等)を有するか
国際性を評点とすることに関する感想・意見
科研費の新様式、国際性が前提になっている実験科学では記述スペースの無駄だし、そうでない分野ではこじつけや妄想になるのが容易に想像できるので、誰が得するのか解らないし、審査もしたくない
— 周回遅れbot (@lapdelay) August 20, 2024
うーん。
成果が出た後にその国際的な価値を問うのはわかりますが、研究計画段階でそこを問うても、ただの妄想じゃないですか…
全ての申請書類が「国際的に優位だ」「わが国独自だ」と書いてくるわけですよね?どれも未実現のことの中でそこを評価しろと言われても審査員も辛いだろうなと思います pic.twitter.com/BLRFsEPWxz
— 科研費.com (@kakenhi_com) July 22, 2024
そうなのかもしれませんが、相当にハードル高いですね。
「良い研究ならば国際共同研究」
という傾向があるにせよ、
「国際共同研究ならば良い研究」
は必ずしも真ではないという点に、文科省(と財務省)は早く気づいてほしいです。— 科研費.com (@kakenhi_com) July 24, 2024
科研費、より明確に国際性なき研究は予算を投じるに値する研究にあらずの方針を出してきましたね。 https://t.co/naUUCLgFT6
— યુતકકવસકિ (@suhamma) July 17, 2024
国際性を書かせることになったウラ事情
科研費の国際性の評価、微妙だなー。たぶん、国際なんとか?とかを廃止するための布石なんだろう。挑戦的研究はどうなるのかな?全く学振(国?)のやることはよくわからない???#科研費公募 #国際性
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 1, 2024
(6)どのような国際性を有するか を書くにあたって、下記の資料は必読です。特に太字下線にした部分を読むと、今回の変更の意図が良くわかります。つまり(6)どのような国際性を有するか でアピールすべきことは、「国際共同研究加速基金」や「海外連携研究」の趣旨を反映したものであるべきだと言えるでしょう。
第 1 2 期 研究費部会 における科研費 の 改 善 ・充実及び 今後の 議論の方向性について( 中間まとめ ) 令和6年 6 月 2 4 日 科学技術・学術審議会 学術分科会研究費部会
①国際的に波及効果が高い学術研究の推進
(科研費(基盤研究)における研究の国際化等)
既に基盤研究等の枠組みでも国際競争力のある研究は数多く行われているところ、上記の環境の変化を踏まえ、「国際共同研究加速基金」として別枠で助成する仕組みではなく、審査によりそうした研究を見出し、助成する仕組みが必要である。
また、我が国の研究力の相対的・長期的な低下が懸念される中、現在の物価高や為替安等の厳しい社会情勢も踏まえ、研究者が国際競争力のある研究に十分取り組めるよう、応募額を尊重した研究費配分が望まれる。
このため、本部会及び振興会の学術システム研究センターにおける議論を踏まえ、「国際共同研究加速基金」について、その機能を勘案しつつ可能なものは段階的に「基盤研究種目群」等に統合していくこととする。その際、「基盤研究(B)」との間で実質的な差異がなくなった「海外連携研究」については、令和7年度助成から公募を停止し、速やかに「基盤研究種目群」等に統合することとする。
https://www.mext.go.jp/content/20240624-mxt_gakjokik-000036755_1.pdf
上の資料の経緯」を読めば、(6)国際性 をどう書けばよいかは明らかです。つまり、「基盤研究」に統合される「国際共同研究加速基金」と「海外連携研究」の趣旨を、基盤研究の様式の中で受け継いだのが(6)国際性 の部分なので、それらの趣旨を意識して書けばいいのです。
国際共同研究加速基金
国際先導研究 我が国の優秀な研究者が率いる研究グループが、国際的なネットワークの中で中核的な役割を担うことにより、国際的に高い学術的価値のある研究成果の創出を目指す。ポストドクターや大学院生の参画により、将来、国際的な研究コミュニティの中核を担う研究者の育成にも資する。(7年間(10年間までの延長可) 5億円以下)
国際共同研究強化 科研費に採択された研究者が半年から1年程度海外の大学や研究機関で行う国際共同研究。基課題の研究計画を格段に発展させるとともに、国際的に活躍できる、独立した研究者の養成にも資することを目指す(1,200万円以下)
海外連携研究 複数の日本側研究者と海外の研究機関に所属する研究者との国際共同研究。学術研究の発展とともに、国際共同研究の基盤の構築や更なる強化、国際的に活躍できる研究者の養成も目指す(期間3~6年間 2,000万円以下)
帰国発展研究 海外の日本人研究者の帰国後に予定される研究(期間3年以内、5,000万円以下)
(6)国際性の書き方に関するアドバイス
科研費の基盤研究で今年から加わった(6)国際性の部分だが、ここはマイナスにはならない部分だ。プラス評価されると配分額が増えるとか、若手で国際性が評価されると優先的に採択されるなどだ。なので安心して書いていけば良い。5行くらいで十分だろう。#科研費 #申請書 #ジーラント
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) August 21, 2024