2018年イグ・ノーベル医学教育賞を日本人医師が受賞!

今年度のイグ・ノーベル賞は、医学教育部門で日本人の医師が受賞しました。

報道

「人を笑わせ、そして考えさせる研究」に贈られる「イグ・ノーベル賞」に12年連続で日本人が輝いた。9月13日、長野県駒ケ根市の昭和伊南総合病院に勤務する堀内朗医師が、医学教育賞を受賞したことが発表された。(イグ・ノーベル賞を12年連続で日本人が受賞。日本発の奇抜すぎる研究とは? HUFFPOST 2018年09月14日 12時37分 JST )

 

イグ・ノーベル賞授賞式と受賞者の講演

The 28th First Annual Ig Nobel Prize Ceremony (2018)

 

イグノーベル賞の授賞理由

MEDICAL EDUCATION PRIZE [JAPAN] — Akira Horiuchi, for the medical report “Colonoscopy in the Sitting Position: Lessons Learned From Self-Colonoscopy.”

REFERENCE: “Colonoscopy in the Sitting Position: Lessons Learned From Self-Colonoscopy by Using a Small-Caliber, Variable-Stiffness Colonoscope,” Akira Horiuchi and Yoshiko Nakayama, Gastrointestinal Endoscopy, vol. 63, No. 1, 2006, pp. 119-20.(improbable.com

 

イグノーベル賞とは

イグノーベル賞(Ig Nobel Prize)は、「人々を笑わせ、そして考えさせてくれる研究」に対して与えられるもので、1991年に創設されました。通常のノーベル賞とは異なり、内容がどれだけ面白いかも重要視されます。

メスにペニス、オスに膣、 北大研究者が発見

メスにペニス、オスに膣、 セックスでのオスメスの役割が逆になっている例を北海道大学の研究者が世界で初めて発見

オスは積極的に多数のメスと交尾しようとし、メスは受け入れるオスを選ぶというのが交尾行動における一般的なオスメスの役割だと考えられます。メスが積極的に多数のオスを相手にする(promiscuous)、オスメスの性行動での役割がひっくり返った生き物はこれまでにいくつか知られていましたが、外部生殖器の構造まで逆になっている例はありませんでした。ところがブラジルの洞窟に棲むある昆虫の種では、メスにペニス、オスに膣があり、交尾行動に入ると40~70時間もの間メスがオスをがっちりつかんで離さないという、いわばオスメスの役割におけるSWAP現象が発見されました。

Neotrogla_curvata_annotated(交尾の体勢もオスメスが通常の昆虫とは逆でメスがオスに乗りかかっています。写真:北海道大学プレスリリースより)

論文のタイトルは、Female Penis, Male Vagina, and Their Correlated Evolution in a Cave Insect
(洞窟棲昆虫の「雌の陰茎」と「雄の膣」の間に見られた共進化)。

この昆虫は2010年に新種として発見されたもので、その後生殖器の構造と性行動を詳細に解析した結果、今回の発見につながりました。

カレントバイオロジーを発行しているセルプレス社では、論文が世間に与えたインパクトを測る指標Article level metricsのスコアを論文ごとに表示しています。それによると今回の論文のインパクトはカレントバイオロジーで発表されこの計測の対象となった論文3,157報の中で、堂々の1位。他の雑誌も含めてスコアを計測した209万798報の論文の中でも46位という非常に高い順位です。メスにペニスというのが衝撃的で、世界中のニュースサイト、ブログ、ツイッターで取り上げられ、非常に大きなインパクトを与えたことがわかります(リンク:この論文のArticle level metrics)。

参考

  1. Kazunori Yoshizawa, Rodrigo L. Ferreira, Yoshitaka Kamimura, Charles Lienhard. Female Penis, Male Vagina, and Their Correlated Evolution in a Cave Insect. Current Biology. DOI: http://dx.doi.org/10.1016/j.cub.2014.03.022:
  2. 交尾器が雌雄で逆転した昆虫の発見-雌がペニスを持つ洞窟棲チャタテムシ-(北海道大学プレスリリース 2014/4/18)
  3. 吉澤和徳の研究室:準新翅類(半翅系昆虫)の系統と進化に関する研究。News 雌がペニスを持ち,それを使って交尾中雄を拘束する昆虫に関する論文がでました.
  4. Female insect uses spiky penis to take charge – Brazilian cave creatures’s marathon sex sessions extract nourishment along with sperm from reluctant male (Nature News 17 April 2014)
  5. In sex-reversed cave insects, females have the penises (ScienceDaily April 17, 2014): “Although sex-role reversal has been identified in several different animals, Neotrogla is the only example in which the intromittent organ is also reversed,” says Kazunori Yoshizawa from Hokkaido University in Japan.
  6. Lienhard, C., Do Carmo, T.O., and Ferreira, R.L. A new genus of Sensitibillini from Brazilian caves (Psocodea: ‘Psocoptera’: Prionoglarididae). Rev. Suisse Zool.. 2010; 117: 611–635
  7. In weird Brazilian cave insects, male-female sex organs reversed (Reuters  Thu Apr 17, 2014 12:09pm EDT): “Evolution of novelties like a female penis is exceptionally rare. That’s why I was really surprised to see the structure,” entomologist Kazunori Yoshizawa of Japan’s Hokkaido University said by email. Yoshizawa said that although sex-role reversal has been documented in several different types of animals, these insects are the sole example in which the “intromittent organ” – the male sex organ – is reversed, Yoshizawa said.
  8. 男女逆転…メスがオスに交尾器挿入する昆虫発見 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2014年05月04日 17時44分):北海道大の吉沢和徳准教授(昆虫形態学)らの研究チームは、メスがオスの体に交尾器を挿入して交尾する昆虫を、ブラジルの洞窟で発見したと、米学術誌「カレント・バイオロジー」で発表した。

 

イグ・ノーベル賞受賞報道記事

  1. イグ・ノーベル賞 雌雄逆の昆虫発見 日本人研究者に生物学賞 (NHK NEWS WEB 9月15日 11時15分) ノーベル賞のパロディーとしてユニークな研究に贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式がアメリカのハーバード大学で行われ、メスにオスのような生殖器がある昆虫を発見した北海道大学などの研究者が「生物学賞」に選ばれ、日本人の受賞は11年連続となりました。
  2. 雄と雌「逆転」の虫を研究、日本人らにイグ・ノーベル賞 (朝日新聞DIGITAL 森本未紀、小堀龍之 2017年9月15日08時06分) 受賞したのは吉澤和徳・北海道大准教授(46)、上村佳孝・慶応大准教授(40)、海外の研究者のチーム。ブラジルの洞窟で見つかった新種の虫の雌が「ペニス」のような器官を持ち、それを使って雄と交尾することを解明した。性差とは何かを考えさせるとして、研究が評価された。
  3. メスが「男性器」持つ虫発見…イグ・ノーベル賞(読売新聞YOUMIURI ONLINE 2017年09月15日 22時06分)受賞したのは、北海道大の吉澤和徳准教授(46)(昆虫学)、慶応大の上村佳孝准教授(40)(進化生物学)らで、ブラジルの洞窟にすむシラミに近いチャタテムシという昆虫の仲間は、メスが交尾器をオスに挿入することを発見した。
  4. イグ・ノーベル賞 交尾器「雌雄逆転」の昆虫、日本人発見 (毎日新聞2017年9月15日 13時10分 最終更新 9月15日 14時06分) ユニークな科学研究などに贈られる「イグ・ノーベル賞」の授賞式が14日、米マサチューセッツ州ケンブリッジのハーバード大で開かれた。ブラジルの洞窟に生息する昆虫の雌に、雄のような形状の交尾器(性器)があることを発見した吉澤和徳北海道大准教授(46)や上村佳孝慶大准教授(40)ら4人が生物学賞を共同受賞した。