世間一般の人々に対する科学者の説明責任

STAP細胞論文におけるデータ捏造、改竄の不正行為は研究者や研究経験者から見れば100%明白であり、その悪質さに関しては全く議論の余地すらないと思われました。それにもかかわらず、理研調査委員会によって不正行為の当事者と認定された小保方晴子氏が2014年4月9日に行った釈明記者会見後の世論調査では、小保方さんの説明を信じると答えた人が3分の1程度もいました。

ヤフージャパンのサイトによれば、「あなたは、小保方リーダーの説明に納得しましたか?」という質問に対して、24万6千53人が回答し、51.7%の人が「納得できなかった」のに対し、30.3%の人が「納得した」と答えています。またテレビ番組『新報道2001』が首都圏500人を対象に行なった世論調査でも、「納得する」人が35.2%、「納得できない」人が49.2%で、ヤフーのアンケートと同様の結果になっています。

研究のことは難しくて全くわからないけれども、すごい発見をした小保方さんが全ての失敗の責任を擦り付けられていて可哀想と思っている人が世の中では3分の1を占めているのです。これは驚くべき高い数字です。

このような事態が生じる一因は無責任なテレビ番組制作にあるでしょう。面白おかしければ良いという発想なのか、非常に偏った考え方を持つ人をゲストの一部に加えて、TVスタジオでとんでもない発言を繰り広げさせ、そんなデタラメをそのままお茶の間に垂れ流しにしているのです。発言した人が大学教授の肩書きを持っていたり社会的に地位の高い人であれば、実際にそのコメントを真に受けてしまう視聴者が一定の割合で出てきてしまいます。

小保方氏会見 なぜ問題は起きたのか? 新報道2001 2014年4月13日(1/5)

武田邦彦 小保方論文(STAP細胞)1/2 間違ってて当たり前!

激論! STAP問題 “研究開発法案”の行方 新報道2001 2014年4月20日(2/3)

科学者が科学者のコミュニティの中だけで発言していては不十分であり、もっと一般的なメディアを使って一般の人に対して正しい情報を発信していく必要があります。研究者のブログを読むのはほとんどの場合研究者でしかないため、研究者がいくらブログで今回のSTAP細胞論文捏造事件を論じても世間一般には全く伝わらないのです。インターネットがこれほど普及していても、一般の人に対するテレビの影響力は絶大です。

参考

  1. 涙の会見で巻き起こる”擁護論”に意義あり!ノーベル賞学者が怒った 「小保方さんは科学者失格!」ノーベル化学賞を2010年に受賞した根岸英一教授が、「コピペは偽造、嘘つきということだ」と本誌に怒りの告発(週刊文春2014年4月24日号):科学者が間違いを起こすことは当然ありますが、多 少でも意図的に行われたとしたら、 科学の世界では犯罪です。科学者失格なのです。 … そういう方は最初から研究してはいけない人間だということです。再現できない実験だったら公表することは許されないのです。 

 

 

 


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