日本学術会議が学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」を開催

      2017/02/05

日本学術会議主催の学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」が平成29年2月4日に日本学術会議講堂で開催されました。

(引用元:プログラム

総合司会 大政 謙次(日本学術会議第二部会員、東京大学名誉教授、愛媛大学大学院農学研究科客員教授、高知工科大学客員教授)

13:00-13:05 開会挨拶 挨拶 大西 隆(日本学術会議会長・第三部会員、豊橋技術科学大学学長、東京大学名誉教授)

<第Ⅰパート:委員会中間とりまとめの状況報告>
13:00-13:05 開会挨拶 挨拶 大西 隆(日本学術会議会長・第三部会員、豊橋技術科学大学学長、東京大学名誉教授)
13:05-13:35 委員会中間とりまとめの状況報告 杉田 敦(日本学術会議第一部会員、法政大学法学部教授)

<第Ⅱパート:日本学術会議の内外の意見> 進行 小松 利光(日本学術会議第三部会員、九州大学名誉教授)
13:35-13:50 (演題調整中)兵藤 友博(日本学術会議第一部会員、立命館大学経営学部教授)
13:50-14:05 「学術研究のために」という視点 須藤 靖(日本学術会議第三部会員、東京大学大学院理学系研究科教授)
14:05-14:20 (演題調整中)佐野 正博(日本学術会議連携会員、明治大学経営学部教授)
14:20-14:35 軍民両用(デュアルユース)研究とは何か-科学者の使命と責任について 福島 雅典(日本学術会議連携会員、財団法人先端医療振興財団臨床研究情報センター長(兼)研究事業統括)
14:35-14:50 防衛技術とデュアルユース(予定)西山 淳一(公益財団法人未来工学研究所 政策調査分析センター研究参与)
14:50-15:05 安全保障と学術について(予定)根本 清樹(朝日新聞社論説主幹)

<第Ⅲパート:総合討論>進行 杉田 敦(日本学術会議第一部会員、法政大学法学部教授)
15:20-16:55 総合討論(学術フォーラム参加者と安全保障と学術に関する検討委員会委員による質疑応答)
16:55-17:00 閉会挨拶 挨拶 花木 啓祐(日本学術会議副会長・第三部会員、東京大学大学院工学系研究科教授)
17:00 閉会

報道

  1. 軍事的な研究と大学の関わり 公開討論会 (NHK NEWS WEB 2月4日 20時31分):”防衛省が大学などの研究機関に研究資金を提供する制度を始めたことをきっかけに、安全保障技術など軍事的な研究と大学などとの関わり方について議論している「日本学術会議」が4日、公開討論会を開きました。”
  2. <学術会議>「軍事研究拒否」声明堅持を 都内でフォーラム (BIGLOBE ニュース/毎日新聞2月4日(土)20時4分):”… 防衛省が公募で資金を提供する安全保障技術研究推進制度に対しては「政府による研究への介入の度合いが大きい」と慎重な姿勢を示した。 その間、政府は来年度予算案で同制度について今年度の6億円から一気に18倍となる110億円に拡大。…”
  3. 軍事研究「反対」大多数=防衛省資金提供に懸念-学術会議公開フォーラムで科学者ら (時事ドットコムニュース):”日本学術会議は4日、大学などの研究機関が軍事研究とどう向き合うかを議論する公開フォーラムを東京都港区の同会議講堂で開いた。大学教授や市民ら200人以上が参加し、議論では軍事研究に反対する意見が大多数を占めた。”
  4. 日本学術会議が軍事研究めぐりシンポ 「世界中から不信感持たれる」「平和哲学ない科学技術は凶器だ」と反対意見が大勢占め… (産経ニュース 2017.2.4 21:51):”軍事的な研究は行わないとした過去の声明を見直すかどうか検討している日本学術会議は4日、有識者や一般から意見を聞くシンポジウムを都内で開催した。”
  5. 大学が軍事研究、反対意見相次ぐ 日本学術会議シンポ (朝日新聞 2017年2月4日21時28分):”… 続いて意見表明を申し出て講演した科学史、技術戦略、物理学、医学の各分野の4人とメディア代表の1人が中間とりまとめを支持。一方、未来工学研究所政策調査分析センター研究参与の西山淳一氏はミサイル開発の経験から軍民両用研究に理解を求めた。” (全文を読むには登録が必要)

参考(参加者の研究分野)

  1. 立命館大学 経営学部 経営学科 兵藤 友博 教授 研究テーマ(1)科学技術政策に関する史的考察 (2)科学と産業技術の現代的相互交渉に関する考察 (3)技術革新に関する比較研究 (4)戦後核兵器開発に関する研究
  2. 東京大学大学院理学系研究科 須藤 靖 教授  研究テーマ 観測的宇宙論、太陽系外惑星探査
  3. 明治大学経営学部 佐野 正博 教授 科研費研究テーマ] 「現代企業の技術戦略と技術の社会的展開に対する技術史的・技術論的アプローチ」(1996-1998年)
  4. 福島 雅典 先端医療振興財団 臨床研究情報センター長 過去四半世紀にわたって一貫して、がんの内科医として、がんの標準治療の実践とその普及につとめるとともに、わが国の医療の民主化ーインフォームドコンセント、セカンドオピニオンの確立と普及、薬害防止のための科学の確立・普及と実践、医療の科学的基盤の構築整備ならびに臨床科学の確立と普及に貢献し、現在もその活動を鋭意続けている。
  5. 西山 淳一 未来工学研究所 政策調査分析センター研究参与 <専門分野> 航空宇宙技術、防衛産業、国際安全保障

日本学術会議のウェブサイト

  1. 日本学術会議 公開講演会・シンポジウム等開催予定表/2017年実施結果 2017/2/4(土)13:00-17:00 日本学術会議主催学術フォーラム「安全保障と学術の関係:日本学術会議の立場」     日本学術会議講堂 東京都港区六本木7-22-34
  2. 日本学術会議 安全保障と学術に関する検討委員会
  3. 日本学術会議 提言・報告等【声明】 1967-10-20 軍事目的のための科学研究を行なわない声明 第49回総会
  4. 日本学術会議 提言・報告等【1950年(昭和25年)】 1950/4/28 声明 戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明 第6回総会
  5. 日本学術会議 提言・報告等【1949年(昭和24年)】 1949/1/22 声明 日本学術会議の発足にあたって科学者としての決意表明

 

昭和42年10月20日 第49回総会
われわれ科学者は、真理の探究をもって自らの使命とし、その成果が人類の福祉増進のため役立つことを強く願望している。しかし、現在は、科学者自身の意図の如何に拘らず科学の成果が戦争に役立たされる危険性を常に内蔵している。その故に科学者は自らの研究を遂行するに当って、絶えずこのことについて戒心することが要請される。
今やわれわれを取りまく情勢は極めてきびしい。科学以外の力によって、科学の正しい発展が阻害される危険性が常にわれわれの周辺に存在する。近時、米国陸軍極東研究開発局よりの半導体国際会議やその他の個別研究者に対する研究費の援助等の諸問題を契機として、われわれはこの点に深く思いを致し、決意を新たにしなければならない情勢に直面している。既に日本学術会議は、上記国際会議後援の責任を痛感して、会長声明を行った。
ここにわれわれは、改めて、日本学術会議発足以来の精神を振り返って、真理の探究のために行われる科学研究の成果が又平和のために奉仕すべきことを常に念頭におき、戦争を目的とする科学の研究は絶対にこれを行わないという決意を声明する。

 

昭和25年4月28日 日本学術会議第6回総会
戦争を目的とする科学の研究には絶対従わない決意の表明(声明)
日本学術会議は,1949年1月,その創立にあたつて,これまで日本の科学者がとりきたつた態度について強く反省するとともに科学文化国家,世界平和の礎たらしめようとする固い決意を内外に表明した。
われわれは,文化国家の建設者として,はたまた世界平和の使として,再び戦争の惨禍が到来せざるよう切望するとともに,さきの声明を実現し,科学者としての節操を守るためにも,戦争を目的とする科学の研究には,今後絶対に従わないというわれわれの固い決意を表明する。

 

昭和24年1月22日 日本学術会議第1回総会
日本学術会議の発足にあたつて科学者としての決意表明(声明)
われわれは,ここに人文科学及び自然科学のあらゆる分野にわたる全国の科学者のうちから選ばれた会員をもつて組織する日本学術会議の成立を公表することができるのをよろこぶ。そしてこの機会に,われわれは,これまでわが国の科学者がとりきたつた態度について強く反省し,今後は,科学が文化国家ないし平和国家の基礎であるという確信の下に,わが国の平和的復興と人類の福祉増進のために貢献せんことを誓うものである。そもそも本会議は,わが国の科学者の内外に対する代表機関として,科学の向上発達を図り,行政,産業及び国民生活に科学を反映浸透させることを目的とするものであつて,学問の前面にわたりそのになう責務は,まことに重大である。されば,われわれは,日本国憲法の保障する思想と良心の自由,学問の自由及び言論の自由を確保するとともに,科学者の総意の下に,人類の平和のためあまねく世界の学界と連携して学術の進歩に寄与するよう万全の努力を傾注すべきことを期する。
 ここに本会議の発足に当つてわれわれの決意を表明する次第である。

防衛省のウェブサイト

  1. 防衛省 安全保障技術研究推進制度(競争的資金制度) 安全保障技術研究推進制度について 防衛省では、装備品への適用面から着目される大学、独立行政法人の研究機関や企業等における独創的な研究を発掘し、将来有望な研究を育成するために、競争的資金制度※である安全保障技術研究推進制度を実施しています。本制度は、防衛省が掲げた研究テーマに対して、広く外部の研究者の方からの技術提案を募り、優れた提案に対して研究を委託するものです。得られた成果については、防衛省が行う研究開発フェーズで活用することに加え、デュアルユースとして、委託先を通じて民生分野で活用されることを期待しています。
  2. 安全保障技術研究推進制度の平成27年度採択研究課題について 防衛省 平成27年9月25日 平成27年7月8日(水)から平成27年8月12日(水)までの間、本制度の公募を行ったところ、109件の応募がありましたが、外部の専門家により構成する安全保障技術研究推進委員会の審査を経て、この度、次のとおり採択研究課題が決定しましたのでお知らせいたします。1 平成27年度採択研究課題 採択研究課題数 9件
  3. 防衛装備庁 安全保障技術研究推進制度

大学の声明

東京大学における軍事研究の禁止について
学術における軍事研究の禁止は、政府見解にも示されているような第二次世界大戦の惨禍への反省を踏まえて、東京大学の評議会での総長発言を通じて引き継がれてきた、東京大学の教育研究のもっとも重要な基本原則の一つである。この原理は、「世界の公共性に奉仕する大学」たらんことを目指す東京大学憲章によっても裏打ちされている。

日本国民の安心と安全に、東京大学も大きな責任を持つことは言うまでもない。そして、その責任は、何よりも、世界の知との自由闊達な交流を通じた学術の発展によってこそ達成しうるものである。軍事研究がそうした開かれた自由な知の交流の障害となることは回避されるべきである。
軍事研究の意味合いは曖昧であり、防御目的であれば許容されるべきであるという考え方や、攻撃目的と防御目的との区別は困難であるとの考え方もありうる。また、過去の評議会での議論でも出されているように、学問研究はその扱い方によって平和目的にも軍事目的にも利用される可能性(両義性:デュアル・ユース)が、本質的に存在する。実際に、現代において、東京大学での研究成果について、デュアル・ユースの可能性は高まっていると考えられる。
このような状況を考慮すれば、東京大学における軍事研究の禁止の原則について一般的に論じるだけでなく、世界の知との自由闊達な交流こそがもっとも国民の安心と安全に寄与しうるという基本認識を前提とし、そのために研究成果の公開性が大学の学術の根幹をなすことを踏まえつつ、具体的な個々の場面での適切なデュアル・ユースのあり方を丁寧に議論し対応していくことが必要であると考える。
平成27年1月16日
東京大学総長 濱田 純一
東京大学における軍事研究の禁止について 東京大学 2015年01月16日掲載

その他

  1. 軍と学の接近と学問の自由~その歴史と今~ 名古屋大学名誉教授 池内 了 2016年1月8日付 (長周新聞):”… 2013年12月に安倍首相が「2014年防衛大綱」「国家安全保障戦略」、この二つを閣議決定した。このなかに書かれているのが「大学や研究機関との連携の充実により防衛にも応用可能な民生技術(デュアルユース技術)の積極的な活用に努める」という文書だ。…2014年5月にImPACT(革新的研究開発推進プログラム)が創設された。これは総合科学技術・イノベーション会議というところが5年間で500億円のお金を出して、日本の国の産業力を高めて、非常にハイリスクであるが将来性のある研究開発をおこなう。募集要項の初めの部分に「DARPAを参考にする」と書いてある。… 「安全保障技術研究推進制度」が2015年から始まった。昨年の予算は3億円で2016年の予算は6億円といわれている。このやり方はまず防衛省からのテーマを提示する。…審査結果は応募総数が109件で、採択が9件。10倍以上の競争率だ。非常に高い。大学が58件出して4件通った。ここに東工大、豊橋技術科学大学、東京電機大学、神奈川工大が入っている。…公的研究機関として出したのは22件で通ったのは3件。JAXA、JAMSTEC、理研だが、この3件とも技術交流ですでに防衛省と研究、アイディアの交換をしている。企業が29件出して2件。…「国公立試験研究機関の研究者アンケート」で、36%が軍事研究に賛成している。…今国立大では予算が非常に逼迫している。研究費が1年で20万円とかになると、研究費をとるためにはなんでもしてやろうとなる。研究費のためなら軍事応用でも構わないとなって、軍事研究に繋がっていく。研究費の困窮につけ込んで軍事研究に誘い込む。これを研究者版「経済的徴兵制」といっている。…”
  2. デュアルユース技術の推進がイノベーションを起こすー防衛装備庁シンポジウムで講演 (Huffington Post 投稿日: 2015年12月06日 14時45分 JST):”東京・市ヶ谷で開催された防衛装備庁技術シンポジウム2015で、11月11日、政策研究大学院大学の角南篤教授が、「デュアルユース政策 デュアルユース・イノベーションシステムの構築に向けて」とした講演を行った。”
  3. ノーベル賞の中村修二氏、「アメリカの市民権」を取った理由を語る (withnews 2014年10月18日):”「アメリカの大学教授のする仕事は、研究費を集めることなんですよ。大学は1円(ドル)も出さない、自分で全部現金をとってこないといけない。学生にも給料をやらなきゃいけない。私のところだと年間1億円要るんですけどね、全部自分で集めないといけない。 で、その研究費の半分以上はだいたい軍から来るんですよ。それで、軍のお金をもらう人はアメリカのシチズンシップ(市民権)ないとお金もらえないんですよ。軍は機密でしょ?(支給の対象が)アメリカ人だけなんですよ。 アメリカ人以外のパスポートの人は全部排除されるんですよ、お金もできない、研究もできない。だから(米国で)大学教授として生きるためにはアメリカのシチズンシップもってないとダメなんですよ。取ってないと研究費も集まらないし、研究もできないから。だから、そういう意味で2005、6年ごろに(米国市民権を)取ったんですよ」”

 - 戦争と科学技術, 科学と平和, 科学と社会, 科学者の責任