JOVEで学ぶCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集実験の実際

JoVE (Journal of Visualized Experiments)(ジョウヴ)の論文は、実験プロトコール文書および実験手技を研究者が実際にやってみせている動画からなります。査読付きのジャーナルですが、原著論文ではないので、査読で苦しめられることは全くありません。

JOVEについて

著者が論文作成・掲載費用をたくさん払うとオープンアクセスになりますが、多くの人がそのオプションを選ばないせいか、動画の多くは始めの数十秒しか視聴できません。その中から、フルで視聴できてCRISPR実験に関連する動画をいくつか紹介します。

 

細胞株におけるCRISPRを用いたエンハンサー干渉実験

 

哺乳類細胞におけるCRISPR/Cas9を用いた欠失変異の導入

 

レトロ・レンチウイルスへのCRISPRのパッケージングと脳定位固定によるマウス脳へのインジェクション

 

マウス小腸オルガノイドにおけるCRISPRを用いた複数遺伝子のノックアウト

 

培養細胞におけるCRISPR-dCas9 (CLOuD9)を用いたクロマチンループ再構成の研究

 

ゼブラフィッシュの遺伝子をCRISPR/Cas9でノックアウトする実験

 

培養細胞や線虫におけるCRISPR/Cas9を用いたゲノム編集実験

Enhanced Genome Editing with Cas9 Ribonucleoprotein in Diverse Cells and Organisms

 

トキソプラズマの薬剤耐性遺伝子をCRISPR/Cas9を用いて調べる実験

JOVEに関する個人的な感想

最近は、論文が出るたびに誰彼構わずビデオにしませんかとJOVEが論文著者にコンタクトしてくるようです。ファーストフードがハンバーガーを作るみたいに、決まりきった手順を踏襲することにより、編集者とナレーターとカメラマンと研究者が共同作業により実験プロトコール動画を完成させられる仕組みになっていて、ビジネス的にはうまくできていると感心させられます。「型」にはめてつくっているので、出来上がった動画の個性が乏しい印象が否めませんが、さまざまな実験手技が研究室でどのように行なわれているのかを垣間見ることができるので、参考になることも多いです。