東北大学元総長らに「研究不正は無かった」調査委員会報告の懐疑点

  1. “東北大の小保方さん”井上明久・元総長の「写真・データ使い回しまくり」論文を学会が撤回も、東北大学が頑なに「不正認定」せず擁護 01:02 11/29 2019三宅勝久

2019年9月26日

東北大学元総長の研究不正再調査を求める要望書提出 2019/10/20 aobataro0311

答申

諮問庁:国立大学法人東北大学
諮問日:平成29年12月15日(平成29年(独情)諮問第82号)
答申日:平成30年3月29日(平成29年度(独情)答申第79号)
事件名:研究不正疑義の告発に関する本調査委員会議事録の一部開示決定に関
する件

答 申 書 第1 審査会の結論 「研究不正疑義の告発に関する本調査委員会議事録(第1回~第12回)」(以下「本件対象文書」という。)につき,その一部を不開示とし
た各決定は,妥当である。

このたび、本調査委員会における研究不正の有無に関する調査結果を踏まえ「研究不正は無かった」と判断しましたので、調査結果を公表します。 (研究不正疑義の告発に関する調査結果について 東北大学 ニュース 2016年12月16日 14:00

報道

  1. 東北大・井上前総長に対する研究不正疑惑の調査報告書が発表される(exciteニュース / スラド 2016年12月19日 18時46分 (2016年12月21日 22時00分 更新))

日本の科学研究における倫理問題を考える上で極めて重大な事案であるにもかかわらず、今回の東北大学の調査結果を報道した新聞、テレビは(インターネット上で検索した限り)皆無でした。(2016年12月28日 記)。

参考

  1. 研究不正疑義の告発に関する調査結果について 東北大学  ニュース 2016年12月16日 14:00
  2. 井上元東北大総長の研究不正疑惑の解消を要望する会 新着情報No.22 ちきゅう座 2016年 12月 11日:”当初、井上明久前東北大学総長の共同原告であった横山嘉彦東北大学金属材料研究所准教授(当時)が、大村泉フォーラム世話人の質問に答える形で、署名押印して仙台高等裁判所に提出した面談記録(乙第173号証)が公表されており、この記録はまさに例外的にPI主導のトップダウン型研究不正の経緯を具体的かつ詳細に明らかにした第一級の資料に相当する。原田氏は、この面談記録(乙第173号証)に詳しく立ち入り、井上氏が自身の疑惑論文(96年論文)を横山氏の疑惑論文(07年論文)によって隠蔽するように仕向けたこと、井上氏がハラスメント行為を繰り返し横山氏にこの隠蔽を強いたこと、さらに当時の東北大学法務課長(現法務部長)が、マスコミの取材攻勢を避けるために、名誉毀損裁判を提訴する必要があるとして、井上氏自身ではなく横山氏を伴って検察庁に向かい、日野氏ら本フォーラム代表らを刑事告訴しようとしたこと、等々を活写する。”
  3. 吸引鋳造法によるバルク金属ガラス作製論文の不正疑惑を再現性と実験データで検証 金属Vol.86(2016)No.10 論説 青木 清 (PDF):”研究不正疑惑に関する本件名誉毀損裁判は,直径 30mm の Zr 基バルク金属ガラスが作製できたか否かが焦点であった.再現性と試料のどの位置でガラスであることを確かめるかが問われた.吸引鋳造法(96年論文)とキャップ鋳造法(07 年論文)の鋳造原理は異なるが,それらが同一であるかのように東北大学の追加報告書の説明図面が改ざんされていた.また,試料サイズ,原料金属の純度,論文の撤回申請などより,96 年論文の再現性は 07 年論文によって確認されていないことが明白になった.バルク金属ガラスが作製できたと言えるのは,試料全体がガラスの場合である.しかし,96 年論文は試料の一部を調べただけで,つまりガラス化が困難なインゴットの上部がガラスであることを示すことなく,バルク金属ガラスが作製できたと報告した.ガラスであることを確かめないでそのように結論するのは虚偽であり,同論文の捏造改ざんの疑いは払拭されないままである…. 本誌の 8,9 月号および本号で,本件名誉毀損裁判に関わる 96 年論文と 07 年論文の研究不正疑惑を検証した.裁判では告発者が研究不正であることを立証しないと名誉毀損が成り立つ,つまり科学者コミュニティーと司法では研究不正に対する立証責任が真逆であることに注意が必要である….取り違えを著者自身が証明できなければ,取り違えとは言えない.根拠なしの,‘取り違え’を認めないことが,研究不正防止策の第一歩であると記して本稿を終わりとしたい.”
  4. 東北大は東北大学井上前総長の研究不正を許すのか ――同時代の一金属技術者の体験から ちきゅう座 2016年 4月 5日 羽田真一(はねだしんいち):ちきゅう座会員
  5. 研究不正問題――誠実な研究者が損をしないシステムに向けて  (片瀬久美子 / 分子生物学  SYNODOS  2015.06.03):”東北大学元学長に対する不正疑義では、2013年に複数の論文で同じ画像が使い回されていると告発されましたが、「研究不正にはあたらないと確認された」として本調査に移行しませんでした。この判定をしたのは大学の理事や副学長などの被告発者に近い立場の人たちが構成する委員会で、甘い判定をした疑惑が持たれましたがこれ以上の対応を求めることは制度上できませんでした。”
  6. 二審も「不正」告発側に賠償命令 東北大前学長の論文訴訟(日本経済新聞 2015/2/17):”論文不正の疑いをインターネット上で告発されて名誉を傷つけられたとして、東北大の井上明久前学長が、日野秀逸名誉教授ら4人に計1100万円の損害賠償を求めた訴訟の控訴審判決で、仙台高裁は17日、名誉教授らに計110万円の支払いを命じた一審仙台地裁判決を支持、双方の控訴を棄却した。”
  7. データ捏造の有無を証明する責任は、告発者と論文著者のどちらが負うべきか? August 30, 2013
  8. 研究不正と国立大学法人化の影 東北大学再生への提言と前総長の罪 松井恵 / 高橋禮二郎 / 大村泉 / 日野秀逸 社会評論社 2012年12月6日  ISBN978-4-7845-1488-7
  9. 東北大前総長の研究不正と再生への提言 2012年11月25日(日)に明治大学紫紺館(東京) Part1  日野秀逸氏(東北大学名誉教授)の講演  Part2 中井浩一氏(教育ジャーナリスト)の講演  Part3 大村泉氏(東北大学教授)の講演 Part4 青木清(北見工業大学名誉教授)の講演 Part5 松井恵氏(弁護士)の講演 Part6 齋藤文良(東北大学名誉教授、元多元物質科学研究所長)の講演 (記録動画 YOUTUBE)
  10. 生データの解析から明らかになった論文データの改ざんとねつ造 2012年3月21日 文部科学省12F記者会見室 (Part1) (記者会見記録動画 YOUTUBE)
  11. Final say — Ongoing controversy over work at Japan’s Tohoku University must be resolved. Nature 483,246 (15 March 2012) doi:10.1038/483246a
  12. Japan fails to settle university dispute — Investigations highlight need for a national, independent body to oversee research ethics. Nature News David Cyranoski 14 March 2012
  13. 井上東北大学総長の辞任勧告記者会見  2012年3月14日 宮城県庁 (記者会見記録動画 YOUTUBE)
  14. 「井上東北大総長の学士院賞受賞対象論文のデータ改ざん疑惑」について記者会見 2012年3月6日に文部科学省記者会見室 (1) (2) (記録動画 YOUTUBE)
  15. 井上明久総長の職務専念義務違反および総長のユニバーシティプロフェッサー 就任手続上の重大な瑕疵を理由とする総長解任要求についての要請 2012年3月6日 東北大学職員組合 執行委員長 駒井三千夫
  16. 井上過冷金属プロジェクト研究成果確認調査報告書について (科学技術振興機構(JST) 平成24年2月17日): 井上過冷金属研究成果確認調査チーム 御園生 誠(東京大学 名誉教授), 佐久間 健人(高知工科大学 学長), 牧島 亮男(北陸先端科学技術大学院大学 シニアプロフェッサー),  札野 順(金沢工業大学 教授 科学技術応用倫理研究所長) “本プロジェクトは、以下に述べる2回の事後評価において既に高い評価を得ている。ところが、最近になって、その成果である複数の論文に対して、研究不正の疑いが指摘された。本調査の主目的は、疑問のあるこれら論文の存在が本プロジェクトの研究成果に対して及ぼす影響の検証である。なお、井上過冷金属プロジェクトは平成9 年(1997 年)から平成14 年(2002 年)に実施された。”
  17. 井上明久東北大学総長の大学私物化を考える東北大学人の集い (2) 2011年10月6日 (記録動画 YOUTUBE)
  18. 井上明久東北大学総長の大学私物化を考える東北大学人の集い (1) 2011年10月5日  (記録動画 YOUTUBE)
  19. 東北大学総長の研究不正を考える講演会 2011年8月12日に東北大学経済学部第3講義室 Part 1 (1/5) Part 2 (2/5) Part 3 (3/5) Part 4 (4/5) Part 5 (5/5) (記録動画 YOUTUBE)
  20. 魯迅ゆかりの東北大学で研究不正疑惑に失望する中国人留学生たち (姫田小夏[ジャーナリスト] DIAMOND online 2011年7月1日):”…6月25日には米国物理協会速報紙『Applied Physics Letters』に投稿した論文が、同紙発行母体である米国物理学協会(American Institute of Physics: 略称AIP)により、二重投稿を理由に取り下げられる、という事態となったのだ。 アメリカ物理学協会で2000年に発表された新素材の「金属ガラス」についての論文は、文章の大半とグラフや写真が他の学術誌に発表された論文の一部と同じ。典型的な「二重投稿」の不正行為にあたるとされた。…井上氏が東北大学総長になったのは06年11月。東北大学のHP「研究者紹介」によれば、2011年までに合計2784本の論文を書いたとされている(6月24日現在)。..この超高速大量生産を支えた舞台裏はどうなっているのだろうか。そこには、裏方として疑惑に巻き込まれた中国人留学生の存在がある。 井上総長をスターダムに押し上げた画期的な論文が「93年論文」だ。 90年代前半までミクロンサイズの薄版や極細線しか作れなかった金属ガラスを「棒状」にしたことにより、同総長は注目を集めるようになるのだが、関係者によると、「直径16mmを超える棒状金属ガラスの作製に成功した」という画期的な研究成果を出した93年論文の実験を行ったのが中国人研究員だったという。 チャンタオという北京航空航天大学から来た研究員がいるが、彼もまた井上総長の大事な片腕だった。セカンドオーサーとして論文を執筆し、井上総長の多くの論文に関わっていたことからも、「井上総長の研究不正疑惑の解消を要望する会」は「彼が論文の水増しに加担していた可能性が極めて高い」と指摘している。”
  21. 大学という名の真空地帯 -書評:「東北大総長おやめください 研究不正と大学の私物化」- ちきゅう座 2011年 5月 23日 川弾降雄(かわはじきふりお):ちきゅう座会員
  22. 東北大総長 おやめください 研究不正と大学の私物 日野秀逸 / 大村泉 / 高橋禮二郎 / 松井恵 社会評論社 2011年3月18日 ISBNコード:     ISBN978-4-7845-1481-6
  23. Faculty members in conflict with president of Japanese university — Allegations over research results highlight the difficulties of investigating high-ranking administrators. 23 February 2011 | Nature 470, 446-447 (2011) | doi:10.1038/470446a David Cyranoski
  24. 井上総長に不正論文疑惑 東北大学学友会報道部 2008年1月(魚拓) ”12月28日付けの河北新報によると、告発があった4本の論文全ての共同研究者の張涛・北京航空航天大院長が12月27日、片平キャンパスにて会見を行い「告発を受け11月中旬に再実験にとりかかったところ、原理が同じ別の装置で金属ガラスを作成し、再現性を確認した」と主張。当時の実験ノートや作成した金属ガラスは2003年に帰国する際「韓国の運送会社に依頼して送ったが、中国・天津の港でコンテナごと海に落ちた」と説明した。”
  25. 井上総長に係る研究不正等の疑義に関する匿名投書への対応・調査報告書 東北大学 2007 年12 月25 日 東北大学 匿名投書に関する対応・調査委員会 庄子哲雄 委員長(研究・国際交流担当理事)(PDFファイル)
  26. Akihisa Inoue, Tao Zhang, Min Wei Chen and Toshio Sakurai. Mechanical Properties of Bulk Amorphous Zr-Al-Cu-Ni-Ag Alloys Containing Nanoscale Quasicrystalline Particles. Materials Transactions, The Japan Institute of Metals (JIM), Vol.40 No.12 (1999) pp.1382-1389.
  27. Akihisa Inoue, Tao Zhang and Yeong Hwan Kim. Synthesis of High Strength Bulk Amorphous Zr-Al-Ni-Cu-Ag Alloys with a Nanoscale Secondary Phase. Materials Transactions, The Japan Institute of Metals(JIM), Vol.38 No.9 (1997) pp.749-755
  28. Akihisa Inoue, Tao Zhang, Wei Zhang and Akira Takeuchi. Bulk Nd-Fe-Al Amorphous Aloys with Hard Magnetic Properties. Materials Transactions, The Japan Institute of Metals and Materials (JIM) Vol.37 No.2 pp99-108 (1996).