使い切れなかった研究費2億2000万円超 阪大教授が預け金等の不正経理処理

      2017/08/13

2016年2月12日追記:大阪大学は2016年2月12日、大学院情報科学研究科の教授を懲戒解雇しました。

2015年12月28日追記:大阪大学が不正調査結果の資料(2015年12月25日付け)を、2015年12月28日に大学ウェブサイト上で公表しました(2016年2月20日の時点で既にリンク切れになっていることを確認)

大阪大学における公的研究費の不正使用について (大阪大学 2015年12月28日)
大阪大学の研究者等における公的研究費の不正使用の概要について (PDF)
大阪大学における公的研究費の不正使用に係る調査結果 (PDF)

私的流用とみなされた会社設立費用66万円及びこの会社の設立目的に関してですが、この報告書によれば、

 A教授は、A研究室等に在職しているような雇用期限のある研究補助員等に安定した雇用の場を確保するなどの目的で会社設立を考え、A教授の提案により、平成24年12月に設立したZ設立会社の代表取締役であり、A教授の研究プロジェクトの関係者が、A教授と共謀して、A研究室内で作成した実験材料(リボソーム(高純度品))をZ設立会社において作成したものと偽装して、W社に販売し、それをA研究室がW社から購入するという手法により、A教授及び同関係者が拠出していたZ設立会社の設立に必要な経費等を捻出するために大学から不正に公的研究費を支出させたことが認められる。
 また、同実験材料の作成にあたって、A研究室にあった材料及び設備を使用していること、購入手続きが平成25年1月に2回、その額は661,500円であることが確認できた。(http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2015/12/files/1228b 2016年2月20日の時点でリンク切れになっていることを確認)

と説明されています。

この資料によると預け金の未使用分の金額が170,355,116円であり、この1億7千万円がどう使われるはずだったのかが疑問として残ります。今回の不正を通報した人は、設立会社にこのお金が流れたのではないかという疑いを持っていたそうですが。報告書では、

【預け金の移し替えの疑い】③通報者から情報提供のあった、預け金の残額を設立会社に移し替えられたのではとの疑いについては、A教授、設立会社及び預け金のあった取引業者3社の証言及び証憑書類等により、預け金の移し替えの事実がないことを確認した。(http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2015/12/files/1228b)

と否定しています。

この報告書には各財源の総額がそもそもどれくらいだったのかすら記載されておらず全体像が見えません。預け金(架空請求)は平成16年度をもって止めていたということですが、1億7千万円もの大金の出所は何なのでしょうか?

…平成16年度以前の大学等支払い期間側の支払い関係書類は既に保存期限が到来したため廃棄されており、… 書類保存期限超過のため詳細は不明であるが、取引業者3社に残されている170,355,116円の預け金を確認した。(http://www.osaka-u.ac.jp/ja/news/topics/2015/12/files/1228b)

* * *

四方哲也 大阪大学大学院情報科学研究科教授が研究費の不正な経理処理を行っていたことが明らかになりました。不正に処理されていた金額は、JSTでの研究費と阪大での研究費を合わせると少なくとも2億2000万円に上るそうです(参考:時事通信社)。

大阪大学によりますと、不正な経理処理を行っていたのは大阪大学大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人です。不正に関する情報が寄せられたことから、大学が調査委員会を設けて調査した結果、四方­教授らは、10年以上前から架空の取り引きで複数の業者から物品を購入したように装う­などして支払われた研究費を、業者に預ける「預け金」と呼ばれる不正な経理処理を行っ­ていたということです。業者に保管されていた金額は合わせて1億7000万円余りに上­るということです。また、66万円の研究費の私的流用もあったということで、大学は、­関係者の処分や刑事告訴を検討することにしています。(大阪大学 教授など3人が不正経理処理 処分を検討 NHKニュース https://www.youtube.com/watch?v=uJ2QgKWEk1g)

大阪大学大学院教授 1億5000万円余の不正経理か

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多くの報道では私的流用もあったとしていますが、本人は否定しています。

四方教授は大学側の調査に「預け金を作る指示をしたことはない。66万円は会社設立のためで私的流用ではない」と説明したという。時事ドットコム 2015/12/25-23:45

総額のうち66万円は、学内で作製した実験材料を教授が設立に関わった企業が製造したと偽り、最終的に大学が購入する形にして代金を支払っていた。大学は、このケースは私的流用にあたると判断している。(阪大不正経理2.2億円 教授や名誉教授ら3人 読売新聞 YOMIURI ONLINE2015年12月26日)

また実験材料の偽装取引に用いた会社の設立費用約66万円は私的流用と認定し、詐欺罪で大阪府警への告訴を検討している。研究費2億7400万円、阪大院教授ら3人が不正経理 産経ニュース 2015.12.26 08:51

大阪大学教員基本情報によれば、この教授は長期にわたってJSTの研究員・研究リーダーも務めていました。

1997年10月~2000年09月 科学技術振興事業団さきがけ21研究員
2000年10月~2003年09月 科学技術振興事業団さきがけ21研究員
2004年11月~2010年03月 科学技術振興機構・ERATO 金子複雑系生命プロジェクト・グループリーダー
2009年10月 ~       科学技術振興機構・ERATO 動的微小反応場プロジェクト・統括

科学技術振興機構(JST)の研究費に関する不正については、調査結果が科学技術振興機構(JST)のウェブサイトで公開されています。

(2)不正使用と認定した事業名および不正使用額
①     事業名     戦略的創造研究推進事業(総括実施型研究)
研究実施期間     平成16年度~21年度
不正使用額     85,246,405円
不正認定期間     平成16年度~20年度
②     事業名     戦略的創造研究推進事業(個人型研究)
研究実施期間     平成14年度~17年度
不正使用額     7,918,550円
不正認定期間     平成16年度~17年度

(3)不正使用の内容
上記事業の直執行研究費に関して、平成16年度~20年度までの期間に、取引先企業3社で合計93,164,955円の預け金および品名替があったことが判明した。
なお、私的流用は確認されなかった。

①当事者
四方 哲也 大阪大学 大学院情報科学研究科 教授(元JSTプロジェクトグループリーダー)(以下、A元グループリーダーという)
B 元JSTプロジェクトスタッフ

②関与した取引先企業
a.W社
1)    期間    :平成16年度~20年度
2)    不正使用額    :71,904,875円
3)    種別    :預け金および品名替
4)    内容    :消耗品の架空請求および伝票記載と異なる消耗品などの納入
b.X社
1)    期間    :平成16年度
2)    不正使用額    :11,321,620円
3)    種別    :預け金
4)    内容    :消耗品の架空請求
c.Y社
1)    期間    :平成16年度
2)    不正使用額    :9,938,460円
3)    種別    :預け金
4)    内容    :消耗品の架空請求
(平成27年12月25日 科学技術振興機構(JST) 戦略的創造研究推進事業に係る研究費の不正使用調査結果について 別紙1)

税金が原資である公的研究費が2億円以上も不正に利用されていたというのであれば、納税者である国民に対して大阪大学が事の顛末を直接説明すべきです。本来であれば大阪大学は不正調査結果の詳細をウェブサイト上で速やかに公表すべきであるにもかかわらず、該当教授が所属する大阪大学大学院情報科学研究科」のウェブサイトをシャットダウンするという真逆の対応をしています。(追記:2016年1月5日に情報科学研究科のウェブページにアクセス可能になっていましたが依然として「教員一覧」のリンクがつながっていません)。

(追記) 大阪大学は2015年12月28日になってようやく調査結果(12月25日付け資料)をウェブサイトで公表しました。

20151228OsakaDaigaku

参考

  1. 华东师范大学 计算机科学与软件工程学院 四方哲也
  2. 大阪大学における公的研究費の不正使用に係る懲戒処分について(大阪大学 2016年2月12日)
  3. 阪大教授を懲戒解雇 (毎日新聞2016年2月12日):”大阪大教授ら3人が総額2億7500万円の研究費を不正に経理処理していた問題で、阪大は12日、大学院情報科学研究科の四方(よも)哲也教授(52)を懲戒解雇した。…”
  4. 大阪大学における公的研究費の不正使用について (大阪大学 2015年12月28日) 大阪大学の研究者等における公的研究費の不正使用の概要について 大阪大学における公的研究費の不正使用に係る調査結果(2016年2月20日の時点で既にリンク切れになっていることを確認)
  5. 戦略的創造研究推進事業に係る研究費の不正使用調査結果について (科学技術振興機構(JST)平成27年12月25日 科学技術振興機構報 第1160号):別紙1 不正使用調査結果詳細
  6. 繰り返される研究費不正~単年度主義のせい?(ヤフーニュース 榎木英介 2015年12月26日 12時3分):”「預け金」とは何か “取引のある卸の業者などに頼んで、様々な物品を購入したことにして予算を使い切ったことにしておく。しかし実際には使っていないから、年度をまたいでも研究費が残るという仕組みである。”
  7. 阪大不正経理 最大2.7億円 教授ら3人関与 (毎日新聞2015年12月26日 00時38分):”大阪大大学院教授が研究費を不正に経理処理していた問題で、不正処理の総額が最大で約2億7500万円に上る可能性があることが分かった。25日、阪大が記者会見して明らかにした。関わったのは大学院情報科学研究科の四方(よも)哲也教授(52)ら3人。うち66万円は四方教授が私的に流用した疑いがあり、懲戒処分や詐欺容疑での刑事告訴を検討している。ほかの2人は、7年前に退職した大学院工学研究科の卜部格(うらべいたる)元教授(70)と50代の男性元助手。 “
  8. 阪大不正経理2.2億円 教授や名誉教授ら3人 (読売新聞 YOMIURI ONLINE 2015年12月26日):”不正を行っていたのは、教授と工学研究科の名誉教授(70)、50歳代の元助手。3人は2002年3月末までともに同科に所属していた。…教授は名誉教授のもとで助教授を務めた後、情報科学研究科に移った。”
  9. 阪大院教授ら、研究費2億円以上不正処理か(TBS News 12月25日20:17):”大阪大学によりますと、大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人は、大阪大学や科学技術振興機構からの研究費のうち、使い切らなかった分を物品を購入している取引業者に預けるなどの方法で、最大およそ2億7500万円を不正に経理処理していた疑いがあるということです。”
  10. 阪大教授ら研究費不正=「預け金」など2億円超―大学、刑事告訴を検討 (excite.ニュース/時事通信社 2015年12月25日 23時45分):”大阪大は25日、大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人が、物品を購入したように装い業者側に現金をプールさせる「預け 金」を行うなどし、2014年度までに少なくとも研究費約2億2000万円を不正使用していたと発表した。同大は刑事告訴や業者への返還請求を検討する。 同大によると、関与していたのは四方教授と大学院工学研究科の卜部格・元教授(70)、50代の元助手。”
  11. 大阪大学 教授など3人が不正経理処理 処分を検討 (NHK NEWS WEB 12月25日 18時31分):”大阪大学は、大学院の教授など3人が10年以上前から物品を購入したように装うなどして研究費を業者に預ける不正な経理処理を行っていたとする調査結果を発表しました。業者には1億7000万円余りが保管されていたということで、大学は処分などを検討することにしています。これは25日に大阪大学が記者会見して発表しました。それによりますと、不正な経理処理を行っていたのは大阪大学大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)ら3人です。”
  12. 阪大教授ら3人研究費不正 1億円超、業者に預け金 (ライブドアニュース/共同通信 2015年12月25日):”大阪大(大阪府吹田市)は25日、大学院情報科学研究科の四方哲也教授(52)と大学院工学研究科の元教授(70)、元助手の3人が研究費1億446万円を不正使用していたと確認したと発表した。取引業者に内容不明の約1億7千万円も預けており、不正使用分と重複する可能性があるとしている。大阪大によると、不正使用の時期は10年以上前から2014年10月にかけてで、対象には科学技術振興機構の研究費約9300万円や大学の運営費交付金などが含まれる。”
  13. 阪大院教授、1億5000万円 一部私的流用か(毎日新聞 2015年12月25日):”大阪大大学院の50代の男性教授が10年以上前から、研究費を不正に経理処理した疑いがあることが25日、大学などへの取材で分かった。不正処理は少なくとも1億5000万円に上り、科学技術振興機構(JST)の研究費も含まれる。一部は私的に流用されたとみられ、大学は刑事告訴や処分を検討している。 “
  14. 阪大教授が1億5千万円不正経理か 10年以上、一部は私的流用(産経WEST2015.12.25):”大阪大大学院情報科学研究科の50代の男性教授が、10年以上にわたって不正な経理処理を行っていた疑いを持たれていることが、25日、大学への取材でわかった。業者に研究費を預けるなどの手口で、不正経理は少なくとも1億5千万円にのぼり、一部は私的に流用していたという。”
  15. JST、四方哲也・大阪大学教授研究費不正問題で9300万円の不正確認 私的流用はなし(クリスチャントゥデイ 2015年12月25日17時18分):”不正が行われたのは、研究者の要求に基づき、JSTのスタッフ自らが経理処理し研究費を執行する「戦略的創造研究推進事業の直執行」の研究費。現在は制度の改正に伴い廃止され、研究機関での執行(委託研究)に移行しているという。”
  16. 阪大院教授が不正経理か 研究費1億5000万円 (日本経済新聞 2015年12月25日):”昨年、不正に関する情報が寄せられたことから、同大学が調査委員会を設けて調査していた。”
  17. 公的研究費の不正使用防止への取組 (大阪大学)stopkenkyuhifusei
  18. 科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業(ERATO) 金子複雑系生命プロジェクト(研究期間2004年11月~2009年10月):構成的生物学実験グループリーダー 四方哲也 実施場所 大阪大学
  19. 科学技術振興機構・戦略的創造研究推進事業(ERATO) 四方動的微小反応場プロジェクト(研究期間2009年~2014年):研究総括 四方哲也 大阪大学大学院情報科学研究科教授
  20. 大阪大学研究者総覧 研究者詳細 教員基本情報 情報科学研究科 バイオ情報工学専攻 四方哲也(YOMO Tetsuya)
  21. ERATOの沿革:” 昭和56年(1981年)に創造科学技術推進事業(Exploratory Research for Advanced Technology;ERATO)が発足しました。その後、第2期科学技術基本計画や総合科学技術会議の推進戦略など、新しい時代の要請を踏まえ発展的 に解消し、平成14年度(2002年度)より戦略的創造研究推進事業・総括実施型研究(ERATO)として新たなスタートを迎えました。”
  22. ERATO:”以下の骨子をもってプログラムが運営されている。研究期間:約5年間 研究費:15億円を上限とした必要額” (ウィキペディア)
  23. ERATO 戦略的創造研究推進事業 2015-2016:研究期間 約5年間 研究費 12億円を上限とした必要額
  24. 科学技術振興機構 戦略的創造研究推進事業 個人型研究(さきがけ) 追跡評価用資料 (追跡調査報告書) 研究領域「形とはたらき」 (1997~2002) 研究総括  丸山工作
  25. 【社会】大阪大学大学院教授 1億5000万円余の不正経理 一部は私的に流用か(2ch.net)
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