レトルトカレー、丸大食品の「ビストロ倶楽部 北海道野菜のビーフカレー 辛口」を食べたのですが、電子レンジで温めるときに、蒸気が発生して袋が膨らんでも破裂しないように空気(蒸気)が逃げる仕組みになっていて、感心しました。パウチの素材もプラスチックです。アルミ製パウチのレトルトカレーだと電子レンジにかけられなくて、湯煎するしかありません。
- 「ビストロ倶楽部 北海道野菜のビーフカレー 甘口」発売(丸大食品) 2021.10.22 日本食糧新聞
レトルト食品は常温保存できるのですが、殺菌方法ってどうやるのかと思ってパッケージを見たら、「気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌」とあります。
目次
レトルト食品
そもそも、気密性容器に密封し、加圧加熱殺菌して売られている食品がレトルト食品と呼ばれているのでした。レトルトとは、加熱加圧できる釜(装置)のことみたいです。
レトルトパウチ食品
プラスチックフィルム若しくは金属はく又はこれらを多層に合わせたものを袋状その他の形状に成形した容器(気密性及び遮光性を有するものに限る。)に調製した食品を詰め、熱溶融により密封し、加圧加熱殺菌したものをいう。
(別表第三(第二条関係) 食品表示基準(平成二十七年内閣府令第十号) 食品表示法(平成二十五年法律第七十号 e-gov.go.jp)
パウチの機能
レトルト食品の包装に求められる機能が何かの説明が、下のサイトでまとめられていました。酸素ガスのバリアとしてアルミニウムが使われています。電子レンジにかけられるパウチの場合には、ガスのバリアの機能を金属に頼ることができないため、他の材料が用いられるようです。
缶詰めのように、 食品の品質を保護するプラスチック袋のレトルト食品は、1940年代に アメリカで開発され、その後1955年にはスウェーデンで商業的に規格化されました。 1968年にわが国では、レトルトパウチに詰められたカレーが商品化され、食生活に大いに役立ってきました。(食品用プラスチック容器包装の利点 日本プラスチック工業連盟 THE JAPAN PLASTICS INDUSTRY FEDERATION)
電子レンジによる加熱可能なパウチ
アルミニウムなど金属を使ったパウチは電子レンジにかけられないので、ガスを通さない別の材料によるパウチが開発されています。
- 特許第6158525号 東洋製罐株式会社 大塚食品株式会社 電子レンジ加熱用包装材、電子レンジ加熱用包装袋、及び電子レンジ加熱用包装食品 本発明の目的は、高出力の電子レンジにも対応可能な優れた耐熱性を有すると共に、易開封性にも優れた電子レンジ加熱用包装材及び電子レンジ加熱用包装袋を提供することである。‥ 本発明によれば、ポリエステルフィルム(A)、バリア層を有するポリエステルフィルム(B)、直線引裂き性ポリエステルフィルム(C)、ヒートシール性を有するポリオレフィンフィルム(D)の順に積層して成る積層フィルムから成り、前記ポリエステルフィルム(A)、バリア層を有するポリエステルフィルム(B)、直線引裂き性ポリエステルフィルム(C)の合計厚みが30〜50μmであり、前記ヒートシール性ポリオレフィンフィルム(D)の厚みが60〜100μmであることを特徴とする電子レンジ加熱用包装材が提供される。
- 特許第6609908号 凸版印刷株式会社【出願日】2014年11月12日 【発明の名称】電子レンジ用パウチ 【請求項3】前記積層フィルムが、プラスチックフィルムに無機化合物を蒸着してなるガスバリアフィルムを含むことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の電子レンジ用パウチ。 電子レンジによる加熱、調理が可能なパウチは自然な要求であるといえるが、実際には電子レンジ可能なパウチの普及は遅れている。普及遅れの原因はたとえば、電子レンジではガスバリア層などとしてアルミニウムなどの金属箔が容器の材料に含まれている場合には、高周波による金属のスパークが発生して使うことができない問題があった。
レトルトパウチ(アルミ)
- ハイレトルト(130℃) アルミ 三方袋 バリアー性 レトルト用(業務用袋・包装資材の販売店 つつもっとオンライン)
- レトルトパウチNタイプ 14-20 140×200mm 1600枚 福助工業 0713627(楽天)
- パウチ – 企業12社の製品一覧とランキング(IPROS)
レトルトパウチ開発の歴史
食品業界が多方面の食品にわたって100℃またはそれ以上の殺菌に耐える包装の出現を望んでいるにかかわらず,現実に市場に現われないのはどこに問題があるのだろうか?この隘路は後述するとして,アメリカで1956年に発表され3)4),東洋製罐で国産化に成功したクック・イン・パウチについて説明したい。
1.クック・イン・パウチ(cook-inpouch)
クック・イン・パウチ(以下CIPと略す)はboil in the bagとか,heat in pouch,あるいはboilable bagなどといわれているもので主としてポリエステル,ポリエチレン,特殊な場合にはアルミハクなどを積層することによって”煮沸可能な袋“にしたものである。
(総高温加熱殺菌のできるフィルム包装について 堤陽太郎 東洋製罐・東洋鋼鈑綜合研究所 日本食品工業学会誌 第11巻 第6号 1964年6月)
- レトルトパウチ(2)その法的定義、規格 2005/5/31 FUJIIMPULSE
- 日本農林規格によるレトルトパウチ食品の容器の規定■材質は次のいずれかであること■内側はポリエチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムであり外側はアルミニウム箔とポリエステルフィルム、ポリアミドフィルム(ナイロン)ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムを多層に合わせたものであること。・内側はポリエチレンフィルムまたはポリプロピレンフィルムであり外側はアルミニウム箔であること。(健康美容EXPO)
レトルト(装置)
TOMYといえば研究室の遠心機のメーカーとして知っていましたが、レトルト食品の殺菌装置も製造販売していたんですね。
- レトルト食品用オートクレーブ(小型殺菌機)SR-240(TOMY)
- 小型レトルト殺菌器 RKZシリーズ パックされた試料を破袋させずに高圧蒸気殺菌し、加圧・保存 しながらシャワー水冷却までを自動処理
レトルトカレーの製造過程
レトルト製造工程(カレー) 2019/10/11 公益社団法人日本缶詰びん詰レトルト食品協会
THE MAKING (43)レトルト食品ができるまで 2014/01/25 SCIENCE CHANNEL(JST)
レトルト食品が無菌かどうかの検査
気になるレトルトカレー
- ヤマモリ こだわりハーブのレッドカレー
参考
- 新しいレトルト食品開発・製造ハンドブック 2007年9月30日
スパウト付きパウチ
- チアーパック®|CHEER PACK® スパウト付きパウチ 株式会社細川洋行 スパウト・キャップを付与したパウチは、現在では液体容器として広く普及し、身近なものとなりましたが、開発当初は画期的な存在でした。‥ 気体バリア性、水蒸気バリア性、耐寒性、耐熱性、耐衝撃性、耐屈曲性、耐突き刺し性に優れ、長期保存や災害時にも適し