朝日新聞の報道によれば、鶴保庸介・科学技術担当相が、「社会に役立つか役立たないかわからないものであっても、どんどん好きにやってくださいと言えるほど、この社会、国の財政状況はおおらかではない」という発言をしたそうです。どのような文脈でこのような発言が飛び出したのかは、この記事構成からはわかりませんが。
… 大隅さんの受賞決定を受け、松野博一・文部科学相は4日の閣議後会見で、運営費交付金の充実を検討したうえで、「競争的資金をどの程度伸ばすか、予算確保に向けて努力をしたい」と話した。だが、競争的資金は年限があり、息の長い研究には向いていない。
大隅さんは「この研究をしたら役に立つというお金の出し方ではなく、長い視点で科学を支えていく社会の余裕が大事」と話す。
海外との差もある。研究開発費に占める基礎研究の割合はフランスでは8割をゆうに超えるが、日本の大学では半分強にとどまる。
鶴保庸介・科学技術担当相は4日、「社会に役立つか役立たないかわからないものであっても、どんどん好きにやってくださいと言えるほど、この社会、国の財政状況はおおらかではない」と述べた。
また、ドイツなどの欧州では研究費が広く薄く行き渡るように分配されているとされるが、日本では競争的資金が有力な研究者に集中しがちだ。… (大隅氏、基礎研究の危機訴え ノーベル賞金、若手支援に活用 朝日新聞 DIGITAL 2016年10月5日05時00分)
日本の科学行政のトップのこの発言が、大きな波紋を広げています。
大隅君はインタビューで、基礎研究の重要性を訴え、現状を憂い、そして一億に近い賞金をあげて若手を育てるために役立てたいとコメントしています。それに対してマスコミや首相は応用面のことにしか触れず、文科相は競争的資金の増額というような見当はずれの弁、科学技術担当相に至っては社会に役立つかどうかわからないものにまで金を出す余裕はないという始末です。なげかわしい。これでは科学・技術立国など成り立つはずがありません。(隣のおじさん-大隅良典君(ノーベル生理学・医学賞の受賞を祝して) 元基礎生物学研究所長・元岡崎国立共同研究機構長 毛利秀雄 2016年10月07日)
以下、出典を示していないものはツイッター上の意見。
日本の科学行政のお粗末さを嘆く声
- うわああ 何この発言
- 日本終了のお知らせですか?
- これが科技相の発言。ちょっと信じられない。
- そりゃあそうなんだが、じゃあ科学立国とかゆうなよ
- わかってはいたつもりだけど、これが日本の科学技術行政やね。
- これが科学技術担当大臣の発言な時点でこの国の未来が思いやられる。
- って、この機会に基礎研究の重要性を社会に訴えるどころかこの言い様……
- いやあ、そういうこっちゃないんですよ、マジ、この本を読んでみてよ。ということで紹介するのは、三宅泰雄『空気の発見』。大隅良典さんが影響を受けた三冊のうちの一冊だ。(ノーベル賞大隅良典「『役に立つ』という言葉が社会を駄目にしている」が伝わらない悲劇 エキサイトレビュー 2016年10月5日 18時00分 ライター情報:米光一成)
大臣の資質を疑う声
- それでももぎ取ってくるのがお前の仕事じゃねぇのか。
- 自分の仕事をわかってない人間を大臣なんてやらせてていいの?
- ドアホ。将来そうする為の投資だろ。その為の予算も取れないならバッジ捨てろ
- あははははもう笑うしかねぇ。科学振興の匙投げるならそのポスト要らねえだろ辞めちまえよ
政府が判断することに対する不信感
予算配分のバランスの悪さに対する不満
- 散々無駄遣いをしている政権のいうべきことではないだろう。
- といって、「役立つ」と声高に主張する「役立たない」ところにばかりお金が行っていないかな?
- というなら,他の使途はどうなのさ.一般会計96兆円のうち基礎研究に使ってるのは何パーセントさ?
- ならば,科研費十数年分の3兆円も食う五輪なんてやめちまえ
- じゃあ3600億円で中古オスプレイ17機も買っている場合か
- そんなこと言うなら年間約2千億円の「思いやり予算」もカットしてよ
- え、高速増殖炉は??? さんざん迷惑かけて、どんどん好きにやっている
- ならばまず社会に何の役にも立っていない日本のアニメをクールジャパンで推進する予算をゼロにするべき
参考
- 鶴保内閣府特命担当大臣(沖縄及び北方対策、クールジャパン戦略、知的財産戦略、科学技術政策、宇宙政策)(内閣府)
- 鶴保庸介(ウィキペディア)