香港のリー博士が「酸処理なし・機械刺激のみ」の条件でSTAP細胞作製再現に成功??【否定】

【注意】当初ポジティブに報道された李博士のこのSTAP細胞に関する実験結果ですが、李博士自身否定的な見解に落ち着いたようです。

 

香港中文大学(The Chinese University of Hong Kong)のケニース・リー(Kenneth Ka-Ho Lee)博士が、ヴァカンティ教授が発表したプロトコールの一部を変更した方法によりSTAP細胞作製に成功したかもしれないという実験結果をリサーチゲート(researchgate.net)に投稿しました。

多能性獲得の分子マーカーOCT4などの遺伝子発現が、機械刺激後培養3日目で検出されたという実験結果です。

KennethLee_qPCR_20140401

LEE博士の実験結果によれば、酸処理はむしろ逆効果で、破砕処理(TRITURATON)の機械的刺激のみのほうが条件として良いといえます。

LEE博士は、現段階での実験結果にはいろいろな解釈があり得るので、STAP細胞ができたとは言わない、と慎重なコメントを出しています。

“Potentially, expression of these pluripotent markers could be the bi-product of un-regulated gene expression by the dying or stressed cells. I agree 100% with Paul Knoepfler’s comments.

I am not claiming that “STAP” cells exsist  – only presenting the results of our research as it is – which is open to interpretation.  Please, don’t Hype up this data!” (Kenneth Ka-Ho Lee

またStem Cell Blogを運営するノフラー博士はリー博士のこの実験結果に対して懐疑的な態度を示しています。

Let’s see how this develops, but I remain skeptical that this is a specific induced pluripotency-related event related to trituration and that what you are seeing here is STAP cells. I hope I’m wrong and it is something real on the STAP front, but I doubt it. Thanks again, Ken, for all the hard work that your lab is doing! Paul (Paul Knoepfler · University of California, Davis)

JCASTニュースによれば、

3日放送のテレビ朝日系「モーニングバード」とフジテレビ系「とくダネ!」はリー教授に直接電話で話を聞いた。リー教授は、STAP細胞の生成に成功したとか存在しているとか言ったことはない、と完全否定し、

「実験結果を報告しただけで、それがSTAP細胞だと勘違いされてしまった。STAP細胞に関しては、実験を始めて3日後に細胞は死んでしまい失敗してしまいました。できた細胞はSTAP細胞の特質すらありませんでした」

と語っていた。

とのこと。

さらに新しい朝日新聞の報道によると、李博士は

李教授は「本当にSTAP細胞ならマーカーの値は数百倍程度に上がるはず。誤解を与える伝え方をして反省している」と話した。

とのことです。結局、李博士はSTAP細胞の再現実験の試みは止めるそうです。

参考

  1. ResearchGate.net Review of article: Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency.Haruko Obokata, Teruhiko Wakayama, Yoshiki Sasai, Koji Kojima, Martin P Vacanti, Hitoshi Niwa, Masayuki Yamato, Charles A
  2. 香港中文大学、STAP細胞作製の再現に成功か(WIRED.JP 2014.4.2 WED 修正版4.3):李氏は、自分の実験結果(現在公開されている手法ではSTAP細胞は作製されないとするもの)を『Nature』に提出し、3月24日に同誌から掲載を拒否されていたが、同氏はその後、ヴァカンティ氏の手法の応用に取りかかった。李氏は自らのすべての実験プロセスを、オープンソース・プラットフォーム「ResearchGate」において、リアルタイムで公開…「わたしはSTAP細胞が存在していると主張しているわけではない。わたしがResearchGateに掲載した実験結果は、非常に初期のものだからだ。わたしはヴァカンティ氏のプロトコルを追試した。それは、小保方氏のプロトコルとは大きく異なるものだ」「わたしが提供した情報は、酸に浸す処理というよりは物理的な研和処理が幹細胞を誘発するかどうかについて、ほかの研究所が追試するときに助けになると確信している」
  3. Prof LEE Ka Ho Kenneth 李嘉豪(香港中文大学 生物医学学院 The Chinese University of Hong Kong, School of Biomedical Scinces)
  4. Blogger Reports STAP Success(The Scientist April 1, 2014):Lee now claims he has succeeded at reproducing STAP using Vacanti’s protocol—well, sort of.
  5. 関由行 ‏@yoshiyuki_seki 12時間 @TJO_datasci @yulimekko 8倍程度ですからねー。ESだと数百倍は発現しているので、8倍程度では発現しているとはみなせないと思いますよ。
  6. 香港の大学でSTAP細胞の作成に成功?? ネットで「理研は小保方に謝れ!」騒ぎになったが誤報だった (JCASTニュース 2014/4/ 3 17:43)
  7. 「STAP細胞が存在する証拠ない。エイプリルフールのジョークというべきだった」香港の李教授が自ら否定 (The Huffington Post 2014年04月03日 10時14分 JST):STAP細胞生成の再現に香港中文大学の李嘉豪教授が成功したと報道された件について、李教授は4月2日、自らのTwitterでこれを否定した。…「小保方さんの実験方法ではSTAP細胞は再現できませんでした。他の人がやっても時間の無駄です。STAP細胞は存在しないと思います」…
  8. STAP細胞再現、一転訂正 香港の研究者(朝日新聞デジタル 2014年4月3日22時00分):STAP細胞とみられる多能性幹細胞の培養に成功した可能性がある、と公表していた香港中文大の李嘉豪教授が3日、朝日新聞の取材に、できたのはSTAP細胞ではない可能性が高いことを明らかにした。再現実験もやめるという。

小保方晴子ユニットリーダーの研究費は5ヵ年契約で1億円

2014年3月14日に行われた理研の記者会見の質疑応答の中で、小保方ユニットリーダーに配分されているお金が年間で研究費1000万、人件費1000万円合計2000万円であることが明らかにされました。人件費というのは小保方氏本人の給与ではなくて、研究補助の技術員等を雇うためのお金です。5ヵ年契約で、総計1億円が小保方晴子ユニットリーダーに研究費として配分されるということです。

非常に優れた業績を上げている人だけが理研で職を得ることができ、しかも優れた業績を出し続けることが要求されてしかるべきです。本来そういう場所であるにも関わらず、データの写真の切り貼りをやってはいけないとは思わなかったと言う、研究者として何のトレーニングも受けていない人間が紛れ込んできて、1億円もの研究費を配給されるのですから、小保方氏を採用した理研CDBの責任が問われないというのはあり得ないことでしょう。税金をドブに捨てているようなものです。

小保方ユニットのウェブサイトを見ても技術員などのメンバーが一人も見当たりませんし、コピーアンドペーストで論文の図を作るのなら実験をたくさんする必要もないでしょう。巨額な研究費が一体何に使われているのか非常に不思議です。

2014年3月14日の記者会見を見る限り、調査委員会は論文の図に関して6項目を挙げて悪意のある改ざんがあったかどうかを調べると述べており、自らのタスクをかなり限局してしまっています。これでは理研が本気でこの問題に取り組んでいるということがあまり伝わってきません。研究費が本当に正しく使用されていたのか、問題にされていない図に関しても本当にそれに対応する実験が行われた形跡があるのかどうかなど、もっと研究不正の可能性を広く捉えて調査し発表すべきでしょう。実験が本当に行われていたのかどうかは、実験ノートの記述の有無や、必要な試薬や消耗品の購入履歴を調べることによっても確かめられるはずです。

理研の理事は調査委員会の結果報告を受けて処分を考えるという内容の発言をしていましたから、調査対象が最初からあまりにも狭いと、不正が見逃されてしまい適切な処分が下されなくなる恐れがあります。

小保方ユニットリーダーの場合 研究費・人件費各々1000万(合計2000万)

参考

  1. 理研が落ちた「わな」:再生医療の覇権争い iPS先行で(毎日新聞 2014年03月19日 16時16分 最終更新 03月19日 16時19分):STAP細胞の研究拠点である神戸市の理研発生・再生科学総合研究センター(CDB)には年間30億円が配分される。研究不正の疑いがもたれている小保方(おぼかた)晴子・研究ユニットリーダーは5年契約で、給与とは別に総額1億円の研究予算が与えられている。
  2. 理研について 人員・予算(理化学研究所ウェブサイト):平成25年度予算合計844億4300万円。発生・再生科学総合研究事業費29億3700万円