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科研費の繰越し・期間延長・次年度使用の違い、正当な理由と書類作成方法

  2019/02/12    科研費の適正な使用

研究はかならずしも当初の計画通りには進まないものです。研究期間中に予想外のことから大きな修正を迫られることがあります。年度ごとに区切りよく研究が進んでいけばよいのですが、大抵の場合そうはなりません。そのため、年度を超えて予算を繰り越したり、期間を延長せざるを得なることがあります。かつては研究費を業者に預ける「預け金」という悪しき風習があったらしいですが(現在では、これは完全なクロ、研究不正)、今では研究の実情に合うように研究助成制度がかなり改善されており、正当な理由があって必要な手続きを期間内に行えば、今年度の予算を次の年度に使うこと許されます。   科研費の繰越し制度の正しい理解の必要性 科研費には「基金」と「補助金」の区別があり、また、研究期間の最終年度かどうかによっても、適用されるべき制度が変わってくるので、これらの理解は重要です。 『繰越』と『調整金を使用した次年度使用』のあらましと違い(http://kenkyo.office.uec.ac.jp)という記事がわかりやすいです。 平成30年度が研究計画最終年度にあたる科研費(基金分、一部基金分)の研究課題のうち、研究計画変更等に伴い補助事業期間の延長を希望する場合には、別紙「科研費(基金分、一部基金分)の補助事業期間延長承認申請書の提出について」を確認の上、関係者への周知及び必要な手続きを行っていただきますようお願いいたします。(引用元:科研費(基金分、一部基金分)の補助事業期間延長承認申請書の提出について jsps.go.jp) 同一の言葉が使われていてもそれが一般的な日本語としてなのか、テクニカルタームとしてなのかがわからないと、混乱を招きます。renkeika.sci.waseda.ac.jpの資料をもとに、こんがらがりやすい3つの制度をまとめておくと、 「繰越し」:「補助金」が対象。今年度の科研費を翌年度に繰り越す制度。最終年度でも申請可能。 「期間延長」:「基金」が対象。最終年度のみ申請可能で、研究期間を1年間延長する制度。(結果として、翌年度に科研費を繰り越すことが可能) 「次年度使用」:「補助金」が対象。前年度に未使用額(返金)が発生した場合、国に一度返還した科研費を今年度分として交付を受ける制度。最終年度は申請できない。 持っている科研費が補助金か基金か、最終年度かそうでないかで自分は混乱してしまい、該当する所内締め切り日を過ぎてしまうという失態を犯してしまいました。事務の方、すみません _(._.)_   繰越しのススメ 科研費の公式な丁寧な説明(繰越申請書作成に当たっての参考資料集、繰越事由別記入例、繰越しFAQなど)を読んでもらえば済む話ですが、実際には、繰越しという制度になじみがない研究者にとって、オフィシャルな説明は無味乾燥でイメージが湧きにくいものです。もう少し研究者の心情に寄り添った説明があったので紹介します。 繰越し手続きは難しくありません 科研費の繰越しについては、手続きが煩雑だと思われがちですが、研究者が作製する書類は、①繰越しを必要とする理由書、②繰越しを要求する額の計算書、③研究スケジュールの変更表の3つで、いずれもA4で1枚程度であり、事実関係や理由を明確に示すなどのポイントさえきちんと押さえれば、書類の作成が大きな負担になることはありません。(osksn2.hep.sci.osaka-u.ac.j) 自分も昔繰越しか期間延長か何かをしたことがありますが、なんだか非常に面倒くさかった記憶だけがトラウマになって残っています。何が書類作成のポイントかがわからないと頓珍漢な書類になり事務に怒られて、面倒くさいと感じてしまうわけです。最初からポイントを理解し書類作成の見通しが立っていれば簡単です。 研究者の立場としては、どんな理由なら認められて、どんな理由は繰越しが認められないのかをまず理解する必要があります。 【対象経費】 繰越しの対象となる経費 交付申請書において確認できる研究計画であって交付決定時には予想し得なかった要因によるやむを得ない事由(以下の「繰越事由一覧」参照)により、当該計画部分に係る経費を繰り越す必要が生じた場合でありかつ、翌年度内に完了する見込みのあるもの 繰越しの対象とならない経費 病気や怪我を除く、研究者の自己都合に起因するもの(多忙、事前の調整不足、所属研究機関の異動等)研究終了後に余った研究費(余剰金)(引用元:jsps.go.jp) 次年度に研究費が取れていなかったら困るのでとか、職探しで忙しかったからとか、次年度に移動するので研究費を確保しておきたいなどと言っても、受け入れられません。 JSPS作成文書の説明もわかりやすい。以下の要件を全て満たさなくてはなりません。 (参照元:繰越制度の概要(研究者用)平成30年11月日本学術振興会研究事業部研究助成第一課) 繰越要件 ×該当しないもの ①当初計画の内容と時期が明確であるもの ×当初から当該年度中に完結しないことが明らかなもの ②交付決定後に繰越事由が発生したもの ×交付決定時には既に発生・判明していたもの ③当初計画では予想し得なかったもの ×研究者の自己都合 ×事前の調整不足や甘い見込みの研究計画、当初から容易に予想される事由 ④計画の見直し、繰越しが不可欠 であるもの ×当該年度中に再調整を検討していないもの ×当該年度中に再調整が可能なもの ⑤計画の見直しの具体的内容、見直し期間が明確化されているもの …