研究と教育に役立つ生成AIツール

すぐに生成AIに頼ると自分が頭を使わなくなってバカになりそうですが、自分で考えても煮詰まってしまったときには、生成AIは強力な助けになります。アイデア出しに使うとよいのではないでしょうか。あるいは時間をかけたくない定型文書作成の場合は、最初から使うのも良いと思います。読むべき論文を効率よく探す目的なら、生成AIは非常に有用です。

論文検索のための生成AIツール

Concensus

Concensusは、AI-powered Academic Search Engineというだけあって、文献検索に使いやすい生成AIです。日本語でふつうに会話するように質問を投げることができます(他の生成AIもそうですが)。例えば、「コーヒーは体いいいの?」と聞くと、文献を紹介しつつ、いいのかどうかを教えてくれるという便利なもの。特に、イエスかノーかで答えられるような質問の仕方をしたときには、YesかNoかで確率付きで答えてくれて便利です。

もちろん文献も表示されます。今の場合は10個の論文に絞り込まれていました。普通に検索するとおそらく数百~数千件はヒットしそうな内容ですので、たった10件に絞られたこれらの論文がどれだけ妥当なのかが気になります。質の良い重要な論文に絞り込んでくれるのだとしたら重宝しそうです。質問をちょっとずつ細かくしていけば、別の論文も拾えてくるので、候補となる論文を広げていくことができます。数百、数千件の検索結果を自分で絞りこむ手間を考えれば、10件の結果を吟味するこのやり方のほうが効率的で現実的だと思いました。

文章系生成AI

GPT-4 (OpenAI)

ChatGPTには 自分は毎月20ドル払って有料版を使っています。GPT-3.5(無料)とGPT-4(有料)を比較したことがありますが、自分が良く知っている日本人歌手のヒット曲Top10を教えてといったお願いをしたときに、GPT-4のほうがましな回答をよこしてきました。GPTは日本の事情にはかなり疎い印象です。

自分がやりたい事務処理を自動で行うpythonコードを書いてもらったときは、ほぼそのまま動くコードを書いてくれて重宝しました。

Claude (Anthropic)

Claudeに科研費の申請書を書いてと依頼したときに、代筆はお断りとあっさり断られことがあります。人間よりもよほど研究倫理がしっかりしているなと感心しました。しかし、頼む言葉を少し変えたら書いてくれました。無料版の場合、数回、使うとすぐに数時間使えなくなります。なので無料版は実用的ではありません。

GEMINI (Google)

  1. https://gemini.google.com/app

旧称Bard。

Perplexity

Perplexityは文書作成や文献検索ができますが、生成AIエンジンは他社のものを使っているようです。無料版でもけっこうイケますが、有料版(月額20ドル)の説明を読むと、

  • 使いたいAIモデルをGPT-4o、Claude-3、Sonar Large (LLama 3.1)などから選べる
  • Playground AI、DALL-E、SDXLなどを使って回答を画像化してもらえる

といった特徴があります。

プログラミング系生成AI

  1. 大規模言語モデルによるソースコード生成:GitHub CopilotからCopilot Xへの進化と未来 2024.03.08 調和技研 コード生成そのものはChatGPTなどでもできるわけですが、コードを書くツールに連携することで飛躍的に利用しやすくなります。‥ Copilot Xは2023年3月に発表された次世代のコード生成のビジョンですが、その一部であるCopilot Chatは既に利用できるようになっています。

Copilot X

  1. https://github.com/features/copilot

無料版はなくて月10ドルからのサブスクの設定になっています。

画像系生成AI

  1. 画像生成AI「Stable Diffusion」の代替に? 話題の「FLUX.1」を試した 2024年08月07日 17時00分更新 文● 田口和裕 ASCIIxAI 現在、画像生成AIの分野は主に「Midjourney」、「Stable Diffusion」、「DALL-E 3」の3つがそれぞれ独自のアプローチでユーザーを集めている。 Stable Diffusionの共同開発者たちによって設立されたベンチャー企業「Black Forest Labs(BFL)」が8月1日(現地時間)に発表した最新の画像生成AIモデル「FLUX.1」

Gamma

  1. https://gamma.app/

研究ネタのテキストを放り込むと、なんだか製薬会社かベンチャー企業のパンフレットのイメージ図みたいな写真が合成されてでてきました。学術的な内容を表したイラストを期待していたので、ちょっとズレました。

しかし、ためしに大学の講義のシラバスを作ってもらうようにしてみたら、なんと講義スライドをさくさくと作ってくれました。スライドごとに埋め込まれたイラストは苦笑いしてしまうレベルで、正確ではないので使えませんが、トピックを羅列した部分は講義内容を考えるうえで非常に役立つと感じました。ただし8回分の(つまりスライド8枚)お願いは無料でしたが、14回の講義にしようとしたら、プロ版が必要になりました。まあ、イラストは使えないので、文書生成系AIツールがあれば事足りるようにも思います。

DALL·E 3 (OpenAI)

ChatGPTのOpenAIが出している画像用のAI。これは画像を生成してくれるAIのようです。テキストに基づいて画像をつくれるらしい。ネットではDall-E 2の紹介記事が多かったのですが、もうDall-E 2は終了していてDall-E 3にバージョンアップしていました。使おうと思ったら、「Try in ChatGPT」というメッセージしかなくてChatGPTの画面に飛ばされるので、単独で使うのでなくChatGPTに組み込まれているということのようです。科研費の申請書の一部をテキストとして放り込んで、模式図を作ってもらいましたが、全然使える代物ではありませんでした。得意不得意があるのでしょう。

  1.  https://openai.com/index/dall-e-3/

FLUX.1

  1. https://flux1.ai/ja
  2. https://flux1.ai/create

ウェブ上にどんなイラストを描いてほしいかをテキストで入れるとそのイメージを画像にしたものが生成されるそう。科学的な内容を試してみましたが、まったく使いものになりませんでした。

Stable Diffusion

  1. https://ja.stability.ai/stable-diffusion Stable Diffusion 3 Medium は Stable Diffusion 3 series の最新かつ最も高度なテキストから画像へのAIモデルで、20億のパラメータで構成されています。フォトリアリズムに優れ、複雑なプロンプトを処理し、明瞭なテキストを生成します。ウェイトはオープンな非商用ライセンスでご利用いただけます。

Midjourney

芸術的で独創的な画像生成をしてくれるそうですが、 テキスト処理能力はないみたい。月額8ドルからのサブスクリプションをしないと全くお試しもできないみたい。

  1. Midjourney

 

生成AIを学術研究に使うことの危険性

ハルシネーション,バイアス,プライバシー,著作権などの懸念 https://www.jstage.jst.go.jp/article/jkg/advpub/0/advpub_2024-010/_html/-char/ja

AIツールは研究者の創造性や独創性を失わせる可能性があります。AIはインプットと既存の研究知識に基づいています。科学を発展させるには、その分野の人々による独創的、創造的、批判的思考が必要です。また、AIが生成したテキストをコピーペーストするだけでは、剽窃につながる可能性があります。

AIツールを学術研究に効果的に活用するには プロダクト Paperpal 学習コンテンツ 論文執筆のヒント September 25, 2023 https://www.editage.jp/blog/using-ai-powered-tools-effectively-for-academic-research/

チェックを怠ると、自分の研究に他者の研究を意図せず取り込んでしまう可能性があり、それが発覚すると、著者と出版社の双方の信用が傷つく恐れがあります。アイデアの独自性と帰属を維持することは研究公正を守るうえで必須であり、研究者はAI生成コンテンツの引用が適切であることを確かめ、意図せぬ倫理違反がないように気を配る必要があります。https://www.turnitin.jp/blog/ai-writing-in-academic-journals-mitigating-its-impact-on-research-integrity