練習!練習!また練習!

学会発表は日本語でも大変です。日本語であっても練習を何回もするべきです。慣れていない学生やポスドクは、ラボの人たちに聞いてくれるようにお願いして発表の練習をしましょう。その前にもちろんまず一人で練習です。家で練習するときに家族や親兄弟に聞いてもらうのもいいアイデアです。私はめんどくさがる妻を拝み倒して、聞いてもらったりします。えー、が多すぎるとか声が小さいとか、語尾がはっきりしないとか、そういうフィードバックもありがたいです。
学会会場で偉い先生たちを見ると、直前までスライドを入れ替えたりしていて、練習なんてしていないように思えるかもしれません。彼らはあっちこっちで同じ話を何回も何回も飽きるくらいしゃべってきたのです。あるいは長い経験から、新しい内容であっても頭の中でトークを組み立てる能力を身に着けているのです。
自分の博士発表会を思い出すと、とにかく原稿をきっちりと書き、一字一句を選び抜き練習しました。すると言葉一つ変えただけでもきっちりそれが秒数の増減に反映することに気付きました。もちろん本番で緊張して早口になったり予期せぬことが起こるかもしれません。それでも練習の段階で、決められた時間にぴったり収める練習をするべきだと思います。
英語の場合はなおさらです。とにかく練習しましょう。海外に行ったらわかりますが、アメリカ人でも本番前に何回も練習しています。英語が母国語でない私たちはなおさら練習が必要です。
本番でしどろもどろになるくらいなら原稿を読むほうがましという意見もあるかもしれませんが、私は賛成しません。学会発表は熱気に満ち溢れているものです。以前、アメリカの学会に参加していたとき、講演者の中に日本からの学生がいました。自分の番が来たとき彼は原稿を読み始めました。そのとき、それまでなごやかだった会場がなんとも言えない異様な雰囲気になりました。会場の温度がヒューっと5度くらい下がったみたいでした。彼は聴衆を全く見ずにひたすら下を向いてえんえんと原稿を読み切りました。英語の発音はとてもきれいで流暢でした。その後の質疑応答を英語で無難にこなしていたので、なおさらもったいないことだと思いました。
「学会発表」だと思わないことです。自分が伝えたいことを目の前の複数の相手に「伝える」という非常に人間味溢れる行為なのです。
言葉がスムーズに出てこなくて間があまりに多すぎると、聴衆はどうしても集中力を失います。
どのくらい練習すべきかの目安としては、
練習してしゃべっているとは思えないくらい自然に言葉が口をついて出てくるくらい
がいいと思います。
実験データが出揃っていなくてもいいんです。話をどう組み立てるかだけ考えるのでも時間がかかります。今からスライドを作り、トークの組み立ての構想を練りましょう。練習期間が長ければ長いほどうまくなります。
初めて覚える英語表現を一生懸命覚えて、それがスラスラと口をついて出てくるようになるにはある程度の期間練習を続けることが必要です。


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