日本の生命科学の研究力が低下している要因の一つは、日本で一番研究費をたくさんもらっている東京大学が、でっちあげ論文(註.東大自ら認めたように 実験値≠論文の図表の値 の意味において)の著者らを庇護している(なんの根拠も示さずに、教授らに不正はないと断定。個々の論文の図表を精査した結果を報告書に掲載せず、しかもそんな調査報告書すら非公開)からだと思います。文科省やAMEDもこんな非常識な報告に異を唱えることもなく、今まで通り巨額の研究費をこれらの論文著者たちに配分し続けている。こんなんじゃ、日本の研究倫理が破壊され、真面目に研究をしようとする人間が減っていく。
東大自ら、ほとんどの図で再現データとオリジナルデータは一致していないという事実が確認されたと述べているわけですから、これは、ほとんどの図は捏造されているという事実が確認されたと言っているようなものだと自分は思います。それなのに、不正はなかったので調査内容は公開しないというのですから、東大総長や理事たちが研究不正を公認し、隠蔽しているとしか思えません。手作業で図をいじくるのは生命科学の研究では通常だと?!正気か!?よくもまあ、こんなみっともないコメントを公式に発表できたものです。ヤフーニュース記事中の資料にはソフト間で図をコピーした時のズレどころか、(エクセルの図を見ながら?アドビイラストレーターで)「最初から手作業で描画」されていた図があったと書かれている。東大医のラボでの論文作成は、写生大会かよ?これをデータ捏造と呼ばないのなら、一体何がデータ捏造になるんでしょうか?東大の、手作業が通常だという説明は、自分には、捏造が通常だと自ら言っているようにしか聞こえません。本当に気違い沙汰。また、記者会見ではごく一部の図に関してはソフト間のグラフのコピー&ペーストの際に生じたものだとして不正が全くなかったかのように説明したみたいだが、例えば、エラーバーを棒グラフ中に押し込んだ図に関する説明もありませんし、捏造と見なさずにすみそうなものをちょっとだけ紹介してあたかも全部に関して不正がなかったかのような印象付けをして新聞記者らを欺いたに過ぎない。東大の首脳陣が、こんな欺瞞に満ちた説明をすることによって、東大のResearch Integrityを著しく貶めています。エラーバーを手で押し下げてバラつきを小さくみせて有意差があったかのように見せることが通常の図表作成プロセスだというのなら、東大医学部から出た論文を誰が信用するでしょうか?研究大学の日本のトップがこれですから、こんな風土でまともな研究が育つわけがありません。捏造しないと論文が出せない輩にどんだけお金を出しても、全部が無駄。東大(医)では捏造する輩ほど出世するのかと勘違いしちゃいそうです。捏造ラボだと、真面目に研究しようとしている大学院生らが虐げられているはず。まともな人間ほど、心を病むことでしょう。
東大医学部といえば、日本全国から最高の学力を備えた高校生たちが入ってきて、トップでないと気がすまない子供たちがさぞ夢と期待を抱いて学んでいるはずなんだが、その行き着く先が捏造が常態化した研究室になるとしたら、シュールすぎる。と書いたてみたがホラー映画より恐ろしい現実に気が滅入る。
— 日本の科学と技術:エラーバーをずらさないで (@scitechjp) August 2, 2017
東大は平成18年3月に下記のような声明を出して、研究を行う大前提としての高い研究倫理を掲げたわけで、この「社会との約束」を守るべきです。教授に不正があったかどうかなんて誰も聞いちゃいなくて、論文データに捏造や改竄があるかどうかをOrdinary_researchersは問いただしたわけです。
- はじめに~ 2016年8月14日 12ページPDF(コピー)
- 研究資金リスト 2016年8月14日 5ページPDF(コピー)
- 不自然なデータの指摘 2016年8月14日 52ページPDF(コピー)
- 追加の告発文 2016年8月29日 38ページPDF(コピー)
これらのOrdinary_researchersの指摘を見る限り、捏造がなかったというのは信じられない。図表の不自然さは自分でも一部を確かめてみました(画像編集フリーソフトで確認)。
実際に、同じような「手法」を使って図表を作成していた理学系の論文は、不正があったと認定されたわけです。理学系では不正になることが医学系では「通常」なので不正ではないとか、意味わからん。ネイチャーはべつに医学系研究者専用の研究不正の基準を設けているわけではありません。総合誌であれば理学系の研究者も医学系の研究者も同じように論文を投稿して掲載されているわけです。医学部には「異常」が「通常」とみなされるような特殊事情が仮にあるのだとしても、それは医学部の外に一歩でたら通用しませんので、不正を認めない理由にならないし、調査報告書を公開しない理由にもなりません。医学部のデタラメな図表の論文をなぜ研究不正にあたらないと判断したのか、Ordinary_researchersが告発した個々の論文、個々の図に関して、他の研究者が納得できるようにきちんと説明する責任が、東大にはあります。不正はなかったので説明はしないという東大のやり方は、不正のあった人間を匿う行為とまったく区別がつきません。個々の論文図表が捏造ではないという証拠を一刻も早く国民に公開すべきです。
研究倫理 Research Integrity
行動規範及び規則制定にあたっての総長声明
科学研究は、人類が未踏の領域に挑戦して知の拡大をはかり、その成果を人類全体が共有して社会に還元することを目的とする活動である。科学研究において研究者は、科学的手法を用いた研究によって得られた知識を学術論文として公知のものとし、人類共有の資産として蓄積していく。それらの知識は、客観性や実証性に裏付けられたものであり、同時代もしくは後代の研究者による追試や評価を可能とするものであるがゆえに、その科学的根拠を科学者コミュニティが自ら保証するものである。近代科学の歴史の中で人類が築いて来たこの科学研究の作法にしたがって行動することは、研究者の活動の自明の前提であり、現代においても研究者の基本的な行動規準である。また、今日のように、科学研究が細分化し専門化する状況の中においては、研究者がこうした行動規準を確実に遵守していることを、より積極的に社会に説明することが求められる。東京大学は大学憲章において研究の説明責任の重要さを掲げており、東京大学において科学研究に携わる者はそれを当然の原理としてきている。しかしながら近時、この自明のはずの研究作法が遵守されていないのではないかという疑いをよぶ事態が生じていることは、まことに遺憾であると言わなければならない。大学は、科学研究を行うとともにそれを次世代に伝えるという教育機関としての責務を負っており、研究にあたっての行動規準は学問の自由と一体のものとして、きわめて厳格に遵守されなければならない。この規準に対する違反は大学の存立の根幹を脅かす重大な行為であり、大学がそうした違反を防止するための自律的な取組みを責任をもって行うことは、大学の自治の一部である。そこで、このたび、東京大学として、科学研究の基本的な作法を行動規範として再確認するとともに、この行動規範を大学が自ら担保するための委員会制度を規則として定めることとした。こうした行動規範は、東京大学で科学研究に携わる者すべてが当然に血肉化しているはずのものであるが、万一の違反行為に対していっそう厳正かつ確実な対応が行われるようにすることが、あえてここに明文化することの目的である。今後、研究費の獲得をめぐる競争が激しくなる中でも、科学研究の原点に対する意識をたえず喚起し、研究者が相互に忌憚なく論じ合える風通しのよい研究環境を整えることによって、東京大学における科学研究の質をさらに高めていくことに努めたいと考えている。
(引用元:PDF 東京大学)*太字強調は当サイト
東京大学の科学研究における行動規範
1 科学研究は、人類の幸福と社会の発展のために欠くべからざる活動である。科学研究の成果は公開されることにより研究者相互の厳密な評価と批判にさらされ、それに耐え抜いた知識が人類共有の財産として蓄積され活用される。
科学研究に携わる者は、この仕組みのもとで人類社会に貢献する責務を負っており、またそれを誇りとしている。この科学者コミュニティの一員として、研究活動について透明性と説明性を自律的に保証することに、高い倫理観をもって努めることは当然である。2 科学研究における不正行為は、こうした研究者の基本的な行動規準に真っ向から反するものである。のみならず、研究者の活動の場である大学に対する社会の信頼をいちじるしく損ない、ひいては科学の発展を阻害する危険をもたらす。それは、科学研究の本質そのものを否定し、その基盤を脅かす、人類に対する重大な背信行為である。
それゆえ、科学研究を行うにあたっては、捏造、改ざん、盗用を行わないことはもとより、広く社会や科学者コミュニティによる評価と批判を可能とするために、その科学的根拠を透明にしなければならない。科学研究に携わる者は、実験・観測等の実施者、共同研究者、研究グループの責任者など立場のいかんを問わず、説明責任を果たすための具体的な措置をとらなければならない。3 科学研究に携わる者の責任は、負託された研究費の適正使用の観点からも重要である。大学における科学研究を有形無形に支える無数の人々に思いをいたし、十分な説明責任を果たすことにより研究成果の客観性や実証性を保証していくことは、研究活動の当然の前提であり、それなしには研究の自由はあり得ない。その責任を果たすことによってこそ、東京大学において科学研究に携わる者としての基本的な資格を備えることができる。
平成18年3月10日 教育研究評議会 了承
平成18年3月17日 役 員 会 議決https://www.u-tokyo.ac.jp/content/400006408.pdf
(太字強調は当サイト)