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次期(第31代)東大総長は藤井輝夫理事・副学長(財務、社会連携・産学官協創担当)~予備選挙トップ候補者が第2次候補リストから消えていた謎~

 

次期(第31代)東大総長は藤井輝夫理事・副学長(財務、社会連携・産学官協創担当)に決まりました。

2020年10月2日、東京大学は五神真総長の任期満了に伴う次期総長予定者選考のための総長選考会議を開催し、次期総長予定者として藤井輝夫理事・副学長を選出しました。(次期総長予定者の藤井輝夫理事・副学長が会見 東京大学 本部広報課 2020年10月2日)

  1. 【速報・東大総長選考】次期総長が藤井理事・副学長に事実上決定(2020年10月2日 東大新聞オンライン)

現在の東大の役員・監事

現在の理事・副学長が昇進するのですね。下は、役職、任期、氏名、略歴の一部です。

  1. 役員・監事略歴 令和2年9月1日現在 東京大学

 

東京大学総長選挙の怪文書について

予備選挙の結果と、次のステップである第二次候補者選びの結果とがあまりにも食い違っていて、波紋を呼んでいるようです。二次候補者は、予備選挙の結果だけでなく「調査」結果も加味されるという内規の変更が効いたということのようです。予備選挙トップだった候補者が2次候補から消えたのは、「調査」の結果ということでしょうか。

PRESIDENT Onlineの10月2日の記事によれば、宮園浩平氏に関する怪文書が流れたのだそうです。中身はというと、過去の共著論文が研究不正論文と認定されていたというもの。このことは、研究不正ウォッチをしてきた人間にしてみれば、ニュースでもなんでもありません。当サイトでも、取り上げたことがあります。

関連記事:加藤茂明研究室から出された51報の「不適切」な論文リスト

該当する論文は、取り下げられています。

J Biol Chem. 1999 May 7;274(19):12971-4. Positive and negative modulation of vitamin D receptor function by transforming growth factor-beta signaling through smad proteins. Yanagi Y, Suzawa M, Kawabata M, Miyazono K, Yanagisawa J, Kato S.

これだけなら怪文書と呼ぶほどのものではありません。東大は、東大自らフタをした臭いものを取り出すわけにもいかないので、対応済み過去を蒸し返しただけのような気がします。そんなことよりも、こちらのほうが問題なのでは?

東京大学が医学部研究不正疑惑論文に関する調査報告書を国民に開示しないのは違法

これを引きずったのだとしたら、今回の東大総長選挙のごたごたは、むしろ東大の良心のなせるわざなのかもしれないとも思えてきます。臭いものにフタをした責任者である(当時の)医学研究科長が次期総長になったら、東大医学部の「膿み」を(もしそうなら)出してほしいというOrdinary_Researchersの願いは永久に叶わないでしょう。

部外者には何もわかりませんが、東大医学部の不正疑惑潰し(棒グラフのエラーバーを手でいじって小さく見せているのにそれを研究における通常の作業と正式な報告書の中で言ってのけたり、医学系の調査内容内容は報告書を黒塗りしてほとんど何も公開しないなど)は誰の目から見ても異常なことであって、東大の中でそれが問題にならないということは考えにくいと思います。22報の調査報告書内のあの支離滅裂な文章を誰が実際に作成したのかはわかりませんが、医学部長・医学研究科長には責任があるでしょう。

宮園浩平氏の略歴

2011年(平成23年)4月 東京大学大学院医学系研究科長・医学部長 (~平成31年3月)

参考:東京大学大学院医学系研究科病因・病理学専攻分子病理学分野宮園子研究室

東大医学部研究不正疑惑関連記事紹介:

  1. 東大医学部論文の告発内容を 画像編集フリーソフトで確認する方法
  2. 医学系論文に関する報告がまだ済んでいない東大
  3. 国民の知る権利を蹂躙する東大
  4. 東京大学は医学部の不正調査をやり直すべき
  5. 東京大学医学部不正疑惑論文調査の懐疑点

 

報道

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online)  YAHOO!JAPAN NEWS  
  2. 東大総長選挙の選考過程に疑義 結果は10月2日 (中庸時評 2020/10/01 22:31 note.com)
  3. 【速報・東大総長選考】選考過程「透明ではない」が77.2% 本紙独自アンケート分析① (2020年9月30日 東大新聞オンライン)
  4. 東大総長選 “候補者の選考過程に疑義” と4学部長らが要望書 2020年9月25日 17時09分 NHK NEWS WEB
  5. 東大総長選で教員から「透明性」に疑義 有力候補者が選考から漏れる (石田かおる2020.9.25 17:52 AERA)

 

9月7日発表 第二次総長候補者

予備選でダントツトップだった宮園浩平氏が、なぜか第二次総長候補者のリストから消えています。

参考

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online チーム)  YAHOO!JAPAN NEWS  

 

7月7日 予備選の結果

1位 宮園浩平 67票 :理事・副学長、元医学系研究科長

2位 藤井輝夫 54票 :理事・副学長、元生産技術研究所長

3位 (梶田隆章 24票) :宇宙線研究所長(ノーベル物理学賞を受賞)

4位 白波瀬佐和子 23票 :理事・副学長、人文社会系研究科教授

5位 大久保達也 20票  :理事・副学長、元工学系研究科長 

6位 福田裕徳 18票 :理事・副学長、元理学系研究科長

7位 石井洋二郎 16票  :中部大学教授、元理事・副学長、元総合文化研究科長

8位 染谷隆夫 14票:工学系研究科長

9位 相原博昭 14票 :大学執行役・副学長、元理事・副学長、元理学系研究科長 

10位 太田邦史  13票 :総合文化研究科長

11位 (佐藤岩夫 13票):社会科学研究所長

参考

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online チーム)  YAHOO!JAPAN NEWS  

 

4月28日 総長選考会議の内規が改定

変更点

参考

  1.  「いったい誰が土下座するのか」東大総長選をめぐるドロドロの権力争い 「怪文書」すら飛び交う異例の事態 (2020/10/02 6:00 PRESIDENT Online チーム)  YAHOO!JAPAN NEWS  

参考

  1. 2020東京大学総長選考を考える
  2. 総長選考会議 次期総長予定者の選出について 東京大学

 

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