産学連携は大いに推奨されており、大学評価項目としても重要なもののひとつですが、ノーベル賞受賞の栄誉につながった産学連携が、手放しで喜べないどころか見ていて苦しくなるほどの緊張を強いられる事態です。本庶氏と小野薬品、双方の主張が対立したまま緊張が解けずに何年間も過ぎています。
ここに来てついに、本庶氏が小野薬品に対して裁判を起こすという事態になりました。アカデミアの研究者の考え方と、民間企業の経営者の考え方は大きく異なっているのだと思います。どこでどう折り合いがつけられることになるのか、見守るほかありません。
- 平成18年に特許に関する契約を小野薬と締結。その後契約内容をめぐり、当時の弁護士から「極めて詐欺的」と聞かされ、問題意識を持つようになった
- 小野薬は当初、同氏への対価は「得られた全体の10%」と提案したが、後に「0・25%」と何の説明もなく通知
- 勝訴すれば、得られた分配金を後に続く研究者のために充てたい
(「企業がアカデミアの無知を悪用」本庶氏、小野薬品への不満あらわ 2020.6.5 19:49 産経新聞)
ノーベル賞・本庶特別教授 小野薬品提訴へ がん治療薬の特許使用料の配分巡り 2020/06/05 読売テレビニュース
- ノーベル賞本庶氏と小野薬品の対立 京大に特許のノウハウなく判断できず「不信」に (2020/6/6 08:00 47ニュース 京都新聞社)本庶氏と同社は、オプジーボの特許に関わる契約を06年に締結した。「小野薬品とは複数のプロジェクトを一緒にしてきており、信頼できると思っていた」という本庶氏は、弁護士を入れずに契約した。当時の京大には十分なノウハウはなかった。「(本庶氏には)契約が公正か、実質的に判断はできなかった」(代理人弁護士)という。本庶氏によると、契約を結んでから数年後、同契約に基づく特許への対価が不当に低いという指摘を周辺から受けた。
- ノーベル賞本庶氏が小野薬品を提訴へ 226億円支払い求め「10年の辛抱、決着」 (2020/6/5(金) 16:28配信 京都新聞 YAHOO!JAPAN) 小野薬品から協力を求められ、訴訟で得られる金額の40%を支払うという説明を受けた。訴訟はメルクが特許使用料などを支払うとの内容で17年1月に和解。しかし同年8月、小野薬品は本庶氏に、メルクから得た金額の1%相当のみを配分すると支払い通知 ヤフーコメント1642件
目次
これまでの経緯
毎日三面ほぼ全面で解説記事。朝日と読売は社会面準トップ。
クローズアップ:オプジーボ特許 本庶氏、小野薬品月内提訴 知的活動、価値に溝 – 毎日新聞 https://t.co/zaXrSnoaOW
・「正当な対価」226億円請求
・開発、費用とリスク高く
・大学の知財戦略道半ば 日本、米国に遅れ pic.twitter.com/0IYlmJdE31— ナナシ=ロボ (@robo7c7c) June 5, 2020
小野薬品のこれまでの対応
PD-1特許に関するライセンス契約につきましては、本庶教授と当社が合意の下、2006年に締結しております。そして、2014年より契約に基づく対価をお支払いしており、今後も契約に基づく対価を四半期ごとにお支払いして参ります。
また、2011年に本庶教授から当社に要請のあった契約の見直しに対しては誠意をもって話し合いを続けて参りましたが合意に至らず、2018年11月に本庶教授に対し、対価の上乗せという枠組みではなく将来の基礎研究の促進や若手研究者の育成に資するという趣旨から京都大学への寄付を検討している旨、申し入れています。(PD-1特許に関する報道を受けての当社コメント 2019年5月22日 小野薬品工業株式会社 (PDF) より一部を転載)
本庶氏は2003年、がん細胞を攻撃する免疫細胞に存在する分子「PD―1」を応用した新薬開発を目指し、特許を小野薬品と共同出願。14年発売のオプジーボは皮膚や肺、胃などのがん治療で用いられ、売り上げは昨年末までに世界で1兆円を超えた。 一方、本庶氏が持つ特許に対し、小野薬品が示した対価は約26億円。さらに100億円規模とされる上乗せも提案したが、本庶氏側は「本来は800億円以上」と拒み、一切受け取っていない。小野薬品の相良暁社長は「当時、がん免疫治療薬は『眉唾もの』とされ、他企業は全て断った。開発リスクが高い案件では普通の契約内容」と主張。([解説スペシャル]知財人材 大学に不足…オプジーボ「対価」で産学対立 2019/05/18 05:00 読売新聞オンライン)
- 本庶氏、小野薬品を改めて批判 オプジーボ対価巡り(2019/4/10 19:47 日本経済新聞)オプジーボが開発される以前は、がんの免疫療法は「海の物とも山の物ともわからないという扱い」(医療関係者)だった。その中で、当時売上高1000億円規模の中堅メーカーだった小野薬品がオプジーボに投じた開発費は数百億円に上る。同社はもともとがん治療薬には携わったことがなく、開発は大きな賭けだったといえる。
小野薬品といえば自分の記憶をたどると、大阪の小さな製薬会社という印象しかありませんでした。月日が流れて、このような抗体薬で世界レベルの大ヒットを飛ばす日が来るとは想像もつきませんでした。
2018年ノーベル医学生理学賞受賞直後のインタビュー
以前の記事「本庶佑 京都大学名誉教授・特別教授のノーベル賞受賞記者会見【動画&書き起こし】」から、小野薬品や産学連携に関して本庶氏が語った部分を再掲します。
小野薬品との関係
Q(29:44 産経新聞) 製薬会社とのかかわりについて伺いたいと思います。小野薬品さんとの提携について。
A(30:04) 提携というのはね、これは会社同士の話で、僕は学者ですからね、僕は事業をやってるわけではないので、小野薬品との関係は、特許に関して、ライセンスを小野薬品に与えるという関係です。
大学と製薬企業との望ましい関係
Q(30:33) 企業が利益を大学に還元される仕組みが必要だとおっしゃっていましたがそれに関してはいかがでしょうか?
A(30:41) それはそうだと思います。わたしは小野薬品も含めてね、アカデミア…、この研究は、研究自身に関して小野薬品は全く貢献していません。それはもうはっきりしてます。でその特許に関してライセンスを受けてるわけですからそれに関して十分なリターンを大学に入れてもらいたいと思っています。そのことによってまた次のね、わたしはもうそれを使って新たな研究をするというよりは、わたしの希望としては次のジェネレーションが京都大学でそのリターンをもとにした基金でエンカレッジされてそれでもういっぺん育っていくと、そん中からまた新しいシーズが生まれると。でそれが、日本の製薬企業にそういう形で再び還っていくと。そういう良いWIN-WINの関係をつくるということが望ましいということで小野薬品にも長くお願いしているわけです。
メルク社の抗 PD-1 抗体製品「キイトル ーダ」に関する特 許権侵害行為差止請求訴訟
今回の報道によれば、小野薬品がMERCKを相手取り訴訟を起こした際に本庶氏が協力した対価を受け取ることになっていたわけですが、その報酬のパーセンテージに関して、双方の主張が大きく食い違っているようです。
- ノーベル賞本庶氏が小野薬品を提訴へ 226億円支払い求め「10年の辛抱、決着」 (2020/6/5(金) 16:28配信 京都新聞 YAHOO!JAPAN) 小野薬品から協力を求められ、訴訟で得られる金額の40%を支払うという説明を受けた。訴訟はメルクが特許使用料などを支払うとの内容で17年1月に和解。しかし同年8月、小野薬品は本庶氏に、メルクから得た金額の1%相当のみを配分すると支払い通知 ヤフーコメント1642件
2017年 1月21日 小野薬品工業
抗PD-1抗体特許侵害訴訟についてMerck社と和解し、ライセンス契約を締結
小野薬品工業およびブリストル・マイヤーズ スクイブ(BMS)は、当社と本庶佑氏( 京都大学大学院医学研究科 客員教授)との共有に係る抗PD-1抗体の用途特許および当社とBMS社との共有に係る抗PD-1抗体の物質特許を保有しており、Merck社(米国)およびその関連会社による抗PD-1抗体製品である「キイトルーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ、MK-3475)の販売等の特許侵害に対し、日本、米国、欧州等において特許侵害訴訟を提起するなど係争しておりましたが、このたび当社およびBMS社はメルク社と和解し、ライセンス契約を締結いたしましたのでお知らせいたします。 本契約により、当社およびBMS社が保有する用途特許および物質特許が有効であることを確認した上で、メルク社の「Keytruda キイトルーダ®」の販売を許諾すること、また、メルク社は当社およびBMS社に対して6億2500万ドルの頭金を支払い、 2017年1月1日から2023年12月31日まではキイトルーダの全世界売上の6.5%、 2024年1月1日から2026年12月31日までは2.5%をロイヤルティとして支払うことで合意に至りました。 なお、頭金およびロイヤルティは当社に25%、BMS社に75%の割合で分配されます。(転載元:http://www.knak.jp/ta-sangyou/pharma/ono.htm)
抗がん剤「オプジーボ」に関する特許権侵害差止請求訴訟
小野薬品工業株式会社(以下「小野薬品工業」)及びブリストル・マイヤーズ スクイブ 社(以下「BMS 社」)は、抗 PD-1 抗体の用途特許及び抗 PD-1 抗体の物質特許に基づき、 Merck 社及びその関連会社(以下「メルク社」)による抗 PD-1 抗体製品である「キイトル ーダ®」(一般名:ペムブロリズマブ、MK-3475)の販売等の特許侵害に対し、2016 年に特 許権侵害行為差止請求訴訟を提起した。 小野薬品工業及び BMS 社は、訴訟提起時から、当該治療が患者の生命救済に関わるとい う特徴を考慮して、ロイヤルティ等を含む適切な対価を支払う旨の訴訟当事者の合意がな されれば、又は裁判所による命令が下されれば、訴訟において「キイトルーダ®」の販売差止を求めない旨を表明していた。 2017 年1月 21 日、小野薬品工業及び BMS 社は、メルク社と和解し、ライセンス契約が締結されたことを発表した。当該契約により、小野薬品工業及び BMS 社が保有する用途特許及び物質特許が有効であることを確認した上で、Merck 社の「キイトルーダ®」の販売を許諾すること、また、メルク社は小野薬品工業及び BMS 社に対して6億 2500 万ドル の頭金を支払い、2017 年1月1日から 2023 年 12 月 31 日までは「キイトルーダ®」の全世界売上の 6.5%、2024 年1月1日から 2026 年 12 月 31 日までは 2.5%をロイヤルティとして 支払うことで合意に至った。なお、頭金及びロイヤルティは小野薬品工業に 25%、BMS 社 に 75%の割合で分配される。本和解により、メルク社の「キイトルーダ®」販売に関する 各国の訴訟は終結した。(バイオ医薬品の知的財産制度等に係る諸外国における実態調査 平成 29 年度 厚生労働省医政局経済課 委託事業 平成 30 年3月 一般財団法人 知的財産研究教育財団 知的財産研究所 PDF 厚生労働省)
- 抗PD-1抗体を巡る特許訴訟~小野/BMS(オプジーボ; Opdivo) vs Merck(キートルーダ; Keytruda) (2020.04.20 2016.09.24 医薬系特許的判例ブログ)
- Merck settles PD-1 patent lawsuit with BMS and Ono (Article by Phil Taylor23rd January 2017 pmlive.com) The US drugmaker has agreed to pay Bristol-Myers Squibb and Ono Pharmaceutical $625m to settle the patent infringement litigation – focusing on intellectual property in the area of PD-1 inhibitors – and will also pay a 6.5% royalty on sales of Keytruda (pembrolizumab) through to December 2023. A lower 2.5% royalty rate applies from January 2024 to December 2026.
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Bristol-Myers Squibb suing Merck & Co. for alleged infringement of immunotherapy patent in US (September 5th, 2014 By: Joe Barber firstwordpharma.com)Bristol-Myers Squibb filed a lawsuit in US district court seeking unspecified damages from Merck & Co. for allegedly infringing a new immunotherapy patent. According to the litigation, filed in federal court for the District of Delaware, Bristol-Myers Squibb claims “Merck is threatening to exploit that invention” with a later-developed method of treatment, in violation of a patent issued on May 20. The move comes as Merck won FDA approval for the melanoma drug Keytruda (pembrolizumab), the first anti-PD-1 immunotherapy to be cleared in the US.
- Case 1:14-cv-01131-UNA Document 1 Filed 09/04/14
2人目、3人目のオプジーボの発明者
本庶氏と小野薬品との間の争いに直接かかわらないかもしれませんが、抗PD-1抗体薬オプジーボの発明者は本庶氏だけではないという米国裁判所の判断がありました。
オプジーボの作用機序
オプジーボ(一般名:ニボルマブ(遺伝子組換え))は、ヒトPD-1に対するヒト型IgG4モノクローナル抗体です。オプジーボは、PD-1とPD-1リガンド(PD-L1およびPD-L2)との結合を阻害することで、がん細胞により不応答となっていた抗原特異的T細胞を回復・活性化させ、抗腫瘍効果を示します。(オプジーボ 小野薬品・ブリストル・マイヤーズ スクイブ)
幾度にも亘る研究論文の交換,複数にわたる現地での会合等の事実から本庶佑博士からの働き掛けが単なる学界での研究論文の交換のつもりであったとしても先方は共同研究の申し出,それに対する先方の承諾と言った形で理解されている可能性が大であると言わざるを得ない。(共同発明に係る特許紛争 -最近のオプジーボ特許の発明者を巡って- 元平安女学院大学教授 元大阪大学大学院講師 西口 博之 パテント 2019 Vol. 72 No. 11)
- 「オプジーボ」特許、米地裁が「新発明者」 (2019/5/30 20:32 日本経済新聞)米連邦地方裁判所が米国の2人の研究者を、本庶佑・京都大学特別教授と小野薬品工業が持つがん免疫治療法に関する特許の共同発明者と認める判断を示した。
- 本庶さんの主張認めず 米地裁「オプジーボ発明は3人」 (香取啓介=ワシントン、嘉幡久敬 2019年5月23日 11時32分 朝日新聞DIGITAL)判決は17日付。発明者と認められたのは、ダナファーバーがん研究所のゴードン・フリーマン氏ら。免疫治療薬オプジーボの開発につながる本庶さんの6件の特許に2015年に同研究所が2人を発明者として加えるよう訴えていた。本庶さん側は、2人の貢献は発明者に加えるほど際立ったものではないと主張していた。判決は、3人が創薬につながる、免疫のブレーキ役をする「PD―1」「PD―L1」という分子の働きについて、1999年から2000年にかけて頻繁に会議して共同で論文を発表したり、実験データの共有をしたりしていたと指摘。「本庶氏の特許の発明の概念は、3人の科学者の協力の結果である」と結論づけた。
- 米地裁、オプジーボの発明者に米学者2名を追加 (knak (2019年5月25日 12:05 化学業界の話題)
参考
本庶氏の考え方と小野薬品との考え方がなぜこれほどにまで食い違ってしまったのか、論点がどこにあるのかを理解する助けになりそうなウェブ記事を纏めておきます。
- オプジーボ特許料問題 交渉戦術の選択に残る2つの疑問 事例・判例 (投稿日: 2019/04/12 編集長 橋詰 卓司)本庶特別教授が契約を締結したとされる2006年(平成18年)時点、京都大学にライセンス契約をサポートする体制はなかったのか という点です。… 京都大学は、2003年(平成15年)度時点で大学知的財産本部整備事業の対象となっていたことが資料からも確認でき、何らかのバックアップを行う準備はあったものと考えられます。
- オプジーボと産学連携の法律問題(2019年4月13日 投稿者: NOGUCHI デライブ知的財産事務所)オプジーボには『2種類の特許』があるとのことです。一つは『物質特許』、もう一つは『治療法特許(用途)』らしいです。… 産学連携では、特許権の共有が珍しいことではありません。企業と大学が共同研究をした場合、その成果としての発明を共同で出願すれば、特許権の共有が発生することになります。そして、大学は特許発明の実施能力がないことが一般ですので、不実施補償の契約交渉が行われることになります。… 産学連携における特許法73条2項の問題は、今に始まった問題ではなく、以前から多くの問題点が指摘されていたことなのです
- 知財戦略推進に係る研究現場からの意見 (独立行政法人理化学研究所 主任研究員 川合真紀 資料7 PDF)いわゆる不実施補償の見直しの動き 公的研究機関は、自ら実施することはできないので、これまでは共同研究の相手方企業が実施(製品化)する際には研究機関に実施料(いわゆる不実施補償)を支払うことが契約上の慣例 公的研究機関:公的機関の創出した財産を特定の者に益を供することへの対価を求めることは必要 企業側:不実施補償は製品のコストに反映→競争力低下→不実施補償への抵抗感
- 本庶佑教授とオプジーボ特許とライセンス料(2019-04-12 主に知財。たまに問題解決)特許使用料というと、通常は特許ライセンス契約を想定すると思いますが、本庶佑教授と小野薬品の関係は「共同出願人」です。… 正確を期すならば「不実施補償契約」という言葉を使ったほうが適切だったのではと思います。すなわち、「本来特許権の実施は自由な特許権者のうち、一方が不実施の場合、不実施側が利益を保障してもらうために結ぶ契約」です。
- 改めて問い直される「特許の価値」と「契約」の意味。(2019-04-12 企業法務戦士の雑感 ~Season2~)2006年の契約締結の過程に何らかの瑕疵があるようなら(例えば、本庶教授が主張される「契約時の説明内容が不正確」の実態が、「小野薬品側で、出願中の特許が製品を極めて広くカバーする用途特許であることを認識していながら、あえて虚偽の説明をして低い料率で契約を締結させた」というようなレベルのものなのであれば)、契約の成立そのものを争う、という選択肢もありうるが、
- 切り返しの「正論」と、大学発特許をめぐる根源的な問題と。(2019-05-23 企業法務戦士の雑感 ~Season2~)自分の過去の経験の中では、特許権を共有する会社側から「不実施補償を支払う代わりに、大学の方で自由にライセンス先を見つけて実施料を取れるようにしていただいて構いませんよ」と提案しても、「こちらにはそんなノウハウはないので、あくまで『貴社が』補償金を払ってほしい」と返されることが多かったし、
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その他の参考サイト
- 共有特許権の実施について規定する 特許法 73条 2 項についての新たな視点 〜インフラ産業における共有特許に係る問題提起を踏まえて〜 (会員・KIT 虎ノ門大学院(金沢工業大学大学院) イノベーションマネジメント研究科教授・Ph.D. 杉光 一成 パテント 2018 Vol.71 No.5)
- 共同出願特許の権利範囲の落とし穴
- Case 1:19-cv-11380-PBS Document 1 Filed 06/21/19 DANA-FARBER CANCER INSTITUTE, INC., Plaintiff, BRISTOL-MYERS SQUIBB, CO., E.R. SQUIBB & SONS, L.L.C., AND ONO PHARMACEUTICAL CO., LTD., Defendants.