日本の科学と技術

あがり症の本質と克服方法

あがり症の辛さ

社会人になると人前でプレゼンテーションする機会が多くなります。研究者であれば学会やセミナーで自分の研究成果をアピールしなければなりませんし、企業でも自分の企画を通したり、報告を求められる機会があるでしょう。そんなときに、堂々と発表できる神経の図太い人がいる一方で、人前に出ただけで心臓がバクバクして足が震えて声も震えてしまう人もいます。あがってしまった状態で良い発表ができるはずもなく、仕事の能力を認めてもらううえでは圧倒的に不利でしょう。

あがり症の意味

病的なあがり症に関しては、病院で薬を処方されたり市販薬で対処するという方法もあり得るのかもしれませんが、ほとんどの場合は心理的なものなのではないかと自分は思います。つまり、トレーニングによってあがり症対策ができる人のほうが多いでしょう。

自分もかなりのあがり症なので、あがることの意味について長年考えてきて、あがることの本質は何なのだろうという疑問に答えたいと思ってきました。最近思うことは、本番のステージに出ていったときに付け焼刃的な方法であがり症を抑えこむのは無理なのではないかということです。大事なことは、普段の自分の考え方や他人とのかかわり方を変えることによって、本番でも聴衆との関わり方がうまくできるようになって、結果的にあがらずに済むのではないかと思います。

あがり症への対策

一言でいうと自分に集中するのでなく、相手に集中するように意識の持ち方を変えることです。自分は他人からどう見られているのだろうと考えている状態は、意識が自分に向いています。相手はどういう状態なのだろうと相手を気遣ったり思いやったりする気持ちをもって、常に相手に意識を向ける習慣を付けるのがいいと思います。そうすると、プレゼンの本番でも、自分は聴衆からどう見られているのだろうと思わずに、聴衆は自分のプレゼンをちゃんと理解してくれているのだろうか?話についてきてくれているだろうか?説明がわかりにくいところはなかったか?と考えることができるようになり、常に聴き手の心の状態に気を配れるようになります。

あがり症の本質とその克服法

人間は同時に2つのことができない生き物です。あがった状態は意識が自分に向いていないと生じませんので、意識を相手に向けているかぎり、あがることはないと思います。これは自分の人生経験に基づく結論なので科学的というつもりはありませんが。しかし、自分の考えと全く同じような解説記事があったので紹介しておきます。

商談の際、緊張していることで商談をうまく進められないというのは、多くの場合「緊張している自分に意識がとらわれている」という状態だ。… あなたは意識が自分に向かっていて、“顧客を放ったらかしにしている”のだ。(プレゼンや商談で緊張しても必ず成功する人は何が違うのか 2019.2.27 高橋洋明:AKTANA International LLC プリンシパルコンサルタント DIAMOND online

 

あがり症を克服するための日頃の訓練

あがりやすい人はおとなしい人、普段の笑顔が少ない人が多いのではというのが自分の印象です。常に笑顔でいるというのは、常に相手に気遣いをしている状態でもあります。ムスっとした顔で人に会うと相手を不快にさせる可能性があるわけですから。笑顔を心掛けることと、あがり症克服は非常に密接に関係しています。

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プレゼンテーションや学会発表で原稿を読まないということも大事です。原稿を読むという行為は、聴衆へ意識を向けることを放棄しているようなものですから、あがり症克服の真逆を行く行為です。

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あがり症の本質をあれこれ考えてきた自分の結論ですが、話のプロも全く同じことを言っていたので、そういうことなんだろうと思います。

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結局、普段から相手に気持ちを向けて生きる、コミュニケーションをとる機会を増やす、不必要だと思わずに一声かけて相手と交流するといったことを心掛けていれば、自分のコミュニケーションの態度を変化させることになり、その効果がプレゼンの場で現れるでしょう。

 

プレゼンの準備の重要性

プレゼンにおけるあがり症克服のためのもう一つの観点は、いかに用意周到にプレゼンの準備をするかということです。大きなプレゼンであれば、あがり症が気になるような人の場合は本番さながらの臨場感で少なくとも10回以上は練習したほうがいいと思います。自分の場合、さんざん学会発表でしゃべりまくっている内容を内部セミナーでしゃべるときは、それほど準備しないこともありますが、初めてしゃべる内容、初めてしゃべる「構成」の場合には時間内にきっちりしゃべり切れるように入念に準備します。自分は、しゃべる言葉を全部原稿に書いて発表練習の回を重ねながら言葉も推敲していきます。そして、本番では原稿は見ずに、パワーポイントの発表者ツールも使わずに、出たとこ勝負で話すようにしています。

プレゼンの内容がどれだけ頭の中できちんと整理されているか、それを順序立てて伝えていけるか、そういったことができるだけの確信が得られるまで、練習が必要です。その結果、自分はやれるという自信が生まれて、本番をこなすことができるわけです。

 

プレゼンのリハーサルの重要性

人間の生理というものは、何回も繰り返すと反応が減少するという性質があります。あがり症に関しても同様で、短い期間に何回も何回も極度にあがるということは人間の生理的な性質上、起こらないようです。体が、あがるということに飽きてくるのでしょう。ですから、人前で話すリハーサルの機会をできるだけ作って、何回もあがっておくというのも効果的だと思います。体が、あがることに飽きてしまうように仕向けるわけです。

 

あがり症克服のための書籍・教材

あがり症克服に関しては、アマゾンでみると書籍が多数販売されていますし、動画教材の類もいろいろあるようです。

  1. 人前で「あがらない人」と「あがる人」の習慣
  2. 「あがり症」を技術と習慣で克服する!
  3. 人前で話す極意 
  4. 脱! あがり症
  5. 今日からあがらずに話せるコツ 
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