日本の科学と技術

研究の教科書

論文を書く力、プレゼンのスキル、英語力、科研費獲得能力、研究能力を身に付けるうえで役立つ本の紹介(アマゾンへのリンク)

科学研究で結果を出すマインドを養うための4冊

  1. 中村修二  考える力、やり抜く力 私の方法 (2001年)実験科学者には強烈な刺激。量子力学の理論よりも自分の実験結果を大事にして、徹底的に考え抜いてそれに基づいて理論を作って、みんなが不可能と信じ込んでいたことを実現してみせたわけだから、本当に恐れ入る。とても真似できないが、実験科学者として突き詰めるということがどういうことかが学べる。
  2. 利根川進 精神と物質 研究の進め方、キャリアパス追求の参考になる。研究者として生きるためのバイブル。
  3. 下村脩 クラゲに学ぶ 一点集中の力の凄さ。学会すら時間の無駄という徹底ぶりに、感銘を受けた。自分の実験データを出すことが最優先。
  4. 旅人―湯川秀樹自伝 科学者の自伝を読むのは本当によい刺激になります。自分と研究分野が全く違っていても、面白い。むしろ分野違いのほうが、科学者の人生の普遍的な部分が見えやすくなる。

研究がどう進展するかを知る本

  1. 栄養学を拓いた巨人たち(ブルーバックス)読み応えがありました。研究者がいかに思い込みによって自分の研究を妨げてしまっているのかもわかります。

論文を書くために必要な実践的な英語力を養うための1冊

  1. Science Research Writing For Native and Non-native Speakers of English (Hilary Glasman-Deal 2020年) 論文の書き方の教科書は多数出版されているが、語句の選択など英語に関する部分の説明がとても有用だと思った本。英文論文執筆能力をこれで底上げすると論文書くのが楽になるはず。第2版登場!

論文執筆に必要な英語力を底上げするための3冊

  1. 科学論文の英語用法百科 第2編: 冠詞用法 (グレン・パケット 2016年) 待望の続編。日本人は一般的に冠詞が苦手なので、こういう本は非常にありがたい。冠詞の使い分けへの理解が深まる本。結構読むのが大変です。
  2. 科学論文の英語用法百科〈第1編〉よく誤用される単語と表現 (グレン・パケット 2004年)
  3. Sense of Structure (George Gopen 2004年) 文法的には正しい英文がすでに書ける人向け。語順を変えることで強調されることがどう変わるかなど、情報を効果的に伝えるための文章術を極めるための本。

 

大学院生向けに書かれた、研究者の基本を学べる3冊

  1. 遺伝研メソッドで学ぶ科学英語プレゼンテーション (Todd Gormanほか)プレゼンのみならず、研究力アップのためのノウハウが詰まっている。
  2. From Science to Citation (Stephen Lisberger 2011年) 生命科学系院生向け。図の作り方、大学院生としての時間の過ごし方などのアドバイスまである。読むと、親身になってくれるスーパーバイザーを得た気分。
  3. 科学者の研究倫理(田中 智之, 小出 隆規, 安井 裕之)研究生活で生じる現実的な問題が書いてあって、日々の判断の役に立つ。

 

英語の発音、イントネーションを鍛える1冊

  1. American Accent Training (Ann Cook) 目からウロコだった。英語が聞き取れない理由の一端はわかった。

 

論文執筆を習慣化するための3冊

  1. なぜあなたは論文が書けないのか? (佐藤雅昭 2016年) 耳が痛い。
  2. なぜあなたの研究は進まないのか? (佐藤雅昭 2016年) これも、耳が痛い。
  3. できる研究者の論文生産術  (ポール.J・シルヴィア 2015年) 書く時間は固定して確保。毎日書くことを習慣にするということ。

 

何をやるか・何をやらないかを考えるための1冊

  1. イシューからはじめよ (安宅和人 2010年)【書評

 

以上、ただ読むのでなく、論文を書きながら読むことがお勧め。論文を書かずに本だけ読むくらいなら、これらの本は読まずに論文を書いた方が研究者への近道です。しかし、どうしても煮詰まってしまったときには、上記の本を読んだあとのほうがインスピレーションが湧き、筆の勢いが出て論文執筆が進むこともあります。

あと、人付き合いが下手な人は、コミュニケーション能力を上げるための本も読んでおいたほうがベター。研究者として生き残るには、「上の人間」、「偉い先生」に気に入られることが絶対に必要。これは研究者に限らず、どの業界でも同じ。間違ってもボスと喧嘩をしてはいけない(ボスが100%悪くても、静かに離れること)。

関連記事 ⇒ 研究者になるための100冊 コミュニケーションの教科書

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