高校生のあなたにとって、どの大学を選ぶかはその後の人生を大きく左右する大きな決断となります。志望大学をどのようにして決めますか?
自分で自分の志望大学を決めるのはそう簡単ではありません。自分は一体何者になりたいのか、どんな職業についてどんな人生を歩みたいのか、そのためには大学ではどんなことを学びたいのか、そのためにはどの大学のどの学部・学科を目指せばよいのか、と考える必要があります。
自分の意志だけでなく、親の意見、先生の意見、他人からの見られ方なども影響してきます。
高校生の時点ではまだ何になりたいのかが見えていない人も多いとは思いますが、大学選びの助けになりそうなポイントをいくつか挙げてみたいと思います。
1 今の学力で志望大学を決めるか、受験当日の学力で決めるか
多くの中高校生は今の自分の偏差値だとこの辺りの大学かなと、早い段階で決めつけています。受験までまだ間があるのなら、まっとうな勉強方法で努力を続ければ学力は伸びるものです。今の成績で志望大学を決めるのではなく、志望大学を先に決めて、その大学に合格できるだけの学力をつける努力をしたほうが、モチベーションが上がりますし自分の可能性が広がります。
みんな定期テストなどの結果によってある程度成績の序列というのが決まっていて、その序列に応じたように志望校を決めていく。「オレは、大体あのへんかなー」というイメージをみんな持っていて、そのイメージ通りのところに行く。これって、どうなのでしょうか?(「行ける大学」ではなく、「行きたい大学」へ 池田潤 OFFICIAL BLOG)
- 難関大学に合格する人の多くは、いわゆる秀才タイプではなく努力家タイプ
- 今、成績が良くないのは、あなたの能力がないからではなく、やり方が悪いから
- 自ら考えて戦略を立て、勉強法を工夫し、主体性を持って勉強を進めていかねばならない(和田秀樹先生に聞く! 難関大に合格する受験生の条件 大学受験パスナビ 2016/4/7)
2 大学入試はあなたを落とすためでなく、受け入れるためにある
高校生のあなたは意外に思うかもしれませんが、大学の入試問題はあなたを振り落とすためにあるわけではありません。あなたがこんな人ならば是非来てほしい、あなたにはこんな勉強をしたうえで来てほしいという気持ちがこめられたメッセージが入試問題なのです。ですから、過去の入試問題を研究することによって、大学が求めるものが見えてきます。偏差値的には横並びとされる大学であっても、過去の入試問題を見てみると出題傾向、出題形式は決して同じではなく、大学によって欲しい学生像に違いがあります。大学は、偏差値の高い生徒に来てほしいと思っているわけではありません。
東京大学の入試問題は,どの問題であれ,高等学校できちんと学び,身につけた力をもってすれば,決してハードルの高いものではありません。(東京大学アドミッション・ポリシー)
東大受験生 「2倍角・3倍角・半角・和積・積和公式はいざとなれば加法定理から全部導ける。とにかく根幹となる加法定理だけは確実に暗記しておこう。受験勉強はこうやって効率よくやることが大事だ。」
東大教授 「では、加法定理を証明せよ。」
東大受験生 「ぎゃああああああああああああああああああ」
(受験の月)
(1)一般角θに対して sine θ, cos θの定義を述べよ.
(2) (1)で述べた定期にもとづき,一般角 α, βに対して
sin (α+β) = sin α cos β + cos α sin β ,
cos(α+β) = cos α cos β – sin α sin β
を証明せよ. [1999 東大 前期]
東大の世界史過去問題集に目を通した。そこには目を見張るような良問が並んでいた。東大生ならば、ぜひとも歴史から学ぶことで、混迷した現代社会の課題を読み解き、解決していけるような洞察力と論理性を身に着けて欲しいという、まさに受験生へのラブレターのような問題であった。(「東ロボくん」研究の教授コメント 「人間、頑張れ!」 朝日新聞 DIGITAL 2015年11月14日 ブログ記事)
大学生になるためにどうしても通らなければならない関門が「入学試験」です。高校3年間の学習の成果が問われる一大イベントですが、私たち入試問題を作る立場の人間も、ただ難しい問題を受験生に課しているわけではありません。その中には、こんな知識を持った学生さんに入学して欲しい、入学後も応用化学科のカリキュラムに対応できる学力を持って欲しい、そんな様々なメッセージが込められています。今コーナーでは過去に出題した入試問題の解説とともに、私たちが入試問題に込めたメッセージを紹介します。(入試問題に込められた思い 宇都宮大学 応用化学科)
このような人材育成の理念に基づき、高校時代に身につけた学力範囲の基礎的な知識を基盤にして、さまざまな局面において自ら状況を考え、判断する能力をもつ学生を選抜できるように問題を作成しました。以下に、今年度入試問題各科目の出題意図を開示します。問題に込められた私たちのメッセージを汲み取って頂くことを願っています。(一般入試個別学力試験作題班 東北大学)
「中央理工」は出題傾向が真面目な基本重視で安定しているので受験しやすいと定評があります。(受験の知識 中央大学 学部入試 理工学部)
3 アドミッションポリシーを読んで大学や学科が求めている学生像を知ること
文部科学省は各大学に対して、入学者受入れの方針(アドミッション・ポリシー)、教育課程編成・実施の方針(カリキュラム・ポリシー)、学位授与の方針(ディプロマ・ポリシー)という3つのポリシーを明示することを求めています。これを受けて、大学のウェブサイトには、大学が求める学生像やどのような教育が行われているのかが明示されています。アドミッションポリシー、カリキュラム・ポリシーディプロマポリシーをよく読んで大学や学科の特色を把握しましょう。
いろいろな大学のアドミッション・ポリシーを読むと、ありきたりの言葉に終始している大学(コピペ?)が多い中、熱意が伝わってくる大学もあります。
応用のための知識ではなく、どのような局面にも対応できる真の基礎を身につけてもらうために、時間と手間をかけた少人数制の教育を実践しています。 理系の学問分野についての能力や知識があることはもちろん望まれますが、それ以上に、自分の頭でしっかりと物を考えること、自分の目で自然や数理の世界を観察すること、そして、自分の手を動かして実験したり計算したりすることが好きな、熱意と好奇心にあふれる若者を求めています。積極的な学生は、入学早々から一流の研究者である教員と「仲間」のように接して学問の世界について語り合うことができます。これは多数の学生を抱えるマンモス大学では決して味わえない贅沢です。(アドミッション・ポリシー(入学者受入方針)(学部)学習院大学 理学部)
4 自分に合う校風かどうかを見極める
あなたが興味を抱いている大学のキャンパスを実際に訪ねてみれば、大学ごとにそれぞれ雰囲気がまったく違っていて、偏差値という数字で大学の姿が表されているわけではないことにすぐに気づくでしょう。大学にはその大学の校風というものがあります。それは、大学創立者の信念、その伝統を受け継いできた大学の教職員、これまでの卒業生、在学生、キャンパスの立地や設備、様々な要素によって築きあげられてきた有形無形のものです。大学のキャンパスを訪れてみたときに、その学校の校風を肌で感じて、合うと思うか思わないか、好きと思うか思わないかは、大学選びにおける一つの重要なポイントでしょう
急きょ授業内容を変更して、「立教大学を考える」というテーマで二回の講義をすることにしました。 ‥‥ いつ創設されたかから始めて、どうやってキリスト教育を続けてきたか、そのなかでどうやって旧制大学になったか、戦争中はどういうことをやっていたのか、戦後どんな苦しい目に合い、そこから立ち直ったのかまで話しました。‥‥ 感想は実に多種多様でした。「どうして立教が青山学院大や明治学院大と違うかということについて、今日は誰も全く知らないような話を聞きました。‥‥ 」「‥‥ 実はこれまで、この大学が嫌いで嫌いでたまりませんでした。しかし、卒業間際に先生の話を聞いてすごく好きになりました。」(大学改革 その先を読む 寺崎昌男 著 東信堂)
偏差値的には同じでも、奥深い教養がマナーとして態度にも出る傾向がある大学と受験勉強はできたかもしれないけど、品格的にどうなのかという出身大学があるようでああ、○○大卒なんだ、そんな感じだなあと思うことが多々あります。(発言小町)
類は友を呼ぶということわざ通り、大学には校風というものがありその校風に憧れて同じような志や慣性をもった人たちが集まります。
単位より 友達欲しい 四年生(大学川柳)
「その大学コミュニティやその大学の学生同士」で「どういう存在が”良い”と思っているか」という評価基準が案外大学によって大きく違っているので、それが4年プラスアルファの時間をその中で過ごすことによってかなり「違う人間」に形作って行くんですよね。私が所属していたゼミは毎年東大のゼミとディベート対決するイベントがあったんですが、まだ3年とかしかその場に参加してないのに、集合的に見ると「こんなにキャラが違うのか?」というぐらい両チームの雰囲気が違っていて、それは笑っちゃうぐらいのものでした。(あえて京大受けてみると人生変わるかも?という話 倉本圭造 経営コンサルタント、経済思想家 2017年01月17日 00時20分 JST HUFFPOST)
5 学部・学科選び
文学部の社会学専修に国際関係研究コースがある!というのが唯一の理由で、あとは学生さんと雰囲気に憧れて入学したのです。しかし、いざ国際関係論の授業は自分が思っているのと全く違ったものでした。文学部に入った意味がなくなった;と思いました。未来が崩れさったかんじです(このままこの大学に通っていていいのでしょうか。教えて!goo)
研究者までチェックする必要は無いが、どんな科目が開講されているかは必要。 法学部では大学によって開講科目が雲泥の差があり、偏差値が高くても十分な科目が設定されていない事が多いのが現実。学生定員が少ない為に偏差値が高い大学は授業科目が足りない事が多い。@nekonekocyan
なにもない 登録できず 授業なし (大学川柳)
先輩: 「理学部!?もの好きだね~。あそこって自己満の学部でしょ!」
僕:「入る学部を間違えた!人の役に立てる工学部を選べばよかった!!!」
(大学選びに失敗した4つの理由。進路の選び方とは? 進路相談室)
多くの大学は、受験時に学科を決める必要がありますがリベラルアーツを重要視する大学では最初は教養課程を学び入学後に学科を選ぶことができるところもありますし、受験時には細かい学科を選ぶ必要がない大学もあります。
多くの大学では学部学科ごとに入学者を募集しますが、東大では推薦入試等を除き文科一類から理科三類までの6つの科類が募集の単位となります。これらの科類の間ではカリキュラムも異なるのですが、最大の違いは3年生以降に進学できる学部が異なるということでしょう。各科類から進学できる学部学科は大まかに以下の通りです。文科一類……法学部 文科二類……経済学部 文科三類……文学部、教育学部、教養学部(主に文系の学科) 理科一類……工学部、理学部(主に物理・化学系の学科) 理科二類……農学部、工学部や理学部の主に生物・化学系の学科、薬学部 理科三類……医学部医学科 といっても、上であげた進学先はあくまで原則にすぎず、これに含まれない進学も可能となっています。(東大ガイド)
「これからどの分野の学問を究めていこうか」。この問いに答えることは、大学生にとっても容易ではありません。分野それぞれの基礎さえも本格的に習っていない、高校生にとってはなおさらでしょう。そこで本学では、教育する学問領域を7つの類に分け、類別に入試を実施しています。これにより学生は、1年目に理工系や文系の多様な教養科目を中心に幅広く学修したうえで、2年目に自分の選んだ類と対応する学院・系に進むことになります。つまり、1年間かけて知識や経験を培いながら、進路についてじっくりと考えることができるのです。(平成30年度東京工業大学入試ガイド)
ICUは教養学部1学部で、その中に30を超えるメジャー(専修分野)を設けています。学生は入学時に専攻を定める必要がなく、一般教育科目や、各メジャーの基礎科目などを履修し、自分の関心がどの分野にあるのかを見極めた後、3年次になる前の段階でメジャーを決定します。(ICU 国際基督教大学)
6 その大学で学んだことは将来まで使えるのか
すぐに使える知識は、すぐに使えなくなります。世間では、社会に出たときにすぐに使える知識や技能を大学で教えるべきだという声がどんどん大きくなってきていますが、テクノロジーは日進月歩なので、大学で技術を学んだとしても数年後に働き始めたとき会社で活かせるとは限りません。仕事で必要なことは仕事の中で覚えていくことのほうが圧倒的に多いのです。それよりも、新しいことを学べる能力、新しいことを学ぶための土台となる基本的な事柄を大学で学ぶのが良いのではないでしょうか?
7 学びたい先生がいるかどうかで決めるべきか
大学院選びだと間違いなく、大学を選ぶのでなく先生を選ぶことになりますが、大学選びの場合には、もっと総合的な判断が必要になるかもしれません。その大学が卒業研究に対してどれくらい重きをおいているか、全学ゼミが開講されているか、実験・実習がどれくらいあるかなどにより、教官と学生の距離感も変わってくると思います。
大切なのは、「この大学に入りたい」ということよりも、「この先生に学びたい」という思いですよ。大学は先生で選ぶのです。(神道文化学部 在学生インタビュー(20))
高校生に言いたいのは、「大学の先生の研究内容をよく調べて志望大学を決めよう」というのは意味がないということ。研究者は異動するし定年退職もある。 @yamagatm
大学の志望理由書についてです。大学の志望理由書に、○○教授の授業を受けたい というのはやめたほうがいいでしょうか?その教授が大学から移動したりする可能性を考えて避けたほうがいいでしょうか?(YAHOO!JAPAN知恵袋)
8 偏差値の細かい数字に囚われすぎないこと
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