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彦根市立病院で脳動脈瘤脳を下垂体腫瘍と誤診

  2017/11/28    医療事故

報道によると、滋賀県彦根市立病院脳神経外科で、脳動脈瘤を下垂体腫瘍と誤診して手術が行われ、手術中に大量に出血して患者が亡くなるという事故が起きていたことがわかりました。 コンピューター断層撮影(CT)などの画像から、外部を含めた脳神経外科の専門医4人が下垂体腫瘍と診断し、切除のための手術を行った。手術中に動脈瘤が破裂して出血、翌日に死亡したという。(誤診原因で手術女性死亡 滋賀・彦根市立病院 京都新聞 2017年11月27日) 医療事故調査・支援センターは、「放射線科医師による画像診断を受けていれば脳動脈瘤と分かり、事故が回避できた」としています。 オペ前にMRI.MRAの撮影はしなかったのかな? アンギオ、MRA CTAでわからんレベルなのか、そもそもしてなかったのか ウチの病院の脳外科も放射線科に読影させないで、自前で読影しちゃうんですよね…  他にMRIやMRAとか行われなかったんでしょうか 脳外科医ですがちょっとありえない誤診。下垂体腺腫に脳動脈瘤を合併することはよく知られているので術前MRIなどで血管チェックするのは常識。術前CTだけで手術しちゃったんだろうか? 自分も脳外科主の病院で働いていて下垂体腫瘍と脳動脈瘤の手術を見てきてるけど 脳動脈瘤と下垂体腫瘍なんてどうやったら間違えるのか…… CTAはおろかMRAすらやってないってことだよね。基本を押さえていないようじゃ救いようがない。 CT.MRIで造影剤使用で撮影しておれば誤診は無いだろう。こんな馬鹿げた誤診が何故起きる (YAHOO!JAPANニュース コメント欄より 一部を紹介)   参考 彦根市立病院 脳神経外科/診療科・部署のご案内 医師の紹介  

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ディオバン臨床研究不正事件まとめ

(不完全なまとめ 随時変更あり) ディオバン事件の概要 今回の問題は、ノ社の依頼で臨床研究をした大学の研究者が、降圧剤としての効能自体ではなく、高血圧以外の疾病、例えば、心疾患などに対しても効能があるとする論文を発表し、それが、医学専門誌等での広告宣伝に使われたことで、他社の同種薬より優れている、との認識を医療関係者に持たせた。ところが、その根拠となった臨床試験のデータが不正に作られていたことが判明し、論文が撤回された、というものです。(高血圧薬ディオバン問題、難航する真相解明 検察、公取委の出方は?Asahi Judiciary 2013/08/26)   ノバルティス社の関与 ノバルティスの薬ディオバンの効果を調べる5つの臨床研究で、ノバルティスの社員がデータの統計処理を一手に引き受けていました。 ノバルティスの三谷元社長は、臨床試験や論文執筆への会社としての関与を否定していた。 しかし、3月28日に毎日新聞が、京都府立医大が実施した臨床試験の統計解析に、ノバルティスの元社員(既に退職)が関与していたことをすっぱ抜く。 この元社員は、臨床試験データの統計処理のプロで、大阪市立大学などの非常勤講師の肩書も持っていた。ノバルティス社員の立場を表に出さず、京都府立医大のほか、東京慈恵会医科大、千葉大、滋賀医科大、名古屋大で、ディオバンの論文作業にかかわっていたという。 (製薬業界の資金提供に疑惑の目 医学論文捏造疑惑、「ディオバン事件」の罪深さ 経済界 2013年7月2日) ノバルティス社の報告書の中に、元社員が市大の非常勤講師の身分を使えば許されると思い込んでいたとか、会社も同様に解釈していたと書かれていました。大きな製薬企業の報告書として、そのような恥ずかしいことが堂々と書かれていること自体に問題の深刻さを感じました。(山口委員 2014年4月17日 第1回 臨床研究に係る制度の在り方に関する検討会 議事録 厚生労働省) 当該元社員は、当時、ある学術機関(大阪市立大学)の非常勤講師でもありました。このため、当該元社員は、臨床研究に関わる活動と弊社の業務とを区別しておけば、臨床研究に深く携わることができると理解していました。つまり、学術機関における立場により、臨床研究への関与が正当化されると考えていたのです。また、当該元社員だけでなく、当時の上司や他の社員、研究者も同様の考えをもっていました。(バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書  ノバルティスファーマ株式会社 2013年7月29日 PDF) ノバルティスの報告書には臨床研究への関与は一個人でなく会社の業務と認めたような記述があります。厚生労働省の報告書では、ノバルティス社が臨床研究に会社として関与したと断定しています。 当該元社員らの上司とノバルティスファーマの経営陣の一部の者は、当該元社員の研究への関与の程度について認識していた、ないしは認識して然るべきであったといえます。一方、経営陣のうちの上層部の者は 当該元社員の日々の業務については把握していなかった と考えられます。(バルサルタンを用いた5つの医師主導臨床研究におけるノバルティスファーマ株式会社の関与に関する報告書  ノバルティスファーマ株式会社 2013年7月29日 PDF 6ページ) これらを総合的に判断すると、当該元社員が今回の事案に深く関与していた実態がノバルティス社にとって最近になって判明したものとは言い難い。また、当該元社員の関与のみならずその上司及び一部の経営陣による認識などの人的状況、並びに当該元社員にかかる必要経費の会社負担及び会社の意図及び期待等を伴った奨学寄附金の提供などの金銭的状況などから、今回の事案は、当該元社員一個人が関与していたというよりは、実態としてはノバルティス社として今回の事案に関与していたと判断すべきものである。(高血圧症治療薬の臨床研究事案を踏まえた 対応及び再発防止策について (報告書) 平成26年4月11日 高血圧症治療薬の臨床研究事案に関する 検討委員会 参考資料1 PDF)   何が問題なのか ノバルティスの社員が論文の上で身分を隠して関与し、しかもデータの統計処理の段階で不正に操作していたことを問題視する報道が多いですが、仮に、この社員が論文上で身分を明かしており、統計処理でも不正を働いていなかったとしたら、問題はなかったと言えるのでしょうか? 実は、データ取得時に不適切なデータの取り扱いを行っていた医師が存在した可能性を追及する報道があります。 当時の医局員の雰囲気では「これは慈恵 HEART Study」ではなく「望月 HEART Study」と揶揄する声もあり、皆きちんと報告していた。望月氏の症例だけで一次エンドポイントの症例に80件の差が付いている。バルサルタンが心血管系イベントの発生を抑制したという論文の結果は、ほぼ望月氏の症例だけから出されている。(「JHSから手を引いたわけ」元慈恵医大医師の供述調書 m3.com …

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“量子コンピューター”開発成功のイムパクト

ImPACT(内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム)のプレスリリースおよび報道によると、初めての国産量子コンピューターの開発に成功したとのことです。 内閣府 総合科学技術・イノベーション会議が主導する革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)の山本 喜久 プログラム・マネージャーの研究開発プログラムの一環として、日本電信電話株式会社(東京都千代田区、代表取締役社長 鵜浦 博夫 以下、NTT)NTT物性科学基礎研究所 量子光制御研究グループの武居 弘樹 上席特別研究員、本庄 利守 主任研究員らのグループ、情報・システム研究機構 国立情報学研究所(東京都千代田区、所長 喜連川 優 以下、NII)情報学プリンシプル研究系の河原林 健一 教授、加古 敏 特任准教授らのグループ、および東京大学(東京都文京区、総長 五神 真)生産技術研究所 合原 一幸 教授、神山 恭平 特任助教らのグループは、光の量子的な性質を用いた新しい計算機「量子ニューラルネットワーク(QNN)」をクラウド上で体験できるシステムを開発し、2017年11月27日より公開いたします。   量子コンピュータを実現するハードウェアとしては、ゲート型、アニール型、ニューラルネットワーク型の異なる3つのアプローチがあります。インターネットを介して実機を体験できるクラウドウェブサイトとしては、IBMがゲート型15ビットマシンを、D-WAVEがアニール型2000ビット、12000結合マシンを今年に入って次々と公開しています。また、Googleも来年春にはゲート型49ビットマシンを公開する予定です。今回、日本から公開されるニューラルネットワーク型2000ビット、400万結合マシンは、世界最大規模の量子コンピュータであり、これまでの限界を30倍以上拡大した2000ビットまでの組み合わせ最適化問題が解けます。(山本 喜久 ImPACTプログラム・マネージャーのコメント 量子ニューラルネットワークをクラウドで体験 ~量子を用いた新しい計算機が使えます~JST 平成29年11月20日) スーパーコンピューターをはるかにしのぐ性能が期待される次世代のコンピューター、「量子コンピューター」の初の国産機の開発に成功したと国立情報学研究所やNTTなどのチームが発表しました。(初の国産量子コンピューター 無料公開 NHK NEWS WEB 11月20日 19時14分)   しかしながら今回の成果を「量子コンピューター」と呼ぶことに関して、インターネット上で異論が湧き起こっています。 これを量子コンピューターだと思っているのは地球上で数人(つまり当事者のみ)だけですから、ランダムに数人の別の研究者に問い合わせれば高い確率で問題に気づいたと思うのですが、今回、マスコミの方は、当事者の言葉をそのまま垂れ流しただけで、まったく検証していないということでしょうか。 https://t.co/LkE4BDkIX0 — Tomoyuki Morimae (@TomoyukiMorimae) 2017年11月21日 研究者としては「量子コンピュータ」とは呼べないものを研究者が「世界最大規模の量子コンピュータを開発した」と言って大大的に広報したということ。報道が勝手に書いたとかなら、またマスゴミが、で済むんですが、研究領域が大切にしている言葉の定義を研究者自身が広報のために歪めて使うというのは、研究倫理の問題にもなるんじゃないかと思います。‥(中略)‥ ビッグデータ、人工知能、IoT・・・。量子コンピュータもそのうちのひとつのバブリワードなわけで、バブリワードを使ってプレスしたほうがPR効果が大きいという判断なんでしょうね。‥(中略)‥ なんだかアホらしい話ですが、最近の大学や研究機関のプレスリリースは研究者としての誠実さよりも、バズること、世の中にウケることが最優先になっています。(内閣府ImPACTの誇大広告広報と量子コンピュータの話 人間とテクノロジー 2017-11-21) NTTの量子コンピュータのやつ改めて読んだけど、思ったより全然量子コンピュータじゃなくてびっくりしてる …

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学芸大教育40代准教授がセクハラで停職3カ月

以下、報道内容のまとめです。 ハラスメント行為を働いた人 東京学芸大 教育学部の40代の准教授 ハラスメント被害者 准教授の研究室に所属していた複数の学生。最大4人(男子2、女子2) セクシャルハラスメント行為の内容 研究室にいた学生を退出させ、室内で女子職員の体に触った 海外出張時に女子学生に同じ飛行機やホテルを取るよう勧め、女子学生が別のホテルを取ると、その部屋までついていった 海外出張の際、女子学生に自分のホテルの部屋に荷物を置くよう指示し、夜間に荷物を取りに来させた 学生に対し、土日を含めて毎日のようにメールなどを送り「交際相手がいるのか」などプライベートに関することを聞いた アカデミックハラスメント行為の内容 深夜や早朝に通信機器を使って研究指導を行った 自分の研究プロジェクトの管理業務を、無報酬で学生にさせた ハラスメント行為発覚の経緯 学生から16年9月に大学側に訴え 大学の准教授に対する処分 停職3カ月の懲戒処分(平成29年11月21日付け) 准教授のコメント 「アカデミックハラスメント(研究・教育で地位が上の人が行う嫌がらせ)やセクハラと受け止められてもやむを得ない行為だった。学生を傷つけ、失望させてしまったことを深く反省している」 ハラスメント行為があったと認定された期間 2014年7月~16年8月   報道 <東京学芸大>准教授を懲戒処分 学生にアカハラ・セクハラ (YAHOO!JAPANニュース 毎日新聞 11/22(水) 8:48配信):”東京学芸大は21日、教育学部の40代の准教授が研究室に所属していた複数の学生にハラスメント行為を繰り返したとして、22日から停職3カ月の懲戒処分にしたと発表した。” 女子学生のホテルまでついていき…セクハラで准教授停職(朝日新聞DIGITAL 2017年11月22日06時59分):”セクシュアルハラスメントやアカデミックハラスメントがあったとして東京学芸大学(東京都小金井市)は21日、教育学部の40代の男性准教授を停職3カ月の懲戒処分にし、発表した。” 大学の公式発表 大学教員の懲戒処分について  このたび、本学の大学教員が、平成26年7月から平成28年8月までの間、指導学生らに対し、学習・研究活動を阻害し当該学生らの尊厳ないしこれに関わる人権を侵害したアカデミック・ハラスメント、セクシュアル・ハラスメントまたはこれに類する人権侵害に該当する行為を行っていたことが判明しました。 このことを受け、役員会で事実確認を行い、平成29年11月21日付けで当該大学教員を懲戒処分として停職3月といたしました。 また、本件に関わる管理監督責任者である当時の学系長及び現学系長に対し、文書による厳重注意の処分を行いました。教育に携わる本学の大学教員がこのような行為をしたことは誠に遺憾であり、被害学生及び関係者の皆様には心よりお詫び申し上げます。 今後、このような行為が再び繰り返されることのないよう、服務規律の一層の徹底を図り、再発防止と信頼の回復に努めて参る所存です。平成29年11月21日 国立大学法人東京学芸大学長 出 口  利 定 http://www.u-gakugei.ac.jp/pickup-news/win/2017/11/post-330.html 東京学芸大学におけるその他のハラスメント報道・ブログ記事 東京学芸大教授、アカハラで諭旨解雇 就職活動の妨害も(朝日新聞DIGITAL 2017年9月12日23時07分):”東京学芸大は12日、教育学部の50代男性教授が複数の学生に、不適切で悪質な言動をするアカデミック・ハラスメントをしていたと発表した。一部の学生は精神疾患で通院していたという。同大は諭旨解雇の懲戒処分とし、男性教授は11日付で辞職した。” 東京学芸大学執行部への公開質問状~~中○○○氏のセクハラ疑惑について(修正版)(仮称・未定稿) (東京学芸大学人文社会科学系教授  関谷一郎 関谷ゼミブログ 2012-09-25):”法の論理の上に胡坐をかいて学内で起きたハラスメントを<見ぬフリ>し、逆にセクハラ問題を取り上げようとしない執行部を「批判」し、その背中を問題解決に向けて押し続けた者を腹いせのように「処分」しようとしているのだから、学大も地に落ちたものである。”

大きな差を生む日々の実験ノートの小さな習慣

日々実験を行っている大学院生やポスドクなどの研究者は、毎日必ず実験ノートを付けているわけですが、当たり前のように毎日やっているそのやり方の僅かな差が、数年後には大きな差となって、もしかしたらそれが研究者として成功できるかどうかを決める違いとなってしまうかもしれません。そこで、実験ノートの書き方に関するアドバイスをいくつか紹介します(詳細は、引用元の記事をご覧ください)。   世の中にはトンデモナイ人間も存在するので、一応、当たり前のことの確認から。 実験ノートは実験者が実際にその実験を行ったことを示す唯一の物的証拠 実験したのであれば、実験ノートが存在する。実験ノートが存在しないのであれば、実験していなかったとみなされる。普通の研究者にとって、何の問題もないことです。 実験ノートは実験者が実際にその実験を行ったことを示す唯一の物的証拠(実験ノートには何を記録するのか? Life + Chemistry 2017-04-29) 実験ノートとは、あなたがその実験を実際に行ったことを示す唯一の物的証拠です(信州大学図書館 PDF) 「(ノートを)出さない人は不正をしているとみなします」(国会で山中教授「ノートのチェック徹底を」14/04/04)   では、実験ノートのつけ方に関するアドバイスの記事を2つ紹介(太字強調は当サイト)。独立した2つの記事ですが、これを見ると、成功するノウハウというものは、一つの形に収斂するようです。 ノートは、毎日論文を書いているようなもの ノートの構成は論文と同じようになっていて、「タイトル」、「日付」、「目的」、「方法」、「結果」、「考察」などの事項が箇条書きで示されています。‥‥ 目的に加え、研究の「背景」や「基礎情報」も書いてありますので、自分がどうしてこの実験をしなければならないのかをすぐにつかむことができます。さらには、「操作成功の基準」、「実験成功の基準」、「実験成功の場合の次の実験」、「結果の予想と対策」といった一般的なノートには見慣れない事項も記録されています。「ノートには実験の条件やサンプルのロットなど細かい情報を記録しますが、さらに実験の基準や対照を詳細に書く点が特徴です。記録する事項が非常に多くて大変だし、時間がかかると思われるかもしれません。でも、ノートを書くことでデータを得るために必要な条件が絞られるので、結果的には無駄な実験をしなくてすみます。実験のトータルの時間は変わりませんよ」と木村先生は話します。‥‥ ノートは実験を記録するのではなく、考えることと結び付けられるようになっていて、研究力に不可欠な科学的な思考の訓練や論文の書き方の練習になります。ノートには実験記録と研究力の向上というふたつの目的があります。(研究ノートの意義を考える① 総合研究大学院大学額融合推進センター)   ノートを”プチ論文”化 実験ノートを「プチ論文」にするのです。必要な構成は次のとおり。(1)タイトル(2)日付(3)実験目的(4)材料・方法(5)実際におこなった手技(6)結果(7)考察 ほとんどの学生は指導しないと、ノートには(5)実際におこなった手技、だけをちょこっとメモ程度に書くだけしかしません。しかし大切だけど意外に難しいのは、(1)タイトルと、(3)実験目的ですね。(中略)実験ノートをプチ論文化すると、日々の実験が楽しくなってきます。 目的を明らかにして、しっかりと結果を記載し、それに対していろいろと考察をしてみる。これは論理性や科学的思考の訓練になるだけでなく、実際に論文を執筆するときにとても役に立つはずです。(小保方リーダー&若手研究者必読!今さら人に聞けない「正しい実験ノート」の書き方 中山敬一 [日本分子生物学会副理事長、九州大学教授] DIAMOND ONLINE 2014.4.23)   論文を効率良く書けるかは実験ノートのつけ方次第 Good note-book discipline is enormously helpful. When you have finished an experiment, try to record your conclusion …