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グーグル年次開発者会議 Google I/O 2015 (The Annual Developers Conference) が2015年5月28日、29日の2日間サンフランシスコのモスコーンセンター(Moscone Center)で開催される

Google I/O 2015 – Keynote (2:08:27) 参考 Google I/O 2015: “Google I/O is for developers – the creative coders who are building what’s next. Each year, we explore the latest in tech, mobile & beyond.” Google I/O 2015基調講演で見えた熾烈なAppleへの対抗心 (週刊アスキー2015年05月30日):” グーグルは5月28、29日の2日間、開発者向けイベント『Google …

ブラック企業の構造と研究者の雇用不安

先日、京大の山中伸弥教授が、「京大iPS細胞研究所は、これが民間企業ならすごいブラック企業」という表現をしたそうです(記事)。しかし、これは決して京都大学のiPS細胞研究所に限った話ではありません。研究者の雇用不安は、現在の日本の科学研究全体を覆う非常に深刻な問題です。 ブラック企業とは、定義にもよりますが、労働者を劣悪な労働条件で酷使し、峻烈な選別を行い、非情に使い捨て、組織だけが成長するような会社のことです(参照:コトバンク)、これはそっくりそのまま今の研究の世界にも当てはます。 研究室では、任期付きの研究者は少しでも早く成果を出さないといけないので必然的に長時間労働を強いられます。ポスドクの報酬は年齢や学歴からは一般の人が想像できないくらいに低く、時給換算したら国が法で定める最低賃金並みになります。ポストの数があまりにも少ないため、ある程度の成果を挙げたとして もそう簡単に定職は見つかりません。任期が切れたり財源が途切れれば、ボスが温情を施したくても研究者はラボを去らざるをえません。しかし買い手市場のおかげで研究室はまた新たな労働力を調達して存続し発展できます。現在の日本の科学研究において、研究室というのは構造的にブラック企業そのものなのです。 ブラック企業の場合は経営者の人格や経営姿勢が問われるところですが、研究室の場合は教授の人柄が良く部下思いであったとしても、現在の研究制度が抱えるこの構造的問題をどうすることもできません。 日本の科学技術政策に関する提言の中では、「至高の科学力で世界に先んじる」とか、 「世界的な卓越した教育研究拠点の形成」などと非常に耳当たりの良いフレーズが飛び交っていますが、人生設計もままならずに不安に苛まされているポスドクや任期付き教員ばかりという暗澹たる研究の現場で、そのような崇高な目標が本当に実現し得るのでしょうか? ”ポスドク等の約40%の年収は400 万円以下である。また半数以上が退職金や住宅手当の支給を受けられない。” ”任期制であることが結婚、子どもを持つこと、住宅購入などに影響すると考えている人の割合は70%もしくはそれ以上” “1週間の労働時間は平均54.8 時間、40%以上が60 時間を超え、100 時間を超える人もいる” ”13%程度が自身もしくは配偶者の実家から経済的援助をうけている。年齢別では41 歳以上の人、また子どもの有無別では子どもがいる人が実家から援助を受けている率が高く、…” “給与の財源は文部科学省研究費助成金( 26% )、その他の競争的資金(22%)、戦略的創造研究推進事業とグローバルCOE プログラム(それぞれ8%)が多く、上司の研究費による雇用が中心である” “78%の人が次の職を探している。…大学や研究所での求人が少ないこと、公募していても形式的で内部昇格が多いことを危惧している。” (引用元:生命系における博士研究員(ポスドク)ならびに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題 平成23年 日本学術会議題) 「世界最高水準の卓越した研究」の担い手の多くが、1年契約で年収が300万円台のポスドク(博士研究員)や時給1000円程度のラボテクニシャン(技術員) だったりするのが実際のところです(人件費の財源や機関にもよる)。しかも、彼らは成果を挙げても、どれほど優れた実験技術を持っていても、何歳になっても報酬は増えず生活の保証もありませ ん。せめて、能力や成果に応じてパーマネントの職を得る機会や、昇給の機会を与えるような人事制度へ早急に変えない限り、日本の科学研究は国際的な競争力を失っていくでしょう。 “ポスドクを複数回繰り返す35 才以上のポスドク(シニアポスドク)が2012 年の調査で全体の37.1%に達しています” (引用元:生科連からの<重要なお願い> 生物科学学会連合 ポスドク問題検討委員会) 「酷使」や「使い捨て」というのは認識の問題もありますが、日夜研究に勤しんで、(少なくともボスがその地位に安泰で居られる程度の)論文成果(インパクトファクター5~10)を挙げ、ラボに対してもサイエンスにおいても貢献した研究者が、研究を辞めて教育職や研究事務に転向したり、研究や教育とは全く無関係な職に転じたり、最悪の場合完全に失業するしかないというのが、日本の科学研究の現状です。成果が出ない人間を切り捨てるブラック企業。成果が出ている人間をも切り捨てる研究所。現在の日本の研究社会は、ある意味、ブラック企業よりも更にブラックかもしれません。 ”「お前が研究者をやめてくれて心底ほっとした」 母親もそんな言葉で大卒初任給ほどの待遇で居場所を探してきた息子の転身を心から喜んでくれ、…” (ポスドクからポスドクへ 円城塔 日本物理学会誌 Vol.263, No.7, 2008  PDF) 参考 提言 生命系における博士研究員(ポスドク)ならびに任期制助教及び任期制助手等の現状と課題 平成23年(2011年)9月29日 日本学術会議 基礎医学委員会 (PDF55ページ) 生科連からの<重要なお願い> 生物科学学会連合より行政(国、地方)、企業、大学・研究機関、および研究者コミュニティーに対するお願い今、次世代を担う若手研究者が窮地に陥っています。ポスドク(任期付博士研究員)の雇用促進と研究者育成に是非ご協力ください。平成27 年4 …

CiRA これが民間企業ならすごいブラック企業

2015年5月23日に橿原ロイヤルホテル(奈良県橿原市)で奈良県立医科大学開学70周年記念式典が執り行われ、京都大の山中伸弥教授が記念講演を行いました。その中で所長を務める京都大iPS細胞研究所(CiRA)について、CiRAの約300人の教職員のうち9割が不安定な有期雇用であることから、「これが民間企業ならすごいブラック企業。何とかしないといけない」と、研究者の雇用不安にも言及したそうです。   参考 iPS細胞研究所の9割有期雇用 山中教授「民間企業ならすごいブラック企業。何とかしないと」 奈良で講演(産経WEST 2015.5.24):”一方で、所長を務める京都大iPS細胞研究所(CiRA)については、約300人の教職員のうち9割が不安定な有期雇用であることから、「これが民間企業ならすごいブラック企業。何とかしないといけない」と指摘。” 開学70周年記念式典を挙行しました(奈良県立医科大学 2015年5月27日):”記念講演 細井理事長・学長と古家理事(附属病院長)が座長となり、山中伸弥京都大学iPS細胞研究所所長・教授を講師にお迎えし、iPS細胞が移植治療だけでなく難病治療薬の開発にも重要な役割を果たし始めている等「iPS細胞研究の現状と医療応用に向けた取り組み」について、ご講演いただきました。”   同じカテゴリーの記事一覧

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神経細胞同士のつながりの強化は記憶の想起には不要~シナプス増強がなくても記憶は痕跡細胞群の中に直接保存

  2015/05/28    科学ニュース

逆行性健忘においても、記憶は痕跡細胞の中に保持されていることをMITの利根川研究室がマウスの実験で明らかにし、サイエンス誌に発表しました。論文タイトルはEngram cells retain memory under retrograde amnesia。 マウスを小箱に入れ、弱い電気刺激を与えて小箱の環境が怖いことを記憶させました。通常、こうした体験をさせた翌日に、マウスを同じ小箱に置くと怖い体験を思い出してマウスは“すくみ”ます。しかし、マウスが小箱は怖いと記憶した直後に、シナプス増強が起こらないようにする薬剤を与えると、マウスは怖い体験の記憶を失って、同じ小箱に入れられてもすくみませんでした。 ところが、翌日、怖い体験をした小箱とは別の小箱に同じマウスを入れ、怖い体験の記憶痕跡を人工的に活性化したところ、記憶を失ったはずのマウスがすくみました。これは、シナプス増強がなくても記憶は痕跡細胞群の中に直接、保存されていることを意味します。(理化学研究所60秒でわかるプレスリリースより) 論文著者は、Tomás J. Ryan, Dheeraj S. Roy, Michele Pignatelli, Autumn Arons, Susumu Tonegawaで、最初の3人に関してはcontributed equally to this workとのことです。 Tonegawa Lab Members (利根川研究室ラボメンバー The RIKEN Brain Science Institute and the Picower Institute for Learning and Memory …

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日本の科学技術イノベーション総合戦略

  2015/05/28    科学行政

新聞報道によると、日本政府は2015年5月28日、国の研究開発の指針となる今年の「科学技術イノベーション総合戦略」の原案を総合科学技術・イノベーション会議の会合で示しました。 参考 2015年(平成27年)5月28日 第9回基本計画専門調査会 (木)14:00~16:00 中央合同庁舎8号館6階 623会議室 配布資料  資料1第5期科学技術基本計画に向けた中間取りまとめ(案)(PDF28ページ)、資料2今後の予定について、資料3第8回基本計画専門調査会議事録(案) 総合科学技術・イノベーション会議(Council for Science, Technology and Innovation):総合科学技術・イノベーション会議は、内閣総理大臣、科学技術政策担当大臣のリーダーシップの下、各省より一段高い立場から、総合的・基本的な科学技術・イノベーション政策の企画立案及び総合調整を行うことを目的とした「重要政策に関する会議」の一つです。 科学技術イノベーション総合戦略2015構成(案)(PDF1ページ) CRDS-FY2014-FR-01 研究開発の俯瞰報告書 主要国の研究開発戦略(2015年)(PDF191ページ) 科学技術:おもてなしシステムを重点課題に 政府(毎日新聞 2015年05月28日):”2020年の東京五輪・パラリンピックに向け、多言語翻訳できるロボットの開発や、バスと信号機が通信して定時運行を可能にする「次世代都市交通システム」の実用化など、観光客のための「おもてなしシステム」構築を、重点課題として掲げた。” 自動運転車など科技戦略案提示 政府、16年度予算から振り分け(日本経済新聞 2015/5/28):”年間約4.5兆円で推移する科学技術関係予算を、2016年度予算から自動運転車や農作業の自動化といった重点分野に振り分ける。” 科学技術イノベーション総合戦略2014 ~未来創造に向けたイノベーションの懸け橋~ 平成26年6月24日 閣 議 (PDF82ページ)