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データ捏造の手法

  2013/07/30    Uncategorized

加藤茂明研究室から出た数多くのデータ捏造論文の中でもその悪質ぶりで一際目立つものの一つがこの論文Kitagawa et al. The chromatin-remodeling complex WINAC targets a nuclear receptor to promoters and is impaired in Williams syndrome. Cell. 2003 Jun 27;113(7):905-17.です。この論文は2012年3月30日に撤回されました。 加藤茂明先生がおっしゃられたような「図表を良く見せるためのお化粧」などではなく、のっぺらぼうの顔に目、鼻、口を全部付けたようなデータ捏造ぶりといえるでしょう。 http://blog.goo.ne.jp/bnsikato/e/09c0b28c9c5d04b3bd1e531612e6eb4a(11jigen氏の画像解説記事)

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存在しないマウスを解析したという不思議な論文

2004年に阪大から出たNature Medicineの論文でビックリ仰天なのは、「脂肪細胞異的PTENノックアウトマウス」を作製し、その解析を行ったと言いつつ肝心の遺伝子改変マウスが存在すらしていなかったということです。 アカデミックなポストに就くことも、研究費を獲得することも非常に熾烈な競争を強いられます。これほど悪質な不正行為を働いても普通に研究を続けられるというのであれば、研究者間の公平な競争が妨げられ、日本の研究レベルが下がるだけでしょう。「これでクビにならないのなら、データ捏造しない研究者の方が頭がおかしいのか!?」と錯覚してしまいそうなくらいにたまげた話です。 論文の撤回など普通の研究者なら一生に一度も無いのが普通ですが、捏造論文を一度出したラボは面白いことに何度でも同じようなことを繰り返す傾向があります。このラボからも、2004年のnature medicineに続いて、2005年にはサイエンス誌にVisfatin: a protein secreted by visceral fat that mimics the effects of insulin.という論文が発表され(Science 307(5708):426-30)、その後撤回されています。撤回の事情はというと、 『大阪大学医学系研究科は14日教授会を開き、同研究科の下村伊一郎教授らが、肥満と糖尿病に関する研究で04年に米科学誌に発表した論文を取り下げるよう、本人に通知した。捏造(ねつぞう)、改ざん、盗用などの証拠は認められなかったが、実験がずさんで不備があり、不正の疑いがあると判断した。』(asahi.com 2007年06月14日 日々是好日) のだそうです。 存在しないマウスを解析したという不思議な論文: Nature Medicine 10, 1208 – 1215 (2004) Published online: 17 October 2004 | doi:10.1038/nm1117There is a Retraction (June 2005) …

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東大教授を詐欺容疑で逮捕

  2013/07/28    研究費の不正使用

東京新聞(2013年7月26日 朝刊)によると、東京大学政策ビジョン研究センター秋山昌範教授(55)が、公的研究費を着服した疑いで逮捕されました。詐欺の手口は、IT関連会社社長らと共謀してデータベース作成を発注したように装い、東大に虚偽の請求書を提出。2010年3月から2011年9月の間、7回にわたり業者の口座に研究費計1890万円を振り込ませ詐取したということです。 秋山昌範教授の略歴は東京大学政策ビジョン研究センターウェブサイトによると、 1983年 3月  徳島大学医学部医学科卒業 2005年10月 マサチューセッツ工科大学スローン経営大学院客員教授 2009年 8月  東京大学政策ビジョン研究センター教授 ということで、医療IT(インフォメーションテクノロジー)が専門だそうです。 研究費名目で約2,200万円だまし取った疑い 東大教授逮捕 このテレビニュースによると、着服したお金は私的に使用していたとみられているそうです。研究者の倫理について考えるとき、このように不正により作り出したお金を研究者が自分のポケットに入れたのかそれとも研究室運営に使ったのかを区別することは非常に重要です。なぜなら、昔は、今なら不正とみなされるようなことによりお金を工面してそれで学生が学会に参加できるようにすることがむしろ普通だった時代もあるからです。しかしながら現在では科学研究費の運用に関しては以前よりも柔軟性が持たされており、また、学生の学会参加もフェローシップなどによりサポートする制度が増えてきたため、そのようなことをする必要性が薄れ、研究費の適切な使用に関しては以前よりも厳格になっています。研究費の使用に関しては研究者個人ではなく大学の事務が支出の管理をしているため、今回の事件は東京大学の事務サイドが研究者に騙されたという図式です。事務方が研究者に対して使途の厳格さを強く求めれば求めるほど、研究者側からすれば研究がやりにくくなります。逆にそこを緩くすると、今回のような事件が起こりやすくなるわけで、どこかに適切なバランスが必要です。

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Kim et al. DNA demethylation in hormone-induced transcriptional derepression. Nature 461, 1007-1012 (15 October 2009)

  2013/07/27    論文データ捏造

今回東京大学の調査により明らかになった分子細胞生物学研究所加藤茂明教授(既に退職)の研究室における研究不正の中でも、データ捏造の度合いがひどくしかも一流誌に掲載されているという点で一際目を引くものの一つがこの論文です。この論文に関しては、調査委員会の予備調査結果が出るよりも前に既に撤回されています。 2008年8月18日 論文投稿 2009年8月24日 論文受理 2009年10月15日号Natureに論文掲載 2011年11月1日 論文訂正 2012年6月14日 論文撤回 という経過を辿りました。論文掲載後にデータ捏造疑惑が生じて、苦し紛れの「訂正」をしているわけですから、部下のデータ捏造を教授がうっかり見逃したという図式ではないようです。 DNA demethylation in hormone-induced transcriptional derepression Mi-Sun Kim1,2,3, Takeshi Kondo2, Ichiro Takada2, Min-Young Youn2, Yoko Yamamoto2, Sayuri Takahashi2, Takahiro Matsumoto1,2, Sally Fujiyama1,2, Yuko Shirode1,2, Ikuko Yamaoka1,2, Hirochika Kitagawa2, Ken-Ichi Takeyama2, Hiroshi Shibuya3, Fumiaki …

加藤茂明元東大教授、研究不正の背景を語る

昨年の春に発覚した、東京大分子細胞生物学研究所の加藤茂明教授(2012年3月退職)の研究室による前代未聞の大規模な論文データ捏造事件に関して、ようやく東京大学の調査結果が公表されました。毎日新聞の記事によると、加藤研究室が東大在職中に発表した全論文の4分の1にあたる43本の論文が「撤回することが妥当」だと判断されたそうです。東京大学分子細胞生物学研究所加藤茂明グループの論文不正を告発するサイトでは、24本の論文に関してデータ捏造の手口を指摘していましたが、そこで露見したよりももっと大きな規模で論文の捏造が行われていたようです。どうしてこのような組織ぐるみとしか考えられない大規模な不正が起きたのか、誰が先導したのか、なぜ誰も不正を止められなかったのかが一番知りたいところですが、それに関して、ついに、加藤茂明元教授が語りました。毎日新聞のインタビューです。 「私が主導して研究室ぐるみでやったことではない。」 「コンピューターが苦手なので図の作成はメンバーに任せた。」 「(不正を指示したことは)全くない。既に教授になっていたし(不正をする)理由がない。」 と、教授が全く知らないところでデータの捏造が行われていたと説明しています。(参考記事:毎日新聞 2013年07月26日 00時20分)。 東京新聞(2013年7月25日 夕刊)によると、今回東京大学が行った調査の対象となったのは、1996年から2011年の間の加藤元教授が関与した論文165本です。加藤元教授は2004年~2009年の間に約18億円もの公的助成を受けた大型研究プロジェクトを率いていたとのことです。加藤元教授は、 「当方が無能だったため、間違いを犯していた者を見抜けなかった。すべて当方の責任。(研究室には)常時四十人以上が在籍しており、研究グループもいくつか に分かれ、不正は一つのグループに集中していた。悪質な不正を繰り返していた者は少ない。今回問題になっている不正箇所の多くは、図表を良く見せるための お化粧と理解している。」 とコメントしています。 加藤研究室から発表された論文で行われたデータ捏造の手法をJuuichiJigen氏が推察した動画。 東京大学 分生研 不正論文疑惑(コピペ画像掲載の論文捏造疑惑) 今回の東大の報告書は、論文不正を追及しているJuuichiJigen氏の申立てに対しする回答として出されたもののようです。 東大分生研第52号 平成25年7月5日 (申立者)様  国立大学法人東京大学分子細胞生物学研究所所長秋山徹 加藤茂明分子細胞生物学研究所(元)教授に係る論文の不正行為に関する予備調査の結果について(通知) 貴殿より平成24年1月10日付けで申立のあった件については、東京大学科学研究行動規範委員会委員長からの要請を受け、分子細胞生物学研究所で予備調査を実施してきたところです。  この度、別紙のとおり予備調査結果をまとめましたので、東京大学分子細胞生物学研究所における東京大学科学研究行動規範委員会規則第8条に定める予備調査に関する規則第7条第2項に基づき、通知いたします。 JuuichiJigen氏のウェブサイト(http://blog.goo.ne.jp/bnsikato)で、別紙にまとめられた各論文に対する調査委員会の判断の部分が閲覧できます。 対照実験のデータであっても、データを捏造すること自体がそもそも「悪質な」行為なのであって、「悪質な不正を繰り返していた者は少ない」とか、「不正箇所の多くは、図表を良く見せるための お化粧」という加藤元教授の考え方は、論文不正をはびこらせる一因だったのではないかと思われます。 加藤元教授は不正に対する自身の関与を否定して、「既に教授になっていたし(不正をする)理由がない。」と述べていますが。この言葉は裏を返せば、研究社会が熾烈な競争社会であり教授になるためには不正をするくらいのことがあってもおかしくないことを物語っています。正直者が馬鹿をみる世界にならないように、今回のような不正に対しては研究費返還、学位取り消し、解職などを含めた厳正な処分が下されるべきでしょう。捏造したもの勝ちという風潮をはびこらせることになれば、永久に研究不正はなくなりません。 NHKニュースWEB(7月25日 14時18分)によると、加藤茂明教授は、文部科学省など国の機関からおよそ30億円の研究費を受け取っていたということです。人の財布から100円でも盗んだら逮捕されるというのに、国民から30億円受け取って、それで組織ぐるみで論文捏造を続けてきて誰も何の責任を問われないのだとしたらおかしな話です。東京大学大学院で長年にわたってこのような不正が行われてきたということは、東京大学の大学院生たちは長年にわたってこのような不正行為を働くことを強いられてきたはずで、教育機関としてあるまじきことです。研究室という場所は上に逆らったら絶対に生きていけない社会なので、普通の正義感や倫理観を持って入学してきた学生にしてみたらいきなり監獄にぶち込まれたような気持だったのではないでしょうか。教授が知らなかったで済む話ではありません。まともな学生の人生を破壊して、まともでない人間たちを出世させるシステムを作り上げていたということです。先導した中ボスだけの責任でなく、ラボヘッドだけの責任でもなく、研究所や東京大学が責任を取るべきレベルの犯罪的行為と言えるでしょう。 朝日新聞は社説で、 こうした不正は、治療や後続の研究を誤らせかねない。研究によっては多額の税金が投入されている。社会全体に対する背信として、厳しく対処しなければならない。背景には、不正を犯す誘惑が強まっているなか、それを防ぐ仕組みが伴っていないという事情がある。例えば、若手研究者はまず期限のある研究職に就き、任期中にあげた業績によって次の職場を探すことが一般的だ。一流誌に論文を発表することは、安定した職と多額の研究費を得ることにつながる。成果を求める教授や研究リーダーのプレッシャーも大きい。一方、論文は通常、身内の研究グループ内部と学術誌側でチェックされるだけだ。「研究者は不正はしない」という前提から、日本は欧米と違って研究倫理に関する教育も貧弱だ。こうした性善説ではもはや立ち行かないことは明らかだ。米国では90年代に政府に研究公正局をつくり、不正行為を調査、公表している。日本でもこうした機関の設置や、不正を告発できる仕組みの導入を検討すべきではないか。不正にかかわった本人だけでなく、研究の中核となった教授や所属研究機関の責任も厳しく問わねばなるまい。 と、不正を調査する機関の設置を提言しています。   東京大学分子細胞生物学研究所加藤茂明研究室における論文不正問題関連記事 東京大学分子細胞生物学研究所(旧)加藤茂明研究室における論文不正に関与した教員らは懲戒処分(相当) (2017年3月3日) 研究不正が認定された加藤茂明研究室6人の博士号取得者のうち不正の度合いが大きい3人の学位を東京大学が取り消し(2015年3月27日) 東京大学が分子細胞生物学研究所・加藤茂明研究室における 論文不正に関する最終調査報告を発表 (2014年12月26日) 東大分生研加藤茂明研究室の論文不正問題で加藤(元)教授が実験ノート捏造を指示:東京大学科学研究行動規範委員会が結論 (2014年8月1日) 2008年12月 …

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製薬会社ノバルティス社の降圧剤ディオバン(バルサルタン)臨床研究データは捏造

  2013/07/11    医療研究における不正

京都府立医科大学が2013年7月11日に出した調査結果によると、松原弘明教授(2月に退職)が実施した日本人の高血圧患者約三千人のデータに基づく臨床研究で、「ディオバンがほかの降圧剤より脳卒中や狭心症を減らせる」と結論づけたことに関して、「この結論には誤りがあった可能性が高い」ということです。 「誤り」という言葉は曖昧です。要するに、捏造、でっち上げということです。ディオバンは年間の売り上げが約一千億円以上にもなるノバルティス社の看板商品。京都府立医科大学の学長は記者会見で、刑事告発なども視野に協議していると話したそうです。 この臨床研究にはノバルティス社の社員が参加していたこと、松原教授の研究室にはノバルティス社から一億円を超えるお金が寄付されていたことなどから、これは誰か一人の犯罪というよりも、組織ぐるみのより大きな枠組みの中で起きた事件といえそうです。 参考ウェブサイト 降圧剤問題 臨床データ操作判明 京都府立医大「論文、誤り濃厚」(東京新聞2013年7月12日 朝刊) 京都府立医科大学によるバルサルタン医師主導臨床研究に係る調査報告発表に対するノバルティス ファーマの見解(ノバルティス ファーマ ウェブサイト) ノバルティス ディオバン(バルサルタン)臨床研究データ捏造疑惑 追求ブログ:  ノバルティスファーマ社員の白橋伸雄氏が身分を隠して多数の降圧剤バルサルタンの臨床研究(臨床試験)の統計解析に関与していことが判明。果たして、データ捏造への関与はあるのか?会社ぐるみの詐欺的販売促進活動か?(http://diovan-novartis.blogspot.jp/)