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令和2年度(2020年度) 科研費:採択される科研費計画調書の書き方と申請書作成の戦略20のポイント

文部科学省の科学研究費補助金(科研費)は、研究テーマの自由度が最も高く、全ての研究者にとって非常に重要な外部資金です。研究領域や研究テーマが予め指定されているトップダウンの研究費とは異なり、誰にでも研究資金獲得のチャンスがあります。 そこで、初めて科研費を出す人、まだ一度も科研費が当たったことがない人に向けたアドバイスを、自分の経験とネット上の情報を纏めて書きました。「基盤(C)」や「若手」といった少額の研究種目を想定しています。 採択されるための早道:書いたものを他人に見せる 今回初めて科研費を申請する人や、毎年出し続けているのに採択されない人は、ひとりよがりな申請書を書いてしまっている可能性が(極めて)大です。研究内容以前の話として、申請書の書き方がなっていないというだけの理由であっさりと不採択になっている人がかなりの数に上ると推測されます。業績もある程度あり、研究のアイデアや熱意もあるのに、それが全く計画調書に表現されていないだけで不採択を食らいに、本人はそのことに全く気付けていない、といのは実にもったいない話です。 落ちる申請書には理由があった!京都大学で採択・不採択になった科研費申請書を網羅的に分析すると、明らかな差があることに気付いた。(「科研費申請書の教科書」学外非公開) だから、一番のおすすめは、自分の書いた申請書を人に読んでもらい、ダメ出しをしてもらうことです。研究者はみな忙しいので、なかなかこれが実際にはできないものです。そんな場合は、大学でURA(リサーチアドミニストレーター)が研究支援活動を行っていれば、そのサポートを活用することをお勧めします。 計画調書を読んでもらう人は科研費採択経験者であればベストですが、必ずしも研究者でなくても、得るものはあります。自分の親兄弟、配偶者などの家族、親しい友人、とにかく国語力のある人に読んでもらえば、自分で気づけない点が見えてくるはずです。 植物学の大御所に、私はいつも科研費申請書を学生に読んでもらって改訂していると申し上げたところ、「私はいつも妻に読んでもらって、専門家以外にもわかりやすい表現を工夫している」と返された。採択率が高い研究者は、それだけの努力をされているのだと知って、納得した。 — Tetsukazu Yahara (@TetYahara) 2018年4月2日     科研費を採択されるための王道:情熱を示す 自分の研究に賭ける情熱、想いを科研費計画調書に凝縮して落とし込むことです。 「本当に真剣に考えた申請書は、読む人を感動させるものになります。そういうものが、いい申請書だといえるでしょう」(JREC-IN Portal 研究人材のための5分間キャリアップ読本 インタビュー記事)   科研費採択の条件:研究の意義を伝える 科研費の『審査の手引き』に書かれていますが、「学術的な意義」があるかが審査の一つのポイントになっています。お金をもらうのですから当たり前の話で、やる価値がないことにお金はあげられません。 ところが、やる内容、目的までは書いているのに、研究の意義についてまでは計画調書で触れていない人が結構います。「言わなくてもわかるでしょ」というつもりなのかもしれませんが、言わなきゃわかりません。どうして自分の研究はやる意義があるのか、お金をもらってまでやる価値があるのか、うまくいけばどれくらい学術的な波及効果や社会へのインパクトがあるのかをアピールすることは、非常に重要です。   科研費採択の条件:研究計画は具体的に書く 研究課題の意義がいくら大きくても、研究計画に具体性が欠けると説得力がありません。まだ行っていない実験のことを細かく書きようがないではないかと思う初心者も多いでしょうが、だからこそ予備実験を行いある程度実験を進めておくことが必要なのです。ただ単に「解析する」と書いても、何をどう解析するのかが書かれていなければ、審査委員を説得できません。具体的にといっても、実験のプロトコールを書けという意味ではありません。適度な具体性が必要だということです。具体性に欠ける計画調書は、いくら立派なことを言っていても、実現可能性がないと判断されて不採択になります。   採択される科研費計画調書とは:神は細部に宿る 研究計画のアイデアが十分に湧いてきていない状態だと、申請書の空欄が広大に見えてしまい、どう埋めればいいのかと途方にくれるかもしれません。全部埋める必要はあるのでしょうか? 無駄な余白は(一行たりとも)あってはいけない 2008.3.21 第1.01版私大研究者のための「採択率を上げる研究費申請書」の書き方、七つの基礎早稲田大学先進理工学部 竹内淳(PDFファイル 2ページ) だからといって、やみくもに文字でびっしりと埋めればいいというものではありません。通る申請書は内容だけでなく、見た目も自ずと良いものになるのです。 用いる文字や図表の位置、大きさ、形、色などには全て必然性がなければならない、なぜそこで使うのかを説明できなければいけない。 研究資金獲得のためのガイド 2011年7月 立命館大学博士キャリアパス推進室 (PDFファイル 96ページ) 割り当てられた多量の科研費の申請書を読まなければならない審査員の負担を想像できるかどうかも、勝敗を分ける要因になりそうです。 文字でびっしり埋められていると、「読む気がしなくなる」(研究にかける熱量を短い言葉に凝縮し、申請書に落とし込む JREC-IN …

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科研費応募のすすめ

研究費のボスは、ラボの運営に必要な資金を得るために科研費に応募するのは当然です。その下の助教などのスタッフもラボの運営を助け、また自らの独立した研究を推進するうえで、科研費の獲得は非常に重要です。 ポスドクの場合はどうでしょうか?ボスがしっかりお金を取ってくるラボであれば、ポスドクは自分で研究費を稼いでくる必要性をあまり感じないかもしれません。もちろん科研費の申請を出せない雇用形態もあります。しかし応募資格があるのにチャレンジしないのだとしたらもったいない話です。なぜなら、科研費獲得実績は、近い将来PI(Principal Investigator 研究代表者)のポジションを獲得するためには、論文業績と同じくらいに重要になってくるからです。 お金を集めてくるのがうまいボスが率いる大きなラボで、ポスドクとして長い年数研究に専念してしまった場合、ジョブアプリケーションの外部資金獲得実績の欄が空欄になってしまうという落とし穴があります。今の自分の業績では無理、などと自分で決め付けてしまわずにチャレンジしましょう。仮に自分の申請が採択されなかったとしても、自分の研究の強みや弱みを再確認してよりよい実験計画へ修正するいい機会です。