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賄賂受領の京大薬元教授に対し懲役2年の実刑

物品納入業者から賄賂を受け取った罪に問われた裁判で、辻本豪三(元)京都大学大学院薬学研究科教授(61)に対する判決が17日に東京地方裁判所で言い渡されました。辻本豪三元教授は、医療機器販売会社「メド城取(しろとり)」から渡されたクレジットカードを使って自分の遊興費や家族との飲食代、子への援助などの支出に使っており、これらの合計約940万円分の利益が賄賂と認定されたものです。 億単位の研究費を動かす立場の大学教授が業者から賄賂を受け取り、納入業者の選定で便宜を図るという行為は悪質な行為ですが、今回の事件は実はそれだけにとどまらないようです。 「これで良いのか,京都大学の公益通報」という法律事務所のインターネット記事によると、辻本豪三(元)京都大学教授の行っていたことは業者から賄賂を受け取っていたことにとどまらないようです。しかも、辻本豪三教授の研究室内で行われていた研究費の不正に関して過去に内部通報があったにもかかわらず、京都大学は「調査の結果、通報対象事実は認められませんでした」としか回答せず、事実上不正を黙認していたのいうのですから驚きます。これではせっかく勇気を持って内部告発した人間がまったく報われません。辻本豪三教授が行っていたことは、なかなか巧妙です。 教授は,自らNPO法人をつくり,知人を理事長に据え,教室員らを理事にした。もちろんNPO法人を実質的に動か していたのは教授である。そのやり方の概略は,たとえば公的資金を原資とする研究および調査教授業務の一部を当該NPO法人に請け負わせることにして,見積もりを出させる。その見積もりはNPO法人に所属する教室員などに作成させ,最終的には教授がチェックする。調査自体も教室員にアルバイトとしてやらせて,アルバイト料を支払っていた。教室員らはこれがNPO法人の仕事などと思わず,むしろ教授の指示によるので研究活動の一端かと思って手伝っていたよう である。しかし最も大きな問題は、NPO法人への委託費と作業をした教室員に対するアルバイト料の間に大きな差があることで、このマージンがどのように使われたかは不明である。 本来なら,外部委託研究費の使途明細はすべて京大事務局において管理する仕 組みになっているのだが,NPO法人を間に通すと,その部分は別人格法人の会計処理になるので大学当局の管理も監査も及ばない。NPO法人の監督は京都府が行うが,京都府は金の使い途の当・不当までは干渉しない。それ故,NPO法 人における請負金額の使途明細はすべていわば水面下に沈められて,誰も問題にしようがなくなってしまうのである。このように間にNPO法人を通すことによ って,教授は個人秘書ともいうべき理事長を指図して,管理・監査の及ばない金を自由に使う ことが出来るというわけである。(「これで良いのか,京都大学の公益通報」より引用 http://kawanaka-law.jp) 参考ウェブサイト 京大元教授に懲役2年の判決 物品納入めぐる汚職事件(朝日新聞デジタル 2014年2月17日15時27分):吉村裁判長の言葉「提供された利益を自分の遊興や家族との飲食、子への援助などに見さかいなく使ってお り、公的立場にいることを踏まえた分別が感じられない。同種事案のなかでも違法性の高い悪質な事案で、実刑が相当」 京大の元教授に懲役2年の実刑判決(NHK NEWS WEB 2月17日 16時32分) :東京地方裁判所の吉村典晃裁判長は「研究の第一人者として多額の予算を獲得できる立場を悪用した悪質な犯行だ。辻本元教授はゲノム創薬科学分野の第一人者として多額の予算を獲得できる立場を悪用した。賄賂は自分の遊興費などに見境なく使っていて分別が感じられない。国立大学の機器調達の適正さを大きく損ねる悪質な犯行だ」と指摘。 これで良いのか,京都大学の公益通報(川中法律事務所 Posted on 2月 10th)

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小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義

  2014/02/17    論文データ捏造

日本人若手女性研究者による快挙として日本だけでなく世界中を沸かせたSTAP細胞の発見ですが、驚いたことに、STAP細胞作製を報告した小保方博士らのネイチャー論文のデータの信頼性に関して疑義が生ずるという非常に残念な状況になっています。 Obokata et al., Nature 505;676–680 図1b Obokata et al., Nature 505;676–680 図2g 異なる個体のマウスを用いた実験データのはずなのに、上図1bと図2gで胎盤(緑色の蛍光写真の中の、周辺部が茶色の円形の組織)の形態が、向きや縦横比は異なりますが酷似しており、同一個体の写真としか思えないという指摘がなされています。 またObokata et al., Nature 505,641–647の論文の図1iでは下に示すように明らかに3番のレーンを切り貼りした形跡が窺えます。       左側は論文の原図。右側はコントラストを変えて背景の明るさを強調したもの。3番目のレーンだけ背景が黒くいため、切り貼りされたものとわかります。 また、同じ筆頭著者が2011年に出した論文に関してもゲル上のDNAのバンドを反転させて別の図に流用した可能性が指摘されています。 理化学研究所は「研究成果自体は揺るがないと考えている」そうですが、たとえ論文の一部であったとしてもデータの”不適切な取り扱い”があれば、論文そのものの信憑性が著しく低下することは否めません。 データの”不適切な取り扱い”は単純ミスなのか意図的なのか? 意図的だとしたら動機は?単純なミスなら原因は? ”不適切さ”が指摘された以外のデータに関しては、どこまで信用していいのか? ネイチャー誌はこの問題にどう対処するのか(「訂正」を受け入れるのかそれとも「論文取り下げ」にするのか)? 理化学研究所は小保方博士および他の著者らをどう処遇するのか? そもそも本当にSTAP細胞はできていたのか?他の研究室でこの論文の実験結果の再現性は確認できているのか? 疑問が尽きません。 ちなみに、2013年日本分子生物学会年会のウェブサイト内の文書に、このような場合にネイチャー(Nature)編集部はどういう対処をするかに関して編集者の人の見解があります。 基本は-Principle of Scientific Publication is “Trust”。論文の中身に疑義が有った場合、Allegation(告発)はすべて基本受け付けている(匿名であろうが)。 中身としては図の問題が多い。Image duplication, Image manipulation …

小保方さんの成功の秘密

  2014/02/08    科学行政

⇒ 小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義 小保方さんの成功を受けて、若い女性研究者の中から第2の小保方さんが出てくるように研究環境を整備しようという政府の動きがあります。小保方さんの活躍に刺激を受けた若い人も多いかもしれません。しかし今回の小保方さんの大発見は誰もが真似できるようなことではなく、研究者の生き方としてはあまり一般的ではない成功例と言えそうです。共同研究者として小保方博士のSTAP細胞発見に寄与した山梨大生命環境学部の若山照彦教授(46)が、小保方博士の成功の秘密を解説しています。 「小保方さんは今回、酸性溶液に浸すことで多能性の細胞を作ったが、酸性溶液という条件を発見する前、いろいろな刺激方法を模索していた。私は、小保方さんが作った細胞が多能性を持っているかどうか、マウスを使って判定する実験を2010年7月頃から手伝った。 小保方さんが博士課程の3年生で米ハーバード大に留学している時、共通の知人から『多能性の判定を手伝ってほしい』とメールが届いた。刺激だけで多能性を 獲得するのは動物ではあり得ないというのが当時の常識。だから、ハーバード大では誰に頼んでも判定の仕事を手伝ってくれる人が見つからず、若山に頼めば何 とかなると頼んできたようだ。最初は『できるはずがない』と思ったが、あり得ないことを試すのは自分も好きだったので手伝った。 判定の手法は、緑色に光るマウスが生まれてくれば多能性がある、光らなければない、というもの。当然、最初は全く光らなかった。同様の共同研究を私に持ち かけてくる人は多いが、一度失敗を伝えると、たいていの研究者は引き下がる。でも小保方さんは違った。だめだったと伝えると、更に膨大な量の実験をして失 敗の原因と次の作戦を考え、『次は絶対いけるのでお願いします』と別の方法で作った細胞をすぐ持ってきた。普通とは違う熱意を感じた。 (『できっこない』が『もしかすれば』に変わった瞬間は)なかった。情熱はあってもおそらく無理だと思っていた。彼女はまだ若いし、若い頃の失敗は後々のためには良いと思っていた。今回の発見は、それ ぐらい常識を覆す研究成果だ。2011年末頃、緑色に光るマウスの1匹目が生まれた時は、小保方さんは世紀の大発見だとすごく喜んでいたが、私はそれでも 信じられず、『どこかで自分が実験をミスしたせいでぬか喜びさせてしまったかも』と心配だった」 (小保方さんに続く若手研究者が今後出るのは)彼女は次元が違い、難しいかもしれない。小保方さんのように世紀の大発見をするには誰もがあり得ないと思うことにチャレンジすることが必要だ。でもそれは、若い研究者が長期間、成果を出せなくなる可能性があり、その後の研究者人生を考えればとても危険なこと。トライするのは並大抵の人ではできない。 (小保方さん、熱意違った…共同研究の若山教授 (2014年2月3日08時03分  読売新聞)) 参考記事 小保方さんの理研、新法人に指定へ 文科相 (朝日新聞デジタル 2014年2月1日10時07分):新しい万能細胞を作製した小保方(おぼかた)晴子ユニットリーダーの所属する理化学研究所について、下村博文・文部科学相は31日の閣議後会見で、世界最高水準の研究開発を担う新制度の「特定国立研究開発法人」に指定する考えを明らかにした。再生医学の研究を加速させる。新法人は、優秀な研究者を高給で優遇するなど、資金を自由に使える。政府はこの制度を盛り込んだ独立行政法人改革の基本方針を昨年12月に閣議決定した。欧米では研究機関のトップに5千万円程度の年俸を出すケースがあるが、新法人の指定によって日本でも同水準の年俸の研究者が出る可能性がある。  

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ハーバード大学ヴァカンティ教授らがヒトSTAP細胞の作製に成功か!?

⇒ 小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義 先日マウスを用いてSTAP細胞の作製を発表した小保方晴子博士の留学先であり共同研究者であるハーバード大学ヴァカンティ教授らのグループはヒトの細胞を用いてSTAP細胞を作製することに成功した可能性があるということでSTAP細胞の写真を公開しました。 (Image from newscientist.com: Charles Vacanti and Koji Kojima, Harvard Medical School)

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厚生労働省が研究不正もみ消しを手助け!?

多額の国家予算が投じられるプロジェクトで不当なデータ改ざんが見つかったので厚生労働省にそれを告発するメールを送ったのに、厚生労働省は調査を始めるどころか、告発された側にそのメールを転送し、不正を隠蔽工作する機会を与えるという大失態を演じていました。 田村憲久厚労相による釈明は「告発として受け止めると厚労省も調査に入らなければいけなくなる」ので内部告発として受理せず、不正が疑われている代表研究者の所属研究機関である東京大学に調査を依頼しました。「第三者的な公平な調査を強く依頼している。中立的な調査でなければ、研究機関として信頼性を失う話。強い思いで調査していただけると思う」と苦しい言い訳をしていますが、研究チーム責任者が所属する機関に公正な調査を期待するのは無理というものです。実際のところ、東京大学は2月3日現在の時点で調査委員会を設立してすらいないようです。 告発者である杉下守弘・元東大教授は「J―ADNI関係者から完全に独立した第三者」による調査と結果の全面公開を要請しており、「多額の国家予算が投じられるプロジェクトということで不当なデータ改ざんの問題に目をつぶれば、J―ADNIの科学的価値は失われ、アルツ ハイマー病患者をはじめ国民に多大な損失をもたらす」と指摘しています。 参考記事 発表が嘘だらけ「J-ADNI」臨床データ改竄問題が泥沼化 (huffingtonpost.jp 2014年01月17日 10時26分):「改ざんではない。この分野の大規模共同研究は日本では初めてのため、データ処理技術など、研究班に未熟な点があった」と、朝田隆・筑波大教授は説明したのだという。…「この分野の大規模共同研究は日本では初めて」なので未熟というが、これまでに同一分野の多施設臨床研究としてJ-COSMIC、SEAD-Jという国内多施設臨床研究があり、それぞれに成果を挙げている。 告発の元教授、国に調査要請 アルツハイマー研究改ざん(アピタル 2014年2月 4日):アルツハイマー病研究の国家プロジェクト「J―ADNI(アドニ)」の主要メンバーで研究データの改ざんを内部告発していた杉下守弘・元東大教授が3日、 実名で記者会見した。データを扱ってきた事務局員が疑惑報道後に証拠資料を持ち出したと指摘。全資料を第三者の管理下にただちに移し、国が主体的に調査す るよう求める要請書を研究に予算を出す厚生労働、経済産業、文部科学の3省に送った。 要請書などによると、杉下氏はデータチェックの責任者の一人。作業中に「データ改ざんというべき極めて不適切な問題」を発見し、昨年11月18日に厚労省に告発メールを送った。ところが厚労省は無断で告発対象の研究チームの責任者に転送し、調査しなかった。 さらに朝日新聞が1月10日に改ざん疑惑を報道した後、製薬会社から出向している事務局員が研究責任者の指示で杉下氏が保管していた証拠資料を持ち出した と指摘。この職員は不適切なデータ処理に関与した疑いがあり、疑惑がもみ消される恐れがあると判断して実名での告発に踏み切ったという。 内部告発メール転送、厚労相が謝罪 データ改ざん問題(朝日新聞デジタル 2014年1月21日22時50分):田村憲久厚労相は21日の記者会見で、「許可を得ずにご本人の名前をだして確認行動を行った。大変申し訳ない対応だった。おわび申し上げる」と述べた。告発した本人には20日に職員が謝罪したという。…告発メールは昨年11月18日に厚労省に届いた。同省の担当専門官は翌日、実名入りの告発メールを無断で転送。告発者の名が業界内で知られてしまい、告発 者は「私が悪者で研究の信頼性を損なわせたという評価が研究者の間に広まった。名誉毀損(きそん)だ。厚労省は疑惑をもみ消そうとしているのでは」と反発 していた。

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信じられないくらい簡単に体細胞を万能細胞に転換させる方法を日本人女性研究者(30)が発見!

⇒ 2014年4月1日STAP細胞NATURE論文調査委員会最終報告で小保方氏のデータ捏造・改竄の研究不正を認定 ⇒ 小保方博士のSTAP細胞ネイチャー論文に疑義 理化学研究所発生・再生科学総合研究センター(神戸市)の研究ユニットリーダー小保方晴子博士(30)らは、非常に簡便な方法で体細胞を万能細胞に転換させることができることを発見し、それを報告する2つの論文が英国科学誌ネイチャーの今週号に掲載されました。 今回小保方晴子博士らが発表した方法は、「分離した体細胞を弱酸性の溶液に30分間浸すだけ」で多能性を持つ細胞が作れてしまったという画期的ものであり、iPS細胞作製では必須の遺伝子操作が全く不要になります。遺伝子操作により細胞に導入された外来性の遺伝子が将来予測のつかないような不都合な働きをしてしまうかもしれない、という不安を抱えなく済むのです。今回発表された方法があまりにも単純なため、これはアーチファクト(人工的な操作に由来する見かけ上の産物)ではないかと周りの研究者やネイチャーの査読者らに思われたようです。アーチファクトなどではなく、確かに体細胞が全能性を持つ細胞に変化したのだということみなに納得させるためには確固たる実験的証拠を積み上げる必要があり、論文掲載に至る道のりは非常に険しいものでした。 今回の発見は生物学的に大きな意義があるだけでなく、再生医療における応用面でも画期的な新規技術です。再生医療のための多能性細胞作製という目的を達成するための手段として現在主流なのが山中伸弥教授が開発したiPS細胞作製技術ですが、今後は小保方博士らが発見したこの簡便な「STAP細胞」作製法がそれに取って代わる可能性が大いにあります。生物学上の常識を覆しただけでなく、日本だけでなく世界の再生医療の研究のあり方を一変させてしまうほどのインパクトを持った大きな研究成果です。 iPS細胞を開発した山中伸弥京都大教授の話 「重要な研究成果が日本人研究者 によって発信されたことを誇りに思う。今後、人間の細胞からも同様の手法で多能性幹細胞が作られることを期待している。マウスの血液細胞に強いストレスを 加えると多能性が誘導されることを示した興味深い研究であり、細胞の初期化を理解する上で重要な成果だ。医学応用の観点からは、iPS細胞のような細胞の 新しい樹立法ともとらえることができ、人間でも同様の方法で体細胞において多能性が誘導された場合、従来の方法とさまざまな観点から比較検討する必要があ る」(http://sankei.jp.msn.com/science/news/140129/scn14012921170001-n1.htm)  岡野栄之慶応義塾大学教授の話「クローン技術やiPS細胞に続く、細胞を初期化して多能性を持たせる技術として発展する可能性がある。遺伝子を導入せずに、血液の細胞を初期化した点が興味深い。」(http://www.nikkei.com/article/DGXNASGG2901R_Z20C14A1EA2000/) 英ユニバーシティ・カレッジ・ロンドンのクリス・メイソン教授の話「また日本人が万能細胞の作製法を書き換えた。山中伸弥氏は4つの遺伝子で人工多能性幹細胞(iPS細胞)を作ったが、STAP細胞は一時的に酸性溶液に浸して培養するだけ。どれだけ簡単になるんだ!」(http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG3000P_Q4A130C1CR0000/) 小保方晴子博士の言葉(http://sankei.jp.msn.com/science/news/140129/scn14012921250003-n1.htm) 「誰も信じてくれなかったことが、何よりも大変だった。」 「周りの研究者からは『きっと間違いだ』と言われ、当時の実験データだけでは証明することができず、くやしくて、泣き明かした夜は数知れない。」 「お風呂のときもデートでも四六時中、研究のことを考えていた。」 「(昨年春、ネイチャーに投稿した際)過去何百年の細胞生物学の歴史を愚弄していると酷評され、掲載を却下されました。」 「(実験室で白衣でなく祖母からもらったかっぽう着を着るのは)おばあちゃんに応援されているような気がするから。」 参考 Obokata et al., Stimulus-triggered fate conversion of somatic cells into pluripotency. Nature 505, 641–647 (30 January 2014) doi:10.1038/nature12968 Obokata et al. …

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東工大生命理工 元教授が1900万円を不正使用

新しい記事⇒「研究費不正疑惑のあった東京工業大学大学院生命理工学研究科元教授が逮捕」(2014年11月15日) 東京工業大学生命理工学研究科の元教授が、2008年から退職した2013年の5年間に架空発注を67回繰り返して代金を業者にプールし、秘書が卒業生から預かった20人分の通帳に振り込ませ、それを引き出して使っていたことが明らかになりました。 新聞報道によれば元教授と秘書は、使途は大型の実験機器の修理などで、私的流用はないと説明しているそうです。しかしながら東工大の発表によると、「元教授及び秘書は、引き出した資金を研究室のために使用したと主張しているが、 記録等は廃棄されているため証明する資料は存在せず、その使途は不明である。」との見方を示しており、元教授を懲戒解雇相当、秘書を懲戒解雇にしています。同じ研究室の准教授に関しては。自分の研究費の一部も預け金に利用されていたことを知らなかったそうで、予算管理責任のみを問われて「訓告」とされています。 公的研究費がもしも私的に流用されていれば、それは犯罪です(関連記事「東大教授を詐欺容疑で逮捕」)。1900万円もの巨額なお金はいったいどこに消えたのでしょうか?誰が何に使ったのでしょう?それを明らかにして世間に公表する責任が東工大にはあります。今後の調査の進展が待たれます。 参考 東京工業大学大学院生命理工学研究科元教授の研究室における 研究費の不正使用と関係者の処分等について(東京工業大学ニュース2014年1月10日):本件につきましては、今後も事件の内容について、引き続き詳細に調査を実施し、新たに明らかになった事項が生じた場合にはその結果を公表いたします。 東工大名誉教授、研究費1900万円を不正使用(朝日新聞 2014年1月10日23時32分):東京工業大学は10日、同大の名誉教授が、生命理工学研究科の教授だった2008年から退職する昨年3月までの約5年間、当時の秘書とともに研究費計約1900万円を不正に使用していたと発表した。名誉教授と秘書は同大の調査に対して不正使用は認め、名誉教授の称号の返上を申し出たが、「大型の実験機器の修理などに使った。私的流用はない」などと説明しているという。同大は研究費と退職金の返還を求める。 1900万円を架空発注 元東工大教授、解雇相当(共同通信2014/01/10 20:54) 東京工業大学大学院生命理工学研究科ウェブサイト:東京工業大学生命理工学部は、生命理学科、生体機構学科、生物工学科、生体分子工学科の4学科で平成2年6月に創設され、続いて平成4年4月には、大学院生命理工学研究科がバイオサイエンス、バイオテクノロジーの2専攻で発足いたしました。 東工大、次期学長候補がまた辞退 不正経理問題 (日本経済新聞2012/2/17 13:25):東京工業大(東京・目黒)の次期学長に就任予定だった前工学部長の岡崎健教授(62)が、研究室の研究費不正経理問題をめぐり、学長候補の辞退届を提出したことが17日、分かった。 東工大では当初の学長候補だった大倉一郎前副学長(67)も昨年7月に不正経理で辞退しており、極めて異例の事態となった。 東工大で副学長が研究費不正使用か 調査委設置(スポニチ2011年7月29日 18:34):東京工業大は29日、大倉一郎副学長(66)が、年度内に使い切れず大学に返還する必要があった研究費を取引業者にプールし、不正に使用した可能性があるとして実態解明のための調査委員会を設置したと発表した。大倉副学長は今年10月に次期学長に就任することが決まっていたが、28日に一身上の都合として辞退。

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森口尚史氏の人件費の返還を国が求める

  2014/01/06    論文データ捏造

経済産業省は、不正行為があったと認定された森口尚史氏の研究に関し、東京大学に対して研究費の返還を請求する措置を講じることを決めました。この研究費は森口尚史氏の人件費として使われたものです。森口氏の不正が認定されたのは、平成22年度地域イノベーション創出研究開発事業の「ヒトiPS 細胞冷却保存法に関するテクノロジーア セスメント研究」。 また日本学術振興会も、不正行為が行われた研究プロジェクト「医工連携による磁場下過冷却(細胞)臓器凍結保存技術開発と臨床応用を目指した国際共同研究」に関し、森口尚史特任研究員の雇用に係る人件費全額について返還させる措置を講ずると発表しています。 参考 研究活動の不正行為を行った者に対して措置を行います (PDF) 経済産業省 平成25年12月27日(金) 最先端・次世代研究開発支援プログラムに係る研究活動の不正行為について JSPS日本学術振興会 JSPS 医工連携による磁場下過冷却(細胞)臓器凍結保存技術開発と臨床応用を目指した国際共同研究:配分費総額  1億4487万7179円 森口氏の研究不正、東大などに1230万円返還請求(朝 日新聞2013年12月28日00時09分):東京大の森口尚史・元特任研究員がiPS細胞(人工多能性幹細胞)研究で虚偽の発表をした問題で、研究費を 支給した日本学術振興会と経済産業省は27日、森口氏に対して研究費の申請資格を来年4月から5年間停止し、森口氏の人件費計1229万2066円の返還 を東大などに求める処分を発表した。 森口尚史氏の人件費返還、学術振興会も要求(2013年12月28日12時19分  読売新聞) 元東京大病院特任研究員の森口尚史(ひさし)氏(49)がiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心筋細胞を患者に移植したと虚偽発表した問題で、文部科学省所管の日本学術振興会は27日、東大に提供した研究費から森口氏の人件費として支払われた約997万円について、東大に返還を求めたと発表した。 森口氏の人件費、東大に230万円返還要請(2013年12月27日23時16分  読売新聞):元東京大病院特任研究員の森口尚史(ひさし)氏(49)がiPS細胞(人工多能性幹細胞)から作った心筋細胞を患者に移植したと虚偽発表した問題で、経済産業省は27日、森口氏が東大在籍中、東大に提供した研究費約600万円のうち、森口氏の人件費約230万円の返還を、東大に求めたと発表した。  

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今こそ示そう科学者の良心2008

  2013/12/29    論文データ捏造

分子生物学会はここ数年間にわたって研究不正問題に取り組んできました。2008年の年回において若手教育シンポジウム「今こそ示そう科学者の良心2008 -みんなで考える科学的不正問題」の司会進行役を務めていたのが東京大学加藤茂明教授(2012年辞職)でした。 この時点ではまだ加藤茂明研究室の不正は世に知られておらず、当時大きな問題になっていたのは、大阪大学の杉野明雄教授による論文捏造事件でした。2008年のこのシンポジウムの内容の詳細は公表されています(PDFリンク)。データ捏造に関して深く議論されており、論文不正問題を考える上での貴重な資料になります。 研究費を私的に流用すればもちろん犯罪ですが、データ捏造論文をバレた後で撤回し公的な研究費を無駄にしても、研究者が賠償責任を問われたとか法で裁かれたという話は聞きません。せいぜい辞職するなり解雇されるなりしてお終いのようです。科学者から見た場合、科学研究における不正行為は一体どれくらい悪いことなのでしょうか? やっぱり科学における犯罪ですよね、不正は。(柳田)(13ページ) 真理の探究という崇高な目的のために生きているはずの科学者がなぜデータ捏造という考えられないような不正行為に手を染めてしまうのか?データ捏造が発生するメカニズムをまず理解する必要があります。これに関しては、このシンポジウムで夏目徹氏がまるで捏造の瞬間を実況中継しているかのように、非常に臨場感溢れる解説をしています。 捏造というのは4つのパターンに分類されます。基本的には、まずボトムアップ型というのが非常に基本的ですね。ボトムアップ出来心。あなたが実験をやったとします。「ここに、バンドが出ればなぁ…」、「この濃淡がひっくり返ってくれたらなぁ…」なんて思いながらですね、ついデータをいじってまった。これは全く遊びでやったんですけども、やってるうちに何か妙に熱中してくるんですね。「この濃淡、意外に自然じゃないか」とかですね。悪いことにですね、それをボスに見つかっちゃうんですよ。「お、A君、やったな、とってもいいじゃないか」、「いや、先生これは…」、「よくやったな。君はいつかやってくれると思ってたんだ」、なーんてやってるうちにデータが一人歩きしてですね、言い出せなくなってしまう。で、それがパブリッシュされる。それがたまたま某プレミアムジャーナルで、記者会見までしてしまって・・・。最悪のパターン。これはボトムアップ出来心型という、一番レベルの低い捏造です。 レベル2というのはですね、ボトムアップ確信犯型というやつですね。レビューアーから「確かめの実験をしなさい。ここの再現性をもう少し見なさい」、あるいは「このデータは数値が少し差が少ない。もう一回確認しなさい」。これはもう何回やったって同じだと。でもしょうがないからやろう。やろうと思ったんですが、それをやるにはですね、抗体が要るんですが、「あっ、抗体が切れてる。ストックが尽きた。しょうがない、ハイブリドーマを起こさなきゃいけないな」。そしたらですね、もう正月休みだったんですね。正月返上で、レビューアーが、「リバイズしなさい」。誰もいない正月の研究室で、ストックを開けてみたらですね、液体窒素が切れてるんですよ。(笑)ハイブリドーマ全滅。どうしようと途方に暮れてる時に除夜の鐘がボ~ンなんて鳴ってね。僕がやったんじゃないですよ。そこで、ですよ。ところが、それで仕方ないと途方に暮れてエクセルに向かってですね、カシャカシャ…。そこに立ち話をしにボスが来たっていうのも知らないのに、やってしまった。というのもあるんですね。これがボトムアップ確信犯型です。どうせバレない。これは非常にたち悪いです。最近ハイテク化したので、こういうのをほぼ生業としているプロの方もいらっしゃって、皆さん「えっ?!」と思うような、ものすごい手口があるんです。それはなかなか見破られません。 それから、次のレベル3は、もっとたち悪いですね。ボトムアップがあるということは、当然トップダウンもあるんですね。トップダウン恫喝型というのがありますけれども。これはですね、ボスが非常に思い込みの激しい情熱家だったりする場合が多いんですけども、このストーリーの実験でこういうデータが出るまで絶対許さない。データを出さない限りは家にも帰っちゃだめ。全くコントロールと差のないデータを先生に出しても、「心の目で見てみろ」とすごいことを言われて… 泣く泣く捏造に近いことを、なかば強制される。恫喝される。これをトップダウン恫喝型って言うんですね。で、これはレベル3です。 レベル4はどういうやつだと思いますか? トップダウン洗脳型というやつです。これはですね、これは私、見て本当に驚いたんですけども「捏造は悪ではない」。こんなのやったってやんなくても変わらないようなものはやる必要はない。それによってコストと人件費を大幅に節約できるのだと。「だからバレそうもない捏造は大いにやりなさい」というようなことを激励するような人を、私はたった1人ですが、見たことがあります。 夏目氏はボトムアップとトップダウンという考え方で4つに分けていますが、(1)あと一歩でアクセプト(論文の受理)されそうな論文を通すために絶対に必要なデータを「成り行きで」捏造する不正行為と、(2)トップジャーナルに通るような良いストーリーを作り上げるために研究の早い段階で、ストーリーに沿う内容のメインデータを作り上げてしまう「確信犯的」不正行為、の2種類に分けることも出来そうです。 前者の場合は、結論が変わるほどの重要なデータではないために、見過ごされてしまいかねない研究不正。データの不備を指摘された場合には、「手違いでした」と後から正しいデータを差し出して逃げ切ろうとするパターンです。不正の件数としてはこちらの方が圧倒的に多いでしょう。バレても誤魔化して事なきを得ることができる可能性が高いだけにたちの悪いものです。論文を掲載した雑誌社も穏便に済ませたいでしょうから、「正しいデータ」を受け取って一件落着になりそうです。 後者は、論文が出版されたあと多くの研究者が追試して結果が食い違ったり再現されなかったりして問題になることが多い、つまり結論が間違ってしまうようなデータ捏造。もちろん、捏造した内容がたまたま真実と同じなら気付かれないままになる可能性もあります。 加藤研究室の場合は、関与した研究者(論文著者)の数や不正論文の数が多く、捏造されたものもメインのデータであったり、対照実験のデータであったりするため両者の複合型といえるでしょう。 非常に興味深いことに、このシンポジウムの記録には加藤研究室に過去在籍していた金氏の発言があります。 以前、私は加藤茂明先生のところの研究室で研究をしていたんですけれども、その時は、自分たち世代までは結構そういうことが問題になって、いい研究を正しいルールでやりたいと、そういうのがカッコいいという考え方がありまして、例えば再現がよくとれないんだけども、「何回、n層何回あったらこの実験はみんなに公表してもいいと思う?」とか友達に聞いたりすると、誰かが「これは3回なんだよ」とか言ったり、「3回じゃ足りないから、3回じゃいけないから」とか「5回以上しないと自分は認めない」とか、そういうことがあるので、やはりいい研究をやるというのは、正しいルールでやったほうがカッコいいという。「魂を捨てたら、もう研究者の生命は終わりよ」という話もしますが、そういうだめな魂は絶対つくってはいけないと思わないと、長い間、研究は楽しくやっていけないと思います。 「いい研究を正しいルールでやることがカッコいい」という風潮が当時の加藤研にあったようです。研究をまるでゲームか何かのように捉えているようで、とてもサイエンスをやる態度とは思えません。この発言内容からすると金氏がデータ捏造に積極的に関与したとは考えにくいのですが、不思議なことに加藤研から出た不正論文の中でも際立って捏造箇所が多いNature論文の筆頭著者です。この論文は、 2008年8月18日投稿 2009年8月24日受理 2011年12月1日訂正 2012年6月14日撤回 という経過をたどりました。東京大学の中間報告では誰がどう不正に関与したかに関しては全く何の情報もありませんが、ヤフーニュースによると 多くの場合、論文の筆頭著者と、不正を働いた研究者は別人だった。不正の大部分は、当時、助手を務めた一部の研究者によって行われていた。 (http://bylines.news.yahoo.co.jp/kamimasahiro/20130904-00027838/) という驚くべき内容が報道されています。真相の究明に関しては東京大学の最終報告が待たれます。 研究不正防止対策に関してですが、このシンポジウムではいくつかの提言がなされています。 データの管理というのは非常に重要です。皆さん個人のノートを持っているかもしれませんけれども、それはinstituteに所属するものであって、決して個人のものではないということが、ほとんどの研究所、大学で規定されていると思います。 一番多いのがですね「電子データだったのでなくなってしまった」という言い訳が多いんですけれども、そういうのを許さないためにも、きちんとしたデータ管理を心がけるというのを少し呼びかけておきたいと思います。(16~17ページ) 不正の疑惑が生じた場合、実験ノートが存在しなくて実験データだけがある場合には不正とみなすというくらいの強い態度で臨めば不正は減りそうです。加藤茂明教授は「性善説」に基づいた研究室運営を行っていたことがアダになったという発言をされていますが、部下にデータ捏造をさせないためにはPIはどうすれば良いのでしょうか? いろいろな実験は学生にやらせているんですけど、その時に伝えているのは、どっちでもいいから、本当の答えが知りたい。白でも黒でも、赤でも青でもどっちでもいいから、ともかくきちっとした実験をやって、コントロールをちゃんとおいて、本当は赤なのか青なのかを示してくれて、それが、本当は赤が欲しかったんだけど青になるとか、結果がどうであっても全然ハッピーだということを伝えて。青だったら論文書きやすいとか、いろんなことがあるんですけど、でも逆に赤のほうがいい論文になることも往々にしてあるわけですから、ともかく真実を教えてよとしか言いようがなくて。(山中)(17~18ページ) お互いに生データレベルで、常にみんなが何をやっているかというのを知り合える状態というのをつくり、かつ、その中でやっぱり厳しい、厳しいというか、フィードバックチェック機構が働く、というのを実現していきたい。(後藤)(18ページ) 僕の今の工夫は1つはオープンにするということです。1対1のミーティングもやりますが、必ず全員の前で自分の仕事を月にいっぺんは発表する。で、誰が何をしてるかをみんなが知っているというオープンにすることが、やっていることの1つです。もう1つは、もう当たり前の結果だったらいいんですけれども、iPSができたという結果、ジャームラインに入ったという結果、プラスミドでできたという結果、こういうときは、必ず違う人に、やや違う手法でやってもらっています。(山中)(23~24ページ) つまりやる人はいるんです、必ず。犯罪と同じですよ。犯罪ゼロっていうことはない。犯罪が起きそうなときに、それを抑止するという発想のほうが、学問とい うのは制度的なものですので、やっぱり抑止するということは、我々の倫理観、高いものを持っていて、問題が出たときには、その行為自身を許さない。そっち のほうが教育のために、不正行為をやらないようにという教育よりも効果出るんじゃないかなあと。(柳田)(13ページ) 研究不正が発覚したときに誰がどう責任を負うべきなのかは、状況にもよるでしょうし非常に難しい問題です。 自分が関知していなければ、非常に恥ずかしいことですが、やめる必要はまったくないのであって…それはしょうがないですよ。罪じゃないですよ。それは仕方がない。だけど自分の能力がなかったことは認める必要があります。(柳田)(23ページ) 学生さんがもし自発的に変なことをやったとしても、それを見抜けなかったコレスポンディングオーサーが悪いわけですし。まず、そのPIでコレスポンディングオーサーになるんだったら、もうこの論文の責任は全部僕だと。だって、その論文でいい面は全部コレスポンディングオーサーが取っちゃうわけですから、悪いことが起こっても当然同じ、全部受け止めるべきであって。それは、僕は当然と思ってます。 …

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北大教授が研究費1600万円以上を着服

  2013/12/27    Uncategorized

⇒ 北海道大学が最終報告:公的研究費の不正使用5億3500万円 北海道大学の発表によると、西村孝司北海道大学遺伝子病制御研究所教授(平成25年7月4日付けで退職)が1600万円以上もの公的研究費を私的に流用し、マイカーのタイヤ購入代金や車検費用、高級腕時計など日用品の購入に充てていたことが明らかになりました。 参考 公的研究費等の不適切な経理処理にかかる刑事告訴について (北海道大学 平成25年12月27日):”このたびの本学における公的研究費等の不適切な経理処理にかかる調査の過程で、元本学遺伝子病制御研究所教授 西村孝司氏(平成25年7月4日付けで退職)が公的研究費等を私的な目的で流用していた事実が判明したために、本年6月14日付けで同氏及び関販テクノ株式会社代表取締役ほか2名を、北海道警察札幌方面北警察署へ刑事告訴しました。…” 公的研究費等の不適切な経理処理の概要(北海道大学2013年12月27日):公的研究費における不正経理処理が明らかになった北海道大学の教授ら44名の処分内容と概要 北大:元教授「預け金」1600万円流用 腕時計など購入(毎日新聞 2013年12月28日 00時30分(最終更新 12月28日 03時07分)