外部資金の獲得は大学にとっても研究者にとっても重要な問題です。国の助成事業に基づいてURA (University Research Administrator; URA)が大学に配置され研究支援体制が整えられてきている大学が増加している一方で、URA雇用の財源が確保できず研究支援が手薄の大学では、孤軍奮闘している研究者も多いと思います。
そんな大学間の格差が広がる中で、研究者の間で知らぬ人はいないあの科研費の教科書『科研費獲得の方法とコツ』の著者である児島将康氏が、大学定年退官後に大学・研究機関を対象とした科研費応募支援、および個人研究者を対象とした科研費申請書作成支援のサービスなどを提供する会社を立ち上げたそうです。その名は、「ジーラント」。
ジーラント株式会社
その科研費に関して、これまでいろいろと活動して経験を積んできた。そこで退職後は科研費獲得を支援する会社を立ち上げることにした。正式な会社設立は4月だが、本日、先にホームページを開設する。よかったら訪問してください。
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) February 29, 2024
ジーラントって不思議な響きですが、いったいどんな意味?と思いました。
私の会社の名前はジーラントという。この意味については、意外に人に聞かれない。みな興味ないのか?その意味はちょっと考えるとわかると思うが、英語の grant (助成金)から名付けた。#研究者の定年 #ジーラント #研究者支援
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) April 5, 2024
児島将康氏は、俗に「空腹ホルモン」と称される、空腹時に胃の細胞から血中に分泌されるペプチドホルモン「グレリン」(ghrelin)の発見者として知られています。
- 食欲を左右する7つのホルモン 健康的な食生活の方法は ナショナル ジオグラフィック 2023年5月17日 5:00
- Ghrelin Cleveland Clinic
- グレリン 薬学用語解説 日本薬学会
- グレリン(ウィキペディア)グレリン (ghrelin) は、胃から産生されるペプチドホルモン。下垂体に働き成長ホルモン (GH) 分泌を促進し、また視床下部に働いて食欲を増進させる働きを持つ[1]。GHS-R (growth hormone secretagogue receptor) の内因性リガンドである。 1999年、国立循環器病センターの児島将康・寒川賢治らにより発見された。
Ghrelin was discovered after the ghrelin receptor (called growth hormone secretagogue type 1A receptor or GHS-R) was determined in 1999. The hormone name is based on its role as a growth hormone-releasing peptide, with reference to the Proto-Indo-European root gʰre-, meaning “to grow”.
Physiology of Ghrelin Animation: USMLE Step 1 Dr.G Bhanu Prakash Animated Medical Videos チャンネル登録者数 109万人
Leptin and Ghrelin hormones mechanism of action | Physiology : USMLE Step 1 Dr.G Bhanu Prakash Animated Medical Videos チャンネル登録者数 109万人
- Kojima, M., Hosoda, H., Date, Y. et al. Ghrelin is a growth-hormone-releasing acylated peptide from stomach. Nature402, 656–660 (1999). https://doi.org/10.1038/45230
- グレリンの発見についての裏話(PDF) 児島 将康 日薬理誌(Folia Pharmacol. Jpn.)130,14~18(2007)
- 総 説 グレリンの構造と機能(PDF) 児島将康,寒川賢治 生化学 第79巻 第9号,pp.853―867,2007
- グレリンによる摂食調節のメカニズム(PDF) 児島将康 脳と発達2011;43:87-90.
- Shiimura, Y., Horita, S., Hamamoto, A. et al. Structure of an antagonist-bound ghrelin receptor reveals possible ghrelin recognition mode. Nat Commun 11, 4160 (2020). https://doi.org/10.1038/s41467-020-17554-1
- 「食べたい…」仕組み解明 食欲不振治療への応用期待 久留米大教授 2020/9/1 6:00 西日本新聞 児島教授らが1999年に発見したグレリンは、空腹時に胃から血液中に分泌され、脳に作用して食欲を促す。グレリンを構成するペプチド(アミノ酸の結合体)と脂肪酸が結び付くことで活性化されると考えられてきたが、その仕組みは謎のままだった。
- 児島将康教授(遺伝情… 児島将康教授(遺伝情報研究部門)らは、グレリン受容体の立体構造を明らかにしました。 2020.08.25 久留米大学分子生命科学研究所 児島 将康、椎村 祐樹(いずれも、遺伝情報研究部門)らは、食欲を刺激するホルモンであるグレリンの受容体構造を世界で初めて明らかにし、ホルモン発見以来不明であったグレリン活性の謎を解明しました。この研究成果は2020年8月19日に「Nature Communications」に掲載されました。
- 総説 グレリンの発見から臨床応用まで:古き良き発見の時代に 児島 将康 久留米大学分子生命科学研究所遺伝情報研究部門 2023年2月25日 Journal of Japanese Biochemical Society 95(1): 5-16 (2023) doi:10.14952/SEIKAGAKU.2023.950005
久留米大学分子生命研究所の児島将康教授らの研究グループは、食欲を刺激するホルモンであるグレリンの受容体構造を世界で初めて明らかにし、その研究成果が2020年8月19日に「Nature Communications」に掲載されました。https://t.co/NACUvpOxpB#久留米大学#医学部#分子生命科学 pic.twitter.com/f4dKHcaRPT
— 久留米大学 (@Kurume_Univ) August 21, 2020
児島将康先生の『グレリンの発見についての裏話』って記事は、生物系で研究やったりする人は一度読んどくと良いかもしれませんね https://t.co/TlSU61e3G3
— トクロンティヌス (@tokurontinus) May 29, 2023
児島将康氏はどういう想いから定年退職後に新会社を立ち上げたのでしょうか。
#科研費
研究者支援の会社を立ち上げようとしたのには、いくつか理由がある。もちろん第一はこれまでに自分が科研費について学んだことを伝えたい、指導したいということがある。— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) March 1, 2024
#科研費
科研費セミナーに招かれて、全国各地、大規模な大学から、小規模な大学まで、いろんなところの実情を見てきた。とくに小規模な大学では、科研費申請を指導するものがいなくて、教員が四苦八苦しながら応募している現実がある。— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) March 1, 2024
#科研費
研究を支援する係のものも、まあはっきり言うと素人で、とくに科研費なんかに詳しいわけではない。しかも数年ごとに担当が変わるので、また振り出しになる。申請書の内容について相談しようとしても、学内に相談できる人がいない、経験者が少ない。— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) March 2, 2024
#科研費
そういったURAのいない小規模な大学などのために少しでも役に立てたらなと思ったのが始まりだ。— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) March 2, 2024
会社の体制はどんなふうなのかなと思いましたが、現在の状況もツイートされていました。
会社と言っても社員1人で、あとは20数人のレビュアーがいるだけ。全国各地の大学に向けて宣伝するには、大変だ。なので、まずはいくつかの大学に会社の宣伝を郵送することにした。チラシの作成もお金がかかるので、上質のレーザープリンタで印刷したものを綴じて郵送する。#研究者の定年 #ジーラント
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) April 8, 2024
私の会社への申し込みは、まずは科研費セミナーの依頼が数件ある。一度呼んでもらったことがある大学から、今回初めて依頼があった大学まで、本当にありがたいことである。依頼に応えられるように、十分に準備してセミナーに臨もうと思う。#ジーラント #科研費セミナー
— 児島将康 (@kakenhi_g_rant) April 10, 2024
大学・研究機関向けの科研費獲得支援サービスおよび、研究者個人を対象とした科研費申請書添削サービスに関しては、会社ウェブサイトに案内があります。