一生に一度でもセル、ネイチャー、サイエンスに論文を出してみたいという研究者がいる一方で、コンスタントにセル、ネイチャー、サイエンスを出し続けるラボもあります。大学院生が自分の博士論文を当然セル、ネイチャー、サイエンスのいずれかに出すつもりで頑張っているような研究室もあります。セル、ネイチャー、サイエンスは生命科学の基礎研究においてトップジャーナルと言われるもので、まとめてCNSと呼ばれることもあるようです。このCNSの威力はどれほどのものでしょうか。
自分の過去の話ですが、面接まで行って不採用になり後から誰が採用されたのか確認してみたらCNS持ちだったということが何回もありました。それも知ると、ファーストでCNSに出していない自分は最初から勝ち目がなかったのかなと暗澹たる気持ちになりました。
CNS信仰は存在すると自分は思っていますが、それは自分の経験や自分の周りを見ていてそう思うだけで、アカデミックの世界は広いので分野が異なればまた違う状況かもしれません。CNSの価値ってどうなの?という観点でネット情報を纏めてみたいと思います。
目次
CNS神話について
あと、この記事を書く過程で他の先生方に教えて頂いた、こちらの記事も見てみて。アカデミア教員になるのに、研究費を持っている必要はないし、CNSがなくてもいい、という統計に基づいた記事。と、後半の採用に関わる教員のインタビューも必読。https://t.co/PgidXQNnZD
— Kaori YAMADA, PhD (@KaoriYamada01) June 20, 2023
アメリカのポスト取得にIFは関係ないというひとは、R1大学の若手採用者のCNS保有率をご覧いただきたいし、若手向けフェローシップ(Packard, Pew, Searle)の取得率との相関も見ていただきたい。セレクションかける指標として正しいんですかね。
— トカイワイン (@vinumregum) October 26, 2020
海外のトップラボで出したCNS業績の価値について
とある教授から怖いことを言われた。
「海外留学中にCNSのような上位雑誌に通っても正直参考にならないよね。大半の人が帰国しても大した雑誌に通ってないし、留学先のラボがよかっただけでしょ。だから、留学中の業績は採用の参考にはしない。」
海外研究者が日本に帰ってきにくい原因の一つかな…?— しそごはん用研究者(薬学部助教) (@ONODA_in_Onodac) November 5, 2019
CNSが必要条件ではないことについて
僕はいわゆるCNSは共著も含め全くないですが(姉妹誌も)、現任校も次も任期なしの教員で採用いただけた。なので、「そういう雑誌に載っていないと絶対無理!」みたいな言説はあまり気にせず、面白い研究を展開して、しっかりアウトプットすることを頑張れば良いと思う。
— サクセスリバーコーテシーinエイトプリンス (@rei_nari) March 17, 2021
CNSが十分条件ではないことについて
僕も採用プロセスの端っこに関わった経験から学生さんやポスドクの皆さんに知っておいて欲しいのだけどアメリカでもCNSやK99あるから職がすぐ見つかるみたいなんではなく人間性や大学との相性とか色々ファクターがあるので大学受験のノリで研究者は評価されないんだよな。 https://t.co/UjY81LUoFM
— Kemtaro (@oxt23) October 26, 2023
R1大学で何度も教員採用に関わりましたが、Chalk Talkなどで候補者に次の研究アイディアを解説してもらうと、創造性爆発みたいな人と、逆に凡庸なアイディアしか出さない人に分かれます。CNS論文があっても、です。IFなど形に出るものは足切りに残る以上の効果はないかと。
— Prof. Keiko Torii (@KeikoUTorii) October 26, 2020
「CNSに代表される高IF雑誌に出していてもポストがない」ということは、それでも業績で負けてるせいなのか、CNSに掲載されることは採用の動機につながらず単純な業績(本数・IF)以外で負けてるのか、どちらでしょうね。IFなんてついてりゃいい世界の私には関係のない話ですが。
— Shinya Onogi, PhD (@s_onogi) October 22, 2021
CNSよりもコネが大事なことについて
あと、One position, One publication的な文化が希薄なので、論文出なくても、よく皆、移動します。論文出るかは能力に依存してないってジャッジ
研究力は業績じゃなく、紹介によって担保されます。コミュ力が一番大事。少なくともは、CNSバンバン出してる著名人より知り合いを採用するなんてザラ
— ゆうらく (@U_hiraku) August 23, 2021
CNSの必要性について
笑える!「私の経験では、教員のポジションにはCNSが必要ですが、これまで中枢神経系なしで採用された人を見たことがありません。』 https://t.co/xtSB7aaQDr
— Norio Nakatsuji (@norionakatsuji) March 19, 2021
CNSの普及について
最近は若手支援が乏しいなりにもマシになってきたが、ワイらが日本で職を探そうとしてた頃はホンマに悲惨で、新潟医のテニュトラが100倍ぐらいで採用されたのは全員CNS持ちという地獄で、そこまで悲惨なら日本は諦めて、腹を括って海外に残ろうと思った氷河期世代は多いと思うわ。
— wandrome (@wndrm4478) January 27, 2020
テニュアの条件としてのCNS
テヌトラについては「CNS、姉妹誌くらい通さないとテニュアに採用しませんキリッ」と大学側がやったら、CNS通した様な人はT大やR研に行ってしまい結局だれも残らなかったという大学も…
— 酵母の中の酵母 (@Beer_yeast) February 8, 2012
CNSの威力
研究費の申請書の審査は業績リストしか見ないと豪語してた先生が昔いた。いまもそんなんじゃないかと推測。予備データでタコ殴りできないし、仮にデータ出しても専門分野外の人がみてもよくわからないだろうし。結局、今も昔もCNSブランドに頼るのが最強です。
— muffmuff (@muffmuff5) January 13, 2022